説明

易開封性袋

【課題】
レトルトパックの開封において、一端側の切り口から切り始め、他端側縁まで滑らかなな切り取り作業を可能にする可撓性を有す易開封性袋を提供する。
【解決手段】
フィルム材料8を二枚合わせ、その周縁がシールされ外縁に切り口2を設けた可撓性を有す易開封性袋1である。切り口2の収納部6内端側(シール部内端)近傍に、鋸歯型の略V字型の内端ノッチ谷3と、内端ノッチ山4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカレーやシチューなどを収納し保存するレトルトパックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来レトルトパック(以下パックと表す)の開封は、右利きの人はパックの上方に設けられた切り口の下側部分を左手の人差し指と親指で挟み、残った指と手の腹でパックを保持し、右手の人差し指と親指で切り口の上部辺りを掴み、左右に手を遠ざけるように開けつつ、右手側のフイルムを引っ張るように破り取り開封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2007−240148号
【0004】
前記特許文献1は、レトルトパック表面に糸を貼り合わせパックの開封を行うものである。糸の貼り合わせなどによる別の作業工程が必要となりコストアップである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パック開封の切断作業の一連の流れに伴うフィルム材料の状態は下記の如くである。
1. 一端側の表裏二枚のフィルム材料がシールされフィルム材料二枚分の厚さとなった切り口部分から切断が始まる。
2. 収納部となる表裏一枚一枚別々のフィルム材料を切断しながら切断先頭部分が約直角に他端側シール部内端に辿り着く。
3. 切断先頭部分が再度、フィルム材料厚が二枚分となった他端側のシール部分を切断し開封される。
【0006】
従来、前述2.の切断先頭部分が他端側シール部分の内端に約直角に到達する。表裏二枚のフィルム材料に伝わった先頭部分の切断力は、この到達点の周囲部分近傍にて分散され、集中力が弱まったことで切断力も弱まり、フィルム材料の切断ができなくなるのである。
【0007】
前述の2.に到った時に、相当の力を加えてもフィルム材料を破ることができない事が往々にある。パックの切断が完了しないために、湯せんし熱くなった内容物を食器に移す際に、切り残ったパック片にシチューやカレーが付着する結果となっている。
【0008】
前述2.の状態にある時、パックを持った左右の手に力を加えても切断先頭部分がシール部分内端で止まり破れなくなり、一層力を入れパックを開封しようとしたり、切断片を上方に引き裂こうとすると、突然パックが破れ内容物が飛散し周りを汚したり、熱くドロドロの粘り気がある内容物が指や身体に付着する危険が生じる。
【0009】
パックの切断ができず、一端側からの開封を諦め、他端側の切り口から再度切り始めても、パック片を切り取ってしまうことができず、鋏を用意しても鋏に内容物が付着し水洗いが必要となる。
【0010】
本発明により、消費者は今迄の開封作業と同作業で開封に戸惑うことがない。製造者側は当初にパックのシール工程の設備費を要すが、従前と同工程で前述の課題を解決するパックを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る易開封性袋は、表裏二枚となるフィルム材料同志が合わされ、その周縁をシールして内部に収納物が充填される袋体である。袋体のシール部上方の外縁に、切り始め易い少なくても一ヶ所以上の切り口を設け、該切り口の収納部内端側(シール部内端)の近傍に略V字型で鋸歯型の内端ノッチ谷と内端ノッチ山を設けた。
【0012】
本発明の易開封性袋は、フィルム材料を二つ折りし三方がシールされた袋体、マチ(ギャザー)を有す袋体、円柱の上下をシールした袋体も含まれる。
【0013】
請求項2に係る易開封性袋は請求項1の易開封性袋において、収納部内端に設けた内端ノッチ谷の下方側に上向きノッチを設けたものである。
【0014】
請求項3に係る易開封性袋は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の易開封性袋において、収納部内端の最上方に設けた内端ノッチ谷の上方の角に、上角ノッチを設けたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば消費者は、従来のやり慣れた開封方法で戸惑うこともなく、非力になったお年寄りや子供でも、熱くなった内容物の飛散や人体への付着、火傷を心配することなく、パックの切断開封を容易にでき、食品メーカー側も製造過程が従前と同様で製袋ができる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
