説明

施封小束管理装置

【課題】施封小束管理装置の入金時に施封されていない小束の収納を防止して、出金時における出金不具合を未然に防止する手段を提供する。
【解決手段】所定の結束枚数の紙幣を紙帯Sにより施封した小束Tをステージ18上に積層して収納する小束金庫10を有し、収納した小束Tを小束金庫10の入出口16から外部に排出して出金する施封小束管理装置1において、小束Tの紙帯Sを、紙帯Sからの反射光量によって検出する計数センサ24を設けると共に計数センサ24を小束金庫10の入出口16に設定した上端位置に停止させ、その計数センサ24によって、入出口16を通過する小束Tの紙帯Sの有無を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の結束枚数の紙幣を紙帯により施封した小束を収納し、収納した小束を出金する機能を有する施封小束支払機等の施封小束管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の施封小束管理装置は、その入金処理において、所定の結束枚数(100枚)の紙幣を紙帯により施封した小束が、複数の小束金庫上に配置された小束搬送機構に受渡されると、その小束は小束搬送機構により収納すべき小束金庫上に搬送されて小束金庫の入出口に設けられた回動可能なストッパ上に載置され、ストッパ上に載置された小束はプッシャ機構によりストッパを回動させながら小束金庫内に押込まれてステージ上に小束を積層した状態で収納される。
【0003】
また、出金処理においては、小束金庫内に収納された小束をプッシャ機構により一旦押下げ、ストッパを回動させて入出口を開放した後に、プッシャ機構に押圧された最上位の小束をステージにより小束搬送機構内に押戻して小束搬送機構により搬送して出金し、その後にプッシャ機構により2番目以降の小束を小束金庫内に押込んで再び収納している。
【0004】
そして、小束金庫内に収納された小束の数を計数する小束精査動作においては、昇降可能に設けられた2つの反射センサからなる計数センサを、ステージ上に積層された小束の紙帯に沿って下端位置から上端位置まで上昇させ、反射センサから出力される紙帯と紙帯間の隙間との反射光量の相違により、収納された小束の数を計数し、2つの反射センサが紙帯を検出できなかった場合は、計数センサを昇降させるセンサ駆動部に設けられたエンコーダで検出した計数センサの移動量で、小束の厚さを判断して小束の収納数を確定している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−232522号公報(主に、段落0077−0089、0096−0102、第8図、第10図、第12図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術においては、小束精査動作において、2つの反射センサが紙帯を検出できなかった場合は、計数センサを昇降させるセンサ駆動部に設けられたエンコーダで検出した計数センサの移動量で、小束の厚さを判断して小束の収納数を確定しているため、紙帯の結束不良等により施封されていない小束が小束金庫に収納されたとしても、施封されていない小束を検出することができないという問題がある。
【0007】
この施封されていない小束が小束金庫に収納されていると、出金処理において、施封されていない紙幣束を出金したり、出金の途中で紙幣束がばらけて一部の紙幣しか出金できなかったりして、出金不具合を発生させる恐れがあるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、施封小束管理装置の入金時に施封されていない小束の収納を防止して、出金時における出金不具合を未然に防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、所定の結束枚数の紙幣を紙帯により施封した小束をステージ上に積層して収納する小束金庫を有し、収納した小束を前記小束金庫の入出口から外部に排出して出金する施封小束管理装置において、前記小束の紙帯を、前記紙帯からの反射光量によって検出する紙帯検出センサを設けると共に、前記紙帯検出センサを前記小束金庫の入出口に設定した上端位置に配置し、前記紙帯検出センサによって、前記入出口を通過する小束の紙帯の有無を監視することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
