説明

放電生成物発生装置

【課題】本発明は放電生成物装置に関するもので、放電生成物装置による放電生成物の発生量の減少を抑制することができるものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口6と吹出口5を有する本体ケース1と、この本体ケース1内で、吸気口6から吹出口5へ連通する風路に設けた送風手段7と、この風路に放電生成物発生手段9とを設け、本体ケース1の上部の外周側面は、本体ケース1の下部の外周側面より外方に位置し、本体ケース1の上部と本体ケース1の下部との間には、本体ケース1の上部と本体ケース1の下部とを繋ぐ傾斜部4を備え、この傾斜部4に吸気口6を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧を印加することにより放電生成物を生成し、除菌や脱臭を行なう放電生成物発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の放電生成物装置の構成は以下のようになっていた。
【0003】
すなわち、吹出口と吸込口とを設けた本体ケースと、この本体ケース内の吸込口から吹出口への風路に放電生成物手段を備えた構成となっていた。
【0004】
(例えば、これに類似する先行文献は下記特許文献1に記載されている。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−033304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例における課題は、放電生成物装置による放電生成物の発生量が減少するということであった。
【0007】
すなわち、従来の物においては、車内で使用する場合には、底面が塞がれた略筒形状のドリンクーホルダーに放電生成物装置を装着して使用するものであった。ところが、ドリンクーホルダーの大きさには種類があり、ドリンクーホルダーの大きさによっては、吸込口がドリンクーホルダーの内面と接触することによって塞がれ、風量が減少し、結果として、放電生成物の発生が減少する場合があった。
【0008】
そこで本発明は、放電生成物装置による放電生成物の発生量の減少を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記排気口へ連通する風路に設けた送風手段と、この風路に放電生成物を発生させる放電生成物発生手段とを設け、前記本体ケースの上部の外周側面は、前記本体ケースの下部の外周側面より外方に位置し、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部との間には、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部とを繋ぐ傾斜部を備え、この傾斜部に前記吸気口を設けたことを特徴とする構成であり、これにより、初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、
吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記排気口へ連通する風路に設けた送風手段と、この風路に放電生成物を発生させる放電生成物発生手段とを設け、前記本体ケースの上部の外周側面は、前記本体ケースの下部の外周側面より外方に位置し、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部との間には、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部とを繋ぐ傾斜部を備え、この傾斜部に前記吸気口を設けたことを特徴とする構成であり、放電生成物装置による放電生成物の発生量の減少を抑制することを目的とするものである。
【0011】
すなわち、本体ケースの上部の外周側面は、本体ケースの下部の外周側面より外方に位置し、本体ケースの上部と本体ケースの下部とを繋ぐ傾斜部に吸気口を設けたので、放電生成物装置を底面が塞がれた略筒形状のドリンクーホルダーに装着して使用する場合に、ドリンクーホルダーの大きさが異なっても、ドリンクーホルダーの上端部が、本体ケースの上部、本体ケースの下部、または傾斜部の吸気口に接触し、ドリンクーホルダーの内面と吸気口との間に空間ができるので、吸込口がドリンクーホルダーの内面と接触することによって塞がれ、風量が減少することを抑制できる。
【0012】
これらの結果により、放電生成物装置による放電生成物の発生量の減少を抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1の放電生成物装置の斜視図
【図2】本発明の同放電生成物装置の概略断面を示す図
【図3】本発明の同放電生成物装置の内部概略を示す図
【図4】本発明の同放電生成物発生手段の斜視図
【図5】本発明の同放電生成物発生手段の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1から図3に示すように、本実施形態の放電生成物装置は、略円柱箱形状の本体ケース1を有し、この本体ケース1は、本体ケースの上部である上本体ケース部2と、本体ケースの下部である下本体ケース部3と、これら上本体ケース部2と下本体ケース部3とを繋ぐ傾斜部4とから形成している。
【0016】
上本体ケース部2は、上面が塞がれた円筒形状で、下本体ケース部3は、下面が塞がれた円筒形状である。上本体ケース部2の外周側面は、下本体ケース部3の外周側面より本体ケース1の中心軸に対して、外方に位置するものである。つまり、上本体ケース部2の直径は、下本体ケース部3の直径より大きいものである。
