説明

映像表示装置

【課題】本発明は電力需要に対して供給可能電力が逼迫する時期に省電力動作を行う映像表示装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係る映像表示装置は、映像を表示する映像表示手段(液晶表示ディスプレイ6)と、液晶表示ディスプレイ6を制御する表示制御手段3と、周囲の温度を測定する温度センサ1と、温度センサ1の測定温度が第1の閾値を超えると、液晶表示ディスプレイ6を省電力動作させるよう表示制御手段3に指示する省電力設定手段2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力需給が逼迫する時期に省電力動作を行う映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に夏季にはエアコンの稼働率が高くなり、社会全体の消費電力(需要電力)が供給可能電力に対して逼迫する。需要電力が供給可能電力を超えると停電が発生し、社会生活や企業活動に多大な損害を与える。そのため、需要電力が供給可能電力を超えないように社会全体で制御することは極めて重要である。
【0003】
従来の映像表示装置の一つである液晶ディスプレイは、表示デバイスに液晶パネルを用い、バックライトを発光させて液晶パネルを照射するものである。このような液晶表示装置では、バックライトの輝度を調整することによって画面の明るさを調整し、消費電力を制御する。
【0004】
バックライトの輝度の調整例としては、例えば特許文献1に光センサを搭載した映像表示装置が示されている。この映像表示装置は、光センサで周囲の照度を測定し、測定結果に基づきバックライトの輝度を調整するものである。例えば、周囲の照度が高いと液晶のバックライトの輝度が高くなるように制御し、周囲の照度が低いと、バックライトの輝度が低くなるように制御する。これにより、周囲の照度によらず常にユーザーにとって見易い映像を表示している。
【0005】
また、消費電力の制御については、特許文献2に、電力会社の電力量料金に応じて消費電力の制御を行う映像表示装置が提案されている。電力量料金は時間帯や料金プランにより異なるものであり、例えば電力量料金が高い時間帯には暗めの映像を表示することにより消費電力を抑える一方、電力量料金が安い時間帯には明るめの映像を表示することにより、電気料金を比較的高騰させずに明るくダイナミックな映像を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−276425号公報
【特許文献2】特開2010−091643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に記載の映像表示装置は、一家庭で発生する電気料金を抑えることを目的としたものであり、電力需給が逼迫する時期に消費電力を抑えることを目的としたものではない。
【0008】
そこで、本発明は電力需給が逼迫する時期に省電力動作を行う映像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る第1の映像表示装置は、映像を表示する映像表示手段と、前記映像表示手段を制御する表示制御手段と、周囲の温度を測定する温度センサと、前記温度センサの測定温度が第1の閾値を超えると、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する省電力設定手段とを備える。
【0010】
また、本発明に係る第2の映像表示装置は、映像を表示する映像表示手段と、前記映像表示手段を制御する表示制御手段と、電力需給逼迫時期に関する情報を含む電力需給情報を外部から取得する電力需給情報取得手段と、前記電力需給逼迫時期に関する情報を基に、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する省電力設定手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る第1の映像表示装置は、温度センサの測定温度が第1の閾値を超えると、映像表示手段を省電力動作させるよう表示制御手段に指示する省電力設定手段を備えるので、周囲の温度から電力需給逼迫時期を判断して省電力動作を行う事が出来る。
【0012】