これにより、本発明は、入金時に施封されていない小束の小束金庫への収納を防止することができ、出金時における出金不具合を未然に防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の施封小束支払機を示すブロック図
【図2】実施例1の施封小束支払機を示す説明図
【図3】実施例1の小束金庫を示す斜視図
【図4】実施例1の小束金庫の側面を示す説明図
【図5】実施例1の紙帯検出センサの移動軌跡を示す説明図
【図6】実施例1の計数処理時の紙帯検出センサ等の出力波形を示す説明図
【図7】実施例1の入金時の紙帯検出センサ等の出力波形を示す説明図
【図8】実施例1の出金時の紙帯検出センサ等の出力波形を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明による施封小束管理装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1において、1は施封小束管理装置としての施封小束支払機であり、金融機関の支店等の営業店に設置された上位装置としての現金処理装置に組込まれており、所定の結束枚数(本実施例では、100枚)の紙幣を紙帯Sにより施封した小束Tを収納して入金し、収納した小束Tを外部に払出して出金する機能を有している。
【0014】
2は施封小束支払機1の制御部であり、現金処理装置からの指令により、施封小束支払機1の各部を制御して、小束Tの入金処理や出金処理、収納されている小束Tの計数処理、施封されていない小束T(未施封小束という。)の検出処理(未施封小束検出処理という。)等を実行する機能を有している。
【0015】
3は施封小束支払機1の記憶部であり、制御部2が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部2による処理結果等が格納される。
【0016】
図2において、5は施封部であり、図示しない現金処理装置の紙幣集積部から束のまま受渡された所定の結束枚数の紙幣を紙帯Sで施封して小束Tを形成する機能を有しており、施封した小束Tを、対向配置した一対のベルトにより挟持して搬送する小束搬送路6が設けられている。
【0017】
7はエレベータ部であり、施封部5の小束搬送路6の搬送方向の前方に昇降可能に配置されており、小束搬送路6から受渡された小束Tを出金口8または把持搬送部9へ搬送する機能を有している。
【0018】
10は小束金庫であり、設定された金種の小束Tを積層して収納する収納部であって、本実施例では、小束Tを金種別に収納するために、10a〜10dの4つの小束金庫10が施封小束支払機1の下部に並べて配置されている。
【0019】
11はオーバフロー庫であり、小束金庫10に収納しきれなくなった小束Tを金種に関わらず収納する収納部である。
【0020】
把持搬送部9は、小束金庫10の上部に配置され、入金時にエレベータ部7から受渡された小束Tを、上下一対の把持爪で把持して小束金庫10の並び方向に沿って搬送し、当該小束Tを収納する小束金庫10上に停止させると共に、出金時に出金すべき小束Tを収納した小束金庫10から排出された小束Tを把持爪で把持して小束シュート口12へ搬送する機能を有している。
【0021】
14はプッシャ部であり、把持搬送部9に並設されて小束金庫10の並び方向に沿って移動可能に構成されており、入金時に把持搬送部9が停止させた小束Tを小束金庫10内に押込んで収納すると共に、出金時に小束金庫10に収納された最上位の小束Tを押圧しながら小束金庫10から外部に排出させ、その小束Tを把持搬送部9へ引渡す機能を有している。
【0022】
本実施例の各小束金庫10は、図3、図4に示すように、上部が開放された筐体であって、その開口部が小束Tを収納または排出するときの入出口16として機能する。
【0023】
18はステージであり、小束Tを厚さ方向に積層する板状部材であって、ステージ18を入出口16の方向に付勢する圧縮コイルスプリング等のバネ部材19が設けられており、このバネ部材19の付勢力によってステージ18が小束Tの自重およびプッシャ部14による押圧力に応じて昇降する。
【0024】
