説明

昇降装置のための調整ヘッド

【課題】 昇降装置(1)のための及び昇降装置(1)の自由端(6)と解放可能な連結(7)のために意図された調整ヘッド(2)を提供する。
【解決手段】 前記調整ヘッド(2)は、昇降装置(1)の調整手段から独立して調整ヘッド(2)の三次元調整のための機構(9〜13,15)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置のための調整ヘッドに関し、そこでは調整ヘッドは、構造内の開口に要素を取り付けるために使用される車両に支持された昇降装置並びに静止した昇降装置に解放可能に取り付けられることができる。
【背景技術】
【0002】
建造物要素、特に窓ガラスパネルを昇降しかつ取り付けるために使用される昇降装置の分野では、壁または車体に取り付けられるパネルを把持して昇降し、次いでそれを最終位置に取り付ける減圧把持ラックを備えた伸縮自在取り扱い具を使用することが慣例である。
【0003】
短距離操作及び長距離操作のために利用可能な特注ガラス昇降装置があり、多数の理由のためにクレーンの張り出しから吊るされるかまたは前端ローダー取替機上に取り付けられるガラス昇降アタッチメント、例えばフォークリフトアタッチメントまたはバケットアタッチメントがまた存在する。
【0004】
1960年代において既に、多くのローダー上の取り付け手段のための事実上の基準が、Bobcat社によりそれらのBob−Tach(登録商標)システムで確立された(米国特許第3672521号、Bauerら)。この会社は、前記基準化されたシステムと共働するアタッチメントまたは機器を開発し、それにより基準化された機器を受け入れる用意のできる実在する及び将来のローダーの巨大な市場への扉を開いた。
【0005】
この発明で扱われた実際の問題は、重い窓ガラスパネルを昇降するために使用される機械が、操作者が最後の距離で重いパネルを手動で操作することなしに待っている開口までの全行程をパネルにもたらすことができないことである。かかる厳しい作業は、職業健康規定により忌避されることが多いであろう。
【0006】
米国特許出願第2007/0189882A1号(Smithら)は、積荷を操縦するための伸縮自在の材料取り扱い具のためのアタッチメントを記載する。このアタッチメントは把持システム及び操縦装置を含む。
【0007】
重い窓ガラスパネルが地上より高い高さの場所に昇降されるとき、解決されるべき本質的な仕事は、前記パネルを位置決めし、取り付ける最終段階時にパネルを運搬する把持ラックの繊細な操縦が完全に伸長されたクレーンまたは張り出し棒によって操作される把持装置により提供されるものより高い精度及び移動の制御を必要とすることであり、従っていずれかの標準的な昇降装置と共に使用されるがそれから機能的に独立しかつ把持ラックの高度の正確な制御を持つ調整ヘッドが本発明の目的である。
【0008】
前記米国出願は多くの自由度を実際に提供するが、失なっている重要なことは、正しい整合が確保された後に機器の到達距離を延ばすことである。さらに、機器がそれだけで必要なものを完備しており、分離した完全に機能的な機器であるために外部源から動力のみを必要とし、外部油圧源を当てにしていないことが重要である。
【0009】
前記米国出願の持つさらなる欠点は、幾つかの変動調整が大き過ぎる移動をもたらすことである。
【0010】
従って、少なくとも幾つかの変動調整が短い距離の移動をもたらす解決策を考えることが重要である。これを達成する有利な方法は、旋回点をできるだけ取り付けられるパネルに密接して配置することに由来する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、昇降装置のための及び昇降装置の自由端との解放可能な連結のために適合した調整ヘッドを提案し、前記調整ヘッドは、昇降装置に属する調整手段から独立して調整ヘッドの三次元的調整のための機構を含む。調整ヘッドはそれだけで必要なものを完備しており、伸長可能な腕及びリンク仕掛け及びピストン手段によって垂直面内での伸張及び傾斜を提供する機構を含む。伸張可能な腕は、好適な実施態様では、伸縮可能な張り出し棒であるだろう。リンク仕掛けは、油圧シリンダー、及び伸長可能な腕に固定されたピストンにより操作される多数の棒からなる。さらに、ヘッドは、作動装置を含み、それはその各軸周りの回転を提供し、前記軸は互いに垂直に配向されている。リンク仕掛けは、それらが垂直面内で傾斜するための作動装置に連結されている。ヘッドはさらに、側方スライド機構、例えば軸方向に垂直なヘッドのスライド移動を提供するギヤーラックを含み、かつ前記ヘッドの全ての可動部分のための制御及び駆動手段の完全な組を持つサービスボックスを含み、前記スライド移動は、油圧要素、例えばシリンダーまたはワイヤーから押したりまたは引いたりすることにより提供される。
