説明

新規なホウ素含有強酸、この製造および使用

本発明は、一般式(I)、[B(R4−x−y(CN)(I)、式中、x=0、1、2、3または4であり、y=0、1、2または3であり、x+y≦4であり、またここで、配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、Rは、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、で表されるホウ素含有酸およびこの溶媒との錯体、本発明の酸の選択肢のカチオンおよびアニオンを含む塩、並びに当該塩の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)
[B(R4−x−y(CN) (I)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、
で表されるホウ素含有酸およびこの溶媒との錯体に関する。
【0002】
本発明はさらに、本発明の酸の製造方法、本発明の酸の選択肢のカチオンおよびアニオンを含む塩、並びに当該塩の製造方法に関する。
本発明はさらに、本発明の酸および塩の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術には、フッ素配位子がシアン化物(E. Bernhardt, G. Henkel, H. Willner, Z. Anorg. Allg. Chem. 626 (2000) 560; D. Williams, B. Pleune, J. Kouvetakis, M. D. Williams, R. A. Andersen, J. Amer. Chem. Soc. 122 (2000) 7735; E. Bernhardt, M. Berkei, M. Schuermann, H. Willner, Z. Anorg. Allg. Chem. 628 (2002) 1734)およびトリフルオロメチル配位子(E. Bernhardt, G. Henkel, H. Willner, G. Pawelke, H. Buerger, Chem. Eur. J. 7 (2001) 4696; G. Pawelke, H. Buerger, Coord. Chem. Rev. 215 (2001) 243)により置換されているホウ酸アニオンが記載されている。ホウ酸トリフルオロメチルは、ここでは、シアノホウ酸塩類(cyanoborates)から開始して合成されるが、シアノホウ酸塩類は、得るのが困難であり、少量で得られるに過ぎない。[B(CN)の合成は、大きな労働力を要し、小さい実験規模で行うことができるに過ぎない。さらに、出発物質は高価である。テトラキス(トリフルオロメチル)ホウ酸アニオンを含む塩は、EP 1205480 A1に記載されている。またF配位子を含むシアノホウ酸アニオンを有するアルカリ金属テトラシアノホウ酸塩類および塩、特にイオン性液体の新規な合成は、WO 2004/07089に記載されている。
【0004】
シアン化物配位子のパーフルオロアルキル配位子による置換をフッ化物配位子の同時の存在または不存在下で行う、式(I)で表されるシアノホウ酸の合成は、現在まで行われていない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、特にイオン性液体または触媒系を生成する塩の合成のために用いることができる、代替の強酸を提供する目的を有していた。
【0006】
この目的は、一般式(I)
[B(R4−x−y(CN) (I)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合していてもよい、
で表される酸およびこの溶媒との錯体により、達成される。
【0007】
フッ素化されているアルキル基は、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、ペンタフルオロブチル、ヘプタフルオロブチル、ノナフルオロブチル、C、C、C11、C、C11、C13、C11、C13、C15、C13、C15、C17、C15、C17、C19、C1017、C1019、C1021、C1119、C1121、C1123、C1221、C1223またはC1225である。パーフルオロアルキル基は、上記のアルキル基のすべてのH原子がF原子により置換されていることを意味する。フッ素化されているとは、パーフルオロアルキル基中の1〜16個のフッ素原子が水素原子により置換されていることを意味する。
【0008】
好ましいのは、配位子Rが同一であり、パーフルオロ化されているC1〜4アルキル基を意味する酸である。Rは、特に好ましくは、トリフルオロメチルまたはペンタフルオロエチルである。
好ましいのは、さらに、y=0である酸である。
【0009】
極めて特に好ましいのは、テトラシアノホウ酸一水和物[B(CN)*HO、
トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸[(CFBCN]
トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸ジエチルエーテル[(CFBCN]*(C
またはテトラキス(トリフルオロメチル)ホウ酸ビス(ジエチルエーテル)[B(CF*2(C
である、本発明の酸である。
【0010】
本発明はさらに、本発明の酸の製造方法に関する。
【0011】
式I
[B(R4−x−y(CN) (I)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味する、
で表されるホウ酸およびこの溶媒との錯体の合成を、
【0012】
式(II−1)
[B(R4−x−y(CN)a+ (II−1)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
a=1であり、
またここで、
は、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基の配位子を意味し、
a+は、アルカリ金属カチオンである、
で表されるアルカリ金属塩の酸との反応により行い、ここで、特に無水HFとの後の反応の場合には、トリアルキルシリルエーテルへの変換を、随意に予め行ってもよい。
【0013】
少なくとも1つのシアノ基を含む式(II−1)で表されるアルカリ金属化合物の合成を、150℃〜300℃、好ましくは200℃〜250℃の温度においての対応するイソシアノホウ酸塩の異性化により、行う。式(II−2)
[B(R4−x−y(NC)a+ (II−2)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
a=1であり、
またここで、
は、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基の配位子を意味し、
a+は、アルカリ金属カチオンである、
で表されるイソシアン酸ホウ酸塩を、対応するイソシアノホウ酸の強塩基との反応により生成する。
【0014】
好適な塩基は、例えばアルカリ金属アミド類、例えばM[N(SiMe)]であり、ここでMは、リチウム、ナトリウムまたはカリウムを示してもよい。
この反応の最初の段階を、有利には、トルエン、ベンゼン、ヘキサンまたはペンタン中で、特に好ましくはトルエン中で、−60℃〜0℃、好ましくは−20℃において行う。
テトラシアノホウ酸を、例えば例4に示す条件の下で合成する。
【0015】
一般的に、式(I)で表される酸は、対応する金属塩、特にアルカリ金属塩の強酸、例えば塩酸との反応から、生成する。
