数式表示制御装置、コンピュータプログラム、プログラム格納媒体
【課題】ブラウザ端末の種別に依らず数式を含むWebページを正確に表示させる。
【解決手段】WWWサーバー機能を備え、数式記述言語の数式と所定のプログラムの実行指示を含んだ第1文書整形データを記憶し、ブラウザ端末が要求したWebページの第1文書整形データを返送してプログラムを実行させた結果、数式記述言語を解釈できるブラウザ端末に1文書整形データに基づいてWebページを表示させ、解釈できないブラウザ端末にページ識別情報をページ変換手段に送付させ、ページ変換手段はページ識別情報に対応する第1文書整形データの数式を別言語で記載するともに別言語の数式を画像として表示させるための第2文書整形データを生成し、第2文書整形データを解釈したブラウザ端末に別言語の数式を数式変換手段に送付させ、数式変換手段が変換した数式画像をブラウザ端末に返送してWebページ中に表示させる数式表示制御装置としている。
【解決手段】WWWサーバー機能を備え、数式記述言語の数式と所定のプログラムの実行指示を含んだ第1文書整形データを記憶し、ブラウザ端末が要求したWebページの第1文書整形データを返送してプログラムを実行させた結果、数式記述言語を解釈できるブラウザ端末に1文書整形データに基づいてWebページを表示させ、解釈できないブラウザ端末にページ識別情報をページ変換手段に送付させ、ページ変換手段はページ識別情報に対応する第1文書整形データの数式を別言語で記載するともに別言語の数式を画像として表示させるための第2文書整形データを生成し、第2文書整形データを解釈したブラウザ端末に別言語の数式を数式変換手段に送付させ、数式変換手段が変換した数式画像をブラウザ端末に返送してWebページ中に表示させる数式表示制御装置としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、WWWサーバー機能を備えたコンピュータシステムにより、ブラウザ端末に数式を含むWebページを表示させるための制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のごとく、HTMLに代表される文書整形言語(マークアップ言語)は、Webページがブラウザを実行するコンピュータ(ブラウザ端末)に表示された際の文章の構造(段落など)や見栄え(フォントサイズなど)の体裁(組版状態)を記述するための言語であり、その組版状態における各種指定(段落、フォントなど)をマークアップと呼び、マークアップを記述するための文字列をタグと呼んでいる。1ページ分のWebページの組版状態を記載したHTML文書などの文書整形データには、多数のタグが記述され、ブラウザ端末は、文書整形データを解釈し、各タグに記述されている指定に従って組版処理を行い、Webページの作成者が意図した組版状態でWebページを表示する。
【0003】
ところで、ブラウザ端末に数式を含むWebページを表示させようとする場合、数式中に文字コードが存在しない特殊な記号が存在すると、通常のHTML文書では、その記号を文字として表示させることができない。
【0004】
しかし、特殊な記号を伴う数式があっても、数式を画像にしてしまえば、ブラウザ端末は、問題なくWebページ中に数式を表示することができる。また、数式を取り扱うための専用のマークアップ言語もあり、ブラウザ端末に実装されているブラウザがその言語に対応していれば、数式を表示することができる。例えば、MathMLと呼ばれる数式を記述するためのマークアップ言語(数式記述言語)では、WWWサーバー側で、XMLで組版状態と数式記述言語に特有のタグを指定してWebページを記述しておき、ブラウザ端末側に、この数式記述言語の解釈が可能なブラウザと数式で用いる各種記号を表現するためのフォントデータをインストールしておけば、ブラウザ端末は、数式を画像ではなく、文字として表示することができる。また、数式を記述するタグをWebページとは別のウインドウで表示したりすることができる。もちろん、数式やその数式を記述するためのタグを文字列として周知のコピー/ペーストにより他の文書に複写することもできる。
【0005】
また、一部のブラウザ(例えば、インターネット・エクスプローラ[Internet Explorer](登録商標))がインストールされているブラウザ端末では、MathMLのタグを解釈して表示するプラグインと呼ばれる補助プログラム(例えば、Mathplayer)を追加インストールすることで、Webページ中にMathMLで表現された数式を表示し、その数式を拡大したり、数式やその数式を記述するタグをコピー/ペーストしたりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、数式を含むWebページをブラウザ端末に表示させる方式がいくつか存在するが、技術的には、数式を画像として表示させる方式(画像表示方式)と、数式記述言語によって記述する方式(数式記述言語方式)の2方式に集約できる。数式記述言語方式は、Webページの閲覧者側については、ブラウザ端末がパーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータであれば、数式記述言語の解釈が可能なブラウザやプラグインを別途インストールすることで容易に対応することができ、Webページの作成者側では、数式を画像に変換する作業がないので、修正などにも迅速に対応することができるという利点がある。画像よりデータ量が少ない、という利点もある。以上から、数式記述言語で数式を記述したWebページが今後の主流となる可能性が高い。
【0007】
しかし、同じWebページを閲覧するユーザが使用するブラウザ端末が多種多様である限り、数式を含むWebページをどちらか一方の方式だけで公開することは難しい。特に、数式記述言語に対応させることが難しいブラウザを実装した携帯電話(以下、ブラウザフォン)をブラウザ端末として使用しているユーザが多数存在することを考慮すれば、数式を含む同じ内容の文書をインターネット上に公開する際には、その文書を要求してきたブラウザ端末の種別に応じて数式を画像で表示するWebページと数式記述言語記で記述したWebページを選別して送付することになる。
【0008】
ここで、画像表示方式と数式記述言語方式の両方式に対応させる場合について考察すると、数式を画像で表示するブラウザ端末用のWebページと数式記述言語記を解釈するブラウザ端末用のWebページの双方を個別の文書整形データにしてWWWサーバーの記憶資源に格納させると、その記憶資源のデータ格納容量を圧迫させてしまう。また、Webページの作成者にとっては、数式を修正する際に、画像と数式記述言語の双方を修正する必要があり、その修正作業に膨大な時間が掛かる。さらに、数式を画像で表示するブラウザ端末が画面面積の小さいブラウザフォンなどである場合、その数式の画像の表示サイズがWebページ中で相対的に小さくなるため、その数式が見にくくなる。とくに、数学や物理学、経済学など、文書において数式が最も重要な情報である場合で、しかも、教育機関がそれらの学問についての講義や基礎知識などをWebページを使って提供している場合では、各学生におけるWebページの閲覧環境の差がそのまま学力差につながる可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述したような数式を含むWebページをブラウザ端末に表示させる際に生じる様々な課題について考察した。そして、数式を含むWebページとして、数式記述言語で数式を記述したWebページのみをWWWサーバーに格納しておき、アクセスしてきたブラウザの種別に応じてその数式部分を画像に変換すれば、WWWサーバーの記憶資源を節約することができ、数式の修正にも迅速に対応できると考えた。
【0010】
さらに、すでにある所定のマークアップ言語処理ソフトウエア(例えばmimeTeX[マイム・テフ])では、特定のマークアップ言語(例えばTeX[テフ])で規定されている記述方式に従って記述されている数式を所定形式(例えばGIF形式)の画像に変換することができるので、その既存のマークアップ言語処理ソフトウエアを有効活用することも考えた。すなわち、今後の主流となることが予想されるMathMLなどの数式記述言語で数式を記述しておき、このMathMLなどをTexなどの画像変換に有利なマークアップ言語で記述し直し、その記述し直した数式を既存のソフトウエアを使って画像に変換することを考えた。もちろん、画面サイズが小さいブラウザ端末で数式を画像で表示させてもその数式を見やすくするための技術についても考察した。
【0011】
本発明は、以上の考察に基づきなされたもので、その目的は、ユーザがブラウザ端末の種別に依らず快適に数式を含むWebページを閲覧することができ、Webページの作成者が数式を迅速に修正できるWWWサーバー機能を備えたコンピュータシステム(数式表示制御装置)と、当該数式表示制御装置自身の処理負荷を軽減させ記憶資源を節約させるための仕組みを提供することにある。
【0012】
上記目的を達成するための本発明は、ブラウザ端末とHTTP通信を行うWWWサーバー機能を備えたコンピュータシステムから構成されて、数式を含んだWebページをブラウザに表示させるための数式表示制御装置であって、
記憶手段と、第1文書返送手段と、第1ページ変換手段と、数式変換手段とを備え、
記憶手段は、多数のWebページのそれぞれの起源として、Webページの組版状態が第1形式の文書整形言語で記述されているとともに、第1形式の数式記述言語で記述された数式Bと、ブラウザ端末Aに種別判別プログラムを実行させるための記載とを含んだ第1文書整形データを記憶し、
第1文書返送手段は、特定のWebページを要求してアクセスしてきたブラウザ端末Aに、当該Webページの第1文書整形データCを返送し、
種別判別プログラムは、当該プログラムを実行したブラウザ端末Aに対し、実装されているブラウザの種別を判別させるとともに、その判別結果として、前記種別が前記第1形式の数式記述言語を解釈可能な第1種ブラウザ端末である場合は第1文書整形データCを解釈させてWebページの組版を行わせるとともに、当該第1文書整形データC中の前記第1形式の数式記述言語で記述された数式Bを当該Webページに挿入表示させ、
前記種別判別プログラムを実行したブラウザ端末Aが前記第1形式の数式記述言語の解釈が不可能な第2種ブラウザ端末である場合は、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付させ、
前記第1ページ変換手段は、前記種別判別プログラムを解釈したブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、数式Eと、ブラウザ端末Aに対し数式Eを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データFを生成する処理と、当該第2文書整形データFをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eが送付されてくると、当該数式Eを画像に変換してブラウザ端末Aに送付する数式表示制御装置としている。
【0013】
上記数式表示制御装置は、第2ページ変換手段を備え、
前記第1種ブラウザ端末は、第1形式の数式記述言語を解釈するプログラムがブラウザ用の補助プログラムとして実装されているブラウザ端末であり、
