説明

文書作成装置及び文書作成方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、予め準備された複数の文例を選択し、この選択された文例に対して修正等を施しながら最終的な文書を作成するような文書作成装置及び文書作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に冠婚葬祭用の手紙文やビジネス文、あるいはスピーチ原稿等の文書は、定型部分が多く、目的に応じて予め準備された文例を加工することで、誰でもが容易にある程度の品質の文書を作成することができる。このことを考慮して、いわゆるワードプロセッサ等の文書作成装置において、用途等に応じて分類された複数の文例を予め用意しておき、目的に応じて文例を検索して呼び出し、この呼び出された文例に対して、必要事項の記入や不要部分の削除、書換え、追加等の修正を施して、最終的な文書を作成するような機能を持たせることが試みられている。
【0003】具体的には、上記複数の文例をそれぞれ個別に文書ファイル(文例ファイル)としてファイル化してフロッピィディスク等に記録しておき、これらのファイルを管理するためにいわゆるディレクトリを形成してこれもフロッピィディスク等の所定領域に記録しておく。このディレクトリは、書籍の目次に相当するものであり、必要に応じて大項目、中項目、小項目等のように階層化して検索を容易化している。これはいわゆる木(ツリー)構造の階層化ディレクトリと称されるものである。このような複数の文例に対応する文書ファイルとファイル検索用のディレクトリや検索プログラム等から成る文書作成支援システムが、例えばフロッピィディスク等に記録されて供給されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】ところで上述のような木構造の階層化ディレクトリを利用して文例を検索する場合に、大項目や中項目の段階で選択項目を間違えると目的とする小項目が見つけられなくなり、再び中項目や大項目に戻って選択項目を選び直す等の手間が必要とされる。すなわち、従来の木構造の階層化ディレクトリによる分類においては、複数の分類に該当する文例が存在する場合でも、いずれか1つにのみ所属させなければならないことから、このような文例を検索する際には、該当するディレクトリを1つずつ順に検索していかねばならず、手間がかかる。また、木構造の階層化ディレクトリを形成する際に、全ての文例が1つのパス(選択経路)で記述できるように、同じ階層での各分類項目の範囲が排他的なものとなるように修正する必要がある。
【0005】本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、分類の形態によっては複数の分類項目に属する文例の検索を容易化し、試行錯誤的な検索の手間を回避し得るような文書作成装置及び文書作成方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る文書作成装置及び方法は、予め準備された複数の文例を選択し、この選択された文例に基づいて文書を作成する際に、上記各文例を検索するための階層化ディレクトリは、1つのディレクトリに項目メニューを生成するための項目メニュー生成ブロックと、上記項目メニュー生成ブロックにより指定されるデータブロックとを有し、上記項目メニュー生成ブロックは親ディレクトリの指定が可能であり、上記データブロックがディレクトリである場合には、子ディレクトリに対応する項目メニュー生成ブロックを指定し、上記データブロックがファイルである場合には、該データブロックが上記文例に対応する文例ファイルを指定し、上記文例ファイルを、2つ以上のディレクトリのそれぞれのディレクトリ内のデータブロックで指定可能とすることにより、上述の課題を解決する。
【0007】
【作用】1つの文例に対して複数のパスが設定されることから、複数の分類項目に属する文例を検索する際に、いずれの分類項目を選択しても目的とする文例に到達することができ、試行錯誤的な検索の手間が省かれて、検索効率が向上する。
【0008】