式(I)で表される酸の金属塩を、例えば以下の2段階反応により得ることができる:
【0016】
WO 2004/07089に記載されているように、テトラフルオロホウ酸カリウムを、NaCNと、KClの存在下で反応させて、塩テトラシアノホウ酸カリウムを主な生成物として生成することができるが、塩K[B(CN)F]、K[B(CN)]およびK[B(CN)F]についてはまた、異なる量比で生成する。フッ素配位子のCN配位子による段階的置換により、配位子交換および生成する塩の量比の制御が反応時間により可能になり、当業者にいかなる困難をも提示しない。J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 15385-15398に記載されているClF、ClFまたは(CHNFとのその後の反応の結果、例えば塩K[B(CF]、K[B(CFCN]、K[B(CFF]、K[B(CFCNF]またはK[B(CF)CNF]が種々の量比で得られる。反応生成物の量比を、反応を行う方法により制御することができる。
【0017】
少なくとも1つのCN基を含む式(I)で表される酸を、無溶媒酸として単離することができる。x=0である式(I)で表される酸は、プロトンを溶媒和し、従って構造を安定化するために、溶媒を必要とする。
本発明の酸は、例えばC中での重水素交換により明らかなように、高いプロトン活性を有する。
【0018】
本発明の酸を、他の無機または有機塩の合成のために用いることができ、これを次に、種々の電気化学的デバイスのための導電性塩として、またはイオン性液体として用いることができる。これらの塩への変換を、例えば無機または有機塩基を用いた中和により、例えばテトラシアノホウ酸を水酸化テトラ(ブチル)アンモニウムと反応させてテトラシアノホウ酸テトラ(ブチル)アンモニウムを得ることにより、行う。
【0019】
本発明の酸またはこれらの無機塩、特にアルカリ金属塩はまた、式[B(R4−x−y(CN)で表され、式中x、yおよびRは前に示した意味を有するシアノホウ酸アニオンを含むカチオン性染料のための良好な出発物質である。
【0020】
本発明はさらに、本発明の式(I)で表される酸の塩の選択肢、即ち一般式(II)
[B(R4−x−y(CN)a+ (II)
式中、
x=1、2または3であり、
y=0または1であり、
x+y≦4であり、
a=1または2であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、Rは、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合しており、
a+は、アルカリ金属カチオン、銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)もしくはカルシウム(II)カチオンまたは有機カチオンである、
で表され、ここでK[B(CFCN]および[NH][B(CFCN]は除外される塩に関する。
【0021】
好ましいのは、本発明において、y=0である式(II)で表される塩の群である。
好ましいのは、本発明において、カチオンMa+がアルカリ金属カチオン、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウムカチオンである、式(II)で表される化合物の群である。
【0022】
式(II)で表されるこの群の化合物は、特に、x、y、aおよびRが前に示した意味を有するアニオン[B(R4−x−y(CN)を含むイオン性液体の、以下に定義する有機カチオンおよびF、Cl、Br、I、OH、[HF、[CN]、[SCN]、[CHCOO]、[CHSO、[CFCOO]、[CFSO、[CHOSO、[SiF2−、[BF、[SO2−、[HSO1−、[NO、[COSO、[(CP(O)O]、[CP(O)O2−、トシル酸イオン、マロン酸イオン、置換マロン酸イオンまたは[CO2−として定義される対イオンAからなり、ここで電気的中性が塩MAの式において確実にならなければならない塩MAとのメタセシスによる合成に適する。アニオンは、好ましくはF、Cl、Br、I、[HF、[CHSO、[CHOSO、[CFCOO]、[CFSO、[(CP(O)O]または[CO2−、特に好ましくはCl、Br、[CHOSO、[CHSO、[CFSOまたは[(CP(O)O]である。
【0023】
この群中のリチウム化合物は、電解質、一次電池、二次電池、キャパシタ、スーパーキャパシタ(supercapacitor)または電気化学的電池における導電性塩として、随意にまた他の導電性塩および/または添加剤と組み合わせてポリマー電解質または相間移動剤の構成成分として、特に好適である。
【0024】
好ましいのは、本発明において、カチオンMa+が銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)またはカルシウム(II)カチオンである、式(II)で表される化合物の群である。マグネシウム、銅(II)、亜鉛(II)またはカルシウム(II)カチオンは、好ましくは溶媒和形態にある。
【0025】
この群の化合物は、同様に、アルカリ金属カチオンを含む式(II)で表される化合物について上記したように、対応するアニオンを含むイオン性液体の塩MAを用いたメタセシスによる合成に適する。
この群の化合物は、金属沈着のために、または相間移動剤として、特に好適である。
【0026】
好ましいのは、本発明において、カチオンMa+が有機カチオンである式(II)で表される化合物の群である。
有機カチオンを、ここでは、
[NR、[PR、[P(NR(NR、[C(NR)(NR)(NR)]、[(RN)C(=OR)(NR)]、[(RN)C(=SR)(NR)]または[(CC]の群から選択することができ、ここでトリチリウム(tritylium)のフェニル基は、各々、互いに独立して、R〜Rにより置換されていてもよい。
【0027】
〜Rは、各々、互いに独立して、水素または1〜20個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つもしくは2つ以上の二重結合を有する直鎖状もしくは分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つもしくは2つ以上の三重結合を有する直鎖状もしくは分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和であるか、部分的に、もしくは完全に不飽和であるシクロアルキル
を示し、
ここで、1つまたは2つ以上、しかしすべてではない置換基R〜Rは、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−CNもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、
【0028】
またここで、置換基R〜Rにおいて、α位にはない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−、−SONR’−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−、−P(O)(NR’)−NR’−および−PR’=N−の群から選択された原子および/または原子団または末端基−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで、R’=フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、またはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環であり、またX’=F、ClまたはBrである。
