説明

昇降機のカウンターウェイトチェンジシステム

【目的】 カウンターウェイトの重量が省エネルギーの面からみて最適な状態となるように、カウンターウェイトの重量を分析された負荷パターンに対応した最適な重量にチェンジすることができる昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムを得ること。
【構成】 巻上げ機に巻かれたワイヤーロープ1の一端に連結されて昇降する昇降かご2に対し、同ワイヤーロープ1の他端にカウンターウェイト3を連結してなる昇降機において、前記昇降かご2に設置され、同昇降かご2内の負荷重量を検出する重量センサー4と、同重量センサー4からの検出データに基づいて日常の負荷パターンを分析する重量コントローラー6と、同重量コントローラー6により分析された負荷パターンに基づき、カウンターウェイト3の重量を同負荷パターンに対応した重量にチェンジするカウンターウェイトチェンジャー8とを具備してなる昇降機のカウンターウェイトチェンジシステム。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エレベーター、ダムウェーター等、巻上げ機に巻かれたワイヤーロープの一端に連結されて昇降する昇降かごに対し、同ワイヤーロープの他端にカウンターウェイトを連結してなる昇降機において、前記カウンターウェイトの重量を分析された負荷パターンに対応した重量にチェンジすることができる昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、巻上げ機に巻かれたワイヤーロープの一端に連結されて昇降する昇降かごに対し、同ワイヤーロープの他端にカウンターウェイトを連結してなる昇降機においては、巻上げ機のモーターの負荷を軽減するために、一般には定格重量の半分の重量とバランスするカウンターウェイトを設け、これによってモーター負荷を軽減し、省エネルギー化を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、一般に昇降機においては省エネルギー化のためにカウンターウェイトを設けているが、通常は定格重量の半分の重量とバランスさせるようにしているため、例えば、エレベーターの場合、朝の出勤時、昼休み時、夕方の退勤時などのラッシュ時には、昇降かご側の重量がカウンターウェイトの重量よりはるかに重くなり、逆に上記以外の時間帯においてはカウンターウェイト側の重量の方が昇降かご側の重量より重くなる傾向にある。このような状況は省エネルギーの面からみると、決して満足すべき最適の状態にあるとは言いがたく、改善の余地が残されている。
【0004】本発明は、上記のような問題を解消するためになされたもので、カウンターウェイトの重量が省エネルギーの面からみて最適な状態となるように、カウンターウェイトの重量を分析された負荷パターンに対応した最適な重量にチェンジすることができる昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムを得ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するため、本発明に係る昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムは、巻上げ機に巻かれたワイヤーロープの一端に連結されて昇降する昇降かごに対し、同ワイヤーロープの他端にカウンターウェイトを連結してなる昇降機において、前記昇降かごに設置され、同昇降かご内の負荷重量を検出する重量センサーと、同重量センサーからの検出データに基づいて日常の負荷パターンを分析する重量コントローラーと、同重量コントローラーにより分析された負荷パターンに基づき、カウンターウェイトの重量を同負荷パターンに対応した重量にチェンジするカウンターウェイトチェンジャーとを具備してなることを特徴とするものである。
【0006】また、前記カウンターウェイトを前記昇降かごの重量に対応する固定カウンターウェイトユニットと、前記昇降かごに対応する重量から同昇降かごの重量と定格重量とを合わせた最大重量迄の間を段階的に、それぞれの段階に対応した重量にチェンジする数個のチェンジ用カウンターウェイトユニットとに分割してなることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明に係る昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムは、上記のように構成されているので、重量コントローラーにより分析された負荷パターンに基づき、カウンターウェイトの重量を、例えば、負荷がほとんどない時間帯においては昇降かごに対応する重量のカウンターウェイトに、また、ラッシュ時の時間帯においては昇降かごの重量と定格重量とを合わせた最大重量に対応するカウンターウェイトにと言うように、それぞれカウンターウェイトチェンジャーによってチェンジすることにより、常にカウンターウェイトの重量を負荷に対応した最適な重量のカウンターウェイトとして昇降機を運転することができる。
【0008】また、カウンターウェイトを昇降かごの重量に対応する固定カウンターウェイトユニットと数個のチェンジ用カウンターウェイトユニットとに分割構成しているため、対応する重量に合わせてチェンジ用カウンターウェイトユニットの数を変化させることにより、段階的にカウンターウェイトの重量を変えることができる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の実施例を図1乃至図2に基づいて説明する。図1は本発明に係る昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムのシステム構成図、図2はそのカウンターウェイトチェンジャーの構成図である。昇降機の構成は公知であり、図示されていない巻上げ機に巻かれたワイヤーロープ1の一端に連結されて昇降する昇降かご2、同ワイヤーロープ1の他端に連結されたカウンターウェイト3等を備えている。
