断熱材および加熱調理器
【課題】耐熱性と、断熱性とが良好な断熱材およびその断熱材を備える加熱調理器を提供すること。
【解決手段】断熱材150が、積層した複数層の長繊維のシート状のガラス繊維の層301と、互いに隣接するガラス繊維の層301を固着すると共に、散点状に存在するデンプン302とを備えるようにする。
【解決手段】断熱材150が、積層した複数層の長繊維のシート状のガラス繊維の層301と、互いに隣接するガラス繊維の層301を固着すると共に、散点状に存在するデンプン302とを備えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材に関し、例えば、加熱調理器等に用いられると好適な断熱材に関する。また、本発明は、上記断熱材を備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器としては、特開2010−115473号公報(特許文献1)に記載されているものがある。この加熱調理器は、加熱室の外部に遮熱ケースを設け、加熱室と遮熱ケースとの間に断熱材を配置している。上記断熱材は、所定量の長繊維のガラス繊維からなっている。上記所定量のガラス繊維は、圧縮された後、針打ちで目止めがされて互いに絡まされて、一体化されている。
【0003】
上記断熱材は、長繊維のガラス繊維からなっているから、短繊維のガラス繊維からなる断熱材よりも、耐熱温度が格段に高くて、使用温度領域が高い加熱調理器の使用に優れている。しかしながら、上記断熱材は、一体化するのに、圧縮されなければならないから、ガラス繊維の密度が、圧縮によって高くなって、空気の層が小さくなって、断熱性が低くなるのを避けがたいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−115473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、耐熱性と、断熱性との両方が良好な断熱材およびその断熱材を備える加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、
積層された複数のシート状の層を備え、
上記各シート状の層は、長繊維のガラス繊維を含み、
互いに隣接する上記シート状の層は、接着剤によって接着されていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、断熱材が、長繊維のガラス繊維を含んでいるから、耐熱性を優れたものにすることができる。
【0008】
また、本発明によれば、長繊維のガラス繊維を含む複数のシート状の層を接着剤で接着して積層する構成であるから、所定の量のガラス繊維を一体化するのに、ガラス繊維を圧縮する必要がなく、かつ、各シート状の層の密度を適宜自由に調整することができて、断熱材の密度を、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材の密度よりも低くすることができる。したがって、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材よりも空隙を大きくすることができるから、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材と比較して断熱性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明によれば、断熱材の密度を、従来の断熱材の密度よりも低くできるから、断熱材を軽量化することができる。したがって、断熱材の材料コストならびに運搬コストを低減できると共に、断熱材を使用する製品の軽量化を実現できる。
【0010】
また、一実施形態では、
上記接着剤は、上記シート状の層の表面上に散点状に存在している。
【0011】
上記実施形態によれば、接着剤が、シート状の層の表面上に散点状に存在しているから、シート状の層同士の接触面積を小さくすることができて、伝熱経路を小さくできる。また、シート状の層の表面上において接着剤が存在しない箇所に空隙を形成することもできる。したがって、断熱性能を更に向上させることができる。
【0012】
また、一実施形態では、
密度は、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、
目付量は、500g/m2以上かつ800g/m2以下である。
【0013】
本発明者は、試験によって、z軸に断熱性を示し、x軸に密度を示し、y軸に目付量を示した場合、断熱性を示す軌跡が、極大値を有する上に凸の曲面軌跡になることを確認した。そして、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、かつ、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下である場合、優れた断熱性を得られることを確認した。
【0014】
上記実施形態によれば、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、かつ、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であるから、良好な断熱性を獲得することができる。
【0015】
また、一実施形態では、
上記接着剤は、天然系の接着剤である。
【0016】
尚、この明細書では、天然系の接着剤に多糖類系(セルロース系と、デンプン系とを含む)の接着剤を含むものとする。
【0017】
上記実施形態によれば、接着剤が、天然系の接着剤であるから、加熱調理器での使用等、断熱材が高温状況下で使用されたとしても、有害物質が飛散等することがなくて、人体に悪影響が出ることがない。仮に、天然系の接着剤でない合成系の接着剤等を使用したとすると、高温状況下で使用した場合に、有害物質が分解あるいは揮発によって発生等して、人体に悪影響が出ることがあるのである。
【0018】
また、一実施形態では、
上記ガラス繊維の繊維径は、5μm以上かつ8μm以下である。
【0019】
上記実施形態によれば、ガラス繊維の繊維径が、8μm以下であるから、人がガラス繊維を取り扱う作業においても、ガラス繊維からチクチク感を受けることがなくて、断熱材の製造ならびに取り扱いの作業性が低くなることがない。また、ガラス繊維の繊維径が、5μm以上であるから、仮に、ガラス繊維が体内に侵入したとしても、人体に悪影響を及ぼすことが殆どない。
【0020】
また、本発明の加熱調理器は、
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられた加熱室と、
上記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱装置と、
上記加熱室の外面の少なくとも一部に沿って設けられた本発明の断熱材と
を備えることを特徴としている。
【0021】
本発明によれば、加熱室内の熱が外部に漏れることを抑制できて、エネルギー効率に優れると共に、高温調理を行っても、断熱材が劣化しにくい加熱調理器を実現できる。
【0022】
また、一実施形態では、
上記断熱材の上記シート状の層は、上記加熱室の平面部に略平行である。
【0023】
試験によると、本発明の断熱材は、異方性を有し、シート状の層の表面に平行な方向の熱の伝導の遮断よりもシート状の層の表面の法線方向の熱の伝導を効率的に遮断できることが確認された。
【0024】
上記実施形態によれば、上記平面部の法線方向の熱の伝導の遮断効果を大きくできる。
【0025】
また、一実施形態では、
上記断熱材のうちの少なくとも一つは、上記加熱室の天板に沿って水平に延在している。
【0026】
上記実施形態によれば、天板から上方に伝導する熱の遮断を効率的に行うことができ、加熱調理器天面の温度を低減することができる。特に、天板に沿うようにヒータを配置した加熱調理器において、断熱性能を大きく向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の断熱材によれば、耐熱性と、断熱性との両方に優れる断熱材を実現できる。また、熱が加熱室の外部に漏れることを抑制できて、エネルギー効率に優れると共に、高温調理を行っても、断熱材が劣化しにくい加熱調理器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【図2】上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【図3】上記蒸気調理器を、加熱室の幅方向の中央を通過し、かつ、奥行方向および高さ方向を含む切断面で切断したときの断面図であり、断熱材および過熱蒸気生成ヒータのみが示された断面図である。
