説明

放電管用コネクタ

【課題】 放電管のリード電極を常に適正な接触圧により確実に保持できるようにした放電管用コネクタを提供すること。
【解決手段】 ランプ2を保護カバー21,21の内部に装着すると、リード電極2aが保持電極66のクリップ部66b,66bにおいて適正な接触圧により弾性的に保持される。同時にリード電極2aの先端部が拘束部67のロック凹部67a,67bの間に挟持される。保護カバー21,21を閉じて係止凸部21aと係止凹部21bを係止させると、保護カバー21,21の内側の突起21c,21cの先端がロック片67A,67Aに両側方向から接触し又は押圧し、拘束部67が容易に押し開かれるのを防止する。これにより、リード電極2aが保持電極66から外れるのを阻止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極蛍光管、ネオン灯などの放電管コネクタに係わり、特に放電管の電極を適正な接触圧により確実に保持できるようにした放電管用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された液晶用バックライトソケットは、外部絶縁体から独立して設けられた内部絶縁体に一対のコンタクトが固定されている。この内部絶縁体の内側に板ばね製の口金電極接続部が設けられており、バックライトの両端に設けられた口金電極が、口金電極接続部によって弾性的に接続されるというものである。
【特許文献1】特許第3118699号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されたものでは、板ばね製の口金電極接続部が有する弾性力による接触圧により、バックライトの電極を両側から挟んで保持するだけの構成である。
【0004】
このため、振動など何らか要因により、口金電極に対する接触圧に緩みが生じると、バックライトが外れやすくなり、あるいは口金電極と口金電極接続部との間の接触抵抗が変動し、動作信頼性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、放電管の両端のリード電極を常に適正な接触圧により確実に保持し且つ接続できるようにした放電管用コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベース部材上に、ランプ本体の両端に形成されたリード電極と接続される接続機構部を備えた放電管用コネクタにおいて、
接続機構部には、前記リード電極を両側方向から挟み込んで電気的に接続されるとともに前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する一対の拘束部が設けられ、前記ベース部材には、前記拘束部を両側方向から覆う一対の保護カバーが設けられており、
前記保護カバーと前記一対の拘束部との一方に、他方に接するとともに前記一対の拘束部間の開きを防止して前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する規制部が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、放電管の両端に設けられたリード電極を、拘束部で拘束するとともに拘束部が開こうとする動きを規制することができる。このため、リード電極が拘束部から容易に外れることがない。
【0008】
また本発明は、ベース部材上に、ランプ本体の両端に突出形成されたリード電極を接続する接続機構部を備えた放電管用コネクタにおいて、
接続機構部には、前記リード電極を両側方向から挟み込んで電気的に接続されるとともに前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する一対の拘束部が設けられ、前記ベース部材には、前記拘束部を両側方向から覆う一対の保護カバーが設けられており、
前記保護カバーと前記一対の拘束部との一方に、他方を押圧するとともに前記一対の拘束部間の開きを防止して前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する突起が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、放電管の両端に設けられたリード電極を、拘束部で拘束するとともに、さらに押圧により拘束部がリード電極を積極的に挟持することが可能となる。このため、リード電極が拘束部から容易に外れることがないとともに、拘束部によりリード電極との間の適切な接続状態を維持することが可能となる。
【0010】
上記において、前記接続機構部には、前記リード電極を保持して電気的な接続を確保する保持電極が前記一対の拘束部と一体に形成されているものが好ましい。
【0011】
上記手段では、ランプ側のリード電極を適正な接触圧により確実に接続することができる。このため、リード電極と接続機構部側の保持電極との間の接触抵抗が変動を低減することができ、信頼性を向上させることができる。
【0012】
さらに、前記一対の保護カバーには、前記保護カバー同士が開くのを防止する係止機構が設けられているものが好ましい。
【0013】
