説明

新規プロテオソーム−リポサッカリドワクチンアジュバント

【課題】ヒトにおいて安全であり、かつ防御的な全身性免疫応答および粘膜体液性免疫応答および細胞性免疫応答を誘導し得る潜在的なアジュバントを提供すること。
【解決手段】細菌リポサッカリドに複合体化された細菌外膜タンパク質プロテオソームから構成されるアジュバント複合体が、種々の条件下で成分部分を含むように調製される。この複合体は、抗原性材料とともに処方されて、免疫原性組成物、ワクチンおよび免疫治療剤を形成しうる。誘導された免疫応答は、種々のプロトコルについて示される防御抗体および/または1型サイトカインを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、免疫原性の増強のため、および抗原に対する免疫応答の改善のためのアジュバント、ならびにそれらを調製および使用するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
宿主において防御免疫応答を誘導するための抗原の能力は、その抗原を免疫刺激剤またはアジュバントと合わせることによって増強され得る。ミョウバンベースのアジュバントは、認可された注射可能なヒトワクチンのためにほぼ排他的に使用され、ミョウバンは、特定の型の血清抗体応答(2型)を増強するが、他の型の抗体応答(1型)の増強は弱く、そして細胞内病原に対する防御のためならびに癌およびアレルギーに対する治療ワクチンのために重要である細胞性免疫応答の弱い活性化因子である。さらに、ミョウバンは、IgEの防御に起因して、アレルギー反応を増強する。多数の物質が、動物モデルにおいて試験され、そして抗体および細胞性(1型)免疫応答に対する潜在的なアジュバントであることが示されているが、そのほとんどが、容認できないレベルの反応生成性(reactogenicity)および/または期待外れの免疫増強能に起因して、ヒトでの使用に対して適切でないことが証明されている。さらに、現在、多数の感染性因子が宿主に進入する粘膜表面において免疫応答を増強し得る認可されたアジュバントは、存在しない。実際、ほとんどの有望な鼻腔送達される粘膜アジュバント(細菌性エンテロトキシン(例えば、変異コレラ毒素および熱不安定性毒素))の開発は、げっ歯類のCNSの嗅球領域に輸送され、そしてその嗅球領域において炎症を引き起こすその能力が原因で、北アメリカで中止されている。ヒトにおいて安全であり、かつ防御的な全身性免疫応答および粘膜体液性免疫応答および細胞性免疫応答を誘導し得る潜在的なアジュバントの必要性がある。
【0003】
グラム陰性細菌由来のリポポリサッカリド(LPS)は、潜在的なアジュバントである。LPSは、炎症性サイトカイン(例えば、マクロファージおよび樹状細胞からのIL−1、TNF− 、IL−10およびIL−12;内皮細胞由来のIL−1、IL−6およびIL−8ならびに上皮細胞由来のIL−8)の産生を引き起こす生得免疫系を活性化する。さらに、LPSは、B細胞有糸分裂誘発性およびポリクローナル抗体分泌の刺激によって証明されるように、マウスおよびある範囲でヒトにおいてB細胞活性化因子である。LPSは、CD14分子への結合および抗原提示細胞の表面上のtoll様レセプター(TLR)の活性化によってその効果を媒介し、炎症誘発性分子の転写カスケード、遺伝子発現および分泌を開始する。
【0004】
LPSのアジュバントの潜在性にもかかわらず、ヒトにおけるその使用は、その分子の脂質A部分によって媒介される関連内毒性が原因で、制限されている。LPSの脂質A領域の化学改変が、特定のアジュバント特性を維持しながら、脂質Aを実質的に解毒することが示されている(例えば、モノホスホリル脂質AもしくはMPL−A、または例えば、特定の脂肪酸を除去するためのアルカリ解毒)(非特許文献1を参照のこと)。MPL−Aは、動物において潜在的なアジュバント活性を示すが、ヒトにおける経験では相反し、いくつかの抗原との弱いアジュバント活性、および多くの状況における容認できない全体的な反応生成性を示す。
【0005】
非共有結合性のプロテオソーム−LPS複合体(Neisseria meningitidis由来のプロテオソームおよびShigella flexneriまたはPlesiomonas shigelloides由来の精製されたLPSを含む)が、単独型ワクチンの状況で、フェーズ1臨床試験およびフェーズ2臨床試験においてヒトに鼻腔内投与または経口投与された。これらのワクチンは、鼻腔内経路を介して提供された場合、それぞれ、動物(非特許文献2)およびヒト(非特許文献3)において、Shigella flexneri感染またはS.sonnei感染に対して防御免疫応答を誘導する。さらに、これらの複合体は、非常に高い用量においてヒトに鼻腔経路または経口経路を介して十分に寛容され(匹敵する量のLPSと共に1.5mgまでのプロテオソームを鼻腔内で提供、およびプロテオソームおよびLPS成分の各々2mgを経口で提供)(Friesら、2000)、そして小動物毒性研究において、嗅球毒性または他のCNS関連毒性は示されなかった。プロテオソームは、主に、ポーリン(porin)タンパク質および他の外膜タンパク質からなる。ポーリンプロテオソームもまた、樹状細胞からIL−12を誘導し得ること、ならびに、CD8+T細胞の誘導(非特許文献4)およびIL−8を生成するHela細胞の活性化(非特許文献5)の証拠が示されている。プロテオソームポーリンはまた、toll様レセプター2の活性化を介して、抗原提示細胞上でB7.2(CD28)同時刺激分子をアップレギュレートする(非特許文献6)。
【0006】
非特許文献7は、不活性化されたインフルエンザウイルス全体に対する粘膜アジュバントとして、髄膜炎菌外膜小胞(OMV)の使用を報告している。Dalsegおよび彼の同僚および共同研究者らは、彼らが調製したOMVは、総OMVタンパク質の量(重量)と比較して、6%〜9%の内因性リポオリゴサッカリド(LOS)残存を保持するプロセスを使用したことを報告した。これらのOMV調製物はまた、そのOMV中に16%の界面活性剤(デオキシコレート)(この量は、毒性研究またはヒトにおいて身体に悪いかまたは毒性であり得る量である)を特異的に保持することを報告している。
【非特許文献1】Qureshiら、J.Biol Chem 1982;257:p.11808−15
【非特許文献2】Malletら、Infect and Immun 1995;63:p.2382−86
【非特許文献3】Friesら、Infect Immun.2001;69:p.4545−53
【非特許文献4】Jeanninら、Nature Immunology 2000;1:p.502−509
【非特許文献5】Pridmoreら、J.Infect Dis 2000;10:p.183
【非特許文献6】Massariら、J.Immunol.2002,168:p.1533−1537
【非特許文献7】Dalsegら、Vaccines、Cold Spring Harbor laboratory Press,1996、96、p.177−182
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、本発明は、以下の手段を提供する。
(項目1) 第1のグラム陰性細菌から調製された外膜タンパク質プロテオソーム調製物および第2のグラム陰性細菌由来のリポサッカリド調製物を含むアジュバント組成物であって、該外膜タンパク質プロテオソームおよびリポサッカリド調製物は、安定な非共有結合アジュバント組成物複合体を形成し、総プロテオソームタンパク質の重量%としての最終リポサッカリド含有量は、少なくとも約13%である、アジュバント組成物。
(項目2) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記第1および第2のグラム陰性細菌が同じである、アジュバント組成物。
(項目3) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記第1および第2のグラム陰性細菌が異なる、アジュバント組成物。
(項目4) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記第1のグラム陰性細菌がNeisseria属から選択される、アジュバント組成物。
(項目5) 項目4に記載のアジュバント組成物であって、前記Neisseriaが、Neisseria meningitidisである、アジュバント組成物。
(項目6) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記第2のグラム陰性細菌が、以下の属:Escherichia、Shigella、Plesiomonas、またはSalmonellaから選択される、アジュバント組成物。
(項目7) 項目6に記載のアジュバント組成物であって、前記第2のグラム陰性細菌が、E.coli、S.flexneri、P.shigelloides、またはS.essensから選択される、アジュバント組成物。
(項目8) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記総プロテオソームタンパク質の重量%としての最終リポサッカリド含有量が、15%〜300%である、アジュバント組成物。
(項目9) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記総プロテオソームタンパク質の重量%としての最終リポサッカリド含有量が、20%〜200%である、アジュバント組成物。
(項目10) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記総プロテオソームタンパク質の重量%としての最終リポサッカリド含有量が、30%〜150%である、アジュバント組成物。
(項目11) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記プロテオソーム調製物が、総タンパク質の約0.5%〜約5%のリポサッカリド含有量を有する、アジュバント組成物。
(項目12) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記プロテオソーム調製物が、総タンパク質の約12%〜約25%のリポサッカリド含有量を有する、アジュバント組成物。
(項目13) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記プロテオソーム調製物が、総タンパク質の約15%〜約20%のリポサッカリド含有量を有する、アジュバント組成物。
(項目14) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記第1のグラム陰性細菌がNeisseria meningitidisであり、前記第2のグラム陰性細菌がShigella flexneriであり、最終リポサッカリド含有量が50%〜150%である、アジュバント組成物。
(項目15) 項目1に記載のアジュバント組成物であって、前記第1のグラム陰性細菌がNeisseria meningitidisであり、前記第2のグラム陰性細菌がPlesiomonas shigelloidesであり、最終リポサッカリド含有量が50%〜150%である、アジュバント組成物。
(項目16) 項目1〜15のいずれか1項に記載のアジュバント組成物および抗原を含む免疫原性組成物。
(項目17) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原は、ペプチド、タンパク質、トキソイド、糖タンパク質、糖脂質、脂質、糖質、および/またはポリサッカリドから選択される、免疫原性組成物。
(項目18) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、動物界または植物界の生物または感染生物由来であるか、アレルゲンであるか、または化学的に改変されたアレルゲンもしくは生物学的に改変されたアレルゲンであるか、または化学物質である、免疫原性組成物。
(項目19) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、弱毒化されたおよび/または不活化された、ウイルス、細菌または寄生生物を含む完全な微生物または破壊された微生物である、免疫原性組成物。
(項目20) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、合成手順または組換え分子手順により生成される、免疫原性組成物。
(項目21) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、Bet v 1aである、免疫原性組成物。
(項目22) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、rBet v 1aである、免疫原性組成物。