21a、21bはガイド板であり、小束Tの短手方向の両端を、ステージ18の昇降方向に沿ってガイドする板状部材であって、ステージ18上に積層された小束Tの短手方向の両側に対向配置されており、小束Tの収納時に、当該小束Tをステージ18上へ導くと共に、小束Tの収納時(入金時)および出金時の未施封小束検出処理(詳細は後述する。)のときに、入出口16の近傍を昇降する小束Tが計数センサ24に引っ掛からないように保護する機能を有している。
【0025】
22はストッパであり、小束金庫10の入出口16で、図3に2点鎖線で示す小束T上の4箇所に配置され、常時は、図示しないトーションスプリングによってステージ18上に積層された最上位の小束Tの上面と平行な位置(図4に示す位置、原位置という。)に停止して、ステージ18との間で積層された小束Tを保持しており、その先端は、回転支点22aを中心にステージ18側に回動してガイド板21a、21bの内部に収容され、ガイド板21a、21b間の収納空間から退避するように構成されている(ストッパ22が対比した位置を退避位置という。)。
【0026】
紙帯検出センサとしての計数センサ24は、ガイド板21aの内部に配置された、ステージ18に積層された小束Tの紙帯Sを検出するセンサであって、反射型の光学式センサである3つのセンサA、B、Cが、ガイド板21aに、ステージ18の昇降方向に沿って設けられたスリット25を挟んで小束Tを施封した紙帯Sと対向する位置に小束Tの長手方向に沿って設けられており、スリット25を通過させて照射した光の紙帯S等からの反射光を受光し、その反射光量により紙帯Sを検出する機能を有している。
【0027】
また、センサA、B、Cは、図5に示すように、少なくとも一つのセンサが紙帯Sの部分を移動するように配置されている。
【0028】
27はセンサ駆動部であり、計数センサ24をガイドレール28に沿って昇降させる歯付ベルト29や、歯付ベルト29を駆動するモータ30、モータ30の回転量を計測するロータリ式のエンコーダ31等が設けられており、計数センサを、図4、図5に示す下端位置から入出口16の小束金庫10内に設定された上端位置までの間を、ステージ18上に積層された小束Tの紙帯2に沿って昇降させる機能を有している。
【0029】
本実施例の計数センサ24の下端位置は、計数センサ24の各センサA、B、Cの光軸が、各小束金庫10に設定された最大束数の小束Tがステージ18上に積層されたときのステージ18の下面より下方を通過するように設定され、計数センサ24の上端位置は、その光軸が、小束Tの収納時にストッパ22の上面に載置された収納時の小束Tの下面の下方で、ストッパ22とステージ18との間に保持された小束Tの最上位の小束Tの上面の上方を、つまりストッパ22の下面が、ステージ18上に積層された最上位の小束の上面と平行になっている原位置にあるときのストッパ22の厚さの範囲内を通過するように設定されている(図4参照)。
【0030】
上記の施封小束支払機1の記憶部3には、施封部5で形成された小束Tを小束金庫10へ収納する入金処理や、小束金庫10から排出された小束Tを小束シュート口12へ搬送して払出す出金処理、各小束金庫10に収納されている小束Tの束数を計数する計数処理、小束金庫10への収納時に、把持搬送部9により搬送された施封されていない未施封小束を検出すると共に小束金庫10からの排出時に小束金庫10内で紙帯Sが外れた等の未施封小束を検出する未施封小束検出処理等を実行する機能を有する業務実行プログラムが予め格納されており、制御部2が実行する業務実行プログラムのステップにより本実施例の施封小束支払機1の各機能手段が形成される。
【0031】
また、記憶部3には、各小束金庫10の設定された収納する小束Tの金種設定、計数センサ24のセンサA、B、Cからの反射光量の出力値を紙帯Sからの反射光量と判定するための判定閾値(図6等の1点鎖線参照)が予め設定されて格納されている。
【0032】
上記の構成の作用について説明する。
【0033】
金融機関の店舗の係員が、始業時等に現金処理装置へ電源を投入して施封小束支払機1へ電力を供給すると、施封小束支払機1の記憶部3に格納されている業務実行プログラムが自動的に起動される。
【0034】
業務実行プログラムが起動すると、施封小束支払機1の制御部2は、現金処理装置からの処理指令を待つ指令待ち状態での待機を開始する。このとき、計数センサ24は図4、図5に示す下端位置に停止している。
【0035】
以下に、本実施例の精査時における小束Tの計数処理について説明する。
