斜面上直接基礎の支持力評価方法
【課題】斜面の影響による支持力低下率を速度場法によって求めることを基本とし、これに三次元効果を適性に考慮する。
【解決手段】直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求めるとともに、前記直接基礎を三次元モデルとして同様に、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求める。前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率βC(ζ3/ζ2)を求め、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求める。
【解決手段】直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求めるとともに、前記直接基礎を三次元モデルとして同様に、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求める。前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率βC(ζ3/ζ2)を求め、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切土などの斜面近傍に設置された直接基礎の圧縮支持力を、速度場法を基本として、三次元的効果を考慮しながら評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切土などの斜面近傍に設置される直接基礎の支持力は、斜面の影響により水平地盤に設置される直接基礎の支持力と比較して大幅に低下することが分かっている。斜面の影響は、斜面の傾斜角、法肩までの距離、斜面高さなどであるが、これらのパラメータの影響を評価する手法としては、従来より(1)極限釣り合い法、(2)すべり解析法、(3)極限解析法などの解析手法が用いられている。前記極限釣り合い法は、剛体すべりを仮定した静的な力の釣り合い問題として定式化し、すべり形状と位置を変化させて、最小となる支持力値を求める方法であり、後述のBishop法はこれに属する。前記すべり解析法は、連続体力学で定義する力の釣り合いと破壊基準式の両者を満たす塑性平衡応力を、すべり線に沿う連立常微分方程式から、与えられた境界条件で解く方法であり、後述のMeyerhof法はこれに属する。前記極限解析法は連続体力学で破壊問題を扱う上で正解との関係を明確にし得る方法であり、力の釣り合い、ひずみの適合、および剛塑性体を仮定しかつ関連流れ則に従う構成関係の3つを満たす正解値に対して、可容速度場を設定してひずみの適合と構成関係のみを満たす上界値、可容速度場を設定して力の釣り合いと構成関係を満たす下界値を求めるものである。
【0003】
上記上界値を求める方法は「速度場法」と呼ばれる方法であり、下記非特許文献1では、図1に示されるように、速度場法の破壊メカニズムを、△ABEが主働くさび、CBはEを極とする対数らせん、CDは斜面法面に達する直線とし、これを速度の不連続場と仮定し、上界値計算を行うことによって、傾斜地盤上の基礎の支持力を計算することが提案されている。同文献では、速度場法の計算結果を水平地盤の支持力に対する低減率μとしてまとめ、傾斜地盤における直接基礎の支持力は、水平地盤での支持力qを算出したなら、これに低減率μを乗じることにより求める手法が提案されている。
【0004】
一方、前記低減率μに関して、法肩までの距離をパラメータとして水平地盤に対する支持力低下率のグラフが下記非特許文献2に示されている。同グラフは、図12に示されるように、横軸を法肩までの距離比αS(法肩までの離隔距離/基礎幅)とし、縦軸を水平地盤に対する支持力低下率ζS0としたもので、速度場法による解析結果とともに、他の解析方法及び実験値が掲載されている。
【非特許文献1】日下部治、”斜面上直接基礎の支持力評価に関する計算”、「土と基礎」、vol33,No2,1985,p.7〜12
【非特許文献2】日本建築学会、”建築基礎構造設計指針”、2001、p119
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12に示される、法肩までの距離比αS(法肩までの離隔距離/基礎幅)−水平地盤に対する支持力低下率ζS0のグラフから、速度場法による解析結果は、他の解析手法(Meyerhof法、Bishop法、Gemperline式)や実験値よりも下限側の低下率を示しており、斜面による影響を過大に評価していることが分かる。
【0006】
これは、前記速度場法による解析は、2次元平面ひずみモデルとして取り扱っているためであり、所謂三次元効果による支持力の増加分が考慮されていない。前記三次元効果による支持力増大は、二次元モデルで描かれる地盤の破壊面の他に、側面抵抗を考慮した支持力の増分などが挙げられる。更には、基礎の根入れ抵抗などが考慮されていないことも原因として挙げられる。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、斜面の影響による支持力低下率を速度場法によって求めることを基本とし、これに三次元効果を考慮して斜面上直接基礎の支持力を評価する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、斜面近傍に設置される直接基礎の圧縮支持力を評価するための方法であって、
速度場法に基づき、前記直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)を算定するステップと、
前記直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求めるステップと、
前記直接基礎を三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求めるステップと、
