説明

時計用文字板及びその製造方法とその時計用文字板を備えた携帯時計

【課題】 金属色が強く現れて明るい表示が得られる時計用文字板を提供する。
【解決手段】 透過性基板41の下面側にプリズム41aを設け、そのプリズム41aの面上に部分的に反射膜42を設けて時計用文字板40を形成する。プリズム41aはプリズム角度θを70〜100度、プリズム高さhを15〜70μm、プリズムのピッチpを100μm以下にし、サークル模様、渦巻き模様、ストライプ模様、幾何学模様などの模様状に設ける。また、反射膜42は300〜1500Å厚みの金属膜で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時計用文字板に関し、特に、ソーラーセル用あるいはエレクトロルミネッセンス用の時計用文字板とその製造方法、及びその時計用文字板を備えた携帯時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーセル用の時計用文字板は光の透過性を要することから、文字板用材料としてプラスチックやセラミックなどが用いられている。また、ソーラーセルは独特の濃紫色を呈して外観色調としては好ましいものではないことから、濃紫色を消し去る色々な工夫が今までに行われてきている。また、プラスチックやセラミックなどを用いていることから金属感が出ず、高級感に欠けるものとなっていた。また、装飾性にも制限されたものとなっていた。
【0003】
このため、ソーラーセルの濃紫色を消し去ると共に金属感を出現させて装飾性を高めるために、本出願人は今までに色々な技術を開発すると共にその技術を開示してきた。下記に示す非特許文献1に記載した技術もそれらの技術の一つとして挙げることができる。
【0004】
【非特許文献1】特願2003−428689号
【0005】
図12は上記非特許文献1に示されたソーラーセル用の時計用文字板の要部断面図を示したものである。ここで示した時計用文字板は、図12に示すように、下面にサークル状または渦巻き状のプリズム1aを形成した透過性文字板1と、透過性文字板1上に設けた透過性着色膜2と、透過性文字板1の下面側に設けた反射型偏光板5とから時計用文字板10を構成している。そして、この時計用文字板10はソーラーセルの上面側に配設して用いられる。
【0006】
反射型偏光板5は反射軸と透過容易軸を持っており、反射軸と平行な振動面を持つ直線偏光成分の光は反射し、透過容易軸と平行な振動面を持つ直線偏光成分の光は透過する。そして、入射光の50%を透過し、50%を反射する。この様な反射型偏光板5としては住友3M社製の商品名DBEFなどがあり、反射光に銀色の色調が得られるものと金色の色調が得られるものなどがある。
【0007】
上記の非特許文献1によれば、ソーラーセルからの反射光量は非常に少なくなると共に透過性文字板1のプリズム面で分散されるためにソーラーセルの濃紫色は消え去り、反射型偏光板5の銀色や金色の反射光によって金属色が現れるとされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この構成のものは金属色的な色調は得られるもののガラス質感を伴った薄い金属色のものとなって金属感が強く現れると云うものではなかった。
【0009】
また、この構成のものは透過性文字板1と反射型偏光板5との外周域部を接着して使用することから、組立時における剥離の危険性や隙間の距離により光の干渉縞が現れる危険性を持っていた。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的とする所は、金属感が強く現れて明るく、そして、装飾性に富んだ時計用文字板を得ることにある。また、ソーラーセルに使われる時計用文字板のみならず、エレクトロルミネッセンス用にも共通して使用できる時計用文字板を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の時計用文字板の特徴は、下面側にプリズムを有する透過性基板の前記プリズムの面上に反射膜を部分的に設けたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜は金属膜からなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜は半透過反射膜からなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜は樹脂塗膜からなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜は一定間隔に設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