上記手段では、ランプの装着の際には、ランプをコネクタに容易に装着することができる。また装着後は、リード電極と接続機構部との間の電気的な接続を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、リード電極がコネクタから容易に外れるのを防止することができる。
しかも放電管の両端のリード電極を常に適正な接触圧により接続することが可能となるため、コネクタとしての信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の実施の形態としての放電管用コネクタを示す斜視図、図2は図1とは異なる方向から見た放電管用コネクタを拡大して示す斜視図、図3は放電管用コネクタをXZ平面に平行な任意の面で切断した断面を示す斜視図、図4はベース部材内に埋設されている電極または端子を示す斜視図、図5は放電管用コネクタをY2方向に見た場合の正面図である。
【0016】
このコネクタ1は、図示しない液晶ディスプレイの背面に設けられるバックライト用のランプ2を保持するとともに、端部に設けられたリード電極2aから電力を供給して点灯させるためのものである。液晶ディスプレイの背面側には、一対の多連コネクタ1AがそれぞれY1およびY2方向の両側に1つづつ分かれて配置されており、複数のランプ2がこれらの間に並列に取り付けられる。
【0017】
ランプ2としては、例えば冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)、やネオン管などの放電管である。ランプ2は、ガラス管で形成されたランプ本体2Aの両端面に細い棒状のリード電極2a,2aを有して構成される。ランプ本体2Aの内部にはHg,Ar,Neなどのガスが封入されている。各ランプ2のリード電極2a,2aに所定の電圧を印加すると、複数のランプ2がほぼ同時に点灯する。このように液晶ディスプレイの背面には、放電管ランプ2を保持するための単体コネクタが複数連結されてなる一対の多連コネクタが設けられる。図1は一対の多連コネクタのうちの一方の多連コネクタを示すものであり、他方の多連コネクタも同様の構成である。
【0018】
図1に示す多連コネクタ1Aは、略カード形状からなる複数の単体コネクタ10を幅(X)方向に連結することにより形成されている。多連コネクタ1Aは、互いに隣接する一方の単体コネクタ10を構成するベース部材11のX1方向の端部と他方の単体コネクタ10を構成するベース部材11のX2方向の端部とが連結部12によって連結されることにより、X方向を長手方向とする長尺状の部材として形成される。
【0019】
個々の単体コネクタ10は、所定の形状からなる導電プレート50と、この導電プレート50のY1側に所定の距離だけ離して配置した一組の電極部60,60とを有しており、導電プレート50の周囲および一組の電極部60,60の一部が合成樹脂製のベース部材11内に埋設されることにより形成されている。
【0020】
図1および図2に示すように、1つの単体コネクタ10を構成するベース部材11には、ランプ2の両端のリード電極2a,2aを保持する接続機構部20,20と、図示しない外部電源から電力を受ける受電部30と、安定器(インバータ回路)の一部を形成するコンデンサ3,3を取り付けるための固定領域40,40と、ベース部材11の内部に配線された導電プレート50が設けられている。すなわち、一つのベース部材11上には、2つの接続機構部20,20と、1つの受電部30と、2つの固定領域40が設けられている。なお、接続機構部20,20の各構成、および固定領域40,40の各構成は互いに同様である。
【0021】
接続機構部20は、左右一対からなる保護カバー21,21と、保護カバー21,21のY2側の位置に設けられた保持部23と、さらにY2側に設けられた係止部24と、保護カバー21,21内に設けられた電極部60を有して形成されている。保護カバー21,21、保持部23および係止部24は、ベース部材11と同じ合成樹脂により一体形成されている。
【0022】
この保護カバー21,21の本来の機能は、接続機構部とその周囲に設けられた金属シャーシとの間の絶縁耐圧を高め、接続機構部に高電圧が印加されたときに、接続機構部と金属シャーシ間の絶縁破壊による短絡事故を防止するものである。
【0023】
保護カバー21,21は、ベース部材11側を基端としてZ1側の先端部がX1方向およびX2方向の左右に揺動することが可能な状態で形成されている。一対の保護カバー21,21を互いに離れる逆方向に揺動させると、保護カバー21,21の先端側の対向距離が広がり、この間を通じてランプ2を保護カバー21,21の内部に装着することが可能となる。なお、後述するように、一対の保護カバー21,21の内側には電極部60が設けられている。
【0024】
一方の保護カバー21の上面には係止凹部21aが形成され、他方の保護カバー21の上面には係止凸部21bが形成されている。係止凸部21bが係止凹部21aを係止することにより、一対の保護カバー21,21を閉じることができる。すなわち、係止凹部21aと係止凸部21bとは、一対の保護カバー21,21が容易に開いてしまうことを防止する係止機構を構成している。また保護カバー21の内側には、他方の保護カバー21に向かって突出する突起21c,21cがそれぞれ設けられている。
