説明

映像伝送システム、送信側無線通信装置、及び受信側無線通信装置

【課題】複数の部屋等に分散して設置された複数の再生装置が再生する映像を1つの表示装置で表示できる映像伝送システムを提供する。
【解決手段】再生装置511,512,513から表示装置540へ映像信号を伝送する映像伝送システムは、再生装置511,512,513毎に設けられ、自装置に対応する再生装置が出力する映像信号を無線回線を介して送信する送信側無線通信装置110,120,130と、送信側無線通信装置110,120,130毎に確立された複数の無線回線を介して映像信号を受信し、該受信した映像信号を表示装置540への映像入力信号として出力する受信側無線通信装置200とを有する。受信側無線通信装置200は、映像入力信号の切り替えが指示された場合に、複数の無線回線のうち自装置が映像信号を受信すべき無線回線を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号を伝送する映像伝送システム、送信側無線通信装置、及び受信側無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生装置から表示装置へ映像信号を伝送する映像伝送システムにおいて、再生装置と表示装置との間のケーブル配策の煩雑性を軽減するために、ワイヤレスHDMI(High-Definition Multimedia Interface)や無線LAN(Local Area Network)を利用して、映像信号を無線回線を介して伝送する映像伝送システムが提供されている。
【0003】
さらに、非特許文献1(以下、「背景技術」と称する)には、複数の再生装置に対して1つの表示装置を使い回すことが可能な映像伝送システムが開示されている。図8は、背景技術に係る映像伝送システムを説明するためのブロック図である。
【0004】
図8に示すように、該映像伝送システムは、複数の再生装置511,512,513にHDMIケーブルを介して接続される送信側無線通信装置520と、表示装置540にHDMIケーブルを介して接続される受信側無線通信装置530とを有する。
【0005】
送信側無線通信装置520は、リモコン521からの制御コマンドに応じて、表示装置540への映像入力信号の切り替え(以下、適宜「入力切り替え」と称する)を行い、複数の再生装置511,512,513の何れかが出力する映像信号を、無線LAN回線を介して受信側無線通信装置530に送信する。
【0006】
また、表示装置540は、リモコン541からの制御コマンドに応じて、HDMIに従った制御コマンド(HDMI−CEC信号)を出力する。該HDMI−CEC信号は、受信側無線通信装置530及び送信側無線通信装置520を経由して複数の再生装置511,512,513に伝送され、複数の再生装置511,512,513が該HDMI−CEC信号によって遠隔制御される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】HDMI無線送受信ユニットHD-WirelessRD&TD、http://lancerlink.shop24.makeshop.jp/shopdetail/001005000001/brandname/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、家庭での利用シーンを想定すると、複数の部屋等に分散して設置されている複数の再生装置が再生する映像を、例えばリビングに設置されている1つの表示装置で表示したいというニーズがある。
【0009】
しかしながら、背景技術に係る映像伝送システムでは、複数の部屋に分散設置された複数の再生装置のそれぞれの映像を遠隔より無線送信して1つの表示装置に表示することが困難であり、上記のニーズに応えることができないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、複数の部屋等に分散して設置された複数の再生装置が再生する映像を1つの表示装置で表示できる映像伝送システム、送信側無線通信装置、及び受信側無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。
【0012】
まず、本発明に係る映像伝送システムの特徴は、複数の再生装置(再生装置511,512,513)から表示装置(表示装置540)へ映像信号を伝送する映像伝送システムであって、前記複数の再生装置毎に設けられる複数の送信側無線通信装置(送信側無線通信装置110,120,130)と、前記複数の送信側無線通信装置との無線通信を行うと共に、前記表示装置への映像入力信号を出力する受信側無線通信装置(受信側無線通信装置200)と、を有し、前記複数の送信側無線通信装置のそれぞれは、自送信側無線通信装置に対応する再生装置から入力される映像信号を無線回線を介して前記受信側無線通信装置に送信し、前記受信側無線通信装置は、前記複数の送信側無線通信装置毎に確立された複数の無線回線を介して映像信号を受信し、該受信した映像信号を前記表示装置への前記映像入力信号として出力しており、前記受信側無線通信装置は、前記映像入力信号の切り替えが指示された場合に、前記複数の無線回線のうち自受信側無線通信装置が映像信号を受信すべき無線回線を切り替えることを要旨とする。
【0013】
このような特徴によれば、複数の再生装置毎に送信側無線通信装置を設けることによって、複数の再生装置が複数の部屋等に分散して設置される場合でも、複数の再生装置のそれぞれの近傍に送信側無線通信装置を設置可能であるため、再生装置と送信側無線通信装置とを容易に接続できる。また、映像入力信号の切り替え機能を受信側無線通信装置に持たせることによって、複数の再生装置に対して1つの表示装置を使い回すことが可能である。従って、上記特徴によれば、複数の部屋等に分散して設置された複数の再生装置が再生する映像を1つの表示装置で表示できる映像伝送システムが提供される。
【0014】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記複数の送信側無線通信装置を遠隔制御する制御装置(制御装置300又は300’)をさらに有し、前記制御装置は、ユーザ操作を受け付ける入力装置(リモコン301)からの第1の制御コマンド(共通コマンド)に基づいて、前記複数の送信側無線通信装置を遠隔制御し、前記複数の送信側無線通信装置のそれぞれは、前記制御装置からの遠隔制御に従って、自送信側無線通信装置に対応する再生装置が解読可能な第2の制御コマンド(個別コマンド)を該再生装置に出力することを要旨とする。
【0015】
このような特徴によれば、第1の制御コマンドに基づいて制御装置が複数の送信側無線通信装置を遠隔制御し、複数の送信側無線通信装置のそれぞれが該遠隔制御に従って、自送信側無線通信装置に対応する再生装置が解読可能な第2の制御コマンドを該再生装置に出力する。これにより、HDMI−CEC信号をサポートしていないアナログ方式等の再生装置についても遠隔制御することができる。また、入力装置(リモコン等)を操作するユーザは、例えばリビングに設置された表示装置を用いて試聴しながら、複数の部屋等に分散して設置されている複数の再生装置のそれぞれを遠隔制御することができる。
