説明

敷 物

【課題】 通気性および保温性に優れ、抗菌性、脱臭効果および害虫防御性を有すると共に、心地よい肌ざわりや高級感を醸し出すことができる敷物を提供する。
【解決手段】 複数の貫通孔3が穿設された中材2と、該中材2を被覆する、表側生地11と裏側生地12からなる被覆材10とを備える敷物1において、前記中材2の表面または表裏面を、通気性を有するシート材4で被覆した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】 本考案は、通気性や保温性に優れ、抗菌性、脱臭効果および害虫防御性を有する敷物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、表側生地と裏側生地からなる被覆材の内部に、緩衝性を有する中材を収容した敷物が汎用されている。一般的な敷物の中材は、綿や発泡ウレタン等の弾力性のある素材で形成されており、該中材は、天然繊維や化学繊維、またそれらの混紡繊維で織成される側生地で被覆されている。
【0003】
また近日、板状に形成された発泡ウレタンに複数の貫通孔を穿設し、該発泡ウレタンを敷物の中材として使用することにより、クッション性と通気性とを兼ね備えた敷物も開発されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、貫通孔を穿設した中材の場合、貫通孔の部分で通気性は得られるが、貫通孔以外の箇所に湿気が溜ってしまい、しばらくすると悪臭やカビが発生するという問題が生じた。
【0005】
また、従来の敷物の側生地は、化学繊維等で織成されているものが多く、このようなものは心地よい肌ざわり等の面では十分に考慮されておらず、また、外観面においても高級感を醸し出すまでには至っていなかった。
【0006】
そこで本考案の目的は、上記の問題点を解消し、通気性および保温性に優れ、抗菌性、脱臭効果および害虫防御性を有すると共に、心地よい肌ざわりや高級感を醸し出すことができる敷物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の敷物は、複数の貫通孔が穿設された中材と、該中材を被覆する、表側生地と裏側生地からなる被覆材とを備える敷物において、前記中材の表面または表裏面を、通気性を有するシート材で被覆したことを特徴とするものである。
【0008】
本考案の敷物においては、前記シート材に備長炭パウダーを付着させることが好ましい。
【0009】
また、本考案の敷物においては、前記中材に、遠赤外線放射性化学繊維を混入させることが好ましい。
【0010】
さらにまた、本考案の敷物においては、前記表側生地に毛皮を用いることができる。
【0011】
中材の貫通孔部分および中材の表面または表裏面に被覆された通気性を有するシート材により、身体から発散される体熱および汗の放出が可能となり、該敷物の使用中の通気性が向上する。他方、敷物を床暖房を施した床面上や、ホットカーペット等の電熱敷物の上に敷設することにより、中材の貫通孔部分から熱気が放出され、優れた保温性を得ることができる。
【0012】
また、該シート材に備長炭パウダーを付着させることにより、抗菌性や脱臭効果を発揮し、ダニ等の害虫の発生を防ぐことができる。
【0013】
さらに、前記中材に、遠赤外線放射性化学繊維、例えばセラミックスを練り込んだポリエステル綿を混入させることにより、使用中、人体からの体温を遠赤外線熱として皮膚の深部へ放射し、毛細血管を拡張して、血液の循環を促進することができる。
【0014】
さらにまた、表側生地に毛皮を用いることにより、心地よい肌ざわりが得られ、外観面においても高級感を醸し出すことができる。
【0015】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図1は本考案の敷物の一部を欠切した斜視図、図2は不織布を中材の表面に被覆した状態の拡大断面図、図3は不織布を中材の全面に被覆した状態の拡大断面図、図4は本考案の敷物の拡大断面図、図5は中材の正面図、図6は敷物を電熱敷物上に敷設した状態の断面図をそれぞれ表す。
【0016】
図1に示す本考案の一実施の形態に係る敷物1は、表側生地11と裏側生地12からなる被覆材10と、該被覆材10の内部に収容された中材2とで形成されている。また、この中材2の縁部14は、表側生地11と裏側生地12とが重合され、ヘムテープ15によって覆った状態で縁取り縫合されている。
【0017】
中材2は、軽量でクッション性に優れた素材で形成されており、例えば、繊維の織布または不織布を積層しマット状にしたものや、発泡ウレタンを平板状に成型したもの等を好適に用いることができる。
【0018】
中材2は、例えば、一辺を約200cmの大きさとし、かつ20〜30mmの厚さにて構成する場合には、図5に示すように、中材2に直径約15mm程度の貫通孔3を40mm程度の等間隔bに複数穿設することが好ましい。また、中材2の周辺と貫通孔3の周端に、約50mm程度の間隔cを形成することにより、中材2自体の保形性を保つことができる。なお、中材2の大きさおよび厚さ、並びに貫通孔3の数および直径は、特に限定されるものではなく、適宜変更することができるのは勿論のことである。
【0019】
図2に示す中材2の表面は、通気性を有するシート材4で被覆されている。シート材4は、化学繊維や天然繊維等の素材からなる繊維を、メッシュ状にシート化した不織布や、高い通気性を発揮する状態に織成した織布で形成されている。