【実施例】図1は本発明に係る文書作成装置及び文書作成方法の一実施例の概略的なハードウェア構成を示している。この図1において、メインのCPU(中央処理ユニット)11にはサブCPU12が接続され、このサブCPU12によりキーボード13からのキー入力や、ブザ14のブザ音発生等の制御を行わせている。メインCPU11のバスラインには、RAM(ランダムアクセスメモリ)15、プログラムROM(リードオンリメモリ)16、活字フォントROM17、辞書ROM18、SIO(シリアルインターフェース)19、拡張コネクタ20、LCD(液晶表示装置)コントローラ21等が接続されている。LCDコントローラ21は、V(ビデオ)RAM22との間で表示用データを読み書きしながら2次元画面表示手段であるLCD23の表示を制御する。メインCPU11のバスラインには、タイミングジェネレータやアドレスデコーダ等の機能を有するゲートアレイ24が接続され、このゲートアレイ24からのタイミング信号やアドレス信号がLCDコントローラ21、LCD23、VRAM22等に送られており、スキャナコネクタ25がこのゲートアレイ24に接続されている。またメインCPU11のバスラインには、ディスクコントローラ26が接続され、このディスクコントローラ26はS(スタティック)RAM27との間でデータを読み書きしながらフロッピィディスク装置28との間でデータ転送を行っている。さらに、メインCPU11のバスラインには、バッファ29を介してプリンタコネクタ30が接続され、またカードコネクタ31が接続されている。
【0009】ここで、上記フロッピィディスク装置28に装着されるフロッピィディスクとして、前述したような文書作成支援システム用ディスクが用意されており、このディスクには、冠婚葬祭用の手紙文やビジネス文等の複数の文例が、独自のデータ構造を持つデータファイルとして記録されている。また、これらの複数の文例のデータファイルの検索を容易化するために、階層化ディレクトリや検索プログラム等が上記文書作成支援システム用ディスクに記録されている。本発明実施例においては、上記階層化ディレクトリとして、一の階層の1つの節に対して上の階層の複数の節からの枝を認める構造とし、1つの例文に対して複数のパスを設定し得るようにしている。
【0010】図2はこのような階層化ディレクトリの最上位の階層での選択項目の一覧表、いわゆるメニューを示すものであり、上記文書作成支援システム用ディスクの読み込みが終了した後に、上記LCD(液晶表示装置)23の表示画面上に最初に表示されるものである。この最初のメニューの選択項目としては、「ご案内」、「冠婚葬祭」、「お知らせ」等の大きな分類による項目、いわゆる大項目が表示されている。この表示画面上の大項目メニュー34内で、文字が反転している大項目35が現在仮選択されている項目を示している。この仮選択項目位置は、上下左右のいわゆるカーソルキーを操作することで移動させることができ、所望の項目が反転表示された仮選択状態でエンターキー、例えばYESキー等を押すことで選択項目を確定することができる。例えば、図2に示すように「冠婚葬祭」の大項目が反転表示されている状態でYESキー(一般的にはエンターキー)を押すと、図3に示すように、この大項目「冠婚葬祭」が選択されて、対応するメニュー36が表示される。
【0011】図3は上記「冠婚葬祭」の大項目が選択されて、該大項目「冠婚葬祭」内の選択枝となる中項目が記載されたメニュー36が表示された状態を示している。この中項目メニュー36内には、「人生の祝いごと」、「受賞・叙勲」、「結婚」等の中程度の分類による項目が挙げられている。メニュー36の反転表示された中項目37が仮選択状態を表すこと、及びカーソルキー操作にて反転表示位置を移動させることができることは、上記図2の場合と同様である。ここで、図3に示す状態でYESキー(エンターキー)を押すと、「結婚」の中項目が選択されて、図4に示すように次のメニュー38が表れる。
【0012】図4では上記選択された中項目「結婚」の内のさらに細かい項目(小項目)が記載された小項目メニュー38が表示されている。このメニュー38内の小項目の具体例としては「婚約の通知」、「結婚式のご案内」、「披露宴の招待状」等が挙げられており、図4では「披露宴の招待状」の小項目39が仮選択されて反転表示されている。この状態でYESキー(エンターキー)を押すと、図5に示すように、選択項目「披露宴の招待状」に対応する具体的な文例が読み出されて表示される。
