説明

整畦機

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は畦造成、修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
〔従来の技術〕
従来この種の整畦機として実公昭61−3号公報、特開昭59−188704号公報、実開昭60−141705号公報、実開昭60−57905号公報等が知られている。
この従来構造は走行機体に機枠を設け、機枠に旧畦上に土を跳ね上げる回転ロータを設け、回転ロータの上方にカバー部材を設け、回転ロータの進行方向後方位置に整畦体を設け、整畦体を畦締動作させる整畦機構を設け、整畦体の内面に離泥体を設けて構成したものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら上記従来構造の場合、上記離泥体の離泥作用が必ずしも満足されないことがあり、このため整畦体側に泥土が累積付着し、整畦作業に支障が生ずることがあるという不都合を有している。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明はこれらの不都合を解消することを目的としているもので、その要旨は、走行機体に機枠を設け、該機枠に旧畦上に土を跳ね上げる回転ロータを設け、該回転ロータの上方にカバー部材を設け、回転ロータの進行方向後方位置に整畦体を設け、該整畦体を畦締動作させる整畦機構を設けたものにおいて、上記整畦体に整畦体の締め面から離反して畦面に常時接触可能な離泥体を設け、かつ該離泥体を整畦体の進行方向後縁部より後方に突出位置して設け、さらに該整畦体を緩衝材を介して畦の一方側面に略平行な軸線をもつ支点ピンを中心として畦造成方向の進行方向に若干揺動自在に設けると共に該整畦体を進行方向前方に向けて常時弾圧するバネ部材を設け、整畦体により離泥体を介して整畦動作可能に設けて構成したことを特徴とする整畦機にある。
〔作用〕
整畦体に設けた離泥体は整畦体の締め面から離反して畦面に常時接触し、かつ該離泥体は整畦体の進行方向後縁部より後方に突出位置し、この状態で整畦体は離泥体を介して畦締動作し、この際整畦体は緩衝材を介して畦の一方側面に略平行な軸線をもつ支点ピンを中心として畦造成方向の進行方向に若干揺動自在に設けられると共に前方に向けて弾圧され、このため整畦体の進行に伴う畦との摺接抵抗の大小及びバネ部材の作用により、整畦体は緩衝材による整畦動作に対する緩衝作用を伴って支点ピンを中心として畦の一方側面に略平行に往復揺動し、この畦との摺接作用によって、付着した泥土を良好に離すことができる。
〔実施例〕
第1図乃至第3図は本発明の実施例を示し、1は走行機体この場合トラクタであって、走行機体1の後部に連結機構2により機枠3を連結し、機枠3に旧畦4上に土を跳ね上げる回転ロータ5を設け、回転ロータ5を走行機体1の動力取出軸6により自在継手7、動力軸8、チェーン機構9を介して回転し得るように構成している。
10はカバー部材であって、カバー部材10は回転ロータ5の上方及び畦上方に位置して機枠3に設けられている。
11は整畦体であって、整畦体11は畦上面及び畦一方側面に合わせた縦断面へ形状に形成され、この場合整畦体11の内面にスポンジ、ゴム等の緩衝部材12を設けている。
13は整畦機構であって、この場合機枠3に回転軸14を設け、回転軸14にクランク15を設け、機枠3の後部に往復体16をローラ17により畦に向けて往復動可能に設け、往復体16の下部とクランク15との間に連結リンク18を設け、往復体16の下端部にゴム等の緩衝材19を介して取付部材20を連結し、取付部材20に畦の一方側面に略平行な軸線をもつ支点ピン21を中心として中間部材22を進行方向に揺動可能に設け、中間部材22をガイドボルト23、クッションゴム24及びバネ部材25におり進行方向前方に弾圧し、中間部材22に調節ボルト26及び長穴27により整畦体11を上下調節可能に取付けている。
28は離泥体であって、離泥体28はゴム、スポンジ、布の表面に毛体を取付けた物等が用いられ、前記整畦体11の前部壁面に離泥体28の前辺部を取付ビス29により取付け、離泥体28の後部を畦上面及び畦一方側面に垂らしてこの場合締め面としての叩き面から離反して畦面に常時接触可能に設け、かつ図3の如く、離泥体28を整畦体11の進行方向後縁部より後方に突出位置して設けている。
