説明

既設建物直下地盤の液状化防止工法

【課題】既設建物の直下地盤が砂質地盤等のいわゆる液状化層を包含しており、地震時等に液状化する可能性がある場合に、地盤の液状化を未然に防止するために施工する液状化防止工法を提供する。
【解決手段】既設建物1の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4へ届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成する。更に外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見て三角形状で外周ソイルセメント囲い壁2と同方向に連続し、外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた連続型傾斜壁5を、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設建物の直下地盤が砂質地盤等のいわゆる液状化層を包含しており、地震時等に液状化する可能性がある場合に、同地盤の液状化を未然に防止するために施工する液状化防止工法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、既設建物の直下地盤(基礎地盤)が地震等により液状化する可能性のある液状化層を包含する場合に、同地盤の液状化を未然に防止する対策工法として、図12に示すように、既設建物1の直下の基礎地盤3中に囲い壁2を造成して液状化層を拘束することにより、地震時に発生する地盤の剪断変形を抑止し、もって液状化の発生を未然に防止する対策工法が開発され、例えば下記の特許文献1〜3などの発明として知られ、実施もされている。
もっとも、下記の特許文献1、2の発明は、新築建物の基礎工事として予め事前に施工する対策工法の例である。一方、特許文献3の発明は、既設建物の直下地盤に対して、事後的に施工する液状化防止工法の一例である。
【0003】
【特許文献1】特公平4−54004号公報
【特許文献2】特許第3903313号公報(特開2004−92048号)
【特許文献3】特開平10−18308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1〜3のように、建物直下の基礎地盤中に囲い壁2を造成して取り囲み、内部の基礎地盤を拘束することで、地震時に生ずる地盤の剪断変形を抑止し、液状化の発生を未然に防止する対策工法の有効性は既に知られ、実施により確認もされているが、具体的には囲い壁2で取り囲む平面形状の大きさ(面積)が10m×10m四方よりも小さい場合に液状化防止効果があることが、例えば上記特許文献1の発明の実施化のための研究で明らかにされているにすぎない。
【0005】
その研究とは、図1A、Bに示す振動試験装置によるものである。即ち、振動台10の上に地盤の性状を阻害しない構成の外囲い12の中に深さ9.5mの砂地盤11を形成した。この砂地盤11の中に、平面形状が縦5m、横43mの矩形状をなす垂直な囲い壁20を造成すると共に、左端から右方へ21.75mの位置に第1の仕切り壁21を設け、前記第1の仕切り壁21から更に右方へ12mの位置に第2の仕切り壁22を設けて大小三つの囲い壁を構成している。そして、前記大小の囲い壁に囲まれた地盤における各中央部位と、および囲い壁の外側地盤の測点P1にそれぞれ加速度計■と水圧計▲を夫々設置した。そして、振動台10に、図2に示すような振動を加えて振動試験を行った。なお、加速度計■は地盤の表層部にのみ設置し、水圧計▲は各測点における地盤中の深度2mと5mおよび8mの位置に設置した。
【0006】
上記の振動試験の結果の代表例を、図1Cに、深度5mの水圧計▲の測定値として示した。図1C中の特性q1は、囲い壁20より外側地盤の測点P1に設置した水圧計の測定値を示す。特性q2は左方の大きな囲い壁(21.75m×5m)に囲まれた地盤の測点P2に設置した水圧計の測定値を示す。特性q3は中央の囲い壁(12m×5m)に囲まれた地盤の測点P3に設置した水圧計の測定値を示す。特性q4は右方の最も小さい囲い壁(5.25m×5m)に囲まれた地盤の測点P4に設置した水圧計の測定値をそれぞれ示している。
図1Cに示した試験結果から明らかな事実は、囲い壁20の外側地盤の測点P1の特性q1に液状化の兆候が認められることは当然であるが、左方の最も大きな囲い壁(21.75m×5m)に囲まれた地盤の測点P2の特性q2にも液状化の兆候が認められた。しかし、中央の囲い壁(12m×5m)に囲まれたの地盤の測点P3、および右方の最も小さい囲い壁(5.25m×5m)に囲まれた地盤の測点P4の特性q4には液状化の兆候は認め得ないということである。つまり、囲い壁20で取り囲む平面形状の大きさ(面積)が10m×10m四方よりも小さい場合に液状化防止効果があることは、この実験で実証されたことになる。
【0007】
そこで本発明者らは、念のため図3A、Bの試験装置についても振動試験を行った。この試験装置の基本的構造は上記図1に示すものとほぼ共通する。但し、図3Aで明かなように、平面的に見た規模として、横が28m、縦が19m四方の大きな囲い壁20を閉鎖形状に形成している点が特徴である。つまり、図1A、Bの試験装置に比して、縦寸法が4倍相当に大きい。地盤の深さは7mである。この振動試験装置の場合にも、振動台10へ図2に示す振動を加えて振動試験を行った。そして、平面的に見た四つの測点No.1〜No.4に加速度計■と水圧計▲を、図3Bに示すように加速度計■は表層にのみ、水圧計▲は深度2mと4mと6mの位置にそれぞれ設置して測定した。この振動試験の結果を、図3Cに示している。
【0008】
図3C中の特性t1は測点No.4の深度4mに設置した水圧計の測定値を示す。特性t2は測点No.3の深度4mに設置した水圧計の測定値を示す。特性t3は測点No.1の深度4mに設置した水圧計の測定値、特性t4は測点No.2の深度4mに設置した水圧計の測定値をそれぞれ示す。