【0013】この図5の画面40は2次元表示手段、例えば上記図1のLCD(液晶表示装置)23等の表示画面を示している。この表示画面40上で、上記選択された文例が本文ウィンドウ41内に表示されており、この文例を修正する際には、所定のフレーズと呼ばれる文字列をまとめて修正の単位としている。一般的に、ひとつの意味のある文字列のまとまりがフレーズとされ、本文ウィンドウ41内で反転表示された部分42は注目フレーズと称される。この反転表示位置は、上下左右のカーソルキー操作により移動させることができ、修正したいフレーズを反転表示させて(上記注目フレーズにして)編集を行う。画面40内の本文ウィンドウ41の右上方位置には上記パス(選択経路)が表示される。
【0014】ここで、図4のメニュー38内の各小項目を選択して呼び出される文例は、内容によって他のパス(選択経路)を介して検索することも可能となっている。例えば、上記図2の大項目メニュー34内の「ご案内」の大項目を選択し、次に表示された中項目メニュー内で「結婚」の中項目を選択し、次に表示された小項目メニュー内で「披露宴」の小項目を選択することでも、図5の文例を呼び出すことができる。また、例えば上記図2、図3の各選択手順を経て表示された図4の小項目メニュー38内の「結婚のお祝い」との小項目を選択することで呼び出される文例は、図2の大項目メニュー34内の「お祝い」の大項目を選択し、次の中項目メニュー内で「個人へ」の中項目を選択し、次の小項目メニュー内で「結婚」の小項目を選択することでも呼び出すことができる。
【0015】すなわち、図6は上記階層化ディレクトリの一具体例を示しており、上記文章作成支援システム用ディスクのプログラムの読み込みが終了した直後に、図6R>6の階層化ディレクトリファイルの先頭ブロックアドレスAsが読み込まれて、このアドレスAsの先頭ブロックBL0 のデータが読み出される。この先頭ブロックBL0 には、上記図2の大項目メニュー34を生成するための初期データが書き込まれており、先ず大項目メニュー34のタイトルである「メニューの選択」との文字データ、次に大項目の数(ファイル数)を示すファイル数データNF、次にファイル群(データブロック群)の先頭アドレスデータAf、最後に親ディレクトリの先頭アドレスデータApの順に書き込まれている。上記図2の例では、大項目の数NFは14となっている。これらの各大項目に対応して14個のファイル(データブロック)BL1 、BL2 、・・・が設けられており、その先頭アドレスは上記ブロックBL0 の先頭アドレスデータAfで指定される。上記各大項目に対応する各ブロックBL1 、BL2 、・・・には、先頭から順に、大項目の名前(タイトル)である「冠婚葬祭」等の文字データ、当該ブロック(ファイル)に対応する項目がディレクトリかファイルかを示すファイルタイプデータFT、及び当該項目の内容のデータの先頭アドレスデータAdがそれぞれ書き込まれている。ここで各大項目のファイルタイプはディレクトリであるから、ディレクトリを示すファイルタイプデータFT(D)としている。これらの各大項目ブロックBL1 、BL2 、・・・内の各先頭アドレスデータAdにより、選択された各大項目毎のメニュー(例えば図3の中項目メニュー36)を生成するための一連のデータの先頭位置がわかる。
【0016】これらの各大項目毎にそれぞれの内容を示す中項目メニューを生成するためのデータ構造は、上記大項目メニューの場合と同様となっており、最初のブロックは、先頭から順に、上記中項目メニューのタイトル(例えば「冠婚葬祭」)を示す文字列データ、ファイル数データNF、ファイル群の先頭アドレスデータAf、及び親ディレクトリの先頭アドレスデータApとなっている。また、各中項目に対応するデータブロックは、先頭から順に、中項目の名称を示す「結婚」等の文字データ、ディレクトリを示すファイルタイプデータFT(D)、及び当該項目の内容となるデータの先頭アドレスデータAdとなっている。これらの各先頭アドレスデータAdにより、例えば上記図4に示すような小項目メニューを生成するための一連のデータを読み出すことができる。この小項目メニュー生成用データも、上記大項目や中項目の生成用データと同様な構造となっているが、各小項目はファイル(独自の構造を持つデータファイル)に対応するから、ファイルを示すファイルタイプデータFT(F)が用いられており、先頭アドレスデータAdは、上記各文例に対応するデータファイルDFの先頭アドレスを示している。データファイルDFは、先頭位置のファイルヘッダFHと本文の文書データDDとから成っている。
【0017】この図6において、大項目の「冠婚葬祭」から中項目の「結婚」を経て小項目の「結婚のお祝い」を順次選択して呼び出される文例のファイルと、大項目の「お祝い」から中項目の「個人へ」を経て小項目の「結婚」を順次選択して呼び出される文例のファイルとが同じものとなっており、1つの文例を検索するためのパス(選択経路)が内容に応じて複数設定されている。