【0016】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記制御装置は、前記表示装置への前記映像入力信号の切り替え時において、切り替え後の映像信号を出力すべき再生装置を電源オンするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を遠隔制御することを要旨とする。また、前記制御装置は、前記表示装置への前記映像入力信号の切り替え時において、切り替え前の映像信号を出力していた再生装置を電源オフするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を遠隔制御することを要旨とする。
【0017】
このような特徴によれば、切り替え後の映像信号を出力すべき再生装置を電源オンするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を制御装置が遠隔制御することによって、ユーザが該再生装置をオンするための操作を省略可能になるため、ユーザの利便性を高めることができる。また、切り替え前の映像信号を出力していた再生装置を電源オフするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を制御装置が遠隔制御することによって、該再生装置の消費電力を削減可能になり、省エネルギー化を図ることができる。
【0018】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記制御装置は、前記表示装置が電源オフしたことに基づいて、前記複数の再生装置の全てを電源オフするように、前記複数の送信側無線通信装置を遠隔制御することを要旨とする。
【0019】
このような特徴によれば、表示装置が電源オフしたことに基づいて、複数の再生装置の全てを電源オフするように、複数の送信側無線通信装置を遠隔制御することによって、各再生装置の消費電力を削減可能になり、省エネルギー化を図ることができる。
【0020】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記制御装置は、前記受信側無線通信装置を制御可能に構成されており、前記制御装置は、前記複数の再生装置のうち一の再生装置が電源オンしたことに基づいて、前記受信側無線通信装置が映像信号を受信すべき無線回線を、前記一の再生装置に対応する無線回線に切り替えることを要旨とする。
【0021】
このような特徴によれば、複数の再生装置のうち一の再生装置が電源オンしたことに基づいて、受信側無線通信装置が映像信号を受信すべき無線回線を、該一の再生装置に対応する無線回線に切り替えることによって、ユーザによる入力切り替え操作を省略可能になるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0022】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記制御装置は、前記表示装置を制御可能に構成されており、前記制御装置は、前記複数の再生装置の全てが電源オフしたことに基づいて、前記表示装置を電源オフするよう制御することを要旨とする。
【0023】
このような特徴によれば、複数の再生装置の全てが電源オフしたことに基づいて、表示装置を電源オフすることによって、表示装置の消費電力を削減可能になり、省エネルギー化を図ることができる。
【0024】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記複数の送信側無線通信装置のそれぞれは、自送信側無線通信装置に対応する再生装置からアナログ映像信号が入力される場合に、該アナログ映像信号を特定のデジタル映像信号(HDMI信号)に変換した上で前記受信側無線通信装置に送信することを要旨とする。
【0025】
このような特徴によれば、複数の送信側無線通信装置のそれぞれは、自送信側無線通信装置に対応する再生装置からアナログ映像信号が入力される場合に、該アナログ映像信号を特定のデジタル映像信号(例えばHDMI信号)に変換した上で送信する。これにより、アナログ方式の再生装置を用いる場合でも、映像信号をデジタル伝送することが可能になる。
【0026】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記制御装置は、前記受信側無線通信装置に内蔵されることを要旨とする。
【0027】
このような特徴によれば、制御装置が受信側無線通信装置に内蔵されるため、制御装置としてのサーバを別途設ける必要が無く、コスト等を削減できる。
【0028】
本発明に係る映像伝送システムの他の特徴は、上記特徴に係る映像伝送システムにおいて、前記複数の再生装置は、映像信号を並行して出力し、前記複数の送信側無線通信装置は、前記複数の再生装置が出力する映像信号を並行して送信し、前記受信側無線通信装置は、前記複数の無線回線を介して複数の映像信号を並行して受信し、前記複数の映像信号のうちの1つを前記映像入力信号として出力し、前記複数の映像信号のうちの残りの映像信号を一時的に記憶し、前記映像入力信号の切り替えが指示された場合に、前記記憶していた映像信号の中から切り替え後の映像信号を出力する、ことを要旨とする。
【0029】
このような特徴によれば、映像入力信号の切り替え時において、バッファリング(あるいはキャッシング)していた映像信号を出力することによって、映像入力信号の切り替えの切り替えを即座に実施することが可能になり、表示装置に表示される映像の瞬断期間を短縮できる。
【0030】
本発明に係る送信側無線通信装置の特徴は、複数の再生装置(再生装置511,512,513)から表示装置(表示装置540)へ映像信号を伝送する映像伝送システムで用いられる送信側無線通信装置(例えば送信側無線通信装置110)であって、前記複数の再生装置のうち自送信側無線通信装置に対応する再生装置(例えば再生装置511)が出力する映像信号を無線回線を介して送信する映像信号送信部(例えば無線LAN通信部113#1)と、制御装置(制御装置300又は300’)からの遠隔制御に応じて、前記複数の再生装置のうち自送信側無線通信装置に対応する再生装置(例えば再生装置511)が解読可能な制御コマンド(個別コマンド)を該再生装置に出力するコマンド出力部(例えば赤外線送信部111)と、を有することを要旨とする。
【0031】
本発明に係る受信側無線通信装置の特徴は、複数の再生装置(再生装置511,512,513)から表示装置(表示装置540)へ映像信号を伝送する映像伝送システムで用いられる受信側無線通信装置(受信側無線通信装置200)であって、複数の送信側無線通信装置(送信側無線通信装置110,120,130)毎に確立された複数の無線回線を介して映像信号を受信する映像信号受信部(無線LAN通信部210#1)と、該受信した映像信号を前記表示装置への映像入力信号として出力する映像信号出力部(HDMIインターフェイス220)と、を有し、前記映像入力信号の切り替えが指示された場合に、前記複数の無線回線のうち自受信側無線通信装置が映像信号を受信すべき無線回線を切り替えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、複数の部屋等に分散して設置された複数の再生装置が再生する映像を1つの表示装置で表示できる映像伝送システム、送信側無線通信装置、及び受信側無線通信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る映像伝送システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る送信側無線通信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る受信側無線通信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る再生装置制御動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る映像信号伝送動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態の変更例に係る映像伝送システムの全体概略構成図である。