前記種別判別プログラムは、前記判別結果として、前記種別が前記補助プログラムを必要としないで第1形式の数式言語の解釈が可能な第3種のブラウザ端末である場合、前記ブラウザ端末Aに対し、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを前記第2ページ変換手段に送付させ、
第2ページ変換手段は、前記ブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該取り出した第1文書整形データCにおいて前記第1形式の文書整形言語で記述された前記組版状態を第2形式の文書整形言語で記述した第3文書整形データGに変換する処理と、当該第3文書整形データGを前記ブラウザ端末Aに返送する処理とを実行することとしてもよい。
【0014】
そして、前記第1ページ変換手段は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第2文書整形データFに含ませるようにした数式表示制御装置とすることもできる。
【0015】
前記第2ページ変換手段を備えた数式表示制御装置は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第2ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第3文書整形データGに含ませるように構成してもよい。
【0016】
上記いずれかの数式表示制御装置において、前記第1ページ変換手段は、前記数式画像要求制御文に、数式変換手段を宛先として、数式の表示サイズを指定するための数式サイズ情報の初期値をブラウザ端末Aに送付させるための記載を含ませるとともに、ブラウザ端末Aに対するユーザ入力によって表示サイズの指定を受け付ける機能と、ブラウザ端末に対するユーザ入力によって前記表示サイズの指定情報と前記ページ識別情報Dを第1ページ変換手段に送付させるための機能とを第2文書整形データFに含ませ、
前記第1ページ変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末において入力された前記表示サイズの指定情報Hが前記ページ識別情報Dとともに送付されてくると、当該指定情報Hとページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、前記指定情報Hを数式サイズ情報として、ブラウザ端末Aに対し当該数式サイズ情報と数式Eとページ識別情報Dを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データJを生成する処理と、当該第2文書整形データJをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、ブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eと数式サイズ情報が送付されてくると、当該数式Eを数式サイズ情報に対応する表示サイズの画像に変換してブラウザ端末Aに送付する数式表示制御装置とすることもできる。
【0017】
また、本発明はコンピュータプログラムにも及んでおり、当該コンピュータプログラムは、WWWサーバー機能と前記記憶手段とを備えたコンピュータにインストールされるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータが当該コンピュータプログラムを実行することで、上記いずれかの数式表示装置として機能することを特徴としている。そして、当該コンピュータプログラムを記憶したプログラム格納媒体も本発明の範囲とした。
【発明の効果】
【0018】
本発明の数式表示制御装置によれば、数式を含むWebページをインターネット上に公開する際、ユーザはブラウザ端末の種別に依らず快適なWebページ閲覧環境を得ることができ、Webページの作成者は、数式を迅速に修正でき、かつ装置自体の処理負荷を低減させるとともに、記憶資源を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例における数式表示制御装置の機能ブロック構成とネットワーク構成を示す図である。
【図2】上記数式表示制御装置がインターネット上に公開するWebページの画面概略図である。
【図3】上記Webページの起源となる第1文書整形データの一部を示す図である。
【図4】上記第1文書整形データに基づくWebページに含まれる機能を説明するための図である。
【図5】上記数式表示制御装置とブラウザ端末との通信手順と当該通信過程における情報処理の流れを示す図である。
【図6】第1種ブラウザ端末が表示するWebページのURLを示す図である。
【図7】第2種ブラウザ端末が表示するWebページのURLを示す図である。
【図8】上記第2種ブラウザ端末が表示するWebページの起源となる第2文書整形データの一部を示す図である。
【図9】第3種ブラウザ端末が表示するWebページのURLを示す図である。
【図10】上記第3種ブラウザ端末が表示するWebページの起源となる第3文書整形データの一部を示す図である。
【図11】上記第2種ブラウザ端末が表示するWebページの画面概略図である。
【図12】上記第2種ブラウザ端末が表示するWebページ中の数式画像のサイズを変更するための数式表示制御装置と第2種ブラウザ端末との通信手順と当該通信過程における情報処理の流れを示す図である。
【図13】上記数式表示制御装置において、第1文書整形データ中のリンクの記載を書き換える処理の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
===数式表示制御装置===
本発明の実施例における数式表示制御装置の機能ブロック構成を図1に示した。本実施例において、数式表示制御装置1のハードウエアは、一般的なコンピュータであり、実装されているプログラムの実行によりWWWサーバーとしての機能11を備え、インターネットやイントラネットなどのTCP/IPに準拠したネットワーク20を介してブラウザ端末とHTTP通信する。ここでは、数式表示制御装置1がインターネット20を介してブラウザ端末30と通信する例を示した。また、ブラウザフォン31もブラウザ端末30として、移動体通信網21とゲートウエイ22とを経由してインターネット20に接続されている。
【0021】
数式表示制御装置1に付帯されているデータベース12には、Webページの起源として、Webページがブラウザ端末に表示された際の組版状態を規定するための文書整形データやWebページ中に挿入される画像などのデータやCGIやjava(登録商標)プログラムなど、ブラウザ端末から送付されてきたデータを処理するためのプログラムや、ブラウザ端末側で処理されるプログラムなどが格納されている。
【0022】
また、WWWサーバー機能11を含め、数式表示制御装置1が備える各種情報処理手段(13〜15)は、数式表示制御装置1に実装されているプログラムを実行することで実現される。そして、数式表示制御装置1は、WWWサーバー機能11により、数式を含むWebページをインターネット20上に公開する際、データベース12に格納されている情報やブラウザ端末30から送付されてくる情報を各種情報処理手段(11,13〜15)によって処理することで、Webページの閲覧者であるユーザに対し、使用しているブラウザ端末30におけるブラウザの種別に依存することなく快適にWebページを閲覧させることができる。また、Webページの作成者が数式を迅速に修正でき、当該制御装置1自身については、記憶資源を節約しつつ処理負荷を低減させることができる。
【0023】
===文書整形データ===
数式表示制御装置1の基本機能は、アクセスしてきたブラウザ端末30に実装されているブラウザの種別(以下、ブラウザ端末の種別)に応じて、数式記述言語で記述した数式を含むWebページ、あるいは画像にした数式(以下、数式画像)を含むWebページのいずれかをブラウザ端末30に送付することにある。しかし、本実施例の数式表示制御装置1は、同じ内容の一つのWebページについて、ブラウザ端末30の種別に応じて複数種類の文書整形データを用意せず、原型となる文書整形データ(第1文書整形データ)のみをデータベース12に格納しておき、アクセスしてきたブラウザ端末30の種別に応じてその第1文書整形データを他の文書整形データに変換することとしている。それによって、データベース12の記憶容量を節約している。
【0024】
図2に本実施例の数式表示制御装置1がWWWサーバー機能11によってインターネット20上に公開しているWebページの画面概略を示した。Webページ50aには、積分に関する内容が記載され、変数や関数や関係式など(以下、数式)51aが記載されている。図3に、データベース12に格納されているこのWebページの起源となる第1文書整形データの一部を示した。所定のマークアップ言語(本実施例では、HTML)によって記述された文書中に所定の数式記述言語(本実施例ではMathML)によって記述された数式61aが含まれている。この文書整形データ60aは、特定のブラウザ(本実施例ではInternet Explorer)と特定のプラグイン(本実施例ではMathPlayer)が実装されたブラウザ端末(第1種ブラウザ端末)を対象として作成されたものである。この第1種ブラウザ端末であれば、この第1文書整形データ60aを解釈実行して図2に示したWebページ50aを表示することができる。
【0025】
なお、本実施例における文書整形データ60aでは、マークアップ言語としてHTMLを使用するとともに、objectタグ63を用いてMathMLの解釈にMathplayerを使用する旨、すなわちMathPlayerの実行ファイルを指定する旨が記述されている。このように、数式を記述する部分以外をHTML形式で記述することは、HTMLが文法エラーに対する許容範囲がXMLと比較して広く、Webページの作成者にとっては、第1文書データを厳密に設計しなくても済み、修正や更新作業が容易となる、という利点がある。例えば、改行タグもxmlでは<br/>を使わなければならないが、htmlでは<br>を使えばよい。同様に、imgタグもxmlでは厳密に、<mg ・・・・・・ />と記述しなければならいが、HTMLでは<img ・・・・・・>と記述すればよい。
【0026】
そして、上述したプラグインが実装されているブラウザ端末であれば、この第1文書整形データ60aを解釈実行して図2に示したWebページ50aを表示することができる。また、図4に示したように、数式の部分を拡大表示させたり(図中符号52参照)、数式部分のタグをコピーして(図中符号53参照)、他の文書に複写したりすることができる。
【0027】
本実施例において、数式表示制御装置1は、WebページのURLを指定してアクセスしてきたブラウザ端末30に対し、まず、第1文書整形データ60aを送付することとしている。そのため、第1文書整形データ60aにおける数式記述言語を解釈できないブラウザ端末30は、Webページを正しく表示することができない。そこで、第1文書整形データ60aには、どのような種別のブラウザ端末30であっても、最終的には正しく数式を含んだWebページを表示させるための制御文(図3符号62)が含まれている。この制御文62自体は、ブラウザ端末30の種別に依らず、どのようなブラウザ端末30でも解釈可能であり、この制御文62を解釈したブラウザ端末30は、数式表示制御装置1と各種情報をやりとりながら、最終的に数式を含んだWebページを正しく表示するための文書整形データを受け取って、そのWebページを表示する。