(項目23) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、組換えインフルエンザ抗原である、免疫原性組成物。
(項目24) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、インフルエンザスプリット抗原である、免疫原性組成物。
(項目25) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、カバノキ花粉抽出物である、免疫原性組成物。
(項目26) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、免疫原抽出物である、免疫原性抽出組成物。
(項目27) 項目16に記載の免疫原性組成物であって、該組成物が、特定の免疫治療剤、アジュバント混合予防ワクチンまたは治療ワクチンである、免疫原性組成物。
(項目28) 項目1〜15のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、第1のグラム陰性細菌から調製された外膜タンパク質プロテオソームと第2のグラム陰性細菌由来のリポサッカリド調製物とを混合して、該成分の複合体化をもたらして、該アジュバント組成物を形成する工程を包含する、プロセス。
(項目29) 項目28に記載のプロセスであって、前記プロテオソーム調製物および前記リポサッカリド調製物が界面活性剤溶液中で混合される、プロセス。
(項目30) 項目29に記載のプロセスであって、前記界面活性剤溶液が、Empigen BB、TritonX−100、Mega−10である、プロセス。
(項目31) 項目29に記載のプロセスであって、透析法、ダイアフィルトレーション法、もしくは限外濾過法またはこれらの組み合わせにより界面活性剤を除去する工程をさらに包含する、プロセス。
(項目32) 項目29に記載のプロセスであって、前記除去工程が、ダイアフィルトレーション法、限外濾過法またはこれらの組み合わせを包含する、プロセス。
(項目33) 項目28に記載のプロセスであって、前記混合工程が、両調製物の共沈降および/または凍結乾燥を包含する、プロセス。
(項目34) アジュバント組成物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、項目1〜15のいずれか1項に記載のアジュバント組成物と抗原とを混合して、該組成物を形成する工程を包含する、プロセス。
(項目35) 項目34に記載のプロセスであって、前記抗原が、ペプチド、タンパク質、トキソイド、糖タンパク質、糖脂質、脂質、糖質、および/またはポリサッカリドから選択される、プロセス。
(項目36) 項目34に記載のプロセスであって、前記抗原が、動物界または植物界の生物または感染生物由来であるか、アレルゲンであるか、または化学的に改変されたアレルゲンもしくは生物学的に改変されたアレルゲンであるか、または化学物質である、プロセス。
(項目37) 項目34に記載のプロセスであって、前記抗原が、弱毒化されたおよび/または不活化された、ウイルス、細菌または寄生生物を含む完全な微生物または破壊された微生物である、プロセス。
(項目38) 項目34に記載のプロセスであって、前記抗原が、合成手順または組換え分子手順により生成される、プロセス。
(項目39) 項目34に記載のプロセスであって、前記抗原が、Bet v 1aである、免疫原性組成物。
(項目40) 項目34に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、rBet v 1aである、プロセス。
(項目41) 項目34に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、組換えインフルエンザ抗原である、プロセス。
(項目42) 項目34に記載のプロセスであって、前記抗原が、インフルエンザスプリット抗原である、プロセス。
(項目43) 項目34に記載の免疫原性組成物であって、前記抗原が、カバノキ花粉抽出物である、プロセス。
(項目44) 項目34に記載のプロセスであって、前記抗原が、免疫原抽出物である、プロセス。
(項目45) 免疫応答を誘導するためのプロセスであって、項目16〜27のいずれか1項に記載の組成物を被験体に投与する工程を包含する、プロセス。
(項目46) 項目45に記載のプロセスであって、前記組成物が、粘膜経路、経腸的経路、非経口経路、経皮経路/経粘膜経路、および吸入からなる群より選択される経路により投与されて、抗原に対する血清または粘膜抗体または1型細胞性免疫応答を誘導する、プロセス。
(項目47) 項目46に記載のプロセスであって、前記粘膜経路が、鼻粘膜、口腔咽頭粘膜、眼の粘膜または尿生殖器粘膜を介する経路である、プロセス。
(項目48) 項目46に記載のプロセスであって、前記経腸的経路が、経口経路、直腸経路または舌下経路である、プロセス。
(項目49) 項目46に記載のプロセスであって、前記非経口経路が、動脈内注射または注入、皮内注射または注入、筋肉内注射または注入、腹腔内注射または注入、静脈内注射または注入、皮下注射または注入、および粘膜下注射または注入のいずれか1つである、プロセス。
(項目50) 項目46に記載のプロセスであって、前記経皮/経粘膜経路が、局所的経路である、プロセス。
(項目51) 項目46に記載のプロセスであって、前記吸入経路が、鼻腔内経路、口腔咽頭経路、気道内経路、肺内経路または経肺経路である、プロセス。
(項目52) 項目45に記載のプロセスであって、前記投与される量が、免疫応答を増強する、プロセス。
(項目53) 項目45に記載のプロセスであって、前記増強される免疫応答が、a)機能的アッセイにおいて測定される血清IgG抗体または血清抗体;b)気道、胃腸管、または尿生殖器管から回収される粘膜分泌物中のIgAを含む粘膜抗体;およびc)細胞アッセイまたは抗体アッセイまたはIFN−γのような1型サイトカインアッセイにより測定される、より高いまたは優性な2型応答から混合した、均衡のとれた、増加した、または優性な1型応答へのシフトを含む細胞媒介性免疫(CMI)の、維持された、減少した、または存在しないIL−5のような2型サイトカインとの相関の1以上を含む、プロセス。
(項目54) 項目45に記載のプロセスであって、投与が、一連の投与工程を包含する、プロセス。
【0008】
(発明の簡単な説明)
本発明(IVX−908)は、抗原に対するアジュバントであり、かつ本発明と抗原とが単純に合わされた場合にアジュバントワクチンまたは免疫治療剤を生じる新規処方物の組成物およびそのような新規処方物の産生のためのプロセスを記載し、そのアジュバントワクチンまたは免疫治療剤は、非経口経路または粘膜経路によって送達される。このアジュバントは、2つの主要な成分からなる。第1の成分は、グラム陰性細菌(Neisseria meningitidisが挙げられるが、これに限定されない)から調製したプロテオソームの外膜タンパク質調製物である。第2の成分は、リポサッカリドの調製物である。リポサッカリドとしては、S.flexneriまたはPlesiomonas shigelloidesまたは他のグラム陰性細菌(Shigella種、Plesiomonas種、Escherichia種、またはSalmonella種が挙げられるが、これらに限定されない)由来の、ネイティブリポポリサッカリド(LPS)もしくは改変リポポリサッカリド、およびネイティブリポオリゴサッカリドもしくは改変リポオリゴサッカリドが挙げられる。これら2つの成分は、成分間の相互作用を最適化して、互いの成分の安定な非共有結合複合体を生じるように、記載されるプロセスによって特定の初期比率で処方され得る。このプロセスは、一般的に、選択された界面活性剤溶液(例えば、Empigen BB、Triton X−100、および/またはMega−10)中でこれらの成分を混合すること、次いで、透析によって(好ましくは、ダイアフィルトレーション方法論/限外濾過方法論によって)界面活性剤を除去しながら、これらの成分を複合体化することを含む。これら2つの成分の混合、共沈および/または凍結乾燥もまた使用して、適切な複合体化または会合を実施し得る。
【0009】
このプロセスの最終結果は、抗原と共に投与された場合に、粘膜経路(例えば、鼻腔、経口、口腔咽頭、目、膣を含む生殖粘膜、舌下、肺内、気管内、または直腸)、または非経口経路(例えば、筋内、皮下、静脈内、腹腔内、粘膜下、皮内)または経皮経路、局所経路または経粘膜経路によって送達されて、同じ経路によって単独で提供された抗原と比較して、その抗原に対する増強したレベルの血清抗体および/または粘膜抗体および/またはI型細胞性免疫応答を誘導し得る、アジュバントワクチンまたは免疫治療剤を形成するアジュバンドの生成である。以下の実施例において、プロテオソーム−LPS(ShigellaまたはPlesiomonasまたはEscherichiaまたはSalmonellaのいずれか由来のLPSを使用)ならびに一価または多価スプリット(multivalent split)または精製組換えのインフルエンザ抗原を含み、液体もしくはスプレーによって、またはアジュバントインフルエンザワクチンとしての注射によって送達される混合物は、特定の抗インフルエンザ免疫応答を誘導し、この特定の抗インフルエンザ免疫応答としては、例えば、以下のうちの1つ以上の応答が挙げられる:a)血清IgG抗体、または赤血球凝集抑制(HAI)抗体を含む(これに限定されない)機能アッセイにおいて測定される血清抗体;HAI応答は、その誘導がヒトにおいてインフルエンザに対する防御と相関することが知られているので、重要であることに注意される;b)呼吸管、胃腸管または尿生殖路(鼻咽頭、肺、および膣が挙げられるが、これらに限定されない)から回収される粘膜分泌物中の、IgAを含む粘膜抗体、ならびにc)細胞媒介性免疫(CMI)の相関性(特定の2型サイトカイン(例えば、IL−5であって、そのレベルは、例えば、維持されるか、減少されるかまたは無くなり得る)の誘導における匹敵する増大を伴なわない、IFN−γのようなサイトカインの産生によって測定されるような、混合1型応答、均衡のとれた1型応答、増大した1型応答または優勢的な1型応答を生じる、より高い2型応答または優勢的な2型応答のスイッチまたは減少を含む)。このような1型応答は、他のCMI関連応答の誘導に対して予測的である(例えば、Th1免疫を示す細胞傷害性T細胞(CTL)の発生)。鼻腔または筋内で提供されたアジュバントの、抗原に対してこのような3つの型の応答を誘発する能力は、そのワクチンが、感染性疾患に対して免疫を提供し得ることを示す。なぜなら、機能的血清抗体(HAI抗体を含む)およびウイルス特異的肺抗体が生成されるからである。さらに、本発明のアジュバントを用いて粘膜投与されるアジュバントワクチンに対する膣IgAの誘導は、免疫部位(例えば、胃腸管または尿生殖路)から遠位の粘膜感染またはアレルギーに対する利用を支持する。さらに、1型応答の誘導は、残留または細胞内のウイルス、寄生虫または特定の細菌病原体の排除を補助する。さらに、抗原に対して1型免疫応答を産生するアジュバントの能力は、例えば、CTLおよびTh1サイトカイン応答が重要である癌、自己免疫疾患およびアレルギーに対する有効な治療ワクチンの産生に有益である。
【0010】
例えば、アレルギー性鼻炎は、しばしば、免疫治療(その個体がアレルギー性である物質の用量を増大しながらの一連の注射)によって効果的に制御され得る。アレルギー性鼻炎は、古典的免疫治療を受けている個体の約50%が治癒し得る。好首尾な免疫治療は、以下のうちの1つ以上と関連する:2型サイトカイン(例えば、IL−5およびIL−4)の産生を生じるT細胞応答からの、1型サイトカイン(例えば、IFN−γ)の産生を生じる応答へのスイッチ、ならびに/またはその抗原に対して特異的なIgGの増加および/もしくはIgEの減少。しかし、これらの結果を達成するためには、3年までの反復した免疫が必要とされる。1型免疫応答を促進するアジュバントと組合わせたアレルゲンの使用は、そのような免疫治療の有効性を増強し得、そして必要とされる免疫の回数を減少させ得る。
【0011】
以下の実施例において、本発明者らは、カバノキ花粉またはカバノキ花粉抽出物の主要なアレルゲンに相当する組換えタンパク質としてのrBet v 1aと組合わせたIVX−908を用いて、鼻腔免疫したマウスにおける研究の結果を示す。組換えタンパク質およびアレルゲン抽出物の両方についての結果が、IVX−908は、Bet v 1aに対するT細胞サイトカイン産生を2型から優勢的に1型表現型に変換するということを実証する。さらに、1型応答は、アレルゲン単独と比較したアレルゲン特異的血清IgGの増大した産生、ならびにリン酸アルミニウム、デポー、およびアレルゲンに対するアレルギー応答に対してマウスを感作することが公知の2型アジュバントで投与したアレルゲンと比較したBet v 1a特異的血清IgEの減少と関連する。重要なことに、1型サイトカイン(IFNγ)の増加はまた、IVX−908と共に同じアレルゲンを用いてアレルギー性マウスを免疫した後に、観察された。マウスのアレルギーの前状態は、アレルギー性のヒトの状況を模倣し、このことは、IVX−908/アレルゲン処方物が、治療的アレルギー性ワクチンの候補であり得ることを示唆する。
