説明

時計バンド取替え作業用プロテクター

【課題】時計バンド交換時に於いて、鋭利な先端部を有するバネ棒外しによる手指の損傷の防止、及びバネ棒の紛失防止。
【解決手段】時計バンド取替え作業用プロテクターの本体に強靭な素材の指保護壁部を設け、該指保護壁部は、腕時計に設けられた時計バンド取り付けラグの少なくとも片側を覆うに足りる形状としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腕時計のバンド取替え作業時に於ける、鋭利な先端部のバネ棒外し具による指先の損傷、及び腕時計の損傷の防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バネ棒外し具には(例えば、非特許文献1参照。)がある。また、バンド取替え作業時の作業台として(例えば、非特許文献2参照。)がある。
【先行技術文献】
【0003】
【非特許文献1】ベルジョン社(原語標記BERGEON)、オンラインカタログ、アイテムNo.3153、ツール フォー スプリングバーズ。
【非特許文献2】ベルジョン社(原語標記BERGEON)、オンラインカタログ、アイテムNo.5394、ケーシング クッション。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時計バンドの取替えは、多汗時期に於ける革バンドから金属製ブレスレットへの取替え、革バンドが疲弊しての新品への取替えと言った、頻度の低いものに限らない。腕時計に於いて、時計バンドの取替えは時計そのものの表情を大きく変えるものであり、時計好き、或いは腕時計をファッションの一部と捉える人にあっては、頻繁な取替えがなされている。
【0005】
腕時計に於ける、一般的な時計バンドの取り付け態様は、図6のようなバネ棒が用いられている。時計バンドを取り付けるための腕時計に設けられているラグの先端部には、バネ棒を保持する穴が設けられている。古い時代に於いては、この穴はラグを貫通するものであり、この場合のバネ棒の取り外しは、外側からこの穴に細いピンを差し込むことで容易にバネ棒の取り外しが可能であった。
【0006】
しかし、近年に於いては、前記穴は意匠的見地から、ラグを貫通するものではなく、適当な深さの内側から穿った穴が主流となっている。
【0007】
このため、時計バンドの装着状態に於いては、バネ棒の存在は確認出来てもそれを目視する事が出来ないものである。更に、最近の傾向に見られる腕時計の大型化に伴い、バネ棒もこれに見合った強度を備え、バネの反発力も旧来のものに比べ大きなものとなってきている。即ち、取り付け取り外し時にバネ棒外しの先端部に、より大きな力を加える必要がある。
【0008】
バネ棒外し具は種々市販されているが、バネ棒の形状が一般的には図6のものであるので、バネ棒外し具の先端部形状は同図に示すようなV字状にカットされたテーパー状の鋭利なものとなっている。
【0009】
時計業界に於いては、時計バンドの交換や簡単な外装のメンテナンス作業時は図5に示す円形台座状の、通称クッション作業台と言われている台を用いて行われる。時計バンドの取替えの場合、時計を裏返しこの台の上で仰向けにして行う場合もあるが、時計バンドを取り外した瞬間にバネ棒を勢いよく飛ばして紛失してしまう場合がある。これを防ぐ意味で、通常は図5のように人差し指を背後に介して慎重に行うものである。
【0010】
前記、目視出来ない状態での鋭利なバネ棒外しでの取替え作業は、所謂手探り状態とも言えるもので、手元が狂った場合、グサリと指先を突き刺す事態を招く危険なものでもある。
【0011】
本発明は、前記不都合を解消し安全な時計バンドの取替えを可能とするプロテクターを実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に於いては、プロテクター本体に、強靭な素材の指保護壁部を設け、該指保護壁部は、腕時計に設けられた時計バンド取り付けラグの少なくとも片側を覆うに足りる形状としている。強靭な素材として、例えば皮革が挙げられるが、バネ棒外しの鋭利な刃先から指を保護するに十分なものであればその種類は問わない。また、合成樹脂やゴムであっても良いことは言うまでもない。可とう性があり引き裂き強度の優れるものが好ましい。
【0013】
プロテクター本体が腕時計の支持台であって、指保護壁部を該支持台にヒンジ構造で連結した構成に於いては、腕時計を安定した状態に保つ事が出来るため、より確実な作業が出来る。また、この形態に於いては婦人用の小型の腕時計から大型の紳士用に至る幅広いサイズに対応可能である。
【0014】
プロテクター本体を腕時計が収納出来る袋状とし、該袋の手前側に腕時計のラグ部が露出する開口部を設け、背面側を指保護壁部とする手段に於いては、前記支持台はないものの、腕時計は該袋の中に収納された状態となるので、該袋の外側を親指と親指以外の指の間で保持することで安定した状態での作業が可能である。
【0015】
指保護壁部を介する作業で指への損傷は防止出来るが、時計バンド交換時に於いて、バネ棒外しの金属性先端部が不用意に腕時計をキズ付けることも防止するには、腕時計とプロテクターの相互間は滑りにくい方が好ましい。このためには、腕時計に接する面にはゴム等の摩擦抵抗の大きな材料を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プロテクターに設けられた指保護壁部を介して腕時計を保持するため、手元が狂った場合に於いても、バネ棒外しの鋭利な刃先が直接指先に損傷を与えることが防止できる。また、腕時計を安定した状態で保持できることは、目的とする作業箇所以外に前記先端部を接触させて傷付けると言った不具合も生じにくい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図5】従来のクッション作業台での使用状態を示す斜視図である。
【図6】バネ棒とバネ棒外しの一部拡大を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4に基いて説明する。
【0019】
図3に於いて、プロテクターの支持台1には、スリップ防止ゴム板3が設けられた指保護壁部2がヒンジ構造で連結されており、該指保護壁部はサイズが異なる腕時計に於いても自在にフィット可能となっている。また、支持台1には図のようにゴム製ラグ受け4が設けられており、腕時計のラグ部12を載置すると図1のような安定した状態での作業が可能となり、より好ましいと言える。
【0020】
別の実施例として、図4はプロテクター本体11を腕時計が収納出来る袋状とし、該袋の手前側に舌片部110を残し、腕時計のラグ12が露出する開口部を設け、背面側をスリップ防止ゴム板30が設けられた指保護壁部20としたものである。
【符号の説明】
【0021】
1 支持台
2,20 指保護壁部
3,30 スリップ防止ゴム板
4 ゴム製ラグ受け
5 バネ棒外し
6 バネ棒外しの先端部
7,70 腕時計
8 バネ棒
9,90 時計バンド
10 人差し指
11 プロテクター本体
12,120 腕時計のラグ
100 クッション作業台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテクター本体に強靭な素材の指保護壁部を設け、該指保護壁部は、腕時計に設けられた時計バンド取り付けラグの少なくとも片側を覆うに足りる形状としたことを特徴とする時計バンド取替え作業用プロテクター。
【請求項2】
プロテクター本体が腕時計の支持台であって、指保護壁部を該支持台にヒンジ構造で連結したことを特徴とする請求項1記載の時計バンド取替え作業用プロテクター。
【請求項3】
プロテクター本体を腕時計が収納出来る袋状とし、該袋の手前側に腕時計のラグ部が露出する開口部を設け、背面側を指保護壁部とする手段を特徴とする請求項1記載の時計バンド取替え作業用プロテクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−264208(P2010−264208A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135544(P2009−135544)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(593068236)