図3Cの試験結果を見ると、囲い壁20の縦横寸法がこのように大きくなると、囲い壁20より外側の測点No.4の特性t1と、内側の各測点No.1〜No.3の特性t1〜t3には大差が無く、それぞれの間隙水圧比はおよそ1.0に近い数値を呈し、この囲い壁20には液状化防止の効果を期待できないことが明らかである。
【0009】
つまり、地盤を囲い壁で取り囲んで内部の基礎地盤を拘束し、地震時に生ずる地盤の剪断変形を抑止し、液状化の発生を未然に防止する対策工も、囲い壁の平面形状の大きさ(面積)が上記した10m×10m四方を超えると、基礎地盤を拘束して液状化層の剪断変形を抑止する効果が薄れ液状化防止の効果を期待できないことが明かである。
しかし、本発明が目的とし、或いは液状化防止の対策工が事後的に必要される既設建物の平面形状の大きさ(面積)は、上記10m×10m四方のように小さいことはむしろ希有の例というべきで、一般的には30m×30m四方の程度に大きいことが普通である。
したがって、上記図1、図3の振動試験の結果に照らすと、既設建物の直下地盤について事後的に施工する液状化防止工法として、図12のように単に大きな囲い壁2を既設建物の外周部分の地盤中に造成するだけでは、とうてい目的を達し得ないといわねばならない。
ついでにいうと、上記特許文献3のように、囲い壁2の外側地盤中に控え壁を造成しても、上記図1Cの特性q1、および上記図3Cの特性t1のとおり、囲い壁が外側地盤について拘束効果を及ぼすものではないから、外側地盤中に控え壁を造成しても、液状化防止効果は何ら望み得ないことも自明のことと言わねばならない。
【0010】
ところで、本発明者らは、更に進んで図4A、Bに示す構成の試験装置による振動試験も行った。この試験装置の構成も、基本的には上記図1及び図3のものと共通する。即ち、囲い壁20の平面形状の大きさ(面積)は、図3の試験装置と同じ28m×19m四方であるが、同囲い壁20の内側に、横辺に沿ってほぼ等間隔に3本、縦辺に沿っても等間隔に2本の控え壁23を、立面方向に見て直角三角形状に形成した構成が特徴である。この試験装置についても、図2のような振動を加えて振動試験を行った。その振動試験の結果を、図4Cに示す。
図4Cによれば、囲い壁20の外側地盤の測点No.4に設置した水圧計の特性T4に液状化の兆候が認められることは予想とおりの結果であるが、囲い壁20内の各測点No.1〜No.3に設置した各水圧計で測定した各特性T1〜T3に関しては、過剰間隙水圧比は最大0.6前後であり、液状化防止の効果が十分大きいことが明解に現れている。
【0011】
上記図4Cの試験結果が示す事実は、要するに、囲い壁20の平面形状の大きさ(面積)が28m×19m四方と大きくなっても、その囲い壁20の内側に、控え壁23を複数形成して補剛し、地震時における囲い壁20の変形を防止すると、液状化防止に優れた効果が得られるということである。
その理由(メカニズム)について考究すると、現状明解ではないが、囲い壁20が控え壁23によって補剛される結果、地震時における囲い壁20の変形が防止され、地盤の拘束効果が高いので、液状化層の剪断変形を抑止する効果が増大し、液状化防止の効果が得られるものと推定される。或いは複数の控え壁23を造成した分だけ囲い壁20によって拘束するべき液状化地盤のボリュームが減り拘束効果が高まること、又は隣接する二つの控え壁23、23(および囲い壁20)に挟まれた液状化層の拘束効果が高まる、等々の理由も考えられる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、平面形状の大きさ(面積)が上記30m×30m四方程度に大きい規模の既設建物の直下地盤(基礎地盤)が、地震時等により液状化する可能性のある砂質地盤等の液状化層を包含する場合でも、事後的な対策として、同地盤の液状化を未然に防止するべく施工して効果のある液状化防止工法を提供することである。
本発明の次の目的は、既設建物外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁を造成し、更にこの外周ソイルセメント囲い壁の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁と構造的に一体化させた連続型傾斜壁を囲い壁と同方向に連続する壁体として造成し、又は立面方向に見て三角形状の控え壁を外周ソイルセメント囲い壁の長手方向に間隔を開けて複数造成し、若しくは外周ソイルセメント囲い壁と構造的に一体化させた独立型の傾斜壁を囲い壁と同方向に連続する壁体として造成すると共に、この独立型傾斜壁と外周ソイルセメント囲い壁の内側面との間に、立面方向に見て三角形状の控え壁を囲い壁の長手方向に間隔を開けて複数造成して組み合わせることにより、既設建物直下地盤の液状化を未然に防止する液状化防止工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る既設建物直下地盤の液状化防止工法は、
既設建物1の直下地盤の液状化防止工法において、
既設建物1の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4へ届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成し、
更に前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見て三角形状で外周ソイルセメント囲い壁2と同方向に連続し、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた連続型傾斜壁5を、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント囲い壁2を補剛させ、且つ液状化層3の剪断変形を抑止させて液状化を防止することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載した発明に係る既設建物直下地盤の液状化防止工法は、