【0012】
本発明は、感染性生物であり得るか、あるいは単細胞生物または多細胞生物から獲得されたアレルギー源の抽出物または精製もしくは化学修飾された抽出物であり得るか、あるいは化学物質であり得る動物界または植物界の生物(例えば、寄生生物、ウイルス、および細菌)から単離された、単一抗原、一価抗原、または多成分抗原(例えば、ペプチド、タンパク質、トキソイド、糖タンパク質、糖脂質、糖質、および/または多糖)を含むワクチンを容易に増強し得ることに注意されたい。弱毒または不活性化されたウイルス、細菌、または寄生生物を含む微生物全体または分裂された微生物が抗原として使用され得ることもまた想定される。これらの材料はまた、いくつかの系の特定の生物もしくは複数の生物または疾患を引き起こす薬剤あるいはアレルギー、癌、または自己免疫疾患に対する免疫を誘導し、そして保護するための合成分子手順または組換え分子手順により生成され得る。ヒトおよび獣医学分野における使用が提案される。さらに、本発明は、増強されたワクチンとしての抗原または本発明を用いずにその抗原を投与(粘膜経路または非経口経路による)する前または後の免疫のプライミングまたはブーストとしての免疫治療剤と共に与えられる場合に免疫を増強するために使用され得る。
【0013】
非経口使用、鼻使用、経口使用、または坐剤使用について、アジュバントは、当該分野で慣習的な希釈剤または媒体として種々の量の賦形剤または他のアジュバント(油、エマルジョン、ナノエマルジョン、脂肪、ワックス、緩衝液、または糖が挙げられる)と共に与えられ得、所望の送達形式の製品の安定な送達を提供する。
【0014】
特に注目されることは、アジュバントとして本発明を使用することが、特に新規であることが強調されることである。なぜならば、好ましい実施形態において、本発明は、プロテオソームのアジュバント効果とLPSの免疫刺激能力を組み合わせ得るからである。この複合体は、先行技術よりも有効であることが予想されていなかった。なぜならば、この複合体は、単独で与えられた場合に通常毒性である全長LPSを含むからである。安定なプロテオソーム複合体LPSは、臨床前安定性、免疫原性、および毒性の両方により立証される所定の実施例において、ならびにFDA承認のフェーズIおよびフェーズII臨床試験における臨床研究において、鼻経路および非経口経路によって非毒性である。
【0015】
本発明は、グラム陰性細菌種(Neisseria meningitidis株が挙げられるがこれに限定されない)由来の精製または組換え細菌外膜タンパク質で構成され得る。LPSは、グラム陰性細菌(例えば、ShigellaまたはPlesiomonasまたはEscherichiaまたはサルモネラ種であるがこれらに限定されない)から獲得され得、そして外膜タンパク質プロテオソームを提供するために使用される細菌の同一種または異なる種由来であり得る。好ましい実施形態において、総プロテオソームタンパク質の割合としての最終のリポ多糖またはLPS含量(重量)は、約13%と300%との間であり得、そして投与の適用および経路の特異性に依存して、20%〜100%のリポ多糖またはLPSの割合での使用のために有効かつ実用的であり得るか、または30%〜150%の間のリポ多糖の割合での特定の用途においてさらに区別され得る。本発明は抗原と共に、(粘膜経路(例えば、そして詳細には、吸入、または摂取もしくは性的な伝達)によって獲得されようと、非経口経路(例えば、経皮経路、皮内経路、または皮下経路または筋肉内経路)によって獲得されようと)癌、自己免疫、ウイルス疾患もしくは微生物疾患または特定の毒素もしくは生物学的脅威薬剤またはアレルギーの予防または処置において使用するために、粘膜経路(鼻経路、舌下経路、経口経路、または直腸経路)または非経口経路(筋肉内経路、皮下経路、皮内経路、または経皮経路)により増強されたワクチンが送達されるよう設計される。
【0016】
本発明の1つの実施形態は、総タンパク質の0.5%〜約5%の間の内因性リポオリゴ糖(LOS)含量を有するプロテオソームを調製するためのプロセスである。本発明の別の実施形態は、総タンパク質の約12%〜約25%、好ましい実施形態において、15%と20%との間の内因性リポ糖を有するプロテオソームを調製するためのプロセスを特徴とする。
【0017】
本発明は、任意のグラム陰性細菌種由来のリポ糖を含有する組成物を特徴とする。任意のグラム陰性細菌種は、好ましくは、天然にまたは組換えにより異なる形態であるか、または本発明におけるタンパク質の供給源であるグラム陰性細菌種と同一であり得る。本発明の組成物は最適化され、詳細には、処方物により特徴付けられ、そして自由に変更されて、得られる本発明の組成物が、総プロテオソームタンパク質の少なくとも約13重量%の量のリポ糖を含むような量のプロテオソームおよびリポ糖を含み得る(好ましい実施形態において、15%〜300%であり得、そして用途に依存して、総タンパク質の20%〜200%(重量:重量基準)との間または総タンパク質の30%と150%との間でさえあることがさらに好ましくあり得る)。
【0018】
本発明の最も好ましい実施形態は、アジュバント組成物である。ここで、プロテオソームは、Neisseria meningitidisから調製され、そしてリポ糖は、Shigella flexneriまたはPlesiomonas shigelloidesから調製され、そしてリポ糖の最終含量は、総プロテオソームタンパク質の50%〜150%の間(重量)である。
【0019】
(発明の詳細な説明)
結果は、インフルエンザウイルス由来の組換えおよびスプリット抗原と混合された場合の、以下のIVX−908アジュバント活性を示す。
【0020】
(A.注射可能な経路による)
1.注射可能なスプリットfluインフルエンザワクチン単独と比較して、血清HAIおよびIgGの8倍までの増加を誘導する
2.スプリットfluインフルエンザワクチン単独と比較して、1型(CMI)応答へと惹起された免疫応答をシフトさせる。
【0021】
(B.経鼻経路による)
1.経鼻経路により投与されたスプリットfluインフルエンザ抗原単独と比較して、血清HAIおよびIgG応答の100倍の増加を誘導する
2.注射により与えられたスプリットfluと比較して10倍高く特異的な、血清HAIおよびIgGを誘導する
3.経鼻投与または注射により投与されたスプリットfluインフルエンザ抗原単独と比較して100倍〜1000倍よりも高く特異的な、IgAを肺および/または鼻において誘導する
4.経鼻投与または注射により投与されたスプリットfluインフルエンザ抗原単独と比較して160倍まで高く特異的な、IgAを生殖管において誘導する
5.スプリットflu単独と比較して、1型(CMI)応答へとシフトさせる
6.0.3μg〜1μg程度の少ない量のIVX−908は、スプリットflu HAに対する血清IgG応答の最適な増強を達成するに十分である
7.IVX−908と同時投与される組換えインフルエンザHAは、死亡率および罹病率に対して防御し、かつこの抗原単独の注射または鼻内投与により誘導される応答よりも優れた、応答を誘導する
8.Shigella種、Escherichia種およびSalmonella種由来のLPSを使用してタンパク質:LPS比3:1〜1:3で調製したIVX−908が、有効であった。
【0022】
これらの結果は、本発明のインフルエンザスプリットflu抗原による呼吸免疫または非経口免疫が、アジュバントを含まないこのインフルエンザスプリット産物による免疫と比較して、血清生物サンプルおよび粘膜生物サンプルの各々における増強された特異的インフルエンザHA抗体形成を誘導することを、示す。
【0023】
結果は、rBet v 1a(カバノキ花粉由来の主要アレルゲン)を組換えアレルゲンまたはカバノキ花粉アレルゲン抽出物のいずれかとして混合し、そして経鼻経路を介して投与した場合の、以下のIVX−908アジュバント活性を示す。
【0024】
1.経鼻IVX−908およびr Bet v 1a混合物は、1型サイトカインであるIFN−γの誘導を、Bet v 1a単独およびリン酸アルミニウム中に処方したBet v 1aと比較して、それぞれ50倍および74倍増強した。経鼻IVX−908およびカバノキ花粉抽出物(BPEx)混合物は、1型サイトカインであるIFN−γの誘導を、Bet v 1a単独およびリン酸アルミニウム中に処方したBet v 1aと比較して、それぞれ44倍より大きく、および3倍増強した。
【0025】
2.このIVX−908/Bet v 1a混合物およびIVX−908/BPEx混合物によるIFN− 生成の増加は、IL−5分泌の増加と関連がなかった。このことは、IVX−908が、Bet v 1aに対する免疫応答を、1型に偏ったT細胞応答へと向けたことを示す。
【0026】
3.IVX−908/Bet v 1a混合物およびIVX−908/BPEx混合物により誘導される血清IgEは、リン酸アルミニウムとともに投与されたそれらアレルゲンにより誘導される血清IgEの、それぞれ、約37分の1および44分の1であった。
【0027】
4.アレルゲン特異的血清IgGは、Bet v 1a単独およびBPEx単独と比較して、IVX−908/Bet v 1a混合物およびIVX−908/BPEx混合物により免疫したマウスについて、それぞれ、400倍より大きく、および22倍増加された。
【0028】
5.Bet v 1a+ミョウバンで感作されたマウスにおいて、1型サイトカインであるIFN−γの生成は、IVX−908/rBet v 1aおよびIVX−908/BPExによる免疫後に、対応するアレルゲン単独と比較して、それぞれ、4.7倍および33倍増加された。これらのマウスにおいて、2型サイトカインであるIL−5は、対応するアレルゲン単独と比較して減少された。
【0029】
6.IVX−908/アレルゲン混合物で経鼻免疫されその後Bet v 1a+ミョウバンによる感作注射を投与されたマウスにおいて、1型サイトカインであるIFN−γが、カバノキ花粉抽出物単独と比較して10倍増加された。これらのマウスにおいて、2型サイトカインであるIL−5のレベルは、同様には上昇せず、実際には、カバノキ花粉抽出物単独と比較していくらか減少された。
【0030】
これらの結果は、IVX−908/アレルゲン処方物が、アレルゲン未処理マウスおよびアレルゲン感作マウスにおいて、強力な1型サイトカイン応答を誘導することを示し、このことは、アレルゲンの精製タンパク質もしくは組換えタンパク質または抽出物を用いて調製されたこれらの処方物が、アレルギー性疾患について特異的な免疫療法のためのワクチンまたは治療剤として使用され得ることを示唆する。
【0031】
これらの結果は、オボアルブミン(OVA)(公知の貧弱な免疫原)と混合されそして経鼻経路または注射可能経路により投与された場合の、以下のIVX−908アジュバント活性を示す。
【0032】
1.抗原単独と比較して、経鼻経路および注射可能経路を介して、それぞれ60倍および75倍よりも大きく、OVA特異的血清IgG力価を増強する。
【0033】
2.平衡型の免疫応答を生じる抗原単独と比較して、再刺激された脾細胞からのOVA特異的IFN−γおよびIL−5の分泌を増強する。
【実施例】
【0034】
(実施例)
(実施例1:プロテオソームの生成)
外膜タンパク質プロテオソーム調製物の2つの例を示す。これらの調製物を、フェノール殺傷した細菌ペーストを、1M塩化カルシウム中の6% Empigen BB(EBB)(AlbrightおよびWilson,Whithaven,UK)溶液で抽出し、その後、エタノールで沈殿させ、1% EBB−Tris/EDTA−生理食塩水中で可溶化し、その後、硫酸アンモニウムで沈殿させることによって、2型Neisseria meningitidisから精製した。この沈殿物を、1% EBB緩衝液中で再可溶化し、ダイアフィルトレーションし、そして−70℃にてEBB緩衝液中で貯蔵した。このプロセスのフローチャートを、後の頁のフローチャート1A(図1A)に示す。このプロセスは、0.5%と5%との間のリポサッカリド含量を有するプロテオソームを生じた。プロテオソームをまた、望ましい場合はこのプロセスを短くするために硫酸アンモニウム沈殿工程を省略することによっても調製し得、生じるプロテオソームは、12%と25%との間のリポサッカリド含量を有し、このリポサッカリド含量は、材料に依存して、フローチャート1B(図1B)に示されるように、15%と25%との間であり得る。
【0035】
(実施例2:リポサッカリドの生成)
