説明

新規酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体およびこれらを含む放射線感応性材料

【目的】 遠紫外線、電子線、X線に対し、高感度、高解像度または定在波の発生および露光後の時間的経過よるパターン線幅の変化のない放射線感応性レジストおよびこれに用いられる新規重合体を提供すること。
【構成】 新規重合体は、ヒドロキシスチレン重合体または共重合体の水酸基を、一般式 −CH(CH3 )OR11OXR12(式中、R11はC2 〜C6 のアルキレン基、Xは直接結合、−C(O)−、−C(O)O−、−S(O2 )−、−C(O)NH−または−C(S)NH−を示し、R12は1から6の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基、1から6の炭素原子を有する置換アルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基、6から10の炭素原子を有する置換アリール基または7から10の炭素原子を有するアルカリール基を示す)で示される酸感応性基で部分的に保護したもので、レジストは、この重合体と光酸発生化合物、塩基、添加剤、溶剤からなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体またはその共重合体と、化学的に増幅されたポジ型放射線感応性組成物へのこれらの適用およびこれにより製造された、高エネルギー放射線、特に、150−450nmの波長範囲の紫外線、電子線およびX線に対し感応性であるレジストおよび複写材料に関する。
【0002】
【従来の技術】電子産業分野においては、従来から常に部品の縮小化が図られており、これにより、高解像度、高信頼性およびより良い製造特性を持つ放射線感応性組成物が求められている。電子産業分野においては、従来0.3μm以上のパターン設計の集積回路(IC)を製造するために、感光性組成物としてノボラック樹脂とジアゾナフトキノン(DNQ)溶解防止剤から作られたフォトレジストが用いられるとともに、露光光源としてg−線(456nm)あるいはi−線(365nm)光源が利用されている。このノボラック/DNQ混合物から成るレジスト材料は、0.3μm以上のパターン設計の集積回路を製造するには適したものである。しかし、最近の超−LSIの製造においてはサブクオーターミクロンの設計基準が要求されており、これに対しては、従来のノボラック/DNQレジスト材料および光源では対応することができない。サブクオーターミクロンの設計基準の超LSIの製造における露光光源としては、エキシマレーザー(248nm)またはフィルターにかけられた水銀ランプ(240−255nm)により与えられる遠紫外線が最も有望視されている。前記ノボラック樹脂に基づくレジスト材料は、これらの波長を過度に吸収し、またDNQ感光剤を用いない場合には感度が低すぎ、遠紫外線に対する露光には適していない。このため、遠紫外線に適用可能なレジスト材料が強く求められているのである。
【0003】前記ノボラック/DNQシステムに代えて遠紫外線露光に用いることができる有効なレジスト材料として、 Itoらにより発表された化学的に増幅されたレジストが知られている〔H. Ito and C. G. Wilson, Polym. Eng. Sci., 23 巻、1012(1983)〕。このレジスト材料は、基本的にはフェノール性水酸基の一部がt−ブチルオキシカルボニル(t−BOC)基で保護されたヒドロキシスチレン重合体およびトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩のような光酸発生剤(PAG)からなっている。このレジスト材料においては、露光により露出域に酸が生じ、この酸は、露光後に、例えば50℃以上の温度でベーキング(露光後ベーク工程、PEB)を行う際、触媒的にt−ブチルオキシカルボニル(t−BOC)基を脱保護させ、ヒドロキシスチレンを生成する。露光中に酸が少量でも生じていれば、触媒的な連鎖反応により幾つかのt−ブチルオキシカルボニル基を脱保護することができるので、この材料は化学的に増幅されたレジスト(CAR)とも呼ばれている。この脱保護化反応が触媒的に作用するため、化学的に増幅されたレジストは遠紫外線露光に対して高感度を満たすのである。
【0004】化学的に増幅されたレジスト(CAR)に関し、 Itoらが発表したt−ブチルオキシカルボニル基に続いて、ポジ型の遠紫外線フォトレジストを得るべく、有機合成で知られている多種、多様の保護基が試みられ、発表されている。これらの中でエーテル類〔(J. V. Crivello, D. A. Conlon and J. L. Lee, Polym. Mater. Sci. Eng., 61,422-426(1989)〕、シリルエーテル類〔M. Murata, E. Kobayashi, Y. Yumoto and T. Miura, J.Photopolym. Sci. Technol. 5, 79-84 (1992)〕、アセタール類〔N. Hayashi, S. S. A. Hesp, T. Ueno, M. Toriumi, T. Iwayanagi, and S. Nonogaki, Polym. Materi. Sci. Eng., 61, 417-421(1989)〕およびケタール類〔C. Mertesdorf, N. Muenzel, H. Holzwarth, P. Falcigno,H.T. Schacht, O. Rohde, R. Schulz., Proceedings SPIE, Vol.2438(1995)〕が、最も用いられているフェノール保護基である。
【0005】化学的に増幅されたレジスト(CAR)を生成する別の方法は、最近パウロウスキ(Pawlowski )等により J. Photopolym. Sci. & Tech., Vol. 5, No.1, 55-66(1992) に発表された、ポリヒドロキシスチレン、ポリ−N−O−アセタールのような酸感応性溶解防止剤および光酸発生剤(PAG)を単に混合することである。
【0006】しかしながら、一般的に、上述の保護基を有するポリマーからなるレジスト材料は、1)遠紫外線のような短波長光の露光の際の反射光による干渉に基づく望ましくない定在波の形成、2)露光後の保存中あるいは露光と露光後のベーク(PEB)間で時間的間隔があいた場合にパターンの線幅が変化するという問題点を有している。
【0007】本発明者らは、意外にも、下記一般式Iで示される新規酸感応性基で保護された重合体からなるレジスト材料が、このような欠点を示さないことを見いだし、本発明を完成したのである。これらの重合体およびこれらの重合体を放射線感応性レジスト材料あるいは放射線感応性複写材料に用いることは、本発明以前には知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】それ故、本発明の目的は、下記一般式Iで示される酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体、これらの重合体または共重合体を用いた、フォトレジスト、電子部品、厚膜レジスト、平版印刷板等を作成するために適したポジ型の放射線感応性組成物、および特に遠紫外線、電子線、X線に対し透過性が高く、反射光の影響に基づく定在波を発生させることがなく、かつ露光後ベーキングまで時間的経過があったとしてもパターン寸法の変化を生じさせない高解像度のレジスト材料を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】まず、本発明の新規酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体は、下記一般式Iで示される化学構造を有することを特徴とする。
【0010】一般式I
【0011】
【化1】


【0012】〔式中、m,oは、各々、1以上の整数で、かつo/m+oが0.1から0.9を示すものであり、nは、0または1以上の整数で、nが1以上の整数である場合には、n/m+n+oが0.05から0.5を示すものであり、R1 ,R2 ,R5 およびR6 は、各々、水素または1から6の炭素原子を有するアルキル基を示し、R3 およびR4 は、各々、水素、シアノ基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基、置換アリール基または−COOR10基であるか、またはR3 とR4 とにより、環状基−C(O)OC(O)−または−C(O)NR10C(O)−を形成するものを示し、ここにおいてR10は、水素原子、1から6の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖あるいは環状のアルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基または、7から10の炭素原子を有するアルカリール基を示し、R7 およびR8 は、各々、水素原子、塩素、臭素、1から6の炭素原子を有するアルキル基または1から6の炭素原子を有する置換アルキル基を示し、R9 は、一般式II−CH(CH3 )OR11OXR12(式中、R11は、2から6の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレン基を示し、Xは、直接結合または−C(O)−,−C(O)O−,−S(O2 )−,−C(O)NH−または−C(S)NH−基を示し、R12は、1から6の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基、1から6の炭素原子を有する置換アルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基、6から10の炭素原子を有する置換アリール基または7から10の炭素原子を有するアルカリール基を示す。)を示す。〕