【0025】
保持部23と係止部24とは、一対の保護カバー21,21のY2側に設けられている。前記保持部23の前後の面にはU字溝23a,23aが形成されており、このU字溝23a,23aの内側にランプ本体2Aの外面が保持される。
【0026】
係止部24は一対の挟持片24a,24aを有して形成されている。一対の挟持片24a,24aは、ベース部材11上に一体形成されたものであり、所定の距離を隔てた状態で互いに向き合うように配置されている。挟持片24a,24aの互いに向き合う面には、係止突部24a1,24a1が一体に形成されており、ランプ2を装着すると、ランプ本体2Aの外面が係止突部24a1,24a1によって係止される。
【0027】
受電部30は、一方の接続機構部20と他方の接続機構部20との間に設けられた略直方体形状の受電ボックス31として形成されている。図3に示すように、受電ボックス31は内部に空洞部32を有しており、空洞部32はベース部材11の下面(Z2側の面)に差込口33を向けた状態で一体的に形成されている。そして、図3に点線で示すように、空洞部32の形状に適合する電源プラグPが、ベース部材11のZ2側の裏面側から差込口33を介して空洞部に挿入される。
【0028】
図1ないし図3に示すように、受電ボックス31の天面には、一対の装着溝34,34が設けられ、この装着溝34,34には貫通孔35,35が形成されている。装着溝34,34および貫通孔35,35には、後述するように外部から連結端子36,36を装着することができるようになっている。
【0029】
図2および図3に示すように、固定領域40,40は、2つの接続機構部20,20の幅方向の外側の位置に、ベース部材11の表面11Aを部分的に薄肉状に形成することにより形成されている。
【0030】
複数のベース部材11が連結された多連コネクタ1を構成する合成樹脂の内部には、図4に示すような導電プレート50と電極部60が埋設されている。導電プレート50の一部は、ベース部材11に形成された固定領域40,40から露出している。
【0031】
導電プレート50は、導電性の金属板で形成された長尺状の部材であり、幅(X)方向を長手方向とする状態で複数のベース部材11の中に埋設されている。導電プレート50には、コンデンサ3の一端を接続するための接続部(第1の接続部)51と受電ボックス31に取り付けられる連結端子36,36の一端を接続するための接続部52とが長手(X)方向に沿って交互に設けられている。なお、導電プレート50の接続部51,52とを除く部分は細い幅寸法で形成されている。
【0032】
一方、電極部60は導電プレート50からY1方向に所定の距離だけ離れた位置に設けられている。電極部60は、導電性の金属板を板金加工することにより形成されている。電極部60は、Y2側に設けられた一対の接続部62,62と、Y1側に設けられた脚部63,63とによって支持される第1の基部61を有している。また第1の基部61のY2側の縁部には折返し部64が形成されており、この折返し部64の先端に第2の基部65が設けられている。電極部60は一対の接続部62,62がベース部材11を形成する合成樹脂内に部分的に埋設されることにより固定されている。
【0033】
第2の基部65には、保持電極66と拘束部67が形成されている。保持電極66は第2の基部65のX方向の左右の縁部からZ1方向に延びる一対の板ばね66a,66aの中間部を逆方向(Z2方向)に略U字形状に折り返すことにより形成されている。そして、折り返された板ばね66a,66aの先端には、湾曲状をしたクリップ部66b,66bが対向して形成されている。
【0034】
これにより、リード電極2aを板ばね66a,66aの適正な接触圧によって保持することができるため、リード電極2aとクリップ部66b,66bとの間を確実に導通接続をさせることができる。
【0035】
拘束部67は、第2の基部65のさらにY1側の先端側の位置に設けられている。拘束部67は第2の基部65からX方向の左右の縁部からZ1方向に折り曲げるとともに、さらにその一部をX方向に折り曲げて形成したロック片67A,67Aにより形成されている。一方のロック片67Aと他方のロック片67Aとは板厚方向(Y方向)に位置ずれさせた状態で形成されている。ロック片67A,67Aの縁部には、ロック凹部67aとテーパ部67bがそれぞれ形成されている。
【0036】
ランプ2は、先端を押し開いた状態にした保護カバー21,21の内部に装着される。このとき、リード電極2aは、板ばね66a,66aとの間の対向距離を離すように押し開きながら挿入され、リード電極2aがクリップ部66b,66b間に達することにより、リード電極2aがクリップ部66b,66bにおいて弾性的に保持される。
【0037】
同時に、リード電極2a,2aの先端部がロック片67A,67Aのテーパ部67b,67bに案内され、一方のロック凹部67aと他方のロック凹部67bとの間に両側方向から挟持される。これにより、ランプ2を移動しないように拘束することができる。
【0038】