【図8】背景技術に係る映像伝送システムを説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面を参照して、本発明の実施形態について、(1)映像伝送システムの構成、(2)映像伝送システムの動作、(3)実施形態の効果、(4)実施形態の変更例、(5)その他の実施形態の順に説明する。以下の実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0035】
(1)映像伝送システムの構成
以下、本実施形態に係る映像伝送システムの構成について、(1.1)映像伝送システムの全体概略構成、(1.2)映像伝送システムの詳細構成の順に説明する。
【0036】
(1.1)映像伝送システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る映像伝送システムの全体概略構成図である。本実施形態では、映像伝送システムが家庭内に構築されるケースを想定している。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係る映像伝送システムは、複数の再生装置511,512,513と、複数の送信側無線通信装置110,120,130と、受信側無線通信装置200と、制御装置300と、表示装置540とを有する。
【0038】
再生装置511,512,513は、例えばそれぞれ異なる部屋に分散して設置されている。再生装置511,512,513は、例えばテレビチューナ、PC(Personal Computer)、HDD(Hard Disk Drive)レコーダ、又はDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ等であり、映像を再生可能な装置である。再生装置511,512,513は、映像だけでなく音声も再生可能であってもよいが、本実施形態では映像信号に関して説明する。
【0039】
再生装置511は、HDMIをサポートしていないアナログ方式の再生装置である。再生装置511は、赤外線による制御コマンド入力と、コンポジット方式による映像信号出力とをサポートする。なお、コンポジット方式による映像信号出力だけでなく、S端子出力を更にサポートしてもよい。
【0040】
再生装置512は、HDMIをサポートしているデジタル方式の再生装置である。再生装置512は、HDMIによる制御コマンド入力と、HDMIによる映像信号出力とをサポートする。
【0041】
再生装置513は、HDMIをサポートしていないアナログ方式の再生装置である。再生装置513は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)による制御コマンド入力と、RGB方式による映像信号出力とをサポートする。
【0042】
送信側無線通信装置110,120,130は、無線LANによる無線通信をサポートしており、再生装置511,512,513にそれぞれ近接して設置されている。
【0043】
送信側無線通信装置110は、コンポジットケーブルを介して再生装置511に接続される。送信側無線通信装置110は、赤外線による制御コマンド出力と、コンポジット方式による映像信号入力とをサポートする。
【0044】
送信側無線通信装置120は、HDMIケーブルを介して再生装置512に接続される。送信側無線通信装置120は、HDMIによる制御コマンド出力と、HDMIによる映像信号入力とをサポートする。
【0045】
送信側無線通信装置130は、RGBケーブル及び有線LANケーブルを介して再生装置513に接続される。送信側無線通信装置130は、HTTPによる制御コマンド出力と、RGB方式による映像信号入力とをサポートする。
【0046】
受信側無線通信装置200は、無線LANによる無線通信をサポートしており、表示装置540に近接して設置されている。受信側無線通信装置200は、送信側無線通信装置110,120,130との間に無線回線を確立している。具体的には、送信側無線通信装置110と受信側無線通信装置200との間に無線回線#1が、送信側無線通信装置120と受信側無線通信装置200との間に無線回線#2が、送信側無線通信装置130と受信側無線通信装置200との間に無線回線#3がそれぞれ確立されている。受信側無線通信装置200は、HDMIケーブルを介して表示装置540に接続される。
【0047】
表示装置540は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、又はプロジェクタ等であり、映像を表示可能な装置である。表示装置540は、例えばリビングに設置されている。表示装置540は、リモコン541からの制御コマンドを受け付ける。
【0048】
制御装置300は、無線LANによる無線通信をサポートするサーバであり、送信側無線通信装置110,120,130と受信側無線通信装置200とを制御する。制御装置300は、リモコン301からの制御コマンド(共通コマンド)を受け付ける。
【0049】
このように構成された映像伝送システムにおいて、送信側無線通信装置110,120,130は、再生装置511,512,513が出力する映像信号を無線回線#1〜#3を介して送信する。受信側無線通信装置200は、無線回線#1〜#3を介して映像信号を受信し、該受信した映像信号を表示装置540への映像入力信号として出力する。また、受信側無線通信装置200は、入力切り替えが制御装置300から指示された場合に、無線回線#1〜#3のうち自装置が映像信号を受信すべき無線回線を切り替える。このように、受信側無線通信装置200は、入力切り替え機能を有している。
【0050】
制御装置300は、ユーザ操作を受け付けるリモコン301からの共通コマンド(第1の制御コマンド)に基づいて、送信側無線通信装置110,120,130を遠隔制御する。送信側無線通信装置110,120,130のそれぞれは、制御装置300又は300’からの遠隔制御に従って、自装置に対応する再生装置が解読可能な個別コマンド(第2の制御コマンド)を該再生装置に出力する。
【0051】
本実施形態では、制御装置300は、再生開始、再生停止、早送り、巻き戻し等の指示内容を示す共通コマンドを、再生装置511,512,513のそれぞれが解読可能な個別コマンドに変換する機能を有する。制御装置300は、個別コマンドを送信側無線通信装置110,120,130に送信し、個別コマンドを受信した送信側無線通信装置は、受信した個別コマンドを自装置に対応する再生装置に出力する。
【0052】