前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)を求め、この比率(ζ3/ζ2)を三次元補正係数(βC)として設定し、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるステップと、を有することを特徴とする斜面上直接基礎の支持力評価方法が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の発明は、速度場法で求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)は、二次元平面ひずみ問題として取り扱ったモデルで支持力を求めるものであり、二次元の支持力問題に対しては良く整合することが既往の模型実験等から確認されている。従って、斜面の影響による支持力低下率を速度場法によって求めることを基本とした上で、三次元効果を適性に評価するため、遠心模型実験に基づいて三次元効果による補正係数(βC)を求め、これを前記速度場法で求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)に乗算することによって、斜面上直接基礎の支持力を適性に評価するものである。
【0010】
前記三次元補正係数(βC)の算出は、対象の直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求め、かつ前記直接基礎を三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求め、両者の比率(ζ3/ζ2)を求めれば、現実に近い形で三次元効果による割増率を適性に評価することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明として、前記直接基礎の二次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を模型幅として作製したモデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法が提供される。
【0012】
請求項3に係る本発明として、前記直接基礎の三次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を前記斜面近傍に設置される直接基礎を再現した相似モデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上詳説のとおり本発明によれば、斜面の影響による支持力低下率を速度場法によって求めることを基本とした上で、これに三次元効果を適性に考慮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0015】
〔速度場法による支持力算定〕
以下、上記非特許文献1において提案されている、速度場法によって斜面直接基礎の支持力を算定する手順について述べる。
【0016】
1.水平地盤の支持力
基礎幅(B)に作用する外力(q)の成す仕事は、単位体積重量(γ)の土塊に運動を与え、その土塊が地球の重力に対してなす仕事の成分と、運動する土塊各要素間の相対的速度差とそこでの粘着力(c)とによって土塊内部で消散される内部消散の成分との和に等しい。すなわち、L、M、Nを係数として式に表現すれば下式(1)のようになる。
【数1】
【0017】
上式(1)を外力qについて整理すれば、下式(2)となる。
【数2】
【0018】
上式(2)は一般良く知られたテルツァーギの支持力公式である。上式(2)中、Nc、Nγは、破壊のメカニズムを数学的に表現する幾何学的パラメータと、土の材料物性値φを含んだ関数として表現されるもので下式(3)、(4)によって求めることができる。
【数3】
【0019】
【数4】
【0020】
2.速度場法による支持力算定
上界定理に従い、最小のqが正解値に最も近いことが保証されているので、qを幾何学的パラメータに関して最小化を行えばよいことになる。速度場法による破壊メカニズムの模式図を図1に示す。三角形ABEは主働くさび、BCはEを極とする対数らせん、CDは斜面法面に達する直線である。主働くさび底角ωを45°+π/2と仮定すると、支持力qは、過渡領域の角度θをパラメータとして、斜面勾配β、法肩までの距離(α・B)と、基礎幅(B)との比α(以下、離隔距離比という。)を含め次式(5)で示される。
【数5】
【0021】
ここで、 lCD:直線CDの長さ
SCDEF:四辺形CDEFの面積
以上より、速度場法に基づき、前記直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)を算定するには、斜面上の基礎について、水平地盤と仮定した場合の支持力qを求め、速度場法によって斜面地盤とした場合の支持力qsを求め、両者の比率を下式(6)によって求めればよい。
【数6】
【0022】
仮に、基礎条件を基礎幅B:2.4m、基礎の根入れ深さDf:3.7mとし、地盤条件をc=0、φ=40.6度、γ=15.7kN/m3とし、斜面角度は35°とする条件の下で、上式(5)に基礎の根入れ深さの効果を考慮して、速度場法による解析によって、横軸を離隔距離比α、縦軸を水平地盤に対する支持力比ζ1としたグラフを描けば、図2のようになる。
【0023】
〔遠心模型実験〕
遠心模型実験は、遠心力載荷装置によって、重力加速度(1G)のN倍の遠心加速度((1×N)G)を作用させた1/N模型を用いて行われる模型実験で、遠心加速度を模型に作用させることで、模型内に生じる応力状態を実物と等価な状態とするものである。
【0024】
前記遠心模型実験では、前記直接基礎を直接基礎の奥行き幅を模型幅として作製することにより二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求める。
【0025】
また、前記直接基礎の奥行き幅を前記斜面近傍に設置される直接基礎を再現した相似モデルとすることにより三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求める。
【0026】
〔三次元効果を考慮した支持力算定〕