フローチャート2(図2)における例は、S.flexneri細菌またはP.shigelloides細菌からのLPSの単離および精製のためのプロセスを示す。このプロセスは、他のグラム陰性細菌(Shigella種、Plesiomonas種、Escherichia種およびSalmonella種が挙げられるが、これらに限定されない)からLPSを調製するために、同様に使用され得る。発酵によるその細菌の増殖後、その細胞ペーストを、3mLの0.9M NaCl、0.005M EDTA/ペースト1gで再水和した。10mgリゾチーム/ペースト1gもまた、添加した。リゾチーム消化を、室温で1時間進行させた。その後、50U/mLベンゾナーゼ(DNアーゼ)を、0.025M MgClとともに添加した。DNアーゼ消化を、室温で30分間進行させた。その後、その懸濁物を、14,000〜19,000psiでマイクロフルイダイザーに通すことによって、破砕した。新しいDNアーゼ(50U/mL)を添加し、そしてその懸濁物を、室温でさらに30分間消化した。消化した細胞懸濁物を、水浴中で68℃に加熱した。等容量の90%フェノールを(同じ温度で)添加し、そしてその混合物を、68℃で30分間、振盪しながらインキュベートした。その混合物を、4℃にて遠心分離して、水相と有機相とを分離した。その水相を採集し、そしてその有機相を、WFI(注射用水)を用いて68℃にて30分間再抽出した。その混合物を、4℃にて遠心分離して、水相と有機相とを分離し、これらの水相を合わせた。20%エタノールおよび10mM CaClをこの合わせた水相に添加して、核酸を沈殿させた。この混合物を4℃で一晩攪拌した。その後、沈殿した核酸を、10,000×Gで30分間の遠心分離によってペレットにし、そしてその上清を収集した。
【0036】
その上清を濃縮し、そして30,000MW中空繊維カートリッジを使用して、0.15M NaCl、0.05M Tris、0.01M EDTAおよび0.1% Empigen BB(pH8.0)中にダイアフィルトレーションした。最後に、そのLPSを、0.22μm Millipak 60フィルター単位を使用して滅菌濾過し、滅菌貯蔵容器中に分注し、そして−80℃にて凍結した。
【0037】
(実施例3:プロテオソーム−リポサッカリドアジュバント複合体の調製および特徴づけ)
このアジュバントを、プロテオソームをLPSに非共有結合体化することによって製造した。このLPSは、多数のグラム陰性細菌(フローチャート3に記載されるような、Shigella種またはPlesiomonas種またはEscherichia種またはSalmonella種が挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかに由来し得る。手短に述べると、プロテオソームおよびLPSを、4℃にて一晩融解させ、そしてTEEN緩衝液中で1% Empigen BBに調整した。プロテオソームを一晩融解させ、そしてTEEN緩衝液中で1% Empigen BBに調整した。この2つの成分を、10:1と1:3との間の最終プロテオソーム:LPS重量/重量比を生じる量で混合し、そして室温で15分間攪拌した。このLPS−プロテオソーム混合物を、適切なサイズ(例えば、Size9の)10,000MWCO中空繊維カートリッジにて、TNS緩衝液(0.05M Tris、150mM NaCl、pH8.0)中にダイアフィルトレーションした。このダイアフィルトレーションを、その透過物中のEmpigen含量が(Empigen濁度アッセイまたはBradford試薬アッセイによって)50ppm未満であった場合に停止した。この大量のアジュバントIVX−908を濃縮し、そして(Lowryアッセイによって)5mg/mLタンパク質に調整した。最後に、このアジュバントを、0.22μm Millipak20フィルター単位を使用して滅菌濾過した。この大量のアジュバントを、滅菌貯蔵容器中に分注し、そして凍結した。
【0038】
このプロテオソーム−LPS複合体を、逆相HPLCを使用してEmpigen(400ppm)について試験し、Lowryによってタンパク質含量について試験し、2−ケト−3−デオキシオクトネート(KDO)アッセイの測定によってLPS含量について試験した。本発明は、粒子サイズ選別器(Brookhaven Instrumentsモデル90+または同様の機器)(10〜100nm)を使用する定量的数加重分析(quantitative number weighted analysis)によって決定した場合、粒子サイズ分布についてさらに特徴付けられた。しかし、この複合体についての粒子サイズは、プロテオソーム対LPS比が高くなるにつれて増加する。この複合体処方物の安定性は、以前に示されたS.flexneri LPSワクチンと一致するはずである。これらのデータは、冷蔵温度および加速温度(25℃および37℃)の両方での複合体の安定性を示す。
【0039】
(実施例4:IVX−908インフルエンザ抗原またはカバノキ花粉アレルギーもしくはオボアルブミン混合物の調製)
本発明を、IVX−908プロテオソーム−LPSアジュバント(実施例3)を、安定性および免疫学的結果について最適な処方を促進する比率で抗原と混合によって調製した。
【0040】
(実施例5:インフルエンザ抗原研究のためのマウス免疫プロトコル)
BALB/Cマウスを、1日目および21日目に、25または100μlの容量で抗原を用いて、それぞれ、単独か、または0.3〜3ugのIVX−908アジュバント(種々のプロテオソーム:LPS wt/wt比でLPSを含む)と混合してかのいずれかで、鼻内免疫または筋肉内免疫した。この抗原は、A/Beijing/265/95またはA/Beijing/262/95およびA/Sydney/5/97二価界面活性剤スプリット抗原(bivalent detergent split antigen)(GMP市販許可抗原)として、0.3と3ugの間のインフルエンザ赤血球凝集素(HA)を含む。コントロールマウスを、リン酸緩衝化生理食塩水での鼻内免疫に供した。動物を、35日目に、伏在静脈を介してか、または心臓穿刺によって採血した。鼻洗浄もしくは肺洗浄、または膣洗浄を、35日目に行った。各マウスの肺を、外科的に露出させ、そして器官にカニューレを挿入した。0.1%ウシ血清アルブミンおよびプロテアーゼインヒビター(0.2mM AEBSF、1μg/mlアプロチン、3.25uM ベスタチン、および10uMロイペプチド)を補充したリン酸緩衝化生理食塩水を含むシリンジを用いて、1鼻洗浄サンプル(約1ml)および2肺洗浄サンプル(2×1ml)を収集した。個々の動物から肺洗浄液を合わせ、ボルテックスし、そして遠心分離して、細胞片を取り除き、そして上清を、ELISAによりアッセイされるまで、−70℃で保存した。膣洗浄液を、(上記のような)25ulの補充リン酸緩衝化生理食塩水で湿らせた綿球を、マウスの膣へと30秒間挿入することにより行った。綿球を取り除いた後、この手順を、綿球の反対端で繰り返した。この綿球を、−70℃で凍結保存し、そしてアッセイ時にELISAブロッキング緩衝液(実施例8を参照のこと)中で再構成した。
【0041】
(実施例6:血清凝集抑制アッセイ(HAI))
HAI活性の決定の前に、マウス血清を56℃で加熱して、補体を不活化した。非特異的凝集反応の排除を、マウス血清をレセプター破壊酵素(RDE)を用いて処理することにより達成した。0.1mlの血清に、0.4mlのRDE(100単位/ml)を、37℃にて12〜18時間添加した。0.3mlのクエン酸ナトリウム(2.5%)を、RDEを不活化するために、56℃にて30分間添加した。サンプル容量を、(1:10の最終サンプル希釈を得るために)PBSを用いて1mlにした。各サンプルの倍数連続希釈物を、標準的なHAIアッセイにおいて完全インフルエンザウイルスによる0.5%ヒヨコ赤血球の凝集反応を阻害する能力について試験した。
【0042】
(実施例7:血清、肺液、鼻液および膣液における特異的な抗flu抗体の測定)
血清を、各免疫の後に収集した;肺腔洗浄液および鼻腔洗浄液および膣洗浄液を、最後の免疫の後に収集した。ELISAを、完全なウイルスまたは検出抗原として界面活性剤スプリット抗原を用いて行った。簡単には、96ウェル丸底マイクロタイタープレート(例えば、Coster EIA/RIA96ウェルEasywash Plates,Corning,NY)を、抗原でコーティングし、そして一晩インキュベートした。プレート洗浄器を用いる抗原の吸引の後、プレートを、もう一度、0.1%Tweenを含むPBS(PBS−T)で洗浄し、そしてPBS−Tおよび2%粉乳を含むブロッキング緩衝液と共にインキュベートした。このブロッキング緩衝液を吸引し、そしてPBS−Tで洗浄した後、ブロッキング溶液中で倍数希釈した、血清、肺腔洗浄液もしくは鼻腔洗浄液、または膣洗浄液のサンプルを、添加し、そしてプレートを37℃で2時間インキュベートした。PBS−Tで洗浄後、アフィニティー精製した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)−標識ヤギ抗マウスIgGまたはIgAを、添加し、そしてプレートを、37℃にて30分間インキュベートした。吸引し、そしてPBS−Tで2回洗浄した後、発色液を添加し、そしてプレートを室温で30分間インキュベートし、そしてHSOの添加により停止した後、マイクロタイターELISAプレートリーダー(Molecular Device,Menlo Park,California)を用いて吸光度値を決定した。表における抗体力価は、アフィニティー精製したマウスIgG標準(Sigma)およびIgA標準(Sigma)を用いるELISA捕捉アッセイを用いて作成した標準曲線から決定した、特異的なIgGまたはIgAのng/mlとして表す。
【0043】
(実施例8:IVX−908アジュバントを用いるインフルエンザワクチンにより惹起された、増大した免疫源性および免疫)
この実験は、IVX−908アジュバントの有りまたは無しで得た、一価(A/Beijing/262/95)抗原での鼻免疫、あるいは二価(A/Beijing/262/95およびA/Sydney/5/97)抗原での鼻免疫または筋肉内免疫の後に誘導された血清抗体応答および粘膜抗体応答を示す。用いたインフルエンザ抗原の1株あたり0.3ugHAおよびIVX−908(IVX−908は、全ての0.3ugのHAについて1.2ugのプロテオソームタンパク質を有する、1:1wt/wtのプロテオソーム:LPS比からなる)を含む、2用量の抗原をマウスに与えた。血清中の抗インフルエンザIgG抗体を、HAIにより分析した;血清中のIgGおよび肺腔液および鼻腔液中のIgA抗体を、ELISAにより分析した。結果を表1〜3に示しかつ要約する。簡単には:
鼻に与えたIVX−908アジュバントを用いるインフルエンザワクチンは:
1. 鼻に与えたスプリット(split)インフルエンザ抗原のみよりも、50〜250倍の間の高い血清IgG応答、および注射(i.m.)により与えたインフルエンザワクチンよりも、10倍までより高い応答を惹起した(表1〜3)、
2. 鼻に与えたスプリット(split)Flu単独よりも、16〜100倍高い血清HAI応答、および注射によりスプリット生成物インフルエンザワクチンのみを与えることにより惹起するよりも、8倍より高い応答を惹起した(表1〜3)、
3. 鼻または注射(i.m.)により与えたスプリットFluインフルエンザワクチンのみよりも、鼻腔において20〜120倍の間のより高いIgA応答を惹起した(表1)、
4. 鼻または注射(i.m.)により与えたスプリットインフルエンザワクチンのみよりも、肺において50〜600倍を超える、より高い特異的IgA応答を惹起した(表1〜3)、
5. 鼻または注射により与えたスプリットFluインフルエンザワクチンのみと比較して、特異的な膣IgAにおいて、30〜160倍を超える増大を誘導した(表2)。
【0044】
筋肉内に与えたIVX−908アジュバントを用いるインフルエンザワクチンは:
1. 注射により与えたスプリットFluインフルエンザワクチンのみと比較して、特異的な血清IgGにおける5倍までの増加、および血清HAIにおける8倍までの増加を誘導した(表4)。
【0045】
データは、インフルエンザスプリット抗原と混合した場合に、P.shigelloides(表1および3)か、またはS.flexneri(表2)のいずれかに由来するLPSを用いて調製されたIVX−908が、血清抗原特異的免疫応答および粘膜抗原特異的免疫応答の両方を増大することを実証する。さらに、一価調製物として与えた場合に、IVX−908は、個々の一価HA抗原の各々に対するHA−特異的免疫応答を補助した(表2および3)。
【0046】
表1.一価抗原を用いる鼻内経路を介するIVX−908のアジュバント効果。IVX−908アジュバント(4:1のIVX−908:HA比で1用量あたり3ug HA)と混合し、次いで鼻免疫した、スプリットflu抗原(A/Beijing/262/95)により誘導されたマウス血清HAI、IgGおよび粘膜IgA。
【0047】
【表1】