【0028】
===ブラウザの種別===
本実施例では、ブラウザ端末30の種別として、上記特定のブラウザに特定のプラグインを実装し、第1文書整形データから直接Webページを表示する第1種ブラウザ端末と、数式記述言語の解釈が不可能で、数式を画像として表示する第2種ブラウザ端末(例えば、オペラ[Opera]、ブラウザフォンなど)に加え、上記数式記述言語を単独で解釈可能なブラウザ(本実施例では、XMLとMathMLをともに解釈可能なブラウザ:例えば、ファイヤーフォックス[Firefox](登録商標))と数式に使用される各種記号に対応するフォントデータが実装されている第3種ブラウザ端末を想定している。なお、インターネット・エクスプローラを実装していても、MathPlayerがインストールされていないブラウザ端末は、第2種ブラウザ端末となる。
【0029】
また、以下では、第2種ブラウザ端末が数式を含むWebページを表示するために解釈実行する文書整形データを第2文書整形データとし、第3種ブラウザ端末がWebページを表示する際に解釈する文書整形データを第3文書整形データと称することにする。
【0030】
===数式を含むWebページの表示制御===
図5に、数式表示制御装置1とブラウザ端末30との通信手順や、数式表示制御装置1、およびブラウザ端末30における情報処理の流れを示した。まず、数式表示制御装置1は、ブラウザ端末30が数式を含むWebページのURL(初期URL)を指定してHTTPリクエストを送付してくると(s1)、先の第1文書整形データを返送する(s2)。図6に初期URL70aの文字列を例示した。第1文書整形データには、ブラウザ端末30に対し、所定のプログラム(種別判別プログラム)を取り寄せて解釈実行させるための先の制御文(図3符号62)が記載されている。ブラウザ端末30は、返送されてきた第1文書整形データ60aを解釈し、この制御文62に従って種別判別プログラムを数式表示制御装置1に要求し、それを返送してもらう(s3〜s5)。そして、そのプログラムを実行する(s6)。なお、本実施例では、種別判別プログラムは、JavaScript(Javaは登録商標)によって記述されており、第1〜第3種のブラウザ端末はいずれも、JavaScriptの解釈が可能で、かつ、JavaScriptを実行を許可するように設定されているものとする。
【0031】
種別判別プログラムを解釈実行したブラウザ端末30は、まず、自身の種別(ブラウザの種別、プラグインの有無など)に応じ、第1文書整形データ60aの解釈実行を継続するか、あるいは次のHTTPリクエストの内容を決定する。このリクエストの送付先は、数式表示制御装置1に実装されているCGIであり、第1ページ変換手段13、あるいは第2ページ変換手段14に対応する。そして、HTTPリクエストを送出する場合には、その送付先のCGIに、例えば、図6におけるサーバー名やファイル名などからなる初期URL70aに含まれているWebページの識別情報(ページ識別情報)71をパラメータとして送付する。なお、種別判別プログラムに相当するスクリプトが第1文書整形データ60a中に記載されていてもよい。
【0032】
本実施例では、ブラウザ端末30が第1種ブラウザ端末である場合は、そのまま第1文書整形データを読み込む。そして、第1文書整形データ中に記述されている数式記述言語をプラグインに処理させて図2に示した数式51aを含むWebページ50aを表示させる(s7→s8)。
【0033】
第2種ブラウザ端末である場合は、第1文書整形データを第2文書整形データに変換するためのCGIプログラム(第1ページ変換手段)13を宛先として、当該手段13に、Webページの識別データ71をパラメータとして送付する(s7→s9→s10)。
【0034】
図7に第1ページ変換手段13に相当する所在72とパラメータ(ページ識別情報71)を含んだURL70bの文字列を示した。そして、第1ページ変換手段13は、パラメータとして受け取ったページ識別情報71に基づいて特定される第1文書整形データ60aをデータベース12より取り出し、これを第2文書整形データに変換してブラウザ端末30に返送する(s11,s12)。
【0035】
具体的には、第1ページ変換手段13は、様々な数式語号や数式の表記の仕方について、MathMLとTeXとの対応表などを備え、その対応表に基づいて第1文書整形データ60aにおいてMathMLで記述された数式61をTeX形式で記述し直す。また、第1文書データにおいて組版状態を規定するタグについては、そのまま採用する。図8に第2文書整形データ60bの一部を示した。MathMLで記述されていた数式61aがTeXで規定されている形式で記述されている。また、その数式部分61bは、周知のURLエンコード形式に変換されている。そして、ブラウザ端末30に対し、そのTeXで記述された数式61bと数式の表示サイズを指定するための表示サイズ情報とを所定のCGI(数式変換手段)65に送付させるとともに、その数式変換手段から返送されてきた画像を表示する旨の指示66が記載されている。なお、表示サイズ情報は、第1ページ変換手段13により初期値に設定されている。もちろん、数式変換手段が一律に所定サイズの数式画像を生成するのであれば、この初期値の設定は必要ない。
【0036】
第1ページ変換手段13から返送されてきた第2文書整形データ60bを解釈したブラウザ端末30は、TeXで記述された数式61bを含むタグを解釈し、数式変換手段15にそのTeX形式の数式61bと数式サイズ情報の初期値64とを送付する(s13,s14)。本実施例では、数式変換手段15としてMimeTeXが実装されており、数式変換手段15は、ブラウザ端末30から送付されてきた数式61bを指定されたサイズ(初期値)の大きさの画像に変換して返送する(s15,s16)。ブラウザ端末30は、この画像をWebページ中に挿入し、数式を表示する(s17)。
【0037】
第3種ブラウザ端末である場合は、第1文書整形データを第3文書整形データに変換するためのCGIプログラム(第2ページ変換手段)14を宛先として、当該手段14にページ識別情報71をパラメータとして送付する(s9→s18)。すなわち、第1ページ変換手段14に相当する所在とパラメータを含んだURLを含んだHTTPリクエストをインターネット上に送出する。図9に当該URL70cの文字列を示した。第2ページ変換手段14に相当するCGIの所在74とページ識別情報71とが含まれている。そして、第2ページ変換手段14は、パラメータとして受け取ったページ識別情報71に基づいて特定される第1文書整形データをデータベース12より取り出し、これを第3文書整形データに変換してブラウザ端末30に返送する(s19,s20)。図10に第3文書整形データ60cの一部を示した。第3種ブラウザ端末は、プラグインが不要であるが、第3文書整形データ60cでは、HTMLでは規定されていないMathMLで記述されたタグを指定する必要から、XMLをマークアップ言語として宣言する記載67とそのタグを指定する旨の記載68を含んでいる。MathMLによる数式の記述部分61は第1文書整形データ60aと同じである。そして、ブラウザ端末30は、返送されてきた第3文書整形データ60cを解釈実行して数式を含むWebページを表示する(s21)。
【0038】
===数式画像サイズ変換==
上述したように、第1ページ変換手段13は、数式画像を初期値のサイズで表示させるためのタグを生成し、そのタグを第2文書整形データ中に含め、数式変換手段15はその数式画像を初期値のサイズとなるように生成している。しかし、ブラウザ端末の画面サイズによっては、数式画像のサイズが初期値では小さくて見づらい場合も想定される。そして、数式画像は、数式記述言語による数式のよう拡大して表示させることができない。そこで、本実施例の数式表示制御装置1は、数式画像のサイズをユーザが指定するサイズに変換し直して第2文書整形データを再作成し、その再作成した第2文書整形データを第2種ブラウザ端末に返送する機能も備えている。
【0039】
図11に第2種ブラウザ端末が表示するWebページ50bの画面概略を示した。上述したように、当該画面の起源となる第2文書整形データは、第1ページ変換手段13が第1文書整形データを処理することで生成される。このWebページ50bには画像データに変換された数式(数式画像)51bとその数式画像51bのサイズを指定するためのリストダウンボックス54と、そのサイズを数式表示制御装置1に送付して、指定のサイズの数式画像51bを表示するための第2文書整形データを返送してもらうためのボタン55とが配設されており、このボタン55には、第1文書変換手段13を宛先として、ブラウザ端末30によってリストダウンボックス54から選択されたサイズと現在表示中のWebページのページ識別情報を当該ブラウザ端末30に送付させるためのタグが対応付けされている。
【0040】
図12に、第2種ブラウザ端末が一度表示したWebページの数式画像の部分を指定したサイズで再表示するまでの数式表示制御装置1との通信手順や情報処理の流れを示した。なお、この図12には、この数式のサイズを変更するための通信手順や情報処理に関連して、図5に記載した通信手順や情報処理ステップの一部(s15〜s17)も含まれている。
【0041】
まず、ブラウザ端末30は、第2文書データを解釈して数式の画像サイズが初期値になっているWebページを表示し、この状態で、数式のサイズがユーザ入力により選択され、上記ボタン55が指示されると、図7に示したURLにおける数式の表示サイズの記載部分73がリストダウンボックス54から選択したサイズと置換されたURLを含むHTTPリクエストを数式表示制御装置1に送付する(s31→s32→s33)。すなわち、ブラウザ端末30はユーザが指定したサイズの数式サイズ情報とページ識別情報とを第1ページ変換手段13に送付する。
【0042】
第1ページ変換手段13は、送付されてきたページ識別情報に対応する第1文書整形データを第2文書整形データに変換する(s34)。このとき、TeX形式で記述する数式を含むタグには、このタグがブラウザ端末30により解釈された際に、この数式と指定の数式サイズ情報とを数式変換手段15に送付させる旨を記載する。そして、この第2文書整形データをブラウザ端末30に返送する(s35)。ブラウザ端末30は、この第2文書整形データを解釈し(s36)、数式とユーザが指定したサイズに相当する数式サイズ情報とを数式変換手段15に送付して指定のサイズの数式画像を生成して返送してもらい、その数式画像を含むWebページを表示する(s15〜s17)。
【0043】
===リンク先変換===
ここで、例えば、ユーザがブラウザ端末30によって、数式を含むあるWebページ(第1ページとする)を閲覧し、そのWebページ中のリンクを指示して同じWebサイトの他の数式を含むWebページ(第2ページ)を表示させたとする。第1ページを再表示させる場合で、このリンク先の第2ページにリンク元の第1ページへのリンクが設定されていない場合には、ユーザはブラウザの「戻る」ボタンを指示して、ブラウザ端末30の外部記憶にキャッシュとして残っている第1ページを再表示させる。そして、その再表示させた第1ページのリンクを指示して第2ページとは異なる数式を含むWebページ(第3ページ)を表示させようとする。
【0044】
