説明

日除け装置

【課題】室外側への設置操作が簡単な車両用日除け装置の提供。
【解決手段】断面が中空となった多角柱断面で構成された遮蔽材は、薄幕を設けなくても直射日光を必要なだけ遮蔽することができ、多角柱を複数配列して簡単に伸縮操作できる室外側に設置する車両用日除け装置を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の屋根や窓ガラス等を、車両の室外側から覆う日除け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用日除け装置のなかで、車両の室外側から直射日光を遮る日除け装置は、窓ガラスの車内側から直射日光を遮る日除け装置に比べ、駐車時の車内の温度上昇のみならず窓ガラス自体や車内空気取り入れ口がある車体周辺の温度上昇を効果的に防止できる方法である。
【0003】
また、地球温暖化防止や環境負荷軽減の観点からも、炎天下に駐車した車両に乗車する時、ク−ラ−の冷却対象となる車内の温度や関係する車両部位の温度上昇を極力抑止する事が必要であり、車両の室外側から直射日光を遮る日除け装置は、環境負荷軽減に貢献できる技術である。
【0004】
しかし、車両の室外側から直射日光を遮る日除け装置を構成するには、簡易的な構造が可能な窓ガラスの車内側に設置する日除け装置に比べ、大きな面積の薄幕遮蔽材を伸縮展開できる機構や外部環境下での風における薄幕の強度確保の対応が必要であり、強度部品の大型化と構成部品点数が多くなり、展開や収納時の操作で相当の手間が必要となっている。(特許文献1)
【0005】
さらに、車両の室外側から直射日光を遮る日除け装置として、車両の上部を覆うロールブラインド遮蔽幕方式があるが、比較的構成部品点数が少ないものの、遮蔽幕の途中で何箇所か煽り留め金具を装着する必要があり、車両の左右に遮蔽幕の端を合計6箇所固定しなければならず実用的な操作性に問題があった。(特許文献2)
【0006】
以上のように従来技術では、日射を車両の外側から遮る遮蔽幕を伸縮可能に保持する構造においては構成部品点数の増大を招き、遮蔽幕単独で車両の室外側から直射日光を遮る構造では、風で煽られないようにするために必要な剛性強度が不足する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−327480号公報
【特許文献2】実用新案登録3132438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、車両の室外側に設置して伸縮展開できる日除け装置において、遮蔽材に布状の材料を使用する構造では、駐車する屋外環境下では布状の遮蔽材の全面で風圧を受けるため、風圧で遮蔽材が車両表面から剥離し飛散しやすい問題点があった。
【0009】
更に解決しようとする問題点は、遮蔽材が布状構造であるが故に、布状の遮蔽材を張る機構に伸縮機能を採り入れると、複雑な構造となり展開又は格納の作業が面倒で実用的ではなかった。
【0010】
そこで本発明は、単純な構造で遮蔽材面に働く風圧の影響を受け難くして、遮蔽材に剛性を持たせ、簡単で実用的な操作を可能にした車両用日除け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、概ね平行な1組の多角形の底面をもち、その両者をつなぐ長方形の側面で囲まれた多角柱において、3組の対辺が平行で等しい平行六辺形か平行四辺形の何れかの底面をもつ多角柱であって、全て合同な底面を平面充填してできる平面充填形の平面と、底面と直交する面外方向に平行な多角柱の長方形の辺とで形成した平板状の遮蔽材において、底面を中空とし、底面と直交する面外方向に平行な多角柱の長方形の辺を軸に折れ曲がり可能とし、多角柱の底面の形状を変形させ対辺距離を増減できるようにしたことを特徴とする遮蔽材に吸着材及び張力材と固定部材を備えた室外側に設置する車両用日除け装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の遮蔽材構造は、日除け装置を単純な構造にできるという利点があり、簡単な操作で遮蔽材を展開又は格納の作業ができることと、遮蔽のための薄幕がなくても直射日光の通過を防止しつつ、日射の遮蔽面に複数の格子状の貫通孔があるため、遮蔽材を展開して広げた時に遮蔽面が受ける風圧力を軽減すると共に剛性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】日除け装置遮蔽材の格子の単体構造を示した斜視図である。