全てのサンプルを、2回目の免疫の14日後に得た。
IVX−908を、P.Shigelloides LPSを用いて調製した。
は、10マウス/群についての相乗平均であり、**は、10マウス/群からプールした血清についてのHAIである。
【0048】
表2.二価抗原を用いる鼻経路を介するアジュバント効果。IVX−908アジュバント(4:1のIVX−908:HA比で1用量あたり0.3ug HA/株)と混合し、鼻に与えた、二価スプリットflu抗原(A/Beijing/262/95 H1およびA/Sydney/5/97(H3))により誘導された、マウス抗A/Beijing/262/95(H1)血清HAI、IgGおよび粘膜IgA。
【0049】
【表2】


全てのサンプルを、2回目の免疫の14日後に得た。
IVX−908を、S.flexneri LPSを用いて調製した。
・は、10マウス/群についての相乗平均である。
**は、10マウス/群からプールした血清についてのHAIである。
【0050】
表3.鼻経路または筋肉内経路を介するアジュバント効果。IVX−908アジュバント(4:1のIVX−908:HA比で1用量あたり0.3ug HA/株)と混合し、鼻または筋肉内に与えた、二価スプリットflu抗原(A/Beijing/262/95 H1およびA/Sydney/5/97(H3))により誘導されたマウス抗A/Beijing/262/95(H1)血清HAI、IgG、および粘膜IgA。
【0051】
【表3】