既設建物1の直下地盤の液状化防止工法において、
既設建物1の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4に届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成し、
前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見て三角形状の控え壁6を、前記外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法により、外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させたソイルセメント壁として外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント囲い壁2を補剛させ、且つ液状化層3の剪断変形を抑止させて液状化を防止することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載した発明に係る既設建物直下地盤の液状化防止工法は、
既設建物1の直下地盤の液状化防止工法において、
既設建物1の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4に届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成し、
前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた独立型の傾斜壁7を、外周ソイルセメント囲い壁2と同方向に連続する壁体として、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として一定の傾斜角で、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成し、
更に前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面と前記独立型傾斜壁7との間に、立面方向に見ると三角形状の控え壁6を、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法により、前記外周ソイルセメント囲い壁2及び独立型傾斜壁7と構造的に一体化させたソイルセメント壁として、液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント壁2を補剛させ、且つ液状化層3の剪断変形を抑止させて液状化を防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明による既設建物直下地盤の液状化防止工法は、既設建物1の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4に届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成し、更に前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見て三角形状で、外周ソイルセメント囲い壁2と同方向に連続し、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた連続型傾斜壁5を、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4に届く深さまで造成する方法であるから、既設建物1が存在していても、その直下の基礎地盤3に、事後的な対策工として容易に確実に実施可能である。
その結果、外周ソイルセメント囲い壁2を連続型傾斜壁5で必要十分に補剛して地震時の変形を防止するから、液状化層を拘束する作用が大きく、剪断変形を抑止する作用が十分に働く上に、連続型傾斜壁5の形成した体積分だけ囲い壁2の内側の液状下層3のボリュームを減少させる効果とが相乗するなどして、図4Cに示す振動試験の結果に見るとおり、既設建物直下地盤3の液状化を防止する効果が得られる。
【0017】
請求項2に係る発明による既設建物直下地盤の液状化防止工法は、既設建物1の外周部分の地盤中に、液状化層3を取り囲み拘束する外周ソイルセメント囲い壁2を閉鎖形状に造成し、更に外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見て三角形状(いわゆるバットレス型)の控え壁6を、同外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数、前記外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させて、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4に届く深さまで造成する方法であるから、やはり、既設建物1が存在していても、その直下の基礎地盤3に、事後的な対策工として容易に確実に実施可能である。
そして、既設建物1の直下地盤中に控え壁6を複数造成して外周ソイルセメント囲い壁2を補剛して地震時の変形を防止するから、液状化層3を拘束して剪断変形を抑止する作用が大きく働き、また、隣り合う控え壁6、6同士又は控え壁6と囲い壁2とが液状化層3を挟み拘束する効果、並びに控え壁6としてソイルセメント壁を造成した体積分だけ囲い壁2の内側の液状化層3のボリュームを減少させる効果などが相乗して、図4Cに示す振動試験の結果に見る通り、既設建物直下地盤3の液状化防止に優れた効果が得られる。
