説明

既存杭の鉛直載荷試験方法

【課題】 建物の建て替えに際し、既存建物に使用された既存杭を、新築建物の杭として再利用できるかどうか、同杭の支持性能を確認するために実施する既存杭の鉛直載荷試験方法を提供する。
【解決手段】 試験対象の既存杭と既存建物の基礎躯体との縁を切る。既存杭の上方に、試験荷重の反力を既存建物から得ることが可能な構成でコンクリート反力体を構築する。既存杭の上端部にジャッキを設置し、ジャッキとコンクリート反力体とを繋ぎ、ジャッキにより既存杭に試験荷重を加えて支持性能を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の建て替えに際し、既存建物に使用された既存杭を、新築建物の杭として再利用できるかどうか、同杭の支持性能を確認するために実施する既存杭の鉛直載荷試験方法(以下、単に載荷試験方法という場合がある。)の技術分野に属し、更に云うと、既存建物に反力を得て載荷試験を実施する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の建て替えに際し、既存建物に使用された既存杭を新築建物の杭として再利用して、工期の短縮やコストの削減等が図られている。この際、既存杭に載荷試験を実施し、同既存杭の支持性能を確認して、利用価値のある既存杭を再利用するが、解体前の既存建物を有効的に活用して、すなわち既存建物に反力を得て載荷試験を実施する技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1の載荷試験方法は、既存建物における試験対象の既存杭の頭部を所定の高さで切断して基礎スラブと縁を切り、該縁を切った基礎スラブと上記既存杭の間にジャッキを設置し、前記基礎スラブに反力を得て載荷試験を実施している。
【特許文献1】特開平11−264247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の載荷試験方法は、既存建物の基礎スラブに反力を得て載荷試験を実施しているので、既存杭に大きな試験荷重を加えることができない。
【0005】
また、既存杭と基礎スラブとの間にジャッキを設置するスペースを確保するために、前記基礎スラブの下方の地盤を掘削するが、作業スペースの周囲に山留め壁等を構築する必要がある。また、掘削時に発生する掘削土の搬出や、載荷試験に用いるジャッキ等の試験装置を地下の作業スペースに搬入するのが大変で施工性が悪く、コストが嵩むなどの問題点を有する。
【0006】
しかも、地下水位が高いと、試験装置が地下水に浸かってしまい、実施が困難になる問題点を有する。
【0007】
本発明の目的は、既存杭の上方に位置する既存建物に剛強なコンクリート反力体を構築し、同コンクリート反力体に反力を得て、基礎躯体と縁を切った既存杭に載荷試験を実施することで、前記既存建物に反力を得て既存杭に大きな試験荷重を加えることができる、既存杭の鉛直載荷試験方法を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、既存建物の基礎躯体の上方で載荷試験を実施でき、施工性が良く、コストの削減にも寄与し、しかも地下水位に影響を受けない、既存杭の鉛直載荷試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る既存杭の鉛直載荷試験方法は、
建物の建て替えに際し、既存建物に使用された既存杭を再利用するための鉛直載荷試験方法であって、
試験対象の既存杭と既存建物の基礎躯体との縁を切る工程と、
前記既存杭の上方に、試験荷重の反力を既存建物から得ることが可能な構成でコンクリート反力体を構築する工程と、
前記既存杭の上端部にジャッキを設置し、同ジャッキと前記コンクリート反力体とを繋ぎ、ジャッキにより既存杭に試験荷重を加えて支持性能を測定する工程と、
から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
試験対象である既存杭の直上の基礎躯体を、前記既存杭の平面形状とほぼ同形にくり貫いて、既存杭と基礎躯体の縁を切ることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
コンクリート反力体は鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨コンクリート造として構築することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
既存建物の柱・梁架構の柱間の前記梁の下方に位置する既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、前記柱・梁架構の柱間を繋ぐ反力壁を上下方向に単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
既存建物の柱・梁架構の柱間の前記梁の下方に位置する既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、前記梁から垂れ下がる反力柱又は反力梁を構築すると共に、同反力柱又は反力梁と一体的構造で、前記柱・梁架構の柱間を繋ぐ反力壁を上下方向に単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
