説明

斎場の運行計画システム

【課題】係員が霊柩車を迎えに行ったときにその場から離れることなくスマートに運行計画を変更し、参列者に対処方法を伝えられるようにする運行計画システムの提供。
【解決手段】故人名・告別室・火葬炉・利用時間を含むレコードが登録されるホストと、ホストとで通信可能に接続される棺台車の端末機と備える斎場の運行計画システムであり、告別室・火葬炉に設置され利用時間に故人名を示す表示器を備え、端末機の表示部に係員が操作する故人名確認フォームを備え、故人名確認操作を受けると空室の告別室が有無を検索し、無の場合には告別室使用不可を端末機に表示する。有の場合には告別室使用可を端末機に表示し、故人名を含む対応レコードをホストで確定させるため、対応レコードの告別室が空室のときにはその告別室の登録を維持し、対応レコードの告別室以外が空室のときには空室の告別室に登録し直す。対応レコードの利用時間を組み直して登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、告別室及び火葬炉をそれぞれ複数備えると共に告別室を火葬炉よりも少数設置してある斎場の運行計画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火葬炉を備えている斎場では、通常、建物正面の車寄せに霊柩車が到着すると、斎場の係員は、棺台車と言われる専用の台車を押して、霊柩車内の棺を迎えに行く。そして、係員は、火葬許可書を受け取ってその記載内容を確認し、所定の要件を満たしている場合には火葬の手筈を整える。
【0003】
具体的には、まず、棺が載せられた棺台車を告別室に搬送して告別式が行われる。告別式の終了後に、棺は火葬炉に運ばれて、火葬が行われる。火葬が終わると、収骨のため台車に遺骨を移してから、その遺骨を収骨室に運び、親族が遺骨を骨壷に収める。これらが行われる間、遺族を含む参列者は、待合室で待機している。
【0004】
多くの斎場では、告別室及び火葬炉が複数設けられている。そして、1日に何体もの火葬が行われる。このため、告別室及び火葬炉を故人に対して割り当てた運行計画(例えば告別室においては何室かあるうちのどれを、何時から何時まで利用するのかといった計画)が、通常、ホストコンピュータに予め登録される。
【0005】
例えば従来の運行計画用テーブルでは、故人名、告別式の開始・終了時刻と使用する告別室の番号、及び火葬の開始・終了時刻と使用する火葬炉の番号を含むレコードが複数人分登録されている(特許文献1)。
【0006】
全ての霊柩車が予定時間に斎場に到着すれば、運行計画通りに斎場を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−215727号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、予定時間より早い到着もあれば、予定時間よりも遥かに遅い到着となることも、現実にはある。従来、予定外の時間に霊柩車が到着したときには、霊柩車内の棺を迎えに行った係員が、予定外の時間にどなたが到着したのかを確認し、その旨を別室に出向いて事務員に伝え、その事務員がホストコンピュータに登録された運行計画用テーブルを変更しなければならなかった。
【0009】
使用する告別室を決めてその運行計画テーブルを変更し、係員が戻ってくるまでの間、ご遺族を含めて参列者は、待機しなければならない。しかしながら、このような場所において待機する時間は、体感的には現実よりも非常に長く感じ、参列者と斎場の間でトラブルが発生する原因になりがちである。
【0010】
本発明は上記実情を考慮して創作されたものであり、その解決しようとする課題は係員が霊柩車を迎えに行ったときにその場から離れることなくできるだけスマートに運行計画を変更しつつ、参列者に対処方法を伝えられるようにする運行計画システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、告別室及び火葬炉をそれぞれ複数備えると共に告別室を火葬炉よりも少数設置してある斎場において、運行計画用テーブルを備えるホストコンピュータであって火葬する故人名、並びに告別室及び火葬炉とこれらの利用時間を関連付けたレコードがその運行計画用テーブルには複数人分登録されるものと、棺を載せる棺台車に設置される端末機であって運行計画用テーブルの少なくとも一部を確認するためにホストコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されるものを備える斎場の運行計画システムを前提とする。