【0036】
係員が、複数の小束Tをその小束Tの金種が設定された小束金庫10に装填して、その金種および装填数を現金処理装置の図示しない入力部によって入力すると、現金処理装置は入力された金種を添付した計数処理指令を施封小束支払機1の制御部2へ送信する。
【0037】
計数処理指令を受信した制御部2は、計数処理指令に添付された小束Tの金種を基に、記憶部3の金種設定を参照して指定された小束金庫10を特定すると共に、当該小束金庫10のステージ18上に積層状態で収納されている小束Tの計数処理を実行するために、特定した小束金庫10のセンサ駆動部27のモータ30を回転させて、計数センサ24を下端位置から上端位置に向けて上昇させる。
【0038】
この計数センサ24の上昇の過程で、計数センサ24の各センサA、B、Cの光軸が計数開始位置に達すると、例えば、図5に示すようにセンサA、Bが紙帯Sの検出位置にあり、センサCが紙帯Sから外れている場合は、図6に示すように、モータ30の回転に連動して回転するエンコーダ31からは周期的な矩形波が出力され、センサA、Bからは判定閾値を超える反射光量の波形が出力され、センサCからは判定閾値に満たない反射光量の波形が出力される。これは、紙帯3の反射率が小束Tを構成する紙幣の側面の反射率より高いためである。
【0039】
また、図5に示すように、各センサA、B、Cの光軸が積層された小束Tの紙帯S間の隙間の側方を通過するときは、図6に示すように、その出力が一旦判定閾値に満たないレベルに低下する。
【0040】
そして、制御部2は、計数センサ24の光軸が上端位置に達すると、判定閾値を超える反射光量の波形を出力した一つのセンサ、例えばセンサAの計数開始位置から上端位置までの間の波形によって特定した小束金庫10の収納されている小束Tの束数を計数し、その束数を添付した計数終了通知を現金処理装置へ送信し、計数センサ24を下端位置まで下降させて停止させ、計数処理を終了させて現金処理装置からの指令待ち状態で待機する。
【0041】
計数処理通知を受信した現金処理装置は添付された小束Tの束数と、入力された装填数とを比較して一致の場合はその旨を現金処理装置の図示しない表示部に表示し、不一致の場合は、不一致の旨と、計数された小束Tの束数と装填数とを表示部に表示してエラーを報知する。
【0042】
以下に、本実施例の入金処理および入金時の未施封小束検出処理について説明する。
【0043】
所定の結束枚数の紙幣を紙帯Sで施封して小束金庫10に収納するときは、現金処理装置は、その紙幣集積部に結束枚数の紙幣が集積されると、集積した紙幣の金種を添付した入金処理指令を施封小束支払機1の制御部2へ送信する。
【0044】
入金処理指令を受信した制御部2は、現金処理装置の紙幣集積部から所定の結束枚数の紙幣が束のまま搬送され、その紙幣束が施封部5へ受渡されると、紙幣束を紙帯Sで施封して小束Tを形成し、施封した小束Tを小束搬送路6で挟持してエレベータ部7の方向へ搬送し(図2参照)、小束Tがエレベータ部7へ受渡されると、エレベータ部7を下降させて把持搬送部9の位置に停止させる。
【0045】
エレベータ部7を把持搬送部9の位置に停止させた制御部2は、入金処理指令に添付された小束Tの金種を基に、記憶部3の金種設定を参照して搬送先の小束金庫10を特定すると共に、入金時の未施封小束検出処理を実行するために、特定した小束金庫10のセンサ駆動部27のモータ30を回転させて、下端位置に停止している計数センサ24を、その各センサA、B、Cの光軸が上端位置となる位置まで上昇させて停止させる。
【0046】
計数センサ24を上端位置に停止させた制御部2は、把持搬送部9の把持爪を動作させてエレベータ部7内の小束Tを把持して引抜き、その小束Tを把持した把持搬送部9とプッシャ部14とを特定した小束金庫10の方向へ移動させて当該小束金庫10上に停止させ、把持爪を開作動させて搬送した小束Tを、図4に2点鎖線で示す小束Tのように入出口16からストッパ22上に落下させて載置する。このとき、上端位置にある計数センサ24の各センサA、B、C光軸は、原位置にあるストッパ22の厚さの範囲内に位置しており、各センサA、B、Cから照射された光は載置された小束Tの下面の下側であって、ステージ18上に積層された最上位の小束Tの上面の側を通過するので、紙帯Sは検出されない。
【0047】
