説明

明り取り付表示錠

【課題】 浴室や便房等の室内の点灯の有無を明るく、しかも見易く表示することができ、さらに扉の厚みの変化にも対応できる表示錠を提供する。
【解決手段】 浴室や便房の空錠を挟んで扉7の内面および外面に装着された内外エスカチオン1、2と、導光性の材料で構成された棒状の室外側及び室内側導光棒15、16とを有し、これら室外側及び室内側導光棒を同軸に突き合わせたとき相互に対向する端面の一方に突起17を、他方にこの突起と摺動可能にする係合する係合孔18を夫々形成し、一方の導光棒の突起を他方の導光棒の係合孔に係合させた状態で、これら一対の導光棒を内外エスカチオン及び扉を貫通させると共に、抜け止めを施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、明り取り付表示錠(以下単に表示錠という)に係り、特に、浴室や便房等の室内の点灯の有無を明るく、しかも見易く表示することができ、さらに扉の厚みの変化にも対応できる表示錠に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、浴室や便房の扉の上辺部に小さな開口を設け、この開口部を外側から見て明るければ室内が点灯されており、暗ければ消灯されていることを知る表示装置は周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−101030
【特許文献2】特開2008−057106
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した便房等の点灯表示装置は、簡単なので広く用いられているが、室内の明かりを室外に漏らす開口が扉の上辺にあり、人が視線を上げなければ見えない上、通常人の注意は扉のノブ付近に集中するので、従来の点灯表示装置は見易いものとは言えない。
【0005】
そこで、近年、点灯表示装置を浴室などの錠前部に装着したものが提案されており、そのうち上記特許文献1に記載された表示錠は、室内側及び室外側の長座(エスカチオン)にそれぞれ開口を設けてここにレンズを嵌めこみ、室内側のレンズで集光した光を室外側のレンズで外側に放射するように構成されている。
【0006】
しかしながら、上記のように構成された特許文献1に記載の表示錠は、室内側のレンズと室外側のそれとの間に扉内空間が存在し、室内側のレンズから扉内空間に放射された光のごく一部が室外側のレンズを通るのみなので、表示が暗くなり見易いものとは言えない。
【0007】
また、特許文献2に記載の表示錠は、室内外の開口を透光性を有する棒状の光透過部で連結しており、この光透過部は全反射を利用して効率良く光を伝達できることが期待できるので、表示が明るくなることは期待出来る。
【0008】
しかしながら、この表示錠は、光透過部の両端を夫々室内側の光導入部、及び室外側の表示窓に固定的に連結しているようなので、扉厚の変化に対して光透過部の長さを変える必要がある、等未だ改良の余地がある。
【0009】
そこで、この発明は、浴室や便房等の室内の点灯の有無を明るく、しかも見易く表示することができ、さらに扉の厚みの変化にも対応できる表示錠を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、浴室や便房の空錠を挟んで扉の内面および外面に装着された内外エスカチオンと、導光性の材料で構成された棒状の室外側及び室内側導光棒とを有し、これら室外側及び室内側導光棒を同軸に突き合わせたとき相互に対向する端面の一方に突起を、他方にこの突起と摺動可能にする係合する係合孔を夫々形成し、一方の導光棒の突起を他方の導光棒の係合孔に係合させた状態で、これら一対の導光棒を内外エスカチオン及び扉を貫通させると共に、抜け止めを施したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本願発明は、室内の明かりを一対の導光棒の室内側の端面から全反射を利用して室外側の端面に導くので、表示装置としての表示錠の表示を明るくすることができる。
【0012】
また、室外側の導光棒の端面を人の意識が集中するエスカチオンに配設したので、表示が見易くなる。
【0013】
更にまた、浴室などの扉厚の変化に対して導光棒の突起と係合孔の嵌合長さを調節することにより、導光棒の光導入面及び射出面の位置を一定にできる、換言すれば、扉厚の変化に対応することができる、など種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施例による表示錠の縦断面図。
【図2】この発明の一実施例による表示錠の外面図。
【図3】この発明の一実施例による表示錠の内面図。
【図4】この発明の一実施例による表示錠の一部断面平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
浴室や便房の空錠を挟んで扉の内面および外面に装着された内外エスカチオンと、導光性の材料で構成された棒状の室外側及び室内側導光棒とを設け、これら室外側及び室内側導光棒を同軸に突き合わせたとき相互に対向する端面の一方に突起を、他方にこの突起と摺動可能にする係合する係合孔を夫々形成し、一方の導光棒の突起を他方の導光棒の係合孔に係合させた状態で、これら一対の導光棒を内外エスカチオンおよび扉を貫通させると共に、抜け止めを施した。
【実施例1】
【0016】