【0029】
1〜20個のC原子を有するアルキル基は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、C1123、C1225、C1327、C1429、C1531、C1633、C1735、C1837、C1939またはC2041を意味するものと解釈される。アルキル基はまた、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的に、または完全に置換されていてもよい。フッ素化アルキル基は、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロブチルまたはノナフルオロブチルである。
【0030】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の二重結合がまた存在していてもよい直鎖状または分枝状アルケニルは、例えば、アリル、2−もしくは3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039;好ましくはアリル、2−もしくは3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニルであり、好ましいのは、さらに、4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。
【0031】
2〜20個のC原子を有し、ここで複数の三重結合がまた存在していてもよい直鎖状または分枝状アルキニルは、例えば、エチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜−C2037、好ましくはエチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルである。
【0032】
従って、3〜7個のC原子を有する非置換の飽和または部分的に、もしくは完全に不飽和のシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、フェニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニルまたはシクロヘプタ−1,5−ジエニルであり、この各々は、C〜Cアルキル基により置換されていてもよく、ここで次に、シクロアルキル基またはC〜Cアルキル基により置換されているシクロアルキル基はまた、ハロゲン原子、例えばF、Cl、BrまたはI、特にFまたはCl、CNまたはNOにより置換されていてもよい。
【0033】
置換基R〜Rは、ハロゲン原子、特にFおよび/またはClにより部分的に、もしくは完全に、またはCNもしくはNOにより部分的に置換されていてもよい。
【0034】
さらに、置換基R〜Rは、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−、−SONR’−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−、−P(O)(NR’)−NR’−および−PR’=N−の群から選択された1個または2個の隣接していないヘテロ原子もしくは原子団または末端基−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで、R’=フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、またはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環であり、またX’=F、ClまたはBrであり、これは、窒素原子またはリン原子に対してα位にはない。
【0035】
R’において、C〜Cシクロアルキルは、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
【0036】
R’において、置換フェニルは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、CN、SCN、SCF、SOCF、C(O)O−C〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノ、COOH、C(O)NH、C(O)NHR’’、C(O)NR’’、SOOR’’、SOX’、SONH、SONHR’’、SONR’’、SOH、NR’’C(O)R’’またはNHC(O)R’’により置換されているフェニルを示し、ここで、X’は、F、ClまたはBrを示し、R’’は、R’について定義したように、フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、またはパーフルオロ化されているC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキル、例えばo−、m−またはp−メチルフェニル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−ヨードフェニル、さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジヒドロキシフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルを示す。
【0037】
R’において、複素環は、5〜13個の環要素を有する飽和または不飽和の単環式または二環式複素環式基を意味するものと解釈され、ここで1個、2個もしくは3個のN原子および/または1個もしくは2個のSもしくはO原子が存在してもよく、複素環式基は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、CN、SCN、SCF、SOCF、C(O)O−C〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノ、COOH、C(O)NH、C(O)NHR’’、C(O)NR’’、SOOR’’、SOX’、SONH、SONHR’’、SONR’’、SOH、NR’’C(O)R’’またはNHC(O)R’’により単置換または多置換されていてもよく、ここでX’およびR’’は、前述の意味を有する。
【0038】
複素環式基は、好ましくは、置換もしくは非置換の2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、2−、3−、4−、5−もしくは6−2H−チオピラニル、2−、3−もしくは4−4H−チオピラニル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチエニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−1H−インドリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリニル、1−、2−、3−、4−もしくは9−カルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくは9−アクリジニル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニルまたは1−、2−もしくは3−ピロリジニルである。
【0039】
一般性を限定せずに、置換基R〜Rまたはまた以下の置換基R’〜R’の例は、以下のものである:
【化1】

