説明

文書管理方法および装置

【課題】利用者が忘れる虞がある単なる文書の名前等によらず、効率的に文書データを保存および検索利用を可能にする文書管理方法および装置を提供する。
【解決手段】コンピュータ等である端末100にネットワークを介して行動履歴管理手段110を接続し、保存者の行動履歴情報と共に文書データを一体化して保存すると共にこの行動履歴情報一覧を表示して希望する文書データを検索可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書管理方法および装置に関し、特に行動履歴を保存および使用することにより効率的な文書の保存および検索等の文書管理を可能にする文書管理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワードプロセッサおよびその機能を有する(又はそのソフトウエアを内蔵する)パーソナルコンピュータ(PC)の普及により、今や文書の大半は電子的に作成され且つ管理される電子化文書である。また、紙に印刷された文書であっても、スキャナ等により電子的に読み取り、比較的簡単に電子化文書に変換可能である。斯かる電子的な文書作成および管理により、文書の作成、変更および保存等の管理を効率的に行うことが可能である。
【0003】
電子的な文書管理に関する従来技術は、種々の文献に開示されている。スケジュール情報に関連した文書を容易に登録でき且つ検索時には所望の文書を容易に取り出し可能な文書管理システムおよび文書管理方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、イベント情報に関連付けて文書ファイルを管理し、文書ファイルの利用性を改善する文書管理装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−231586号公報(第4−5頁、図1−図3)
【特許文献2】特開2002−245035号公報(第4−5頁、第1図)
【0005】
上述した特許文献2に示すの如き従来の文書管理装置の機能ブロック図を、図5に示す。この従来の文書管理装置1は、スケジュール管理機能部2、操作部3、カレンダ表示機能部4、イベント表示機能部5、イベント登録機能部6、ユーザチェック機能部7、ユーザ管理機能部8、文書一覧表示機能部9、文書登録機能部10、スキャン部11、文書蓄積部(又は文書蓄積機能部)12、文書印刷機能部13およびイベント通知機能部14により構成される。
【0006】
文書管理装置1を構成する各機能部の主要機能を説明する。文書登録機能部10は、文書データを文書ファイルとして蓄積管理する文書蓄積部12、スキャン部11又は通信機能の少なくとも1つから取得した文書データを、文書ファイルとして文書蓄積部12に登録させる。スケジュール管理機能部2は、各種スケジュールを管理する。カレンダ表示機能部4は、スケジュール管理機能部2と連携してその表示部(図示せず)にカレンダ情報を表示する。イベント登録機能部6は、カレンダ表示機能部4の表示部に表示されているカレンダ情報に関連付けて各種イベントを登録する。イベント表示機能部5は、スケジュール管理機能部2と連携して各種イベント情報を表示部に表示する。文書一覧表示機能部9は、文書蓄積部12が蓄積管理する文書ファイルの一覧を表示部に表示する。操作部3は、ユーザが各種指示操作を行う。
【0007】
スケジュール管理機能部2が、少なくとも文書蓄積部12に蓄積されている文書ファイルをイベント登録機能部6で登録されたイベントと関連付けて管理し、イベント表示機能部5で表示部にイベント情報が表示されている状態で、操作部3でイベントが指定されて、文書ファイルの取り出しが指示される。
【0008】
次に、図5に示す文書管理装置1の全体動作を簡単に説明する。文書管理装置1は、スキャン部11等で取得した文書データを、文書登録機能部10が文書ファイルとして文書蓄積部12に登録する。そして、カレンダ表示機能部4が表示部に表示するカレンダ情報に関連付けてイベント登録機能部6で各種イベントをスケジュール管理機能部2に登録する。すると、イベント表示機能部5が、各種イベント情報を表示する。また、文書一覧表示機能部9が文書蓄積部12の蓄積管理する文書ファイルの一覧を表示する際に、スケジュール管理機能部2が、文書蓄積部12に蓄積されている文書ファイルと関連付けて管理する。そして、イベント表示機能部5がイベント情報を表示している状態で、操作部3でイベントが指定されて文書ファイルの取り出しが指示される。そこで、文書蓄積部12から指定されたイベントに関連する文書ファイルを取り出す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した従来の文書管理装置における文書管理は、単なる電子文書の名前による管理である。そのため、名前自体を忘れがちである。また、電子文書に属性を付けたデータベースによる管理も一般的であるが、データベースの構築および運用の手間がかかるという課題があった。