【図4】ケーシングの天板を外した状態の蒸気調理器を、高さ方向の上方側から見たときの模式斜視図である。
【図5】上記断熱材の層構造を表す模式断面図である。
【図6】断熱材の表面を示す図である。
【図7】多数の層からなる一つの断熱材を、二箇所の接着層で引きちぎって、引きちぎられた三つのピースを、引きちぎった断面がわかる状態で、ずらして重ねて示した図である。
【図8】多数の層からなる一つの断熱材を、二箇所の接着層で引きちぎって、引きちぎられた三つのピースを、引きちぎった断面がわかる状態で、ずらして重ねて示した図である。
【図9】上記実施形態の断熱材の密度と、断熱性能との関係を示す図である。
【図10】上記実施形態の断熱材の厚みと、断熱性能との関係を示す図である。
【図11】上記実施形態の断熱材の目付量と、断熱性能との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【0031】
この蒸気調理器は、筺体としての直方体形状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2が取り付けられている。この扉2の上部にハンドル3を取り付けると共に、扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。また、扉2の右側に操作部としての操作パネル5および赤外線通信ポート211を設けている。この操作パネル5は、カラー液晶表示部6とボタン群7とを有している。また、ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクト8を設けている。さらに、ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0032】
図2は、上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【0033】
図2に示すように、この蒸気調理器は、水タンク11から供給された水を蒸気発生装置12で加熱して飽和水蒸気を生成する。蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、蒸気供給通路(図示せず)を介して、加熱室13の右側面に取り付けられた循環ユニット14の蒸気吸込口15の加熱室13側に供給される。
【0034】
上記蒸気供給通路に接続された蒸気供給管34を、加熱室13の右側面と平行になるように、循環ユニット14の蒸気吸込口15の近傍に取り付けている。また、循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように循環ファン18を配置している。循環ファン18は、ファンモータ19によって回転駆動される。
【0035】
上記加熱室13の上面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱室13の上面側に固定された第1ダクト部110と、第1ダクト部110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱室13の左側面側に固定され、屈曲部120を介して第1ダクト部110に連なる第2ダクト部130とを有している。
【0036】
この蒸気ダクト100の第1ダクト部110に、過熱蒸気生成ヒータ20を収納している。蒸気ダクト100の第1ダクト部110と、過熱蒸気生成ヒータ20で過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置は、蒸気ダクトとは別に設けてもよい。
【0037】
そして、蒸気ダクト100の第1ダクト部110の右側は、循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口22に連通している。加熱室13の天板には、複数の第1蒸気吹出口24が設けられており、蒸気ダクト100の第1ダクト部110は、第1蒸気吹出口24を介して加熱室13内に連通している。加熱室13の天板は、加熱室13の平面部の一部を構成している。一方、蒸気ダクト100の第2ダクト部130は、加熱室13の左側面に設けられた複数の第2蒸気吹出口25を介して加熱室13内に連通している。
【0038】
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置21と加熱室13とそれらを接続する接続部材とによって、蒸気の循環経路が形成されている。そして、この循環経路における循環ユニット14の加熱室13との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。
【0039】
また、加熱室13の下部には、図示しないマグネトロンが配置されている。このマグネトロンで発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱室13の下部中央に導かれ、モータ37によって駆動される回転アンテナ38によって攪拌されながら加熱室13内の上方に向かって放射されて被加熱物27を加熱する。上記過熱蒸気生成ヒータ20や、上記マグネトロンは、加熱装置を構成している。
【0040】
また、ケーシング1内の下側には、冷却ファン部(図示せず)と、電装部品17とを配置している。電装部品17は、蒸気調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を有している。
【0041】
また、この蒸気調理器は、断熱材150を備え、断熱材150は、加熱室13と蒸気ダクト100とを、加熱室13の前面開口を除いて覆っている。上記断熱材150は、過熱蒸気生成ヒータ20よりもケーシング1の天板170側に存在している。また、上記断熱材150は、シート状の部材を積層されたものであって、その一部は加熱室13の天板に沿うように延在し、加熱室13の天板に略平行に配されている。尚、この実施形態では、断熱材150の一部は、加熱室13の天板に略平行に位置していたが、この発明では、断熱材150の全てが、加熱室の天板に略平行に位置していても良い。上記断熱材150は、過熱蒸気生成ヒータ20を覆うように配置されている。上記断熱材150は、加熱室13の幅方向の略全領域を覆っている。
【0042】
図3は、上記蒸気調理器を、加熱室13の幅方向の中央を通過し、かつ、奥行方向および高さ方向を含む切断面で切断したときの断面図であり、断熱材150および過熱蒸気生成ヒータ20のみが示された断面図である。
【0043】
尚、図3において、矢印Aは、蒸気調理器の奥行方向を示し、矢印Bは、蒸気調理器の高さ方向を示している。
【0044】
図3に示すように、断熱材150は、高さ方向Bの上方側に突出した突出部175を有し、突出部175は、奥行き方向Aに延在する上部190と、高さ方向Bに延在する側面部191とを有している。また、上記断熱材150は、突出部175の高さ方向の下方側に、凹部180を有している。上記過熱蒸気生成ヒータ20は、凹部180内に配置されている。
【0045】
図4は、天板を外した状態の蒸気調理器を、高さ方向の上方側から見たときの模式斜視図である。
【0046】
図4に示すように、この蒸気調理器は、金属製の遮熱板200を有し、遮熱板200は、ケーシング1の側面の上端に固定されている。上記遮熱板200は、断熱材150の突出部175(図3参照)を覆うように配置されている。遮熱板200は、蒸気調理器の幅方向に垂直な断面において、略コ字状の形状を有している。上記遮熱板200および蒸気調理器の側面201とで、凹部を形成している。断熱材150の突出部175に、上記凹部を被せた状態で、遮熱板200を、ケーシング1に固定するようになっている。上記遮熱板200は、断熱材150が浮き上がらないように、断熱材150を位置決めする役割を担っている。