【0040】
グアニジニウムカチオン[C(NR)(NR)(NR)]の4つまでの置換基をまた、単環式、二環式または多環式カチオンが生成するように、対に結合させてもよい。
【0041】
一般性を限定せずに、このようなグアニジニウムカチオンの例は、以下のものである:
【化2】

式中、置換基R〜RおよびRは、前述の、または特に好ましい意味を有していてもよい。
【0042】
前述のグアニジニウムカチオンの炭素環または複素環は、随意にまた、X’およびR’’が前述の意味を有する、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、CN、SCN、SCF、SOCF、C(O)O−C〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノ、COOH、C(O)NH、C(O)NHR’’、C(O)NR’’、SOOR’’、SONH、SONHR’’、SONR’’、SOX’、SOH、NR’’C(O)R’’またはNHC(O)R’’、置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環により置換されていてもよい。
【0043】
ウロニウムカチオン[(RN)−C(=OR)(NR)]またはチオウロニウムカチオン[(RN)−C(=SR)(NR)]の4つまでの置換基をまた、単環式、二環式または多環式カチオンが生成するように、対に結合させてもよい。
【0044】
一般性を限定せずに、このようなカチオンの例を、以下に示し、式中X=OまたはSである:
【化3】

式中、置換基R、RおよびRは、前述の、または特に好ましい意味を有していてもよい。
【0045】
前述のカチオンの炭素環または複素環は、随意にまた、X’およびR’’が前述の意味を有する、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、NO、F、Cl、Br、I、OH、C〜Cアルコキシ、CN、SCN、SCF、SOCF、C(O)O−C〜Cアルキル、NH、C〜CアルキルアミノまたはC〜Cジアルキルアミノ、COOH、C(O)NH、C(O)NHR’’、C(O)NR’’、SOOR’’、SONH、SONHR’’、SONR’’、SOX’、SOH、NR’’C(O)R’’もしくはNHC(O)R’’、または置換もしくは非置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環により置換されていてもよい。
【0046】
有機カチオンは、特に好ましくは、アンモニウム、ホスホニウムまたはグアニジニウム塩の群から選択される。
置換基R〜Rは、各々、互いに独立して、好ましくは、1〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基である。
〜Rは、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、i−プロピルまたはブチルである。
式[NRまたは[PR中の置換基R〜Rは、特に好ましくは同一である。
【0047】
有機カチオンを、さらに、複素環式カチオンの群から選択することができる。複素環式カチオンは、例えば、以下のものである。
【化4】