搬送した小束Tをストッパ22上に載置した制御部2は、プッシャ部14を作動させてストッパ22上に載置した小束Tを押圧し、当該小束Tによりストッパ22をガイド板21a、21b間の収納空間から退避させる方向に回動させながら、バネ部材19の付勢力に抗して小束金庫10内に押込み、当該小束Tが退避位置にあるストッパ22の先端を通過すると、ストッパ22はそのトーションスプリングの付勢力によって逆方向の回動して原位置に停止する。
【0048】
ストッパ22が原位置に停止したことを確認した制御部2は、プッシャ部14を上昇させ、収納した当該小束Tを含むステージ18上に積層された小束Tをバネ部材19によってプッシャ部14とステージ18との間に保持させながら上昇させ、最上位にある当該小束Tの上面をストッパ22に当接させて収納する。
【0049】
この一連の収納動作において、制御部2は、当該小束Tが小束金庫10上に停止したときから当該小束Tの収納終了までの間、上端位置に停止している計数センサ24の各センサA、B、Cからの出力によって当該小束Tの紙帯Sの通過を監視しており、図7に示すように、収納される小束Tの紙帯Sを上記計数処理の場合と同様にして、いずれか一つのセンサ、例えばセンサAの波形によって検出した場合は、収納が正常に終了した旨を添付した収納正常終了通知を現金処理装置へ送信し、計数センサ24を下端位置まで下降させて停止させ、入金処理および入金時の未施封小束検出処理を終了させて現金処理装置からの指令待ち状態で待機する。
【0050】
一方、制御部2は、計数センサ24からの出力の監視中に、センサA、B、Cからの出力波形の全てが、図7に示すセンサCの波形のように判定閾値に満たない場合は、未施封小束が収納されたと判定し、その旨を添付した異常発生通知を現金処理装置へ送信すると共に、施封小束支払機1の各部を現状のままとしてその稼動を停止させる。
【0051】
異常発生通知を受信した現金処理装置は、異常発生の旨を表示部に表示する等して係員に異常の発生を報知し、係員は、収納された当該小束Tの確認および除去を行う。
【0052】
このようにして、本実施例の施封小束支払機1による入金処理および入金時の未施封小束検出処理が実行される。
【0053】
以下に、本実施例の出金処理および出金時の未施封小束検出処理について説明する。
【0054】
小束金庫10に収納されている小束を出金するときは、現金処理装置は、出金する小束Tの金種を添付した出金処理指令を施封小束支払機1の制御部2へ送信する。
【0055】
出金処理指令を受信した制御部2は、出金処理指令に添付された小束Tの金種を基に、記憶部3の金種設定を参照して出金元の小束金庫10を特定すると共に、出金時の未施封小束検出処理を実行するために、上記入金時の未施封小束検出処理と同様にして、特定した小束金庫10の計数センサ24を上端位置まで上昇させて停止させる。このとき、上端位置にある計数センサ24の各センサA、B、C光軸は、ステージ18上に積層された最上位の小束Tの上面の上側を通過するので、紙帯Sは検出されない。
【0056】
計数センサ24を上端位置に停止させた制御部2は、空の把持搬送部9とプッシャ部14とを特定した小束金庫10の方向へ移動させて当該小束金庫10上に停止させ、小束Tの出金を開始するためにプッシャ部14を作動させてストッパ22とステージ18との間に保持された最上位の小束Tを押圧し、バネ部材19の付勢力に抗して最上位の小束Tを小束金庫10内に更に押込んで、当該小束Tをストッパ22の先端がガイド板21a、21b間の収納空間から退避可能な位置まで押下げ、その後に、図示しないストッパ22の駆動機構によりストッパ22を回動させ、ストッパ22を退避位置に停止させて入出口16を開放する。
【0057】
ストッパ22が退避位置に停止したことを確認した制御部2は、プッシャ部14を上昇させ、ステージ18上に積層された全ての小束Tをバネ部材19によってプッシャ部14とステージ18との間に保持させながら、最上位の小束Tを入出口16の外部まで上昇させ、排出した最上位の小束Tをプッシャ部14に保持させた状態で停止させる。
【0058】
最上位の小束Tが入出口16の外部で停止したことを確認した制御部2は、把持搬送部9を作動させて下側の把持爪を最上位の小束Tと2番目の小束Tとの間に挿し込み、一対の把持爪で最上位の小束Tを把持して引抜き、その小束Tを把持した把持搬送部9を小束シュート口12の方向へ移動させて小束シュート口12から小束Tを払出す。