上記遠心模型実験により、前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)を求めたならば、この比率(ζ3/ζ2)を三次元補正係数(βC)として設定し、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるようにする。
【実施例】
【0027】
1.二次元の遠心模型モデル
図2に示される、速度場法により水平地盤に対する支持力比ζ1を求めた基礎条件(基礎幅B:2.4m、基礎の根入れ深さDf:3.7m)、地盤条件(c=0、φ=40.6度、γ=15.7kN/m3)及び斜面条件(斜面角度=35°)の下で、二次元の遠心模型モデルを作製した。遠心模型モデルの縮尺は1/40モデルとし、二次元モデルとするために直接基礎の奥行き幅を模型幅とし、図3に示されるように、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤モデル(Case-1)と、図4に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを180mmとして離隔距離比αがα=3(b/B=180mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-2)との2つの遠心模型モデルを作製した(下表1参照)。
【表1】
【0028】
2.三次元の遠心模型モデル
同じく図2に示される、速度場法により水平地盤に対する支持力比ζ1を求めた基礎条件(基礎幅B:2.4m、基礎の根入れ深さDf:3.7m)、地盤条件(c=0、φ=40.6度、γ=15.7kN/m3)及び斜面条件(斜面角度=35°)の下で、三次元の遠心模型モデルを作製した。遠心模型モデルの縮尺は1/40モデルとし、三次元モデルとするために直接基礎の奥行き幅を実際に設置される直接基礎を再現した半断面の相似モデルとし、図5に示されるように、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤モデル(Case-3)と、図6に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを90mmとして離隔距離比αがα=1.5(b/B=90mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-4)と、図7に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを180mmとして離隔距離比αがα=3.0(b/B=180mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-5)と、図8に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを270mmとして離隔距離比αがα=4.5(b/B=270mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-6)との4つの遠心模型モデルを作製した(下表2参照)。
【表2】
【0029】
3.遠心模型実験の結果
(1)二次元モデル
図9に二次元モデルの遠心模型実験の結果を示す。二次元モデルの場合は、模型を観察すると、すべり線がはっきりと形成され、全般破壊に近い破壊モードを示している。図9のグラフでも変曲点が明確に現れており、水平地盤に対する支持力比ζ2は、ζ2=0.65(26.0kN/40.0kN)であった。なお、歪みレベルは変曲点(破壊点)がみられる範囲で約12〜17%である。
【0030】
(2)三次元モデル
図10に三次元モデルの遠心模型実験の結果を示す。三次元モデルの場合は、荷重変位の明確な変曲点は現れず緩やかに上昇する曲線を描いている。つまり、三次元モードの場合は、局所的に破壊が進展する局所破壊モードを示しているため変曲点が現れなかったと推察される。
【0031】
二次元モードとの対比が可能な離隔距離比(b/B)が3.0のCase-5について支持力比ζ3を求める。三次元モードでは、変曲点が現れていないため、支持力比ζ3は、歪みレベル10%の位置と、30%の位置とについて求める。歪みレベル10%における水平地盤に対する支持力比ζ3(10)は、ζ3(10)=0.85(7.0kN/8.2kN)であり、歪みレベル30%における水平地盤に対する支持力比ζ3(30)は、ζ3(30)=0.75(12.2kN/16.2kN)であった。
【0032】
4.三次元効果の補正係数の算出
上記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)(三次元補正係数βC)をまとめると下表3のようになる。
【表3】
【0033】
上表3のとおり、三次元モデルの歪みレベル10%では、三次元補正係数βCは、βC=1.30となり、三次元モデルの歪みレベル30%では、三次元補正係数βCは、βC=1.15となる。本実施例では、歪みレベル10%と30%について三次元補正係数βCを算出したが、歪みレベルは、対象とする構造物の重要度や許容変位量などを考慮して、設計者が適切な歪みレベルを設定すればよい。
【0034】
5.速度場法に対する適用
三次元補正係数βCを算出したならば、速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めることができる。具体的には、図11に示されるように、速度場法によって求めた水平地盤に対する支持力比ζ1の直線勾配を1.30倍、1.15倍した直線を描けば、三次元効果を考慮した支持力比の直線勾配となる。
【0035】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるようにしたが、速度場法による解析によって直接的に求めた支持力に対して、前記三次元補正係数βCを乗じて、斜面上基礎における支持力を求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】速度場法による破壊メカニズムの模式図である。
【図2】速度場法によって求めた、離隔距離比−水平地盤に対する支持力比ζ1のグラフである。