平面的に見て柱・梁架構が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱の下方の位置からずれている既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、架構の柱間長さと略等しい長さの中央反力壁を梁に沿って構築し、更に、前記中央反力壁の両側に四隅部の柱間を繋ぐ外側反力壁をそれぞれ構築し、前記中央反力壁と外側反力壁とを一体化して反力壁ユニットとなし、同反力壁ユニットは上下方向に単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
平面的に見て柱・梁架構が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱の下方の位置からずれている既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、四隅部の柱間を対角線方向に繋ぐ反力壁をそれぞれ構築し、これらを一体化して反力壁ユニットとなし、同反力壁ユニットを単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
平面的に見て柱・梁架構が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱の下方の位置からずれている既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の直上の上階床下面又は上面若しくは双方の面に前記四隅部の4本の柱で囲まれた領域に反力スラブを構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項4〜8のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
反力壁又は反力壁ユニット若しくは反力柱は既存建物から所定の試験荷重の反力をとることが可能な高さまで、上下方向に単層又は複数層連続するように構築することを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項1又は請求項3〜8のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
周辺の架構にも反力壁を構築し、コンクリート反力体の一部とすることを特徴とする。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項1又は請求項3〜8のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
周辺の架構にブレースを構築し、コンクリート反力体を補強することを特徴とする。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項1又は請求項3〜8若しくは請求項10、11のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法において、
コンクリート反力体は新築建物の本設躯体として利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る既存杭の鉛直載荷試験方法は、既存杭の上方に位置する既存建物に剛強なコンクリート反力体を構築し、同コンクリート反力体に反力を得て、基礎躯体と縁を切った既存杭に載荷試験を実施するので、前記既存建物に反力を得て既存杭に大きな試験荷重を加えることができる。
【0022】
既存建物の基礎躯体の上方で載荷試験を実施できるので、地盤を掘削する必要が無く、山留め壁等の構築やその他の付随作業を一切省略できる。また、掘削土が発生し搬出する必要がないし、載荷試験に用いるジャッキ等の試験装置の搬入、搬出が容易なので、施工性が良く、コストの削減にも寄与できる。しかも、地下水位に影響を受けない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
試験対象の既存杭と既存建物の基礎躯体との縁を切る。前記既存杭の上方に、試験荷重の反力を既存建物から得ることが可能な構成でコンクリート反力体を構築する。前記既存杭の上端部にジャッキを設置し、同ジャッキと前記コンクリート反力体とを繋ぎ、ジャッキにより既存杭に試験荷重を加えて支持性能を測定する。
【実施例1】
【0024】
請求項1〜4及び請求項9並びに請求項12に記載した発明に係る既存杭の鉛直載荷試験方法の実施例を、図1〜図4に基づいて説明する。本発明の載荷試験方法は、建物の建て替えに際し、既存建物1に使用された既存杭2を再利用できるかどうか、同既存杭2の支持性能を確認するために実施される。
【0025】
先ず、既存建物1の複数本の既存杭2…の中から、柱・梁架構(以下、単に架構と省略する。)3aの左右の柱4と4の間の前記梁5の下方に位置する試験対象の既存杭(以下、試験杭と省略する。)2aを選択する(図4を参照)。そして、図1に示すように試験杭2aの直上部位の基礎躯体6を、上方からコアリング等の手段で前記試験杭2aの平面形状とほぼ同形にくり貫いて、試験杭2aと基礎躯体6との縁を切る(請求項2記載の発明)。
【0026】