図1及至図2に本発明の一実施形態が採用された易開封性袋1を示す。
【0017】
図1に示すように、本易開封性袋1の構成は、表裏二枚のフィルム材料8同志が合わされ、その周縁がシール部7とされ内部が収納部6となりカレーやシチュー、粉体などを収納することができる袋体である。易開封性袋1の上方外縁にパック開封時に力を掛けずに簡単に切断し始めることができる切り口2が設けてある。該切り口2の近傍の収納部6の内端側(シール部内端)に、鋸歯型で略V字型の内端ノッチ山4と内端ノッチ谷3を、内端のノッチ谷3の上方の角には上角ノッチ9を設けてある。
【0018】
パック開封の一連の動作は、一端側のシール部7の外縁に設けた切り口2を境に、両手の人差し指と親指で切り口2を境に捩るように捻り切断が始まる。切り口2の谷にあたる部分の一点に切断力が集中され容易に切断が始まる。パックを持った両手を前後に開くような動作で、切断先頭部分は内容物が収納されている収納部6の、表裏二枚のフィルム材料8を別々に切断しながら、他端側のシール部7の内端ノッチ山4の辺りに辿り着き、略V字型の形状に沿いながら内端ノッチ谷3の底に誘導される。
【0019】
内端ノッチ谷3を設けたことで、切り口2の切断を始めた時と同様に、両者の谷部分の一点に切断力が集中されるのである。当初の切り口2の切断を始めた時と同様に、表裏二枚のフィルム材料8によって内端ノッチ谷3が捩り捻られ谷部分の底の一点に力が集中されるのである。切断先頭部分の表裏二枚のフィルム材料8は内端ノッチ谷3の底を境に約180度逆方向に捻られ引っ張られることで内端ノッチ谷3の一点に力が集中されるのである。このように両手の人差し指と親指で切り口2を境に捩るように捻り切断が始まった時と同様に、他端部のシール部7も切り口2と同様に簡単に切断されるのである。
【0020】
本発明は、この切断先頭部分の収納部内端側の到達点を内端ノッチ谷3とすることで、この谷部分の一点に切断力が集中され、パックの切断開封が容易になるのである。
【0021】
内端ノッチ山4や内端ノッチ谷3が図面上は大きく表されているが、易開封性袋1の運搬上などの強度上の点で、切り口2と同程度の大きさとしても充分効果を得ることができる。
【実施例2】
【0022】
切断先頭部分が収納部内端に到ったのに何らかの事情でパックが横に切断されないことが生じた時に、切断されるパック片の横方向に掛けた力を、上方に向け上向きノッチ5、上角ノッチ9へと順次切断していくことで、パックは小さい力で開封される。この場合は上向きノッチ5の谷部分や上角ノッチ9の谷部分に応力が集中され切断が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の易開封性袋を表す図。
【図2】本発明の易開封性袋の上方の部分図。
【符号の説明】
【0024】
1 易開封性袋
2 切り口
3 内端ノッチ谷
4 内端ノッチ山
5 上向きノッチ
6 収納部
7 シール部
8 フイルム材料
9 上角ノッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム材料同志が合わされ、その周縁がシールされ内部に収納物が充填される袋体であって、前記シール部上方外縁に少なくとも一ヶ以上の切り口と、該切り口の収納部内端側(シール部内端)近傍に略V字型の内端ノッチ谷と、内端ノッチ山を設けたことを特徴とする易開封性袋。
【請求項2】
前記収納部内端に設けた内端ノッチ谷の下方側に、上向きノッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の易開封性袋。
【請求項3】
前記収納部内端に設けた内端ノッチ谷の上方の角に、上角ノッチを設けたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の易開封性袋。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−116536(P2012−116536A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268326(P2010−268326)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【特許番号】特許第4861511号(P4861511)
【特許公報発行日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(509091734)
【Fターム(参考)】