【0017】
傾斜部4は、下方開口から上方開口へ向かうにつれ、徐徐に開口面積が大きくなる円筒形状で、上本体ケース部2と下本体ケース部3との間に位置すると共に、上本体ケース部2の下方の開口端部と、下本体ケース部3の上方の開口端部とを繋いでいる。
【0018】
本体ケース1の上本体ケース部2の上面には、吹出口5を備え、傾斜部4には吸気口6を有している。この本体ケース1内には、吸気口6から吹出口5に送風する送風手段7と、放電生成物発生手段9を備えている。
【0019】
吹出口5は、略横長四角形状で上本体ケース部2上面の一端側に位置し、吸気口6は、略四角形状で本体ケース1の背面側側面に位置し、着脱自在なフィルター部であるフィルター8を備えている。このフィルター8の水平断面形状は、略半円弧形状である。
【0020】
送風手段7は略スクロール形状のケーシング10と、このケーシング10内に固定された電動機11と、この電動機11によって回転する羽根12とから形成している。ケーシング10の上面には略横長四角形状の吐出口20を備え、側面には略リング形状の吸込口13を設けている。この吸込口13に対して本体ケース1の吸気口6の少なくとも一部が対向して位置する。
【0021】
また、放電生成物発生手段9は、放電生成物発生部14と高電圧発生部15とから形成している。本体ケース1内の上部には、放電生成物発生部14と送風手段7とを設け、本体ケース1内の下部には、高電圧発生部15を備えている。
【0022】
ここで、放電生成物発生部14について説明すると、図3、4に示すように、この放電生成物発生手段9は、放電電極16と、この放電電極16に対向して配置された対向電極17とを有している。この放電電極16を冷却する冷却部として配置したペルチェ素子18と、このペルチェ素子18の熱を放熱する放熱フィン19とを備えている。高電圧発生部15は、これらの対向電極17と放電電極16間に高電圧(この実施形態では−5KV)を印加するものである。
【0023】
ペルチェ素子18は0.75V〜2.8V程度の電圧を印加するものであり、この実施形態では、放電電極16側を低温に、放熱フィン19側を高温にする。この放電電極16部分で冷却されることで、結露すると、放電生成物である帯電微粒子水が発生することになる。この帯電微粒子水中のヒドロキシルラジカルが臭いと反応し、それを酸化させることで、臭いを分解することができるのである。
【0024】
ヒドロキシルラジカルはヒドロキシ基(水酸基)に反応するラジカルであり、このラジカルは通常2個1組で軌道上を回転しているはずの電子が1つしかないので、電気的に非常に不安定で、周りの原子や分子から欠けた電子を奪おうとするために、酸化力が非常に強いものであり、この酸化作用により臭いが分解、除去されるのである。
【0025】
なお、放電生成物発生部14は、上記の帯電微粒子水に限らず、除菌や脱臭を行なう放電生成物を発生させるものであればよい。
【0026】
放電生成物発生手段9は、送風手段7の側部に位置し、放電生成物発生手段9から伸びた連通風路21を有している。この連通風路21は、放電生成物発生手段9と、送風手段7の吐出口20と本体ケース1の吸気口6との間の風路とを連通している。すなわち、放電生成物発生手段9で発生した帯電微粒子水が、この連通風路21を介して送風手段7の吐出口20と本体ケース1の吸気口6との間の風路に流れ、更に、送風手段7によって本体ケース1の吹出口5から室内へ送風される。
【0027】
本実施形態における特徴は、上本体ケース部2の外周側面は、下本体ケース部3の外周側面より外方に位置し、上本体ケース部2と下本体ケース部3との間に傾斜部4を備え、この傾斜部4に吸気口6を設けた点である。
【0028】
すなわち、本体ケース1の上部の外周側面は、本体ケース1の下部の外周側面より外方に位置し、本体ケース1の上部と本体ケース1の下部とを繋ぐ傾斜部4に吸気口6を設けたので、放電生成物装置を底面が塞がれた略筒形状のドリンクーホルダーに装着して使用する場合に、ドリンクーホルダーの大きさが異なっても、ドリンクーホルダーの上端部が、本体ケース1の上部、本体ケース1の下部、または傾斜部4の吸気口6に接触し、ドリンクーホルダーの内面と吸気口の間に空間ができるので、吸込口13がドリンクーホルダーの内面と接触することによって塞がれ、風量が減少することを抑制できる。
【0029】
これらの結果により、放電生成物装置による帯電微粒子水の発生量の減少を抑制することができるものである。
【0030】
また、傾斜部4は、本体ケース1における内方に凸形状である曲面で形成されたものである。すなわち、傾斜部4の垂直断面形状が曲線となるので、垂直断面形状が直線となるものに比べ、傾斜部4の表面積が増加し、結果として、フィルター8の表面積も増加するので、通風抵抗を低減できる。
【0031】
また、本体ケース1の上部である上本体ケース部2と、本体ケース1の下部である下本体ケース部3は円柱形状であるので、持ち運び易いものである。
【0032】
また、放電生成物発生手段9は、放電生成物発生部14と高電圧発生部15とから形成し、本体ケース1内の上部に放電生成物発生部14と送風手段7とを設け、本体ケース1内の下部に設けた高電圧発生部15を備えている。送風手段と7は、ケーシング10内に設けた電動機11と、この電動機11によって回転する羽根12によって形成されている。このケーシング10は、上面に吐出口20を有し、側面に吸込口13を備えている。ここで、この吸込口13に対して本体ケース1の吸気口6の少なくとも一部が対向して位置するものである。更に、この吐出口20に対して本体ケース1の吹出口5の少なくとも一部が対向して位置するものである。
【0033】