次に、図2に示すように、前記試験杭2aの上方に試験荷重の反力を既存建物1から得ることが可能な構成でコンクリート反力体7を構築する。具体的には、試験杭2aの上方に位置する複数層(但し、単層でも良い。)の架構3a、3b、…の面内に、所定の大きさの反力を発現させるべく、剛強な鉄筋コンクリート造の反力壁8を上下方向に連続するように構築する(請求項9記載の発明)。本実施例では、試験杭2aの直上の梁5を挟んで、下側の架構3aに、同架構3aの左右の柱4と4の間を繋ぐ反力壁8を、後に試験杭2aの上端部にジャッキ9を設置できるスペース(高さ)を残して、上記梁5から垂れ下げて構築する。更に、上側の架構3bにも、同架構3bの左右の柱4と4の間を繋ぐ反力壁8を、前記梁5から立ち上げて構築する。その結果、既存建物1の柱4と梁5と反力壁8とが一体化されてコンクリート反力体7となり、既存建物1に反力を得て試験杭2aに大きな試験荷重を加えることができる構成となる(請求項3及び4記載の発明)。しかも、具体的な図示は省略するが、前記コンクリート反力体7は、架構3a、3bの面内に鉄筋を配置し、型枠を組み上げ、コンクリートを打設するだけで形成することができ、特別に大型の部材(例えば反力桁など)を搬入し組み立てる必要がなく、施工性が良い。また、コンクリート反力体7を構築する際に、既存建物の什器、設備機器などによるスペースの制約を受けることが殆どないので適用範囲が広い。
【0027】
最後に、図3に示すように、試験杭2aの上端部(即ち、試験杭2aと剛結状態でくり貫かれた基礎躯体6の上端部)にジャッキ9を設置し、同ジャッキ9の上端部と、コンクリート反力体7を構成する下位反力壁8の下端部とを繋ぎ、ジャッキ9により試験荷重を加えて支持性能を測定する。既存建物1の基礎躯体6の上方で載荷試験を実施できるので、地盤を掘削する必要が無く、山留め壁等の構築やその他の付随作業を一切省略できる。また、掘削土が発生し搬出する必要がないし、載荷試験に用いるジャッキ等の試験装置の搬入、搬出が容易なので、施工性が良く、コストの削減にも寄与できる。しかも、地下水位に影響を殆ど受けない。
【0028】
その後、既存建物1を解体し、上記のように載荷試験を実施し支持性能を確認した既存杭2を、新築建物の杭として再利用するが、このとき、コンクリート反力体7を解体することなく、新築建物の本設躯体として利用すると経済的である(請求項12記載の発明)。
【実施例2】
【0029】
上記実施例1は、既存建物1の架構3a(3b)を利用してコンクリート反力体7を構築しているが、図5に示すように基礎躯体6のピット部分6aを利用してコンクリート反力体7を構築しても良い。この場合は、先ず試験杭2aの上端部とフーチング6bとの縁を切る。そして、基礎躯体6のピット部分6aから上方に連続するように反力壁8を、所定の試験荷重の反力を得ることが可能な高さまで構築する。最後に、試験杭2aの上端部にジャッキ9を設置し、同ジャッキ9と下位反力壁8とを繋ぎ、ジャッキ9により試験杭2aに試験荷重を加えて支持性能を測定する。
【実施例3】
【0030】
上記実施例1及び実施例2は、図示の通り比較的柱4近傍にある既存杭2を試験杭2aとして選択しているが、図6及び図7に示すように、架構3aの左右の柱4と4の間の略中央に位置する既存杭2を試験杭2aとして選択しても、略同様に実施できる。なお、図6に示す実施例は、図5と同様に、基礎躯体6のピット部分6aを利用してコンクリート反力体7を構成している。
【実施例4】
【0031】
上記実施例1〜実施例3は、コンクリート反力体7の下端部分を反力壁8で構成しているが、図8及び図9に示すように、試験杭2aの直上の梁5から垂れ下がる鉄筋コンクリート造の反力柱10(図示を省略するが、反力梁でも良い。)を構築し、コンクリート反力体7の下端部分を構成しても良い(請求項5記載の発明)。
なお、本実施例ではコンクリート反力体7の下端部分のみを反力柱10又は反力梁で構成しているが、上下方向に単層又は複数層連続するように反力柱10又は反力梁(結果として反力壁となる。)を構築しても良い(請求項9記載の発明)。
【実施例5】
【0032】
上記実施例1〜実施例4は、既存建物1の架構3aの左右の柱4と4の間において、梁5の下方に位置する既存杭2を試験杭2aとして選択しているが、この限りでない。平面的に見て架構3a(3b)が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱4の下方の位置からずれている既存杭2を試験杭2aとして選択しても良い。ちなみに、本実施例では、図10及び図11に示すように、平面的に見て架構3a(3b)が矩形状に配置されており、その四隅部の4本の柱4…を繋ぐ対角線AとBの交点C下方に位置する既存杭2を試験杭2aとして選択している。
【0033】
その場合のコンクリート反力体7は、試験杭2aの上方に、架構3a(3b)の左右の柱4と4の間の長さと略等しい長さの鉄筋コンクリート造の中央反力壁11を梁5に沿って(梁5と略同一平面上に)構築する。更に、前記中央反力壁11の両側に四隅部の柱4と4の間を繋ぐ外側反力壁12、12をそれぞれ構築し、前記中央反力壁11と外側反力壁12、12とを一体化して反力壁ユニット13とする。この反力壁ユニット13を、上下方向に単層又は複数層連続するように構築し、試験荷重の反力を既存建物1から得る構成とする(請求項6又は請求項9記載の発明)。
【実施例6】
【0034】