【0012】
そして、請求項1の発明は、告別室及び火葬炉にそれぞれ設置される表示器であって運行計画用テーブルに登録されたレコードを確定した場合にはその利用時間に故人名を表示するものを備え、端末機の表示部には、運行計画用テーブルに登録された未確定のレコードの故人名が表示される故人名確認フォームであって係員が行う故人名確認操作を受け付けるものを備え、故人名確認操作を受け付けると端末機又はホストコンピュータでは現在空いている告別室があるか否かを検索し、現在空いている告別室がない場合には告別室を使用できない旨を端末機に表示すると共にホストコンピュータでは故人名確認操作の受付事実に対応する故人名が含まれるレコード(以下、「対応レコード」という。)を確定させることなくそのまま維持し、現在空いている告別室がある場合には告別室を使用できる旨を端末機に表示すると共に、ホストコンピュータでは対応レコードを確定させるために、対応レコードの告別室が現在空いているときには対応レコードの利用時間については故人名確認操作時を基準にして組み直して登録すると共に、対応レコードの告別室及び火葬炉については登録を維持し、対応レコードの告別室以外が現在空いているときには対応レコードの利用時間については故人名確認操作時を基準にして組み直して登録すると共に、対応レコードの火葬炉については登録を維持すると共に対応レコードの告別室については現在空いている告別室に登録し直すことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、運行計画用テーブルは、故人名からなる故人名用レコードを登録する故人名用テーブルと、告別室及び火葬炉とこれらの利用時間を関連付けた設備用レコードを登録する設備用テーブルであって全ての設備用レコードについて使用順位を設定してあるものとを備え、1人分のレコードを構成する故人名用レコードと設備用レコードとの関連付けを当初保留してあり、告別室及び火葬炉にそれぞれ設置される表示器であって運行計画用テーブルに登録されたレコードを確定した場合にはその利用時間に故人名を表示するものを備え、端末機の表示部には、故人名用テーブルに登録された故人名用レコードの故人名が表示される故人名確認フォームであって係員が行う故人名確認操作を受け付けるものを備え、故人名確認操作を受け付けると端末機又はホストコンピュータでは現在空いている告別室があるか否かを検索し、現在空いている告別室がない場合には告別室を使用できない旨を端末機に表示すると共に、現在空いている告別室がある場合には告別室を使用できる旨を端末機に表示すると共にホストコンピュータでは運行計画用テーブルのレコードを確定させるために、故人名確認操作の受付事実に対応する故人名が含まれる故人名用レコードと、設備用テーブルに登録された設備用レコードのうち使用順位の最上位のものとを関連付けて登録すると共に、設備用レコードの利用時間については故人名確認操作時を基準にして組み直して登録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、棺台車の端末機で故人名を確認する操作を受け付けると、現在空いている告別室があるかないかを検索してその結果を端末機に表示するので、端末機を操作する係員が霊柩車を迎えに行ったその場で参列者にどうすべきかを伝えられる。つまり、少し待機すべきか、直ぐに告別室に移動して頂くべきかを伝えられる。また、端末機の操作によって、ホストコンピュータの運行計画用テーブルのレコードを確定することができるので、運行計画の変更作業も容易になる。しかも、確定したレコードに登録された利用時間には各表示器に故人名が表示されるので、参列者はその表示に従って行動することもできる。さらに、利用時間については、故人名確認操作時を基準にして組み直すので、予約時間から外れていても柔軟に対応できる。
【0015】