【0059】
また、最上位の小束Tが引抜かれたときに、制御部2は、プッシャ部14を作動させてバネ部材19によって上昇してくる2番目の小束Tを押圧し、当該小束Tをバネ部材19の付勢力に抗して小束金庫10内に押込み、当該2番目の小束Tを退避位置で停止させたストッパ22の先端より下方まで押込んで一旦停止させ、その後にストッパ22の退避位置での停止を解除し、ストッパ22をトーションスプリングの付勢力によって回動させて原位置に停止させる。
【0060】
ストッパ22が原位置に停止したことを確認した制御部2は、プッシャ部14を上昇させ、押込んだ2番目の小束Tを含むステージ18上に積層された小束Tをバネ部材19によってプッシャ部14とステージ18との間に保持させながら上昇させ、最上位にある2番目の小束Tの上面をストッパ22に当接させて再収納し、小束Tの出金が正常に終了した旨を添付した出金正常終了通知を現金処理装置へ送信し、計数センサ24を下端位置まで下降させて停止させ、出金処理および出金時の未施封小束検出処理を終了させて現金処理装置からの指令待ち状態で待機する。
【0061】
この一連の小束Tの排出動作において、制御部2は、プッシャ部14を特定した小束金庫10上に停止させ、プッシャ部14を下降させて最上位の小束Tの出金を開始したときから2番目の小束Tの再収納終了までの間、上端位置に停止している計数センサ24の各センサA、B、Cからの出力によって最上位の小束Tの紙帯Sの通過を監視しており、最上位の小束Tが、小束金庫10内から入出口16の外部まで上昇していく過程で、図8に示すように、出金される小束Tの紙帯Sを上記計数処理の場合と同様にして、いずれか一つのセンサ、例えばセンサAの波形によって検出した場合は、最上位の小束Tの排出が正常に終了したと判定して、上記排出後の作動を継続する。
【0062】
一方、制御部2は、計数センサ24からの出力の監視中に、センサA、B、Cからの出力波形の全てが、図8に示すセンサCの波形のように判定閾値に満たない場合は、未施封小束が排出されたと判定し、その旨を添付した異常発生通知を現金処理装置へ送信すると共に、施封小束支払機1の各部を現状のままとしてその稼動を停止させる。
【0063】
異常発生通知を受信した現金処理装置は、異常発生の旨を表示部に表示する等して係員に異常の発生を報知し、係員は、小束金庫10から排出された当該小束Tの確認および除去を行う。
【0064】
なお、同一金種の小束Tを、特定した小束金庫10から連続して出金する場合は、上記で説明した再収納した2番目の小束T(現状での最上位の小束T)を上記と同様にして排出し、これを繰返して現金処理装置から指示された束数の小束Tを出金する。
【0065】
このようにして、本実施例の施封小束支払機1による出金処理および出金時の未施封小束検出処理が実行される。
【0066】
上記したように、本実施例の入金時の未施封小束検出処理においては、小束Tの収納時(入金時)に、計数センサ24を原位置にあるストッパ22の厚さの範囲に設定された上端位置に停止させ、その計数センサ24によって入出口16から小束金庫10の内部に収納される小束Tの紙帯Sの通過を監視し、当該小束Tの紙帯Sを検出しないときに、施封されていない未施封小束の小束金庫10への収納を判定して係員に報知するので、入金時に施封されていない小束Tの小束金庫10への収納を防止することができ、出金時における出金不具合を未然に防止することができる。
【0067】
また、小束Tの出金時に、計数センサ24を上端位置に停止させ、その計数センサ24によって入出口16から小束金庫10の外部に排出される小束Tの紙帯Sの通過を監視し、当該小束Tの紙帯Sを検出しないときに、施封されていない未施封小束の小束金庫10からの排出を判定して係員に報知するので、正常な小束Tの小束金庫10への収納後に、紙帯Sが外れてしまった場合等においても、施封されていない未施封小束の出金を防止することができ、出金時における出金不具合を防止することができる。
【0068】
なお、本実施例では、小束Tの紙帯Sの検出を昇降可能に構成された計数センサ24を上端位置に停止させて入出口16を通過する小束Tの紙帯Sの有無を検出するとして説明したが、計数センサ24と同様に構成された別のセンサを紙帯検出センサとして上端位置に固定的に配置するようにしてもよい。この場合に別に設置する紙帯検出センサは、ガイド板21aに対向するガイド板21bに透光穴を設けてガイド板21b内に配置するとよい。