【0047】
図4に示すように、上記断熱材150は、蒸気調理器の奥行き方向において、前板から後板まで延在している。また、上記断熱材150は、蒸気調理器の幅方向において、加熱室の幅に対応する領域と略同じ領域を覆っている。
【0048】
図5は、上記断熱材の層構造を表す模式断面図である。尚、図5では、構造の理解を容易にするために、各層の厚さや、接着剤が誇張して描かれており、各層の寸法は、実際の寸法とは異なっている。
【0049】
図5に示すように、上記断熱材150は、長繊維のガラス繊維を絡ませてなるシート状のガラス繊維の層301と、接着剤としてのデンプン302が一平面状に散点状に存在する接着層305とを交互に複数回繰り返し積層してなっている。上記ガラス繊維の繊維径は、5μm以上かつ8μm以下になっている。
【0050】
尚、上記ガラス繊維の層301は、15層以上存在することが好ましいが、これに限らない。また、この断熱材150は、例えば、以下のようにして形成されることができる。すなわち、先ず、フリース形成法やフリース結合法等の公知の方法を用いて、シート状の長繊維のガラス繊維からなるシート状の部材を形成する。ここで、ガラス繊維として長繊維のものを使用するから、公知の手法で、繊維を容易に絡ませることができて、容易にガラス繊維をシート状にすることができる。
【0051】
次に、シート状のガラス繊維の部材に、粉末状のデンプン系糊を略均等に振りかけた後、デンプン系糊が振りかけられたガラス繊維のシート状の部材の上に、新たなシート状のガラス繊維の部材を載置する。この作業を繰り返した後、積層されているシートのガラス繊維の部材の枚数が、所定の枚数になった後に、熱処理を行う。このように熱処理を行うことにより、粉末状のデンプン系糊を糊化してシート状のガラス繊維同士を固着するとともに一部炭化を行い、厚みの調整と臭い・ヤニの発生を低減する。このようにして、断熱材150を形成する。
【0052】
上記断熱材150は、異方性の断熱材であり、熱の遮断に対し好ましい方向を有している。詳しくは、この断熱材150は、各シート状のガラス繊維の層301の法線方向の熱の伝導を遮断する性能が高い一方、各シートのガラス繊維の層301に平行な方向の熱の伝導を遮断する性能が、上記法線方向の熱の伝導を遮断する性能よりも低いという性質を有している。この蒸気調理器の配置においては、断熱材150は、各シート状の層301の法線方向が、蒸気調理器の加熱室13の天板に略平行になるように配置されている。このようにして、熱が外部に漏れることを効率的に防止している。
【0053】
図6は、上記断熱材150の表面を表している図である。
【0054】
図6において、黒の点は、炭化した粉末状のデンプン系糊を示している。図6を参照して、デンプン系糊を示す黒点が、散点状に存在していることがわかる。このようにデンプン系糊を散点状に分布させることにより、空気の層を増やして断熱効果を向上するようにしている。
【0055】
図7および8は、多数の層からなる一つの断熱材(15層以上からなる)を、二箇所の接着層(デンプン系糊層)305で引きちぎって、引きちぎられた三つのピースを、引きちぎった断面がわかる状態で、ずらして重ねて示した図である。
【0056】
図7および8に示すように、この断熱材150は、各シート状の層に平行な方向に容易に引きちぎられることができる。したがって、製造現場で、適宜、適切な大きさに容易に調整することができて、作業性を大きく向上できる。
【0057】
図9は、上記実施形態の断熱材の密度と、断熱性能との関係を示す図である。
【0058】
尚、図9において、従来品とは、上述の、圧縮して、目止めを行った長繊維のガラス繊維からなる断熱材である。また、図9において、オーブン運転時間の消費電力比は、従来品の消費電力に対する比を示している。
【0059】
図9に示すように、一実験例においては、本発明の断熱材を使用した場合、90Kg/m3、60Kg/m3、50Kg/m3のいずれにおいても、従来品と比較して、オーブン運転時間の消費電力を3%以上低減することができる。また、重量変化に対する特性では、本発明の断熱材では、90Kg/m3と、60Kg/m3との比較から明らかなように、質量を大幅に小さくしても、断熱性能が大きく変動しなくて、60Kg/m3で材料費を抑制した上、断熱性能を最も優れたものにすることができる。尚、断熱材の密度を、60Kg/m3から小さくしていくと、断熱性能が徐々に低下し、50Kg/m3で、オーブン運転時間の消費電力を3.4%低減でき、更に、断熱材の密度を、下げていくと、従来比に対する断熱性能が低下した。
【0060】
図10は、上記実施形態の断熱材の厚みと、断熱性能との関係を示す図である。図10において、オーブン運転時間の消費電力比は、図9の上記従来品の消費電力に対する比を示している。
【0061】
図10に示すように、厚みが1cmの資料よりも3cmの資料の方が、断熱性能が向上している。このことから、厚さを厚くすれば、断熱性能を向上させることができる。
【0062】
図11は、上記実施形態の断熱材の目付量と、断熱性能との関係を示す図である。
【0063】
図11に示すように、厚みを15mmと同じにした場合、目付量が500g/m2と、目付量が700g/m2との両方で、オーブン運転時間の消費電力を3.5%程度大幅に低減できる。
【0064】
本発明者は、試験によって、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であると良好な断熱特性を得られると同時に、断熱材のコストを低減できることを確認した。また、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であると、良好な断熱特性を得られることも確かめた。
【0065】
また、本発明者は、試験によって、z軸に断熱性を示し、x軸に密度を示し、y軸に目付量を示した場合、断熱性を示す軌跡が、極大値を有する上に凸の曲面軌跡になることを確認した。そして、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、かつ、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下である場合、優れた断熱性を得られることを確認した。
【0066】
上記実施形態の断熱材150によれば、長繊維のガラス繊維を含んでいるから、耐熱性を優れたものにすることができる。
【0067】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、長繊維のガラス繊維を含む複数のシート状の層301を接着剤としてのデンプン302で接着して積層する構成であるから、所定の量のガラス繊維を一体化するのに、ガラス繊維を圧縮する必要がなくて、各シート状の層301の密度を適宜調整することにより、断熱材150の密度を、従来の断熱材150の密度よりも低くすることができる。したがって、従来の断熱材150よりも空気の層を大きくすることができるから、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材と比較して断熱性を向上させることができる。
【0068】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、断熱材150の密度を、従来の断熱材の密度よりも低くすることができるから、断熱材150を軽量化することができる。したがって、断熱材150の運搬コストならびに材料コストを低減できると共に、断熱材150を使用する製品の軽量化を実現できる。
【0069】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、デンプン302が、シート状の層301の表面上に散点状に存在しているから、シート状の層301同士の接触面積を小さくすることができて、伝熱経路を小さくすることができる。また、シート状の層301の表面上においてデンプン302が存在しない箇所に空隙を形成することもできる。したがって、断熱性能を更に向上させることができる。