また、設備用レコードの使用順位が設定されている場合は、その日の何番目の儀式では、どの告別室を利用しどの火葬炉を利用するかが決まっているので、係員を含め斎場の作業員が対応しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の斎場の運行計画システムの第一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明を適用する第一例の斎場を示す平面図である。
【図3】棺台車の端末機とホストコンピュータとの関係を示す説明図である。
【図4】棺台車の全体像を示す説明図である。
【図5】運行計画システムの第一例に用いる運行計画用テーブルを示す説明図である。
【図6】棺台車の端末機に表示される故人名確認フォームを示す説明図である。
【図7】本発明を適用する第二例の斎場を示す平面図である。
【図8】本発明の斎場の運行計画システムの第二例を示すフローチャートである。
【図9】運行計画システムの第二例に用いる運行計画用テーブルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を適用する第一例の斎場には、図2に示すように、建物1の正面側に棺用入口2が設けられ、棺用入口2の前には霊柩車3を止めるための車寄せ4が設けられている。建物1内には火葬炉5が設置されると共に、告別室6及び収骨室7が設けられている。なお、図示しないが、別の場所には待合室が設けられている。火葬炉5、告別室6、収骨室7及び待合室はいずれも複数設けられ、火葬炉5及び待合室の数量は告別室6及び収骨室7のそれよりも多くなっている。ここでは、2つの火葬炉5及び待合室に対して、1つの告別室6及び収骨室7が割り当てられる関係となっている。また、火葬炉5の正面、並びに告別室6、収骨室7及び待合室の入口には、故人名を表示する表示器5a、6a、7aを設置してある。表示器5a〜7aには例えばLEDを縦横に多数きめ細かく配列したドットタイプのものを用いる。その他に、建物1内には、棺台車8を保管する保管室9、及び事務室10が設けられている。
【0018】
事務室10にはホストコンピュータ21が設置されている。ホストコンピュータ21内には運行計画システム用の専用ソフトウェアがインストールされている。また、その専用ソフトウェアを実行した際に利用するデーターベース用のソフトウェアもインストールされている。葬儀社から火葬の依頼を受けた場合に、事務員が入力装置を操作して、データーベース用のソフトウェアを実行すると、ホストコンピュータ21の表示画面に運行計画用テーブルが表示される。そして、事務員が入力装置を操作して、運行計画用テーブルに設けられた入力欄に、故人に関するデータを入力して登録する。
【0019】
運行計画用テーブルは図5に示すように、複数のレコードの集合である。各レコードは、関連付けられた複数のフィールドと呼ばれる項目で構成されている。具体的には、1件のレコードの項目は、故人名、告別室、告別室の利用時間(開始・終了時刻)、火葬炉、火葬炉の利用時間(開始・終了時刻)、待合室、待合室の利用時間(開始・終了時刻)、収骨室、収骨室の利用時間(開始・終了時刻)である。図では、11時、12時、12時30分、13時という具合に、告別室の利用を開始する時刻(霊柩車の到着予定時刻)に合わせて4つのグループに分けて登録してある。
【0020】
運行計画用テーブルは日ごとに作成される。図4に示すように、この運行計画用テーブルに登録された利用時間に、各表示器5a〜7aに故人名を表示させるために、ホストコンピュータ21と各表示器5a〜7aを有線でデータ通信可能に接続してある。また、運行計画用テーブルを、事務室10とは別の場所、つまり棺台車8の端末機8aで参照できるように、ホストコンピュータ21及び端末機8aにはデータ通信を可能とする無線用の送受信部21c、8cがそれぞれ設けられている。
【0021】
棺台車8は図3に示すように、棺を載せる台車本体8bと、コンピュータを組み込んだ端末機8aとが一体となったものである。
【0022】