【0048】
式中、置換基
’〜R’は、各々、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和であるか、部分的に、または完全に不飽和であるシクロアルキル、
飽和であるか、部分的に、または完全に不飽和であるヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜Cアルキルまたはアリール−C〜Cアルキル
を示し、
【0049】
ここで、1つまたは2つ以上の置換基R’〜R’は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−CNもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、
ここでR’およびR’は、同時にはパーフルオロ化またはパークロロ化され得ず、
またここで、置換基R’〜R’において、ヘテロ原子に対してα位にはない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−、−SONR’−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−、−P(O)(NR’)−NR’−および−PR’=N−の群から選択された原子および/または原子団または末端基−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで、R’=フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、またはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環であり、またX’=F、ClまたはBrである。
【0050】
アリールは、非置換または置換フェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルを示す。
アリール−C〜Cアルキルは、例えばベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチルまたはフェニルヘキシルを示す。フッ素化アリール−C〜Cアルキルは、例えばペンタフルオロフェニルジフルオロメチル、ペンタフルオロフェニルテトラフルオロエチルまたはペンタフルオロフェニルエチルを示す。
【0051】
ヘテロアリールの用語は、上記の複素環式基の用語と同一である。ヘテロアリール−C〜Cアルキルの名称を有する置換基は、上記のようにヘテロアリールおよび、アリール−C〜Cアルキルの用語の場合においてすでに明確に記載したように1〜6個のC原子を有するアルキレン鎖から構成されている。
置換基R’〜R’は、特に好ましくは、1〜20個のC原子を有する、極めて特に好ましくは1〜12個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基である。
【0052】
複素環式有機カチオンの群から、カチオンは、特に好ましくは、前に定義したように、置換イミダゾリウム、置換ピリジニウム、置換ピロリジニウム、置換ピペリジニウムまたは置換モルホリニウムから選択される。
上記のように有機カチオンを含む本発明の式(II)で表される塩を、イオン性液体として用いることができる。イオン性液体は、例えば、多くの合成または触媒反応、例えばフリーデル−クラフツアシル化およびアルキル化、ディールス−アルダー付加環化、水素添加および酸化反応、マイケル(Michael)タイプ反応またはヘック(Heck)反応のための溶媒として、非水性電解質として、用いることができ、これは、随意に、当業者に知られている他の導電性塩添加物および溶媒と組み合わせて、用いられる。
【0053】
さらに、これらのイオン性液体を、好適な反応における非水性極性物質として、相間移動触媒として、界面活性剤(surfactant)(界面活性剤(surface-active agent))として、可塑剤として、または均質触媒の不均質化のための媒体として、用いることができる。
これらはさらに、乾燥剤、熱媒体として、およびガスのための分離剤として、好適である。
【0054】
a+がアルカリ金属カチオンである式(II)で表される塩を、次に本発明の式(I)で表される酸の選択肢である式(Ia)
[B(R4−x−y(CN)a+ (Ia)
式中、
x=1、2または3であり、
y=0または1であり、
x+y≦4であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、
で表される酸を、アルカリ金属カチオンを含む塩基を用いて中和することにより、または例えば式(II)で表されるLi塩にKOH/HOを用いた水性精製操作を施すことによる塩交換反応により、調製することができる。
【0055】
好適な塩基は、無機塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、例えばKOH、または有機塩基、例えばアルカリ金属アルコキシド類、ブチルリチウムまたは金属アミド類、例えば式中Me=メチルおよびM=Li、NaまたはKであるMN(SiMe)である。
反応を、水または有機溶媒中で、0℃〜100℃の温度で、好ましくは室温で行う。
【0056】
本発明はさらに、式(II)で表され、式中Ma+が銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)もしくはカルシウム(II)カチオンまたは有機カチオンを示す塩を塩交換反応により製造する方法であって、前に記載したようにして調製した式(II)で表されるアルカリ金属塩または酸自体を、式(III)
MA (III)
式中、
Mは、銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)もしくはカルシウム(II)カチオンまたは有機カチオンを示し、
A=OH、F、Cl、Br、I、[HF、[CN]、[SCN]、[CHCOO]、[CHSO、[CFCOO]、[CFSO、[CHOSO、[BF、[SO2−、[HSO1−、[NO、[COSO、[(CP(O)O]、[CP(O)O2−、トシル酸イオン、マロン酸イオン、置換マロン酸イオンまたは[CO2−である、
で表される化合物と反応させることを特徴とする、前記方法に関する。
【0057】
酸を用いる場合には、反応をまた、金属酸化物、例えば1族、2族、11族および12族金属の酸化物を用いて行うことができる。
式(III)で表されるアニオンは、好ましくはOH、Cl、Br、I、[CHSO、[CHOSO、[CFCOO]、[CFSO、[(CP(O)O]または[CO2−、特に好ましくはOH、Cl、Br、[CHOSO、[CFSO、[CHSOまたは[(CP(O)O]である。
【0058】
反応を、有利には水中で行い、ここで0℃〜100℃、好ましくは15℃〜60℃、特に好ましくは室温の温度が好適である。
しかし、反応を、あるいはまた、有機溶媒中で、−30℃〜100℃の温度において行ってもよい。好適な溶媒は、ここでは、ベンゼン、アセトニトリル、ジオキサン、ジクロロメタン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはアルコール、例えばメタノール、エタノールもしくはイソプロパノールである。
【0059】
本発明はさらに、上記の式(I)もしくは式(Ia)で表される酸または上記の一般式(II)で表される塩の、希土類元素を含む触媒の合成のための使用に関する。
希土類元素または(遷移)金属、例えばロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金、オスミウム、コバルト、ニッケル、鉄、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、トリウム、ウラン、金またはタングステンを含む触媒は、反応、例えばアルケン類の接触水素化、ヒドロホルミル化、ヒドロシリル化、不飽和化合物の異性化、カルボニル化、C−Cカップリング、重合またはオリゴマー化のための重要な触媒である。
【0060】
式(IV)
{[(CP]Rh}[B(R4−x−y(CN)] (IV)
式中、
x=1、2または3であり、
y=0または1であり、
x+y≦4であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、
で表されるロジウム触媒を製造するために、上記の式(II)で表されるアルカリ金属塩を、
{[(CP]Rh}Cl
と反応させる。
【0061】
対応するホウ酸アニオンによる塩化物の配位子交換が、ここで行われる。反応を、極性溶媒中で、好ましくはアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール中で、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜60℃、特に好ましくは室温の温度において行う。生成したロジウム触媒を、当業者に知られている方法により、例えば抽出および/または再結晶により、精製することができる。
【0062】
式(V)
[CpZrCH][B(R4−x−y(CN) (V)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
Cp=シクロペンタジエニルであり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、
で表されるZr触媒を製造するために、随意に溶媒和形態の上記の式(I)で表される酸を、CpZr(CHと反応させる。
【0063】
反応を、有利にはジクロロメタン中で行う。出発物質を、−60℃の温度において混合し、実際の反応を、室温で行う。このタイプの触媒は、通常インサイチュで生成する。
【0064】
本明細書中に述べたすべての出願明細書、特許明細書および公報の完全な開示内容を、参考により本出願中に導入する。
さらなるコメントを伴わなくても、当業者は、前述の記載をこの最も広い範囲において用いることができることが、推測される。従って、好ましい態様および例は、単に記載的開示であり、絶対にいかなる方法においても限定的ではないものと解釈するべきである。
【0065】
当業者には、本明細書中に述べた化合物における置換基、例えばH、N、O、Cl、Fを、対応する同位体により置換してもよいことは、言うまでもない。
NMRスペクトルを、例中に示さない限りは、重水素化した溶媒に溶解した溶液について、20℃で、重水素ロックでの5mmのH/BB広帯域ヘッドを有するBruker Avance 300分光計において、測定した。種々の核の測定周波数は、以下の通りである:H:300.13MHz、11B:96.92MHz、19F:282.41MHzおよび31P:121.49MHz。参照方法を、各々のスペクトルまたは各々のデータ群について別個に示す。
【0066】
例:
例1:
トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸の合成
第1段階
113mg(0.4mmol)のK[(CFBCN](合成を例5に記載する)を、乾燥箱中でPTFE支軸を有するバルブを有するガラス指において秤量する。2mlのヨウ化トリメチルシリルを、−196℃で、真空装置において凝縮させて加える。反応混合物を、室温で攪拌する。10時間後、過剰のヨウ化トリメチルシリルを、減圧において除去し、残留物を、ジクロロメタンで抽出する。懸濁液を、濾過助剤で覆ったガラスフリットを通して不活性ガス雰囲気中で濾過し、溶液を、シュレンク(Schlenk)フラスコ中に採集する。その後、反応容器およびフリットを、ジクロロメタンで洗浄する。溶媒を減圧において除去し、残留物を、NMRにより分析する。これは、95%の[(CFBCN]SiMeである。
【化5】