【0070】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、接着剤が、天然系の接着剤であるデンプンであるから、加熱調理器で、高温状況下で使用されたとしても、有害物質が飛散等することがなくて、人体に悪影響が出ることがない。仮に、天然系の接着剤でない合成系の接着剤等を使用したとすると、高温状況下で使用した場合に、有害物質が分解あるいは揮発によって発生等して、人体に悪影響が出ることがあるのである。
【0071】
また、上記実施形態の断熱材150において、密度を、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下とし、かつ、目付量を、500g/m2以上かつ800g/m2以下とすると、良好な断熱性を獲得することができる。
【0072】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、ガラス繊維の繊維径が、8μm以下であるから、人がガラス繊維を取り扱っても、ガラス繊維からチクチク感を受けることがなくて、断熱材150の製造の作業性が低くなることがない。また、ガラス繊維の繊維径が、5μm以上であるから、仮に、ガラス繊維が体内に侵入したとしても、人体に悪影響を及ぼすことが殆どない。
【0073】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、そのシート状の層301が、加熱室13の天面に略平行であるから、加熱室13の天板の法線方向の熱の伝導の遮断効果を大きくできる。
【0074】
また、上記実施形態の加熱調理器によれば、断熱材150のシート状の層301は、加熱室13の天板に沿うように延在しているから、上記天板の方に鉛直方向上方に伝導する熱の遮断を効率的に行うことができる。また、上記天板に沿うようにヒータ20を配置した上記実施形態の加熱調理器において、断熱性能を大きく向上させることができる。
【0075】
尚、上記実施形態の断熱材150では、接着剤として、天然系の接着剤であるデンプン系接着剤を使用したが、この発明では、接着剤として、デンプン系接着剤の替わりにセルロール系接着剤も好適に使用できる。また、この発明では、デンプン系接着剤でなく、かつ、セルロース系接着剤でもない多糖類系の接着剤も好適に使用できる。また、この発明では、デンプン系接着剤およびセルロール系の接着剤以外の天然系の接着剤、例えば、アラビアガム、アルブミン、漆(マスチック、Mastic)、カゼイン接着剤、天然ゴム系接着剤、天然ゴムラテックス接着剤、膠(にかわ)系接着剤、フィブリン接着剤等の他の天然系接着剤を使用することもできる。また、この発明では、合成型の接着剤等、天然系の接着剤以外の接着剤を使用することもできる。また、本発明では、半合成系の接着剤や、無機系の接着剤や、生化学系の接着剤を使用することもできる。
【0076】
また、上記実施形態の断熱材150では、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であると良好な断熱特性を得られると同時に、断熱材のコストを低減でき、また、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であると、良好な断熱特性を得られるが、断熱材の密度や目付量として、この範囲以外の値が採用されても良いことは、勿論であり、断熱材の厚さとして、如何なる厚さが採用されても良いことも勿論である。
【0077】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、断熱材150を、そのシート状の層301が加熱室13の天板に略平行になるように配置したが、この発明の加熱調理器では、断熱材は、そのシート状の層が、加熱調理器の筺体の側面や、底面に略平行になるように配置されても良く、または、それ以外の姿勢で、加熱調理器に配置されても良い。
【0078】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、各シート状の層301を長繊維のガラス繊維のみから構成したが、この発明では、各シート状の層は、長繊維のガラス繊維に添加物を加えて作成しても良い。
【0079】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、断熱材150が、そのシート状の層301に平行な方向の端部が折り曲げられない状態で、蒸気調理器の筺体内に配置されていた。しかしながら、この発明では、断熱材は、そのシート状の層に平行な方向の端部の少なくとも一部が、そのシート状の層の延在方向に交差する方向に、好ましくは、そのシート状の層の積層方向に略平行な方向に、折り曲げられた状態で、加熱調理器の筺体内に配置されると好ましい。というのは、この場合には、断熱材の表面に沿って中央から端部に流動する熱の伝導を、その折り曲げられた端部で抑制することができて、断熱材の断熱特性を向上させることができるからである。尚、断熱材が、矩形のシート状である場合、少なくとも一組の対向する縁部が折り曲げられることが好ましく、更に好ましくは、二組の対向する縁部(すなわち、矩形のシート状の周囲全部の縁部)が折り曲げられることが好ましい。図4を参照して、述べると、断熱材は、加熱調理器の奥行き方向に対向する一組の縁部が、加熱室側に天板に垂直な方向に折り曲げられて、高さ方向に延在する筺体の前面と後面とに接触していることが好ましく、これに加えて、加熱調理器の幅方向に対向する他方の組の縁部も、天板に垂直な方向に折り曲げられていることが更に好ましい。尚、断熱熱材の端部が、加熱室の天板に垂直な方向以外の方向に折り曲げられても良いことは勿論である。
【0080】
また、上記実施形態では、断熱材150が、蒸気調理器に配置されたが、この発明の断熱材は、電子レンジ、オーブン、蒸し器、グリル等、蒸気調理器以外の如何なる加熱調理器(食材に熱を加えることによって食材を調理する調理器)に配置されても良い。
【0081】
また、本発明の断熱材は、加熱調理器以外の電荷製品または建物等に使用されても良い。要は、本発明の断熱材は、断熱性が要求される如何なる製品に使用されても良い。
【符号の説明】
【0082】
1 ケーシング
150 断熱材
175 突出部
301 シート状のガラス繊維の層
302 デンプン
305 接着層
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材に関し、例えば、加熱調理器等に用いられると好適な断熱材に関する。また、本発明は、上記断熱材を備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱調理器としては、特開2010−115473号公報(特許文献1)に記載されているものがある。この加熱調理器は、加熱室の外部に遮熱ケースを設け、加熱室と遮熱ケースとの間に断熱材を配置している。上記断熱材は、所定量の長繊維のガラス繊維からなっている。上記所定量のガラス繊維は、圧縮された後、針打ちで目止めがされて互いに絡まされて、一体化されている。
【0003】
上記断熱材は、長繊維のガラス繊維からなっているから、短繊維のガラス繊維からなる断熱材よりも、耐熱温度が格段に高くて、使用温度領域が高い加熱調理器の使用に優れている。しかしながら、上記断熱材は、一体化するのに、圧縮されなければならないから、ガラス繊維の密度が、圧縮によって高くなって、空気の層が小さくなって、断熱性が低くなるのを避けがたいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−115473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、耐熱性と、断熱性との両方が良好な断熱材およびその断熱材を備える加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、
積層された複数のシート状の層を備え、
上記各シート状の層は、長繊維のガラス繊維を含み、
互いに隣接する上記シート状の層は、接着剤によって接着されていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、断熱材が、長繊維のガラス繊維を含んでいるから、耐熱性を優れたものにすることができる。