例えば、制御装置300は、再生装置511が再生対象である場合に、再生開始を示す共通コマンドをリモコン301から受け付けると、再生装置511用のコマンドテーブルを参照して、該共通コマンドに対応する個別コマンドを取得し、該個別コマンドを送信側無線通信装置110に送信する。送信側無線通信装置110は、制御装置300から個別コマンドを受信すると、該個別コマンドを赤外線により再生装置511に送信する。再生装置511は、送信側無線通信装置110から受信した個別コマンドに従って映像の再生を開始する。なお、制御装置300は、再生装置511,512,513のそれぞれに対応したコマンドテーブルを予め記憶しているものとする。
【0053】
また、送信側無線通信装置110,120,130のそれぞれは、自装置に対応する再生装置からアナログ映像信号(コンポジット信号又はRGB信号)が入力される場合に、該アナログ映像信号をHDMI信号に変換した上で送信する。例えば、送信側無線通信装置110は、再生装置511から入力されるコンポジット信号をHDMI信号に変換し、該HDMI信号を無線LANによる無線回線#1を介して受信側無線通信装置200に送信する。なお、アナログ映像信号からHDMI信号への変換については既存の技術を利用できる。
【0054】
なお、送信側無線通信装置110,120,130と受信側無線通信装置200との間の無線通信は、高速・大容量であることが要求されるため、例えば5GHz帯のIEEE802.11nによる無線LANを適用することが好ましい。これに対し、制御装置300と、送信側無線通信装置110,120,130及び受信側無線通信装置200との間の無線通信は、高速・大容量であることが要求されないため、例えば2.4GHz帯のIEEE802.11gによる無線LANを適用することが好ましい。
【0055】
(1.2)映像伝送システムの詳細構成
次に、本実施形態に係る映像伝送システムの詳細構成について、(1.2.1)制御装置の内部構成、(1.2.2)送信側無線通信装置の内部構成、(1.2.3)受信側無線通信装置の内部構成の順に説明する。
【0056】
(1.2.1)制御装置の内部構成
図2は、制御装置300の内部構成を示すブロック図である。
【0057】
図2に示すように、制御装置300は、リモコン受信部310と、無線LAN通信部320と、記憶部330と、制御部340とを含む。
【0058】
リモコン受信部310は、リモコン301からの共通コマンドを赤外線又は電波により受信し、受信した共通コマンドを制御部340に出力する。共通コマンドには、コマンド変換が不要なもの(例えば、再生装置の切り替えコマンド、入力切り替えコマンド、受信側無線通信装置200の電源オン/オフコマンド等)と、コマンド変換が必要なもの(例えば、再生開始コマンド、再生停止コマンド、早送りコマンド、巻き戻しコマンド等)とが含まれる。
【0059】
無線LAN通信部320は、無線LANによる無線通信を送信側無線通信装置110,120,130及び受信側無線通信装置200と実行する。
【0060】
記憶部330は、例えばメモリを用いて構成されており、制御部340によって実行されるプログラムを記憶すると共に、制御部340によって作業領域として使用される。記憶部330は、再生装置511,512,513毎のコマンドテーブルを記憶する。例えば、様々な再生装置に対応したコマンドテーブルが予め記憶部330に記憶されており、初期設定時に再生装置511,512,513の属性(プロファイル)を指定することによって、各再生装置511,512,513に適したコマンドテーブルが自動で設定される。
【0061】
制御部340は、例えばCPUを用いて構成されており、記憶部330に記憶されているプログラムを実行することによって、制御装置300の各種の機能を制御する。制御部340は、コマンド変換が必要な共通コマンドがリモコン受信部310から入力されると、再生対象の再生装置を判別し、記憶部330に記憶されている該再生装置用のコマンドテーブルの中から、該共通コマンドに対応する個別コマンドを取得する。そして、制御部340は、取得した個別コマンドを該再生装置に対応する送信側無線通信装置に送信するよう無線LAN通信部320を制御する。
【0062】
(1.2.2)送信側無線通信装置の内部構成
図3は、送信側無線通信装置110,120,130の内部構成を示すブロック図である。詳細には、図3(a)は送信側無線通信装置110の内部構成を示すブロック図であり、図3(b)は送信側無線通信装置120の内部構成を示すブロック図であり、図3(c)は送信側無線通信装置130の内部構成を示すブロック図である。
【0063】
図3(a)に示すように、送信側無線通信装置110は、赤外線送信部111と、コンポジット信号入力部112と、無線LAN通信部113#1と、無線LAN通信部113#2と、記憶部114と、制御部115とを含む。
【0064】
赤外線送信部111は、無線LAN通信部113#2によって受信された個別コマンドが制御部115から入力され、該個別コマンドを赤外線により送信する。赤外線送信部111は、個別コマンドを出力するコマンド出力部に相当する。
【0065】
なお、送信側無線通信装置110は、赤外線送信部111が再生装置511の赤外線受信部(不図示)に対向するようにして設置される。あるいは、赤外線送信部111を別体とし、制御部115と赤外線送信部111との間にケーブルを設け、赤外線送信部111のみを再生装置511の赤外線受信部(不図示)に対向して設置してもよい。
【0066】
コンポジット信号入力部112は、コンポジットケーブルを介して、再生装置511のコンポジット出力(不図示)に接続される。コンポジット信号入力部112は、コンポジットケーブルを介してコンポジット信号が入力され、該コンポジット信号を制御部115に出力する。
【0067】
無線LAN通信部113#1は、受信側無線通信装置200との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部113#2は、制御装置300との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部113#1は、映像信号を無線回線を介して送信する映像信号送信部に相当する。
【0068】
記憶部114は、例えばメモリを用いて構成されており、制御部115によって実行されるプログラムを記憶すると共に、制御部115によって作業領域として使用される。
【0069】
制御部115は、例えばCPUを用いて構成されており、記憶部114に記憶されているプログラムを実行することによって、送信側無線通信装置110の各種の機能を制御する。制御部115は、無線LAN通信部113#2が制御装置300からの個別コマンドを受信すると、受信した個別コマンドを出力するよう赤外線送信部111を制御する。
【0070】
また、制御部115は、コンポジット信号入力部112から入力されるコンポジット信号をHDMI信号に変換し、該HDMI信号を無線LANによる無線回線#1を介して受信側無線通信装置200に送信するよう無線LAN通信部113#1を制御する。
【0071】
次に、図3(b)に示すように、送信側無線通信装置120は、HDMIインターフェイス121と、無線LAN通信部123#1と、無線LAN通信部123#2と、記憶部124と、制御部125とを含む。
【0072】
HDMIインターフェイス121は、HDMIケーブルを介して再生装置512に接続される。HDMIインターフェイス121は、無線LAN通信部123#2によって受信された個別コマンドが制御部125から入力され、該個別コマンドをHDMIにより送信する。HDMIインターフェイス121は、個別コマンドを出力するコマンド出力部に相当する。
