説明

整畦機

【解決手段】 整畦機構12は畦の一方側面を整畦可能な回転ロール状の整畦ロール体13からなり、整畦ロール体を回転させる回転機構15を配設し、整畦ロール体が畦を締圧することにより生ずる整畦反力を受ける反力受け体31を設けてなる。
【効果】 整畦ロール体は回転機構により回転駆動され、整畦ロール体の回転接触により畦の一方側面は締圧整畦され、反力受け体は整畦ロール体が畦を締圧することにより生ずる整畦反力を良好に受け、それだけ整畦動作を確実にかつ円滑に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の整畦機としては、特開昭51−141212号公報、実公昭51−47785号公報、実開昭53−102411号公報、実開昭53−20316号公報、特開昭51−100409号公報、実開昭60−119209号公報、実開昭61−175905号公報、特開昭61−47103号公報、特開昭61−212202号公報、実開昭62−1507号公報、実開昭61−158105号公報、実開平3−79605号公報、実開平5−60207号公報に示す構造のものが知られている。
【0003】これらの従来構造にあっては、走行機体に連結機構により機枠を上下動可能に連結し、機枠に盛土機構としての旧畦上に土を跳ね上げる回転ロータをその回転軸線を畦造成方向と平行又は交差する方向に設け、機枠に回転ロータの上方及び畦の上方にカバー部材を設け、回転ロータの進行方向後方位置に畦の上面及び畦の一方側面に合わせた形状の整畦体を設け、かつ該走行機体の動力取出軸を駆動源として整畦体を往復畦叩動作させるクランク式又は油圧式の畦叩機構を設け、走行機体を旧畦に沿って走行させ、回転ロータで圃場中の泥土を旧畦上に盛り上げ、この盛土を整畦体の畦叩き動作により叩き付けるようにして構成したものである。
【0004】また他の従来構造にあっては、整畦機構として、走行機体の動力取出軸を駆動源として整畦体を振動動作させる振動機構を設けて構成し、旧畦上に盛り上げられた盛土を整畦体の振動動作により締め付けるように構成したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来構造の場合、地方により相異する畦の土質や天候等の作業条件によっては、必ずしも満足した整畦作業を行い得ないことがあるという不都合を有している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明にあっては、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の上方にカバー部材を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に整畦機構を設けてなり、上記整畦機構は畦の一方側面を整畦可能な回転ロール状の整畦ロール体からなり、該整畦ロール体を回転させる回転機構を配設し、該整畦ロール体が畦を締圧することにより生ずる整畦反力を受ける反力受け体を設けて構成したことを特徴とする整畦機にある。
【0007】又、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の整畦ロール体が畦の一方側面及び畦の上面を整畦可能に形成されていることを特徴とするを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明にあっては、請求項1又は2記載の反力受け体を上記整畦ロール体の近傍位置に設けたことを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明にあっては、請求項1乃至3記載の整畦ロール体の進行方向後方位置に畦の上面及び畦の一方側面上部を整畦可能な整畦体を設け、整畦体を整畦動作させる駆動機構を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】図1乃至図8は本発明の実施の形態例を示し、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結している。
【0009】4は盛土機構であって、この場合回転ロータからなる盛土体5から構成され、この盛土体5はロータ胴5aの外周に複数個の掻上刃5bを突設すると共にロータ板5aに取付軸5cを突設してなり、上記機枠3に盛土体5をその回転軸線を畦造成方向と平行にして回転自在に取付け、機枠3に走行機体1に設けられた動力取出軸6により回転する主軸7を軸受し、盛土体5を主軸7より変向用ギヤ列8及びチェーン機構9を介して回転させ、盛土体5により畦際の圃場面の土を削出して旧畦に向けて跳ね上げて盛り上げるように構成している。
【0010】10はカバー部材であって、この場合上記機枠3に取り付けられ、上記盛土体5の上方及び畦Wの上方を覆う形状に形成され、カバー部材10の畦側に昇降軸11a及びガイドロール11bにより畦の上面W1に接触して畦の起伏に倣って上下動自在な側部カバー部材11を取り付けている。
【0011】12は整畦機構であって、この場合、畦Wの一方側面W2を整畦可能な略円錐状の外周面13aを有する横回り回転ロール状の整畦ロール体13と、畦Wの上面W1及び畦Wの一方側面W2上部を整畦可能な整畦体14とからなり、整畦ロール体13は回転機構15により図中矢印方向の機枠3を前進させる方向に回転駆動され、又、整畦体14は駆動機構16により整畦動作するように構成されている。