【0008】
また、本発明によれば、長繊維のガラス繊維を含む複数のシート状の層を接着剤で接着して積層する構成であるから、所定の量のガラス繊維を一体化するのに、ガラス繊維を圧縮する必要がなく、かつ、各シート状の層の密度を適宜自由に調整することができて、断熱材の密度を、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材の密度よりも低くすることができる。したがって、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材よりも空隙を大きくすることができるから、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材と比較して断熱性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明によれば、断熱材の密度を、従来の断熱材の密度よりも低くできるから、断熱材を軽量化することができる。したがって、断熱材の材料コストならびに運搬コストを低減できると共に、断熱材を使用する製品の軽量化を実現できる。
【0010】
また、一実施形態では、
上記接着剤は、上記シート状の層の表面上に散点状に存在している。
【0011】
上記実施形態によれば、接着剤が、シート状の層の表面上に散点状に存在しているから、シート状の層同士の接触面積を小さくすることができて、伝熱経路を小さくできる。また、シート状の層の表面上において接着剤が存在しない箇所に空隙を形成することもできる。したがって、断熱性能を更に向上させることができる。
【0012】
また、一実施形態では、
密度は、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、
目付量は、500g/m2以上かつ800g/m2以下である。
【0013】
本発明者は、試験によって、z軸に断熱性を示し、x軸に密度を示し、y軸に目付量を示した場合、断熱性を示す軌跡が、極大値を有する上に凸の曲面軌跡になることを確認した。そして、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、かつ、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下である場合、優れた断熱性を得られることを確認した。
【0014】
上記実施形態によれば、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、かつ、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であるから、良好な断熱性を獲得することができる。
【0015】
また、一実施形態では、
上記接着剤は、天然系の接着剤である。
【0016】
尚、この明細書では、天然系の接着剤に多糖類系(セルロース系と、デンプン系とを含む)の接着剤を含むものとする。
【0017】
上記実施形態によれば、接着剤が、天然系の接着剤であるから、加熱調理器での使用等、断熱材が高温状況下で使用されたとしても、有害物質が飛散等することがなくて、人体に悪影響が出ることがない。仮に、天然系の接着剤でない合成系の接着剤等を使用したとすると、高温状況下で使用した場合に、有害物質が分解あるいは揮発によって発生等して、人体に悪影響が出ることがあるのである。
【0018】
また、一実施形態では、
上記ガラス繊維の繊維径は、5μm以上かつ8μm以下である。
【0019】
上記実施形態によれば、ガラス繊維の繊維径が、8μm以下であるから、人がガラス繊維を取り扱う作業においても、ガラス繊維からチクチク感を受けることがなくて、断熱材の製造ならびに取り扱いの作業性が低くなることがない。また、ガラス繊維の繊維径が、5μm以上であるから、仮に、ガラス繊維が体内に侵入したとしても、人体に悪影響を及ぼすことが殆どない。
【0020】
また、本発明の加熱調理器は、
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられた加熱室と、
上記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱装置と、
上記加熱室の外面の少なくとも一部に沿って設けられた本発明の断熱材と
を備えることを特徴としている。
【0021】
本発明によれば、加熱室内の熱が外部に漏れることを抑制できて、エネルギー効率に優れると共に、高温調理を行っても、断熱材が劣化しにくい加熱調理器を実現できる。
【0022】
また、一実施形態では、
上記断熱材の上記シート状の層は、上記加熱室の平面部に略平行である。
【0023】
試験によると、本発明の断熱材は、異方性を有し、シート状の層の表面に平行な方向の熱の伝導の遮断よりもシート状の層の表面の法線方向の熱の伝導を効率的に遮断できることが確認された。
【0024】
上記実施形態によれば、上記平面部の法線方向の熱の伝導の遮断効果を大きくできる。
【0025】
また、一実施形態では、
上記断熱材のうちの少なくとも一つは、上記加熱室の天板に沿って水平に延在している。
【0026】
上記実施形態によれば、天板から上方に伝導する熱の遮断を効率的に行うことができ、加熱調理器天面の温度を低減することができる。特に、天板に沿うようにヒータを配置した加熱調理器において、断熱性能を大きく向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の断熱材によれば、耐熱性と、断熱性との両方に優れる断熱材を実現できる。また、熱が加熱室の外部に漏れることを抑制できて、エネルギー効率に優れると共に、高温調理を行っても、断熱材が劣化しにくい加熱調理器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【図2】上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【図3】上記蒸気調理器を、加熱室の幅方向の中央を通過し、かつ、奥行方向および高さ方向を含む切断面で切断したときの断面図であり、断熱材および過熱蒸気生成ヒータのみが示された断面図である。
【図4】ケーシングの天板を外した状態の蒸気調理器を、高さ方向の上方側から見たときの模式斜視図である。
【図5】上記断熱材の層構造を表す模式断面図である。
【図6】断熱材の表面を示す図である。
【図7】多数の層からなる一つの断熱材を、二箇所の接着層で引きちぎって、引きちぎられた三つのピースを、引きちぎった断面がわかる状態で、ずらして重ねて示した図である。
【図8】多数の層からなる一つの断熱材を、二箇所の接着層で引きちぎって、引きちぎられた三つのピースを、引きちぎった断面がわかる状態で、ずらして重ねて示した図である。
【図9】上記実施形態の断熱材の密度と、断熱性能との関係を示す図である。
【図10】上記実施形態の断熱材の厚みと、断熱性能との関係を示す図である。
【図11】上記実施形態の断熱材の目付量と、断熱性能との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の加熱調理器の一実施形態である蒸気調理器の正面斜視図である。
【0031】
この蒸気調理器は、筺体としての直方体形状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2が取り付けられている。この扉2の上部にハンドル3を取り付けると共に、扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。また、扉2の右側に操作部としての操作パネル5および赤外線通信ポート211を設けている。この操作パネル5は、カラー液晶表示部6とボタン群7とを有している。また、ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクト8を設けている。さらに、ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
【0032】
図2は、上記蒸気調理器の縦断面の模式図である。
【0033】