更に、本発明の放射線感応性組成物は、本質的な成分として(a) 上記一般式Iで示される酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体(b) 活性放射線に露光することにより酸を発生し得る放射線感応性化合物(c) 必要に応じ、パターンの線幅を安定化させるための塩基または活性放射線に露光することにより中性化合物を形成する放射線感応成塩基(d) 必要に応じ、光学的、機械的およびフィルム形成性特性を調整するための添加剤(e) 成分(a) 、(b) 、(c) および(d) を溶解し、溶液を形成する溶剤を含んでいる。
【0013】この組成物は、水銀ランプ、エキシマレーザー、電子線描画装置またはシンクロトロンのような露光源から発生された紫外線、電子線、X線ビームへの露光により半導体装置やICのパターンを製造するために有用である。
【0014】更に、本発明の組成物は、サブクオーターミクロンの解像度を有する液体レジストや電子部品、厚膜レジスト、平板印刷板等を作成するために適した放射線感応性複写材料として有用である。
【0015】したがって、本発明は、更に上記放射線感応性組成物からなる放射線感応性複写材料および放射線感応性レジストを含み、またこの放射線感応性組成物を用い、この放射線感応性組成物により基板上に皮膜を形成し、この皮膜を活性放射線に対し選択的に露光し、その後露光した皮膜をベークし、現像して露光部分の皮膜を除去するポジ画像パターンを形成する方法にも関するものである。以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】(新規酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体)まず、本発明の新規酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体は、上記一般式Iで示されるものである。その中でも一般式I中、m,oは、各々、1以上の整数で、かつo/m+oが0.1から0.7を示すものであり、nは、0または1以上の整数で、nが1以上の整数である場合には、n/m+n+oが0.05から0.5を示すものであり、R1 ,R2 ,R5 およびR6 は、各々、水素または1から3の炭素原子を有するアルキル基を示し、R3 およびR4 は、各々、水素、シアノ基、1から3の炭素原子を有するアルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基、置換アリール基または−COOR10基であるか、またはR3 とR4 とにより、環状基−C(O)OC(O)−または−C(O)NR10C(O)−を形成するものを示し、ここにおいてR10は、水素原子、1から6の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖あるいは環状のアルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基または、7から10の炭素原子を有するアルカリール基を示し、R7 およびR8 は、各々、水素原子、塩素、臭素、1から3の炭素原子を有するアルキル基または1から6の炭素原子を有する置換アルキル基を示し、R9 は、一般式II−CH(CH3 )OR11OXR12(式中、R11は、2から6の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレン基を示し、Xは、直接結合または−C(O)−,−C(O)O−,−S(O2 )−,−C(O)NH−または−C(S)NH−基を示し、R12は、1から6の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基、1から6の炭素原子を有する置換アルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基、6から10の炭素原子を有する置換アリール基または7から10の炭素原子を有するアルカリール基を示す。)で示される重合体または共重合体が好ましい。
【0017】更に好ましいものは、一般式I中m,oは、各々、1以上の整数で、かつo/m+oが0.2から0.5を示すものであり、nは、0または1以上の整数で、nが1以上の整数である場合には、n/m+n+oが0.05から0.5を示すものである。
【0018】次に重合体または共重合体の具体例を示すが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
【0019】ポリ{4−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{3−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−プロパンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−イソプロパンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−ブタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{3−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレンポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレンポリ{3−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレン/スチレンポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/スチレンポリ{3−メチル−4−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−メチル−4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{3−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−フェニルスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−p−クロロフェニルスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{3−〔1−(2−p−メチルフェニルスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{3−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレンポリ{4−〔1−(2−エタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレンポリ{3−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレン/スチレンポリ{4−〔1−(2−エタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/スチレンポリ{3−メチル−4−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/3−メチル−4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−メチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{3−〔1−(2−エトキシ−N−メチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−エチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−エチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレンポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−エチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/スチレンポリ{3−メチル−4−〔1−(2−エトキシ−N−メチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/3−メチル−4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンポリ{3−〔1−(2−エトキシ−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/3−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/スチレンポリ{3−メチル−4−〔1−(2−エトキシ−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/3−メチル−4−ヒドロキシスチレンポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−メチルチオカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン上述のポリマは、リソグラフィー特性に優れ、また適当な熱流動安定性を有するため、特に、高解像度ICレジストの製造に有用である。
【0020】本発明の重合体あるいは共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準として用いるゲル浸透クロマトグラフィーによる測定で、2000から200000の間、好ましくは5000から30000の間で変わり得る。これら重合体の分子量分布は、レジストの特性を決定するうえで重要な役割を演じており、このため分子量分布の調整が必要である。分子量分布は1から3の間であればよいが、使用目的によってはできる限り1に近い方が望ましい場合もある。
【0021】また、遊離の−OH基に対する酸感応性基のモル比(あるいは、保護度)により、レジスト特性および現像中のレジストの溶解速度が変わる。現像が、2.38%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含有する界面活性剤不含標準現像剤を用い23℃で行われる場合、レジストの溶解速度が0から150nm/minの範囲であるべきである。要求される保護度は、酸感応性基の親水性/疎水性特性により変わり得るが、一般的には上述の重合体については15から75モル%の間である。例えば、ポリ{4−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(Mw=15,000)では、30モル%である。
【0022】(放射線感応性組成物)ところで、本発明の放射線感応性組成物は、上記したように(a) 一般式Iで示される酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体(b) 活性放射線に露光することにより酸を発生し得る放射線感応性化合物(c) 必要に応じ、パターンの線幅を安定化させるための塩基または活性放射線に露光することにより中性化合物を形成する放射線感応性塩基(d) 必要に応じ、光学的、機械的およびフィルム形成性特性を調整するための添加剤(e) 成分(a) 、(b) 、(c) および(d) を溶解し、溶液を形成する溶剤を含んでいる。
【0023】(成分(a))上記成分(a)は、一般式Iで示されるいずれの重合体でもよい。全混合物中の成分(a)の割合は、約10から40重量%、好ましくは15から25重量%である。
【0024】(成分(b))成分(b)は、活性放射線の露光により酸を発生する化合物であれば、いずれの化合物でもよい。以下に示される化合物が好ましいものであるが、ここに示した化合物が、使用できる化合物の全てではない。
【0025】好ましい放射線酸発生化合物は、(i) ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec −ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニルエチルスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニルt−ブチルスルホニルジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−エチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−t−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−ブロモフェニルスルホニル)ジアゾメタンのような、ビススルホニルジアゾメタン類、(ii) メチルスルホニルp−トルエンスルホニルメタン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(3−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(4−エチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(4−t−ブチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(4−フルオロフェニルスルホニル)メタン、ビス(4−クロロフェニルスルホニル)メタン、ビス(4−ブロモフェニルスルホニル)メタンのような、ビススルホニルメタン類、(iii) シクロヘキシルスルホニルシクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチルブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、p−トルエンスルホニルシクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(4−メチルフェニルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、フェニルスルホニルフェニルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−フェニルスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−(4−メチルフェニルスルホニル)−3−メチル−2−ブタノン、2−ジアゾ−2−(4−メチルフェニルスルホニル)シクロヘキシルアセテート、2−ジアゾ−2−フェニルスルホニルt−ブチルアセテート、2−ジアゾ−2−メチルスルホニルイソプロピルアセテート、2−ジアゾ−2−フェニルスルホニルt−ブチルアセテート、2−ジアゾ−2−(4−メチルフェニルスルホニル)t−ブチルアセテートのような、スルホニルカルボニルジアゾメタン類、(iv) 2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロピオフェノン、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2−メタンスルホニル−2−メチル−4−メチルチオプロピオフェノン、2,4−ジメチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)ペンタン−3−オンのような、スルホニルカルボニルアルカン類、(v) 2−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジルp−トリフルオロメチルフェニルスルホネートのような、ニトロベンジルスルホネート類、(vi) ピロガロールトリスメタンスルホネート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、ピロガロールトリスフェニルスルホネート、ピロガロールトリス−4−メチルフェニルスルホネート、ピロガロールトリス−4−メトキシフェニルスルホネート、ピロガロールトリス−2,4,6−トリメチルフェニルスルホネート、ピロガロールトリスベンジルスルホネート、および没食子酸エステル類、カテコール、レゾルシノールあるいはヒドロキノンから誘導された関連化合物のような、アルキルおよびアリールスルホネート類、(vii) ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレートのような、ベンゾインスルホネート類、(viii) N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(メタンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(エタンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トルエンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(ペンタフルオロフェニル)スルホニルオキシフタルイミド、N−(4−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(ナフタレンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−カムフォスルホニルオキシフタルイミド、N−(カムフォスルホニルオキシ)ナフタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、N−(ペンタフルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(メタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)マレイミド、N−(フェニルスルホニルオキシ)マレイミド、N−(メタンスルホニルオキシ)マレイミド、N−トリフルオロスルホニルオキシフタルイミジルエーテル、ビストリフルオロメチルビス−N,N−トリフルオロメチル−スルホニルオキシフタルイミジルメタンのような、N−スルホニルオキシイミド類、(ix) (4−フルオロ−ベンゼンスルホニルオキシ)−3,4,6−トリメチル−2−ピリドン、6−シクロヘキシル−1−メタンスルホニルオキシ−4−メチル−3−ニトロピリドン、1−メタンスルホニルオキシ−3,5−ビスメトキシメチル−4,6−ジメチル−2−ピリドン、1−(4−ブロモ−ベンゼンスルホニルオキシ)−4−メチル−6−(4−トリフルオロメチルスチリル)−2−ピリドン、6−(2−アントラセン−9−イル−ビニル)−1−メタンスルホニルオキシ−4−メチル−2−ピリドン、1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニルオキシ)−4,6−ジフェニル−2−ピリドン、6−(4−クロロスチリル)−1−メタンスルホニルオキシ−4−メチル−2−ピリドン、3−シアノ−1−メタンスルホニルオキシ−4,6−ジメチル−2−ピリドン、4−メチル−6−(2,4,5−トリクロロフェニル)−2−ピリドン、1−メタンスルホニルオキシ−4,6−ジメチル−2−ピリドン、1−ベンゼンスルホニルオキシ−6−ブチル−4−メチル−5−ニトロ−2−ピリドン、1−ブタンスルホニルオキシ−4−プロピル−6−p−トリル−2−ピリドン、3−ブロモ−6−(3,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−2−ピリドンのような、ピリドン類、(x) 2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(3−ビニルフェニル)−エチル4−クロロベンゼンスルホネート、2,2,2−トリフルオロ−1−p−トリル−1−トリフルオロメチルエチル4−クロロベンゼンスルホネート、2,2,2−トリフルオロ−1−p−トリル−1−トリフルオロメチルエチル4−(2−フェノキシエトキシ)−ベンゼンスルホネート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(4−ビニルフェニル)−エチルナフタレン−2−スルホネート,2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−1−トリフルオロメチルエチルプロパンスルホネート、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチル−1−(3−ビニルフェニル)−エチル4−ブトキシベンゼンスルホネート、2,2,2−トリフルオロ−1−1−p−トリル−1−トリフルオロメチルエチル3,5−ジクロロベンゼンスルホネート、1,3−ビス−(2,2,2−トリフルオロ−1−メタンスルホニルオキシ−1−トリフルオロメチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス−(2,2,2−トリフルオロ−1−メタンスルホニルオキシ−1−トリフルオロメチルエチル)ベンゼンのような、スルホン酸エステル類、(xi) トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムフェニルスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−メチルフェニルスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−メトキシフェニルスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−クロロフェニルスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンフォスルホネート、4−メチルフェニル−ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−メチルフェニル)−フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル−ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニル−ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、メシチルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−クロロフェニル−ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス−(4−クロロフェニル)−フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス−(4−クロロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチルフェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、ビス(4−メチルフェニル)−フェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、トリス−4−メチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、4−t−ブチルフェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、4−メトキシフェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、メシチル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、4−クロロフェニル−ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、ビス−(4−クロロフェニル)−フェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、トリス−(4−クロロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−4−メチルフェニルスルホネート、ビス−(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス−(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロプロパンスルホネート、ビス−(p−シクロヘキシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス−(p−シクロヘキシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロプロパンスルホネートのような、オニウム塩類、等である。
【0026】高解像度、深い焦点深度および高い安定性のようなリソグラフで要求される最適の特性を得るための成分(b)の使用量は、例えば、成分(a)の化学的および物理的特性、成分(b)の量子収量および吸収パラメーターなどを含む種々の要素により左右される。通常、成分(b)は、成分(a)に対し0.1から10.0重量%で用いられ、好ましい量としては,0.5から5.0重量%である。この成分(b)は、2種以上の光酸発生化合物の混合物であってもよい。