また、本発明に係る第2の映像表示装置は、電力需給逼迫時期に関する情報を含む電力需給情報を基に、映像表示手段を省電力動作させるよう表示制御手段に指示する省電力設定手段を備えるので、電力需給逼迫時期に省電力動作を行う事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態2に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態3に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態3に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態4に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態4に係る映像表示装置が用いる電力需給情報データベースの一例を示す図である。
【図8】実施の形態4に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態5に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態6に係る映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態6に係る映像表示装置が用いる電力需給情報データベースの一例を示す図である。
【図12】実施の形態6に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、映像表示装置の一例として、液晶ディスプレイを有する液晶表示装置を採り上げて説明を行うが、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイなど、液晶ディスプレイ以外の表示デバイスを有する映像表示装置に対しても本発明は適用可能なものである。
【0015】
(実施の形態1)
夏季にはエアコン等の空調機器が各家庭や職場、企業の工場等で多数使用されることから、夏季は一般に需要電力が供給電力に対して逼迫する電力需給逼迫時期である。そこで本実施の形態の映像表示装置は、動作時期を夏季と判断すると省電力モードで動作して消費電力を低減する。
【0016】
<構成>
図1は、実施の形態1に係る映像表示装置の一例として液晶表示装置の構成を示している。この液晶表示装置は、周囲の温度を測定する温度センサ1の他、省電力設定手段2、液晶ディスプレイ6、液晶ディスプレイ6を制御する表示制御手段3を備えている。
【0017】
液晶ディスプレイ6は、表示デバイスとしての液晶パネル7と、液晶パネル7を照射する光源としてのバックライト8を有している。
【0018】
表示制御手段3は、液晶パネル7の画質を補正する画質補正手段5と、バックライト8の発光輝度を制御するバックライト制御手段4を有している。
【0019】
温度センサ1は周囲の温度を測定し、測定結果を温度情報として省電力設定手段2に送る。
【0020】
省電力設定手段2は、温度センサ1から温度情報を受けて、装置の動作時期が夏季であるか否かを判断し、夏季である場合には装置の動作モードを省電力モードに設定して消費電力を抑制する。
【0021】
<動作>
省電力設定手段2は、温度センサ1の測定温度を閾値と比較することにより動作時期が夏季か否かの判別を行う。例えば本装置が設置される室内は、たとえエアコンが稼働中であっても夏季は24℃以上であることが多いので、閾値を24℃と設定し測定温度が24℃を超えた場合に夏季と判断する。なお、測定温度の閾値は予め設定する他、使用環境に応じた値をユーザーがユーザーインターフェース(図示せず)を介して任意に設定しても良い。
【0022】
省電力設定手段2は夏季と判断すると、液晶ディスプレイ6を省電力動作させるように表示制御手段3に指示する。すなわち、省電力設定手段2は、バックライト8の発光輝度を制御するパラメータ(バックライト制御値)を、通常値よりも発光輝度を下げる省電力値に変更する。バックライト制御手段4は、省電力設定手段2で省電力値に変更されたバックライト制御値に従いバックライト8を制御することにより、バックライト8の発光輝度は低下し、消費電力が抑制される。
【0023】
当然ながら、バックライト8の発光輝度を下げると液晶パネル7に表示される映像は暗く、見づらくなる。そのため、省電力設定手段2は画質補正手段5に液晶パネル7の画質設定を補正するよう指示する。ここで画質設定の補正とは、例えばコントラストを強くする補正である。画質補正手段5は省電力設定手段2の画質補正指示に基づき、映像が見づらくなることがないように液晶パネル7の画質設定を補正する。
【0024】
以上に説明した省電力設定手段2、バックライト制御手段4、及び画質補正手段5の動作を図2のフローチャートを用いて再び説明する。
【0025】
まず、省電力設定手段2は温度センサ1からの気温情報を参照して、気温が24℃以上であるかどうかを判定する(ステップS201)。気温が24℃未満(ステップS201でNo)である場合は映像表示装置の動作時期が夏季ではないと判別し、バックライト制御値に通常値を設定する(ステップS220)。この場合、画質補正は行わない。