【0073】
また、HDMIインターフェイス121は、HDMIケーブルを介してHDMI信号が入力され、該HDMI信号を制御部125に出力する。
【0074】
無線LAN通信部123#1は、受信側無線通信装置200との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部123#2は、制御装置300との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部123#1は、映像信号を無線回線を介して送信する映像信号送信部に相当する。
【0075】
記憶部124は、例えばメモリを用いて構成されており、制御部125によって実行されるプログラムを記憶すると共に、制御部125によって作業領域として使用される。
【0076】
制御部125は、例えばCPUを用いて構成されており、記憶部124に記憶されているプログラムを実行することによって、送信側無線通信装置120の各種の機能を制御する。制御部125は、無線LAN通信部123#2が制御装置300からの個別コマンドを受信すると、受信した個別コマンドを出力するようHDMIインターフェイス121を制御する。
【0077】
また、制御部125は、HDMIインターフェイス121から入力されるHDMI信号を、無線LANによる無線回線#2を介して受信側無線通信装置200に送信するよう無線LAN通信部123#1を制御する。
【0078】
次に、図3(c)に示すように、送信側無線通信装置130は、有線LANインターフェイス131と、RGB信号入力部132と、無線LAN通信部133#1と、無線LAN通信部133#2と、記憶部134と、制御部135とを含む。
【0079】
有線LANインターフェイス131は、有線LANケーブルを介して再生装置513に接続される。有線LANインターフェイス131は、無線LAN通信部133#2によって受信された個別コマンド(HTTP)が制御部135から入力され、該個別コマンドを有線LANケーブルを介して送信する。有線LANインターフェイス131は、個別コマンドを出力するコマンド出力部に相当する。
【0080】
RGB信号入力部132は、RGBケーブルを介して、再生装置513のRGB出力(不図示)に接続される。RGB信号入力部132は、RGBケーブルを介してRGB信号が入力され、該RGB信号を制御部135に出力する。
【0081】
無線LAN通信部133#1は、受信側無線通信装置200との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部133#2は、制御装置300との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部133#1は、映像信号を無線回線を介して送信する映像信号送信部に相当する。
【0082】
記憶部134は、例えばメモリを用いて構成されており、制御部135によって実行されるプログラムを記憶すると共に、制御部135によって作業領域として使用される。
【0083】
制御部135は、例えばCPUを用いて構成されており、記憶部134に記憶されているプログラムを実行することによって、送信側無線通信装置130の各種の機能を制御する。制御部135は、無線LAN通信部133#2が制御装置300からの個別コマンドを受信すると、受信した個別コマンドを出力するよう有線LANインターフェイス131を制御する。
【0084】
また、制御部135は、RGB信号入力部132から入力されるRGB信号をHDMI信号に変換し、該HDMI信号を無線LANによる無線回線#3を介して受信側無線通信装置200に送信するよう無線LAN通信部133#1を制御する。
【0085】
なお、送信側無線通信装置110,120,130のそれぞれは、赤外線送信部111、コンポジット信号入力部112、HDMIインターフェイス121、有線LANインターフェイス131、RGB信号入力部132の全てを含んで構成されてもよい。このように構成することによって、コストは増大するものの、様々な再生装置に接続可能な送信側無線通信装置が提供される。
【0086】
(1.2.3)受信側無線通信装置の内部構成
図4は、受信側無線通信装置200の内部構成を示すブロック図である。
【0087】
図4に示すように、受信側無線通信装置200は、無線LAN通信部210#1と、無線LAN通信部210#2と、HDMIインターフェイス220と、記憶部230と、制御部240とを含む。
【0088】
無線LAN通信部210#1は、送信側無線通信装置110,120,130との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部210#2は、制御装置300との無線LAN通信を実行する。無線LAN通信部210#1は、送信側無線通信装置110,120,130毎に確立された無線回線#1〜#3を介して映像信号を受信する映像信号受信部に相当する。
【0089】
HDMIインターフェイス220は、HDMIケーブルを介して表示装置540に接続される。HDMIインターフェイス220は、映像信号を表示装置540への映像入力信号として出力する映像信号出力部に相当する。
【0090】
記憶部230は、例えばメモリを用いて構成されており、制御部240によって実行されるプログラムを記憶すると共に、制御部240によって作業領域として使用される。
【0091】
制御部240は、例えばCPUを用いて構成されており、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することによって、受信側無線通信装置200の各種の機能を制御する。制御部240は、無線LAN通信部210#1が無線回線#1〜#3の何れかを介して映像信号を受信すると、受信した映像信号を表示装置540への映像入力信号として出力するようHDMIインターフェイス220を制御する。
【0092】
また、制御部240は、無線LAN通信部210#2が入力切り替えコマンドを制御装置300から受信すると、無線回線#1〜#3のうち無線LAN通信部210#1が映像信号を受信すべき無線回線を切り替えるよう制御する。例えば、制御部240は、無線回線#1を介して受信した映像信号を表示装置540への映像入力信号として出力している際に、入力切り替えコマンドを受信すると、無線回線#2を介して受信した映像信号を表示装置540への映像入力信号として出力するよう切り替える。
【0093】
(2)映像伝送システムの動作
以下、本実施形態に係る映像伝送システムの動作について、(2.1)再生装置遠隔制御動作、(2.2)映像信号伝送動作、(2.3)連携制御動作の順に説明する。
【0094】
(2.1)再生装置遠隔制御動作
図5は、本実施形態に係る再生装置制御動作を示すフローチャートである。ここでは、再生装置511を遠隔制御するケースを説明する。
【0095】
図5に示すように、ステップS11において、制御装置300のリモコン受信部310は、リモコン301からの共通コマンドを受信する。
【0096】
ステップS12において、制御装置300の制御部340は、リモコン受信部310が受信した共通コマンドを、再生装置511向けの個別コマンドに変換する。詳細には、制御部340は、記憶部330に記憶されている再生装置511用のコマンドテーブルの中から、リモコン受信部310が受信した共通コマンドに対応する個別コマンドを取得する。