このような場合では、普通、Webページ中で、同じWebサイトにあるWebページへのリンクへの設定箇所には、WWWサーバーのデータベースに格納されている文書整形データを取り寄せるためのURLが記載されている。本実施例の場合では、第1文書整形データを取り寄せるためのURLが記載されている。確かに、ブラウザ端末30が第1種ブラウザ端末である場合には、これで問題がない。しかし、第2種、第3種のブラウザ端末である場合には、リンクが指示される度に数式表示制御装置1は、第1文書整形データをブラウザ端末30に送付し、ブラウザ端末30は、先の制御文(図3符号62)を解釈して自身の種別に応じて第1文書整形データを第2あるいは第3文書整形データに変換してもらい、その文書整形データを返送してもらう。そのため、第1文書整形データの送付からブラウザ端末30の種別に応じた文書整形データの送付までの処理ステップ数が増加し、数式表示制御装置1の処理負荷が増大する。また、ブラウザ端末30側でもリンクを指示する度に第1文書整形データを解釈して先の制御文62の解釈や種別判別プログラムの処理が必要となる。したがって、Webページを表示するまでに時間が掛かる。
【0045】
ブラウザフォン31では、移動体通信事業者とユーザがパケット従量制の料金体系で契約している場合、第1文書整形データを取り寄せるための通信費が余分に掛かることにもなる。
【0046】
本実施例では、第1種ブラウザ端末と第3種ブラウザ端末は、ともにMathMLを解釈可能であり、これらブラウザ端末がWebページの表示起源として解釈する第1文書整形データと第3文書整形データとには大きな差が無く、第1文書整形データから第3文書整形データに変換する処理に掛かる負担も小さい。また、第1種ブラウザ、端末第2種ブラウザ端末は、処理能力が高いパーソナルコンピュータなどである可能性が高いことから、第2種ブラウザ端末が上記第1ページを起点としてWebサイト内の他のWebページヘのリンクを指示する場合に限り、第1文書整形データを再度送付することなく、第2文書整形データを直接送付できるようにしている。そのために、第1文書整形データを第2文書整形データに変換する際、第1文書整形データ中のリンクの記載を第1ページ変換手段13を宛先としたリンクの記載に書き換えている。
【0047】
図13に当該リンクの記載を書き換える処理の概略を示した。この図では、第1種ブラウザ端末が表示する第1ページ(図2符号50a)におけるあるWebページ(第2ページ)へのリンク設定箇所(図2符号56a)と、第2種ブラウザ端末が表示する第1ページ(図11符号50b)における第2ページへのリンク設定箇所(図11符号56b)について、第1文書整形データにおける第2ページへのリンクを示すタグ記載部分80aと第2文書整形データにおける第2ページへのリンクを示すタグ記載部分80bとを比較している。
【0048】
第1文書整形データにおけるリンクのタグ記載部分80aには、第1文書整形データ81を要求する旨が記載されている。第2文書整形データにおけるリンクのタグ記載部分80bには、第1文書整形データのページ識別情報82と数式サイズ情報83と第1変換手段の所在84とが記載され、ページ識別情報82と数式サイズ情報83をパラメータとして第1変換手段13に送付させる旨が記載されている。
【0049】
なお、ユーザによって数式画像のサイズが指定された後にブラウザ端末に送付された第2文書整形データでは、上記リンクの記載箇所80bの数式サイズ情報83が指定された数式サイズ情報となる。それによって、ユーザの指定により数式画像のサイズが変更された後は、再度数式のサイズを指定しなくても、ユーザが先に指定したサイズの数式画像を表示するための第2文書整形データがブラウザ端末30に送付されてくることになる。
【0050】
===ブラウザフォンについて===
ブラウザフォンは、画面サイズが小さく、機種によってディスプレイの画素数も異なる。そのため、第2種ブラウザ端末として、パーソナルコンピュータとブラウザフォンを一律に扱うと、ブラウザフォンでは、正しい組版状態でWebページが表示されない可能性がある。そこで、種別判別プログラムは、ブラウザ端末30によって処理されてその種別がブラウザフォン31であった場合には、その機種情報を第1ページ変換手段13に送付させるようにしてもよい。もちろん、機種情報に代えて画面サイズや画素数を送付させるようにしてもよい。そして、第1ページ変換手段13は、画面サイズや画素数に応じて第2文書整形データの組版状態を決定するようにしてもよい。
【0051】
種別判別プログラムがブラウザフォン31に機種情報を送付させる場合には、記憶手段12にブラウザフォン31の機種と画面サイズや画素数を対応付けしたテーブルを格納しておき、第1ページ変換手段13は、そのテーブルを参照して第2文書整形データに記述する組版状態を決定すればよい。あるいは、ブラウザフォンは、普通、HTTPリクエストに自身の機種番号を含めているので、第1ページ変換手段13が、送付されてきた機種番号と上記テーブルと同様の対応表とに基づいて組版状態を決定することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 数式表示制御装置
11 WWWサーバー
12 データベース
13 第1ページ変換手段
14 第2ページ変換手段
15 数式変換手段
20 インターネット
30 ブラウザ端末
31 ブラウザフォン
50a、50b Webページ
51a、51b Webページに表示された数式
60a 第1文書整形データ
60b 第2文書整形データ
60c 第3文書整形データ
【技術分野】
【0001】
この発明は、WWWサーバー機能を備えたコンピュータシステムにより、ブラウザ端末に数式を含むWebページを表示させるための制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のごとく、HTMLに代表される文書整形言語(マークアップ言語)は、Webページがブラウザを実行するコンピュータ(ブラウザ端末)に表示された際の文章の構造(段落など)や見栄え(フォントサイズなど)の体裁(組版状態)を記述するための言語であり、その組版状態における各種指定(段落、フォントなど)をマークアップと呼び、マークアップを記述するための文字列をタグと呼んでいる。1ページ分のWebページの組版状態を記載したHTML文書などの文書整形データには、多数のタグが記述され、ブラウザ端末は、文書整形データを解釈し、各タグに記述されている指定に従って組版処理を行い、Webページの作成者が意図した組版状態でWebページを表示する。
【0003】
ところで、ブラウザ端末に数式を含むWebページを表示させようとする場合、数式中に文字コードが存在しない特殊な記号が存在すると、通常のHTML文書では、その記号を文字として表示させることができない。
【0004】
しかし、特殊な記号を伴う数式があっても、数式を画像にしてしまえば、ブラウザ端末は、問題なくWebページ中に数式を表示することができる。また、数式を取り扱うための専用のマークアップ言語もあり、ブラウザ端末に実装されているブラウザがその言語に対応していれば、数式を表示することができる。例えば、MathMLと呼ばれる数式を記述するためのマークアップ言語(数式記述言語)では、WWWサーバー側で、XMLで組版状態と数式記述言語に特有のタグを指定してWebページを記述しておき、ブラウザ端末側に、この数式記述言語の解釈が可能なブラウザと数式で用いる各種記号を表現するためのフォントデータをインストールしておけば、ブラウザ端末は、数式を画像ではなく、文字として表示することができる。また、数式を記述するタグをWebページとは別のウインドウで表示したりすることができる。もちろん、数式やその数式を記述するためのタグを文字列として周知のコピー/ペーストにより他の文書に複写することもできる。
【0005】
また、一部のブラウザ(例えば、インターネット・エクスプローラ[Internet Explorer](登録商標))がインストールされているブラウザ端末では、MathMLのタグを解釈して表示するプラグインと呼ばれる補助プログラム(例えば、Mathplayer)を追加インストールすることで、Webページ中にMathMLで表現された数式を表示し、その数式を拡大したり、数式やその数式を記述するタグをコピー/ペーストしたりすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、数式を含むWebページをブラウザ端末に表示させる方式がいくつか存在するが、技術的には、数式を画像として表示させる方式(画像表示方式)と、数式記述言語によって記述する方式(数式記述言語方式)の2方式に集約できる。数式記述言語方式は、Webページの閲覧者側については、ブラウザ端末がパーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータであれば、数式記述言語の解釈が可能なブラウザやプラグインを別途インストールすることで容易に対応することができ、Webページの作成者側では、数式を画像に変換する作業がないので、修正などにも迅速に対応することができるという利点がある。画像よりデータ量が少ない、という利点もある。以上から、数式記述言語で数式を記述したWebページが今後の主流となる可能性が高い。
【0007】
しかし、同じWebページを閲覧するユーザが使用するブラウザ端末が多種多様である限り、数式を含むWebページをどちらか一方の方式だけで公開することは難しい。特に、数式記述言語に対応させることが難しいブラウザを実装した携帯電話(以下、ブラウザフォン)をブラウザ端末として使用しているユーザが多数存在することを考慮すれば、数式を含む同じ内容の文書をインターネット上に公開する際には、その文書を要求してきたブラウザ端末の種別に応じて数式を画像で表示するWebページと数式記述言語記で記述したWebページを選別して送付することになる。
【0008】
ここで、画像表示方式と数式記述言語方式の両方式に対応させる場合について考察すると、数式を画像で表示するブラウザ端末用のWebページと数式記述言語記を解釈するブラウザ端末用のWebページの双方を個別の文書整形データにしてWWWサーバーの記憶資源に格納させると、その記憶資源のデータ格納容量を圧迫させてしまう。また、Webページの作成者にとっては、数式を修正する際に、画像と数式記述言語の双方を修正する必要があり、その修正作業に膨大な時間が掛かる。さらに、数式を画像で表示するブラウザ端末が画面面積の小さいブラウザフォンなどである場合、その数式の画像の表示サイズがWebページ中で相対的に小さくなるため、その数式が見にくくなる。とくに、数学や物理学、経済学など、文書において数式が最も重要な情報である場合で、しかも、教育機関がそれらの学問についての講義や基礎知識などをWebページを使って提供している場合では、各学生におけるWebページの閲覧環境の差がそのまま学力差につながる可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述したような数式を含むWebページをブラウザ端末に表示させる際に生じる様々な課題について考察した。そして、数式を含むWebページとして、数式記述言語で数式を記述したWebページのみをWWWサーバーに格納しておき、アクセスしてきたブラウザの種別に応じてその数式部分を画像に変換すれば、WWWサーバーの記憶資源を節約することができ、数式の修正にも迅速に対応できると考えた。
