説明

昇降用装置

テレスコピックに伸長させることのできる少なくとも2つの隣接するリフティング機構を装備した、上昇させることのできる平面、テーブル、又はリフティングプラットフォーム構造体等の昇降装置であって、下部フレーム(1)と、更に作業面(5),(6)等の平面を調節するように支持された水平上部フレーム(7)と、これら下部フレームと上部フレームとの間に配置されたリフティング機構を備え、該リフティング機構を用いることによって、上部フレーム(7)を下部フレーム(1)に対して昇降させることができ、リフティング機構が、互いに隣接するピラー(2,3,4)を備え、各ピラーが、互いに対してテレスコピックに移動できる円筒部材から形成され、この円筒部材が、ネジ山によって互いに対して取り付けられて、部材(2〜4)を互いに相対回転させるとピラーの高さが変更されるようになっている昇降装置に関する。構造体の重量を軽減するために、円筒部材(2〜4)をプラスチックで形成し、横方向荷重の受容を向上するために、最も小さい直径を有する円筒部材(4)の内径を200mm超とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレスコピックに伸長させることのできる少なくとも2つの隣接するリフティング機構を装備した、上昇させることのできる平面、テーブル、又はリフティングプラットフォーム構造体等の昇降装置であって、下部フレームと、更に、作業面等の平面を調節するように支持された水平上部フレームと、これら下部フレームと上部フレームとの間に設置されたリフティング機構とを備え、該リフティング機構を用いることによって、上部フレームを下部フレームに対して昇降させることができ、リフティング機構が、互いに隣接するピラーを備え、各ピラーが、互いに対してテレスコピックに移動できる円筒部材から形成され、この円筒部材が、ネジ山によって互いに対して取り付けられて、上記部材を互いに相対回転させると上記ピラーの高さが変更されるようになっている昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降装置として、例えば、鉛直マストが基部の上部に設置されたリフティングプラットフォーム構造体が知られている。リフティングプラットフォームが、マストによって、マストの側部において支持され上下に移動される。また、マストは、その上端において、それが隣接して設置される建物に支持させることができる。この種のリフティングプラットフォームを隣接する建物から取り外して別の位置に移動するのは、マストの支持を解除する必要があるため難しい。また、取り外し線のブロックのために、マストを分解する必要がある場合も多い。
【0003】
更に、基部の上部に取り付けられた関節状プラットフォームと呼ばれるリフティングプラットフォームが知られている。この関節状プラットフォームは、関節形態を有する関節腕からなるリフト装置を備える。これらのプラットフォームの欠点は、プラットフォームの始動高さが非常に高いこと、つまり、8〜10メートルの高さに到達できるような関節状プラットフォームの場合その最低位置が通常約2メートルであることである。関節機構の重量もこの関節状プラットフォームの欠点であり、この重量によって、プラットフォームを上昇させる際に構造体の重心が非常に高く上昇する。この場合、プラットフォームの荷重を主にその中心線のみに集中させる必要がある。
【0004】
また、リフトブームによって支持され移動させることができる作業プラットフォームが知られている。この場合、これらの作業プラットフォームは、軽いものを積載させることができる比較的小さいリフトケージ(かご)である。例えば、2人のみに使用することを意図している。他のプラットフォームに対するこれらの利点は、全ての横方向においてより大きな移動距離が取れるということであるが、欠点として、リフトケージのサイズが小さいこと、積載容量が限られていること、リフトブームが各場合に側方に空間を必要とすること、及びその空間が幾つかの側方にも必要であることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許第CN2809309号Y明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、上記従来技術に係るリフティングプラットフォーム構造体は、特許文献1によっても既知である。この構造体において、テレスコピック部は金属からなり、非常に重い。過剰な重量増加を避けるために、テレスコピック部の直径を出来るだけ小さくする。このため、個々のピラー、更にはそれらからなる2本の平行なピラーでは、少なくともそれらの最上部位置において、上部フレームに向けられる横方向力に対応することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る昇降装置を用いることによって、既存の先行技術に対して、予期できない改良が実現できる。本発明の特徴は、構造体の重量を軽減するために、円筒部材をプラスチックで形成し、横方向荷重の受容を向上するために、最も小さい直径を有する円筒部材の内径を200mm超としたことである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は、リフティング機構が、それに必要な空間が小さくて済み、軽量且つ耐候性を有することである。このリフティング機構に加えて、下部フレームと上部フレームとの間に力を伝達する他の構造体を必要としない。リフティング機構が有する円筒部材の大きさを変更することによって、問題の円筒に、問題の全ての鉛直方向及び横方向荷重を受容させるようにすることができる。リフティング機構は、簡単な部材のみを備え、それらを回転させるようになっている。例えば、作業プラットフォームをこのリフティング機構を用いて上昇させる場合には、プラットフォームの長さを数メートル、少なくとも6m超とし、幅を2m超とすることが容易にできる。