記透過性基板の全面に渡り均等に配置されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜は模様状に設けたことを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜が設けられている総面積は前記透過性基板の面積に対して多くても75%を越えないことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜が設けられていない部分の幅の大きさは30〜100μmであることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記金属膜は300〜1500Åの厚さであることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記半透過反射膜は金属薄膜からなることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記樹脂塗膜はメタリック樹脂膜であることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記反射膜の上に保護膜を設けたことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記プリズムは三角形形状をなしており、プリズムの角度が70〜100度であることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記プリズムは高さが15〜70μm、ピッチが100μm以下であることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記プリズムはサークル模様、渦巻き模様、ストライプ模様、幾何学模様、花模様などの少なくとも1種の模様をなしていることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記透過性基板の上面側の全面もしくは一部分に凹凸模様または印刷模様などの模様部を有することを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記模様部の凹凸模様又は印刷模様がストライプ模様又はクロス模様の場合は、前記模様部の位置に当たる前記透過性基板の下面側の前記プリズムの模様は、前記凹凸模様又は印刷模様の方向と合った方向のストライプ模様またはクロス模様をなすことを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記模様部の凹凸模様又は印刷模様がストライプ模様又はクロス模様の場合は、前記模様部の位置に当たる前記透過性基板の下面側の位置にはプリズムが設けられていないことを特徴とするものである。
【0030】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記透過性基板は下面側に部分的にプリズムを有しない部位を設けたことを特徴とするものである。
【0031】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記部分的にプリズムを有しない部位に第2の反射膜を設けたことを特徴とするものである。
【0032】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記透過性基板の上面に透明膜又は透過性着色膜を設けたことを特徴とするものである。
【0033】
また、本発明の時計用文字板の特徴は、前記透過性基板又は透明膜又は透過性着色膜に艶消し剤を分散したことを特徴とするものである。
【0034】
また、本発明の時計用文字板の製造方法の特徴は、下面側にプリズムを設けた透過性基板の前記プリズムの面上に乾式メッキ法によって金属膜を形成する工程と、該金属膜上に印刷方法などによって保護膜を部分的に形成する工程と、該保護膜が形成されていない部分の前記金属膜をエッチング方法によって剥離除去する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0035】
また、本発明の時計用文字板の製造方法の特徴は、前記金属膜は300〜1500Åの厚みであることを特徴とするものである。
【0036】
また、本発明の携帯時計の特徴は、時計用文字板の下面側にソーラーセル又はエレクトロルミネッセンスを備えた携帯時計において、前記時計用文字板は上記の特徴を持った時計用文字板を用いて、前記携帯時計の時計表示に金属感が強く現れて、明るく装飾豊かな時計表示が行われることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0037】