端末機8aは、前述の送受信部8cのほか、タッチパネル式の表示部8dを備えている。表示部8dには、通常、メニューが表示されている。メニューは端末機8aで実行できる複数のコマンドを表示したもので、係員がタッチすることによってそのコマンドが選択されて実行される。メニューの中の故人確認フォーム用のコマンドを係員がタッチすると、図6に示すように、端末機8aの表示部8dには、故人確認フォーム8eが表示され、その中に当日の火葬予定者が表示される。つまり、運行計画用テーブルに登録されたレコードの一部である、故人名と、告別式開始予定時刻(霊柩車の到着時間)が関連付けられて、予定の早い者順に複数人分、表示される。
【0023】
運行計画システムは、運行計画用の専用ソフトウェアが組み込まれたホストコンピュータと、棺台車8の端末機8aと、火葬炉5等に設置された表示器5a〜7aとからハードウェアが構成される。専用のソフトウェアを実行すると、以下の処理ステップ(ステップ1〜ステップ11)が実行される。
【0024】
第一例の斎場に適用する運行計画システムの第一例を図1のフローチャートに基づいて説明する。
【0025】
1)まず、霊柩車3が斎場に到着すると、係員が霊柩車3を棺用入口2に誘導して応対する。そして、係員は、火葬許可書を受け取ってその記載内容を確認する。その記載内容から火葬しても良いと判断した場合には、棺台車8の端末機8aを操作して、端末機8aの表示部8dに故人確認フォーム8eを表示させ(ステップ1)、故人確認フォーム8eに表示された今日の火葬予定者を確認する。
【0026】
2)続いて、端末機8aの表示部8dのうち、火葬許可書に記載されている故人名と同じ名前をタッチすると、タッチによる故人名確認操作信号を受け付けた端末機8aが故人名確認操作の受付事実及びその故人名をホストコンピュータ21に送信する(ステップ2)。
【0027】
3)ホストコンピュータでは、故人名確認操作の受付事実及びその故人名を受信して、現在空いている告別室があるか否かを検索する(ステップ3)。具体的には既に確定しているレコードのうちから、告別室の利用時間に現在の時刻が含まれているものがあるか否かを検索する。
【0028】
4)現在空いている告別室がない場合には、ホストコンピュータは、故人名確認操作の受付事実に対応する故人名が含まれるレコード(以下「対応レコード」という。)を確定させることなく、そのまま維持する。また、ホストコンピュータは、告別室を使用できない旨を端末機に送信する(ステップ4)。
4.1)告別室を使用できない旨を受信した端末機は、その旨を表示部に一定時間出力する(ステップ5)。
4.1−1)係員は、端末機の表示部に告別室を使用できない旨が表示されたのを確認して、火葬許可書を手渡した人に、「告別室が空くまで、しばらく待機して下さい。」等と伝える。
4.1−2)一定時間経過後に告別室を使用できない旨の表示が消えると、端末機は、故人確認フォームを再度、表示部に表示する。
【0029】
5)現在空いている告別室がある場合には、その告別室は対応レコードの告別室であるか否かをホストコンピュータが判断する(ステップ6)。具体的には、ステップ3で検索したレコードの、告別室を把握し、その告別室が対応レコードの告別室であるか否かを判断する。
【0030】
6)YESの場合(現在空いている告別室が対応レコードの告別室である場合)、対応レコードのうち、告別室、火葬炉、待合室、収骨室については登録を維持し、火葬炉及び各室の利用時間については故人名確認操作の受付時を基準にして組み直して登録し、対応レコードを確定する(ステップ7)。つまり、利用時間は、火葬炉及び各室についてそれぞれ何分間、また、原則、告別室の使用開始を基準として、何分後から何分間使用するという具合に設定しておく。設定をさらに具体的に図5に基づいて説明する。告別室15分、火葬炉65分、待合室1時間35分、収骨室10分と設定する。また、火葬炉の使用開始時刻は告別室の使用開始時刻から10分後、待合室の使用開始時刻は告別室の使用開始時刻から15分後、収骨室の使用開始時刻は告別室の使用開始時刻から1時間40分後と設定する。ただし、火葬炉の利用時間は、告別室等その他の利用時間よりも格段に長時間なので、同じ火葬炉を利用する時間が重ならないように設定する。
【0031】