【0018】
更に、請求項3に係る発明による既設建物直下地盤の液状化防止工法は、既設建物1の外周地盤中に、状化層3を取り囲み拘束する外周ソイルセメント囲い壁2を閉鎖形状に造成し、前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた独立型の傾斜壁7を、同外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に連続する壁体として、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4に届く深さまで造成し、更に前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面と前記独立型傾斜壁7との間に、立面方向に見て三角形状(いわゆるバットレス型)の控え壁6を、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数、液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4に届く深さまで造成する方法であるから、やはり、既設建物1が存在していても、その直下の基礎地盤3について、事後的な対策工として容易に確実に実施可能である。
そして、既設建物1の直下地盤中に独立型の傾斜壁7と複数の控え壁6との組み合わせを造成して外周ソイルセメント囲い壁2を補剛し地震時の変形を防止するから、液状化層3を拘束し剪断変形を抑止する作用が大きく働き、また、独立型の傾斜壁7および控え壁6をソイルセメント壁として造成した体積分だけ囲い壁2の内側の液状化層3のボリュームを減少させる効果などが相乗して、図4Cに示す振動試験の結果に見るとおり、既設建物直下地盤3の液状化を防止する効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
既設建物1の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4へ届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成する。
更に、前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見ると三角形状で外周ソイルセメント囲い壁2と同方向に連続し、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた連続型傾斜壁5を、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント囲い壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント囲い壁2を補剛させる。
又は上記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見て三角形状の控え壁6を、前記外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法により同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させたソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント囲い壁2を補剛させる。
或いは上記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた独立型の傾斜壁7を、外周ソイルセメント囲い壁2と同方向に連続する壁体として、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として一定の傾斜角で、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成し、
更に前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面と前記独立型傾斜壁7との間に、立面方向に見て三角形状の控え壁6を、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法により、前記外周ソイルセメント囲い壁2及び独立型傾斜壁7と構造的に一体化させたソイルセメント壁として、液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント壁2を補剛させる。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
先ず図5と図6は、請求項1に係る発明の実施例1を示す。
即ち、既設建物1の外周部分の地盤中に、公知の地盤改良施工機を使用した混合処理工法(又は深層混合処理工法を含む。以下同じ。)によるソイルセメント柱列が連続する構造の囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4へ届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成するのと同時に、並行する作業として、前記外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、図6Bに示したように立面方向に見ると三角形状で、外周ソイルセメント囲い壁2と同方向に連続し同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化された連続型傾斜壁5を、傾斜型の地盤改良施工機を使用した混合処理工法によるソイルセメント柱列壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで造成し、前記外周ソイルセメント囲い壁2を補剛させた構造を実施する。