【図3】二次元モデル条件で作製した水平地盤モデル(Case-1)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図4】二次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-2)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図5】三次元モデル条件で作製した水平地盤モデル(Case-3)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図6】三次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-4)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図7】三次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-5)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図8】三次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-6)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図9】二次元モデルの遠心模型実験結果を示すグラフである。
【図10】三次元モデルの遠心模型実験結果を示すグラフである。
【図11】速度場法による水平地盤に対する支持力比ζ1を三次元効果を考慮して補正したグラフである。
【図12】速度場法による解法結果と、他の解析方法等とを対比した水平地盤に対する支持力低下率グラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、切土などの斜面近傍に設置された直接基礎の圧縮支持力を、速度場法を基本として、三次元的効果を考慮しながら評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切土などの斜面近傍に設置される直接基礎の支持力は、斜面の影響により水平地盤に設置される直接基礎の支持力と比較して大幅に低下することが分かっている。斜面の影響は、斜面の傾斜角、法肩までの距離、斜面高さなどであるが、これらのパラメータの影響を評価する手法としては、従来より(1)極限釣り合い法、(2)すべり解析法、(3)極限解析法などの解析手法が用いられている。前記極限釣り合い法は、剛体すべりを仮定した静的な力の釣り合い問題として定式化し、すべり形状と位置を変化させて、最小となる支持力値を求める方法であり、後述のBishop法はこれに属する。前記すべり解析法は、連続体力学で定義する力の釣り合いと破壊基準式の両者を満たす塑性平衡応力を、すべり線に沿う連立常微分方程式から、与えられた境界条件で解く方法であり、後述のMeyerhof法はこれに属する。前記極限解析法は連続体力学で破壊問題を扱う上で正解との関係を明確にし得る方法であり、力の釣り合い、ひずみの適合、および剛塑性体を仮定しかつ関連流れ則に従う構成関係の3つを満たす正解値に対して、可容速度場を設定してひずみの適合と構成関係のみを満たす上界値、可容速度場を設定して力の釣り合いと構成関係を満たす下界値を求めるものである。
【0003】
上記上界値を求める方法は「速度場法」と呼ばれる方法であり、下記非特許文献1では、図1に示されるように、速度場法の破壊メカニズムを、△ABEが主働くさび、CBはEを極とする対数らせん、CDは斜面法面に達する直線とし、これを速度の不連続場と仮定し、上界値計算を行うことによって、傾斜地盤上の基礎の支持力を計算することが提案されている。同文献では、速度場法の計算結果を水平地盤の支持力に対する低減率μとしてまとめ、傾斜地盤における直接基礎の支持力は、水平地盤での支持力qを算出したなら、これに低減率μを乗じることにより求める手法が提案されている。
【0004】
一方、前記低減率μに関して、法肩までの距離をパラメータとして水平地盤に対する支持力低下率のグラフが下記非特許文献2に示されている。同グラフは、図12に示されるように、横軸を法肩までの距離比αS(法肩までの離隔距離/基礎幅)とし、縦軸を水平地盤に対する支持力低下率ζS0としたもので、速度場法による解析結果とともに、他の解析方法及び実験値が掲載されている。
【非特許文献1】日下部治、”斜面上直接基礎の支持力評価に関する計算”、「土と基礎」、vol33,No2,1985,p.7〜12
【非特許文献2】日本建築学会、”建築基礎構造設計指針”、2001、p119
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12に示される、法肩までの距離比αS(法肩までの離隔距離/基礎幅)−水平地盤に対する支持力低下率ζS0のグラフから、速度場法による解析結果は、他の解析手法(Meyerhof法、Bishop法、Gemperline式)や実験値よりも下限側の低下率を示しており、斜面による影響を過大に評価していることが分かる。
【0006】
これは、前記速度場法による解析は、2次元平面ひずみモデルとして取り扱っているためであり、所謂三次元効果による支持力の増加分が考慮されていない。前記三次元効果による支持力増大は、二次元モデルで描かれる地盤の破壊面の他に、側面抵抗を考慮した支持力の増分などが挙げられる。更には、基礎の根入れ抵抗などが考慮されていないことも原因として挙げられる。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、斜面の影響による支持力低下率を速度場法によって求めることを基本とし、これに三次元効果を考慮して斜面上直接基礎の支持力を評価する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、斜面近傍に設置される直接基礎の圧縮支持力を評価するための方法であって、
速度場法に基づき、前記直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)を算定するステップと、