【0097】
ステップS13において、制御装置300の制御部340は、ステップS12で取得した個別コマンドを送信側無線通信装置110に送信するよう無線LAN通信部320を制御する。
【0098】
ステップS14において、送信側無線通信装置110の無線LAN通信部113#2は、制御装置300からの個別コマンドを受信する。
【0099】
ステップS15において、送信側無線通信装置110の制御部115は、無線LAN通信部113#2が受信した個別コマンドを出力するよう赤外線送信部111を制御する。その結果、再生装置511が個別コマンドによって制御される。
【0100】
(2.2)映像信号伝送動作
図6は、本実施形態に係る映像信号伝送動作を示すフローチャートである。ここでは、再生対象の再生装置が再生装置511であるケースを説明する。
【0101】
図6に示すように、ステップS21において、送信側無線通信装置110のコンポジット信号入力部112は、コンポジットケーブルを介して再生装置511からのコンポジット信号が入力される。
【0102】
ステップS22において、送信側無線通信装置110の制御部115は、コンポジット信号入力部112に入力されたコンポジット信号をHDMI信号に変換する。
【0103】
ステップS23において、送信側無線通信装置110の制御部115は、コンポジット信号を変換して得られたHDMI信号を無線LANによる無線回線#1を介して受信側無線通信装置200に送信するよう無線LAN通信部113#1を制御する。
【0104】
ステップS24において、受信側無線通信装置200の無線LAN通信部210#1は、無線回線#1を介してHDMI信号を受信する。
【0105】
ステップS25において、受信側無線通信装置200の制御部240は、無線LAN通信部210#1が受信したHDMI信号を表示装置540への映像入力信号として出力するようHDMIインターフェイス220を制御する。その結果、表示装置540がHDMI信号に応じた映像を表示する。
【0106】
(2.3)連携制御動作
以下、本実施形態に係る映像伝送システムの連携制御動作について説明する。なお、連携制御動作とは、映像伝送システムの何れかの装置に対する制御と連動させて、他の装置の動作を制御する動作を意味する。
【0107】
(2.3.1)連携制御動作1
入力切り替えを受信側無線通信装置200に指示する制御装置300は、入力切り替え時において、切り替え後の映像信号を出力すべき再生装置を電源オンするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を遠隔制御し、且つ、切り替え前の映像信号を出力していた再生装置を電源オフするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を遠隔制御する。
【0108】
例えば、再生対象の再生装置を再生装置511から再生装置512に切り替えるケースにおいては、制御装置300は、再生装置512を電源オンするように送信側無線通信装置120を遠隔制御し、且つ、再生装置511を電源オフするように送信側無線通信装置110を遠隔制御する。すなわち、制御装置300は、再生装置512を電源オンするための個別コマンドを送信側無線通信装置120に送信し、再生装置511を電源オフするための個別コマンドを送信側無線通信装置110に送信する。
【0109】
その結果、送信側無線通信装置120は再生装置512を電源オンするための個別コマンドを再生装置512に送信して再生装置512を電源オンし、送信側無線通信装置110は再生装置511を電源オフするための個別コマンドを再生装置511に送信して再生装置511を電源オフする。
【0110】
(2.3.2)連携制御動作2
制御装置300は、表示装置540が電源オフしたことに基づいて、再生装置511,512,513の全てを電源オフするように、送信側無線通信装置110,120,130を遠隔制御する。
【0111】
受信側無線通信装置200は表示装置540の電源オン/オフ状態を把握しており、制御装置300は、受信側無線通信装置200からの通知によって表示装置540の電源オフを検知することができる。なお、受信側無線通信装置200は、例えばHDMI信号におけるTMDS信号のクロック検出を用いて表示装置540の電源オン/オフ状態を把握可能である。
【0112】
例えば、制御装置300は、表示装置540の電源オフを検知すると、再生装置511を電源オフするための個別コマンドを送信側無線通信装置110に送信し、再生装置512を電源オフするための個別コマンドを送信側無線通信装置120に送信し、再生装置513を電源オフするための個別コマンドを送信側無線通信装置130に送信する。
【0113】
その結果、送信側無線通信装置110は再生装置511を電源オフするための個別コマンドを再生装置511に送信して再生装置511を電源オフし、送信側無線通信装置120は再生装置512を電源オフするための個別コマンドを再生装置512に送信して再生装置512を電源オフし、送信側無線通信装置130は再生装置513を電源オフするための個別コマンドを再生装置513に送信して再生装置513を電源オフする。
【0114】
(2.3.3)連携制御動作3
制御装置300は、再生装置511,512,513のうち一の再生装置が電源オンしたことに基づいて、受信側無線通信装置200が映像信号を受信すべき無線回線を、一の再生装置に対応する無線回線に切り替える。
【0115】
送信側無線通信装置110,120,130は再生装置511,512,513の電源オン/オフ状態をそれぞれ把握しており、制御装置300は、送信側無線通信装置110,120,又は130からの通知によって、再生装置511,512,又は513の電源オンを検知することができる。なお、送信側無線通信装置110は、例えばコンポジット信号におけるV−Sync信号を用いて再生装置511の電源オン/オフ状態を把握可能である。また、送信側無線通信装置120は、例えばHDMI信号におけるTMDS信号のクロック検出を用いて再生装置512の電源オン/オフ状態を把握可能である。さらに、送信側無線通信装置130は、例えばRGB信号における各種同期信号を用いて再生装置512の電源オン/オフ状態を把握可能である。
【0116】
例えば、制御装置300は、再生装置512の電源オンを検知すると、映像信号を受信すべき無線回線を無線回線#2に切り替えるための制御コマンドを受信側無線通信装置200に送信する。その結果、受信側無線通信装置200は、映像信号を受信すべき無線回線を無線回線#2に切り替える。
【0117】
(2.3.4)連携制御動作4
制御装置300は、再生装置511,512,513の全てが電源オフしたことに基づいて、表示装置540を電源オフするよう制御する。
【0118】
送信側無線通信装置110,120,130は再生装置511,512,513の電源オン/オフ状態をそれぞれ把握しており、制御装置300は、送信側無線通信装置110,120,130からの通知によって、再生装置511,512,513の全てが電源オフしたことを検知することができる。なお、送信側無線通信装置110は、例えばコンポジット信号におけるV−Sync信号を用いて再生装置511の電源オン/オフ状態を把握可能である。また、送信側無線通信装置120は、例えばHDMI信号におけるTMDS信号のクロック検出を用いて再生装置512の電源オン/オフ状態を把握可能である。さらに、送信側無線通信装置130は、例えばRGB信号における各種同期信号を用いて再生装置512の電源オン/オフ状態を把握可能である。