7)NOの場合(現在空いている告別室が対応レコードの告別室でない場合)、対応レコードのうち、告別室については現在空いている告別室に登録し直す。告別室を3つ以上設置してある斎場の場合には、現在空いている告別室が複数あることも想定され、この場合には予め優先順位を設定しておく。そして、現在空いている告別室が複数ある場合、その優先順位の上位の告別室に登録し直す。また、対応レコードのうち、火葬炉、待合室、収骨室についてはそのまま登録を維持する。さらに、火葬炉及び各室の利用時間についてはYESの場合と同様に、故人名確認操作の受付時を基準にして組み直して登録し、対応レコードを確定する(ステップ8)。そして、確定したレコードについては以後の検索対象から除外する。
【0032】
8)対応レコードの確定を受けると、ホストコンピュータは告別室を使用できる旨(告別室の番号)を端末機に送信する。また、対応レコードの確定を受けると、まず、確定した対応レコードの告別室の表示器に対して故人名を表示させる信号を出力し、その表示器に対して利用時間経過後に故人名の表示を消滅させる信号を出力する。また、確定した対応レコードの火葬炉及び他の各表示器に対して同様に信号を出力する(ステップ9)。
【0033】
9)端末機は、表示部に告別室を使用できる旨(故人名と告別室の番号)を一定時間表示する(ステップ10)。一定時間経過後に告別室を使用できる旨の表示が消えると、端末機は、故人確認フォームを再度、表示部に表示する。
10)また、各表示器は利用時間に故人名を表示し、利用時間外になると無表示となる(ステップ11)。
このような処理が霊柩車の到着ごとに繰り返される。
【0034】
本発明を適用する別の斎場には、図7に示すように、建物1の正面側に棺用入口2が複数設けられている。図では棺用入口2がA〜Cの三つ設けてある。また、端末機8aは、現在どの棺用入口2にいるのか認証できる機能を備え、各棺用入口の近傍から外れると、表示部8dに何も表示されないか、少なくとも故人確認フォーム8eについては表示されないものとしてある。例えば、棺用入口側に設置された交信機からその棺用入口が例えばAであることを各棺用入口の近傍領域にだけ送信し、その近傍領域に端末機8aが入ると、端末機8aではそれを受信して現在棺用入口Aにいることを認証する。そして、このときにのみ、表示部8dには故人確認フォーム8eが表示されるものとする。
【0035】
運行計画用テーブルは図9に示すように、故人名用テーブルと、設備用テーブルから構成され、故人名用テーブルの故人名用レコードと、設備用テーブルの設備用レコードを関連付けたものが一人分のレコードとなる。後に詳述するが、両レコードの関連付けは、当初保留(未確定を含む。)してあり、端末機からの操作を受けたときに行われる。
【0036】
葬儀社から火葬の依頼を受けた場合に、事務員が入力装置を操作して、故人名用データーベース用のソフトウェアを実行すると、ホストコンピュータの表示画面に故人名用テーブルが表示される。そして、事務員が入力装置を操作して、故人名用テーブルに設けられた故人名用レコードの入力欄に、故人名を入力して登録する。登録する際には、霊柩車の到着予定時刻に合わせて複数のグループに分けて登録する。
【0037】
また、設備用テーブルは、棺用入口、告別室、火葬炉、待合室及び収骨室並びにこれらの利用時間、使用順位を関連付けた設備用レコードの集合によって構成されている。そして、全ての設備用レコードについて使用順位が設定されている。例えば、棺用入口、告別室、火葬炉の関係についてのみ詳述すれば、下記の表1に示すように、棺用入口Aに霊柩車が止まった場合、告別室は告別の1か2を、火葬炉は1号炉〜6号炉を使う。しかも、その日の一番目に使用する告別室と火葬炉の組み合わせを告別の1と1号炉とし、二番目に使用する組み合わせを告別の2と4号炉とし、三番目を告別の1と2号炉、四番目を告別の2と5号炉、五番目を告別の1と3号炉、六番目を告別の2と6号炉という具合に設定する。従って、このような具合に棺用入口Aに対応するレコードの使用順位を決める。また、棺用入口B、Cに対応するレコードの使用順位も同様に設定する。また、各レコードは、利用時間についても仮の値(標準値)が設定されている。
【表1】

【0038】
第二例の斎場に適用する運行計画システムの第二例を図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