前記直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求めるステップと、
前記直接基礎を三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求めるステップと、
前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)を求め、この比率(ζ3/ζ2)を三次元補正係数(βC)として設定し、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるステップと、を有することを特徴とする斜面上直接基礎の支持力評価方法が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の発明は、速度場法で求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)は、二次元平面ひずみ問題として取り扱ったモデルで支持力を求めるものであり、二次元の支持力問題に対しては良く整合することが既往の模型実験等から確認されている。従って、斜面の影響による支持力低下率を速度場法によって求めることを基本とした上で、三次元効果を適性に評価するため、遠心模型実験に基づいて三次元効果による補正係数(βC)を求め、これを前記速度場法で求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)に乗算することによって、斜面上直接基礎の支持力を適性に評価するものである。
【0010】
前記三次元補正係数(βC)の算出は、対象の直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求め、かつ前記直接基礎を三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求め、両者の比率(ζ3/ζ2)を求めれば、現実に近い形で三次元効果による割増率を適性に評価することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明として、前記直接基礎の二次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を模型幅として作製したモデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法が提供される。
【0012】
請求項3に係る本発明として、前記直接基礎の三次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を前記斜面近傍に設置される直接基礎を再現した相似モデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上詳説のとおり本発明によれば、斜面の影響による支持力低下率を速度場法によって求めることを基本とした上で、これに三次元効果を適性に考慮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0015】
〔速度場法による支持力算定〕
以下、上記非特許文献1において提案されている、速度場法によって斜面直接基礎の支持力を算定する手順について述べる。
【0016】
1.水平地盤の支持力
基礎幅(B)に作用する外力(q)の成す仕事は、単位体積重量(γ)の土塊に運動を与え、その土塊が地球の重力に対してなす仕事の成分と、運動する土塊各要素間の相対的速度差とそこでの粘着力(c)とによって土塊内部で消散される内部消散の成分との和に等しい。すなわち、L、M、Nを係数として式に表現すれば下式(1)のようになる。
【数1】
【0017】
上式(1)を外力qについて整理すれば、下式(2)となる。
【数2】
【0018】
上式(2)は一般良く知られたテルツァーギの支持力公式である。上式(2)中、Nc、Nγは、破壊のメカニズムを数学的に表現する幾何学的パラメータと、土の材料物性値φを含んだ関数として表現されるもので下式(3)、(4)によって求めることができる。
【数3】
【0019】
【数4】
【0020】
2.速度場法による支持力算定
上界定理に従い、最小のqが正解値に最も近いことが保証されているので、qを幾何学的パラメータに関して最小化を行えばよいことになる。速度場法による破壊メカニズムの模式図を図1に示す。三角形ABEは主働くさび、BCはEを極とする対数らせん、CDは斜面法面に達する直線である。主働くさび底角ωを45°+π/2と仮定すると、支持力qは、過渡領域の角度θをパラメータとして、斜面勾配β、法肩までの距離(α・B)と、基礎幅(B)との比α(以下、離隔距離比という。)を含め次式(5)で示される。
【数5】
【0021】
ここで、 lCD:直線CDの長さ
SCDEF:四辺形CDEFの面積
以上より、速度場法に基づき、前記直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)を算定するには、斜面上の基礎について、水平地盤と仮定した場合の支持力qを求め、速度場法によって斜面地盤とした場合の支持力qsを求め、両者の比率を下式(6)によって求めればよい。
【数6】
【0022】
仮に、基礎条件を基礎幅B:2.4m、基礎の根入れ深さDf:3.7mとし、地盤条件をc=0、φ=40.6度、γ=15.7kN/m3とし、斜面角度は35°とする条件の下で、上式(5)に基礎の根入れ深さの効果を考慮して、速度場法による解析によって、横軸を離隔距離比α、縦軸を水平地盤に対する支持力比ζ1としたグラフを描けば、図2のようになる。
【0023】
〔遠心模型実験〕
遠心模型実験は、遠心力載荷装置によって、重力加速度(1G)のN倍の遠心加速度((1×N)G)を作用させた1/N模型を用いて行われる模型実験で、遠心加速度を模型に作用させることで、模型内に生じる応力状態を実物と等価な状態とするものである。
【0024】
前記遠心模型実験では、前記直接基礎を直接基礎の奥行き幅を模型幅として作製することにより二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求める。