【図2】日除け装置展開時の日射を遮る根拠を説明した平面図である。
【図3】日射を遮る根拠を説明した図2を側面から見たA−A断面図である。
【図4】遮蔽材の収納時の斜視図である。
【図5】日除け装置の収納状態を示した斜視図である。
【図6】日除け装置の展開状態を示した斜視図である。
【図7】四角形の格子形状の格子材を示した斜視図である。
【図8】日除け装置を車両のサイドウインドゥに設置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
多角柱の底面の形状を変形させ、3組の平行対辺距離を増減できる3方向に伸縮自在な、合同なる底面をもつ複数の多角柱を平面充填形にした平板状の遮蔽材(以下格子板という)が、通気性と直射日光を遮る機能を兼ね備え、単純な構造で格子板の剛性と伸縮性を確保しつつ、実用的で簡単な操作で展開及び収納できる、車両用日除け装置の実施形態を以下の図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は格子断面の多角柱の単体構造を示した斜視図であり、格子板を意図的に伸縮させようとする方向(以下伸縮方向という)と概ね直交する面で構成した横材2と、横材2の両端に繋いだ面の可倒材3で囲まれた多角柱の断面が、対向する対辺が概ね平行な六角形の多角柱で構成する。また可倒材3が横材2または可倒材3との交差する辺8は折れ曲がり可能で、六角形で囲まれた部分が中空となっている。
多角柱の材質はボール紙にビニ−ルコ−ティンク゛してあり、折り目やミシン目等を交差する辺8に加工して折れ曲がり可能とし、多角柱の単体構造はTなる高さで構成する。単体構造である図1の多角柱を用いて図4で示す遮蔽材1を構成するためには、合同な底面をもつ複数の多角柱を平面充填形にし、隣接する多角柱の側面を接着等して製作できる。
【0016】
図2は図1の格子単体構造を縦横に複数配列した格子板1の平面を示し、格子形状をなす六角形の外接円の直径をDとしたとき、格子板1の側断面を示す図3で、格子単体構造の高さTは格子板1の厚みTでもあるから、格子板面に連続して配置された孔に対して太陽光線がθ°なる入射角度の時、格子板1が日射を遮ることができる最大入射角度θ°は、tanθ=T/Dの計算式で表され、日射の遮蔽量は、格子形状の外接円直径Dと格子板厚さTの比率によって決定することができるから、展開した格子板1に中空の格子孔が開いていても日射を遮ることが可能で、かつ格子板1の全面が格子板面に鉛直な中空孔であることから通気性が確保できる。
【0017】
また、図2の格子板1が伸縮方向へ展開した状態では、格子の横材2を繋ぐ可倒材3が隣り合う横材2間の距離を広げ、可倒材3と横材2が適度な間隔を保った格子形状となるため、展開状態の格子板は厚みのある中空断面の平板構造となり、収納状態の格子板1に比べて格子板面の面外方向に対する剛性を増す。
【0018】
図4は本発明の格子板1の収納状態であり、格子板1が展開する直前の状態を示す斜視図である。伸縮方向に隣接する横材2に接続する可倒材3は、交差する辺8で折れ曲がり可能であるから、横材2が伸縮方向への移動する際、横材2を平行に保つように可倒材3が追従して格子板1は展開及び収縮格納ができる。
【実施例】
【0019】
図5は本発明の収納状態の実施例を示し、張力材4の片端と固定部材5は格子板1に固定され、また吸着材6は連結材7を介して格子板1に固定されている。吸着材6の格子板1への固定手段は、多角柱の側面に直接接着剤等で固定できる。または吸着材6と格子板1の間に格子板1を伸縮方向に張力を加える弾性体の連結材7を介して固定する。
日除け装置を展開しない時は、このようなコンパクトな形に収納できる。収納状態では張力材4の片端は固定部材5に固定する必要がない為、図4の遮蔽材1の周囲に巻きつけても良い。張力材4は、クレモナや麻のロ−プの他、塩ビ系、クロロプレンゴム系、シリコンゴムの弾性のある紐や平帯とすることもできる。固定部材5は、市販の塩ビ系材質の固定具を使用することもできる。吸着材6は塩ビ系の吸盤若しくはマグネット又は粘着テ−プとすることもできる。連結材7は、塩ビ系、クロロプレンゴム系、シリコンゴムの材質とすることもできる。