【0018】このように1つの文例に対するパス(選択経路)を複数設定しておくことで、本来の分類項目をそのままディレクトリ構造に反映させることができ、従来のように小項目のメニューに達した段階で目的の文例が見当たらず中項目メニューや大項目メニューへ戻る等の試行錯誤的な煩雑な操作を回避することができ、検索が容易となる。
【0019】次に、図7は、上記各階層毎のメニュー(大項目メニュー、中項目メニュー及び小項目メニュー)を用いて文例選択(検索)操作を行う際の動作の手順を示すフローチャートである。この図7において、上記文書作成支援システム用ディスクの読み込みが終了した後には、ステップS1により、上記図2に示したような初期画面の表示処理を行う。この初期画面を表示した状態において、ステップS2でキー入力待ちし、ステップS3でキー入力があったか否かを判別して、NO(キー入力なし)のときにはステップS2に戻る。ステップS3でYES(キー入力有り)と判別されたときには、ステップS4〜S7で入力操作されたキーが何かを判別する。このメニュー表示画面において入力を受け付けるキーとしては、終了指示キー、カーソル移動キー、前のウィンドウへの戻り指示キー、及び項目選択キーの4種類であり、ステップS4では終了指示キーか否かを、ステップS5ではカーソル移動キーか否かを、ステップS6では前のウィンドウへの戻り指示キーか否かを、またステップS7では項目選択キーか否かをそれぞれ判別している。ステップS4でYES(終了指示キー入力有り)と判別されたときには、ステップS8の終了処理に進んで終了処理を行った後、終了する。ステップS5でYES(カーソル移動キー入力有り)と判別されたときには、ステップS9に進んでカーソル移動処理を行い、上記ステップS2のキー入力待ちの状態に移行する。ステップS6でYES(前のウィンドウへの戻り指示キー入力有り)と判別されたときには、ステップS10に進んで親ディレクトリの画面表示処理を行い、上記ステップS2のキー入力待ちの状態に移行する。ステップS7では入力操作されたキーが項目選択キーか否かを判別しており、NOのときには上記受け付け可能キー以外のキーが操作されたものであるから、何も処理を行わず上記ステップS2のキー入力待ちの状態にまで戻っている。
【0020】ステップS7でYES(項目選択キー入力有り)と判別されたときには、次のステップS11に進んで、選択された項目がファイルかディレクトリかを判別している。すなわち、上記図2や図3の表示メニューで選択される大項目や中項目はディレクトリであり、上記図4の表示メニューで選択される小項目が現実の文例のデータファイルに対応するものである。このステップS11で上記選択された項目がディレクトリ(上記大項目や中項目)であると判別されたときには、ステップS12に進んでそれぞれの子ディレクトリ画面(上記図3の中項目メニューや図4の小項目メニューに相当)の表示処理を行い、上記ステップS2のキー入力待ち状態に戻る。ステップS11でファイルと判別されたときには、ステップS13に進み、選択された文例のデータファイルを読み出して画面に表示させる処理を行う。この画面表示処理により、上記図5に示すような文例が表示される。
【0021】この図5の状態からの各種操作に応じた動作等については図面を参照しながら後述するが、概略的には、ステップS14、S15によりキー入力待ちを行い、キー入力に応じてそれぞれの処理を行う。例えば、ステップS16では終了指示キーが入力操作されたか否かを判別しており、終了指示キーのときは上記ステップS8に進んで終了処理を行う。ステップS17では文書選択画面への戻り指示キーが入力操作されたか否かを判別しており、YESのときにはステップS18にて親ディレクトリの画面表示処理を行った後、上記ステップS2のキー入力待ち状態に戻り、NOのときにはステップS19によりそれぞれの入力キーに応じた処理を行って、上記ステップS14のキー入力待ち状態に戻る。