【0026】
気温が24℃以上(ステップS201でYes)である場合は、映像表示装置の動作時期が夏季であると判別し、バックライト制御値に省電力値を設定する(ステップS202)。省電力値に基づきバックライト8の発光輝度が通常時よりも低下するので、省電力設定手段2は画質補正手段5に画質補正指示を出す。そして画質補正手段5は、画質補正指示に基づき液晶パネル7の表示映像が見づらくならないように画質補正を行う(ステップS203)。
【0027】
次にステップS204では、バックライト制御手段4が省電力設定手段2で設定したバックライト制御値に従いバックライト8の発光輝度を制御し、映像が液晶パネル7に表示される。バックライト制御値に通常値が設定されている場合、バックライト8は通常の輝度で発光し、バックライト制御値に省電力値が設定されている場合、バックライト8は通常時よりも低輝度で発光する。
【0028】
このように本実施の形態の映像表示装置では、省電力設定手段2が動作時期を夏季と判別した場合にバックライト8の発光輝度が低下するので、社会全体の消費電力を低減すべき電力需給逼迫時期に消費電力を低減する。
【0029】
なお、省電力モードと通常モードが頻繁に切り替わることを避けるため、一旦設定を変更した後は一定時間変更しないようにしたり、温度センサ1の測定温度の閾値にヒステリシスを持たせたりしても良い。
【0030】
また、省電力モードではバックライト8の発光輝度を低下させたが、液晶パネル7の画質設定の変更により消費電力を低減しても良い。
【0031】
<効果>
実施の形態1に係る映像表示装置は、映像を表示する液晶ディスプレイ6(映像表示手段)と、液晶ディスプレイ6を制御する表示制御手段3と、周囲の温度を測定する温度センサ1と、温度センサ1の測定温度が第1の閾値を超えると、液晶ディスプレイ6を省電力動作させるよう表示制御手段3に指示する省電力設定手段2とを備えるので、周囲の温度から装置の動作時期が夏季であるか否かを判別することができる。夏季に省電力動作を行うことにより、電力需給逼迫時期に消費電力を抑制する。
【0032】
また、実施の形態1に係る映像表示装置において、映像表示手段は、液晶パネル7と、液晶パネル7を照射するバックライト8とを備え、表示制御手段3は、バックライト8の輝度を下げることにより前記映像表示手段を省電力動作させるので、夏季に省電力動作を行うことにより、電力需給逼迫時期に消費電力を抑制する。
【0033】
(実施の形態2)
実施の形態1では周囲の温度から装置の動作時期が夏季であるか否かを判別したが、実施の形態2では周囲の湿度も測定することにより、装置の動作時期をより高精度に判別する。
【0034】
<構成>
図3は、実施の形態2に係る映像表示装置の一例として液晶表示装置の構成を示している。この液晶表示装置の構成は、周囲の湿度を測定する湿度センサ9を備える。それ以外の構成は図1に示した実施の形態1に係る映像表示装置の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
<動作>
湿度センサ9は装置の周囲の湿度を測定し、測定結果を湿度情報として省電力設定手段2に渡す。省電力設定手段2は温度センサ1の測定温度と湿度センサ9の測定湿度に基づき、装置の動作時期が夏季であるか否かを判別する。
【0036】
温度と湿度の組み合わせから得られる数値として不快指数が一般に知られている。不快指数は、温度をa(℃)、湿度をb(%)とした場合に式(1)で表される。
【0037】
0.81a+0.01b(0.99a−14.3)+46.3・・・(1)
【0038】
不快指数が80を超えるとほとんどの人は暑く不快に感じることから、エアコンを稼動させる確率が高い。そこで、省電力設定手段2は測定温度と測定湿度から式(1)を用いて不快指数を算出する。不快指数の閾値を80と設定し、不快指数が80以上である場合に動作時期を夏季と判断する。なお、不快指数の閾値は予め設定する他、使用環境に応じた値をユーザーがユーザーインターフェース(図示せず)を介して任意に設定しても良い。
【0039】
動作時期を夏季と判断すると、動作モードを通常モードから省電力モードに変更してバックライト8の発光輝度を下げる制御を行う。通常モードや省電力モードでの映像表示装置の動作は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
このように、省電力設定手段2が温度情報と湿度情報に基づき動作時期が夏季であると判断した場合にバックライト8の発光輝度を落とすことにより、電力需給逼迫時期に消費電力を低減する。また、温度情報に加えて湿度情報を動作時期の判断材料として用いるので、電力需給逼迫時期を精度良く判断することが可能である。