1)まず、霊柩車3が斎場に到着すると、係員が霊柩車を棺用入口2に誘導して応対する。棺用入口2に移動させると、棺台車8の端末機8aがどの棺用入口に着いたかを認証する(ステップ0)。ほぼ同時に何台もの霊柩車3が到着した場合に、空いている棺用入口の前に係員が誘導する。そして、係員は、火葬許可書を受け取って火葬しても良いと判断した場合には、棺台車8の端末機8aを操作して、端末機8aの表示部8dに故人確認フォーム8eを表示させ(ステップ1)、故人確認フォーム8eに表示された今日の火葬予定者を確認する。
【0040】
2)続いて、端末機8aの表示部8dのうち、火葬許可書に記載されている故人名と同じ名前をタッチすると、タッチによる故人名確認操作信号を受け付けた端末機8aが故人名確認操作の受付事実、その故人名及びどの棺用入口かをホストコンピュータ21に送信する(ステップ2)。
【0041】
3)ホストコンピュータでは、故人名確認操作の受付事実、その故人名及びどの棺用入口かを受信して、対応する棺用入口について現在空いている告別室があるか否か検索する(ステップ3)。
【0042】
4)対応する棺用入口について現在空いている告別室がない場合には、ホストコンピュータは、故人名確認操作の受付事実に対応する故人名が含まれる故人名用レコードを、設備用レコードと関連付けることなく、そのまま維持する。また、ホストコンピュータは、告別室を使用できない旨を端末機に送信する(ステップ4)。
【0043】
4.1)告別室を使用できない旨を受信した端末機は、その旨を表示部に一定時間出力する(ステップ5)。その後の係員の対応、及び端末機の表示は、第一例の4.1−1)、4.1−2)と同様である。
【0044】
5)対応する棺用入口について現在空いている告別室がある場合には、ホストコンピュータでは、故人名確認操作の受付事実に対応する故人名が含まれる故人名用レコードと、設備用テーブルに登録された設備用レコードのうち使用順位の最上位のものとを関連付けて登録すると共に、設備用レコードの利用時間については故人名確認操作時を基準にして組み直して登録し、運行計画用テーブルの1人分のレコードを確定させる(ステップ6)。
【0045】
また、確定したレコードに用いられた設備用レコードについては、以後の検索対象から除外し、レコードの確定操作時に関連付けられないようにする。さらに、関連付けを保留している設備用レコードについては、それまでの使用順位をそれぞれ1ずつ繰り上げ、例えばそれまで使用順位が2だったものを1とする。なお、確定したレコードに用いられた故人名用レコードについても、以後、故人確認フォームに表示されないように、表示対象から除外する。
【0046】
以後は、第一例の8)〜10)と同様である。つまり、8)ホストコンピュータは告別室を使用できる旨を端末機に送信し、確定したレコードの各表示器に対して利用時間に故人名を表示させる信号、消滅させる信号を出力する(ステップ7)。9)端末機は、告別室を使用できる旨を一定時間表示する(ステップ8)。10)各表示器は、利用時間に故人名を表示し、利用時間外になると無表示となる(ステップ9)。
【0047】
本発明は上記実施形態に限定されない。第二例で用いた運行計画用テーブル、つまり、設備用レコードの使用順位が設定された設備用テーブルと、故人名用テーブルを用いて後から両方のレコードを関連付けて一つのレコードとするものは、棺用入口が複数の斎場に限らず、一つの斎場に利用することもできる。この場合、棺用入口を認証する機能は端末機に不要である。また、設備用レコードにおいて棺用入口のフィールドが不要である。
【0048】
なお、故人名確認フォームを検索するのは、ホストコンピュータではなく、端末機側であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1建物 2棺用入口
3霊柩車 4車寄せ
5火葬炉 5a表示器
6告別室 6a表示器
7収骨室 7a表示器
8棺台車 8a端末機
8b台車本体 8c送受信部
8d表示部 8e故人確認フォーム
9保管室 10事務室
21ホストコンピュータ 21c送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
告別室及び火葬炉をそれぞれ複数備えると共に告別室を火葬炉よりも少数設置してある斎場において、
運行計画用テーブルを備えるホストコンピュータであって火葬する故人名、並びに告別室及び火葬炉とこれらの利用時間を関連付けたレコードがその運行計画用テーブルには複数人分登録されるものと、