【0027】(成分(c))成分(c)は、放射線感応性塩基あるいは通常の非放射線感応性塩基である。成分(c)は、画像形成レジスト組成にとって必ずしも必要ではないが、これを添加することにより、パターンを形成する際の臨界的な要素のコントロール、特に種々の遅延時間間隔で処理工程が行われてもパターン特性の悪化を抑えることができるために、その添加が好ましいものである。また、成分(c)の添加により、明りょうなコントラストの増大も見られる。成分(c)として適している放射線感応性塩基化合物のうちで特に好ましいものとしては、例えば、トリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリフェニルスルホニウムアセテート、トリフェニルスルホニウムフェノレート、トリス−(4−メチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、トリス−(4−メチルフェニル)スルホニウムアセテート、トリス−(4−メチルフェニル)スルホニウムフェノレート、ジフェニルヨードニウムヒドロキシド、ジフェニルヨードニウムアセテート、ジフェニルヨードニウムフェノレート、ビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、ビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムアセテート、ビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムフェノレート等がある。
【0028】また、成分(c)として特に好ましい非放射線感応性塩基化合物は、例えば、(i) 水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムのような、アンモニウム塩類(ii)n−ヘキシルアミン、ドデシルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデカンのような、アミン類(iii) 3−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジンのような、塩基性複素環化合物、等である。
【0029】成分(c)の量は、成分(b)の量と成分(b)の光酸発生能により決定され、通常、成分(b)の10から110モル%の範囲で用いられる。成分(c)の好ましい量は、成分(b)に対し25から95モル%である。成分(c)は、2種以上の塩基化合物の混合物でもよい。
【0030】(成分(d))これらに加え、組成物は、成分(d)に包含される、光吸収剤、染料、有機カルボン酸、レベリング剤、安定化剤、低分子量化合物、可塑剤等を含んでもよい。成分(d)は任意成分であり、必要とされる特性に応じ添加すればよい。
【0031】(成分(e))成分(e)としてあげられた溶剤は、成分(a),(b),(c)および上記(d)の添加剤を溶解し、均一な皮膜を形成する限りにおいて特には限定されない。
【0032】溶剤の具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびプロプレングリコールモノメチルエーテルのような、グリコールエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような、グリコールエーテルアセテート類、エチルラクテートのような、エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたはシクロヘプタノンのような、ケトン類があげられ、トルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素類は、好ましいものではない。ある場合には、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン等を使用するすることもできる。これらの溶剤(e)は、単独または2種以上の混合形態で使用してもよい。
【0033】成分(a),(b),(c),(d)の全固体含量は、溶剤(e)に対し、10から50重量%、好ましくは15から25重量%の範囲である。
【0034】(活性放射線)本発明の放射線感応性組成物を露光するための活性放射線としては、KrFエキシマレーザのような200から300nm範囲の波長の光を放射する光源から放出される短波長紫外線である遠紫外線、または電子線、X線等を用いることができる。その中でも遠紫外線が最も好ましいものである。
【0035】(放射線感応性組成物の用途)本発明の放射線感応性組成物は、すでに述べたように、サブクオーターミクロンでの画像形成が可能であり、遠紫外線のような短波長光の露光の際の反射光による干渉に基づく望ましくない定在波の形成がなく、また露光後の保存中あるいは露光と露光後のベーク(PEB)間に時間的間隔があいた場合においてもパターンの線幅が変化するということがなく、しかも好ましいレジスト特性を有しているため、超LSIのような集積回路の製造のためのレジストとして特に好ましいものである。またこれ以外にも、電子部品のレジスト、厚膜用レジストあるいは平板印刷板等を作成するための放射線感応性複写材料としても好ましいものである。
【0036】(パターンの形成)本発明の放射線感応性組成物を用いてのパターンの形成を、シリコンウエハ上へのレジストパターンの形成を例にあげて述べると、次のとおりである。まず、本発明の組成物を、シリコンウエハーのような基板上に塗布し、この塗布された基板をホットプレート上で60から150℃で1から3分間加熱してベーキングすることにより、300−3000nmの厚さを有する均一な皮膜を形成する。なお、特別な目的に対しては、これより厚いあるいは薄い皮膜として使用することもできる。所望のパターンを形成するために、活性放射線源とレジスト膜との間にマスクを置き、例えばKrFエキシマレーザーから発生される248nmの波長、1から100mJ/cm2 の量の遠紫外線で露光する。次いで、露光されたウエハーは、ホットプレート上で、50から150℃で1から3分間ベーキングした後、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム含有水性溶液のような現像液で、約1から3分間、浸漬、スプレーあるいはスプレー−パドル現像法により現像する。このようにして、本発明の放射線感応性組成物を用いて所望のポジのレジストパターンを得ることができる。
【0037】以下、合成例および実施例により本発明を更に詳細に述べるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0038】
【合成例および実施例】
合成例1 (2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルの合成)
温度計、滴下漏斗および撹拌機を取り付けた1リットルの三つ口フラスコに、1モル(81.0g)のエチレングリコールモノビニルエーテル、1.05モル(106.26g)のトリエチルアミンおよび300mlのテトラヒドロフラン(THF)を入れる。この混合物を氷浴を用いて10−15℃に冷却する。この冷却された溶液に、撹拌しつつ、反応混合物の温度が15℃以下を維持するように2時間以上をかけて1.05モル(84.93g)のアセチルクロライドを滴下した。10時間反応後,500mlのジエチルエーテルと続いて500mlの脱イオン水を反応混合物に加えた。その後、有機層を300mlの脱イオン水を用いて3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて24時間乾燥した。この乾燥された有機層をろ過により分離し、ジエチルエーテルを留出させて、粗生成物を得た。この粗生成物を2度減圧蒸留して精製した。得られた化合物は、1トールで33−35℃、20トールで115−116℃の沸点を有していた。精製後の収量および収率は、110.7gおよび90%であった。この化合物を、赤外(IR)およびNMRで測定した。赤外スペクトルは、1745cm-1(νc=0)に強い吸収を示し、NMRスペクトルは、2.1ppm(3H),3.89ppm(2H),4.05ppm(1H),4.22ppm(1H),4.3ppm(2H),6.25ppm(1H)にシグナルを有しており、分離された化合物が、2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルであることが確認された。
【0039】合成例2 (2−エタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルの合成)
アセチルクロライドをプロピオニルクロライドに変えたほかは、合成例1と同じ方法を繰り返した。収率は66%であり、精製物は、45−50℃/1トールの沸点を有していた。これを、IRおよびNMRにより確認した。
【0040】合成例3 (2−ブタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルの合成)
アセチルクロライドをペンタノイルクロライドに変えたほかは、合成例1と同じ方法を繰り返した。収率は85%であり、精製物は、90℃/1トールの沸点を有していた。これを、IRおよびNMRにより確認した。
【0041】合成例4 (2−メタンスルホニルオキシエチルビニルエーテルの合成)
アセチルクロライドをメタンスルホニルクロライドに変えたほかは、合成例1と同じ方法を繰り返した。粗収率は、95%であった。粗生成物を蒸留により精製しようと試みたが、加熱時発熱分解反応が起こり、精製はうまく行かなかった。このため、精製はシリカゲルを用いてのクロマトグラフィにより行った。精製物は、IRおよびNMRにより確認された。
【0042】合成例5 (2−ベンゼンスルホニルオキシエチルビニルエーテルの合成)