【0041】
なお、省電力モードと通常モードが頻繁に切り替わることを避けるため、一旦動作モードを変更した後は一定時間変更しないようにしたり、不快指数の閾値にヒステリシスを持たせたりしても良い。
【0042】
また、省電力モードではバックライト8の発光輝度の低下を行ったが、液晶パネル7の画質設定の変更により消費電力を低減しても良い。
【0043】
<効果>
実施の形態2に係る映像表示装置は、周囲の湿度を測定する湿度センサ9を備え、省電力設定手段2は、温度センサ1の測定温度と湿度センサ9の測定湿度から算出される不快指数(所定の指数)が第2の閾値を超えると、液晶ディスプレイ6(映像表示手段)を省電力動作させるよう表示制御手段3に指示するので、社会全体の消費電力を低減すべき電力需給逼迫時期に消費電力を低減する。温度情報に加えて湿度情報を動作時期の判断材料として用いるので、電力需給逼迫時期を高精度に判断することが可能である。
【0044】
(実施の形態3)
実施の形態3では気温情報の他に日時情報(日付情報及び時刻情報)を用いて、装置の動作時期が夏季であるか否かを高精度に判別する。
【0045】
<構成>
図4は、実施の形態3に係る映像表示装置の一例である液晶表示装置の構成を示している。実施の形態3に係る液晶表示装置は、現在の日時を計時する日時計時手段として、現在の日付を示すカレンダー10と現在の時刻を示す時計11を備える。これ以外の構成は図1に示した実施の形態1に係る液晶表示装置の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
<動作>
実施の形態3に係る液晶表示装置の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。図5のフローチャートは、実施の形態1で説明した図2のフローチャートにステップS230を加えたものであり、他は図2のフローチャートと同様である。そのため、ステップS230についてのみ以下に説明する。
【0047】
省電力設定手段2で測定温度が閾値の24℃以上であると判断すると(ステップS201でYes)、省電力設定手段2はカレンダー10、時計11からそれぞれ入手した現在の日付、時刻が省電力期間内であるか否かを判断する(ステップS230)。ここで省電力期間とは、需要電力が供給可能電力に対して逼迫状態にあると判断される期間のことであり、予め設定されている。例えば、7月及び8月の平日の9時から17時の時間帯には、ほとんどのエアコンが稼動し、かつ企業の工場も稼動状態にあるため、当該期間を省電力期間と設定する。
【0048】
省電力設定手段2は現在の日時が省電力期間内であると判断すると(ステップS230でYes)、バックライト制御値を省電力値に設定する(ステップS202)。一方、現在の日時が省電力期間外であると判断した場合には(ステップS230でNo)、バックライト制御値を通常値に設定する。
【0049】
その後の動作は実施形態1で説明した図2のフローチャートにおける動作と同様であるので、説明を省略する。
【0050】
このように実施の形態3の映像表示装置では、測定温度から動作時期が夏季であると判別し、かつ現在の日時が省電力期間内である場合に限って省電力動作を行う。測定温度が閾値よりも高い場合でも、現在の日時が省電力期間外である場合には通常動作を続けるため、電力需給が逼迫していない時期に、本装置のみが例外的に高い温度環境の下に設置されている等の理由で省電力動作をすることを防ぐ。
【0051】
以上の説明では、実施の形態1の映像表示装置の構成に日時計時手段を追加した例を示したが、湿度センサ9を備える実施の形態2の映像表示装置の構成に日時保持手段を追加しても良い。この場合の映像表示装置は、測定温度と測定湿度から算出した不快指数から動作時期が夏季であると判別し、かつ現在の日時が省電力期間内である場合に限って省電力動作を行う。
【0052】
また、現在の日時が省電力期間内にあるかどうかのみに基づいて動作モードを決定しても良い。この場合には温度センサ1や湿度センサ9は必要ではなく、映像表示装置の構成を簡単にすることが出来る。
【0053】
<効果>
実施の形態3の映像表示装置は、温度センサ1や湿度センサ9に加えて、現在の日時を計時する日時計時手段(カレンダー10、時計11)を備え、省電力設定手段2は、電力需給逼迫時期に対応して予め設定した省電力期間に現在の日時が該当する場合に、液晶ディスプレイ6(映像表示手段)を省電力動作させるよう表示制御手段3に指示する。測定温度から動作時期を夏季と判別し、あるいは測定温度と測定湿度から算出した不快指数から動作時期を夏季と判別し、さらに現在の日時が省電力期間内である場合に限って省電力動作を行うことにより、電力需給逼迫時期ではないにも拘らず例外的に高い温度環境や不快指数環境の下に設置されているために省電力で動作することを防ぐ。