【0010】
さらに、すでにある所定のマークアップ言語処理ソフトウエア(例えばmimeTeX[マイム・テフ])では、特定のマークアップ言語(例えばTeX[テフ])で規定されている記述方式に従って記述されている数式を所定形式(例えばGIF形式)の画像に変換することができるので、その既存のマークアップ言語処理ソフトウエアを有効活用することも考えた。すなわち、今後の主流となることが予想されるMathMLなどの数式記述言語で数式を記述しておき、このMathMLなどをTexなどの画像変換に有利なマークアップ言語で記述し直し、その記述し直した数式を既存のソフトウエアを使って画像に変換することを考えた。もちろん、画面サイズが小さいブラウザ端末で数式を画像で表示させてもその数式を見やすくするための技術についても考察した。
【0011】
本発明は、以上の考察に基づきなされたもので、その目的は、ユーザがブラウザ端末の種別に依らず快適に数式を含むWebページを閲覧することができ、Webページの作成者が数式を迅速に修正できるWWWサーバー機能を備えたコンピュータシステム(数式表示制御装置)と、当該数式表示制御装置自身の処理負荷を軽減させ記憶資源を節約させるための仕組みを提供することにある。
【0012】
上記目的を達成するための本発明は、ブラウザ端末とHTTP通信を行うWWWサーバー機能を備えたコンピュータシステムから構成されて、数式を含んだWebページをブラウザに表示させるための数式表示制御装置であって、
記憶手段と、第1文書返送手段と、第1ページ変換手段と、数式変換手段とを備え、
記憶手段は、多数のWebページのそれぞれの起源として、Webページの組版状態が第1形式の文書整形言語で記述されているとともに、第1形式の数式記述言語で記述された数式Bと、ブラウザ端末Aに種別判別プログラムを実行させるための記載とを含んだ第1文書整形データを記憶し、
第1文書返送手段は、特定のWebページを要求してアクセスしてきたブラウザ端末Aに、当該Webページの第1文書整形データCを返送し、
種別判別プログラムは、当該プログラムを実行したブラウザ端末Aに対し、実装されているブラウザの種別を判別させるとともに、その判別結果として、前記種別が前記第1形式の数式記述言語を解釈可能な第1種ブラウザ端末である場合は第1文書整形データCを解釈させてWebページの組版を行わせるとともに、当該第1文書整形データC中の前記第1形式の数式記述言語で記述された数式Bを当該Webページに挿入表示させ、
前記種別判別プログラムを実行したブラウザ端末Aが前記第1形式の数式記述言語の解釈が不可能な第2種ブラウザ端末である場合は、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付させ、
前記第1ページ変換手段は、前記種別判別プログラムを解釈したブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、数式Eと、ブラウザ端末Aに対し数式Eを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データFを生成する処理と、当該第2文書整形データFをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eが送付されてくると、当該数式Eを画像に変換してブラウザ端末Aに送付する数式表示制御装置としている。
【0013】
上記数式表示制御装置は、第2ページ変換手段を備え、
前記第1種ブラウザ端末は、第1形式の数式記述言語を解釈するプログラムがブラウザ用の補助プログラムとして実装されているブラウザ端末であり、
前記種別判別プログラムは、前記判別結果として、前記種別が前記補助プログラムを必要としないで第1形式の数式言語の解釈が可能な第3種のブラウザ端末である場合、前記ブラウザ端末Aに対し、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを前記第2ページ変換手段に送付させ、
第2ページ変換手段は、前記ブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該取り出した第1文書整形データCにおいて前記第1形式の文書整形言語で記述された前記組版状態を第2形式の文書整形言語で記述した第3文書整形データGに変換する処理と、当該第3文書整形データGを前記ブラウザ端末Aに返送する処理とを実行することとしてもよい。
【0014】
そして、前記第1ページ変換手段は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第2文書整形データFに含ませるようにした数式表示制御装置とすることもできる。
【0015】
前記第2ページ変換手段を備えた数式表示制御装置は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第2ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第3文書整形データGに含ませるように構成してもよい。
【0016】
上記いずれかの数式表示制御装置において、前記第1ページ変換手段は、前記数式画像要求制御文に、数式変換手段を宛先として、数式の表示サイズを指定するための数式サイズ情報の初期値をブラウザ端末Aに送付させるための記載を含ませるとともに、ブラウザ端末Aに対するユーザ入力によって表示サイズの指定を受け付ける機能と、ブラウザ端末に対するユーザ入力によって前記表示サイズの指定情報と前記ページ識別情報Dを第1ページ変換手段に送付させるための機能とを第2文書整形データFに含ませ、
前記第1ページ変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末において入力された前記表示サイズの指定情報Hが前記ページ識別情報Dとともに送付されてくると、当該指定情報Hとページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、前記指定情報Hを数式サイズ情報として、ブラウザ端末Aに対し当該数式サイズ情報と数式Eとページ識別情報Dを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データJを生成する処理と、当該第2文書整形データJをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、ブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eと数式サイズ情報が送付されてくると、当該数式Eを数式サイズ情報に対応する表示サイズの画像に変換してブラウザ端末Aに送付する数式表示制御装置とすることもできる。
【0017】
また、本発明はコンピュータプログラムにも及んでおり、当該コンピュータプログラムは、WWWサーバー機能と前記記憶手段とを備えたコンピュータにインストールされるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータが当該コンピュータプログラムを実行することで、上記いずれかの数式表示装置として機能することを特徴としている。そして、当該コンピュータプログラムを記憶したプログラム格納媒体も本発明の範囲とした。
【発明の効果】
【0018】
本発明の数式表示制御装置によれば、数式を含むWebページをインターネット上に公開する際、ユーザはブラウザ端末の種別に依らず快適なWebページ閲覧環境を得ることができ、Webページの作成者は、数式を迅速に修正でき、かつ装置自体の処理負荷を低減させるとともに、記憶資源を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例における数式表示制御装置の機能ブロック構成とネットワーク構成を示す図である。
【図2】上記数式表示制御装置がインターネット上に公開するWebページの画面概略図である。
【図3】上記Webページの起源となる第1文書整形データの一部を示す図である。
【図4】上記第1文書整形データに基づくWebページに含まれる機能を説明するための図である。
【図5】上記数式表示制御装置とブラウザ端末との通信手順と当該通信過程における情報処理の流れを示す図である。
【図6】第1種ブラウザ端末が表示するWebページのURLを示す図である。
【図7】第2種ブラウザ端末が表示するWebページのURLを示す図である。
【図8】上記第2種ブラウザ端末が表示するWebページの起源となる第2文書整形データの一部を示す図である。
【図9】第3種ブラウザ端末が表示するWebページのURLを示す図である。
【図10】上記第3種ブラウザ端末が表示するWebページの起源となる第3文書整形データの一部を示す図である。
【図11】上記第2種ブラウザ端末が表示するWebページの画面概略図である。
【図12】上記第2種ブラウザ端末が表示するWebページ中の数式画像のサイズを変更するための数式表示制御装置と第2種ブラウザ端末との通信手順と当該通信過程における情報処理の流れを示す図である。
【図13】上記数式表示制御装置において、第1文書整形データ中のリンクの記載を書き換える処理の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
===数式表示制御装置===
本発明の実施例における数式表示制御装置の機能ブロック構成を図1に示した。本実施例において、数式表示制御装置1のハードウエアは、一般的なコンピュータであり、実装されているプログラムの実行によりWWWサーバーとしての機能11を備え、インターネットやイントラネットなどのTCP/IPに準拠したネットワーク20を介してブラウザ端末とHTTP通信する。ここでは、数式表示制御装置1がインターネット20を介してブラウザ端末30と通信する例を示した。また、ブラウザフォン31もブラウザ端末30として、移動体通信網21とゲートウエイ22とを経由してインターネット20に接続されている。
【0021】
数式表示制御装置1に付帯されているデータベース12には、Webページの起源として、Webページがブラウザ端末に表示された際の組版状態を規定するための文書整形データやWebページ中に挿入される画像などのデータやCGIやjava(登録商標)プログラムなど、ブラウザ端末から送付されてきたデータを処理するためのプログラムや、ブラウザ端末側で処理されるプログラムなどが格納されている。
【0022】
また、WWWサーバー機能11を含め、数式表示制御装置1が備える各種情報処理手段(13〜15)は、数式表示制御装置1に実装されているプログラムを実行することで実現される。そして、数式表示制御装置1は、WWWサーバー機能11により、数式を含むWebページをインターネット20上に公開する際、データベース12に格納されている情報やブラウザ端末30から送付されてくる情報を各種情報処理手段(11,13〜15)によって処理することで、Webページの閲覧者であるユーザに対し、使用しているブラウザ端末30におけるブラウザの種別に依存することなく快適にWebページを閲覧させることができる。また、Webページの作成者が数式を迅速に修正でき、当該制御装置1自身については、記憶資源を節約しつつ処理負荷を低減させることができる。
【0023】
===文書整形データ===