【0012】
本発明による調整ヘッドは、要素またはパネルを把持しかつ前記要素を建造物または車両のような構造に対して必要な位置に置くための取り付けられた把持構造を持つ。
【0013】
本発明の有利な実施態様では、傾斜機構、伸長可能な機構、及びスライド機構は、昇降装置の自由端の対応するコンソールに取り付けられた解放可能な連結コンソール上に配置される。前記連結コンソールは、広範囲の機器が取り付けられるのを可能にする標準化されたレイアウトを持つ。
【0014】
上述の作動装置の一方は、伸張及び傾斜機構に連結され、作動装置の他方は把持構造に連結される。前記把持構造は、例えば要素またはパネルを保持するためにサービスボックス内に含まれる減圧源または磁気源を使用する把持ヘッドを含む。
【0015】
好適な実施態様では、非常に小型の構成を得るために調整ヘッドの作動装置は一つのユニットで組み合わされ、かつ小さな変動調整を得るために傾斜機構と作動装置は連結コンソールに対してより把持構造に対して密着して配置される。
【0016】
遠隔地からの操作を容易にするために、調整ヘッドは、サービスボックス内の制御手段により操作され、かつ別個の遠隔制御装置により起動されることができる。
【0017】
さらに、本発明は、構造内の取り付け開口に要素を昇降して取り付ける方法を提案し、その方法は、要素が任意の位置から把持ラックにより把持され、最終位置に近い必要な高さの所定位置に昇降される第一段階;及び要素の位置が本発明による調整ヘッドによって空間的に調整され、サービスボックス内の制御手段によって制御され、それにより要素が最終的に構造内の開口中に取り付けられ、調整ヘッドが要素を解放する第二段階を含む。
【0018】
本発明による調整ヘッドは大きな潜在能力を持つ。なぜならそれは、標準化された取り付け手段を持つ限り、それは市場で入手可能な殆どのどのような昇降装置にも適用されることができるからである。この昇降装置は、昇降された要素を最終目的地の近くにもたらす「モーター粗制御」運動に役立ち、一方で調整ヘッドは、対応する開口への要素の最終的な整合のために必要な微調整または「モーター微制御」運動のための主要な要因となる。実施される小さな最終運動は、より微細な変化調整を意味し、それにより調整手段のより高い精度をもたらす。
【0019】
従って、これまで個人により実施された多くの肉体的で危険な作業が避けられ、取り付けが短時間で実行されることができる。さらに、取り付けられたいずれの標準化された機器に適合した昇降装置は、もし本発明による調整可能ヘッドが利用可能なら、作業時間中により広範囲に使用されるであろう。
【0020】
取り上げられかつ建造物または車両のような構造内に取り付けられる建造物要素は、それらの表面が減圧カップにより吸引されることができるかまたは磁気カップ等により接触されることができる限り、ガラスパネル、コンクリート、鋼または金属パネルまたは木製ボードを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、図面に関して以下にさらに詳細に説明されるであろう。
【0022】
【図1】図1は、本発明による調整ヘッドを持つ昇降装置の主要構成要素のブロック図である。
【0023】
【図2】図2は、標準的な伸縮自在取り扱い具の上に取り付けられた、本発明による調整ヘッドを示す。
【0024】
【図3】図3は、本発明による調整ヘッドの透視図である。
【0025】
【図4】図4は、図3の調整ヘッドの側面図である。
【0026】
【図5】図5は、図3の調整ヘッドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1では、ブロック図は、標準昇降装置1、及びその計画された位置近くに昇降された建造物パネルの位置を微調整するための必要な構成要素を含む調整ヘッド2、及び構造内に取り付けられる建造物パネルを保持する把持装置3を含む昇降装置の主要構成要素を示す。昇降装置1は、減圧カップ5(図2も参照)により建造物パネル4を保持する共働把持ラック3を持つ調整ヘッド機器2を運ぶことができるローダーまたは伸縮自在取り扱い具のいずれかのタイプであることができる。ヘッド2とラック3は別個の遠隔制御装置14により制御される。
【0028】