図2に示すように、この蒸気調理器は、水タンク11から供給された水を蒸気発生装置12で加熱して飽和水蒸気を生成する。蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、蒸気供給通路(図示せず)を介して、加熱室13の右側面に取り付けられた循環ユニット14の蒸気吸込口15の加熱室13側に供給される。
【0034】
上記蒸気供給通路に接続された蒸気供給管34を、加熱室13の右側面と平行になるように、循環ユニット14の蒸気吸込口15の近傍に取り付けている。また、循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように循環ファン18を配置している。循環ファン18は、ファンモータ19によって回転駆動される。
【0035】
上記加熱室13の上面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱室13の上面側に固定された第1ダクト部110と、第1ダクト部110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱室13の左側面側に固定され、屈曲部120を介して第1ダクト部110に連なる第2ダクト部130とを有している。
【0036】
この蒸気ダクト100の第1ダクト部110に、過熱蒸気生成ヒータ20を収納している。蒸気ダクト100の第1ダクト部110と、過熱蒸気生成ヒータ20で過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置は、蒸気ダクトとは別に設けてもよい。
【0037】
そして、蒸気ダクト100の第1ダクト部110の右側は、循環ユニット14の上部に設けられた蒸気供給口22に連通している。加熱室13の天板には、複数の第1蒸気吹出口24が設けられており、蒸気ダクト100の第1ダクト部110は、第1蒸気吹出口24を介して加熱室13内に連通している。加熱室13の天板は、加熱室13の平面部の一部を構成している。一方、蒸気ダクト100の第2ダクト部130は、加熱室13の左側面に設けられた複数の第2蒸気吹出口25を介して加熱室13内に連通している。
【0038】
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置21と加熱室13とそれらを接続する接続部材とによって、蒸気の循環経路が形成されている。そして、この循環経路における循環ユニット14の加熱室13との境界部に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気が供給される。
【0039】
また、加熱室13の下部には、図示しないマグネトロンが配置されている。このマグネトロンで発生したマイクロ波は、導波管(図示せず)によって加熱室13の下部中央に導かれ、モータ37によって駆動される回転アンテナ38によって攪拌されながら加熱室13内の上方に向かって放射されて被加熱物27を加熱する。上記過熱蒸気生成ヒータ20や、上記マグネトロンは、加熱装置を構成している。
【0040】
また、ケーシング1内の下側には、冷却ファン部(図示せず)と、電装部品17とを配置している。電装部品17は、蒸気調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を有している。
【0041】
また、この蒸気調理器は、断熱材150を備え、断熱材150は、加熱室13と蒸気ダクト100とを、加熱室13の前面開口を除いて覆っている。上記断熱材150は、過熱蒸気生成ヒータ20よりもケーシング1の天板170側に存在している。また、上記断熱材150は、シート状の部材を積層されたものであって、その一部は加熱室13の天板に沿うように延在し、加熱室13の天板に略平行に配されている。尚、この実施形態では、断熱材150の一部は、加熱室13の天板に略平行に位置していたが、この発明では、断熱材150の全てが、加熱室の天板に略平行に位置していても良い。上記断熱材150は、過熱蒸気生成ヒータ20を覆うように配置されている。上記断熱材150は、加熱室13の幅方向の略全領域を覆っている。
【0042】
図3は、上記蒸気調理器を、加熱室13の幅方向の中央を通過し、かつ、奥行方向および高さ方向を含む切断面で切断したときの断面図であり、断熱材150および過熱蒸気生成ヒータ20のみが示された断面図である。
【0043】
尚、図3において、矢印Aは、蒸気調理器の奥行方向を示し、矢印Bは、蒸気調理器の高さ方向を示している。
【0044】
図3に示すように、断熱材150は、高さ方向Bの上方側に突出した突出部175を有し、突出部175は、奥行き方向Aに延在する上部190と、高さ方向Bに延在する側面部191とを有している。また、上記断熱材150は、突出部175の高さ方向の下方側に、凹部180を有している。上記過熱蒸気生成ヒータ20は、凹部180内に配置されている。
【0045】
図4は、天板を外した状態の蒸気調理器を、高さ方向の上方側から見たときの模式斜視図である。
【0046】
図4に示すように、この蒸気調理器は、金属製の遮熱板200を有し、遮熱板200は、ケーシング1の側面の上端に固定されている。上記遮熱板200は、断熱材150の突出部175(図3参照)を覆うように配置されている。遮熱板200は、蒸気調理器の幅方向に垂直な断面において、略コ字状の形状を有している。上記遮熱板200および蒸気調理器の側面201とで、凹部を形成している。断熱材150の突出部175に、上記凹部を被せた状態で、遮熱板200を、ケーシング1に固定するようになっている。上記遮熱板200は、断熱材150が浮き上がらないように、断熱材150を位置決めする役割を担っている。
【0047】
図4に示すように、上記断熱材150は、蒸気調理器の奥行き方向において、前板から後板まで延在している。また、上記断熱材150は、蒸気調理器の幅方向において、加熱室の幅に対応する領域と略同じ領域を覆っている。
【0048】
図5は、上記断熱材の層構造を表す模式断面図である。尚、図5では、構造の理解を容易にするために、各層の厚さや、接着剤が誇張して描かれており、各層の寸法は、実際の寸法とは異なっている。
【0049】
図5に示すように、上記断熱材150は、長繊維のガラス繊維を絡ませてなるシート状のガラス繊維の層301と、接着剤としてのデンプン302が一平面状に散点状に存在する接着層305とを交互に複数回繰り返し積層してなっている。上記ガラス繊維の繊維径は、5μm以上かつ8μm以下になっている。
【0050】
尚、上記ガラス繊維の層301は、15層以上存在することが好ましいが、これに限らない。また、この断熱材150は、例えば、以下のようにして形成されることができる。すなわち、先ず、フリース形成法やフリース結合法等の公知の方法を用いて、シート状の長繊維のガラス繊維からなるシート状の部材を形成する。ここで、ガラス繊維として長繊維のものを使用するから、公知の手法で、繊維を容易に絡ませることができて、容易にガラス繊維をシート状にすることができる。
【0051】
次に、シート状のガラス繊維の部材に、粉末状のデンプン系糊を略均等に振りかけた後、デンプン系糊が振りかけられたガラス繊維のシート状の部材の上に、新たなシート状のガラス繊維の部材を載置する。この作業を繰り返した後、積層されているシートのガラス繊維の部材の枚数が、所定の枚数になった後に、熱処理を行う。このように熱処理を行うことにより、粉末状のデンプン系糊を糊化してシート状のガラス繊維同士を固着するとともに一部炭化を行い、厚みの調整と臭い・ヤニの発生を低減する。このようにして、断熱材150を形成する。
【0052】
上記断熱材150は、異方性の断熱材であり、熱の遮断に対し好ましい方向を有している。詳しくは、この断熱材150は、各シート状のガラス繊維の層301の法線方向の熱の伝導を遮断する性能が高い一方、各シートのガラス繊維の層301に平行な方向の熱の伝導を遮断する性能が、上記法線方向の熱の伝導を遮断する性能よりも低いという性質を有している。この蒸気調理器の配置においては、断熱材150は、各シート状の層301の法線方向が、蒸気調理器の加熱室13の天板に略平行になるように配置されている。このようにして、熱が外部に漏れることを効率的に防止している。