【0022】再び図5に戻って、この図5に示すように文例のファイルが検索されて表示された状態で、例えばYESキー(あるいはエンターキー等)を押すと、上記反転表示された注目フレーズ42の候補群が図8に示すように候補ウィンドウ43内に表示され、候補フレーズ群の内の1つのフレーズが反転表示される。この候補ウィンドウ43は、上記本文ウィンドウ41内で上記注目フレーズ42の上方位置あるいは下方位置に表示される。注目フレーズ42が本文ウィンドウ41内の上方にあるときには候補ウィンドウ43が下方位置に表示され、注目フレーズ42が本文ウィンドウ41内の下方にあるときには候補ウィンドウ43が上方位置に表示される。この状態で、上下のカーソルキーを操作して反転表示位置を上下に移動させることができ、このとき同時に本文中の注目フレーズがこの反転表示された候補フレーズに切換表示される。
【0023】この候補ウィンドウ43が表示された状態で、所定の切換操作、例えばシフトキーを押しながら左右のカーソルキーを操作することにより、注目フレーズを切り換えることができ、同時に各注目フレーズに対応して表示される候補ウィンドウも切り換えられる。この具体例を図9のA、B、Cに示している。すなわち、図9R>9のA、B、Cは、「ご列席の皆様には、」、「若いお二人」、「の門出にあたりまして、」との各フレーズを順次反転表示させて上記注目フレーズに切り換えた状態をそれぞれ示している。図9のAでは「ご列席の皆様には、」が注目フレーズ42Aとなっており、候補ウィンドウ43A内には4候補のフレーズ群が表示されている。この状態でシフトキーを押しながら右カーソルキーを押すと、図9のBに示すように「若いお二人」のフレーズが反転表示されて注目フレーズ42Bとなり、この注目フレーズ42Bの上方位置に候補ウィンドウ43Bが開かれて対応する候補フレーズ群(3候補)が表示される。さらにシフトキーを押しながら右カーソルキーを押すと、図9のCに示すように「の門出にあたりまして、」のフレーズが反転表示されて注目フレーズ42Cとなり、対応する候補ウィンドウ43C(2候補)が表示される。また、図9のCの表示状態でシフトキーを押しながら左カーソルキーを押すと、図9のBに示す状態に移行し、さらにシフトキーを押しながら左カーソルキーを押すと、図9のAに示す表示状態に移行する。
【0024】このように、所定の1操作のキー操作を行う(例えばシフトキーを押しながら左右のカーソルキーを操作する)ことによって、上記注目フレーズ及び対応する候補フレーズ群を切り換えて表示させることができ、文章中の所定フレーズの前後の候補群を見比べられるため、文の前後のつながりを考えながら適切な候補を選択することが容易に行える。また、文章中に特定のキーワード等が含まれているかどうかを調べたいときなど、簡単に全候補を見ることができる。
【0025】次に図10において、文中に□が記載された文字列(上記フレーズ)は、□の部分が未確定であり文字を入力する必要がある。この未確定部分を含むフレーズを反転表示させて上述したような注目フレーズ42とし、YESキーを押すと上述したように候補ウィンドウ43が開き、さらにYESキーを押すとその候補フレーズが確定し、図11に示すような文字入力ウィンドウ45が現れる。この文字入力ウィンドウ45では、注目フレーズ42内の文字入力箇所(図示の例では3箇所)毎にそれぞれ1行ずつに分かれて文字入力マーク46が表示され、これらの文字入力マーク46の位置にのみ文字入力が可能である。現在文字入力が行われる位置のマーク46(図11では最下行のマーク46p)は、周期的にあるいは断続的に反転表示(いわゆるブリンク表示)され、この現在の文字入力位置は上下カーソルキーを操作することで切換変更することができる。
【0026】文字入力ウィンドウ45内の所定位置、例えば最上行には、上記現在の文字入力位置(マーク46p)に応じた入力すべき内容を示す情報(入力内容説明文)47が表示される。この入力内容情報47は、上記文例のファイル内の各フレーズのデータに関連して記録されている。実際に入力ウィンドウ45を生成する際には、文字列(フレーズ)情報中に何箇所の入力位置情報(上記□のキャラクタ)が含まれているかを数え、入力箇所と定型文とを切り分けたウィンドウを生成する。入力・編集時には、現在入力・編集作業の行われている入力箇所に対応する入力内容情報47を文字入力ウィンドウ45のメッセージ表示行(図示の例では最上行)に表示する。ここで文例のファイル内に記録するのは「商品名」のみとし、残りの部分「を入力してください」は入力ウィンドウ45の生成の際にプログラムにより自動的に付け足して表示させれば、記録容量が少なくて済む。