【0067】
第2段階
80mg(0.25mmol)の[(CFBCN]SiMeを、乾燥箱中のフラスコ中に導入する。5mlの無水HFを、−196℃で減圧において攪拌しながらステンレススチール製の装置において凝縮させる。その後、反応混合物を、室温で1時間攪拌する。すべての揮発性構成成分をポンプ輸送して除去し、トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸[(CFBCN]Hが90%の収率で得られる。
【化6】

【0068】
例2:
トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸エーテル[(CFBCN]H*EtOの合成
109mg(0.39mmol)のK[(CFBCN]を、PTFE支軸を有するバルブを有するガラス指中に秤量する。5mlのジエチルエーテル、続いて0.9mmolのHClを、−196℃で減圧において凝縮させて加える。反応混合物を、室温で数時間攪拌する。加温の直後に、無色固体が沈殿を開始する。すべての揮発性構成成分を減圧において除去する。残留物をジクロロメタン中に吸収させる。固体を、N雰囲気中で濾過助剤で覆ったガラスフリットを通して濾過する。溶液を蒸発させ、固体が残留し、トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸エーテルが61%の収率で得られる。
【化7】

【0069】
例3:
[(CFB]H2EtOの合成
546mg(1.68mmol)のK[B(CF]を、バルブおよびPTFE支軸を有するフラスコ中に秤量し、減圧において注意深く乾燥する。80mlのジエチルエーテルを凝縮させて加え、フラスコを、−50℃に冷却する。溶液を、反応の間連続的に攪拌する。約12mmolのHClを、PTFE支軸を有するバルブを有する第2のフラスコ中に室温で凝縮させる。2つのフラスコ中のバルブを、開放する。ガス状のHClをジエチルエーテル溶液と接触させたわずか数分後に、白色固体が、溶液から沈殿する。溶液の温度を、−20℃より低く設定する。5時間後、すべての揮発性物質を、減圧において除去する。無水ジクロロメタンを、窒素と共に、PFAカニューレを介して白色残留物に加える。懸濁液を、セライト(Celite)パックシュレンクフリットを通して濾過し、透明な溶液が得られる。ジクロロメタンを、減圧において除去し、[(CFB]H2EtOを、乾燥箱中に移送し、530mgが得られ、これは、73%の収率に相当する。
【化8】

【0070】
例4:
テトラシアノホウ酸一水和物の合成
第1段階:
【数1】

100ml(86.3g、0.87mol)のシアン化トリメチルシリルを、12ml(13.1g、0.092mol)の三フッ化ホウ素エーテルと、水分を排除したフラスコ中で反応させる。溶液は、わずかに温かくなる。15分後、反応混合物を、30〜40℃において18時間にわたり加温し、この間固体が沈殿する。生成物を、水分を排除しながら濾別し、10mlのクロロホルム、10mlのトルエンおよび20mlのペンタンで連続的に洗浄する。減圧において乾燥して、3.5g(0.018mol)の[(CHSi][B(CN)]が得られ、これは、20%の収率に相当する。
【0071】
第2段階
【数2】

3.5gの[(CHSi][B(CN)]を、60mlの水と、氷冷しながら反応させる。2つの相が生成し、これは、水性溶液および[(CHSi]Oを含む。水性溶液を分離して除去し、減圧において蒸発させる。80mlのジクロロメタンおよび40mlのジエチルエーテルを、残留物上に凝縮させる。溶液を濾過し、減圧において蒸発させる。生成したエーテルを、20mlの水に溶解し、減圧において蒸発させる。水の添加およびその後の蒸発を、さらに2回繰り返す。このようにして生成した生成物を、20時間減圧(10−3mbar)において乾燥し、2.115g(0.016mol)のテトラシアノホウ酸一水和物H[B(CN)]*HOが得られ、これは、17%の収率に相当する。
【0072】
【化9】

元素分析:
BNOの計算値 C:35.88% H:2.26% N:41.84%
観測値 C:35.69% H:2.96% N:42.14%
【0073】
例5:
K[(CFBCN]の合成
第1段階:トリス(トリフルオロメチル)イソシアノホウ酸の合成
2.04g(8.3mmol)のカルボニルトリス(トリフルオロメチル)ボラン、20mlのジクロロメタンおよび13.1mmolのHCNを、−196℃において、真空装置上のバルブおよびPTFE支軸を有するフラスコ中に凝縮させる。反応混合物を、−80℃に加温し、攪拌しながら一晩室温に加温する。すべての揮発性構成成分を、減圧において除去し、1.94g(7.9mmol)のトリス(トリフルオロメチル)イソシアノホウ酸[(CFBNC]Hが得られ、これは、95%の収率に相当する。
元素分析:
HBFNの計算値 C:19.62% H:0.41% N:5.72%
観測値 C:19.80% H:0.40% N:5.80%
【0074】
第2段階:K[(CFBNC]の合成
例1に記載したように調製した1.12g(4.6mmol)のトリス(トリフルオロメチル)イソシアノホウ酸を、乾燥箱中でPTFE支軸を有するバルブを有するシュレンク指中に秤量し、滴下漏斗を取り付ける。PTFE支軸を有するバルブを有するフラスコを、同様に乾燥箱において、1.92g(11.5mmol)のLi[N(SiMe]で充填する。2種の固体を、各々真空装置において40mlのトルエンに溶解する。アミドの溶液を、滴下漏斗中に移送する。反応容器を、−20℃に冷却し、トルエン/アミド溶液を、攪拌しながら2時間にわたり滴加する。添加が完了した際に、反応混合物を、−20℃においてさらに30分間攪拌する。その後、20mlの水性KOH/KCO溶液を、混合物に加える。トルエン相を分離して除去し、溶媒を、ロータリーエバポレーター中で減圧において除去する。残留物を、50mlのジエチルエーテル中に吸収させ、反応の水性相に加える。反応混合物を、さらに100および50mlのジエチルエーテルで抽出する。混ぜ合わせた有機相を、炭酸カリウムを用いて乾燥し、その後混合物を濾過する。すべての揮発性構成成分を、ロータリーエバポレーター上でポンプ輸送して除去し、1.08gのトリス(トリフルオロメチル)イソシアノホウ酸カリウムが得られ、これは、83%の収率に相当する。
【0075】
【化10】