アセチルクロライドをベンゼンスルホニルクロライドに変えたほかは、合成例1と同じ方法を繰り返した。粗収率は、95%であった。精製は合成例4で述べた方法と同じ方法で行った。精製物は、IRおよびNMRにより確認された。
【0043】合成例6 (2−エチル−N−エチルカルバミン酸エステルビニルエーテルの合成)
温度計、滴下漏斗およびマグネチックスターラーを取り付けた1リットルの三つ口フラスコに、1モル(81.0g)のエチレングリコールモノビニルエーテル、0.2gのトリエチルアミンおよび100mlのテトラヒドロフラン(THF)を入れ、この混合物を氷浴を用いて10−15℃に冷却した。この冷却された溶液に、反応混合物の温度を25℃以下に保ち、常に撹拌しつつ、1時間以上をかけて1モル(71.08g)のエチルイソシアネートを滴下した。エチルイソシアネートの添加が完了した後、反応混合物を室温(25℃)で2時間、さらに70℃で6時間撹拌した。その後、テトラヒドロフランを留去して、粗製品を回収した。これを2回減圧蒸留することにより精製した。得られた化合物は、85℃/1トールの沸点を有していた。精製後の収率は、80%(116g)であった。この化合物を、IRおよびNMRにより確認した。赤外スペクトルは、1780cm-1(C=0)に強い吸収を示し、NMRスペクトルは、1.17ppm(3H),3.25ppm(2H),3.87ppm(2H),4.02ppm(2H),4.29ppm(2H),および5.11ppm(1H),6.48(1H)にシグナルを有しており、分離された化合物が、2−エチル−N−エチルカルバミン酸エステルビニルエーテルそのものであることが確認された。
【0044】合成例7 (2−エチル−N−メチルカルバミン酸エステルビニルエーテルの合成)
エチルイソシアネートをメチルイソシアネートで変えたほかは、合成例6と同じ方法を繰り返した。粗収率は、74%であった。沸点は79℃/1トールであった。IRおよびNMRにより確認した。
【0045】合成例8 (2−エチル−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステルビニルエーテルの合成)
エチルイソシアネートをシクロヘキシルイソシアネートで変えたほかは、合成例6と同じ方法を繰り返した。収率は、66%であった。沸点は125℃/1トールであり、化合物は48℃の融点を有していた。IRおよびNMRにより確認した。
【0046】合成例9 (2−エチル−N−メチルチオカルバミン酸エステルビニルエーテルの合成)
エチルイソシアネートをメチルチオイソシアネートで変えたほかは、合成例6と同じ方法を繰り返した。粗収率は、60%であった。IRおよびNMRにより確認した。
【0047】実施例1 (ポリ{4−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンの合成)
0.25モル(30g)のポリ(4−ヒドロキシスチレン)〔PHS〕を、温度計および塩化カルシウム乾燥管を取り付けた500mlの三つ口フラスコに入れ、300mlのテトラヒドロフラン中に溶解させる。この溶液に、1.25gの(ピリジニウムp−トルエンスルホネート)触媒および0.125モル(PHSに対し0.5モル当量)の上記合成例1で合成された2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルを加え、25℃で16時間撹拌した。16時間後、反応した重合体を、10リットルの1:9v/vメタノール−水混合物中に注ぎ、沈澱させて分離した。重合体沈澱物を、G1ガラスフィルタでろ過し、超純水で十分に洗浄した。この重合体を200mlのアセトンに再溶解させ、10リットルの1:9v/vアセトン−水混合物中に注ぎ、再沈澱させた。再沈澱した重合体を、G1ガラスフィルタでろ過し、超純水で洗浄し、真空(1トール)下、30℃で、一定重量になるまで乾燥した。この重合体の赤外(IR)スペクトルは、反応により生成するメタンカルボニル基の存在を示す1760cm-1にピークを示した。プロトン−NMR並びに窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少(21.44%)の結果から、得られた重合体は、モル比で約1:3の4−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕スチレン単位と4−ヒドロキシスチレン単位を有するものであることが分かった。
【0048】実施例2 (ポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンの合成)
2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルに代えて2−エタンカルボニルオキシエチルビニルエーテル(合成例2)を用いるほかは、実施例1と同じ方法を繰り返した。プロトン−NMR並びに窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少(23.2%)の結果から、得られた重合体は、モル比で約1:3の4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕スチレン単位と4−ヒドロキシスチレン単位とを有するものであることが分かった。
【0049】実施例3 (ポリ{4−〔1−(2−ブタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンの合成)
0.125モルのメタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルに代えて0.1モル(PHSに対し0.4モル当量)の2−ブタンカルボニルオキシエチルビニルエーテル(合成例3)を用いるほかは実施例1と同じ方法を繰り返した。プロトン−NMR並びに窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少の結果から、得られた重合体は、モル比で約1:4の4−〔1−(2−ブタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕スチレン単位と4−ヒドロキシスチレン単位とを有するものであることが分かった。
【0050】実施例4 (ポリ{4−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンの合成)
2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルに代えて2−メタンスルホニルオキシエチルビニルエーテル(合成例4)を用いるほかは、実施例1と同じ方法を繰り返した。この重合体のIRスペクトルは、反応により生成するメタンスルホニル基の存在を示す1788cm-1にピークを示した。プロトン−NMR並びに窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少の結果から、得られた重合体は、モル比で約1:3の4−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕スチレン単位と4−ヒドロキシスチレン単位を有するものであることが分かった。
【0051】実施例5 (ポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレンの合成)
ポリ(4−ヒドロキシスチレン)に代えて9:1のモル比の4−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレン単位を有するポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−4−メチルスチレン)共重合体を、また2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルに代えて2−エタンカルボニルオキシエチルビニルエーテル(合成例2)を用いるほかは、実施例1と同じ方法を繰り返した。プロトン−NMR並びに窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少(26.2%)の結果から、得られた重合体は、モル比で約3:6:1の4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン単位、4−ヒドロキシスチレン単位および4−メチルスチレン単位とを有するものであることが分かった。
【0052】実施例6 (ポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/スチレンの合成)
ポリ(4−ヒドロキシスチレン)に代えて9:1のモル比の4−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレン単位を有するポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−スチレン共重合体が、また2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルに代えて2−エタンカルボニルオキシエチルビニルエーテル(合成例2)を用いるほかは、実施例1と同じ方法を繰り返した。窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少は、23重量%であった。