そして、一方の保護カバー21と他方の保護カバー21と互いに接近する方向に揺動させ、係止凸部21aと係止凹部21bとを係止させることにより、一対の保護カバー21,21との間が閉ざされる。
【0039】
このとき、保護カバー21,21の内側に突出形成されている突起21c,21cの先端がロック片67A,67Aに両側方向からそれぞれ接触する。あるいは、突起21c,21cの先端がロック片67A,67Aを両側方向から押圧する。このため、一方のロック片67Aと他方のロック片67Aとの間が容易に押し開かれることがない。
【0040】
すなわち、一方のロック片67Aと他方のロック片67Aとの間を押し広げようとしても、ロック片67A,67Aの両側部が突起21c,21cに当接し、ロック凹部67a,67b間がこれ以上広がることを防止できる。
【0041】
よって、リード電極2aが、ロック凹部67a,67b間から容易に離脱することを阻止することができる。このため、リード電極2aと電極機構部との間の接続状態を良好に維持することが可能である。よって、リード電極2aを常に適正な接触圧により確実に保持し且つ電気的に接続することができる。よって、接触抵抗の変動を低減することができ、コネクタの信頼性を向上させることができる。
【0042】
上記実施の形態では、主に保持電極66がリード電極2aとの間の電気的接続を確保する役割を担当し、拘束部67が接続機構部からのリード電極2aの抜け止め防止の役割を担当する場合として説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、拘束部67が適正な電気的接続と抜け止め防止の双方を担当することができる場合には、前記保持電極66を有さない構成とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態としての放電管用コネクタを示す斜視図、
【図2】図1とは異なる方向から見た放電管用コネクタを拡大して示す斜視図、
【図3】放電管用コネクタをXZ平面に平行な任意の面で切断した断面を示す斜視図、
【図4】ベース部材内に埋設されている電極または端子を示す斜視図、
【図5】放電管用コネクタをY2方向に見た場合の正面図、
【符号の説明】
【0044】
1A 多連コネクタ
2 ランプ(放電管)
2A ランプ本体
2a リード電極
10 単体コネクタ
11 ベース部材
12 連結部
20 接続機構部
21 保護カバー
21a 係止凹部(係止機構)
21b 係止凸部(係止機構)
21c 突起
30 受電部
33 差込口
40 固定領域
50 導電プレート
60 電極部
61 第1の基部
62 接続部
63 脚部
64 折返し部
65 第2の基部
66 保持電極
66a 板ばね
66b クリップ部
67 拘束部
67a ロック凹部
P 電源プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材上に、ランプ本体の両端に形成されたリード電極と接続される接続機構部を備えた放電管用コネクタにおいて、
接続機構部には、前記リード電極を両側方向から挟み込んで電気的に接続されるとともに前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する一対の拘束部が設けられ、前記ベース部材には、前記拘束部を両側方向から覆う一対の保護カバーが設けられており、
前記保護カバーと前記一対の拘束部との一方に、他方に接するとともに前記一対の拘束部間の開きを防止して前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する規制部が設けられていることを特徴とする放電管用コネクタ。
【請求項2】
ベース部材上に、ランプ本体の両端に形成されたリード電極を接続する接続機構部を備えた放電管用コネクタにおいて、
接続機構部には、前記リード電極を両側方向から挟み込んで電気的に接続されるとともに前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する一対の拘束部が設けられ、前記ベース部材には、前記拘束部を両側方向から覆う一対の保護カバーが設けられており、
前記保護カバーと前記一対の拘束部との一方に、他方を押圧するとともに前記一対の拘束部間の開きを防止して前記リード電極が前記保持電極から外れるのを阻止する突起が設けられていることを特徴とする放電管用コネクタ。
【請求項3】
前記接続機構部には、前記リード電極を保持して電気的な接続を確保する保持電極が前記一対の拘束部と一体に形成されている請求項1または2記載の放電管用コネクタ。
【請求項4】
前記一対の保護カバーには、前記保護カバー同士が開くのを防止する係止機構が設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の放電管用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−259507(P2009−259507A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105346(P2008−105346)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】