また、平面的に見て架構3a(3b)が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱4の下方の位置からずれている試験杭2aを載荷試験する場合のコンクリート反力体7は、図12に示すように、試験杭2aの上方に、対角線A方向に隣接する柱4と4の間を繋ぐ鉄筋コンクリート造の反力壁14を構築し、更に対角線B方向に隣接する柱4と4の間を繋ぐ鉄筋コンクリート造の反力壁15を構築し、これらを一体化して反力壁ユニット16とする。この反力壁ユニット16を、上下方向に単層又は複数層連続するように構築し、試験荷重の反力を既存建物1から得る構成としても良い(請求項7又は請求項9記載の発明)。
ちなみに、本実施例も、平面的に見て架構3a(3b)が矩形状に配置されており、その四隅部の4本の柱4…を繋ぐ対角線AとBの交点C下方に位置する既存杭2を試験杭2aとして選択している。
【実施例7】
【0035】
更に、平面的に見て架構3a(3b)が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱4の下方の位置からずれている試験杭2aを載荷試験する場合のコンクリート反力体7は、図13及び図14に示すように、試験杭2aの直上の上階床17下面に前記四隅部の4本の柱4…で囲まれた領域に下側の反力スラブ18を構築する。更に前記上階床17上面に同じく四隅部の4本の柱4…で囲まれた領域に上側の反力スラブ19を構築して、試験荷重の反力を既存建物1から得る構成としても良い(請求項8記載の発明)。
なお、試験荷重の大きさを考慮して、下側の反力スラブ18又は上側の反力スラブ19のみを構築して反力を得ても良く、または上下方向に単層又は複数層連続するように反力スラブ(結果としてブロック状の反力壁となる。)を構築しても良い(請求項9記載の発明)。
【実施例8】
【0036】
上記実施例1〜7のコンクリート反力体7は上下方向に並ぶ架構3a、3bに反力壁8などを構築し構成しているが、図15に示すように、前記上下方向に並ぶ架構3a、3bの他に周辺の架構3a、3bにも反力壁20を構築し構成しても良い(請求項10記載の発明)。ちなみに、図16に示すように、基礎躯体6の基礎スラブ6cを残して撤去することで反力壁8の高さを稼ぎ、大きな反力を確保できる構成とすると、上側の架構3b…の反力壁8、20を省略することができる場合がある。
【0037】
また、図17及び図18に示すように、周辺の架構3b(3aでも可能)にブレース21を構築し、コンクリート反力体7を補強した構成としても良い(請求項11記載の発明)。
【実施例9】
【0038】
上記実施例1〜実施例8のコンクリート反力体7は鉄筋コンクリート造としているが、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄骨コンクリート造としても良い(請求項3記載の発明)。
【実施例10】
【0039】
なお、以上に本発明の実施例を説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1の既存杭の鉛直載荷試験方法の手順を概念的に示した立面図である。
【図2】実施例1の既存杭の鉛直載荷試験方法の手順を概念的に示した立面図である。
【図3】実施例1の既存杭の鉛直載荷試験方法の手順を概念的に示した立面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】実施例2の既存杭の鉛直載荷試験方法で載荷試験を実施する直前の状態を概念的に示した立面図である。
【図6】実施例3の既存杭の鉛直載荷試験方法で載荷試験を実施する直前の状態を概念的に示した立面図である。
【図7】図6のB−B矢視断面図である。
【図8】実施例4の既存杭の鉛直載荷試験方法で載荷試験を実施する直前の状態を概念的に示した立面図である。
【図9】図8のC−C矢視断面図である。
【図10】実施例5の既存杭の鉛直載荷試験方法で載荷試験を実施する直前の状態を概念的に示した立面図である。
【図11】図10のD−D矢視断面図である。
【図12】実施例6の既存杭の鉛直載荷試験方法におけるコンクリート反力体の形状を示した横断面図である。
【図13】実施例7の既存杭の鉛直載荷試験方法で載荷試験を実施する直前の状態を概念的に示した立面図である。
【図14】図13のE−E矢視断面図である。
【図15】実施例8の既存杭の鉛直載荷試験方法で載荷試験を実施する直前の状態を概念的に示した立面図である。
【図16】図15の異なる形態を示した立面図である。
【図17】図15の更に異なる形態を示した立面図である。
【図18】図15の更に異なる形態を示した立面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 既存建物
2 既存杭
2a 試験対象の既存杭(試験杭)
3a、3b 架構
4 柱
5 梁
6 基礎躯体
7 コンクリート反力体
8 反力壁
9 ジャッキ
10 反力柱
11 中央反力壁
12 外側反力壁
13 反力壁ユニット
14、15 反力壁
16 反力壁ユニット
17 上階床
18 下側の反力スラブ
19 上側の反力スラブ
20 反力壁
21 ブレース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の建て替えに際し、既存建物に使用された既存杭を再利用するための鉛直載荷試験方法であって、