【0010】昇降かご2の床下には昇降かご内の負荷重量を検出する重量センサー4が設置され、常に負荷重量を検出しており、検出データをシグナルケーブル5を介して重量コントローラー6に送信している。重量コントローラー6は、重量センサー4からの検出データを時間帯別、曜日別、号機別等に日常の負荷パターンを分析、蓄積し、この負荷パターンに基づいて、省エネルギー上最適となるカウンターウェイト重量を算出する機能を有している。重量コントローラー6で算出されたカウンターウェイト重量はシグナルケーブル7を介してカウンターウェイトチェンジャー8に送信される。
【0011】カウンターウェイト3は、図2に示すように左右一対のレール9にガイドされて昇降するようになっており、昇降かご2の重量に対応した重量の固定カウンターウェイトユニット3aと、昇降かご2に対応する重量から同昇降かご2の重量と定格重量(定員)とを合わせた最大重量迄の間を段階的に、それぞれの段階に対応した重量にチェンジする数個のチェンジ用カウンターウェイトユニット3bとに分割されている。固定カウンターウェイトユニット3aはワイヤーロープ1の他端に連結され、チェンジ用カウンターウェイトユニット3bは固定カウンターウェイトユニット3aに対して、或いは、チェンジ用カウンターウェイトユニット3b同志互いに接続器3cによって着脱されるようになっている。
【0012】カウンターウェイトチェンジャー8は、重量コントローラー6からの指令信号に基づいて接続器3cを操作し、チェンジ用カウンターウェイトユニット3bの接続個数を変更して、カウンターウェイト3の重量が重量コントローラー6で分析された負荷パターンに対応した重量となるようにチェンジする機能を有している。
【0013】しかして、上記実施例によると、昇降機を設置したビル内の人の動きのパターン、即ち昇降機の利用パターンを重量センサー4からの検出データを基に重量コントローラー6で分析することができ、これによって昇降機における時間帯別、曜日別、号機別等の負荷パターンを得ることができる。そして、この負荷パターンに基づいて、重量コントローラー6によりカウンターウェイトチェンジャー8を制御し、カウンターウェイト3の重量が負荷に対応した最適な重量となるようチェンジ用カウンターウェイトユニット3bの接続個数を変更して、カウンターウェイト3の重量をチェンジする。従って、カウンターウェイト3の重量を常に省エネルギーの面からみて最適な重量に設定して昇降機を運転することができる。
【0014】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムによると、昇降機の負荷パターンを分析し、この負荷パターンに基づいてカウンターウェイトの重量が負荷に対応した最適な重量となるようカウンターウェイトをチェンジして昇降機を運転することができる。このため、昇降機の巻上げ機にかかる負荷とカウンターウェイト重量とを常にバランスした状態にすることができ、巻上げ機のモーターの負荷を軽減し、省エネルギー化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムのシステム構成図である。
【図2】本発明に係る昇降機のカウンターウェイトチェンジシステムにおけるカウンターウェイトチェンジャーの構成図で、(A)は正面図、(B)はその側面図である。
【符号の説明】
1 ワイヤーロープ
2 昇降かご
3 カウンターウェイト
3a 固定カウンターウェイトユニット
3b チェンジ用カウンターウェイトユニット
3c 接続器
4 重量センサー
5 シグナルケーブル
6 重量コントローラー
7 シグナルケーブル
8 カウンターウェイトチェンジャー
9 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】 巻上げ機に巻かれたワイヤーロープの一端に連結されて昇降する昇降かごに対し、同ワイヤーロープの他端にカウンターウェイトを連結してなる昇降機において、前記昇降かごに設置され、同昇降かご内の負荷重量を検出する重量センサーと、同重量センサーからの検出データに基づいて日常の負荷パターンを分析する重量コントローラーと、同重量コントローラーにより分析された負荷パターンに基づき、カウンターウェイトの重量を同負荷パターンに対応した重量にチェンジするカウンターウェイトチェンジャーとを具備してなることを特徴とする昇降機のカウンターウェイトチェンジシステム。
【請求項2】 前記カウンターウェイトを前記昇降かごの重量に対応する固定カウンターウェイトユニットと、前記昇降かごに対応する重量から同昇降かごの重量と定格重量とを合わせた最大重量迄の間を段階的に、それぞれの段階に対応した重量にチェンジする数個のチェンジ用カウンターウェイトユニットとに分割してなることを特徴とする請求項1記載の昇降機のカウンターウェイトチェンジシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平7−25568
【公開日】平成7年(1995)1月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−194010
【出願日】平成5年(1993)7月9日
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)