【0069】
以上説明したように、本実施例では、所定の結束枚数の紙幣を紙帯により施封した小束Tをステージ上に積層して収納する小束金庫に、小束Tの紙帯Sを、紙帯Sからの反射光量によって検出する紙帯検出センサを設けると共に、紙帯検出センサを小束金庫の入出口に設定した上端位置に配置し、紙帯検出センサによって入出口を通過する小束Tの紙帯Sの有無を監視するようにしたことによって、入金時に施封されていない小束Tの小束金庫への収納を防止することができ、出金時における出金不具合を未然に防止することができる。
【0070】
なお、上記実施例においては、小束金庫の入出口の上端位置に配置した紙帯検出センサによって入出口を通過する小束Tの紙帯Sの有無を監視するとして説明したが、上端位置を小束Tの長手方向に移動する紙帯検出センサを設け、入出口を通過する小束Tを検出したときに、その小束Tを紙帯検出センサの光軸上で一旦停止させ、停止した小束Tの長手方向に紙帯検出センサを移動させて紙帯Sの有無を確認するようにしてもよい。このようにしても上記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 施封小束支払機
2 制御部
3 記憶部
5 施封部
6 小束搬送路
7 エレベータ部
8 出金口
9 把持搬送部
10、10a、10b、10c、10d 小束金庫
11 オーバフロー庫
12 小束シュート口
14 プッシャ部
16 入出口
18 ステージ
19 バネ部材
21a、21b ガイド板
22 ストッパ
22a 回転支点
24 計数センサ
25 スリット
27 センサ駆動部
28 ガイドレール
29 歯付ベルト
30 モータ
31 エンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の結束枚数の紙幣を紙帯により施封した小束をステージ上に積層して収納する小束金庫を有し、収納した小束を前記小束金庫の入出口から外部に排出して出金する施封小束管理装置において、
前記小束の紙帯を、前記紙帯からの反射光量によって検出する紙帯検出センサを設けると共に、前記紙帯検出センサを前記小束金庫の入出口に設定した上端位置に配置し、
前記紙帯検出センサによって、前記入出口を通過する小束の紙帯の有無を監視することを特徴とする施封小束管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の施封小束管理装置において、
前記紙帯検出センサを、前記小束金庫に積層された小束の紙帯に沿って昇降可能に構成し、
前記小束の収納時に、前記紙帯検出センサを前記上端位置まで上昇させて停止させることを特徴とする施封小束管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の施封小束管理装置において、
前記小束の排出時に、前記紙帯検出センサを前記上端位置まで上昇させて停止させることを特徴とする施封小束管理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の施封小束管理装置において、
前記紙帯検出センサの前記ステージ側に、ステージ上の小束を導くガイド板を設け、
前記ガイド板を挟んだ前記ステージの反対側に、前記紙帯検出センサを配置したことを特徴とする施封小束管理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の施封小束管理装置において、
前記入出口に、前記ステージとの間で積層された小束を保持するストッパを設け、
前記上端位置を、前記ストッパの下面が、前記ステージ上に積層された最上位の小束の上面と平行になっているときに、前記ストッパの厚さの範囲内に設定したことを特徴とする施封小束管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−248449(P2011−248449A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118402(P2010−118402)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】