【0020】
図6は図5の展開状態であり、日除け装置の格子板1が展開した状態を示す斜視図である。格子板1を展開し保持する場合は、格子板1の四方を吸着材6で車両に固定するか、図6に示す張力材4の自由端を固定部材5に張力を発生するように固定することで、吸着材6の配置個所を減ずることができる。
【0021】
図7は格子形状が四角形の格子板1が展開した状態を示す斜視図である。このように格子単体構造を四角形とした縦横に複数配列した格子板1の場合も、張力材4の自由端を固定部材5に張力材4に張力を発生するように固定することで、吸着材6の配置個所を減ずることができる。
【0022】
図8は、車両の屋根と運転席のあるフロント窓を車両前方の上部より見ており、日除け装置を車両のサイドウインドゥに車両外部側より設置した実施例を示す斜視図である。面積が小さい格子板1には張力材4や固定部材5の必要がなく、格子板1の四方に配置した吸着材6を車体や窓ガラスに吸着固定することで格子板1を展開形状に保持する。図8の格子板1の端には吸着材6を配置してあり、展開した格子板1を吸着材6でガラス面又は車体面に吸着して固定する。図8は格子板1の四方を車両に固定することで格子板1は展開状態を保つ。
【0023】
格子板1の材質は、厚紙にビニ−ルコ−ティンク゛したものや塩ビ系プラスチックの他、環境に優しい厚紙やポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉などの成分の生分解性プラスチックなどのバイオプラスティックを使用しても良い。
【0024】
多角柱の底面の形状を変形させ3組または2組の平行対辺距離を増減できる3方向または2方向に伸縮自在の格子版1は、直射日光の入射角度に応じて多角柱の底面となる中空多角形の形状をすぼめる等して日射量を調整できる。調整の方法は格子版1を支える吸着材6を車両に固定する際に位置を変えて固定する方法と、張力材4の自由端を固定部材5に固定する際に張力を変えて固定することで、中空多角形の形状を変化させ日射量を調整する。
また車両外部から日射を遮る使用方法の他に車両内部に設置しても日射を遮ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
尚、格子板1の両面若しくは片面のいずれかの面で、複数の中空孔を覆うように、伸縮性のある薄幕を追加する事によって、霜除け用途或いは防水性を有する伸縮性のある薄幕を追加することで雨除けや凍結防止にも利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 格子板
2 横材
3 可倒材
4 張力材
5 固定部材
6 吸着材
7 連結材
8 交差する辺
9 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概ね平行な1組の多角形の底面をもち、その多角形の両者をつなぐ長方形の側面で囲まれた多角柱において、3組の対辺が平行で等しい平行六辺形か平行四辺形の何れかの底面をもつ多角柱であって、全て合同な底面を平面充填してできる平面充填形の平面と、底面と直交する面外方向に平行な多角柱の長方形の辺とで形成した平板状の遮蔽材において、底面を中空とし、底面と直交する面外方向に平行な多角柱の長方形の辺を軸に折れ曲がり可能とし、多角柱の底面の形状を変形させ対辺距離を増減できるようにしたことを特徴とする室外側に設置する車両用日除け装置。
【請求項2】
前記遮蔽材は、吸着材と張力材と固定部材を備えた室外側に設置する請求項1に記載の車両用日除け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−61926(P2012−61926A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206669(P2010−206669)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(710010353)