【0053】実施例7 (ポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−メチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンの合成)
2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルに代えて、0.175モル(PHSに対し0.7モル当量)の2−エチル−N−エチルカルバミン酸エステルビニルエーテル(合成例6)が用いられたほかは、実施例1と同じ方法を繰り返した。プロトン−NMR並びに窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少(25重量%)の結果から、得られた重合体は、モル比で約25:75の4−〔1−(2−エトキシ−N−メチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕スチレン単位と4−ヒドロキシスチレン単位とを有するものであることが分かった。
【0054】実施例8 (ポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレンの合成)
2−メタンカルボニルオキシエチルビニルエーテルに代えて、0.15モル(PHSに対し0.5モル当量)の2−エチル−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステルビニルエーテル(合成例8)が用いられたほかは、実施例1と同じ方法を繰り返した。プロトン−NMR並びに窒素雰囲気下、20℃の加熱速度、150℃および350℃間で観測された熱重量分析器(TGA)での重量減少(42重量%)の結果から、得られた重合体は、モル比で約42:58の4−〔1−(2−エトキシ−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステル)エトキシ〕スチレン単位と4−ヒドロキシスチレン単位とを有するものであることが分かった。
【0055】実施例9 (レジスト組成例1)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0056】
実施例1の保護された重合体 3.401gトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート 0.102gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 11.8gこの混合物は、1時間以上撹拌され、得られたレジスト溶液は、0.5および0.2μmのフィルタを通してろ過されて、粒子が除去された。このようにして得られたレジスト溶液は、シリコンウエハ(どの様な半導体基板でも使用可能である)上にスピンコートされ、形成された皮膜は、130℃で60秒間プレベイクされた。コーターの回転速度は,0.7μmの厚さのレジストフィルムが得られるように調整された。このようにして得られたレジスト被覆シリコンウエハは、ステッパー(NA=0.55,σ=0.5)に取り付けられたKrFエキシマレーザーにより248.4nmの波長の光でマスクをとおし選択的に露光された。露光されたウエハは、ホットプレート上で90秒間70℃でベークされ、アルカリ性現像液(2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムを含有)で現像された。露光域は、現像液に溶解し、ポジパターンが得られた。このパターンは、90°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.20μmであり、露光エネルギーは、20mJ/cm2 であった。
【0057】実施例10 (レジスト組成例2)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0058】
実施例1の保護された重合体 3.401gトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート 0.102gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、90°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.20μmであり、露光エネルギーは、40mJ/cm2 であった。トリフェニルスルホニウムアセテート放射線感応性塩基を用いたことにより、実施例9に比べ、得られたラインパターンは、露光後ベークまでの時間が2時間までは安定であった。
【0059】実施例11 (レジスト組成例3)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0060】
実施例2の保護された重合体 3.405gトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート 0.102gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、90°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.19μmであり、露光エネルギーは、45mJ/cm2 であった。
【0061】実施例12 (レジスト組成例4)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0062】
実施例3の保護された重合体 3.405gビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン 0.110gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、88°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.22μmであり、露光エネルギーは、46mJ/cm2 であった。
【0063】実施例13 (レジスト組成例5)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0064】
実施例4の保護された重合体 3.405gトリフェニルスルホニウム4−メチルフェニルスルホネート 0.120gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、88°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.21μmであり、露光エネルギーは、42mJ/cm2 であった。
【0065】実施例14 (レジスト組成例6)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0066】
実施例5の保護された重合体 3.405gビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート 0.13gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、90°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.20μmであり、露光エネルギーは、35mJ/cm2 であった。
【0067】実施例15 (レジスト組成例7)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0068】
実施例6の保護された重合体 3.405gビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオメタンスルホネート 0.13gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、90°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.20μmであり、露光エネルギーは、41mJ/cm2 であった。
【0069】実施例16 (レジスト組成例8)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0070】
実施例7の保護された重合体 3.405g2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート 0.135gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、90°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.20μmであり、露光エネルギーは、41mJ/cm2 であった。