全てのサンプルを、2回目の免疫の14日後に得た。
アジュバントを、P.Shigelloides LPSを用いて調製した。
・は、10マウス/群についての相乗平均である。
**は、10マウス/群からプールした血清についてのHAIである。
【0052】
(実施例9:鼻プロテオソームインフルエンザワクチンによる、2型から1型への免疫応答のシフト)
プロテオソーム−LPSでアジュバント化されたインフルエンザスプリット抗原およびアジュバント化されていないインフルエンザスプリット抗原で免疫されたマウス由来の脾細胞培養物を、T細胞サイトカインインターフェロンγ(IFN−γ)およびIL−5の産生について、それぞれTh1型またはTh2型の免疫応答の誘導の指標として分析した。簡単には、実施例6に記載されるように経鼻または経筋肉のいずれかで、Balb/cマウスを、24μg IVX−908 プロテオソーム−LPSありまたはなしで、3μg A/Beijing/262/95およびA/Sydney/5/97由来のインフルエンザHAを含む二価処方物で免疫した。2回目の免疫の14日後に、マウスを安楽死させ、そして各群からの5匹のマウス由来の脾臓を回収し、100μmナイロン細胞濾過器(Beckton Dickinson,NJ)を使用して、細胞を、単一細胞懸濁物に裂いた。脾細胞を、UV照射され、精製されたA/Beijing/262/95(H1N1)インフルエンザウイルスおよびIVR−108再集合体(H3N2)インフルエンザウイルス(NIBSC,Hertfordshire,UK)ありまたはなしで、以下を含有するRPMI1640培地(Gibco BRL,Life technologies,Burlington,ON)中で2.0×10細胞/ml(200μl/ウェル)にて96ウェル細胞培養クラスター(Corning,NY)中で培養した:8% ウシ胎仔血清(56℃で1時間の熱非働化;Gibco BRL)、2mMグルタミン(Gibco BRL)、50μM 2−メルカプトエタノール(Sigma Chemical Co.,St−Louis,MO)および50μg/ml ゲンタマイシン(Gibco BRL)。細胞を、37℃で72時間インキュベートし、上清を回収し、そして−80℃で凍結させた。サンドイッチELISAキット(OptEIAセット、Pharmingen,San Diego,CAより購入した)を、製造業者の指示書に従って、マウスサイトカインレベルを測定した。組換えサイトカインを、標準として使用した。
【0053】
簡単には、表4の結果は、アジュバント化インフルエンザワクチンを形成するために多価二価スプリットflu抗原と一緒に経鼻または経筋肉のいずれかで与えられたIVX−908が、検出可能なIL−5(2型サイトカイン)を伴うことなく、1型サイトカイン(INF )を独特に誘導することを実証する。逆に、経鼻または経筋肉で与えられた二価インフルエンザ抗原単独は、INF−γおよびIL−5の両方の産生によって証拠付けられるような、1型および2型混合の免疫応答を誘導する。これらの結果は、IVX−908が、増強された抗原特異的血清学的応答を誘導し、そして抗原に対するT細胞応答を1型免疫に向けて偏向させる。1型免疫応答は、細胞内の病原体のクリアランス、抗腫瘍応答の発達、およびアレルギー性応答の制御、に重要である。
【0054】
表4.脾細胞からのマウスサイトカイン誘導。二価スプリットflu抗原(A/Beijing/262/95 H1およびA/Sydney/5/97 H3)およびIVX−908アジュバント(IVX−908:HAの比が4:1での投与量当たり3μg HA/株)で、マウスを、経鼻または経筋肉で免疫した。P.shigelloides LPSを用いてIVX−908アジュバントを調製した。不活化したA/Beijing/262/95(H1)またはSydney(H3)再集合体全体で、脾細胞を再刺激した。
【0055】
(A.A/Beijing/262/95(H1)免疫および再刺激)
【0056】
【表4A】

(B.A/Sydney/5/97(H3)免疫および再刺激)
【0057】
【表4B】

実施例10に記載されるように不活化全ウイルス(1.25μg/mL)で再刺激したマウス脾細胞の上清中のINF−γおよびIL−5を決定し、pg/mL培養上清で表した。結果は、3連の培養物の平均であり、そしてPBS免疫したマウスの脾細胞由来のIFN−γおよびIL−5(pg/mL)を既に差し引いた値を有した。
【0058】
(実施例10:アジュバント化(adjuvantation)を最大化するために、IVX−908およびヘマグルチニン抗原の最適な量および比を規定する)
10μg〜0.03μgの漸減量のIVX−908(プロテオソームタンパク質:S.flex LPS、1:1)と混合した1μgのHA(H3N2株、A/Sydney/5/97)で、マウスを0日目および14日目にi.n.にて免疫した。次の研究では、HAの量が3〜0.3μgに変化したが、IVX−908の量は1μgまたは0.3μgで一定を維持した。両方の研究において、血液、肺洗浄液、鼻洗浄液および脾臓を、21日目の安楽死時に回収し、IgGまたはIgAの含量について分析したか、または適切なように(上記の実施例9に記載されるように)インビトロ刺激のための脾細胞を調製するために使用した。Tukey−Kramer対比較を使用するANOVA分析によって、データの有意性を評価した。
【0059】
図4a)およびb)は、0.3〜1μgのIVX−908での閾値を超えて、誘導した免疫応答レベルがレベルオフし、そしてこの閾値を下回って、誘発した応答が顕著に減少するを示す。この閾値でIVX−908の量を維持して、HAの量を3μgと0.3μgとの間で変化させながら第2の研究を行った。図4c)およびd)の結果は、HAを1〜3μgのHAの閾値を超えるIVX−908と混合した場合に、最大の全身性免疫応答および粘膜免疫応答を得たことを示す(0.3μgまたは1μgのいずれかのIVX−908でi.n.投与した)。この結果は、マウスにおいて最適な免疫応答を誘発するために、1〜3μgのHAが0.3〜1μgのIVX−908と混合されるべきであることを示す。
【0060】
他の研究におけるように、インビトロ刺激した脾細胞から放出されるサイトカインの分析は、IVX−908とともにHAをi.n.投与することにより、1型表現型の応答が主に誘発されたことを示した。
【0061】
(実施例11:IVX−908と混合した組換えヘマグルチニンの鼻投与によって誘発された、全身性免疫応答および粘膜免疫応答の増強、ならびに生ウイルスチャレンジに対する防護)
全長非切断タンパク質(HA0)として供給された、バキュロウイルス誘導組換えインフルエンザヘマグルチニン(rHA;H1N1株 A/Texas/36/91)を、市販の供給源より購入した。rHAの免疫原性を、6〜8週齢の雌性BALB/cマウスの15の群の免疫によって評価した。鼻内(i.n.)免疫について、マウスを軽く麻酔し、25μlのワクチン(IVX−908(8μgプロテオソームタンパク質および8μg S.flex LPS)ありまたはなしで2μgのrHAを含む)またはPBSを外鼻孔に適用し(12.5μl/外鼻孔)、そしてマウスに飛沫を吸入させた。筋肉内(i.m.)免疫を、後肢への25μl(2μg rHA)の注射によって達成した。全てのマウスを、0日目および21日目に免疫した。各群からの10匹の動物を、48日目に8 LD50のマウス適応同型改変体インフルエンザウイルス(A/Taiwan/1/86)i.n.滴注でチャレンジして防護を評価した。任意の死を記録し、そして体重減少を、病的状態の代理として使用した;チャレンジ直前および2日毎に、マウスを秤量した。チャレンジ前の体重の30%以上を喪失したマウス、あるいは窮迫および/または病的状態の他の臨床的徴候(例えば、毛髪起立(pilo−erection)、湾曲した姿勢、低減した移動性)とともにより軽い体重喪失(20%以上)を示すマウスを、実験終了点基準に達したとみなし、そして安楽死させた。各群からの5匹のチャレンジしていないマウスを、51日目に安楽死させ、心臓穿刺によって放血させた。血清を血餅から分離し、アッセイまで−70℃で保存した。脾臓を無菌的に取り出し、(上記の実施例9に記載されるように)インビトロでの再刺激に処理した。鼻洗浄および肺洗浄を、以前に記載したように行った。
【0062】
表5aは、51日目に回収したサンプルにおける全身性応答および粘膜応答を示し、表5bは、特定のインビトロ刺激に続く、脾細胞から放出されたIFN−γおよびIL−5の量を示す。表5a)は、免疫したマウスまたはコントロールマウスにおける、体輻をなす改変体であるマウス適応生ウイルスでのチャレンジに続く死に対する防護を示し、b)は、免疫したマウスまたはコントロールマウスにおける、体輻をなす改変体であるマウス適応生ウイルスでのチャレンジに続く病的状態に対する防護を示す。
【0063】
これらの結果は、以下を示す:
1.IVX−908+rHAによって誘発された血清応答は、i.m.またはi.n.で与えられたrHA単独によって誘導された応答より、それぞれ4倍および100倍高い。
2.IVX−908とともにi.n.で投与されたrHAのみが、検出可能な粘膜IgA応答を誘発した。
3.IVX−908+rHAでのi.n.免疫は、2型表現型の応答を誘導したi.m.rHA単独とは対照的に、1型表現型の応答を誘導した。
4.rHAで免疫したマウスまたはコントロールマウスとは対照的に、IVX−908+rHAでi.n.免疫した全てのマウス(10/10)は、生ウイルスチャレンジにもなお生存する。i.m.またはi.n.にてrHA単独で免疫した8/10のマウスおよび1/10のマウスは生存したが、コントロールマウスが生存しなかった。
5.IVX−908+rHAでのi.n.免疫したマウスは、チャレンジ後の体重喪失を受けなかった。この生存するマウスを、チャレンジ後にi.n.経路またはi.m.経路のいずれかにてrHA単独で免疫し、チャレンジに続く感染の結果として、全てのマウスが、顕著な量の体重を喪失し、病的状態を示した。よって、i.n.のIVX−908+rrHAは、マウスをチャレンジ後の死および病的状態から防護する。
【0064】
表5aは、実施例11に記載されるように、IVX−908ありまたはなしで、2μgのrHAでのマウスの免疫によって誘発された全身性応答および粘膜応答を示す。HI力価は、血球凝集を阻害する血清の最大希釈の逆数であり、そして免疫グロブリン(IgGまたはIgA)レベルは、括弧内の95%信頼限界を有する相乗平均濃度として表される。ND=検出されなかった。
【0065】
【表5A】