【0012】この場合回転機構15は、上記機枠3に取り付けられたカバー部材10の後面にブラケット17を突設し、ブラケット17に軸受筒18を取付け、この軸受筒18に駆動軸19を回転自在に横設し、かつ機枠3の後面に伝導機構20を取付け、伝導機構20の入力軸を上記主軸7に連結すると共に出力軸に伝達軸21を連結し、上記駆動軸19と伝達軸21とを自在継手22により伝導連結し、これにより駆動軸19を主軸7により回転させ、駆動軸19に截頭円錐形状にして傘状の整畦ロール体13のロール軸13bを連結し、これにより主軸7によって整畦ロール体13を横回り回転させ、整畦ロール体13の回転接触により畦Wの一方側面W2及び基部W3を締圧整畦するように構成している。尚、整畦ロール体13はステンレス鋼材により製作して畦に摺接する表面又は全部を焼き入れ硬化させることが望ましく、或いは軟鋼を用いて、畦に摺接する表面に硬質クロムメッキ等の硬質表面処理を施すこともあり、又、全体を硬質な合成樹脂により製作したり、又は樹脂或いは金属の表面に硬質な樹脂をライニングしたものを用いることもできる。
【0013】またこの場合上記整畦体14は畦Wの上面W1及び畦の一方側面W2に合わせて略ヘ形状に形成されてその内面にスポンジや毛皮、ゴム、布、合成樹脂等の離泥体14aが取り付けられてなり、上記駆動機構16は、この場合上記カバー部材10の後面にブラケット23を突設し、ブラケット23に軸受筒24を縦設し、軸受筒24内に押動軸25を進退自在に軸受し、軸受筒24の上部に伝導軸26を軸受し、かつ上記駆動軸19と伝導軸26との間にチェーン機構27を設け、上記伝導軸26にクランク板28を取付け、クランク板28の所定半径位置に連結ロッド29を軸29aにより枢着連結し、押動軸25の下端部に取付体30を取付け、連結ロッド29の先端部を軸29bにより取付体30に枢着連結し、取付体30に整畦体14を支点軸30aにより角度遊動自在に取付け、主軸7の回転により駆動軸19及びチェーン機構27を介して伝導軸26を回転させ、伝導軸26によりクランク板28及び連結ロッド29の作用により整畦体14を往復畦叩き動作させ、畦Wの上面W1及び畦の一方側面W2上部を同時に叩き締めて整畦するように構成している。
【0014】31は反力受け体であって、この場合二枚の平板材31a・31aを下端において接合すると共に側面に連結片31bを突設してなり、上記軸受筒18に固定板32を取付け、固定板32に連結片31をボルト31c及び長穴31dにより高さ調節自在に取り付け、反力受け体31の下端部を畦の基部W3近傍の圃場M内に穿入して、整畦ロール体13が畦を締圧することにより生ずる整畦反力を受け得るように構成されている。
【0015】33は安定部材であって、この場合幅広の接地板33aに連結片33bを斜めに突出して形成され、上記カバー部材10の後面に取付片34を突設し、取付片34に摺動ピン34aを突設し、摺動ピン34aに連結片34に形成された長穴33cを摺動自在に係合し、これにより安定部材33を上下動作自在に設け、かつ上記ブラケット23の側面に連結片35を突設し、連結片35と接地板33aとの間に縮方向には弾性をもって抗すると共に伸び方向には素早く伸びる油圧式ショックアブソーバ機構を内蔵した弾機36を架設し、安定部材33の接地板33aが圃場M上に接地して機枠3の安定走行を図るものである。
【0016】この実施の形態例は上記構成であるから、走行機体1を畦Wに沿って走行し、動力取出軸6を回転すると一方では盛土機構4の盛土体5としての回転ロータが畦際の圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、カバー部材10は盛土体5の上方及び畦側方への泥土飛散を防止し、跳ね上げられた泥土は外方飛散を防がれて自重落下し、他方では整畦機構12が駆動され、このうち整畦ロール体13は回転機構15により回転駆動され、これにより整畦ロール体13は横回り回転し、整畦ロール体13の回転接触により畦Wの一方側面W2及び基部W3は締圧整畦され、反力受け体31は整畦ロール体13が畦Wを締圧することにより生ずる整畦反力を良好に受け、それだけ整畦動作を確実にかつ円滑に行うことができる。
【0017】またこの際、図示省略したが、上記整畦ロール体13の頂面部分に円筒状部材を一体に突設し、これにより整畦ロール体13を軸線を横に配した全体として片鍔の糸巻きボビン状に形成し、整畦ロール体13の外周面を畦の一方側面W2及び畦の上面W1に回転接触させることにより畦の一方側面W2及び畦の上面W1を締圧整畦することができる。
【0018】またこの場合上記反力受け体31は上記整畦ロール体13の近傍位置に設けられているから、機枠3の上下による影響を受け難くて畦の基部W3近傍の圃場M内に確実に穿入することができ、畦を締圧することにより生ずる整畦反力を確実に受けることができ、整畦動作を確実にかつ円滑に行うことができる。