【0027】図12は、上記未確定部分(文字入力が必要な部分)を含むフレーズ(図10や図11の注目フレーズ42)の媒体上に記録されたデータ構造の具体例を示している。この図12において、文字入力フレーズ記録データは3つの候補フレーズに対応して3行で構成されている。これら3行の最初の行の先頭位置には例えば1バイトの入力コードINが配置され、次に1バイトずつ2個のセパレータSP、SPが配置され、漢字1字につき2バイトで入力内容情報(の一部)である「商品名」との文字列が配置され、再び入力コードINが配置されて、最初の候補フレーズである「さて、□月□日にお送り頂きました□□が、」との文字列が配置されて、候補エンドコードSEでこの行が終わっている。この行内の2個のセパレータSP、SPは、当該候補フレーズ内に3箇所の文字入力箇所が存在することを示しており、これらの各セパレータSPの前位置に入力内容情報がないことから、前の2箇所(「□月□日」の各文字入力箇所)に文字入力する際には入力内容の説明文を表示しないか、あるいは単に「データを入力してください」のような汎用の入力を促す文が表示される。3つめの入力箇所では、上記「商品名」との文字列に「を入力してください」との文字列をプログラムにより付加して表示する。次の行は、入力コードINから始まって直に「商品名」との入力内容情報(の一部)の文字列が配置され、入力コードINを介して、次の候補フレーズである「前回、当方から注文致しました□□が、」との文字列が配置され、候補エンドコードSEで終わっている。次の行は、先頭から直にもう1つの候補フレーズである「先日、貴社から御発送頂きました品が、」との文字列が配置され、フレーズエンドコードPEで終わっている。
【0028】このようなデータ構造に基づき、このフレーズが注目フレーズ(反転表示)となっているときには、所定操作を行う(例えばYESキーを押す)ことによって図10に示すように候補ウィンドウ43が開いて、図12の上記3つの各候補フレーズが読み出されて表示され、さらに所定操作を行う(YESキーを押す)ことによって、図11に示すように文字入力ウィンドウ45が開いて文字入力マーク46の位置にのみ文字入力が行え、同時に現在入力する内容についての説明文47が表示される。
【0029】以上のような文字入力ウィンドウ45を用いた入力・編集作業を行わせることにより、日付、個人名、商品名、住所等の個別事項を書き込むような定型文入力作業を和文ワードプロセッサ機能に切り換えることなく行え、便利である。これは、和文ワードプロセッサ機能への切換動作はプログラムの読み込み等のために待ち時間を要し、また、和文ワードプロセッサ機能に切り換わった状態では文章全体を容易に書き換えできるため上記個別事項を書き込む際に他の部分も書き換えてしまう危険性があることを考慮すると、上記文字入力ウィンドウ45を用いることにより、プログラム切換等の煩雑な手間を要することなく個別事項の書込が簡単に行え、しかも必要な部分(残したい部分)は書き換えられることがなく保護される。従って、誰でもが容易に間違いなく定型文入力が行える。
【0030】次に図13は、例えば現在呼び出されている文例に対応する付加情報として、いわゆる「書き方のポイント」が記載された付加情報ウィンドウ49が表示されている画面を示している。この付加情報ウィンドウ49に記載された「書き方のポイント」とは、呼び出した文例を仕上げる際のアドバイスのことであり、文例毎に異なるアドバイスが用意されている。この用意されたアドバイスが付加情報ウィンドウ49内に収まらない場合には、上下のカーソルキーを操作することで上下にスクロールさせることができる。この付加情報ウィンドウ49を開くためには、例えば専用の付加情報表示キーを設けてこれを操作するようにしてもよいが、キーの個数増加を防ぐために、例えばファンクションキーを押して表示されたポップアップメニューから「書き方のポイント」の項目を選択(反転表示させた状態でYESキーを押す等)するように設定すればよい。この付加情報は、文書作成中にいつでも画面の本文ウィンドウ41内に表示させ、確認することができる。なお、付加情報データは、例えば文例データ毎に直接持たずに間接的に持つ形態をとらせることが考えられる。
【0031】これによって、目的とする文書を作成していく際に、参考文献や図書等を併用する必要がなく、必要に応じて現在呼び出されている文例に対応する上記付加情報(書き方のポイント等)を画面に表示して確認することができ、文書作成に有益な周辺知識の情報が簡便に得られる。