発明の効果としては、本発明の時計用文字板は、透過性基板のプリズムの面上に反射膜を部分的に設けた構成を取る。プリズム面上に反射膜を直接設けることによってプリズム面と接する反射膜から強い反射光が得られ、その反射光の持つ色調が強く文字板上に現れる。特に、三角形形状を取るプリズム面に反射膜を設けることから、反射面の面積は、平面に反射膜を設けたのと比較すると、1.数倍広くなる。このために反射光量が増え強い反射色が得られる。また、反射膜を部分的に設けることによって、反射膜が設けられていない部分から光を透過してソーラーセルに発電機能を起こさせる。
【0038】
また、この反射膜を金属膜で形成すると、金属色調が強く現れて金属感が強く現れた文字板が得られる。また、反射膜を半透過反射膜で形成しても半透過反射膜の持つ色調が強く現れる。特に、半透過反射膜を金属薄膜で形成すると金属色が現れる。また、反射膜を樹脂塗膜で形成するとその樹脂塗膜の持っている色調が強く現れ、特に、樹脂塗膜にメタリック塗料膜などを用いると金属感の現れた色調が得られる。
【0039】
また、反射膜は一定間隔に設ける。更には、透過性基板の全面に渡り均等に配置する。これによって、反射膜による反射色が一定間隔で、且つ、透過性基板の全面に渡ってバランス良く現れる。一方、反射膜の設けられていない部分も一定間隔に透過性基板の全面に渡り均等に配置される。反射膜が設けられていない部分から光を透過してソーラーセルに入射するが、一定間隔に均等に配置されていると3時−9時ラインと6時−12ラインとで4分割したソーラーセルのそれぞれの部分に光が均等に入射して入射光量が均一になる。これによってソーラーセルの発電効率は一番高められる状態になる。効率の良い発電を起こさせると透過率が低くても満足する所要の発電量が得られる。
【0040】
また、本発明では反射膜の総面積を透過性基板の面積に対して75%を越えない範囲に抑える。近年のソーラーセルには透過率が15%有れば十分に満足する発電量が得られるものが現れてきている。従って、反射膜の総面積を75%を越えない範囲に押さえることにより、ソーラーセルの発電に必要とする光量を十分に確保することができる。
【0041】
また、反射膜が設けられていない部分の幅を30〜100μmの範囲に抑えると反射膜が設けられていない部分は目に視認されない。従って、文字板全面に渡って反射膜が設けられたように見え、また、反射膜の反射色調が文字板全面に渡って均一に現れる。
【0042】
また、反射膜を金属膜で形成する場合は、その金属膜の厚みを300〜1500Åの範囲に設ける。大方の光はこの金属膜でもって反射されるようになる。この範囲を超えて厚くしても反射性能は変わらず、逆にコストアップや金属膜の内部応力による亀裂などの危険性が生じてくる。また、この範囲より小さくすると透過する光が現れて反射性能を低下させる。
【0043】
また、本発明においては、反射膜の上に保護膜を設ける。保護膜はエッチング作業でのマスキング目的、耐蝕性向上目的などで設けており、反射膜の形状を所望の形状に形成することができ、また、耐蝕性を向上させて耐久性を良くする。
【0044】
また、プリズムを三角形形状でもってプリズムの角度を70〜100度に設定する。この角度は頂点角であるので片側角(即ち、頂点角の1/2角)にすると35〜50度の傾斜角になる。即ち、傾斜角が42.5±7.5度の範囲となる。この42.5±7.5度の範囲で、中央値は全反射を起こす臨界角(約41度)に近い値になっており、この42.5±7.5度の範囲においては光透過と光反射が多く発生して効果が最も良く現れる範囲となっている。傾斜角が35度より小さいと、即ち、頂点角が70度より小さいとプリズム面からの反射光が多くなって文字板表示面を非常に明るくする効果を得るが、反面透過光が少なくなってソーラーセルへの入射光量が少なくなり、発電機能への影響を及ぼすようになる。また、傾斜角が50度より大きくなると、即ち、頂点角が100度より大きくなるとプリズム面での反射光が少なくなって文字板表示面を暗くし、期待する明るさが得られなくなる。また、プリズムの高さを15〜70μm、プリズムのピッチを100μm以下に設定する。プリズムのピッチ100μmは目に視認できない範囲であり、これ以上大きくするとプリズムが視認されるようになる。また、プリズムの高さ15〜70μmに設定する。ここで、大きい方の70μmはピッチとプリズム角度から計算される最大高さになっているので、これ以上大きくならない。また、小さい方の15μmは、これ以上小さくすると回折格子により虹が強く発生して落ち着きのある外観が得られない。また、金型製作上でも困難になる。