試験対象の既存杭と既存建物の基礎躯体との縁を切る工程と、
前記既存杭の上方に、試験荷重の反力を既存建物から得ることが可能な構成でコンクリート反力体を構築する工程と、
前記既存杭の上端部にジャッキを設置し、同ジャッキと前記コンクリート反力体とを繋ぎ、ジャッキにより既存杭に試験荷重を加えて支持性能を測定する工程と、
から成ることを特徴とする、既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項2】
試験対象である既存杭の直上の基礎躯体を、前記既存杭の平面形状とほぼ同形にくり貫いて、既存杭と基礎躯体の縁を切ることを特徴とする、請求項1に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項3】
コンクリート反力体は鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造若しくは鉄骨コンクリート造として構築することを特徴とする、請求項1に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項4】
既存建物の柱・梁架構の柱間の前記梁の下方に位置する既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、前記柱・梁架構の柱間を繋ぐ反力壁を上下方向に単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項5】
既存建物の柱・梁架構の柱間の前記梁の下方に位置する既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、前記梁から垂れ下がる反力柱又は反力梁を構築すると共に、同反力柱又は反力梁と一体的構造で、前記柱・梁架構の柱間を繋ぐ反力壁を上下方向に単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項6】
平面的に見て柱・梁架構が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱の下方の位置からずれている既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、架構の柱間長さと略等しい長さの中央反力壁を梁に沿って構築し、更に、前記中央反力壁の両側に四隅部の柱間を繋ぐ外側反力壁をそれぞれ構築し、前記中央反力壁と外側反力壁とを一体化して反力壁ユニットとなし、同反力壁ユニットは上下方向に単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項7】
平面的に見て柱・梁架構が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱の下方の位置からずれている既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の上方に、四隅部の柱間を対角線方向に繋ぐ反力壁をそれぞれ構築し、これらを一体化して反力壁ユニットとなし、同反力壁ユニットを単層又は複数層連続するように構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項8】
平面的に見て柱・梁架構が矩形状又は台形状若しくは偏平形状に配置されており、その四隅部の柱の下方の位置からずれている既存杭を載荷試験する場合のコンクリート反力体は、前記既存杭の直上の上階床下面又は上面若しくは双方の面に前記四隅部の4本の柱で囲まれた領域に反力スラブを構築して、試験荷重の反力を既存建物から得ることを特徴とする、請求項1又は3に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項9】
反力壁又は反力壁ユニット若しくは反力柱は既存建物から所定の試験荷重の反力をとることが可能な高さまで、上下方向に単層又は複数層連続するように構築することを特徴とする、請求項4〜8のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項10】
周辺の架構にも反力壁を構築し、コンクリート反力体の一部とすることを特徴とする、請求項1又は請求項3〜8のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項11】
周辺の架構にブレースを構築し、コンクリート反力体を補強することを特徴とする、請求項1又は請求項3〜8のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。
【請求項12】
コンクリート反力体は新築建物の本設躯体として利用することを特徴とする、請求項1又は請求項3〜8若しくは請求項10、11のいずれか一に記載した既存杭の鉛直載荷試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−52553(P2006−52553A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233771(P2004−233771)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)