【0119】
例えば、制御装置300は、再生装置511,512,513の全てが電源オフしたことを検知すると、表示装置540を電源オフための制御コマンドを受信側無線通信装置200に送信する。受信側無線通信装置200は、表示装置540を電源オフための制御コマンドを受信すると、HDMIの制御コマンドを利用して、表示装置540を電源オフする。
【0120】
(3)実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態によれば、再生装置511,512,513毎に送信側無線通信装置110,120,130を設けることによって、再生装置511,512,513が複数の部屋等に分散して設置される場合でも、再生装置511,512,513の近傍に送信側無線通信装置110,120,130を設置可能であるため、再生装置511,512,513と送信側無線通信装置110,120,130とを容易に接続できる。また、入力切り替え機能を受信側無線通信装置200に持たせることによって、再生装置511,512,513に対して1つの表示装置540を使い回すことが可能である。従って、複数の部屋等に分散して設置された再生装置511,512,513が再生する映像を1つの表示装置540で表示できる映像伝送システムが提供される。
【0121】
さらに、本実施形態では、共通コマンドに基づいて制御装置300が送信側無線通信装置110,120,130を遠隔制御し、送信側無線通信装置110,120,130のそれぞれが該遠隔制御に従って、自装置に対応する再生装置が解読可能な個別コマンドを該再生装置に出力する。これにより、HDMI−CEC信号をサポートしていないアナログ方式等の再生装置についても遠隔制御することができる。また、リモコン301を操作するユーザは、例えばリビングに設置された表示装置540を用いて試聴しながら、複数の部屋に分散して設置されている再生装置511,512,513のそれぞれを遠隔制御することができる。
【0122】
本実施形態では、切り替え後の映像信号を出力すべき再生装置を電源オンするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を制御装置300が遠隔制御することによって、ユーザが該再生装置をオンするための操作を省略可能になるため、ユーザの利便性を高めることができる。また、切り替え前の映像信号を出力していた再生装置を電源オフするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を制御装置300が遠隔制御することによって、該再生装置の消費電力を削減可能になり、省エネルギー化を図ることができる。
【0123】
本実施形態では、表示装置540が電源オフしたことに基づいて、再生装置511,512,513の全てを電源オフするように、送信側無線通信装置110,120,130を遠隔制御することによって、各再生装置の消費電力を削減可能になり、省エネルギー化を図ることができる。
【0124】
本実施形態では、再生装置511,512,513のうち一の再生装置が電源オンしたことに基づいて、受信側無線通信装置200が映像信号を受信すべき無線回線を、該一の再生装置に対応する無線回線に切り替えることによって、ユーザによる入力切り替え操作を省略可能になるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0125】
本実施形態では、再生装置511,512,513の全てが電源オフしたことに基づいて、表示装置540を電源オフすることによって、表示装置540の消費電力を削減可能になり、省エネルギー化を図ることができる。
【0126】
本実施形態では、送信側無線通信装置110,120,130のそれぞれは、自装置に対応する再生装置からアナログ映像信号が入力される場合に、該アナログ映像信号をHDMI信号に変換した上で送信する。これにより、アナログ方式の再生装置を用いる場合でも、映像信号をデジタル伝送することが可能になる。
【0127】
(4)実施形態の変更例
上述した実施形態では、制御装置300が単体で構成されていたが、本変更例では、制御装置300は受信側無線通信装置200に内蔵される。
【0128】
図7は、本変更例に係る映像伝送システムの全体概略構成図である。ここでは、上述した実施形態との相違点を説明する。
【0129】
図7に示すように、本変更例に係る映像伝送システムでは、受信側無線通信装置200は、制御装置300’を内蔵する。この場合、受信側無線通信装置200及び制御装置300’で筐体が共通化される。また、制御部としてのCPUや記憶部としてのメモリ等は、受信側無線通信装置200及び制御装置300’で兼用してもよい。
【0130】
本変更例によれば、制御装置300が受信側無線通信装置200に内蔵されるため、制御装置としてのサーバを別途設ける必要が無く、コスト等を削減できる。
【0131】
(5)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0132】
上述した実施形態では、省エネルギー化を図るために、再生装置511,512,513の何れか1つが映像を再生するケースを説明したが、再生装置511,512,513の全てが並行して映像を再生してもよい。再生装置511,512,513の全てが並行して映像を再生し、送信側無線通信装置110,120,130の全てが並行して映像信号を送信する。受信側無線通信装置200は、各映像信号を受信するが、これらの映像信号のうちの1つを表示装置540への映像入力信号として出力し、残りの映像信号については記憶部230に一時的に記憶(バッファリングあるいはキャッシング)する。そして、受信側無線通信装置200は、入力切り替えが制御装置300から指示された場合に、記憶部230に記憶していた映像信号の中から切り替え後の映像信号を出力する。これにより、入力切り替えを即座に実施することが可能になり、表示装置540に表示される映像の瞬断期間を短縮できる。
【0133】
上述した実施形態では、送信側無線通信装置110,120,130と受信側無線通信装置200との間の無線通信に無線LANを利用していたが、無線LANに代えてワイヤレスHDMIを利用してもよい。ただし、ワイヤレスHDMIは、壁を越えての無線通信が難しいため、ワイヤレスHDMIよりも無線LANを利用する方が好ましい。
【0134】
また、送信側無線通信装置110,120,130がインターネットにもアクセス可能に構成されていてもよい。この場合、送信側無線通信装置110,120,130は、インターネット上に設けられた再生装置としての映像配信サーバからの映像信号を受信し、該受信した映像信号を受信側無線通信装置200に送信する。この場合、制御装置300内のコマンド変換テーブルに包含されていない装置のコマンド体系や、新しい装置のコマンド追加分をインターネット上のサーバからダウンロードして取得する様態であってもよい。
【0135】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0136】