【0032】次に図14、図15は、情報検索のための選択項目及び選択された項目の具体的な内容が同時に表示されている画面を示している。これらの図14、図15R>5においては、例えば尊称と謙称の表示ウィンドウ51が上記大項目メニュー34の表示の上に開かれている。この表示ウィンドウ51は、ウィンドウの名称(タイトル)が表示されるタイトル欄52と、複数の選択項目が表示される選択項目欄53と、これらの選択項目の内の選択された項目についての内容、すなわち尊称、謙称がそれぞれ表示される内容表示欄54、55とから成っている。現在選択されている項目は反転(リバース)表示された反転表示部分56となっている。この尊称と謙称の表示ウィンドウ51は、上記文書作成支援システムが読み込まれてプログラムが走っている間には、いつでも呼び出すことができる。
【0033】尊称と謙称の表示ウィンドウ51が開かれた状態においては、カーソルキーを操作して反転表示部分56を移動させ選択項目を切り換えると、内容(尊称)表示欄54にはその選択された項目の内容である尊称が、また内容(謙称)表示欄55には謙称が、それぞれ切換表示される。従って、選択項目欄53内の項目を任意に切換選択操作することで、その内容が内容表示欄54、55内に自動的に切り換えられて表示されるため、素早く各内容の確認が行えるようになる。これは、従来において、カーソルキー操作等により選択項目の1つを画面上で選択した後にエンターキーを押すこと等によって画面を切り換えて内容を表示させる操作が必要であったことを考慮すると、内容表示モードへの切換操作が不要となって手間が半減し、特に、複数の選択項目の各内容を次々と見てゆく際の操作手順が大幅に簡略化されることになる。
【0034】
【発明の効果】本発明に係る文書作成装置及び方法によれば、予め準備された複数の文例を選択し、この選択された文例に基づいて文書を作成する際に、上記各文例を検索するための階層化ディレクトリは、1つのディレクトリに項目メニューを生成するための項目メニュー生成ブロックと、上記項目メニュー生成ブロックにより指定されるデータブロックとを有し、上記項目メニュー生成ブロックは親ディレクトリの指定が可能であり、上記データブロックがディレクトリである場合には、子ディレクトリに対応する項目メニュー生成ブロックを指定し、上記データブロックがファイルである場合には、該データブロックが上記文例に対応する文例ファイルを指定し、上記文例ファイルを、2つ以上のディレクトリのそれぞれのディレクトリ内のデータブロックで指定可能とすることにより、複数の分類項目に属する文例を検索する際に、いずれの分類項目を選択しても目的とする文例に到達することができる。これは、従来において、最下位の階層の項目に達した段階で目的の文例が見当たらないときには、その上の階層やさらに上の階層に戻って検索をやり直す等の操作が必要とされていたが、本発明によれば、このような試行錯誤的な検索の手間が省かれるため、検索効率が向上する。また、本来の分類項目をそのままディレクトリ構造に反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の文書作成装置の概略構成を示すブロック回路図である。
【図2】該実施例における初期表示画面上での項目選択のための大項目メニューを示す図である。
【図3】該実施例の表示画面上での中項目メニューを示す図である。
【図4】該実施例の表示画面上での小項目メニューを示す図である。
【図5】該実施例の表示画面上での文例表示状態を示す図である。
【図6】該実施例の階層化ディレクトリの構造の一具体例を示す図である。
【図7】該実施例の文例ファイルのファイルヘッダの一具体例を示す図である。該実施例のキー操作に伴う動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】該実施例における表示文例中の注目フレーズの候補群が表示された状態を示す図である。
【図9】該実施例における表示文例中の注目フレーズの切り換えに応じて候補群が切り換え表示される状態を示す図である。
【図10】該実施例における表示文例中の文字入力箇所を含む注目フレーズの候補群が表示された状態を示す図である。
【図11】該実施例における表示文例中の注目フレーズの候補群の文字入力箇所を含む候補を選択して文字入力ウィンドウが開かれた状態を示す図である。
【図12】該実施例の文例ファイル中のフレーズのデータ構造を示す図である。
【図13】該実施例における表示文例に対応した付加情報である書き方のポイントが表示された状態を示す図である。
【図14】該実施例における情報検索のための選択項目及び選択された項目の内容が表示されている状態を示す図である。