また、図3を参照すると、好適な伸縮自在取り扱い具1は、調整ヘッド2の対応する連結コンソール7と整合する連結コンソール6を備え、より詳細に示されるように、前記ヘッドはさらに、連結コンソール7と結合し、かつ例えば調整ヘッド2及び把持ラック3を操作するために使用される油圧手段、減圧手段、制御手段、及び駆動手段を含むサービスボックス8を含む。サービスボックス8の表面上にギヤーラック9が配置され、それに沿って伸長可能な張り出し棒10は、壁開口に対する建造物パネル4の横方向の不整合を調整するためにそれ自身の軸に対して横方向にスライドすることができる。
【0029】
伸長可能な張り出し棒10の自由端に一体構成で第一作動装置11と第二作動装置12を含む作動装置11,12の組み合わせが配置されており、そこでは第一作動装置11は第一シャフトを持ち、第二作動装置12は第二シャフトを持ち、前記第一シャフトと第二シャフトは互いに垂直に配向されており、第一作動装置は油圧シリンダー15のピストンによって垂直面内で作動装置11を傾斜する傾斜リンク仕掛け13を介して伸長可能な張り出し棒10の自由端に連結されている。リンク仕掛け13は旋回点16の周りに回転する。前記第二作動装置12は、第一シャフトに垂直な面内で回転され、かつ第二シャフトの周りにラック3を旋回する。
【0030】
調整ヘッド2は、別個の遠隔制御装置14によって操作されるように構成されていることが好ましい。しかし、もしそう望むなら、ヘッド2に連結された通常の制御パネルを持つことも、または両者を持つことも可能である。
【0031】
図4は、調整ヘッドの側面図を示し、そこではサービスボックス8は、ギヤーラック9及びその駆動手段の近くに見え、伸縮自在取り扱い具上の連結コンソールの標準化されたインターフェースに結合される準備のできたその連結コンソール7を持つ。さらに、伸長可能な張り出し棒10は、ギヤーラック9に沿ってスライドし、前記ラックから離れるように延びるのに適合している。張り出し棒10の自由端に傾斜リンク仕掛け13が設置され、それは、それに連結されている第一作動装置11を紙面内で垂直傾斜させ、紙面内及び紙面外に第二作動装置12を揺動させることを可能にする。さらに、本発明のこの実施態様において減圧カップ5を備えている把持ラック3は第二作動装置12のシャフトにより旋回されることができる。
【0032】
図5はさらに、平面図でかつ紙面内で回転されている作動装置12の水平配向の図を示し、一方同じ作動装置はラック3を紙面内及び紙面外で旋回することができる。
【0033】
作業状態では、標準化された連結コンソール6を持つローダー1は、対応する標準化された連結コンソール7を持つ調整ヘッド2に接近し、前記コンソール6,7は互いにしっかりと連結する(図2)。次に、操作者は、作動装置12に連結された把持ラック3の減圧カップ5によって建造物パネル4を地面または他の貯蔵領域から取り上げる。パネル4が適切な位置に調整されるとき、それは取り付け位置の近くに昇降され、初期「モーター粗制御」段階を終わらせる。その後、ラックを垂直面に対して傾斜し、かつ前記面がパネル4により仕上げられる建造物または車両の表面と平行になるまでラックを水平に揺動することによりパネル4を対応する開口と正確な整合にもたらすために保持されたパネル4の正確な運動をさせる調整ヘッドにより第二「モーター微制御」段階が開始され、最後に張り出し棒10を前方に延ばし、同時にパネル4を開口内に取り付ける。前記運動が実施される順序は、この方法にとって重要ではなく、人による肉体的な取り扱いなしで非常に正確な整合を得るために繰り返されることができる。
【0034】
全ての操縦は、地上の便利な位置からまたは開口に接近した有利な地点からのいずれかで、好ましくは別個の遠隔制御装置14により制御される。
【0035】
調整ヘッド及び方法の説明において、減圧は、パネルを把持しかつ保持するために使用される手段であるが、もちろん磁気手段のような他の把持手段もパネルの材料特性に応じて使用されることができる。
【0036】
昇降されかつ取り付けられるパネルは、任意の材料、例えばガラス、石膏、岩、コンクリート、鉄、金属または、繊維ボードのいずれかのパネルであることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降装置(1)のための及び昇降装置(1)の自由端(6)との解放可能な連結(7)のために意図された調整ヘッド(2)において、前記調整ヘッド(2)が、昇降装置(1)の調整手段から独立して調整ヘッド(2)の三次元調整のための機構(9〜13,15)を含むことを特徴とする調整ヘッド(2)。
【請求項2】