表5bは、2μgのワクチンまたはコントロール材料で免疫したマウス由来の脾臓T細胞のインビトロ刺激後、培養上清中に放出されたIFN−γおよびIL−5の量(pg/ml;3連で行った決定)を示す。脾細胞を、不活化されたマウス適応A/Taiwanインフルエンザウイルスで再刺激した。
【0066】
【表5B】

(実施例12:IVX−908/Bet v 1aアレルゲンの鼻処方による、血清抗体および粘膜抗体の誘導ならびに2型から1型への免疫応答のシフト)
His−Tag(His)をアミノ末端に付加した組換えBet v 1aタンパク質を、E.coliに発現させ、ニッケルカラムでのアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。BALB/cマウスを、28μl(表6)または36μl(表7)の容量で、精製組換えタンパク質としての10μg Bet v 1a(rBet v 1a)またはカバノキ花粉抽出物(BPEx)(Greer Labs.Inc.)を単独でか、または10μg rBet v 1aもしくはBPEx+10μgのIVX−908(表6および7)の混合物として、のいずれかで、2週間(表7)または3週間(表6)後に3回経鼻免疫した。コントロールマウスに、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)での鼻内免疫を与えた。他のマウスに、腹腔内に150μlの容量で、2mg リン酸アルミニウム中10μg Bet v 1aを0日目および21日目に(表6)、または1mgリン酸アルミニウム中3μg カバノキ花粉抽出物(BPEx)(Greer Labs.Inc.)を0日目に(表7)与えた。最終免疫の1週間後(表6)または3週間後(表7)、心臓穿刺によって動物から採決し、続いて肺洗浄液を得た。血清中のBet v 1a特異的IgE(OptEIA Mouse IgE Set;BD Pharmingen,Mississauga,Ontario)、IgG、IgG1およびIgG2a、ならびに気管支−肺胞洗浄中のIgAおよび総IgAを、ELISAによって測定した。分泌したIFN−γおよびIL−5のレベルを、10μg/ml Bet v 1aでインビトロ再刺激したそれぞれ2日後および3日後の脾細胞培養物(10×10脾細胞/mL)からの上清において決定した。サイトカインを、ELISA(BD Pharmingen;Mississauga,Ontario)によって検出した。表8において、例は、0日目、17日目および29日目に10μgカバノキ花粉抽出物(BPEx)(Greer Labs.Inc.)単独または10μgのIVX−908との混合物として3回鼻免疫した後に、2mgのリン酸アルミニウム中10μg rBet v 1aの単回用量で71日目に腹腔内注入したマウスにおけるサイトカイン誘導について示す。表9において、例は、2mgのリン酸アルミニウム中10μg Bet v 1aの単回用量で腹腔内にて以前に感作させたマウスにおける、IVX−908ありまたはなしでrBet v 1aまたはBPExの3回の免疫後のサイトカイン誘導について示す。
【0067】
IVX−908/rBet v 1aまたはIVX−908/BPEx混合物を用いた鼻内免疫後のT細胞サイトカイン応答ならびに血清免疫グロブリン応答および粘膜免疫グロブリン応答についての結果を、表6、7、8および9に示す。
【0068】
未投薬マウスに鼻腔投与されたIVX−908アジュバントrBet v 1aまたはIVX−908アジュバントBPEx(表6および7)は:
1.Bet v 1aアレルゲンにより誘導されるT細胞応答を、2型表現型に偏っていたものをより高度なまたは大部分の1型表現型へと指向させた。これは、IL−5の産生の低下(IVX−908/BPExについて)または維持(IVX−908/rBet v 1aについて)を伴う、rBet v 1aまたはBPEx単独またはリン酸アルミニウムを有するrBet v 1aまたはBPEx処方アレルゲンを投与されたマウスと比較して、増強されたIVX−908処方アレルゲンを投与されたマウス由来の脾臓細胞によるIFN−γの産生に起因した、
2.単独で投与されるrBet v 1aまたはBPExと比較して、Bet v 1a特異的血清IgGの産生を増強した、そして
3.リン酸アルミニウム中のrBet v 1aにより誘導されるレベルと比較して、レベルが37〜43倍減少した血清IgEレベルを生じ、免疫レジメンは、抗原を用いるその後のチャレンジの際のアレルギー応答のために動物を感作することが知られている。
【0069】
(表6.鼻経路を介する、10μgのrBet v 1a単独かもしくはIVX−908(10μg 1:1 タンパク質:LPS)を用いて処方された10μgのrBet v 1a、または実施例10に記載される腹腔内経路による2mgのリン酸アルミニウムを伴う10μgのrBet v 1aによる、マウスサイトカインならびに血清抗体および粘膜抗体の誘導)
【0070】
【表6】

IFN−γおよびIL−5についての結果は、1群あたり5匹のマウスからプールされた脾臓由来の3連の培養物についての中間pg/mLとして表される。血清IgGは、IgG1力価およびIgG2a力価の合計として表される。肺IgAは、%全IgAとして表される特異的IgAとして示される。全ての免疫グロブリン力価を、1群あたり7〜10匹のマウス(IgGおよびIgE)または1群あたり5匹のマウス(IgA)由来のサンプルについての相乗平均力価を使用して計算した。IVX−908を、S.flexneri LPSを用いて調製した。
【0071】
(表7.実施例12に記載のように鼻経路を介する、10μgのカバノキ花粉抽出物単独または10μgのIVX−908で処方された10μgのカバノキ花粉抽出物(BPEx)による、マウスサイトカインおよび血清IgGの誘導。BPEx+alumについて、マウスに1mgのリン酸アルミニウムと一緒に、3μgのカバノキ花粉抽出物の単回胃腸内注射の免疫をした。)
【0072】
【表7】

IFN−γおよびIL−5についての結果は、1群あたり4〜5匹のマウスからプールされた脾臓由来の3連の培養物についての中間pg/mLとして表される。血清IgGは、BPEx+IVX−908群を除いて15匹のマウスからプールされた血清についてのものであり、ここで15匹の個々のマウスからの結果の相乗平均を計算した。BPEx+IVX−908群についての血清IgEは、15匹の個々のマウス由来の血清からの相乗平均を表し、一方BPEx+Alumの結果は、86匹の個々のマウスについての相乗平均である。BPExおよびPBSについての血清IgEレベルは、15匹の動物からプールされた血清において測定された。IVX−908を、S.flexneri LPSを用いて調製した。
【0073】
rBet v 1aおよびalumを注射する前にマウスの鼻腔に投与されたIVX−908アジュバントBPEx(表8)は:
1.単独で投与されたBPExと比較して、1型サイトカインIFN−γの産生を10倍増加し、
2.そして、2型サイトカインIL−5のレベルをわずかに低下させた。
【0074】
(表8.実施例12に記載のように、10μgのカバノキ花粉抽出物単独またはIVX−908(10μgタンパク質:LPS)と1:1で処方された10μgのカバノキ花粉抽出物を用いた3回の鼻腔免疫後に、rBet v1aおよびalumを腹腔内注射されたマウスにおけるサイトカインの誘導)
【0075】
【表8】