【0054】
また、実施の形態3の映像表示装置は、映像を表示する液晶ディスプレイ6(映像表示手段)と、映像表示手段を制御する表示制御手段3と、現在の日時を計時する日時計時手段(カレンダー10、時計11)と、電力需給逼迫時期に対応して予め設定した省電力期間に現在の日時が該当する場合に、映像表示手段を省電力動作させるよう表示制御手段3に指示する省電力設定手段2とを備える。現在の日時が省電力期間内に含まれるか否かによって動作モードを決定することにより、電力需給逼迫時期に消費電力を抑制することが出来る。また、温度センサや湿度センサを必要としないので、装置の構成を簡単にすることが出来る。
【0055】
(実施の形態4)
近年の映像表示装置はネットワークに接続可能なものが殆どである。そこで、実施の形態4の映像表示装置はネットワーク上の電力需給情報データベースから電力需給情報を取得し、これを参照して動作モードを決定する。これにより、設置環境によらずに動作モードを決定するので、複数の映像表示装置において等しい判別条件で動作モードを決定する。
【0056】
<構成>
図6は、実施の形態4に係る映像表示装置の一例である液晶表示装置の構成を示している。この液晶表示装置は、図4に示した実施の形態3に係る映像表示装置から温度センサ1を除去し、ネットワーク接続手段12と地域情報記憶手段14を追加したものである。
【0057】
ネットワーク接続手段12は電力需給情報取得手段として動作し、ネットワークに接続して電力需給情報をはじめとする各種情報を取得する。地域情報記憶手段14は、映像表示装置が設置されている地域名を地域情報として記憶する。地域情報は、例えばユーザーがユーザーインターフェース(図示せず)を介して映像表示装置に予め設定することが可能である。
【0058】
<動作>
時計11において一定時間が経過する毎に、省電力設定手段2はネットワーク接続手段12を介してネットワーク上のサーバー等に保存された電力需給情報データベース13にアクセスし、電力需給情報を取得する。
【0059】
図7に電力需給情報データベース13の一例を示す。電力需給情報データベース13には東京都や大阪府といった地域別に、日付および時間帯ごとの電力需給情報として供給可能電力と予想需要電力が記載されている。さらに、予想需要電力が供給可能電力を超える場合は×、予想需要電力が供給可能電力に逼迫する場合には△、供給可能電力が予想需要電力に対して余裕がある場合には○というように、電力需給逼迫状況に関する判定結果が記されている。
【0060】
電力需給情報データベース13は、ネットワーク接続手段12を介して一定間隔で省電力設定手段2に入力される。省電力設定手段2では、地域情報記憶手段14に記憶されている地域名に該当する電力需給情報データベース13のデータ列を検索する。例えば、地域情報記憶手段14に「東京都」と記憶されている場合、図7に示す電力需給情報データベース13のうち「地域」が「東京都」に該当する上の表を選択する。そして、カレンダー10と時計11から得られる日時情報を基に、現在の時刻が△や×と判定されている時間帯に該当する場合には省電力モードで動作する。図7の例によれば、東京都に設置された映像表示装置は4月25日の9時〜12時、12時〜15時、及び15時〜18時に省電力モードで動作し、それ以外の時間帯では通常モードで動作する。
【0061】
図8は、実施の形態4に係る映像表示装置の動作を示すフローチャートである。図8において、省電力設定手段2はネットワーク上の電力需給情報を取得すると(ステップS240)、当該データベース13から、地域情報記憶手段14に記憶された地域名と一致するデータ列を検索する(ステップS241)。次に、当該データ列のうち、カレンダー10と時計11から得られる日時情報に一致するデータをさらに検索し、当該データの判定結果が○か否かを判別する。これにより、現在日時において省電力動作が必要か否かを判定している(ステップS242)。判定結果が○であれば電力需給は逼迫していないので、バックライト制御値に通常値を設定し(ステップS220)、判定結果が○以外であればバックライト制御値に省電力値を設定する(ステップS202)。その後の動作は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
このように実施の形態4の映像表示装置では、電力需給情報データベース13を参照して電力需給情報に基づき省電力モードで動作すべきか否かを判断するため、同一の映像表示装置であれば、設置環境によらず等しい判別条件で動作モードを決定する。そのため、本実施の形態の映像表示装置が一地域に多数設置されている場合には、1台の映像表示装置が省電力モードで動作すると、当該地域の他の全ての映像表示装置が共通して省電力モードで動作するので、社会全体として大きな省電力効果を奏する。