この実施例は上記構成であるから、走行機体1を旧畦に沿って走行し、動力取出軸6を回転すると一方では回転ロータ5が圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げ、回転跳ね上げ作用のため効率的な盛土ができ、カバー部材10によって回転ロータ5上方及び畦側方への泥土飛散が防止でき、より盛土効率が向上でき、他方では整畦機構13のクランク15の回転により整畦体11は往復運動し、整畦体11は往前進時に離泥体28を介して畦上面及び畦側面を叩き締め、整畦体11の戻後退時でも離泥体28は畦面に接触し、このとき離泥体28は整畦体11のこの場合締め面としての叩き面から離反して自由状態で畦面に常時接触しているため進行に伴う摺接作用によって離泥体28に付着した泥土を離すことができ、しかも離泥体28は整畦体11の進行方向後縁部より後方に突出位置しているから、整畦体11は必ず離泥体28を介して畦を叩き締めることになると共に上記摺接作用を良好に得ることができ、さらにこの際整畦体11は緩衝材19を介して畦の一方側面に略平行な軸線をもつ支点ピン21を中心として畦造成方向の進行方向に若干揺動自在に設けられると共に前方に向けて弾圧され、このため整畦体11の進行に伴う畦との摺接抵抗の大小及びバネ部材25の作用により、整畦体11は緩衝材19による整畦動作に対する緩衝作用を伴って支点ピン21を中心として畦の一方側面に略平行に往復揺動し、この畦との摺接作用によって、付着した泥土を良好に離すことができ、このため良好な整畦作業を得ることができ、それだけ強固な畦を得ることができる。
尚、上記実施例の整畦機構13、離泥体28等の構造に限定されるものではない。
〔発明の効果〕
本発明は上述の如く、走行機体を旧畦に沿って走行すると一方では回転ロータが圃場泥土を旧畦上に連続的に跳ね上げ、回転跳ね上げ作用のため効率的な盛土ができ、カバー部材によって回転ロータ上方への泥土飛散が防止でき、より盛土効率が向上でき、他方では整畦機構により整畦体は離泥体を介して畦上面及び畦側面を締め固め、このとき離泥体は整畦体の締め面から離反して自由状態で畦面に常時接触しているため進行に伴う摺接作用によって離泥体に付着した泥土を離すことができ、しかも離泥体は整畦体の進行方向後縁部より後方に突出位置しているから、整畦体は必ず離泥体を介して畦を締め固めることになると共に上記摺接作用を良好に得ることができ、さらにこの際整畦体は緩衝材を介して畦の一方側面に略平行な軸線をもつ支点ピンを中心として畦造成方向の進行方向に若干揺動自在に設けられると共に前方に向けて弾圧され、このため整畦体の進行に伴う畦との摺接抵抗の大小及びバネ部材の作用により、整畦体は緩衝材による整畦動作に対する緩衝作用を伴って支点ピンを中心として畦の一方側面に略平行に往復揺動し、この畦との摺接作用によって、付着した泥土を良好に離すことができ、それだけ強固な畦を得ることができる。
以上、所期の目的を充分達成できる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すもので、第1図は全体斜視図、第2図はその部分後面図、第3図はその部分平断面図である。
1……走行機体、3……機枠、4……畦、5……回転ロータ、10……カバー部材、11……整畦体、13……整畦機構、19……緩衝材、21……支点ピン、25……バネ部材、28……離泥体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】走行機体に機枠を設け、該機枠に旧畦上に土を跳ね上げる回転ロータを設け、該回転ロータの上方にカバー部材を設け、回転ロータの進行方向後方位置に整畦体を設け、該整畦体を畦締動作させる整畦機構を設けたものにおいて、上記整畦体に整畦体の締め面から離反して畦面に常時接触可能な離泥体を設け、かつ該離泥体を整畦体の進行方向後縁部より後方に突出位置して設け、さらに該整畦体を緩衝材を介して畦の一方側面に略平行な軸線をもつ支点ピンを中心として畦造成方向の進行方向に若干揺動自在に設けると共に該整畦体を進行方向前方に向けて常時弾圧するバネ部材を設け、整畦体により離泥体を介して畦締動作可能に設けて構成したことを特徴とする整畦機。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【特許番号】第2549848号
【登録日】平成8年(1996)8月8日
【発行日】平成8年(1996)10月30日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭61−276256
【出願日】昭和61年(1986)11月19日
【公開番号】特開昭63−129903
【公開日】昭和63年(1988)6月2日
【審判番号】平7−4014
【出願人】(999999999)
【出願人】(999999999)
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開昭61−192203(JP,A)
【文献】特開昭59−227205(JP,A)
【文献】特開昭61−135502(JP,A)