図1において符号1は外側エスカチオンを、符号2は内側エスカチオンを夫々示し、外側エスカチオン1は例えば合成樹脂製の外側基板3と、薄い金属性の板材をプレス加工によって箱状に成型した外側カバー4とを備えている。
【0017】
これに対応して、内側エスカチオン2は合成樹脂製の内側基板5と、上記外側カバー4と同様の構成の内側カバー6とを備えている。
【0018】
これら外側及び内側エスカチオン1、2は、扉7を間に挟んで、内側基板5の内面に埴設され、錠箱8を貫通し或いは扉内空間に延在するねじ杆9、9と、取り付けねじ11、11との螺合により、室内側から、夫々扉内面に呼び付けられるようにして、浴室や便房の扉の自由側端縁部に装着されている。
【0019】
なお、図1において符号12は錠箱内のラッチ装置の操作杆を示し、この操作杆12錠箱8を貫通しており、その内端にはサムターン13が、内端には例えばコインで操作する開閉盤14が夫々装着されている(図4参照)。
【0020】
一方、図1に示すように、外側エスカチオン、扉及び内側エスカチオン1、扉7及び内側エスカチオン2を貫通するようにして、室外側導光棒および室内側導光棒15、16を長さ方向に連結したものが配設されている。
【0021】
各導光棒15、16は、導光性を有する、換言すれば透明な材質の棒状体で、図示の実施例ではそれらの横断面形状は円形、すなわち丸棒であるが、これは例えば正六角形等の異形断面の棒状体でもよい。
【0022】
上記室内側導光棒16の外端部(図1で左端部)には、内端部の大径部を縮径する、という態様で突起17が形成されている。
【0023】
これに対応して、室外側導光棒15の内端部(図1で右端部)には、上記突起17と摺動可能に嵌合する係合孔18が形成されており、上記突起17を係合孔18に係合させることにより、室外側および室内側導光棒15、16は同軸かつ伸縮可能に連結されている。
【0024】
なお、上記突起17と係合孔18の嵌合は、やや締まり嵌め気味に設定するを可とする。
【0025】
図示の実施例では、室外側および室内側導光棒15、16の大径部を、外側及び内側基板3、5の上端縁に形成されたくびれ付の嵌着切欠19(図3及び図4参照)に嵌め込む態様で装着されている。
【0026】
なお、外側及び内側基板3、5は合成樹脂製としたので、導光棒15、16の
大径部を嵌着切欠の上部に当接させてこれを下方に押し込むと、嵌着切欠19の上部が弾性変形によって拡開し、大径部が嵌着切欠中に係入した後は弾性変形部が元の状態に戻るので、導光棒15、16は確りと装着される。
【0027】
なお、図1に示すように、導光棒15、16の内外端面と整合する部分には、当該端面を室内外に露呈させる付番しない開口が形成されており、夫々の端面がこの開口を貫通して室内外に突出している。
【0028】
また、室外側導光棒15の外側基板3と外側カバー4との間にある部分、室内側導光棒16の内側基板5と内側カバー6との間にある部分には、夫々フランジ20が形成されていて、このフランジ20、20により導光棒15、16のエスカチオンから抜け止めが施されている。
【0029】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による表示錠は、室内の照明が明るいとき、換言すれば点灯させているときには、室内の光線が室内側導光棒16の室内を臨む端面(入射端面)から内部に入射する。
【0030】
このとき、上記入射端面が室内を臨む空中角は2πであるが、室内側導光棒16の中心軸線との交角が大きい入射光線は導光棒16の外周面を突き抜けてしまうが、中心軸線との交角が小さい光線は全反射により減衰することなく室外側導光棒15の外端面から射出する。
【0031】
したがって、室内の点灯の有無を明 るく表示できるばかりでなく、室外側導光棒15の外端面が人の注意が集中するエスカチオンに配設されているので、表示が見易い。
【0032】
また、扉厚が異なる扉に装着するときには、導光棒の突起17と係合孔18の嵌合長さを調節すればよい。
【符号の説明】
【0033】
1 外側エスカチオン
2 内側エスカチオン
3 外側基板
4 外側カバー
5 内側基板
6 内側カバー
7 扉
8 錠箱
9 雌ねじ杆
11 取り付けねじ
12 操作杆
13 サムターン
14 開閉盤
15 室外側導光棒
16 室内側導光棒
17 突起
18 係合孔
19 嵌着切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室や便房の空錠を挟んで扉の内面および外面に装着された内外エスカチオンと、導光性の材料で構成された棒状の室外側及び室内側導光棒とを有し、これら室外側及び室内側導光棒を同軸に突き合わせたとき相互に対向する端面の一方に突起を、他方にこの突起と摺動可能にする係合する係合孔を夫々形成し、一方の導光棒の突起を他方の導光棒の係合孔に係合させた状態で、これら一対の導光棒を内外エスカチオン及び扉を貫通させると共に、抜け止めを施したことを特徴とする明り取り付表示錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−32830(P2011−32830A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182816(P2009−182816)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)