【0025】
また、前記直接基礎の奥行き幅を前記斜面近傍に設置される直接基礎を再現した相似モデルとすることにより三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求める。
【0026】
〔三次元効果を考慮した支持力算定〕
上記遠心模型実験により、前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)を求めたならば、この比率(ζ3/ζ2)を三次元補正係数(βC)として設定し、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるようにする。
【実施例】
【0027】
1.二次元の遠心模型モデル
図2に示される、速度場法により水平地盤に対する支持力比ζ1を求めた基礎条件(基礎幅B:2.4m、基礎の根入れ深さDf:3.7m)、地盤条件(c=0、φ=40.6度、γ=15.7kN/m3)及び斜面条件(斜面角度=35°)の下で、二次元の遠心模型モデルを作製した。遠心模型モデルの縮尺は1/40モデルとし、二次元モデルとするために直接基礎の奥行き幅を模型幅とし、図3に示されるように、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤モデル(Case-1)と、図4に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを180mmとして離隔距離比αがα=3(b/B=180mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-2)との2つの遠心模型モデルを作製した(下表1参照)。
【表1】
【0028】
2.三次元の遠心模型モデル
同じく図2に示される、速度場法により水平地盤に対する支持力比ζ1を求めた基礎条件(基礎幅B:2.4m、基礎の根入れ深さDf:3.7m)、地盤条件(c=0、φ=40.6度、γ=15.7kN/m3)及び斜面条件(斜面角度=35°)の下で、三次元の遠心模型モデルを作製した。遠心模型モデルの縮尺は1/40モデルとし、三次元モデルとするために直接基礎の奥行き幅を実際に設置される直接基礎を再現した半断面の相似モデルとし、図5に示されるように、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤モデル(Case-3)と、図6に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを90mmとして離隔距離比αがα=1.5(b/B=90mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-4)と、図7に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを180mmとして離隔距離比αがα=3.0(b/B=180mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-5)と、図8に示されるように、斜面条件を法肩までの距離bを270mmとして離隔距離比αがα=4.5(b/B=270mm/60mm))となるようにした斜面地盤モデル(Case-6)との4つの遠心模型モデルを作製した(下表2参照)。
【表2】
【0029】
3.遠心模型実験の結果
(1)二次元モデル
図9に二次元モデルの遠心模型実験の結果を示す。二次元モデルの場合は、模型を観察すると、すべり線がはっきりと形成され、全般破壊に近い破壊モードを示している。図9のグラフでも変曲点が明確に現れており、水平地盤に対する支持力比ζ2は、ζ2=0.65(26.0kN/40.0kN)であった。なお、歪みレベルは変曲点(破壊点)がみられる範囲で約12〜17%である。
【0030】
(2)三次元モデル
図10に三次元モデルの遠心模型実験の結果を示す。三次元モデルの場合は、荷重変位の明確な変曲点は現れず緩やかに上昇する曲線を描いている。つまり、三次元モードの場合は、局所的に破壊が進展する局所破壊モードを示しているため変曲点が現れなかったと推察される。
【0031】
二次元モードとの対比が可能な離隔距離比(b/B)が3.0のCase-5について支持力比ζ3を求める。三次元モードでは、変曲点が現れていないため、支持力比ζ3は、歪みレベル10%の位置と、30%の位置とについて求める。歪みレベル10%における水平地盤に対する支持力比ζ3(10)は、ζ3(10)=0.85(7.0kN/8.2kN)であり、歪みレベル30%における水平地盤に対する支持力比ζ3(30)は、ζ3(30)=0.75(12.2kN/16.2kN)であった。
【0032】
4.三次元効果の補正係数の算出
上記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)(三次元補正係数βC)をまとめると下表3のようになる。
【表3】
【0033】
上表3のとおり、三次元モデルの歪みレベル10%では、三次元補正係数βCは、βC=1.30となり、三次元モデルの歪みレベル30%では、三次元補正係数βCは、βC=1.15となる。本実施例では、歪みレベル10%と30%について三次元補正係数βCを算出したが、歪みレベルは、対象とする構造物の重要度や許容変位量などを考慮して、設計者が適切な歪みレベルを設定すればよい。
【0034】
5.速度場法に対する適用
三次元補正係数βCを算出したならば、速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めることができる。具体的には、図11に示されるように、速度場法によって求めた水平地盤に対する支持力比ζ1の直線勾配を1.30倍、1.15倍した直線を描けば、三次元効果を考慮した支持力比の直線勾配となる。