【0063】
<効果>
実施の形態4に係る映像表示装置は、映像を表示する液晶ディスプレイ6(映像表示手段)と、液晶ディスプレイ6を制御する表示制御手段3と、電力需給逼迫時期に関する情報を含む電力需給情報を外部から取得する電力需給情報取得手段と、電力需給情報を基に、液晶ディスプレイ6を省電力動作させるよう表示制御手段3に指示する省電力設定手段2とを備えるので、電力需給逼迫時期に消費電力を低減することが出来る。また、同一の映像表示装置であれば、設置環境によらず等しい判別条件で動作モードを決定するため、本実施の形態の映像表示装置が一地域に多数設置されている場合には、1台の映像表示装置が省電力モードで動作すると、当該地域の他の全ての映像表示装置が共通して省電力モードで動作するので、社会全体として大きな省電力効果を奏する。
【0064】
また、電力需給情報取得手段(ネットワーク接続手段12)は、接続したネットワーク上の電力需給情報を取得するので、電力需給情報を取得するのに通常の映像表示装置が備える手段を用いることができ、複雑な構成を必要としない。
【0065】
(実施の形態5)
映像表示装置の多くは放送波の受信機を内蔵している。また近年、放送波の帯域の放送以外の部分を用いてソフトウェアを送信し、製品のソフトウェアを書き換えたり不具合を解消したりするサービス(ダウンロードサービス)が行われている。そこで、実施の形態5の映像表示装置はダウンロードサービスから電力需給情報データベースを取得し、当該電力需給情報にしたがって動作モードを決定する。
【0066】
電力需給情報データベースをネットワークからではなく放送波から取得すること以外は、実施の形態4と同様である。これにより、実施の形態4の映像表示装置と同じく、同一の映像表示装置であれば設置環境によらず等しい判別条件で動作モードを決定することが可能になる。
【0067】
<構成>
図9は、実施の形態5に係る映像表示装置の一例である液晶表示装置の構成を示している。この液晶表示装置は、図6に示した実施の形態4に係る映像表示装置の構成からネットワーク接続手段を除去し、アンテナ15、チューナ16、及び情報抽出手段17を加えたものである。
【0068】
チューナ16はアンテナ15が受信した放送波の所望の放送チャンネルを選局する。情報抽出手段17は、チューナ16が選択した放送チャンネルから所望のデータを抽出することができ、放送チャンネルから電力需給情報データベースを取得する電力需給情報取得手段として動作する。
【0069】
これ以外の構成については、ネットワーク接続手段がない他は実施の形態4に係る映像表示装置と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
<動作>
アンテナ15で受信した放送波はチューナ16に入力される。チューナ16では、ダウンロードサービスが行われている放送チャンネルを選局する。当該放送チャンネルが選局されると、情報抽出手段17にデータ列が入力される。情報抽出手段17では、入力されたデータ列から電力需給情報データベースを取得し、省電力設定手段2に送る。電力需給情報データベースは例えば図7に示すものであり、詳細は実施の形態4で既に説明したのでここでは省略する。
【0071】
省電力設定手段2は電力需給情報データベースに基づいて装置の動作モードを決定するが、その詳細は実施の形態4の映像表示装置と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
実施の形態4の映像表示装置では、電力需給情報を参照して省電力モードで動作すべきか否かを判断するため、同一の映像表示装置であれば、設置環境によらず等しい判別条件で動作モードを決定する。そのため、本実施の形態の映像表示装置が一地域に多数存在する場合には、1台の映像表示装置が省電力モードで動作する場合、他の全ての映像表示装置でも共通して省電力モードで動作するので、社会全体として大きな省電力効果を奏する。
【0073】
<効果>
本実施の形態の映像表示装置において、電力需給情報取得手段は受信した放送波から電力需給情報を取得するので、電力需給情報を取得するのに通常の映像表示装置が備える手段を用いることができ、複雑な構成を必要としない。
【0074】
(実施の形態6)
一地域に映像表示装置が多数存在する場合、電力需給の逼迫を改善するのに、全ての映像表示装置を一律に省電力モードで動作させなくとも、一部の映像表示装置のみの省電力動作で十分な場合が考えられる。
【0075】