すなわち、送風手段7であるケーシング10は、高電圧発生部15の上方に位置すると共に、本体ケース1の吸気口6からケーシング10の吸込口13へと繋がる風路と、ケーシング10の吐出口20から本体ケース1の吹出口5へと繋がる風路とがなす角度が90度となる。これにより、本体ケース1の吸気口6から本体ケース1の吹出口5へ風路を、送風手段7が本体ケース1の下部に位置する場合に比べ、短くすることができる。
【0034】
また、本体ケースの吸気口には、着脱自在なフィルター部を設け、このフィルター部であるフィルター8の水平断面形状は、半円弧形状である。
【0035】
すなわち、フィルター8の水平断面形状は、半円弧形状となるので、水平断面形状が直線となるものに比べ、投影寸法が大きくなるので、運転席と助手席の間にありスイッチ類が収められている部分であるセンターコンソールと、車載内のシートとの隙間に入り込み難くなる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように本発明は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記排気口へ連通する風路に設けた送風手段と、この風路に放電生成物を発生させる放電生成物発生手段とを設け、前記本体ケースの上部の外周側面は、前記本体ケースの下部の外周側面より外方に位置し、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部との間には、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部とを繋ぐ傾斜部を備え、この傾斜部に前記吸気口を設けたことを特徴とする構成であり、放電生成物装置による帯放電生成物の発生量の減少を抑制することを目的とするものである。
【0037】
すなわち、本体ケースの上部の外周側面は、本体ケースの下部の外周側面より外方に位置し、本体ケースの上部と本体ケースの下部とを繋ぐ傾斜部に吸気口を設けたので、放電生成物装置を底面が塞がれた略筒形状のドリンクーホルダーに装着して使用する場合に、ドリンクーホルダーの大きさが異なっても、ドリンクーホルダーの上端部が、本体ケースの上部、本体ケースの下部、または傾斜部の吸気口に接触し、ドリンクーホルダーの内面と吸気口との間に空間ができるので、吸込口がドリンクーホルダーの内面と接触することによって塞がれ、風量が減少することを抑制できる。
【0038】
これらの結果により、放電生成物装置による放電生成物の発生量の減少を抑制することができるものである。
【0039】
従って、家庭用、事務所用、車内用などの、放電生成物装置として活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 本体ケース
2 上本体ケース部
3 下本体ケース部
4 傾斜部
5 吹出口
6 吸気口
7 送風手段
8 フィルター
9 放電生成物発生手段
10 ケーシング
11 電動機
12 羽根
13 吸込口
14 放電生成物発生部
15 高電圧発生部
16 放電電極
17 対向電極
18 ペルチェ素子
19 放熱フィン
20 吐出口
21 連通風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と吹出口を有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記吹出口へ連通する風路に設けた送風手段と、この風路に放電生成物発生手段とを設け、前記本体ケースの上部の外周側面は、前記本体ケースの下部の外周側面より外方に位置し、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部との間には、前記本体ケースの上部と前記本体ケースの下部とを繋ぐ傾斜部を備え、この傾斜部に前記吸気口を設けたことを特徴とする放電生成物発生装置。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記本体ケースにおける内方に凸形状である曲面で形成された請求項1に記載の放電生成物発生装置。
【請求項3】
前記本体ケースの上部、および下部は円柱形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の放電生成物発生装置。
【請求項4】
前記放電生成物発生手段は、放電生成物発生部と高電圧発生部とから形成し、前記本体ケース内の上部に前記放電生成物発生部と前記送風手段とを設け、前記本体ケース内の下部に設けた前記高電圧発生部を備え、前記送風手段は、スクロール形状のケーシングと、このケーシング内に設けた電動機と、この電動機によって回転する羽根によって形成され、前記ケーシングは、上面に吐出口を有し、側面に吸込口を備え、この吸込口に対して前記吸気口の少なくとも一部が対向して位置することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放電生成物発生装置。
【請求項5】
前記本体ケースの前記吸気口には、着脱自在なフィルター部を設け、このフィルター部の水平断面形状は、半円弧形状であることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の放電生成物発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−34804(P2013−34804A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175821(P2011−175821)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】