【0045】
また、プリズムをサークル模様、渦巻き模様、ストライプ模様、幾何学模様、花模様などで形成すると、プリズム面並びに反射膜からの反射光が多方向に分散して反射する。反射光が分散することによって文字板の表示面が明るくなり、また、反射膜からの反射色調が全面に広がって全体的に反射膜の色調が現れてくるようになる。一方、ソーラーセルからの反射光はプリズムを透過したとき屈折と分散を起こして放射されるのでソーラーセルの濃紫色色調は薄められ、更に、反射膜の色調の中に混ざり込んでしまって殆ど消し去られてしまう。このため、ソーラーセルの濃紫色色調は全く視認されなくなる。
【0046】
また、透過性基板の上面側の全面もしくは一部分に凹凸模様や印刷模様などの模様部を有すると、その凹凸模様や印刷模様によって装飾性が高められる。また、色々な装飾バリエーションを作り出すことができる。
【0047】
また、模様部の凹凸模様や印刷模様がストライプ模様又はクロス模様の場合は、模様部の位置に当たる透過性基板の下面側のプリズムの模様を、凹凸模様又は印刷模様の方向と合った方向のストライプ模様またはクロス模様にする構成を取ると、発生する干渉縞が目立たなくなって綺麗な外観仕様が得られる。また同様に、模様部の凹凸模様又は印刷模様がストライプ模様又はクロス模様の場合は、模様部の位置に当たる透過性基板の下面側の位置にはプリズムを設けない構成を取ると、干渉縞の発生を防止する。
【0048】
また、透過性基板の下面側に部分的にプリズムを設けない部分を設けることによって、そして、その部位に第2の反射膜を設けることによって、その部分は分散した反射光が得られないことから明るさが暗くなる。プリズムの在るところと無いところにより明るさの明暗が現れ、更に、第2の反射膜の色調が現れて新たなデザイン性が生まれてくる。デザインバリエーションを増やす効果を得る。
【0049】
また、透過性基板の上面に透明膜を設けると文字板表面が非常に綺麗に見える。また、反射膜の色調に深みが現れてくる。また、透過性の着色膜を設けると、反射膜の色調に透過正嫡書膜の色調が混色されて色々な色調を出現させることができる。時計用文字板の装飾性を高めると共に装飾バリエーションを豊富にすることができる。
【0050】
また、前記透過性基板や透明膜、あるいは透過性着色膜に艶消し剤を分散すると光の拡散が著しくなり、艶消しした色調が得られる。落ち着きの出た金属色調などが現れて時計用文字板に高級感が現れてくる。また、これによって装飾バリエーションも増える。
【0051】
次に、時計用文字板の製造方法において、透過性基板のプリズム面状に乾式メッキ法によって金属膜を形成し、該金属膜上に印刷方法などによって保護膜を部分的に形成し、該保護膜が形成されていない部分の金属膜をエッチング方法によって剥離除去する製造方法を取ることによって、プリズムの面上に部分的に金属膜を設けることができる。製造方法が簡単で少ない工程数で製造することができるので安いコストで文字板を製造することができる。また、反射膜なる金属膜上に保護膜を設けた構成となるので金属膜の耐蝕性が向上し、時計用文字板の耐久性が得られる。また、金属膜の厚みを300〜1500Åの厚みに設定することによって大方の光はこの金属膜でもって反射されるようになる。この範囲を超えて厚くしても反射性能は変わらず、逆にコストアップや金属膜の内部応力による亀裂などの危険性が生じてくる。また、この範囲より小さくすると透過する光が現れて反射性能を低下させる。
【0052】
次に、ソーラーセル付携帯時計やエレクトロルミネッセンス付携帯時計に上記に述べた効果を持つ時計用文字板を用いることによって、金属感が強く現れて、明るく装飾性の豊かな時計の表示が得られる。また、携帯時計の装飾バリエーションを豊富に増やすことができる。また、携帯時計に高級感も出現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1〜図4を用いて説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係る携帯時計の平面図を示しており、図2は図1における携帯時計の要部断面図、図3は図1における時計用文字板の要部断面図を示している。また、図4は図3における時計用文字板の反射膜の製造方法を説明する工程図を示している。
【0054】