数式表示制御装置1の基本機能は、アクセスしてきたブラウザ端末30に実装されているブラウザの種別(以下、ブラウザ端末の種別)に応じて、数式記述言語で記述した数式を含むWebページ、あるいは画像にした数式(以下、数式画像)を含むWebページのいずれかをブラウザ端末30に送付することにある。しかし、本実施例の数式表示制御装置1は、同じ内容の一つのWebページについて、ブラウザ端末30の種別に応じて複数種類の文書整形データを用意せず、原型となる文書整形データ(第1文書整形データ)のみをデータベース12に格納しておき、アクセスしてきたブラウザ端末30の種別に応じてその第1文書整形データを他の文書整形データに変換することとしている。それによって、データベース12の記憶容量を節約している。
【0024】
図2に本実施例の数式表示制御装置1がWWWサーバー機能11によってインターネット20上に公開しているWebページの画面概略を示した。Webページ50aには、積分に関する内容が記載され、変数や関数や関係式など(以下、数式)51aが記載されている。図3に、データベース12に格納されているこのWebページの起源となる第1文書整形データの一部を示した。所定のマークアップ言語(本実施例では、HTML)によって記述された文書中に所定の数式記述言語(本実施例ではMathML)によって記述された数式61aが含まれている。この文書整形データ60aは、特定のブラウザ(本実施例ではInternet Explorer)と特定のプラグイン(本実施例ではMathPlayer)が実装されたブラウザ端末(第1種ブラウザ端末)を対象として作成されたものである。この第1種ブラウザ端末であれば、この第1文書整形データ60aを解釈実行して図2に示したWebページ50aを表示することができる。
【0025】
なお、本実施例における文書整形データ60aでは、マークアップ言語としてHTMLを使用するとともに、objectタグ63を用いてMathMLの解釈にMathplayerを使用する旨、すなわちMathPlayerの実行ファイルを指定する旨が記述されている。このように、数式を記述する部分以外をHTML形式で記述することは、HTMLが文法エラーに対する許容範囲がXMLと比較して広く、Webページの作成者にとっては、第1文書データを厳密に設計しなくても済み、修正や更新作業が容易となる、という利点がある。例えば、改行タグもxmlでは<br/>を使わなければならないが、htmlでは<br>を使えばよい。同様に、imgタグもxmlでは厳密に、<mg ・・・・・・ />と記述しなければならいが、HTMLでは<img ・・・・・・>と記述すればよい。
【0026】
そして、上述したプラグインが実装されているブラウザ端末であれば、この第1文書整形データ60aを解釈実行して図2に示したWebページ50aを表示することができる。また、図4に示したように、数式の部分を拡大表示させたり(図中符号52参照)、数式部分のタグをコピーして(図中符号53参照)、他の文書に複写したりすることができる。
【0027】
本実施例において、数式表示制御装置1は、WebページのURLを指定してアクセスしてきたブラウザ端末30に対し、まず、第1文書整形データ60aを送付することとしている。そのため、第1文書整形データ60aにおける数式記述言語を解釈できないブラウザ端末30は、Webページを正しく表示することができない。そこで、第1文書整形データ60aには、どのような種別のブラウザ端末30であっても、最終的には正しく数式を含んだWebページを表示させるための制御文(図3符号62)が含まれている。この制御文62自体は、ブラウザ端末30の種別に依らず、どのようなブラウザ端末30でも解釈可能であり、この制御文62を解釈したブラウザ端末30は、数式表示制御装置1と各種情報をやりとりながら、最終的に数式を含んだWebページを正しく表示するための文書整形データを受け取って、そのWebページを表示する。
【0028】
===ブラウザの種別===
本実施例では、ブラウザ端末30の種別として、上記特定のブラウザに特定のプラグインを実装し、第1文書整形データから直接Webページを表示する第1種ブラウザ端末と、数式記述言語の解釈が不可能で、数式を画像として表示する第2種ブラウザ端末(例えば、オペラ[Opera]、ブラウザフォンなど)に加え、上記数式記述言語を単独で解釈可能なブラウザ(本実施例では、XMLとMathMLをともに解釈可能なブラウザ:例えば、ファイヤーフォックス[Firefox](登録商標))と数式に使用される各種記号に対応するフォントデータが実装されている第3種ブラウザ端末を想定している。なお、インターネット・エクスプローラを実装していても、MathPlayerがインストールされていないブラウザ端末は、第2種ブラウザ端末となる。
【0029】
また、以下では、第2種ブラウザ端末が数式を含むWebページを表示するために解釈実行する文書整形データを第2文書整形データとし、第3種ブラウザ端末がWebページを表示する際に解釈する文書整形データを第3文書整形データと称することにする。
【0030】
===数式を含むWebページの表示制御===
図5に、数式表示制御装置1とブラウザ端末30との通信手順や、数式表示制御装置1、およびブラウザ端末30における情報処理の流れを示した。まず、数式表示制御装置1は、ブラウザ端末30が数式を含むWebページのURL(初期URL)を指定してHTTPリクエストを送付してくると(s1)、先の第1文書整形データを返送する(s2)。図6に初期URL70aの文字列を例示した。第1文書整形データには、ブラウザ端末30に対し、所定のプログラム(種別判別プログラム)を取り寄せて解釈実行させるための先の制御文(図3符号62)が記載されている。ブラウザ端末30は、返送されてきた第1文書整形データ60aを解釈し、この制御文62に従って種別判別プログラムを数式表示制御装置1に要求し、それを返送してもらう(s3〜s5)。そして、そのプログラムを実行する(s6)。なお、本実施例では、種別判別プログラムは、JavaScript(Javaは登録商標)によって記述されており、第1〜第3種のブラウザ端末はいずれも、JavaScriptの解釈が可能で、かつ、JavaScriptを実行を許可するように設定されているものとする。
【0031】
種別判別プログラムを解釈実行したブラウザ端末30は、まず、自身の種別(ブラウザの種別、プラグインの有無など)に応じ、第1文書整形データ60aの解釈実行を継続するか、あるいは次のHTTPリクエストの内容を決定する。このリクエストの送付先は、数式表示制御装置1に実装されているCGIであり、第1ページ変換手段13、あるいは第2ページ変換手段14に対応する。そして、HTTPリクエストを送出する場合には、その送付先のCGIに、例えば、図6におけるサーバー名やファイル名などからなる初期URL70aに含まれているWebページの識別情報(ページ識別情報)71をパラメータとして送付する。なお、種別判別プログラムに相当するスクリプトが第1文書整形データ60a中に記載されていてもよい。
【0032】
本実施例では、ブラウザ端末30が第1種ブラウザ端末である場合は、そのまま第1文書整形データを読み込む。そして、第1文書整形データ中に記述されている数式記述言語をプラグインに処理させて図2に示した数式51aを含むWebページ50aを表示させる(s7→s8)。
【0033】
第2種ブラウザ端末である場合は、第1文書整形データを第2文書整形データに変換するためのCGIプログラム(第1ページ変換手段)13を宛先として、当該手段13に、Webページの識別データ71をパラメータとして送付する(s7→s9→s10)。
【0034】
図7に第1ページ変換手段13に相当する所在72とパラメータ(ページ識別情報71)を含んだURL70bの文字列を示した。そして、第1ページ変換手段13は、パラメータとして受け取ったページ識別情報71に基づいて特定される第1文書整形データ60aをデータベース12より取り出し、これを第2文書整形データに変換してブラウザ端末30に返送する(s11,s12)。
【0035】
具体的には、第1ページ変換手段13は、様々な数式語号や数式の表記の仕方について、MathMLとTeXとの対応表などを備え、その対応表に基づいて第1文書整形データ60aにおいてMathMLで記述された数式61をTeX形式で記述し直す。また、第1文書データにおいて組版状態を規定するタグについては、そのまま採用する。図8に第2文書整形データ60bの一部を示した。MathMLで記述されていた数式61aがTeXで規定されている形式で記述されている。また、その数式部分61bは、周知のURLエンコード形式に変換されている。そして、ブラウザ端末30に対し、そのTeXで記述された数式61bと数式の表示サイズを指定するための表示サイズ情報とを所定のCGI(数式変換手段)65に送付させるとともに、その数式変換手段から返送されてきた画像を表示する旨の指示66が記載されている。なお、表示サイズ情報は、第1ページ変換手段13により初期値に設定されている。もちろん、数式変換手段が一律に所定サイズの数式画像を生成するのであれば、この初期値の設定は必要ない。
【0036】
第1ページ変換手段13から返送されてきた第2文書整形データ60bを解釈したブラウザ端末30は、TeXで記述された数式61bを含むタグを解釈し、数式変換手段15にそのTeX形式の数式61bと数式サイズ情報の初期値64とを送付する(s13,s14)。本実施例では、数式変換手段15としてMimeTeXが実装されており、数式変換手段15は、ブラウザ端末30から送付されてきた数式61bを指定されたサイズ(初期値)の大きさの画像に変換して返送する(s15,s16)。ブラウザ端末30は、この画像をWebページ中に挿入し、数式を表示する(s17)。
【0037】
第3種ブラウザ端末である場合は、第1文書整形データを第3文書整形データに変換するためのCGIプログラム(第2ページ変換手段)14を宛先として、当該手段14にページ識別情報71をパラメータとして送付する(s9→s18)。すなわち、第1ページ変換手段14に相当する所在とパラメータを含んだURLを含んだHTTPリクエストをインターネット上に送出する。図9に当該URL70cの文字列を示した。第2ページ変換手段14に相当するCGIの所在74とページ識別情報71とが含まれている。そして、第2ページ変換手段14は、パラメータとして受け取ったページ識別情報71に基づいて特定される第1文書整形データをデータベース12より取り出し、これを第3文書整形データに変換してブラウザ端末30に返送する(s19,s20)。図10に第3文書整形データ60cの一部を示した。第3種ブラウザ端末は、プラグインが不要であるが、第3文書整形データ60cでは、HTMLでは規定されていないMathMLで記述されたタグを指定する必要から、XMLをマークアップ言語として宣言する記載67とそのタグを指定する旨の記載68を含んでいる。MathMLによる数式の記述部分61は第1文書整形データ60aと同じである。そして、ブラウザ端末30は、返送されてきた第3文書整形データ60cを解釈実行して数式を含むWebページを表示する(s21)。
【0038】
===数式画像サイズ変換==