【0019】またこの場合上記整畦ロール体13の進行方向後方位置に畦の上面W1及び畦の一方側面W2上部を整畦可能な整畦体14を設け、整畦体14を整畦動作させる駆動機構16を設けているから、整畦ロール体13による整畦動作に次いで、駆動機構16により整畦体14は往復畦叩き動作の整畦動作し、これにより畦Wの上面W1及び畦の一方側面W2上部は同時に叩き締められて整畦され、しかして畦Wの上面W1及び一方側面W2並びに基部W3を確実に圧締することができ、それだけ強固な畦を得ることができる。
【0020】尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば盛土機構4として、畦造成方向に対して交差する方向の回転軸線をもつ回転ロータを採用することもでき、又、さらに上記実施の形態例では整畦体を一個備えているが、二個以上の整畦体で整畦する構造にも適用でき、また駆動機構の構造として、油圧機構を用いて畦を叩く構造やバイブレータ構造、偏心ウエイトによる不釣り合い回転構造、その他の振動機構によって畦を締める方式にも適用できる。
【0021】また上記整畦ロール体13は横回りの回転ロール状に形成されているが、整畦ロール体13を下細りの円錐ロール状に形成して回転軸線を上下の縦方向に配し、この整畦ロール体を縦回り回転させて畦の側面、又は畦の側面及び上面を締圧整畦する構造とすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、走行機体を畦に沿って走行すると一方では盛土機構が畦際の圃場泥土を旧畦上に盛り上げ、カバー部材は上方及び畦側方への泥土飛散を防止し、他方では整畦機構が駆動され、整畦ロール体は回転機構により回転駆動され、整畦ロール体の回転接触により畦の一方側面は締圧整畦され、反力受け体は整畦ロール体が畦を締圧することにより生ずる整畦反力を良好に受け、それだけ整畦動作を確実にかつ円滑に行うことができる。
【0023】また請求項2記載の発明にあっては、畦の一方側面及び畦の上面を同時に締圧整畦することができ、また請求項3記載の発明にあっては、反力受け体は上記整畦ロール体の近傍位置に設けられているから、機枠の上下による影響を受け難くて圃場内に確実に穿入することができ、畦を締圧することにより生ずる整畦反力を確実に受けることができ、それだけ整畦動作を確実にかつ円滑に行うことができ、また、請求項4記載の発明にあっては、整畦ロール体の進行方向後方位置に畦の上面及び畦の一方側面上部を整畦可能な整畦体を設け、整畦体を整畦動作させる駆動機構を設けているから、整畦ロール体による整畦動作に次いで、駆動機構により整畦体は整畦動作し、これにより畦の上面及び畦の一方側面上部は同時に締められて整畦され、しかして畦の上面及び一方側面を確実に圧締することができ、それだけ強固な畦を得ることができる。
【0024】以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
【図2】図1で示す本発明の実施の形態例の全体平断面図である。
【図3】図1で示す本発明の実施の形態例の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態例の後面図である。
【図5】本発明の実施の形態例の前面図である。
【図6】本発明の実施の形態例の部分後面図である。
【図7】本発明の実施の形態例の部分側面図である。
【図8】本発明の実施の形態例の部分側面図である。
【符号の説明】
W 畦
1 上面
2 一方側面
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 盛土機構
10 カバー部材
12 整畦機構
13 整畦ロール体
14 整畦体
15 回転機構
16 駆動機構
31 反力受け体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の上方にカバー部材を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に整畦機構を設けてなり、上記整畦機構は畦の一方側面を整畦可能な回転ロール状の整畦ロール体からなり、該整畦ロール体を回転させる回転機構を配設し、該整畦ロール体が畦を締圧することにより生ずる整畦反力を受ける反力受け体を設けて構成したことを特徴とする整畦機。
【請求項2】 上記整畦ロール体は畦の一方側面及び畦の上面を整畦可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】 上記反力受け体を上記整畦ロール体の近傍位置に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【請求項4】 上記整畦ロール体の進行方向後方位置に畦の上面及び畦の一方側面上部を整畦可能な整畦体を設け、該整畦体を整畦動作させる駆動機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至3記載の整畦機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開平9−65707
【公開日】平成9年(1997)3月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−246643
【出願日】平成7年(1995)8月30日
【出願人】(395008849)株式会社富士トレーラー製作所 (32)