図1、図2より、本発明の携帯時計30は、ケース31内に中枠37を介して時計用文字板40、ムーブメント38、ムーブメント38上に一体的に設けられたソーラーセル39が配設されている。ムーブメント38には指針軸が透過性文字板40の上面側まで突き出しており、その先端に長針、短針などの指針34が取付けられている。そして、それらを覆うようにしてカバーガラス32がケース31に固定されている。また、裏面側には裏蓋36が固定され、ケース31の嵌又部分にバンド33が取付いている。また、ケース31の側面側にはリューズ35が取付いている。ここで、時計用文字板40は本発明の時計用文字板で、携帯時計30は本発明の時計用文字板40を用いた携帯時計になっている。また、この携帯時計30はソーラーセルを用いた携帯時計で、時計用文字板40を介して光を採光し、ソーラーセルを駆動する構造になっている。従って、本発明の時計用文字板40はソーラーセル付携帯時計の文字板構造を取っている。尚、図2において、時計用文字板40は透過性基板41と時字を示す指標49のみを描いており、細かい構成部品は省略してある。
【0055】
次に、本発明の時計用文字板40は、図3に示すように、下面側にプリズム41aを有する透過性基板41と、この透過性基板41のプリズム41aの面上に部分的に複数設けた反射膜42と、この反射膜42上に形成した保護膜43と、透過性基板41の上面に設けた時字なる指標49とでもって構成している。従って、この時計用文字板40は反射膜42が設けられて部分と反射膜42が設けられてない部分が交互に配置した状態になっている。
【0056】
透過性基板41は、本実施形態においては、透明なポリカーボネイト樹脂を用いて射出成形方法で形成している。下面側に有するプリズム41aは金型からの転写によって形成する。このプリズム41aは三角形形状をなしたプリズムで、光沢面をなしており、一定のピッチ間隔で、サークル状の模様を持って形成している。プリズム41aのプリズム角度θは70〜100度、プリズムの高さhは15〜70μm、ピッチpは100μm以下の範囲でもって形成している。また、このプリズム41aのプリズム面は光沢面に仕上げている。この光沢面は鏡面に仕上げた金型から転写によって形成する。ここで、プリズム41aのプリズム角度θは70〜100度は頂点角を示していて、片側角(即ち、頂点角の1/2角)にすると35〜50度の傾斜角になっている。即ち、傾斜角が42.5±7.5度の範囲に設定している。この傾斜角42.5±7.5度の範囲においては、中央値が全反射を起こす臨界角(約41度)に近い値になっており、光透過と光反射が多く発生して効果が最も良く現れる範囲となっている。傾斜角が35度より小さいと、即ち、頂点角が70度より小さいとプリズム面からの反射光が多くなって文字板表示面を非常に明るくする効果を得るが、反面透過光が少なくなってソーラーセルへの入射光量が少なくなり、発電機能への影響を及ぼすようになる。また、傾斜角が50度より大きくなると、即ち、頂点角が100度より大きくなるとプリズム面での反射光が少なくなって文字板表示面を暗くし、期待する明るさが得られなくなる。また、ピッチpの100μmの上限値は目に視認することのできない許容限界値になっており、これより大きいとプリズムが目に視認されるようになり外観上好ましくない。また、高さhの15〜70μmで、上限の70μmはピッチとプリズム角度から決まってくるもので70μmが最大値となる。下限値の15μmは、これ以上小さくすると回折格子により虹が強く発生して落ち着きのある外観が得られず、また、金型製作上でも困難になる。
【0057】
反射膜42はプリズム面から光を反射させて反射膜の色調を文字板上に強く出現させるために設ける。このため、反射率の高い材料を用いるのが好ましく、本実施形態においては、反射率の高いAgの金属膜で形成し、シルバーの金属色を強く出現させている。このAg金属膜からなる反射膜42は乾式メッキ方法で、即ち、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの方法によってプリズム41aの面上にAg金属膜を形成する。また、厚みは300〜1500Åの厚みの範囲の中で形成する。この厚みであると透過する光も非常に少なく、シルバー色が強く現れる。また、この反射膜42は一定の間隔で透過性基板41の全面に渡り均等な配置になるように設けるようにする。例えば、格子状の模様、ストライプ状の模様、網目状の模様、幾何学状の模様などの模様状に設けると、一定の間隔で均等な配置に設けることができる。また、本実施形態においては、この反射膜42の設けられていない部分の幅を30〜100μmの範囲の幅で設けている。100μmより幅が大きくなると目に視認されるようになって好ましくない。また、30μmより小さくするとソーラーセルへの光透過率に影響を及ぼすようになる。反射膜42の設けられていない部分を30〜100μmの範囲で設けると文字板全面にシルバーの金属色が強く現れてくる。
【0058】