元素分析:
BFKNの計算値 C:16.98% N:4.95%
観測値 C:17.11% N:5.10%
【0076】
第3段階:K[(CFBCN]の合成
515mg(1.8mmol)のトリス(トリフルオロメチル)イソシアノホウ酸カリウムを、加熱チャンバ中で、10K/分の加熱速度において240℃に加熱し、200〜240℃でさらに10分間調節する。異性化の間、加熱チャンバに、窒素を連続的に流す。その後、塩を、室温に冷却し、515mgのトリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸カリウムが得られる。
【0077】
【化11】

元素分析:
BFKNの計算値 C:16.98% N:4.95%
観測値 C:16.79% N:4.97%
【0078】
例6:
[C(NH][(CFBCN]の合成
2.50g(8.8mmol)のK[(CFBCN]を150mlのエタノールに溶解した溶液を、攪拌しながら、1.37g(14.3mmol)の塩化グアニジニウムを150mlのエタノールに溶解した溶液に加える。混合物を、室温で1時間攪拌し、その後、エタノールを蒸留して除去する。無色の残留物を、THFで2回抽出する。THF溶液を濾過し、溶媒を減圧において除去し、2.55g(8.4mmol)のトリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸グアニジニウムが得られ、これは、95%の収率に相当する。
【化12】

【0079】
例7:
[PhC][(CFBCN]の合成
312mg(1.1mmol)のK[(CFBCN]および323mg(1.2mmol)の塩化トリフェニルメチルを、PTFE支軸を有するバルブを有するフラスコ中に秤量する。微量の水を、減圧において完全に除去する。100mlの無水ジクロロメタンを、不活性ガス雰囲気中で固体に加える。懸濁液を、一晩攪拌する。不活性ガス雰囲気中で、懸濁液を、濾過助剤で覆ったシュレンクフリットを通して濾過し、フラスコ中に採集する。反応フラスコを、ジクロロメタンで2回(20ml、10ml)洗浄する。その後、液体を、フリットを通して濾過する。ジクロロメタン溶液を、減圧において約2mlの容積に濃縮する。トリチル塩が、定常的に攪拌しながら25mlのヘキサンをゆっくりと加えることにより固体として沈殿する。1時間後、攪拌を停止し、生成物を沈降させる。液体相を除去する。粗製の生成物を、ヘキサンで洗浄し、445mgのトリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸トリフェニルメチルが得られ、これは、82%の収率に相当する。
元素分析:
2315BFNの計算値 C:56.71% H:3.10% N:2.88%
観測値 C:55.85% H:3.15% N:2.98%
【0080】
例8:
{(PPh)Rh}[NCB(CF]、Ph=フェニルの合成
72mg(0.26mmol)のK[(CFBCN]および205mg(0.22mmol)の{(PPhRh}Clを、乾燥箱中で反応容器中に導入する。20mlの乾燥エタノールを、攪拌しながら−196℃で凝縮させて加える。反応混合物を、室温に加温し、3日間攪拌する。溶媒を、減圧において除去する。不活性ガス雰囲気中で、オレンジ色の残留物を、塩化メチレンで2回抽出する。無機塩の微細な白色固体を、溶液から、濾過により分離して除去する。ジクロロメタンを、減圧において除去し、227mg(0.20mmol)のロジウム触媒(PPh)RhNCB(CFが得られ、これは、91%の収率に相当する。
【化13】