というよりもむしろ、現実的な施工法としては、後で具体的に説明するが、先ず外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に連続型傾斜壁5を先行して造成し、その後続いて最外周の外周ソイルセメント囲い壁2を垂直に施工して一体化させた壁構造を実現することになる。
【0021】
そこで、上記のソイルセメント囲い壁2を造成する位置は、既設建物1の外周部分といっても、敷地境界線との許容範囲を考慮しつつ、後述する地盤改良施工機(傾斜型地盤改良施工機を含む。)を使用した混合処理工法による連続型傾斜壁5の施工に支障がないだけの必要最小限度の間隔Sを既設建物1との間に確保した位置に設定する。因みに、混合処理工法によるソイルセメント壁は、通例外径が1m程度のソイルセメント柱のラップ柱列として連続する壁状に施工される。
そこで図7A〜Cは、上述した外周ソイルセメント囲い壁2およびこれと構造的に一体化させた連続型傾斜壁5の造成を、傾斜型の地盤良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として施工する場合の施工態様の例を概念的に示す。
先ず図7Aは、傾斜型の改良施工機8のリーダーを連続型傾斜壁5の内法面と等しい角度(通例、迎角にして約30度程度)に傾けた姿勢に保持させ、同連続型傾斜壁5の内法面の位置から順次外側の外周ソイルセメント囲い壁2と一体的に繋がる位置まで後退させつつ、各々平行なラップ型柱列として、図7Bに平面図を示すように一列状(又は複数列の場合もある。)に連続する壁状に施工する。この場合、各ソイルセメント柱列における安定材の供給は、それぞれ外周ソイルセメント囲い壁2の位置に到達する深度以下にのみ行う方法で造成する。その後最終的に、外周ソイルセメント囲い壁2の施工位置に地盤改良施工機8のリーダーを垂直に立てた姿勢で外周ソイルセメント囲い壁2を垂直に造成する手順を進める。そして、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に順次傾斜型の改良施工機8の位置を移して前記の手順による施工を繰り返し、ソイルセメント柱列を壁状に連続させることになる。
【0022】
一方、図7Cに示す施工態様は、傾斜型地盤改良施工機8のリーダーを、連続型傾斜壁5の内法面と等しい角度(迎角にして30度程度)に傾けた姿勢から施工を開始し、1本のソイルセメント柱を造成する度に、垂直な外周ソイルセメント囲い壁2を造成する角度まで順次リーダーのみを回転させて施工する例を示す。この場合、傾斜型改良施工機8の設置位置は、前記リーダーの角度の調整で連続型傾斜壁5および垂直な外周ソイルセメント囲い壁2まで連続して施工が可能な定点ないしその近傍位置へ予め固定させて施工する。そして、地盤改良施工機8のリーダーを、先ずは連続型傾斜壁5の内法面と等しい角度に設定して施工を開始し、垂直な外周ソイルセメント囲い壁2を造成するまでリーダーの角度を調節して施工を進め、連続型傾斜壁5および外周ソイルセメント囲い壁2までを同時並行の手順で、ラップ型のソイルセメント柱列を連続させた壁状に造成する。そして、、同様な施工手順を、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に順次傾斜型地盤改良施工機8の位置を移して繰り返すことにより、外周ソイルセメント囲い壁2および連続型傾斜壁5の造成が進められる。
【実施例2】
【0023】
次に、図8A、Bは、請求項2に係る発明の実施例2を示す。
本実施例2も、上記実施例1と同様に、既設建物1の外周部分の地盤中に、地盤改良施工機を使用した混合処理工法によるソイルセメント柱列による囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4へ届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成する。と同時並行の施工として、外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、立面方向に見て三角形状(いわゆるバットレス型)の控え壁6を、図8Bに見るとおり、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数、前記外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させて、上述した傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント柱列壁として、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4に届く深さまで造成して、外周ソイルセメント囲い壁2を補剛させた構成である。
この実施例2の場合も、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法として、外周ソイルセメント囲い壁2を順次周方向にラップ型のソイルセメント柱列が連続する壁状に造成するが、上記立面方向に見て三角形状(いわゆるバットレス型)の控え壁6の造成位置では、例えば上記図7A又はCに例示したように、傾斜型の地盤改良施工機8のリーダーを先ず控え壁6の内法面の角度に傾けた姿勢で控え壁6の造成を先行して進める。そして、最終的には地盤改良施工機8のリーダーを垂直に立てた姿勢で外周ソイルセメント囲い壁2となるラップ型のソイルセメント柱列を造成する手順を逐次進めることになる。既往の施工技術で容易に確実に実施することができる。
【実施例3】
【0024】
次に、図9A、Bは、請求項3に係る発明の実施例3を示す。