110,120,130…送信側無線通信装置、111…赤外線送信部、112…コンポジット信号入力部、113#1,113#2…無線LAN通信部、114…記憶部、115…制御部、120…送信側無線通信装置、121…HDMIインターフェイス、123#1,123#2…無線LAN通信部、124…記憶部、125…制御部、130…送信側無線通信装置、131…有線LANインターフェイス、132…RGB信号入力部、133#1,133#2…無線LAN通信部、134…記憶部、135…制御部、200…受信側無線通信装置、210#1,210#2…無線LAN通信部、220…HDMIインターフェイス、230…記憶部、240…制御部、300…制御装置、301…リモコン、310…リモコン受信部、320…無線LAN通信部、330…記憶部、340…制御部、511,512,513…再生装置、512…再生装置、513…再生装置、520…送信側無線通信装置、521…リモコン、530…受信側無線通信装置、540…表示装置、541…リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の再生装置から表示装置へ映像信号を伝送する映像伝送システムであって、
前記複数の再生装置毎に設けられる複数の送信側無線通信装置と、
前記複数の送信側無線通信装置との無線通信を行うと共に、前記表示装置への映像入力信号を出力する受信側無線通信装置と、
を有し、
前記複数の送信側無線通信装置のそれぞれは、自送信側無線通信装置に対応する再生装置から入力される映像信号を無線回線を介して前記受信側無線通信装置に送信し、
前記受信側無線通信装置は、前記複数の送信側無線通信装置毎に確立された複数の無線回線を介して映像信号を受信し、該受信した映像信号を前記表示装置への前記映像入力信号として出力しており、
前記受信側無線通信装置は、前記映像入力信号の切り替えが指示された場合に、前記複数の無線回線のうち自受信側無線通信装置が映像信号を受信すべき無線回線を切り替えることを特徴とする映像伝送システム。
【請求項2】
前記複数の送信側無線通信装置を遠隔制御する制御装置をさらに有し、
前記制御装置は、ユーザ操作を受け付ける入力装置からの第1の制御コマンドに基づいて、前記複数の送信側無線通信装置を遠隔制御し、
前記複数の送信側無線通信装置のそれぞれは、前記制御装置からの遠隔制御に従って、自送信側無線通信装置に対応する再生装置が解読可能な第2の制御コマンドを該再生装置に出力することを特徴とする請求項1に記載の映像伝送システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記表示装置への前記映像入力信号の切り替え時において、切り替え後の映像信号を出力すべき再生装置を電源オンするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を遠隔制御することを特徴とする請求項2に記載の映像伝送システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記表示装置への前記映像入力信号の切り替え時において、切り替え前の映像信号を出力していた再生装置を電源オフするように、該再生装置に対応する送信側無線通信装置を遠隔制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の映像伝送システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記表示装置が電源オフしたことに基づいて、前記複数の再生装置の全てを電源オフするように、前記複数の送信側無線通信装置を遠隔制御することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の映像伝送システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記受信側無線通信装置を制御可能に構成されており、
前記制御装置は、前記複数の再生装置のうち一の再生装置が電源オンしたことに基づいて、前記受信側無線通信装置が映像信号を受信すべき無線回線を、前記一の再生装置に対応する無線回線に切り替えることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の映像伝送システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記表示装置を制御可能に構成されており、
前記制御装置は、前記複数の再生装置の全てが電源オフしたことに基づいて、前記表示装置を電源オフするよう制御することを特徴とする請求項2〜6の何れか一項に記載の映像伝送システム。
【請求項8】
前記複数の送信側無線通信装置のそれぞれは、自送信側無線通信装置に対応する再生装置からアナログ映像信号が入力される場合に、該アナログ映像信号を特定のデジタル映像信号に変換した上で前記受信側無線通信装置に送信することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の映像伝送システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記受信側無線通信装置に内蔵されることを特徴とする請求項2〜8の何れか一項に記載の映像伝送システム。
【請求項10】
前記複数の再生装置は、映像信号を並行して出力し、
前記複数の送信側無線通信装置は、前記複数の再生装置が出力する映像信号を並行して送信し、
前記受信側無線通信装置は、
前記複数の無線回線を介して複数の映像信号を並行して受信し、
前記複数の映像信号のうちの1つを前記映像入力信号として出力し、
前記複数の映像信号のうちの残りの映像信号を一時的に記憶し、
前記映像入力信号の切り替えが指示された場合に、前記記憶していた映像信号の中から切り替え後の映像信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の映像伝送システム。
【請求項11】
複数の再生装置から表示装置へ映像信号を伝送する映像伝送システムで用いられる送信側無線通信装置であって、
前記複数の再生装置のうち自送信側無線通信装置に対応する再生装置が出力する映像信号を無線回線を介して送信する映像信号送信部と、
制御装置からの遠隔制御に応じて、前記複数の再生装置のうち自送信側無線通信装置に対応する再生装置が解読可能な制御コマンドを該再生装置に出力するコマンド出力部と、
を有することを特徴とする送信側無線通信装置。
【請求項12】
複数の再生装置から表示装置へ映像信号を伝送する映像伝送システムで用いられる受信側無線通信装置であって、
複数の送信側無線通信装置毎に確立された複数の無線回線を介して映像信号を受信する映像信号受信部と、
該受信した映像信号を前記表示装置への映像入力信号として出力する映像信号出力部と、
を有し、
前記映像入力信号の切り替えが指示された場合に、前記複数の無線回線のうち自受信側無線通信装置が映像信号を受信すべき無線回線を切り替えることを特徴とする受信側無線通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−161038(P2012−161038A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21039(P2011−21039)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】