【0053】
図6は、上記断熱材150の表面を表している図である。
【0054】
図6において、黒の点は、炭化した粉末状のデンプン系糊を示している。図6を参照して、デンプン系糊を示す黒点が、散点状に存在していることがわかる。このようにデンプン系糊を散点状に分布させることにより、空気の層を増やして断熱効果を向上するようにしている。
【0055】
図7および8は、多数の層からなる一つの断熱材(15層以上からなる)を、二箇所の接着層(デンプン系糊層)305で引きちぎって、引きちぎられた三つのピースを、引きちぎった断面がわかる状態で、ずらして重ねて示した図である。
【0056】
図7および8に示すように、この断熱材150は、各シート状の層に平行な方向に容易に引きちぎられることができる。したがって、製造現場で、適宜、適切な大きさに容易に調整することができて、作業性を大きく向上できる。
【0057】
図9は、上記実施形態の断熱材の密度と、断熱性能との関係を示す図である。
【0058】
尚、図9において、従来品とは、上述の、圧縮して、目止めを行った長繊維のガラス繊維からなる断熱材である。また、図9において、オーブン運転時間の消費電力比は、従来品の消費電力に対する比を示している。
【0059】
図9に示すように、一実験例においては、本発明の断熱材を使用した場合、90Kg/m3、60Kg/m3、50Kg/m3のいずれにおいても、従来品と比較して、オーブン運転時間の消費電力を3%以上低減することができる。また、重量変化に対する特性では、本発明の断熱材では、90Kg/m3と、60Kg/m3との比較から明らかなように、質量を大幅に小さくしても、断熱性能が大きく変動しなくて、60Kg/m3で材料費を抑制した上、断熱性能を最も優れたものにすることができる。尚、断熱材の密度を、60Kg/m3から小さくしていくと、断熱性能が徐々に低下し、50Kg/m3で、オーブン運転時間の消費電力を3.4%低減でき、更に、断熱材の密度を、下げていくと、従来比に対する断熱性能が低下した。
【0060】
図10は、上記実施形態の断熱材の厚みと、断熱性能との関係を示す図である。図10において、オーブン運転時間の消費電力比は、図9の上記従来品の消費電力に対する比を示している。
【0061】
図10に示すように、厚みが1cmの資料よりも3cmの資料の方が、断熱性能が向上している。このことから、厚さを厚くすれば、断熱性能を向上させることができる。
【0062】
図11は、上記実施形態の断熱材の目付量と、断熱性能との関係を示す図である。
【0063】
図11に示すように、厚みを15mmと同じにした場合、目付量が500g/m2と、目付量が700g/m2との両方で、オーブン運転時間の消費電力を3.5%程度大幅に低減できる。
【0064】
本発明者は、試験によって、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であると良好な断熱特性を得られると同時に、断熱材のコストを低減できることを確認した。また、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であると、良好な断熱特性を得られることも確かめた。
【0065】
また、本発明者は、試験によって、z軸に断熱性を示し、x軸に密度を示し、y軸に目付量を示した場合、断熱性を示す軌跡が、極大値を有する上に凸の曲面軌跡になることを確認した。そして、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、かつ、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下である場合、優れた断熱性を得られることを確認した。
【0066】
上記実施形態の断熱材150によれば、長繊維のガラス繊維を含んでいるから、耐熱性を優れたものにすることができる。
【0067】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、長繊維のガラス繊維を含む複数のシート状の層301を接着剤としてのデンプン302で接着して積層する構成であるから、所定の量のガラス繊維を一体化するのに、ガラス繊維を圧縮する必要がなくて、各シート状の層301の密度を適宜調整することにより、断熱材150の密度を、従来の断熱材150の密度よりも低くすることができる。したがって、従来の断熱材150よりも空気の層を大きくすることができるから、従来の長繊維のガラス繊維を使用した断熱材と比較して断熱性を向上させることができる。
【0068】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、断熱材150の密度を、従来の断熱材の密度よりも低くすることができるから、断熱材150を軽量化することができる。したがって、断熱材150の運搬コストならびに材料コストを低減できると共に、断熱材150を使用する製品の軽量化を実現できる。
【0069】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、デンプン302が、シート状の層301の表面上に散点状に存在しているから、シート状の層301同士の接触面積を小さくすることができて、伝熱経路を小さくすることができる。また、シート状の層301の表面上においてデンプン302が存在しない箇所に空隙を形成することもできる。したがって、断熱性能を更に向上させることができる。
【0070】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、接着剤が、天然系の接着剤であるデンプンであるから、加熱調理器で、高温状況下で使用されたとしても、有害物質が飛散等することがなくて、人体に悪影響が出ることがない。仮に、天然系の接着剤でない合成系の接着剤等を使用したとすると、高温状況下で使用した場合に、有害物質が分解あるいは揮発によって発生等して、人体に悪影響が出ることがあるのである。
【0071】
また、上記実施形態の断熱材150において、密度を、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下とし、かつ、目付量を、500g/m2以上かつ800g/m2以下とすると、良好な断熱性を獲得することができる。
【0072】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、ガラス繊維の繊維径が、8μm以下であるから、人がガラス繊維を取り扱っても、ガラス繊維からチクチク感を受けることがなくて、断熱材150の製造の作業性が低くなることがない。また、ガラス繊維の繊維径が、5μm以上であるから、仮に、ガラス繊維が体内に侵入したとしても、人体に悪影響を及ぼすことが殆どない。
【0073】
また、上記実施形態の断熱材150によれば、そのシート状の層301が、加熱室13の天面に略平行であるから、加熱室13の天板の法線方向の熱の伝導の遮断効果を大きくできる。
【0074】
また、上記実施形態の加熱調理器によれば、断熱材150のシート状の層301は、加熱室13の天板に沿うように延在しているから、上記天板の方に鉛直方向上方に伝導する熱の遮断を効率的に行うことができる。また、上記天板に沿うようにヒータ20を配置した上記実施形態の加熱調理器において、断熱性能を大きく向上させることができる。
【0075】
尚、上記実施形態の断熱材150では、接着剤として、天然系の接着剤であるデンプン系接着剤を使用したが、この発明では、接着剤として、デンプン系接着剤の替わりにセルロール系接着剤も好適に使用できる。また、この発明では、デンプン系接着剤でなく、かつ、セルロース系接着剤でもない多糖類系の接着剤も好適に使用できる。また、この発明では、デンプン系接着剤およびセルロール系の接着剤以外の天然系の接着剤、例えば、アラビアガム、アルブミン、漆(マスチック、Mastic)、カゼイン接着剤、天然ゴム系接着剤、天然ゴムラテックス接着剤、膠(にかわ)系接着剤、フィブリン接着剤等の他の天然系接着剤を使用することもできる。また、この発明では、合成型の接着剤等、天然系の接着剤以外の接着剤を使用することもできる。また、本発明では、半合成系の接着剤や、無機系の接着剤や、生化学系の接着剤を使用することもできる。