伸長可能な張り出し棒(10)、及び旋回点(16)の周りでリンク仕掛け(13)を操作するピストン手段(15)によって垂直面内で伸長及び傾斜を提供する傾斜機構(10,13,及び15)を含むことを特徴とする請求項1に記載の調整ヘッド(2)。
【請求項3】
作動装置(11,12)を含み、それはその各軸の周りに回転を提供し、前記軸は互いに垂直に配向されていることを特徴とする請求項1に記載の調整ヘッド(2)。
【請求項4】
調整ヘッド(2)の長手方向に垂直な調整ヘッド(2)のスライド運動を提供するギヤーラック(9)の形の横方向スライド機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の調整ヘッド(2)。
【請求項5】
前記ヘッド(2)の全ての可動部分のための制御及び駆動手段を持つサービスボックス(8)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調整ヘッド(2)。
【請求項6】
要素またはパネル(4)を把持しかつ前記要素を建造物または車両のような別の構造に対して必要な位置に置くために取り付けられた把持構造(3)を含むことを特徴とする請求項1に記載の調整ヘッド(2)。
【請求項7】
ヘッド(2)が、解放可能な連結コンソール(7)を介して昇降装置(1)の自由端の対応するコンソール(6)に連結されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調整ヘッド(2)。
【請求項8】
前記連結コンソール(6,7)が、広範囲の機器を取り付け可能にする標準化されたレイアウトを持つことを特徴とする請求項7に記載の調整ヘッド(2)。
【請求項9】
作動装置の一方(11)がリンク仕掛け(13)に連結され、作動装置の他方(12)が把持構造(3)に連結されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の調整ヘッド(2)。
【請求項10】
前記把持構造(3)が、要素またはパネル(4)を保持するためにサービスボックス(8)内に含まれる減圧源または磁気源を使用する把持ヘッド(5)を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の調整ヘッド(2)。
【請求項11】
把持構造(3)からのリンク仕掛け(13)の旋回点(16)の距離が連結コンソール(7)からの距離より短いことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の調整ヘッド(2)。
【請求項12】
サービスボックス(8)内の制御手段が遠隔制御装置(14)により制御されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の調整ヘッド(2)。
【請求項13】
把持構造(3)により保持される要素(4)の位置を調整するための昇降装置の自由端に解放可能に取り付けられる請求項1〜12のいずれかに記載の調整ヘッド(2)の使用において、要素(4)が、建造物構造または車両内の取り付け開口に設置されるガラスパネルまたは建造物パネルであることを特徴とする使用。
【請求項14】
構造内の取り付け開口に要素(4)を昇降しかつ取り付ける方法において、要素(4)が、把持ラック(3)により任意の位置から把持され、最終位置に近い必要な高さに昇降される第一段階;及び要素(4)の位置が、請求項1〜12のいずれかに記載の調整ヘッド(2)によって三次元で調整され、サービスボックス(8)内の制御手段によって制御され、それにより要素(4)が最終的に構造内の開口中に取り付けられ、調整ヘッド(2)が要素(4)を解放する第二段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
調整ヘッド(2)の運動が遠隔制御装置(14)によって制御されることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−508244(P2013−508244A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534781(P2012−534781)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054664
【国際公開番号】WO2011/048441
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511095920)
【Fターム(参考)】