【0035】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるようにしたが、速度場法による解析によって直接的に求めた支持力に対して、前記三次元補正係数βCを乗じて、斜面上基礎における支持力を求めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】速度場法による破壊メカニズムの模式図である。
【図2】速度場法によって求めた、離隔距離比−水平地盤に対する支持力比ζ1のグラフである。
【図3】二次元モデル条件で作製した水平地盤モデル(Case-1)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図4】二次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-2)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図5】三次元モデル条件で作製した水平地盤モデル(Case-3)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図6】三次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-4)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図7】三次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-5)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図8】三次元モデル条件で作製した斜面地盤モデル(Case-6)を示す、(A)は模型平面図、(B)は模型側面図である。
【図9】二次元モデルの遠心模型実験結果を示すグラフである。
【図10】三次元モデルの遠心模型実験結果を示すグラフである。
【図11】速度場法による水平地盤に対する支持力比ζ1を三次元効果を考慮して補正したグラフである。
【図12】速度場法による解法結果と、他の解析方法等とを対比した水平地盤に対する支持力低下率グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面近傍に設置される直接基礎の圧縮支持力を評価するための方法であって、
速度場法に基づき、前記直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)を算定するステップと、
前記直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求めるステップと、
前記直接基礎を三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求めるステップと、
前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)を求め、この比率(ζ3/ζ2)を三次元補正係数(βC)として設定し、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるステップと、を有することを特徴とする斜面上直接基礎の支持力評価方法。
【請求項2】
前記直接基礎の二次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を模型幅として作製したモデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法。
【請求項3】
前記直接基礎の三次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を前記斜面近傍に設置される直接基礎を再現した相似モデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法。
【請求項1】
斜面近傍に設置される直接基礎の圧縮支持力を評価するための方法であって、
速度場法に基づき、前記直接基礎の水平地盤に対する支持力比(ζ1)を算定するステップと、
前記直接基礎を二次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ2)を求めるステップと、
前記直接基礎を三次元モデルとし、周辺地盤を水平地盤とする条件で作製した水平地盤模型と、前記斜面を再現した地盤条件で作製した斜面地盤模型とについて夫々、遠心模型実験を行い、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比(ζ3)を求めるステップと、
前記二次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ2と、三次元モデルにおける水平地盤に対する支持力比ζ3との比率(ζ3/ζ2)を求め、この比率(ζ3/ζ2)を三次元補正係数(βC)として設定し、前記速度場法によって求めた直接基礎の水平地盤に対する支持力比ζ1に乗算することによって三次元効果を考慮した直接基礎の水平地盤に対する支持力比(βC・ζ1)を求めるステップと、を有することを特徴とする斜面上直接基礎の支持力評価方法。
【請求項2】
前記直接基礎の二次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を模型幅として作製したモデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法。
【請求項3】
前記直接基礎の三次元モデルは、直接基礎の奥行き幅を前記斜面近傍に設置される直接基礎を再現した相似モデルである請求項1記載の斜面上直接基礎の支持力評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−223251(P2008−223251A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59413(P2007−59413)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
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