保護膜43は反射膜42のマスキング目的と反射膜42の耐蝕性目的で設けている。マスキング目的は透過性基板41のプリズム41aの面上の一部分に反射膜42が設けられていない部分を形成するためで、残したい部分の反射膜42のマスキング用として用いている。この保護膜43はウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明樹脂を用いてスクリーン印刷法やパッド印刷法などの印刷法によって印刷形成する。また、この保護膜43は保護膜43の形成した形状でもって反射膜42の形状が決まってくるので前述の反射膜42と同じ形状で形成する。また、この保護膜43はマスキングの用途以外に金属膜の耐蝕性向上の効果も生む。特に、変色し易いAg金属膜の上に被覆していると著しくAgの耐蝕性向上を図ることができる。
【0059】
次に、図4を用いて、本実施形態における反射膜42の製造方法について説明する。尚、図4は透過性基板41のプリズム41aの面を上方に向けて描いてある。最初に、図4の(a)において、透過性基板41のプリズム41aの面上に真空蒸着法にてAgの金属膜を形成する。このAgの金属膜が反射膜42になる。尚、厚みは300〜1500Åの厚みに形成する。真空蒸着機を用い、チャンバー内の載品台上に透過性基板41のプリズム41aの面を上に向けて載置し、チャンバー内の蒸着時の圧力を1×10−6〜5×
10−5torr(1.33×10−4〜6.65×10−3Pa)で行い、蒸着時間のコントロールによって厚みを設定する。蒸着膜厚は蒸着時間をコントロールすることによって自由に設定できる。
【0060】
次に、図4の(b)において、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いてスクリーン印刷法やパッド印刷法などで所定の位置に保護膜43を印刷形成する。この保護膜43の模様形状によって反射膜42の模様形状が決まるので、設定したい反射膜42の模様形状に合わせた模様形状をもって形成するようにする。これによって、Ag金属膜からなる反射膜42は露出した部分と保護膜43が被覆した部分とが形成される。
【0061】
次に、図4の(c)において、エッチング液を用いて露出した反射膜42をエッチング方法でもって除去し、プリズム面を露出させる。本実施形態においては、エッチング方法はエッチング液の中に浸漬してAg金属膜なる反射膜42を剥離除去する。エッチング液には純水100ml、硫酸100cc、酸化クロム2gの割合で混合した溶液を用いる。保護膜43が被覆した部分の反射膜42はエッチングされず、露出した部分の反射膜42のみが剥離除去される。
【0062】
以上の製造方法を取ることにより、透過性基板41のプリズム41aの面上に一定の間隔を持った模様状の金属膜からなる反射膜42が形成される。保護膜43は金属膜からなる反射膜42の耐蝕性向上の働きをなす。
【0063】
ここで、プリズム41aの面上に反射膜42を設けた部分においては、入射した外光は反射膜42の作用によって反射し、その反射光は透過性基板41を透過して外に放射される。一方、反射膜42の無い部分においては、プリズム41aによって反射される光と、プリズム41aを透過する光とに分けられる。プリズム41aを透過した光はソーラーセルに入射して発電機能を起こさせる。ソーラーセルは3時−9時ラインと6時−12時ラインとで4分割した4面にそれぞれ均一な入射光量が得られれば一番効率の良い発電が行われる。このために、ソーラーセルに光が透過する所の反射膜42が設けられていないプリズム41aの面が透過性基板41の全面に渡って均等に分布していることが要求される。本発明においては、反射膜42を格子状の模様、ストライプ状の模様、網目状の模様、幾何学状の模様、花柄模様などの模様を持って形成することにより反射膜42が一定間隔に全面に渡って均等に配置されるようになり、反射膜42が設けられていない部分も、即ち、光を透過する部分も均等に配置されるようになる。従って、効率の良いソーラーセルの発電が行われる。
【0064】
更に、本発明においては、模様状に形成した反射膜42の総面積を透過性基板41の面積に対して多くても75%を越えない範囲と規制する。これにより、反射膜42が設けられていない面積は少なくとも25%は得られる。近年のソーラーセルは発電効率も向上し、15%の透過率でもって十分満足する発電量が得られるものが現れてきている。反射膜42が設けられていない面積、即ち、光が透過する面積を少なくとも25%確保することによって十分に満足する発電量を得ることができる。
【0065】
時計用文字板40を構成する時字なる指標49は印刷方法、あるいは金属指標の貼付け方法などによって形成する。これは仕様に応じて適宜に選択すると良い。
【0066】