そこで実施の形態6では、一地域に存在する全映像表示装置に対して省電力モードで動作する映像表示装置の割合を、電力需給の逼迫状況に応じて制御することにより、電力需給の逼迫状況を改善するのに必要な最小限の映像表示装置のみを省電力動作させる。
【0076】
<構成>
図10は、実施の形態6に係る映像表示装置の一例である液晶表示装置の構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、図6に示した実施の形態4の液晶表示装置の構成に加えて、固有番号記憶手段18を備えたものである。固有番号記憶手段18は例えば不揮発メモリであって、装置1台ごとに異なる固有番号が装置の製造時に予め書き込まれている。固有番号記憶手段18以外の構成は実施の形態4の液晶表示装置と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
<動作>
省電力設定手段2は、時計11で一定時間が経過するたびに、ネットワーク接続手段13を通じてネットワークに接続し、ネットワーク上に保存されている電力需給情報データベース13にアクセスして、電力需給情報を取得する。
【0078】
電力需給情報データベースの一例を図11に示す。この電力需給情報データベースは図7の電力需給情報データベースと基本的に同じであるが、地域名、日付、時間帯ごとの供給可能電力と予想需要電力に加えて、「対象番号末尾」が記載されている点が異なる。
【0079】
省電力設定手段2は、地域情報記憶手段14に記憶された地域名を基に電力需給情報データベースを検索する。例えば地域名が東京都である場合、地域が東京都に該当するデータ列、すなわち図11の上の表を選択する。
【0080】
さらに、カレンダー10と時計11から得られる日時情報を参照する。現在時刻が○と判定された時間帯に該当する場合は、通常モードの動作を続ける。現在時刻が△か×と判定された時間帯に該当する場合は、次に対象番号末尾を参照する。
【0081】
ここで対象番号末尾とは、省電力モードで動作する対象となる映像表示装置の固有番号の末尾のことである。例えば固有番号記憶手段18に記憶されている固有番号の末尾が4であるとすると、図11の例では2011年4月25日の12〜15時に、映像表示装置は省電力モードでの動作を行う。
【0082】
以上に説明した映像表示装置の動作を、図12のフローチャートを用いて再び説明する。
【0083】
図12において、省電力設定手段2はネットワーク上の電力需給情報を取得すると(ステップS240)、当該データベース13から、地域情報記憶手段14に記憶された地域名と一致するデータ列を検索する(ステップS241)。次に、当該データ列のうち、カレンダー10と時計11から得られる日時情報に一致するデータをさらに検索し、当該データの判定結果が○か否かを判別する。これにより、現在日時において省電力動作が必要か否かを判定している(ステップS242)。判定結果が○であれば電力需給は逼迫していないので省電力動作は不要であると判断し(ステップS242でNo)、バックライト制御値に通常値を設定する(ステップS220)。判定結果が△か×であれば省電力動作が必要であると判断し(ステップS242でYes)、ステップS250に進む。
【0084】
ステップS250では、本映像表示装置の固有番号が省電力動作の対象装置の番号に該当するか否かを判断する。省電力設定手段2は、固有番号記憶手段18に記憶された映像表示装置の固有番号を参照し、その固有番号の末尾が電力需給情報の対象番号末尾と一致するか否かを判別する。一致しない場合(ステップS250でNo)はバックライト制御値に通常値を設定し(ステップS220)、一致する場合(ステップS250でYes)はバックライト制御値に省電力値を設定する(ステップS202)。その後の処理は実施形態1の場合と同じであり、説明を省略する。
【0085】
このように実施の形態6の映像表示装置では、電力需給情報による電力逼迫時期の判断に加えて、固有番号の末尾が電力需給情報に記載された対象番号末尾と一致する場合にのみ省電力モードで動作する。そのため、各製品ごとに個別に省電力設定を行うか否かを制御することが出来る。すなわち、電力の逼迫度に応じて一地域に設置された映像表示装置のうち省電力設定で動作させるものの割合を可変に制御することにより、必要最小限の映像表示装置を省電力モードで動作させることが出来る。
【0086】
なお、上記には固有番号の末尾を参照して省電力動作の対象か否かを判別するものとしたが、省電力動作の対象装置の判別方法はこれに限らない。
【0087】