IFN−γおよびIL−5についての結果は、1群あたり8〜10匹の個々のマウス由来の脾臓培養物からの相乗平均(pg/mL)として表される。IVX−908を、S.flexneri LPSを用いて調製した。
【0076】
rBet v 1aで感作されたマウスの鼻腔に投与されたIVX−908アジュバントrBet v 1aまたはBPEx(表9)は:
1.それぞれ対応する単独のアレルゲン比較して、IVX908/rBet v 1aおよびIVX−908/BPExに対してそれぞれ、4.7倍および33倍の1型サイトカイン(IFN−γ)の産生を増加し、そして
2.2型サイトカイン(IL−5)のレベルを低下させた。
【0077】
(表9.実施例12に記載される、rBet v 1aで感作されたマウスにおいて、10μgのrBet v 1aまたはカバノキ花粉抽出物単独または10μgのIVX−908と共に鼻に投与された10μgのrBet v 1aまたはカバノキ花粉抽出物によるマウスサイトカインの誘導):
【0078】
【表9A】

IFN−γおよびIL−5についての結果は、1群あたり4〜5匹のマウス由来の脾臓培養物からの相乗平均(pg/mL)として表される。IVX−908をS.flexneri LPSを用いて調製した。
【0079】
表6、7、8および9におけるデータは、IVX−908と共に処方されたアレルゲン(精製された組換えタンパク質または抽出物)が、マウスにおいて1型免疫応答を誘導することを実証する。これらの処方物は、その後にrBet v 1aおよびalumの感作注射を腹腔内に注射されたマウスにおいて1型サイトカインの産生を維持した。重要なことに、これらの処方物はまた、前もって感作されるかまたはアレルゲンに対してアレルギー性にされたマウスにおける1型サイトカインの産生を増強した。これらの結果は、アレルギー性疾患のための治療的ワクチンとしてのIVX−908/アレルゲン処方物の潜在的な有用性を示唆する。
【0080】
(実施例13:弱免疫原に対する免疫応答の増強)
鼻腔内(i.n.)経路または粘膜内(i.m.)経路のいずれかにより、オボアルブミン(OVA、弱い免疫原性の可溶性たんぱく質)を100μg〜5μgの減少する量で用いて、1μgのIVX−908(プロテオソームタンパク質:LPS 1:1、P.shig LPSを使用)を用いてまたは用いずに、上記のようにマウスを免疫した。0日目および14日目に免疫した後、21日目にマウスを安楽死させ、そして血清、肺洗浄液および脾臓を分析用に収集した。血清GMCを図6に示す。
【0081】
このデータは、非アジュバントOVAが、鼻腔内経路または粘膜内経路のいずれかにより100μgのOVAでマウスを免疫した場合でさえ、弱い免疫原性であり、そして検出可能な血清IgG力価をほとんど惹起しないということを確認する。しかし、IVX−908と混合される場合、より高濃度(25μg以上)のOVAにもかかわらず、両方の免疫経路で60倍を超える力価の上昇が観察された。免疫マウスのいずれにおいても、粘膜応答は、検出されない。OVAまたはOVA+IVX−908により惹起されるサイトカインプロフィールの分析は、鼻腔内で免疫された場合に、IVX−908の同時投与が、脾臓細胞由来の上昇したレベルのIFN−γ、IL−2、IL−4およびIL−5の分泌を誘導することを示した。従って、HAがIVX−908と共に投与された場合に1型表現型へ切り替わる、2型表現型応答を示すサイトカインの放出を誘導したHAとは異なり、弱い免疫原性の可溶性OVAのアジュバント調整(adjuvanting)は、バランスのとれた1型/2型表現型応答の誘導と関連するようであった。
【0082】
(実施例14:惹起された免疫性に対するIVX−908中のLPSの量を変化させる効果)
惹起された免疫性に対するIVX−908中のLPSに対するプロテオソームの比率を変えることの効果を決定するために、上記のように鼻腔内で1μg(LPSとして)のIVX−908(1:1または1:2のプロテオソームおよびP.shigelloids LPSの複合体)と混合された3μgのHA(H3N2株A/Sydney)を用いてマウスを免疫する研究を行った。安楽死の際に、血液および肺洗浄液を収集し、そしてそれぞれ特異的IgGまたはIgAについてELISAで分析した。結果を表9に示す。これらの結果は、両方のIVX−908が実質的に同一レベルの特異的血清IgGを惹起するが、異なるIVX−908により惹起された粘膜IgAの間には非常に有意な差(P≦0.001)が存在することを示す。明らかに、P.shigelloids LPSと1:1で複合体化されたプロテオソームを含むIVX−908は、肺洗浄液においてより高い力価の特異的粘膜IgAを惹起した。従って、1:2のプロテオソームタンパク質:LPS複合体よりも高い粘膜アジュバント活性を有する。
【0083】
表9は、HA+IVX−908(Pr:LPS 1:1または1:2)を用いて鼻腔内で免疫されたマウス由来の血清および肺洗浄液における、相乗平均濃度(カッコ内は95%信頼限界)として表される免疫グロブリンレベル(IgGまたはIgA)を示す。
【0084】
【表9B】

(実施例15:異なる生物由来のLPSを用いて調製されたIVX−908のアジュバント効果)
新規生物由来のLPSに対してプロテオソームを複合体化することにより作製されたIVX−908のアジュバント活性(adjuvanticity)を決定するために、非病原性のE.coli(017)由来のLPSおよびSalmonella essen由来のLPSを使用してIVX−908調製物を作製した。IVX−908調製物を、プロテオソームおよびLPSを3:1、1:1および1:3(w/w)の比でEmpigenの存在下で混合し、そして透析カセットでの透析により洗浄剤を除去することにより作製した。3μgまたは0.3μg(LPSとして)のIVX−908と混合された3μgのHA(B/Guangdong)を用いて0日目および14日目にマウスを鼻腔内免疫した。コントロールマウスは、3μgのHAを鼻腔内に受容した。21日目の安楽死の際に、血液を収集し、そして特異的IgGについてELISAで分析した。結果を表10に示す。これらの結果は、Shigella種以外の病原体由来のLPSで作製したIVX−908調製物が、ワクチン抗原に対する免疫応答を増強し得るということを示す。E.coli LPSを用いて調製されたIVX−908については、0.3μgのLPSの用量におけるLPSに対して1:1および1:3の比のプロテオソームが、鼻腔内に単独で投与されたHAと比較して、抗HA血清IgG応答の有意な(P≦0.001)増強を与えた。試験された両方の用量におけるPr:LPS(S.essen)の全ての比率が、単独で鼻腔内に投与されたHAに対して血清抗HA応答の有意な(P≦0.001)増強を惹起した。S.essenを用いて作製されたIVX−908についての結果は、Shigella種由来のLPSを用いて作製されたIVX−908について得られた結果に匹敵した。
【0085】
表10は、異なるグラム陰性菌由来のLPSを異なるPr:LPS比で含有するHA+IVX−908調製物で鼻腔内免疫された、1群あたり8匹のマウスについての相乗平均濃度(μg/mL)(括弧内95%信頼限界)として表された血清抗HA IgG力価を示す。
【0086】
【表10】

本発明の開示を理解するかまたは完成するのに必要な程度まで、本明細書中で言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、各々が個々に援用される程度と同じ程度まで本明細書中に参考として明白に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1A】図1Aは、プロテオソームバルク材料の製造の実施形態(フローチャート1A)を示す。
【図1B】図1Bは、プロテオソームバルク材料の製造の実施形態(フローチャート1B)を示す。
【図2】図2は、S.flexneri 2a LPSの製造スキームを示す(フローチャート2)。
【図3】図3は、IVX−908プロテオソーム−LPSアジュバントの製造スキームを示す(フローチャート3)。
【図4A】図4Aは、一定量のHAを異なる量のIVX−908と混合し、そしてマウスの鼻内を免疫するために使用した場合に誘発された特定の血清IgGのレベルを示す。
【図4B】図4Bは、一定量のHAを異なる量のIVX−908と混合し、そしてマウスの鼻内を免疫するために使用した場合に誘発された特定の肺洗浄IgAのレベルを示す。
【図4C】図4Cは、一定量のIVX−908(1μgまたは0.3μgのいずれか)を異なる量のHAと混合し、そしてマウスの鼻内を免疫するために使用した場合に誘発された特定の血清IgGのレベルを示す。
【図4D】図4Dは、一定量のIVX−908(1μgまたは0.3μgのいずれか)を異なる量のHAと混合し、そしてマウスの鼻内を免疫するために使用した場合に誘発された特定の肺洗浄IgAのレベルを示す。
【図5】図5Aは、生存している、マウスに適合された、ホモ型の改変インフルエンザウイルスを用いた、免疫マウス(n=10)またはコントロールマウス(n=9)の生存チャレンジの数を示す。図5Bは、各群における生存の平均重量損失(インフルエンザウイルスによる感染に関連する死亡率の測定)を示す。誤差のバーは、平均に対する標準誤差を示す。
【図6】図6は、IVX−908を用いた場合と用いない場合の、オボアルブミンによりi.n.またはi.m.免疫したマウスの血清における特定の抗体応答を示す。力価は、特定のIgG(μg/ml)の濃度の幾何学的平均として表され、95%の信頼限界が誤差のバーにより示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のグラム陰性細菌から調製された外膜タンパク質プロテオソーム調製物および第2のグラム陰性細菌由来のリポサッカリド調製物を含むアジュバント組成物であって、該第1のグラム陰性細菌が、Neisseria属から選択され、該外膜タンパク質プロテオソームおよびリポサッカリド調製物は、安定な非共有結合アジュバント複合体を形成し、総タンパク質の重量%としての最終リポサッカリド含有量は、少なくとも13%である、アジュバント組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−31457(P2007−31457A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307227(P2006−307227)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【分割の表示】特願2002−570972(P2002−570972)の分割
【原出願日】平成14年3月11日(2002.3.11)
【出願人】(502296914)アイディー バイオメディカル コーポレイション オブ ケベック (9)
【Fターム(参考)】