【0010】
本発明は、従来技術の上述した如き課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を克服又は軽減する文書管理方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため本発明による文書管理方法および装置は次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)電子的に作成された又は書面の文書をスキャナ等により読み取り電子化して電子ファイルとして保存すると共に必要時に検索して希望する文書を読み出し利用する文書管理方法において、
前記電子文書を保存者の行動履歴情報と一体化して保存することと、該保存された行動履歴一覧を表示して希望する文書を検索可能にする文書管理方法。
【0013】
(2)前記行動履歴情報は、利用者の施設予約情報である上記(1)の文書管理方法。
【0014】
(3)前記行動履歴情報は、利用者の電話等の通信情報である上記(1)又は(2)の文書管理方法。
【0015】
(4)前記行動履歴情報は、領収書等に基づく電子的な経費清算情報である上記(1)の文書管理方法。
【0016】
(5)前記行動履歴情報は、利用者の勤怠情報である上記(1)又は(4)の文書管理方法。
【0017】
(6)前記文書データは、複数の利用者の文書データを端末等に保存し、各利用者の個人IDおよび行動履歴情報に基づき保存および検索される上記(1)乃至(5)の何れかの文書管理方法。
【0018】
(7)コンピュータ等の端末に電子化された各種文書データを保存し、利用者が適宜検索して利用する文書管理装置において、
前記端末にネットワーク等を介して接続された行動履歴管理手段を備え、該行動履歴管理手段は、個人を認証する個人認証手段、各個人の行動履歴を収集する行動履歴収集手段および個人別の行動履歴を表示する行動履歴表示手段を備える文書管理装置。
【0019】
(8)前記端末は、行動履歴を保存する行動履歴保存手段および各利用者の行動履歴を選択する行動履歴選択手段を備える上記(7)の文書管理装置。
【0020】
(9)前記行動履歴管理手段は、行動履歴データベース装置であって、通信情報を得る電話装置、施設利用情報を得る施設予約装置およびスケジュール情報を得るスケジュール装置に接続されている上記(7)又は(8)の文書管理装置。
【0021】
(10)前記行動履歴管理手段は、行動履歴データベース装置であって、交通費や交際費を電子的に清算する経費清算装置および勤怠情報を取得する勤怠管理装置に接続されている上記(7)の文書管理装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明による文書管理方法および装置によると、次の如き実用上の顕著な効果を有する。即ち、電子文書を効率的に検索可能である。その理由は、人の記憶に残り易い自己の行動履歴から連想したキーワードで検索し、電子文書を探し出すことが可能であるからである。また、領収書や診断書等の文書を電子化して効率的に管理可能である。その理由は、経費清算の必須情報である領収書や欠勤理由となる診断書を電子情報化し且つそれと関連した電子処理情報を一体化して保存するので、後で検索により探し出す等の管理を効率化するからである。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明による文書管理方法および装置の好適実施例の構成および動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
先ず、図1は、本発明による文書管理装置の第1実施例の全体構成図である。この第1実施例の文書管理装置は、プログラム制御により動作するコンピュータ(中央処理装置、プロセッサ又はデータ処理装置)である端末100、行動履歴管理手段(又は行動履歴データベース装置)110、施設予約手段(又は施設予約装置)120、通信手段(又は電話装置)130およびスケジュール管理手段(又はスケジュール装置)140により構成されている。
【0025】
ここで、行動履歴データベース装置110は、個人認証手段、行動履歴収集手段および行動履歴表示手段を含んでいる。また、端末100は、行動履歴選択手段および行動履歴保存手段を含んでいる。
【0026】