上述したように、第1ページ変換手段13は、数式画像を初期値のサイズで表示させるためのタグを生成し、そのタグを第2文書整形データ中に含め、数式変換手段15はその数式画像を初期値のサイズとなるように生成している。しかし、ブラウザ端末の画面サイズによっては、数式画像のサイズが初期値では小さくて見づらい場合も想定される。そして、数式画像は、数式記述言語による数式のよう拡大して表示させることができない。そこで、本実施例の数式表示制御装置1は、数式画像のサイズをユーザが指定するサイズに変換し直して第2文書整形データを再作成し、その再作成した第2文書整形データを第2種ブラウザ端末に返送する機能も備えている。
【0039】
図11に第2種ブラウザ端末が表示するWebページ50bの画面概略を示した。上述したように、当該画面の起源となる第2文書整形データは、第1ページ変換手段13が第1文書整形データを処理することで生成される。このWebページ50bには画像データに変換された数式(数式画像)51bとその数式画像51bのサイズを指定するためのリストダウンボックス54と、そのサイズを数式表示制御装置1に送付して、指定のサイズの数式画像51bを表示するための第2文書整形データを返送してもらうためのボタン55とが配設されており、このボタン55には、第1文書変換手段13を宛先として、ブラウザ端末30によってリストダウンボックス54から選択されたサイズと現在表示中のWebページのページ識別情報を当該ブラウザ端末30に送付させるためのタグが対応付けされている。
【0040】
図12に、第2種ブラウザ端末が一度表示したWebページの数式画像の部分を指定したサイズで再表示するまでの数式表示制御装置1との通信手順や情報処理の流れを示した。なお、この図12には、この数式のサイズを変更するための通信手順や情報処理に関連して、図5に記載した通信手順や情報処理ステップの一部(s15〜s17)も含まれている。
【0041】
まず、ブラウザ端末30は、第2文書データを解釈して数式の画像サイズが初期値になっているWebページを表示し、この状態で、数式のサイズがユーザ入力により選択され、上記ボタン55が指示されると、図7に示したURLにおける数式の表示サイズの記載部分73がリストダウンボックス54から選択したサイズと置換されたURLを含むHTTPリクエストを数式表示制御装置1に送付する(s31→s32→s33)。すなわち、ブラウザ端末30はユーザが指定したサイズの数式サイズ情報とページ識別情報とを第1ページ変換手段13に送付する。
【0042】
第1ページ変換手段13は、送付されてきたページ識別情報に対応する第1文書整形データを第2文書整形データに変換する(s34)。このとき、TeX形式で記述する数式を含むタグには、このタグがブラウザ端末30により解釈された際に、この数式と指定の数式サイズ情報とを数式変換手段15に送付させる旨を記載する。そして、この第2文書整形データをブラウザ端末30に返送する(s35)。ブラウザ端末30は、この第2文書整形データを解釈し(s36)、数式とユーザが指定したサイズに相当する数式サイズ情報とを数式変換手段15に送付して指定のサイズの数式画像を生成して返送してもらい、その数式画像を含むWebページを表示する(s15〜s17)。
【0043】
===リンク先変換===
ここで、例えば、ユーザがブラウザ端末30によって、数式を含むあるWebページ(第1ページとする)を閲覧し、そのWebページ中のリンクを指示して同じWebサイトの他の数式を含むWebページ(第2ページ)を表示させたとする。第1ページを再表示させる場合で、このリンク先の第2ページにリンク元の第1ページへのリンクが設定されていない場合には、ユーザはブラウザの「戻る」ボタンを指示して、ブラウザ端末30の外部記憶にキャッシュとして残っている第1ページを再表示させる。そして、その再表示させた第1ページのリンクを指示して第2ページとは異なる数式を含むWebページ(第3ページ)を表示させようとする。
【0044】
このような場合では、普通、Webページ中で、同じWebサイトにあるWebページへのリンクへの設定箇所には、WWWサーバーのデータベースに格納されている文書整形データを取り寄せるためのURLが記載されている。本実施例の場合では、第1文書整形データを取り寄せるためのURLが記載されている。確かに、ブラウザ端末30が第1種ブラウザ端末である場合には、これで問題がない。しかし、第2種、第3種のブラウザ端末である場合には、リンクが指示される度に数式表示制御装置1は、第1文書整形データをブラウザ端末30に送付し、ブラウザ端末30は、先の制御文(図3符号62)を解釈して自身の種別に応じて第1文書整形データを第2あるいは第3文書整形データに変換してもらい、その文書整形データを返送してもらう。そのため、第1文書整形データの送付からブラウザ端末30の種別に応じた文書整形データの送付までの処理ステップ数が増加し、数式表示制御装置1の処理負荷が増大する。また、ブラウザ端末30側でもリンクを指示する度に第1文書整形データを解釈して先の制御文62の解釈や種別判別プログラムの処理が必要となる。したがって、Webページを表示するまでに時間が掛かる。
【0045】
ブラウザフォン31では、移動体通信事業者とユーザがパケット従量制の料金体系で契約している場合、第1文書整形データを取り寄せるための通信費が余分に掛かることにもなる。
【0046】
本実施例では、第1種ブラウザ端末と第3種ブラウザ端末は、ともにMathMLを解釈可能であり、これらブラウザ端末がWebページの表示起源として解釈する第1文書整形データと第3文書整形データとには大きな差が無く、第1文書整形データから第3文書整形データに変換する処理に掛かる負担も小さい。また、第1種ブラウザ、端末第2種ブラウザ端末は、処理能力が高いパーソナルコンピュータなどである可能性が高いことから、第2種ブラウザ端末が上記第1ページを起点としてWebサイト内の他のWebページヘのリンクを指示する場合に限り、第1文書整形データを再度送付することなく、第2文書整形データを直接送付できるようにしている。そのために、第1文書整形データを第2文書整形データに変換する際、第1文書整形データ中のリンクの記載を第1ページ変換手段13を宛先としたリンクの記載に書き換えている。
【0047】
図13に当該リンクの記載を書き換える処理の概略を示した。この図では、第1種ブラウザ端末が表示する第1ページ(図2符号50a)におけるあるWebページ(第2ページ)へのリンク設定箇所(図2符号56a)と、第2種ブラウザ端末が表示する第1ページ(図11符号50b)における第2ページへのリンク設定箇所(図11符号56b)について、第1文書整形データにおける第2ページへのリンクを示すタグ記載部分80aと第2文書整形データにおける第2ページへのリンクを示すタグ記載部分80bとを比較している。
【0048】
第1文書整形データにおけるリンクのタグ記載部分80aには、第1文書整形データ81を要求する旨が記載されている。第2文書整形データにおけるリンクのタグ記載部分80bには、第1文書整形データのページ識別情報82と数式サイズ情報83と第1変換手段の所在84とが記載され、ページ識別情報82と数式サイズ情報83をパラメータとして第1変換手段13に送付させる旨が記載されている。
【0049】
なお、ユーザによって数式画像のサイズが指定された後にブラウザ端末に送付された第2文書整形データでは、上記リンクの記載箇所80bの数式サイズ情報83が指定された数式サイズ情報となる。それによって、ユーザの指定により数式画像のサイズが変更された後は、再度数式のサイズを指定しなくても、ユーザが先に指定したサイズの数式画像を表示するための第2文書整形データがブラウザ端末30に送付されてくることになる。
【0050】
===ブラウザフォンについて===
ブラウザフォンは、画面サイズが小さく、機種によってディスプレイの画素数も異なる。そのため、第2種ブラウザ端末として、パーソナルコンピュータとブラウザフォンを一律に扱うと、ブラウザフォンでは、正しい組版状態でWebページが表示されない可能性がある。そこで、種別判別プログラムは、ブラウザ端末30によって処理されてその種別がブラウザフォン31であった場合には、その機種情報を第1ページ変換手段13に送付させるようにしてもよい。もちろん、機種情報に代えて画面サイズや画素数を送付させるようにしてもよい。そして、第1ページ変換手段13は、画面サイズや画素数に応じて第2文書整形データの組版状態を決定するようにしてもよい。
【0051】
種別判別プログラムがブラウザフォン31に機種情報を送付させる場合には、記憶手段12にブラウザフォン31の機種と画面サイズや画素数を対応付けしたテーブルを格納しておき、第1ページ変換手段13は、そのテーブルを参照して第2文書整形データに記述する組版状態を決定すればよい。あるいは、ブラウザフォンは、普通、HTTPリクエストに自身の機種番号を含めているので、第1ページ変換手段13が、送付されてきた機種番号と上記テーブルと同様の対応表とに基づいて組版状態を決定することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 数式表示制御装置
11 WWWサーバー
12 データベース
13 第1ページ変換手段
14 第2ページ変換手段
15 数式変換手段
20 インターネット
30 ブラウザ端末
31 ブラウザフォン
50a、50b Webページ
51a、51b Webページに表示された数式
60a 第1文書整形データ
60b 第2文書整形データ
60c 第3文書整形データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラウザ端末とHTTP通信を行うWWWサーバー機能を備えたコンピュータシステムから構成されて、数式を含んだWebページをブラウザに表示させるための数式表示制御装置であって、
記憶手段と、第1文書返送手段と、第1ページ変換手段と、数式変換手段とを備え、
記憶手段は、多数のWebページのそれぞれの起源として、Webページの組版状態が第1形式の文書整形言語で記述されているとともに、第1形式の数式記述言語で記述された数式Bと、ブラウザ端末Aに種別判別プログラムを実行させるための記載とを含んだ第1文書整形データを記憶し、
第1文書返送手段は、特定のWebページを要求してアクセスしてきたブラウザ端末Aに、当該Webページの第1文書整形データCを返送し、
種別判別プログラムは、当該プログラムを実行したブラウザ端末Aに対し、実装されているブラウザの種別を判別させるとともに、その判別結果として、前記種別が前記第1形式の数式記述言語を解釈可能な第1種ブラウザ端末である場合は第1文書整形データCを解釈させてWebページの組版を行わせるとともに、当該第1文書整形データC中の前記第1形式の数式記述言語で記述された数式Bを当該Webページに挿入表示させ、
前記種別判別プログラムを実行したブラウザ端末Aが前記第1形式の数式記述言語の解釈が不可能な第2種ブラウザ端末である場合は、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付させ、
前記第1ページ変換手段は、前記種別判別プログラムを解釈したブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、数式Eと、ブラウザ端末Aに対し数式Eを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データFを生成する処理と、当該第2文書整形データFをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eが送付されてくると、当該数式Eを画像に変換してブラウザ端末Aに送付する