以上の製造方法によって、透過性基板41と、透過性基板41のプリズム41aの面上に模様を持って設けられた金属膜からなる反射膜42と、反射膜42上に設けた保護膜43と、指標49とで構成された時計用文字板40が得られる。
【0067】
上記の構成を取る時計用文字板にあっては、透過性基板41のプリズム41aの面に設けた金属膜からなる反射膜42に入射した外光は反射膜42で反射される。プリズム41aをサークル状に設けてあることからそのプリズム面は曲面になる。このため反射光は四方に分散して反射する。また、反射膜42が2つの斜面で形成されたプリズム面に設けられていることから反射面積は大きくなる。例えば、プリズム角度を90度に取ると、プリズム45度傾斜面での反射面積は平面での反射面積に対して1.4倍の広さの反射面積を持つ。このため、反射膜42からの反射光量も多く得られる。また、光沢をなしているプリズム面上に乾式メッキ法で金属膜を形成すると光沢のある金属膜が得られる。反射面積が大きくなること、反射膜42の反射光が広く分散すること、更に、反射膜42の総面積を全体の面積に対して75%を越えない範囲と広く取ることができること、また、反射膜42の設けていないプリズム面からの分散した反射光が得られること、また、反射膜42の設けられていない部分の大きさを30〜100μmの範囲に設定していること、などの作用によって文字板表面が非常に明るくなり文字板全面にAg金属膜なる反射膜42のシルバー金属色が光沢を持って強く現れる。シルバー金属色が強く現れて表面が明るい時計用文字板が得られる。
【0068】
一方、反射膜42が設けられていないプリズム面からはソーラーセルの反射光が透過して放射されるが、サークル状に設けたプリズム面で屈折し、著しく分散を起こして放射されるのでソーラーセルの濃紫色は薄められる。更に、その放射光は反射膜42からの分散した反射光の中に混ざり込み、光の混り合いによってソーラーセルの濃紫色は完全に消し去られてしまう。また、ソーラーセルの反射光の内、反射膜42で反射されて再びソーラーセル側に戻ってくる光によってソーラーセルに入射する光量も増え、発電量を高める効果も得られる。
【0069】
また、このような構成の時計用文字板を備えたソーラーセル付の携帯時計にあっては、金属感が強く現れて明るい文字板表面が得られる。従来技術で説明した構成の時計用文字板を備えた携帯時計と対比すると、得られる金属感は一段とレベルの高い強い金属感が得られ、しかも、表示面が明るくなることから視認性も良くなり、時計に高級感を感じさせる。また、時計用文字板が一体物で構成されていることから、従来技術での構成で危険のあった組立などの取扱上での接着の剥離性の問題も発生しない。また、製造方法も簡単で、少ない工程数で時計用文字板が得られることから安い製造コストで時計用文字板が得られる。また、この構成の時計用文字板はエレクトロルミネッセンスを用いた携帯時計にも適用でき、金属感が強く現れて明るく照明される携帯時計が得られる。
【0070】
尚、本実施形態においては、透過性基板41のプリズム41aはサークル模様のものを用いたが、サークル模様に限らず渦巻き模様のプリズム、プリズムの稜線が平行になったストライプ模様のプリズム、ピアジェカット模様などの幾何学模様のプリズム、また、花柄模様などのプリズムを用いても同じ効果を奏するものである。
【0071】
また、透過性基板41に用いる樹脂材料は耐熱性、耐湿性、耐光性、耐衝撃性、耐薬品性に強い樹脂材料が用いられる。ポリカーボネイト樹脂以外の樹脂としてはポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いることができる。また、ソーラーセルの発電機能に影響を与えない範囲で光透過率を持つ着色した樹脂を用いても良い。
【0072】
また、本実施形態においては、反射膜42としてAgの金属膜を用いたが、Agの外にAl、Pd、Cr、Ni、Cu、Au、Ptなどの金属膜で構成しても良く、また、これらの金属を複数用いて積層しても良い。また、二元合金や三元合金金属を用いて金属膜を形成しても構わない。出現したい金属色に応じて適宜に選択すると良い。また、金属膜の厚みは300〜1500Åの範囲に設ける。本発明においては、厚みの下限値は出現する金属色の度合いによって設定している。光の透過が僅かに生じる厚みであってもはっきりとした金属色が現れれば良いもので、用いる金属に応じて適宜に厚みを設定するのが好ましい。また、上限の1500Åは、それ以上厚みを増しても金属色の色は変わらず、時間と材料使用量が増すだけで効果がない。
【0073】
また、本実施形態の時計用文字板の構成に他の構成を付加することも可能である。例えば、艶消し剤を分散した透明樹脂膜を透過性基板の上面に設けると艶消しされた金属色が得られる。プリズム面は光沢を持っており、その上に真空蒸着方法で形成した金属膜には光沢のある金属色が得られる。艶消しした金属色にすると落着感も現れてくる。