上述した各手段は、それぞれ概略次のように動作する。行動履歴データベース装置110の個人認証手段は、利用者(ユーザ)の個人IDおよび履歴情報を関連付ける手段である。行動履歴収集手段は、連携される種々のサービスシステム(図1の場合には、施設予約装置120、電話装置130およびスケジュール装置140等)から行動履歴に関連する情報を集める手段である。行動履歴表示手段は、行動履歴情報の中から利用している利用者の行動履歴情報を一覧で表示する機能である。行動履歴選択手段は、行動履歴情報の一覧から適切な行動履歴情報を選択する機能である。行動履歴表示手段は、行動履歴情報と電子文書を一体化し、1つの電子文書として保存する機能である。即ち、この文書管理装置では、施設予約装置120、電話装置130およびスケジュール装置140により、それぞれ個人の施設(病院、ホテルおよび交通機関等)利用情報、通信(又は通話)情報およびスケジュール情報を取得する。
【0027】
次に、図1および図2を参照して、本発明の文書管理装置の動作を詳細に説明する。図2は、図1中の各種装置、即ち端末100、行動履歴データベース装置110、施設予約装置120、電話装置130およびスケジュール装置140間の動作を説明するフローチャート又はシーケンス図である。
【0028】
先ず、端末100から利用者の個人IDおよび行動履歴情報を行動履歴データベース110に要求する(ステップA1)。次に、行動履歴データベース装置110は、各サービス装置、即ち施設予約装置120、電話装置130およびスケジュール装置140に該当IDの行動履歴情報を問い合わせる(ステップA2〜A4)。そして、これら各サービス装置は、それぞれ該当IDの行動履歴情報を行動履歴データベース装置110に送信する(ステップA5〜A7)。
【0029】
尚、施設予約装置120は、上述したステップA5で該当IDが行った過去の施設予約履歴情報を行動履歴データベース装置110に送信する。電話装置130は、該当IDの電話の着信履歴、発信履歴の通信記録をステップA6で行動履歴データベース装置110に送信する。スケジュール装置140は、該当IDの過去のスケジュール情報をステップA7で行動履歴データベース装置110に送信する。行動履歴情報を収集した行動履歴データベース装置110は、それを一覧で端末100に表示する(ステップA8)。最後に、行動履歴データベース装置110で選択された行動履歴情報および電子文書を1つの電子文書に統合して保存する(ステップA9)。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明による文書管理装置の第2実施例の構成および動作を、添付図(図3および図4)を参照して詳細に説明する。図3は、文書管理装置の全体構成図であり、図4は、図3中の各構成手段間の動作を説明するシーケンス図又はフローチャートである。
【0031】
図3に示す如く、本発明による文書管理装置の第2実施例は、スキャナ端末200、行動履歴管理手段(又は行動履歴データベース装置)210、経費清算手段(又は経費清算装置)220および勤怠管理手段(又は勤怠管理装置)230により構成される。
【0032】
スキャナ端末200は、プログラム制御により動作するコンピュータ(中央処理装置、プロセッサ又はデータ処理装置)および画像イメージを電子情報化できるスキャナ機能を有する。行動履歴データベース装置210は、上述した第1実施例の行動履歴データベース装置110と同様装置である。経費清算装置220は、経費をシステムで自動処理する装置である。勤怠管理装置230は、勤務時間を管理する装置である。
【0033】
スキャナ端末200は、スキャニング手段(スキャナ)、個人ID送信手段、行動履歴選択手段および行動履歴保存手段を含んでいる。また、行動履歴データベース装置210は、行動履歴情報収集手段および行動履歴一覧表示手段を含んでいる。
【0034】
これら各手段は、それぞれ概略次のように動作する。スキャナ端末200のスキャニング手段は、紙文書の画像情報を電子文書化する機能およびその電子文書情報を一時的に保管する機能を有する。個人ID送信手段は、スキャナ端末200の利用者のIDを送信する機能である。行動履歴選択手段は、行動履歴一覧表示から適切な行動履歴を選択する機能である。行動履歴保存手段は、選択された行動履歴情報および電子文書を一体化して保存する機能である。行動履歴情報収集手段は、連携されているシステムへ個人IDを送信し、該当IDの個人行動履歴を収集する機能である。行動履歴一覧表示手段は、収集した個人行動履歴を一覧で表示する機能である。
【0035】
次に、図4のフローチャートを参照して図3に示す文書管理装置の第2実施例の動作を説明する。先ず、紙文書を電子文書化し、またスキャナ端末200の使用者の個人IDを行動履歴管理データベース装置210に送信する(ステップB1)。次に、210は受け取った個人IDを各サービス端末に送信し、該当IDの個人行動履歴を要求する(ステップB2およびB3)。そして、サービス端末は該当IDの個人行動履歴を210に送信する。