中材2は図3に示すように表裏面をシート材4で被覆してもよい。
【0020】
本考案の敷物の他の好適例として、前記シート材4に、備長炭の粉末と樹木の抽出液を配合させて形成される備長炭パウダーを付着させることが好ましい。備長炭パウダーを付着させたシート材4を、中材2の表面または表裏面に被覆することにより、人体から発散される湿気を効果的に吸湿し、外部に放湿することができる。また、備長炭パウダーの特性を使用した結果、脱臭性や抗菌性に優れると共に、ダニ等の害虫発生の予防にも効果的であり、衛生面においても優れた効果を発揮する。
【0021】
また、本考案の敷物のさらに他の好適例として、中材2に、遠赤外線放射性化学繊維を混入させることが好ましい。かかる化学繊維の素材は特に限定されるものではなく、例えば、セラミックスを練り込んだポリエステル綿が挙げられる。
中材2に、遠赤外線放射性化学繊維を混入させることにより、該敷物の使用中、人体からの体温を遠赤外線熱として皮膚の深部へ放射し、毛細血管を拡張して血液の循環を促進し、保温性を向上させることができる。
【0022】
さらにまた、本考案の敷物は通気性等に優れていることから、図4に示すように表側生地11に毛皮13を好適に用いることができる。中材2の縁部14は、毛皮13と裏側生地12とにより重合された状態で挟持されており、重合された部分はヘムテープ15によって覆われ、縁取り縫合されている。なお、毛皮13は、特に限定するものではないが、肌ざわりや外観面を考慮して羊の毛皮からなるムートンが好ましい。
【0023】
図6に示すように、かかる敷物1を、ホットカーペット等の電熱敷物5および床暖房を施した床面上に敷設すると、電熱敷物5および床面から発せられる熱気aが、中材2の貫通孔3から上方に通気され、効率よい保温効果が得られる。
【0024】
他方、夏期においては、本考案の敷物1を床面および畳上に直接敷設して使用することにより、身体から発散される体熱、汗等を貫通孔3より外部に放出することができ、快適な使用感が得られる。
【0025】
【考案の効果】
以上説明してきたように、本考案の敷物は、上述の構成とすることで以下に示す効果を奏するものである。
【0026】
中材の貫通孔部分および中材の表面または表裏面を通気性を有するシート材で被覆することにより、身体から発散される体熱および汗の放出が可能となり、該敷物の使用中の通気性が向上する。他方、敷物を床暖房を施した床面上およびホットカーペット等の電熱敷物の上に敷設して使用することにより、中材の貫通孔部分から熱気が通気され、優れた保温性を得ることができる。
【0027】
また、該シート材に備長炭パウダーを付着させることにより、抗菌性および脱臭効果を発揮し、ダニ等の害虫の発生を防ぐことができる。また、備長炭パウダーを付着させたシート材で被覆することにより、貫通孔への繊維クズやほこりなどの堆積が防止され、通気性が確保されて衛生面においても優れた効果を奏する。
【0028】
また、中材に、遠赤外線放射性化学繊維を混入させることにより、使用中、人体からの体温を遠赤外線熱として皮膚の深部へ放射し、毛細血管を拡張して血液の循環を促進し、優れた保温効果が得られる。
【0029】
さらに、表側生地に毛皮を用いることができ、これにより心地よい肌ざわりが得られ、外観面においても高級感を醸し出すことができる。
【0030】
さらにまた、中材に貫通孔を穿設することおよび中材に軽量な素材を用いることにより、敷物全体の軽量化が実現でき、容易に持ち運びでき、敷設時の作業負担の軽減効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の敷物の一部を欠切した斜視図である。
【図2】不織布を中材の表面に被覆した状態の拡大断面図である。
【図3】不織布を中材の表裏面に被覆した状態の拡大断面図である。
【図4】本考案の敷物の拡大断面図である。
【図5】中材の正面図である。
【図6】敷物を電熱敷物上に敷設した状態の断面図である。
【符号の説明】
1 敷物
2 中材
3 貫通孔
4 不織布(シート材)
5 電熱敷物
10 被覆材
11 表側生地
12 裏側生地
13 毛皮
14 縁部
15 ヘムテープ
a 熱気
b 貫通孔間の間隔
c 貫通孔と中材周辺間の間隔

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 複数の貫通孔が穿設された中材と、該中材を被覆する、表側生地と裏側生地からなる被覆材とを備える敷物において、前記中材の表面または表裏面を、通気性を有するシート材で被覆したことを特徴とする敷物。
【請求項2】 前記シート材に備長炭パウダーを付着させた請求項1記載の敷物。
【請求項3】 前記中材に、遠赤外線放射性化学繊維を混入させた請求項1または2記載の敷物。
【請求項4】 前記表側生地に毛皮を用いた請求項1、2または3記載の敷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【登録番号】実用新案登録第3073052号(U3073052)
【登録日】平成12年8月23日(2000.8.23)
【発行日】平成12年11月14日(2000.11.14)
【考案の名称】敷 物
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−3026(U2000−3026)
【出願日】平成12年5月9日(2000.5.9)
【出願人】(594097505)東京化セン株式会社 (3)