棺を載せる棺台車に設置される端末機であって運行計画用テーブルの少なくとも一部を確認するためにホストコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されるものを備える斎場の運行計画システムであって、
告別室及び火葬炉にそれぞれ設置される表示器であって運行計画用テーブルに登録されたレコードを確定した場合にはその利用時間に故人名を表示するものを備え、
端末機の表示部には、運行計画用テーブルに登録された未確定のレコードの故人名が表示される故人名確認フォームであって係員が行う故人名確認操作を受け付けるものを備え、
故人名確認操作を受け付けると端末機又はホストコンピュータでは現在空いている告別室があるか否かを検索し、
現在空いている告別室がない場合には告別室を使用できない旨を端末機に表示すると共にホストコンピュータでは故人名確認操作の受付事実に対応する故人名が含まれるレコード(以下、「対応レコード」という。)を確定させることなくそのまま維持し、
現在空いている告別室がある場合には告別室を使用できる旨を端末機に表示すると共に、ホストコンピュータでは対応レコードを確定させるために、対応レコードの告別室が現在空いているときには対応レコードの利用時間については故人名確認操作時を基準にして組み直して登録すると共に、対応レコードの告別室及び火葬炉については登録を維持し、対応レコードの告別室以外が現在空いているときには対応レコードの利用時間については故人名確認操作時を基準にして組み直して登録すると共に、対応レコードの火葬炉については登録を維持すると共に対応レコードの告別室については現在空いている告別室に登録し直すことを特徴とする斎場の運行計画システム。
【請求項2】
告別室及び火葬炉をそれぞれ複数備えると共に告別室を火葬炉よりも少数設置してある斎場において、
運行計画用テーブルを備えるホストコンピュータであって火葬する故人名、並びに告別室及び火葬炉とこれらの利用時間を関連付けたレコードがその運行計画用テーブルには複数人分登録されるものと、
棺を載せる棺台車に設置される端末機であって運行計画用テーブルの少なくとも一部を確認するためにホストコンピュータとの間でデータ通信可能に接続されるものを備える斎場の運行計画システムであって、
運行計画用テーブルは、故人名からなる故人名用レコードを登録する故人名用テーブルと、告別室及び火葬炉とこれらの利用時間を関連付けた設備用レコードを登録する設備用テーブルであって全ての設備用レコードについて使用順位を設定してあるものとを備え、1人分のレコードを構成する故人名用レコードと設備用レコードとの関連付けを当初保留してあり、
告別室及び火葬炉にそれぞれ設置される表示器であって運行計画用テーブルに登録されたレコードを確定した場合にはその利用時間に故人名を表示するものを備え、
端末機の表示部には、故人名用テーブルに登録された故人名用レコードの故人名が表示される故人名確認フォームであって係員が行う故人名確認操作を受け付けるものを備え、
故人名確認操作を受け付けると端末機又はホストコンピュータでは現在空いている告別室があるか否かを検索し、
現在空いている告別室がない場合には告別室を使用できない旨を端末機に表示すると共に、
現在空いている告別室がある場合には告別室を使用できる旨を端末機に表示すると共にホストコンピュータでは運行計画用テーブルのレコードを確定させるために、故人名確認操作の受付事実に対応する故人名が含まれる故人名用レコードと、設備用テーブルに登録された設備用レコードのうち使用順位の最上位のものとを関連付けて登録すると共に、設備用レコードの利用時間については故人名確認操作時を基準にして組み直して登録することを特徴とする斎場の運行計画システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−118816(P2011−118816A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277578(P2009−277578)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000141808)株式会社宮本工業所 (22)