【0036】
経費清算装置220は、該当IDの過去の交通費、交際費等の経費清算処理記録を送信する(ステップB4)。勤怠管理装置230は、該当IDの休暇取得や社屋への入出・退出時間等の勤怠管理情報を行動履歴データベース装置210へ送信する(ステップB5)。次に、行動履歴データベース装置210は、この送られてきた個人行動履歴情報を一覧にしてスキャナ端末200に表示する(ステップB6)。最後に、適当な行動履歴情報が選択されると、その行動履歴情報および紙文書を電子化した情報を一体化して端末240に保存する(ステップB7)。
【0037】
以上、本発明による文書管理方法および装置の好適実施例の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による文書管理装置の第1実施例の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す文書管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明による文書管理装置の第2実施例の全体構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す文書管理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】従来の文書管理装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0039】
100 端末
110、210 行動履歴データベース装置(行動履歴管理手段)
120 施設予約装置
130 電話装置
200 スキャナ端末
220 経費清算装置
230 勤怠管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的に作成された又は書面の文書をスキャナ等により読み取り電子化して電子ファイルとして保存すると共に必要時に検索して希望する文書を読み出し利用する文書管理方法において、
前記電子文書を保存者の行動履歴情報と一体化して保存することと、該保存された行動履歴一覧を表示して希望する文書を検索可能にすることを特徴とする文書管理方法。
【請求項2】
前記行動履歴情報は、利用者の施設予約情報であることを特徴とする請求項1に記載の文書管理方法。
【請求項3】
前記行動履歴情報は、利用者の電話等の通信情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の文書管理方法。
【請求項4】
前記行動履歴情報は、領収書等に基づく電子的な経費清算情報であることを特徴とする請求項1に記載の文書管理方法。
【請求項5】
前記行動履歴情報は、利用者の勤怠情報であることを特徴とする請求項1又は4に記載の文書管理方法。
【請求項6】
前記文書データは、複数の利用者の文書データを端末等に保存し、各利用者の個人IDおよび行動履歴情報に基づき保存および検索されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の文書管理方法。
【請求項7】
コンピュータ等の端末に電子化された各種文書データを保存し、利用者が適宜検索して利用する文書管理装置において、
前記端末にネットワーク等を介して接続された行動履歴管理手段を備え、該行動履歴管理手段は、個人を認証する個人認証手段、各個人の行動履歴を収集する行動履歴収集手段および個人別の行動履歴を表示する行動履歴表示手段を備えることを特徴とする文書管理装置。
【請求項8】
前記端末は、行動履歴を保存する行動履歴保存手段および各利用者の行動履歴を選択する行動履歴選択手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の文書管理装置。
【請求項9】
前記行動履歴管理手段は、行動履歴データベース装置であって、通信情報を得る電話装置、施設利用情報を得る施設予約装置およびスケジュール情報を得るスケジュール装置に接続されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の文書管理装置。
【請求項10】
前記行動履歴管理手段は、行動履歴データベース装置であって、交通費や交際費を電子的に清算する経費清算装置および勤怠情報を取得する勤怠管理装置に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の文書管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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