ことを特徴とする数式表示制御装置。
【請求項2】
第2ページ変換手段を備え、
前記第1種ブラウザ端末は、第1形式の数式記述言語を解釈するプログラムがブラウザ用の補助プログラムとして実装されているブラウザ端末であり、
前記種別判別プログラムは、前記判別結果として、前記種別が前記補助プログラムを必要としないで第1形式の数式言語の解釈が可能な第3種のブラウザ端末である場合、前記ブラウザ端末Aに対し、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを前記第2ページ変換手段に送付させ、
第2ページ変換手段は、前記ブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該取り出した第1文書整形データCにおいて前記第1形式の文書整形言語で記述された前記組版状態を第2形式の文書整形言語で記述した第3文書整形データGに変換する処理と、当該第3文書整形データGを前記ブラウザ端末Aに返送する処理とを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の数式表示制御装置。
【請求項3】
前記第1ページ変換手段は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第2文書整形データFに含ませることを特徴とする請求項1または2に記載の数式表示制御装置。
【請求項4】
前記第2ページ変換手段は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第2ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第3文書整形データGに含ませることを特徴とする請求項2または3に記載の数式表示制御装置。
【請求項5】
前記第1ページ変換手段は、前記数式画像要求制御文に、数式変換手段を宛先として、数式の表示サイズを指定するための数式サイズ情報の初期値をブラウザ端末Aに送付させるための記載を含ませるとともに、ブラウザ端末Aに対するユーザ入力によって表示サイズの指定を受け付ける機能と、ブラウザ端末に対するユーザ入力によって前記表示サイズの指定情報と前記ページ識別情報Dを第1ページ変換手段に送付させるための機能とを第2文書整形データFに含ませ、
前記第1ページ変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末において入力された前記表示サイズの指定情報Hが前記ページ識別情報Dとともに送付されてくると、当該指定情報Hとページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、前記指定情報Hを数式サイズ情報として、ブラウザ端末Aに対し当該数式サイズ情報と数式Eとページ識別情報Dを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データJを生成する処理と、当該第2文書整形データJをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、ブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eと数式サイズ情報が送付されてくると、当該数式Eを数式サイズ情報に対応する表示サイズの画像に変換してブラウザ端末Aに送付する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の数式表示制御装置。
【請求項6】
WWWサーバー機能と前記記憶手段とを備えたコンピュータにインストールされるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータが当該コンピュータプログラムを実行することで、請求項1〜5の何れかに記載の数式表示装置として機能することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記憶したプログラム格納媒体。
【請求項1】
ブラウザ端末とHTTP通信を行うWWWサーバー機能を備えたコンピュータシステムから構成されて、数式を含んだWebページをブラウザに表示させるための数式表示制御装置であって、
記憶手段と、第1文書返送手段と、第1ページ変換手段と、数式変換手段とを備え、
記憶手段は、多数のWebページのそれぞれの起源として、Webページの組版状態が第1形式の文書整形言語で記述されているとともに、第1形式の数式記述言語で記述された数式Bと、ブラウザ端末Aに種別判別プログラムを実行させるための記載とを含んだ第1文書整形データを記憶し、
第1文書返送手段は、特定のWebページを要求してアクセスしてきたブラウザ端末Aに、当該Webページの第1文書整形データCを返送し、
種別判別プログラムは、当該プログラムを実行したブラウザ端末Aに対し、実装されているブラウザの種別を判別させるとともに、その判別結果として、前記種別が前記第1形式の数式記述言語を解釈可能な第1種ブラウザ端末である場合は第1文書整形データCを解釈させてWebページの組版を行わせるとともに、当該第1文書整形データC中の前記第1形式の数式記述言語で記述された数式Bを当該Webページに挿入表示させ、
前記種別判別プログラムを実行したブラウザ端末Aが前記第1形式の数式記述言語の解釈が不可能な第2種ブラウザ端末である場合は、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付させ、
前記第1ページ変換手段は、前記種別判別プログラムを解釈したブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、数式Eと、ブラウザ端末Aに対し数式Eを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データFを生成する処理と、当該第2文書整形データFをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eが送付されてくると、当該数式Eを画像に変換してブラウザ端末Aに送付する
ことを特徴とする数式表示制御装置。
【請求項2】
第2ページ変換手段を備え、
前記第1種ブラウザ端末は、第1形式の数式記述言語を解釈するプログラムがブラウザ用の補助プログラムとして実装されているブラウザ端末であり、
前記種別判別プログラムは、前記判別結果として、前記種別が前記補助プログラムを必要としないで第1形式の数式言語の解釈が可能な第3種のブラウザ端末である場合、前記ブラウザ端末Aに対し、前記第1文書整形データCを特定するためのページ識別情報Dをパラメータとして、当該パラメータを前記第2ページ変換手段に送付させ、
第2ページ変換手段は、前記ブラウザ端末Aから送付されてきたページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該取り出した第1文書整形データCにおいて前記第1形式の文書整形言語で記述された前記組版状態を第2形式の文書整形言語で記述した第3文書整形データGに変換する処理と、当該第3文書整形データGを前記ブラウザ端末Aに返送する処理とを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の数式表示制御装置。
【請求項3】
前記第1ページ変換手段は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第1ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第2文書整形データFに含ませることを特徴とする請求項1または2に記載の数式表示制御装置。
【請求項4】
前記第2ページ変換手段は、前記第1文書整形データCに設定されているハイパーリンクについて、当該設定箇所に記載されているリンク先を識別するための情報をパラメータとして、当該パラメータを第2ページ変換手段に送付する旨のハイパーリンクに再設定し、当該再設定したハイパーリンクを前記第3文書整形データGに含ませることを特徴とする請求項2または3に記載の数式表示制御装置。
【請求項5】
前記第1ページ変換手段は、前記数式画像要求制御文に、数式変換手段を宛先として、数式の表示サイズを指定するための数式サイズ情報の初期値をブラウザ端末Aに送付させるための記載を含ませるとともに、ブラウザ端末Aに対するユーザ入力によって表示サイズの指定を受け付ける機能と、ブラウザ端末に対するユーザ入力によって前記表示サイズの指定情報と前記ページ識別情報Dを第1ページ変換手段に送付させるための機能とを第2文書整形データFに含ませ、
前記第1ページ変換手段は、第2文書整形データFを送付したブラウザ端末において入力された前記表示サイズの指定情報Hが前記ページ識別情報Dとともに送付されてくると、当該指定情報Hとページ識別情報Dを取得する処理と、取得したページ識別情報Dに基づいて特定される第1文書整形データCをデータベースより取り出す処理と、当該第1文書整形データC中の数式Bを第2形式の数式記述言語で記述した数式Eに変換する処理と、前記第1形式の文書整形言語で前記組版状態を記述するとともに、前記指定情報Hを数式サイズ情報として、ブラウザ端末Aに対し当該数式サイズ情報と数式Eとページ識別情報Dを数式変換手段に送付させるための数式画像要求制御文と、ブラウザ端末Aに対し前記数式変換手段から送付されてきた画像を表示させるための数式画像表示制御文とを記載した第2文書整形データJを生成する処理と、当該第2文書整形データJをブラウザ端末Aに返送する処理とを実行し、
前記数式変換手段は、ブラウザ端末Aが前記数式画像要求制御文を解釈して第2形式の数式記述言語で記述された数式Eと数式サイズ情報が送付されてくると、当該数式Eを数式サイズ情報に対応する表示サイズの画像に変換してブラウザ端末Aに送付する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の数式表示制御装置。
【請求項6】
WWWサーバー機能と前記記憶手段とを備えたコンピュータにインストールされるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータが当該コンピュータプログラムを実行することで、請求項1〜5の何れかに記載の数式表示装置として機能することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを記憶したプログラム格納媒体。
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図2】
【図4】
【図11】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図2】
【図4】
【図11】
【公開番号】特開2010−160656(P2010−160656A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2005(P2009−2005)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
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