本実施例3も、上記の各実施例1、2と同様に、既設建物1の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント柱列による囲い壁2を、液状化層3を貫通してその下の非液状化層4へ届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物1の直下地盤の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成する工程と、同外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた独立型の傾斜壁7および控え壁6の造成する工程とを同時並行的な手順で進めることになる。
【0025】
具体的には、図10に施工態様を例示したように、傾斜型の地盤改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント柱列壁として、先ず独立型傾斜壁7の傾斜角にリーダーを設定し、外周ソイルセメント囲い壁2の天端部位から液状化層3を貫通させ、その下の非液状化層4へ届く深さまで独立型の傾斜壁7を造成する。次いで地盤改良施工機8のリーダーを垂直な姿勢に設定し、外周ソイルセメント囲い壁2のソイルセメント柱列をそれぞれラップ型に連続する壁体として施工する。そして、地盤改良施工機8を外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に1ピッチずつ進めて同じ手順の繰り返しで独立型の傾斜壁7および外周ソイルセメント囲い壁2のソイルセメント柱をそれぞれラップ型に連続する壁体として施工する。その上で、三角形状(いわゆるバットレス型)の控え壁6の造成位置では、上記図7A又はCに例示したように、傾斜型の地盤改良施工機8のリーダーを先ず独立型傾斜壁7の内法面の角度に傾けた姿勢でその造成を進め、次いで控え壁6の造成を上記図8Bについて説明した内容で順次に進め、最終的に地盤改良施工機8のリーダーを垂直に立てた姿勢で外周ソイルセメント囲い壁2となるラップ型のソイルセメント柱列を造成する手順を実施する。
【0026】
本実施例3による既設建物直下地盤の液状化防止工法によれば、いうなれば、上記実施例1で説明した請求項1の発明と、上記実施例2で説明した請求項2に係る発明との折衷案としての補剛構造を構築することになる。
即ち、請求項1の発明における連続型傾斜壁5の造成には、傾斜型の改良施工機8を使用した混合処理工法によるソイルセメント柱列を、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に三角形状に形成し、且つ囲い壁2の長手方向に連続する体積状に多数本施工しなければならないから、大変な手数が掛かり、工期が長引くことを否定できない。
一方、本実施例3の場合は、連続型傾斜壁5に代わる独立型の傾斜壁7を、ラップ型ソイルセメント杭が例えば一列状に連続する壁として外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に沿って線状に造成し、この独立型傾斜壁7と外周ソイルセメント囲い壁2の間に、立面方向に見て三角形状の控え壁6を、外周ソイルセメント囲い壁2の長手方向に間隔を開けて複数造成して両者間を繋いだ構成とするから、結果的には実施例1と同様な作用効果を奏する補強体を構築することになるが、大幅に少ないソイルセメント杭数と工数で短工期に実施できることになる
【実施例4】
【0027】
次に図11は、既設建物1の直下地盤(基礎地盤)の構成として、表層には非液状化層4が存在し、その下に液状化層3が存在して、更にその下に再び非液状化層4が存在する場合に好適に施工される液状化防止工法の実施例4を示している。
即ち、既設建物1の直下地盤中には、同既設建物1の外周部分に沿って、表層の非液状化層4の下底レベルから、その下の液状化層3を貫通して、更に下方の非液状化層4へ届く深さまで、混合処理工法によるソイルセメント柱列による囲い壁2を、ほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物直下の液状化層3を取り囲み拘束する閉鎖形状に、所謂沈み堰のように造成する。
更に、上記沈み堰状態の外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた、上記実施例1の独立型の傾斜壁7を造成し、又は上記実施例2のいわゆるバットレス型の控え壁6を造成し、或いは上記実施例3のように独立型傾斜壁7と控え壁6との組み合わせ構造を、上記の傾斜型地盤改良施工機8を使用した混合処理工法により施工した構成を特徴とする。
本実施例4の場合にも、沈み堰状態の外周ソイルセメント囲い壁2の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁2と構造的に一体化させた、上記実施例1の独立型の傾斜壁7を造成し、又は上記実施例2のいわゆるバットレス型の控え壁6を造成し、或いは上記実施例3のように独立型傾斜壁7と控え壁6の組み合わせ構造を造成する施工方法と手順は、それぞれ上記の各実施例で説明したと同様な内容となるから、ここで繰り返し説明することは省く。
【0028】
以上に本発明を図示した実施例とともに説明したが、もとより本発明は実施例1〜4の内容に限定されるものではない。本発明の目的と要旨を逸脱しない範囲で、当業者が必要に応じて行う設計変更や応用・変形を包含するものであることを念のため申し添える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】Aは囲い壁による液状化防止の効果を確認する振動試験装置の平面図、Bは垂直断面図、Cは振動試験結果を示す特性図である。
【図2】同上の振動試験に加える振動の特性図である。
【図3】Aは平面形状が大規模な囲い壁による液状化防止の効果を確認する振動試験装置の平面図、Bは垂直断面図、Cは振動試験結果を示す特性図である。