【0071】実施例17 (レジスト組成例9)
レジスト組成物が、次の組成から製造された。
【0072】
実施例8の保護された重合体 3.405gビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート 0.13gトリフェニルスルホニウムアセテートのPGMEA0.1mモル/g溶液 1.241gプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 11.8g実施例9の塗布、露光および現像法が繰り返された。このパターンは、90°の側壁角を有し、ラインアンドスペースの解像度は0.21μmであり、露光エネルギーは、30mJ/cm2 であった。
【0073】
【効果】本発明によれば、高感度、高解像度で、レジスト特性に優れ、しかも短波長光での定在波の発生および露光後ベーキングまで時間的経過があったとしてもパターン寸法の変化を生じさせることのない放射線感応性組成物を得ることができる。そして、この放射線感応性組成物は、放射線感応性レジスト、特にKrFエキシマレーザのような遠紫外線の露光による超微細加工ポジ型レジストあるいは放射線感応性複写材料等に好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式Iで示される、酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体。
一般式I
【化1】


〔式中、m,oは、各々、1以上の整数であって、o/m+oが0.1から0.9を示すものであり、nは、0または1以上の整数で、nが1以上の整数である場合には、n/m+n+oが0.05から0.5を示すものであり、R1 ,R2 ,R5 およびR6 は、各々、水素または1から6の炭素原子を有するアルキル基を示し、R3 およびR4 は、各々、水素、シアノ基、1から6の炭素原子を有するアルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基、置換アリール基または−COOR10基であるか、またはR3 とR4 とにより環状基−C(O)OC(O)−または−C(O)NR10C(O)−を形成するものを示し、ここにおいてR10は、水素原子、1から6の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖あるいは環状のアルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基または7から10の炭素原子を有するアルカリール基を示し、R7 およびR8 は、各々、水素原子、塩素、臭素、1から6の炭素原子を有するアルキル基または1から6の炭素原子を有する置換アルキル基を示し、R9 は、一般式II−CH(CH3 )OR11OXR12(式中、R11は、2から6の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキレン基を示し、Xは、直接結合または−C(O)−,−C(O)O−,−S(O2 )−,−C(O)NH−あるいは−C(S)NH−基を示し、R12は、1から6の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基、1から6の炭素原子を有する置換アルキル基、6から10の炭素原子を有するアリール基、6から10の炭素原子を有する置換アリール基または7から10の炭素原子を有するアルカリール基を示す。)を示す。〕
【請求項2】 酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体が、以下に記載のいずれかである十分にまたは部分的に保護された請求項1記載の重合体または共重合体。
(1) ポリ{4−〔1−(2−メタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(2) ポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(3) ポリ{4−〔1−(2−ブタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(4) ポリ{4−〔1−(2−メタンスルホニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(5) ポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/4−メチルスチレン(6) ポリ{4−〔1−(2−エタンカルボニルオキシエトキシ)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン/スチレン(7) ポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−メチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(8) ポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−エチルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(9) ポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−メチルチオカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン(10)ポリ{4−〔1−(2−エトキシ−N−シクロヘキシルカルバミン酸エステル)エトキシ〕}スチレン/4−ヒドロキシスチレン
【請求項3】以下の成分(a) から(e) を含む放射線感応性組成物。
(a) 請求項1に記載の一般式Iで示される酸感応性基で保護されたヒドロキシスチレン重合体または共重合体(b) 活性放射線に露光することにより酸を発生し得る放射線感応性化合物(c) 必要に応じ、パターンの線幅を安定化させるための塩基または活性放射線に露光することにより中性化合物を形成する放射線感応性塩基(d) 必要に応じ、光学的、機械的およびフィルム形成性特性を調整するための添加剤(e) 成分(a) 、(b) 、(c) および(d) を溶解し、溶液を形成する溶剤
【請求項4】請求項3に記載の放射線感応性組成物において、成分(a) が、請求項2に記載の部分的に保護された重合体または共重合体のいずれかであることを特徴とする放射線感応性組成物。
【請求項5】請求項3に記載の放射線感応性組成物において、成分(b) が、以下の光酸発生化合物あるいはそれらの誘導体の少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする放射線感応性組成物。
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタンビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタンビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタントリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートフェニルスルホニルフェニルカルボニルジアゾメタントリフェニルスルホニウムヘキサフルオロプロパンスルホネートトリフェニルスルホニウム4−メチルフェニルスルホネートトリフェニルスルホニウムカンフォスルホネートジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネートビス−(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロプロパンスルホネートピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネートピロガロールトリスフェニルスルホネート
【請求項6】請求項3に記載の放射線感応性組成物において、成分(c) が、放射線感応性塩基または通常の非放射線感応性塩基の少なくとも1種であることを特徴とする放射線感応性組成物。
【請求項7】請求項3に記載の放射線感応性組成物において、成分(e) が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることを特徴とする放射線感応性組成物。
【請求項8】請求項3〜7に記載のいずれかの放射線感応性組成物からなるフォトレジスト。

【公開番号】特開平10−87724
【公開日】平成10年(1998)4月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−239141
【出願日】平成8年(1996)9月10日
【出願人】(597143498)クラリアントアーゲー (1)
【住所又は居所原語表記】Rothausstrasse 61,CH−4132 Muttenzl,Switzerland