【0009】
以下、本発明を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る昇降装置の側面図を示す。
【図2】構造体の上部フレームを上から見た図を示す。
【図3】構造体を端部から見た図を示す。
【実施例】
【0011】
図1に、ピラー2,3,4によって支持された車輪を装備した牽引基部1の上部に設置されたリフティングプラットフォームユニットを例として示す。ピラー2,3,4は、プラスチック材料で形成され、テレスコピックに伸長可能であり、互いに対して距離Lの位置に配置されている。リフティングプラットフォームの上部フレーム7は、ピラーによってのみ支持されている。ピラーの部材は、ネジ山によって互いに取り付けられており、一実施形態では、各部材2,3の内側部分に完全に全体に亘ってネジ山が設けられ、各部材3,4の外側面は少なくともその下部にネジ山を有する。最下部の部材2を、回転させない形で基部1に取り付けている場合には、上部フレーム7を昇降させる間、部材3及び4のみを回転させる。各ネジ山部分は、好ましくはサイクル毎に等しいピッチを有する。最上部の回転部材4も、プラスチックで形成され、250mm超の内径を有する。この直径寸法により、確実に、円筒部材2〜4の壁厚を適度なもの、例えば30mm未満とし、また円筒部材2〜4がそれらに向けられる側方力に抗することができるようになる。円筒部材2〜4の内径dの高さHに対する割合は、1/2〜1/4とするのが最も有利である。円筒部材2〜4の基材としてプラスチック材料を使用し、そのプラスチック材料の密度を1.4kg/dm以下とすることによって、軽量化を実現できる。リフティングプラットフォームの基部1は、既知のような調節可能な脚部13によって支持されている。
【0012】
部材3及び4は、上部フレーム7に位置する回転モータ9を用いて回転させる。部材4の上端にはフランジが設けられている。上部フレーム7はこのフランジによって設置支持され、このフランジは軸受を具備し、部材4及びその上部のフランジが、上部フレーム7が有するカウンターフランジ間を回転できるようになっている。作業プラットフォーム5は、ユニットの両側において別々に調節されると有利である。これらのプラットフォーム5は、それら自身のリフトモータを用いて、上部フレーム7に対して昇降させることができる。この構造体において、上部フレーム7をその最低位置に降下させると、両側に位置するリフト装置16を用いて、積載を行うために地面まで作業プラットフォーム5を降下させることができると有利である。
【0013】
図2に、上部フレーム7を上から見た図を示す。ここで、ベルト11及び12を用いた回転モータ9の牽引によって、バンドプーリー14を介して両部材4を移動させる。フランジ10は、軸受が有する上部非回転フランジである。回転は、最上部の部材4においてのみ行なわれる。また、部材3も部材4と共に回転を開始させてもよいし、部材4のみ回転させてもよい。上部フレーム7の角部には、作業プラットフォーム5を上部フレーム7の両側部に取り付けるため、且つ、それを上部フレーム7に対して鉛直方向に移動させるために、ツール15,16が設けられている。
【0014】
図3には、リフティングプラットフォーム構造体を端部から見た図を示す。ここで、部材2及び3は鉛直方向に破断されている。部材1及び2には、それらの内面の全体に亘ってネジ山が設けられている。部材4は、その外面の、高さHを覆う下側部分のみにネジ山を有する。同様に、部材3は、高さHを覆うその外面にのみネジ山を有する。部材3及び4が回転して前段の部材から外れることは、例えば、当該部材の端縁に至る前に内側のネジ山部分を終端させることによって防止できる。部材4の回転は直ちに伝達されて部材3の回転が防止されるまで部材3を回転させるか、あるいは、最初に回転する部材4がその移動距離全体を回転した後、部材3を回転させ始める。全ての部材2〜4が、同一サイクル毎に同一ピッチでネジ山を有するとより有利である。ネジ山は、部材2〜4の材料としてプラスチック、例えばナイロンを使用するとこれらの部材に製造し易い。ネジ山の形状としては台形状が最も有利である。
【0015】
鉛直方向に移動させることができる作業プラットフォームが、上部フレーム7の下方の両側に配置されている。これらのプラットフォームは示されてはいないが、迅速に取り付ける任意の方法によって部材15に取り付けられている。この場合、適宜、様々な長さ及び幅の作業面をそれらに対して容易に変更できる。取付部材15は、モータ18と搬送スクリュー17とを備えるリフティング装置16を用いることによって移動できる。上部フレーム7のリフティング機構が本発明に係るテレスコピックなピラーによる解決方法であると、作業プラットフォームの上記装置をピラーの両側に容易に配置することが可能である。