【図15】該実施例における情報検索のための選択項目及び選択された項目の内容が表示されている状態を示す図である。
【符号の説明】
11・・・・・・・・CPU
13・・・・・・・・キーボード
21・・・・・・・・LCDコントローラ
23・・・・・・・・LCD(液晶表示装置)
26・・・・・・・・ディスクコントローラ
28・・・・・・・・フロッピィディスク装置
34・・・・・・・・大項目メニュー
36・・・・・・・・中項目メニュー
38・・・・・・・・小項目メニュー
40・・・・・・・・表示画面
41・・・・・・・・本文ウィンドウ
42・・・・・・・・注目フレーズ
43・・・・・・・・候補ウィンドウ
45・・・・・・・・文字入力ウィンドウ
47・・・・・・・・入力内容情報
49・・・・・・・・付加情報ウィンドウ
51・・・・・・・・尊称、謙称表示ウィンドウ
52・・・・・・・・タイトル欄
53・・・・・・・・選択項目欄
54、55・・・・・・・・内容表示欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】 予め準備された複数の文例を選択し、この選択された文例に基づいて文書を作成する文書作成装置において、上記各文例を検索するための階層化ディレクトリは、1つのディレクトリに項目メニューを生成するための項目メニュー生成ブロックと、上記項目メニュー生成ブロックにより指定されるデータブロックとを有し、上記項目メニュー生成ブロックは親ディレクトリの指定が可能であり、上記データブロックがディレクトリである場合には、子ディレクトリに対応する項目メニュー生成ブロックを指定し、上記データブロックがファイルである場合には、該データブロックが上記文例に対応する文例ファイルを指定し、上記文例ファイルを、2つ以上のディレクトリのそれぞれのディレクトリ内のデータブロックで指定可能とすることを特徴とする文書作成装置。
【請求項2】 予め準備された複数の文例を選択し、この選択された文例に基づいて文書を作成する文書作成方法において、上記各文例を検索するための階層化ディレクトリは、1つのディレクトリに項目メニューを生成するための項目メニュー生成ブロックと、上記項目メニュー生成ブロックにより指定されるデータブロックとを有し、上記項目メニュー生成ブロックは親ディレクトリの指定が可能であり、上記データブロックがディレクトリである場合には、子ディレクトリに対応する項目メニュー生成ブロックを指定し、上記データブロックがファイルである場合には、該データブロックが上記文例に対応する文例ファイルを指定し、上記文例ファイルを、2つ以上のディレクトリのそれぞれのディレクトリ内のデータブロックで指定可能とすることを特徴とする文書作成方法。

【図2】
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【図10】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図11】
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【図14】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図15】
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【図12】
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【図13】
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【特許番号】特許第3353304号(P3353304)
【登録日】平成14年9月27日(2002.9.27)
【発行日】平成14年12月3日(2002.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−125472
【出願日】平成3年4月27日(1991.4.27)
【公開番号】特開平4−328672
【公開日】平成4年11月17日(1992.11.17)
【審査請求日】平成10年4月27日(1998.4.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【参考文献】
【文献】特開 昭60−245070(JP,A)
【文献】特開 平2−138658(JP,A)
【文献】特開 平3−87970(JP,A)