【0081】
例9:
[CpZrMe(OEt)][B(CF]、Cp=シクロペンタジエニル、Me=メチル、Et=エチルの合成
86mg(0.20mmol)の[H(OEt][B(CF]および47mg(0.19mmol)のCpZrMeを、−196℃で混合する。
反応混合物を−60℃に加温した後に、ガスの発生が開始し、固体が沈殿する。室温で12時間後、すべての揮発性構成成分を、減圧において除去し、[CpZrMe(OEt)][B(CF]が得られる。
【化14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
[B(R4−x−y(CN) (I)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、
は、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、
で表される酸およびこの溶媒との錯体。
【請求項2】
がパーフルオロ化されているC1〜4アルキル基を意味することを特徴とする、請求項1に記載の酸。
【請求項3】
y=0であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の酸。
【請求項4】
テトラシアノホウ酸一水和物[B(CN)+*O、
トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸[(CFBCN]
トリス(トリフルオロメチル)シアノホウ酸ジエチルエーテル[(CFBCN]+*(C
またはテトラキス(トリフルオロメチル)ホウ酸ビス(ジエチルエーテル)[B(CF*2(C
である、請求項1に記載の酸。
【請求項5】
一般式(II)
[B(R4−x−y(CN)a+ (II)
式中、
x=1、2または3であり、
y=0または1であり、
x+y≦4であり、
a=1または2であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、Rは、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合しており、
a+は、アルカリ金属カチオン、銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)もしくはカルシウム(II)カチオンまたは有機カチオンである、
で表され、K[B(CFCN]および[NH][B(CFCN]を除く、塩。
【請求項6】
a+がアルカリ金属カチオンであることを特徴とする、請求項5に記載の式(II)で表される塩。
【請求項7】
a+が、
[NR、[PR、[P(NR(NR、[C(NR)(NR)(NR)]、[(RN)−C(=OR)(NR)]または[(RN)−C(=SR)(NR)]、式中、
〜Rは、各々、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和であるか、部分的に、または完全に不飽和であるシクロアルキル
を示し、
ここで、1つまたは2つ以上の置換基R〜Rは、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−CNもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、
またここで、置換基R〜Rにおいて、α位にはない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−、−SONR’−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−、−P(O)(NR’)−NR’−および−PR’=N−の群から選択された原子および/または原子団または末端基−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで、R’=フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、またはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環であり、またX’=F、ClまたはBrである、
の群から選択された有機カチオンであることを特徴とする、請求項5に記載の式(II)で表される塩。
【請求項8】
a+中の有機カチオンが、
【化1】

式中、置換基
’〜R’は、各々、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の二重結合を有する直鎖状または分枝状アルケニル、
2〜20個のC原子および1つまたは2つ以上の三重結合を有する直鎖状または分枝状アルキニル、
3〜7個のC原子を有し、1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、飽和であるか、部分的に、または完全に不飽和であるシクロアルキル、
飽和であるか、部分的に、または完全に不飽和であるヘテロアリール、ヘテロアリール−C〜Cアルキルまたはアリール−C〜Cアルキル
を示し、
ここで、1つまたは2つ以上の置換基R’〜R’は、ハロゲン、特に−Fおよび/または−Clにより部分的にもしくは完全に、または−CNもしくは−NOにより部分的に置換されていてもよく、
ここでR’およびR’は、同時にはパーフルオロ化またはパークロロ化され得ず、
またここで、置換基R’〜R’において、ヘテロ原子に対してα位にはない1個または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−C(O)−、−C(O)O−、−S−、−S(O)−、−SO−、−SOO−、−C(O)NH−、−C(O)NR’−、−SONH−、−SONR’−、−N=、−N=N−、−NH−、−NR’−、−PR’−、−P(O)R’−、−P(O)R’−O−、−O−P(O)R’−O−、−P(O)(NR’)−NR’−および−PR’=N−の群から選択された原子および/または原子団または末端基−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで、R’=フッ素化されていない、部分的にフッ素化されている、またはパーフルオロ化されているC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、非置換もしくは置換フェニルまたは非置換もしくは置換複素環であり、またX’=F、ClまたはBrである、
の群から選択された複素環式カチオンであることを特徴とする、請求項5に記載の式(II)で表される塩。
【請求項9】
請求項5、7または8のいずれかに記載の式(II)で表される塩を塩交換反応において製造する方法であって、請求項6に記載の式(II)で表されるアルカリ金属塩を、式(III)
MA (III)
式中、
Mは、銀、マグネシウム、銅(I)、銅(II)、亜鉛(II)もしくはカルシウム(II)カチオンまたは有機カチオンを示し、
Aは、OH、F、Cl、Br、I、[HF、[CN]、[SCN]、[CHCOO]、[CHSO、[CFCOO]、[CFSO、[CHOSO、[BF、[SO2−、[NO、[COSO、[(CP(O)O]、[CP(O)O2−、トシル酸イオン、マロン酸イオン、置換マロン酸イオンまたは[CO2−を示す、
で表される化合物と反応させることを特徴とする、前記方法。
【請求項10】
請求項5〜8のいずれかに記載の塩の、触媒、相間移動触媒、溶媒、イオン性液体としての、または電気化学的デバイスの電解質における導電性塩としての使用。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載の式(I)で表される酸または請求項5〜8のいずれかに記載の一般式(II)で表される塩の、触媒の合成のための使用。
【請求項12】
式(IV)
[(CP]Rh[B(R4−x−y(CN)] (IV)
式中、
x=1、2または3であり、
y=0または1であり、
x+y≦4であり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、Rは、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、
で表される、請求項6に記載の式(II)で表されるアルカリ金属塩の[(C)P]RhClとの反応による、Rh触媒。
【請求項13】
式(V)
[CpZrCH][B(R4−x−y(CN) (V)
式中、
x=0、1、2、3または4であり、
y=0、1、2または3であり、
x+y≦4であり、
Cp=シクロペンタジエニルであり、
またここで、
配位子Rは、同一であっても異なっていてもよく、Rは、パーフルオロ化されているか、または部分的にフッ素化されているC1〜12アルキル基を意味し、ここで、CN基は、C原子を介してB原子に結合している、
で表される、請求項1〜4のいずれかに記載の式(I)で表される酸または溶媒和形態のCpZr(CHとの反応による、Zr触媒。

【公表番号】特表2008−517002(P2008−517002A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537146(P2007−537146)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010662
【国際公開番号】WO2006/045405
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】