【0076】
また、上記実施形態の断熱材150では、密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であると良好な断熱特性を得られると同時に、断熱材のコストを低減でき、また、目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であると、良好な断熱特性を得られるが、断熱材の密度や目付量として、この範囲以外の値が採用されても良いことは、勿論であり、断熱材の厚さとして、如何なる厚さが採用されても良いことも勿論である。
【0077】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、断熱材150を、そのシート状の層301が加熱室13の天板に略平行になるように配置したが、この発明の加熱調理器では、断熱材は、そのシート状の層が、加熱調理器の筺体の側面や、底面に略平行になるように配置されても良く、または、それ以外の姿勢で、加熱調理器に配置されても良い。
【0078】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、各シート状の層301を長繊維のガラス繊維のみから構成したが、この発明では、各シート状の層は、長繊維のガラス繊維に添加物を加えて作成しても良い。
【0079】
また、上記実施形態の蒸気調理器では、断熱材150が、そのシート状の層301に平行な方向の端部が折り曲げられない状態で、蒸気調理器の筺体内に配置されていた。しかしながら、この発明では、断熱材は、そのシート状の層に平行な方向の端部の少なくとも一部が、そのシート状の層の延在方向に交差する方向に、好ましくは、そのシート状の層の積層方向に略平行な方向に、折り曲げられた状態で、加熱調理器の筺体内に配置されると好ましい。というのは、この場合には、断熱材の表面に沿って中央から端部に流動する熱の伝導を、その折り曲げられた端部で抑制することができて、断熱材の断熱特性を向上させることができるからである。尚、断熱材が、矩形のシート状である場合、少なくとも一組の対向する縁部が折り曲げられることが好ましく、更に好ましくは、二組の対向する縁部(すなわち、矩形のシート状の周囲全部の縁部)が折り曲げられることが好ましい。図4を参照して、述べると、断熱材は、加熱調理器の奥行き方向に対向する一組の縁部が、加熱室側に天板に垂直な方向に折り曲げられて、高さ方向に延在する筺体の前面と後面とに接触していることが好ましく、これに加えて、加熱調理器の幅方向に対向する他方の組の縁部も、天板に垂直な方向に折り曲げられていることが更に好ましい。尚、断熱熱材の端部が、加熱室の天板に垂直な方向以外の方向に折り曲げられても良いことは勿論である。
【0080】
また、上記実施形態では、断熱材150が、蒸気調理器に配置されたが、この発明の断熱材は、電子レンジ、オーブン、蒸し器、グリル等、蒸気調理器以外の如何なる加熱調理器(食材に熱を加えることによって食材を調理する調理器)に配置されても良い。
【0081】
また、本発明の断熱材は、加熱調理器以外の電荷製品または建物等に使用されても良い。要は、本発明の断熱材は、断熱性が要求される如何なる製品に使用されても良い。
【符号の説明】
【0082】
1 ケーシング
150 断熱材
175 突出部
301 シート状のガラス繊維の層
302 デンプン
305 接着層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のシート状の層を備え、
上記各シート状の層は、長繊維のガラス繊維を含み、
互いに隣接する上記シート状の層は、接着剤によって接着されていることを特徴とする断熱材。
【請求項2】
請求項1に記載の断熱材において、
上記接着剤は、上記シート状の層の表面上に散点状に存在していることを特徴とする断熱材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の断熱材において、
密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、
目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であることを特徴とする断熱材。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の断熱材において、
上記接着剤は、天然系の接着剤であることを特徴とする断熱材。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の断熱材において、
上記ガラス繊維の繊維径が、5μm以上かつ8μm以下であることを特徴とする断熱材。
【請求項6】
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられた加熱室と、
上記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱装置と、
上記加熱室の外面の少なくとも一部に沿って設けられた請求項1から5までのいずれか一つに記載の断熱材と
を備えることを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項6に記載の加熱調理器において、
上記断熱材の上記シート状の層は、上記加熱室の平面部に略平行であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
請求項6または7に記載の加熱調理器において、
上記断熱材のうちの少なくとも一つは、上記加熱室の天板に沿って水平に延在していることを特徴とする加熱調理器。
【請求項1】
積層された複数のシート状の層を備え、
上記各シート状の層は、長繊維のガラス繊維を含み、
互いに隣接する上記シート状の層は、接着剤によって接着されていることを特徴とする断熱材。
【請求項2】
請求項1に記載の断熱材において、
上記接着剤は、上記シート状の層の表面上に散点状に存在していることを特徴とする断熱材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の断熱材において、
密度が、50kg/m3以上かつ80kg/m3以下であり、
目付量が、500g/m2以上かつ800g/m2以下であることを特徴とする断熱材。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の断熱材において、
上記接着剤は、天然系の接着剤であることを特徴とする断熱材。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の断熱材において、
上記ガラス繊維の繊維径が、5μm以上かつ8μm以下であることを特徴とする断熱材。
【請求項6】
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられた加熱室と、
上記加熱室内の被加熱物を加熱するための加熱装置と、
上記加熱室の外面の少なくとも一部に沿って設けられた請求項1から5までのいずれか一つに記載の断熱材と
を備えることを特徴とする加熱調理器。
【請求項7】
請求項6に記載の加熱調理器において、
上記断熱材の上記シート状の層は、上記加熱室の平面部に略平行であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項8】
請求項6または7に記載の加熱調理器において、
上記断熱材のうちの少なくとも一つは、上記加熱室の天板に沿って水平に延在していることを特徴とする加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−43375(P2013−43375A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182914(P2011−182914)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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