【0016】
図には2本のピラーを用いることによって実現されたリフティングプラットフォーム構造体を示しているが、ピラーの数は4本に増やすことも可能である。この場合、より高い安定性が得られるとともに、それらの直径を小さくすることができる。また、部材2,3,4の数は、3つに限定されず、本発明に係る解決方法において、それより多くすることもできる。
【0017】
図には、本発明に係る昇降装置を用いて機能するリフティングプラットフォーム構造体を示しているが、本発明に係る装置を用いて、任意の昇降プラットフォーム又はリフトテーブルを実現することができる。
【0018】
部材2〜4のプラスチック材料は、ポリアミド、若しくは、ネジ山の摩擦を低減するためや耐候性を向上させるため等その物性を向上させるために既知の鉱物充填材を混合したものが最も有利である。更に、部材のプラスチック材料は、既知の繊維強化材を用いて補強することができる。部材の外面は、繊維又は補強ネットを用いて補強することができる。また、ネジ山の表面は、摩擦を低減するために、ナノテクノロジーを利用して処理又は被覆することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレスコピックに伸長させることのできる少なくとも2つの隣接するリフティング機構を装備した、上昇させることのできる平面、テーブル、又はリフティングプラットフォーム構造体等の昇降装置であって、
下部フレーム(1)と、更に、作業面(5),(6)等の平面を調節するように支持された水平上部フレーム(7)と、前記下部フレームと前記上部フレームとの間に設置されたリフティング機構とを備え、前記リフティング機構を用いることによって、前記上部フレーム(7)を前記下部フレーム(1)に対して昇降させることができ、
前記リフティング機構が、互いに隣接するピラー(2,3,4)を備え、各ピラーが、互いに対してテレスコピックに移動できる円筒部材(2〜4)から形成され、前記円筒部材が、ネジ山によって互いに対して取り付けられて、前記部材(2〜4)を互いに相対回転させると前記ピラーの高さが変更されるようになっている昇降装置において、
前記構造体の重量を軽減するために、前記円筒部材(2〜4)をプラスチックで形成し、横方向荷重の受容を向上するために、最も小さい直径を有する前記円筒部材(4)の内径(d)を200mm超としたことを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記ピラーの最下部材(2)が、回転させない形で前記基部(1)に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記上部フレーム(7)が回転モータ(9)を備え、該回転モータ(9)を用いて前記ピラーの前記回転部材(3,4)を回転させることができることを特徴とする請求項2に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記下部フレーム(1)が回転モータ(9)を備え、該回転モータ(9)を用いて前記ピラーの最下部の前記回転部材(2,3)を回転させることができることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記上部フレーム(7)を介して伝達される全ての許容可能な鉛直方向及び横方向荷重を前記ピラーの前記部材(2〜4)が受容することを意図して、前記ピラーの前記部材(2〜4)の壁厚が許容荷重に基づき決定されることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項6】
各部材(2〜4)の前記ネジ山に、サイクル毎に等しいサイズのピッチが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記部材(2〜4)の前記ネジ山が、台形状のネジ山に等しいプロファイルを有することを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項8】
前記部材(2〜4)が、ポリアミドプラスチック又は混合/補強ポリアミドプラスチックからなることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項9】
前記プラスチック部材(2〜4)の材料の密度が1.4kg/dm未満であることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項10】
前記部材(2〜4)の外面が、繊維又はネット補強材で補強されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−518785(P2013−518785A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551653(P2012−551653)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/FI2011/000006
【国際公開番号】WO2011/095672
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512204662)