また、上記には実施の形態6の映像表示装置を、実施の形態4の映像表示装置の構成に固有番号記憶手段18を追加した構成として説明したが、実施の形態5の映像表示装置の構成に固有番号記憶手段18を追加した構成としても良い。この場合には電力需給情報の取得先がネットワーク上から放送波に変わるが、基本的な動作は同様である。
【0088】
<効果>
実施の形態6に係る映像表示装置では、各映像表示装置が固有番号を有し、省電力設定手段2は、前記固有番号が前記電力需給情報に記された省電力動作の対象となる装置の固有番号に該当する場合に、液晶ディスプレイ6(映像表示手段)を省電力動作させるよう表示制御手段3に指示する。これにより各映像表示装置毎に動作モードの制御を行う事が出来るので、電力需給の逼迫を解消するのに必要なだけの最小限の映像表示装置を省電力モードで動作させることが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 温度センサ、2 省電力設定手段、3 表示制御手段、4 バックライト制御手段、5 画質補正手段、6 液晶ディスプレイ、7 液晶パネル、8 バックライト、9 湿度センサ、10 カレンダー、11 時計、12 ネットワーク接続手段、13 電力需給情報データベース、14 地域情報記憶手段、15 アンテナ、16 チューナ、17 情報抽出手段、18 固有番号記憶手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する映像表示手段と、
前記映像表示手段を制御する表示制御手段と、
周囲の温度を測定する温度センサと、
前記温度センサの測定温度が第1の閾値を超えると、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する省電力設定手段とを備える、
映像表示装置。
【請求項2】
周囲の湿度を測定する湿度センサをさらに備え、
前記省電力設定手段は、前記温度センサの測定温度と前記湿度センサの測定湿度から算出される所定の指数が第2の閾値を超えると、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する、
請求項1に記載の映像表示装置
【請求項3】
現在の日時を計時する日時計時手段をさらに備え、
前記省電力設定手段は、電力需給逼迫時期に対応して予め設定した省電力期間に現在の日時が該当する場合に、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する、
請求項1又は2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
映像を表示する映像表示手段と、
前記映像表示手段を制御する表示制御手段と、
現在の日時を計時する日時計時手段と、
電力需給逼迫時期に対応して予め設定した省電力期間に現在の日時が該当する場合に、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する省電力設定手段とを備える、
映像表示装置。
【請求項5】
映像を表示する映像表示手段と、
前記映像表示手段を制御する表示制御手段と、
電力需給逼迫時期に関する情報を含む電力需給情報を外部から取得する電力需給情報取得手段と、
前記電力需給情報を基に、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する省電力設定手段とを備える、
映像表示装置。
【請求項6】
前記電力需給情報取得手段は、接続したネットワーク上の前記電力需給情報を取得する、
請求項5に記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記電力需給情報取得手段は、受信した放送波から前記電力需給情報を取得する、
請求項5に記載の映像表示装置。
【請求項8】
前記映像表示装置は固有番号を有し、
前記省電力設定手段は、前記固有番号が前記電力需給情報に記された省電力動作の対象となる装置の固有番号に該当する場合に、前記映像表示手段を省電力動作させるよう前記表示制御手段に指示する、
請求項5〜7のいずれかに記載の映像表示装置。
【請求項9】
前記映像表示手段は、
液晶パネルと、
前記液晶パネルを照射するバックライトとを備え、
前記表示制御手段は、前記バックライトの輝度を下げることにより前記映像表示手段を省電力動作させる、
請求項1〜8のいずれかに記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−15774(P2013−15774A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150299(P2011−150299)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】