【図4】Aは平面形状が大規模な囲い壁の内側面に控え壁を設けた場合の液状化防止の効果を確認する振動試験装置の平面図、Bは垂直断面図、Cは振動試験結果を示す特性図である。
【図5】本発明による液状化防止工法の実施例1を概念的に示す垂直断面図である。
【図6】Aは図5のVI−VI矢視断面図、Bは囲い壁と連続型傾斜壁との構造をモデル化して示す斜視図である。
【図7】AとCは上記囲い壁と連続型傾斜壁を地盤改良施工機で造成する場合の異なる施工法を概念的に示した立面図、B図は前記施工法におけるソイルセメント柱列の並びを平面的に例示した説明図である。
【図8】Aは囲い壁の内側面に控え壁を造成した実施例を図6Aと同様な視点で示した水平断面図、Bは囲い壁と控え壁との構造をモデル化して示す斜視図である。
【図9】Aは囲い壁の内側面に独立型傾斜壁と控え壁の組み合わせを造成した実施例3を図6Aと同様な視点で示した水平断面図、Bは独立型傾斜壁と控え壁、囲い壁および控え壁との組み合わせ構造をモデル化して示す斜視図である。
【図10】囲い壁と独立型傾斜壁を地盤改良施工機で造成する場合の施工法を概念的に示した立面図である。
【図11】本発明による液状化防止工法の実施例4を概念的に示した垂直断面図である。
【図12】従来の囲い壁による液状化防止工法の実施態様を概念的に示した垂直断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 既設建物
2 外周ソイルセメント囲い壁
3 液状化層
4 非液状化層
5 連続型傾斜壁
8 傾斜型の地盤改良施工機
6 控え壁
7 独立型の傾斜壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設建物の直下地盤の液状化防止工法において、
既設建物の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁を、液状化層を貫通してその下の非液状化層に届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物直下地盤の液状化層を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成し、
更に前記外周ソイルセメント囲い壁の内側面に、立面方向に見て三角形状で外周ソイルセメント囲い壁と同方向に連続し、同外周ソイルセメント囲い壁と構造的に一体化させた連続型傾斜壁を、傾斜型の地盤改良施工機を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁の天端部位から液状化層を貫通させ、その下の非液状化層へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント囲い壁を補剛させ、且つ液状化層の剪断変形を抑止させて液状化を防止することを特徴とする、既設建物直下地盤の液状化防止工法。
【請求項2】
既設建物の直下地盤の液状化防止工法において、
既設建物の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁を、液状化層を貫通してその下の非液状化層に届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物直下地盤の液状化層を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成し、
更に前記外周ソイルセメント囲い壁の内側面に、立面方向に見て三角形状の控え壁を、同外周ソイルセメント囲い壁の長手方向に間隔を開けて複数、傾斜型の地盤改良施工機を使用した混合処理工法により外周ソイルセメント囲い壁と構造的に一体化させたソイルセメント壁として、外周ソイルセメント囲い壁の天端部位から液状化層を貫通させ、その下の非液状化層へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント囲い壁を補剛させ、且つ液状化層の剪断変形を抑止させて液状化を防止することを特徴とする、既設建物直下地盤の液状化防止工法。
【請求項3】
既設建物の直下地盤の液状化防止工法において、
既設建物の外周部分の地盤中に、混合処理工法によるソイルセメント囲い壁を、液状化層を貫通してその下の非液状化層に届く深さまでほぼ垂直に、且つ平面的に見て既設建物直下地盤の液状化層を取り囲み拘束する閉鎖形状に造成し、
前記外周ソイルセメント囲い壁の内側面に、同外周ソイルセメント囲い壁と構造的に一体化させた独立型の傾斜壁を、外周ソイルセメント囲い壁と同方向に連続する壁体として、傾斜型の地盤改良施工機を使用した混合処理工法によるソイルセメント壁として一定の傾斜角で、外周ソイルセメント囲い壁の天端部位から液状化層を貫通させ、その下の非液状化層に届く深さまで造成し、
更に前記外周ソイルセメント囲い壁の内側面と前記独立型傾斜壁との間に、立面方向に見ると三角形状の控え壁を、外周ソイルセメント囲い壁の長手方向に間隔を開けて複数、傾斜型の地盤改良施工機を使用した混合処理工法により前記外周ソイルセメント囲い壁及び独立型傾斜壁と構造的に一体化させたソイルセメント壁として、液状化層を貫通させ、その下の非液状化層へ届く深さまで造成して前記外周ソイルセメント囲い壁を補剛させ、且つ液状化層の剪断変形を抑止させて液状化を防止することを特徴とする、既設建物直下地盤の液状化防止工法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−108658(P2009−108658A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284720(P2007−284720)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(000150110)株式会社竹中土木 (101)
【Fターム(参考)】