【0074】
また、本発明においては、反射膜は必ずしも金属膜に限るものではない。反射膜をメタリック塗料膜で構成しても金属感が現れる。
【実施例1】
【0075】
以下実施例を挙げる中で更に詳しい本発明の内容を説明する。尚、以下の実施例は全てソーラーセルを用いた時計用文字板で説明する。最初に実施例1について図5を用いて説明する。図5は本発明の実施例1に係る時計用文字板の要部断面図を示している。尚、図5において時字なる指標は省略してあり、以降の実施例説明の図においても同様とする。また、時字なる指標は本発明の時計用文字板においては必項構成要素部品であるが、時計用文字板の以降の実施例説明の中では構成を省略して説明する。
【0076】
実施例1に係る本発明の時計用文字板50は、図5に示すように、透過性基板51と、透過性基板51のプリズム51aの面上に部分的に設けた反射膜52と、反射膜52上に設けた保護膜53と、透過性基板51の凹凸模様51bの上面に設けた透明膜55とから構成している。尚、透明膜55上には時字なる指標が設けられて時計用文字板が構成されるが、図5並びに時計用文字板の部品構成の中では省略してある。
【0077】
ここで、透過性基板51は僅かに白色に着色されていて、下面側にサークル模様状に設けたプリズム51aを有し、上面側にはサークル状の凹凸模様51bを有している。また、この透過性基板51は白色に着色されたポリカーボネイト樹脂を用いて射出成形方法で形成する。また、下面のプリズム51aと上面の凹凸模様51bは成形時に金型から転写して形成する。実施例1においては、透明なポリカーボネイト樹脂に白色顔料を約0.5重量%配合して白色樹脂を生成して用いた。配合量が少ないため白味が薄く、光透過率は約80%近くを確保している。また、プリズム51aの面は光沢面に仕上げている。これは、鏡面に形成した金型から転写して形成する。透過性基板51に白色樹脂を用いた目的は時計用文字板により白さを出したいためである。
【0078】
プリズム51aは三角形形状をなしたプリズムで一定のピッチ間隔でサークル状の模様を持って形成している。プリズム51aのプリズム角度は70〜100度、プリズムの高さは15〜70μm、ピッチは100μm以下の範囲でもって形成している。ここで、プリズム51aのプリズム角度70〜100度は頂点角であるので片側角(即ち、頂点角の1/2角)にすると35〜50度の傾斜角になる。即ち、傾斜角が42.5±7.5度の範囲となっている。この42.5±7.5度の範囲は、中央値は全反射を起こす臨界角(約41度)に近い値になっており、光透過と光反射が多く発生して効果が最も良く現れる範囲となっている。傾斜角が35度より小さいと、即ち、頂点角が70度より小さいとプリズム面からの反射光が多くなって文字板表示面を非常に明るくする効果を得るが、反面、透過光が少なくなってソーラーセルへの入射光量が少なくなり、発電機能への影響を及ぼすようになる。また、傾斜角が50度より大きくなると、即ち、頂点角が100度より大きくなるとプリズム面での反射光が少なくなって文字板表示面を暗くし、期待する明るさが得られなくなる。また、ピッチpの100μmは目に視認することのできない許容限界値になっており、これより大きいとプリズムが目に視認されるようになり外観上好ましくない。また、高さhの15〜70μmで、上限の70μmはピッチとプリズム角度から決まってくるもので70μmが最大値となる。下限値の15μmは、これ以上小さくすると回折格子により虹が強く発生して落ち着きのある外観が得られず、また、金型製作上でも困難になる。このプリズム51aの面は光沢面に仕上げられていて、鏡面に仕上げた金型から成形時に転写によって形成する。
【0079】
サークル状の凹凸模様55は時計用文字板50に装飾を付与するために設けている。凹凸の高さは約10〜40μm設けてあり、明らかに凹凸していることが視認できる。この凹凸模様55も金型から転写して成形する。
【0080】
次に、反射膜52は、本実施例1においては、Ag金属膜で形成している。これは、シルバーの金属色を強く出現させる目的でAg金属を用いている。このAg金属膜は真空蒸着法で500〜1000Åの範囲の厚みに形成していて、金属光沢面をなしている。従って、Ag金属膜に入射した多くの光はこのAg金属膜で反射される。そして、強いシルバー金属色が現れる。また、このAg金属膜は一定の間隔で透過性基板51の全面に渡り均等な配置になるように網目状の模様を持って、100〜200μmの幅でもって設けている。そして、Ag金属膜の総面積が透過性基板51の面積に対して65〜70%を占める割合で設けている、
【0081】
保護膜53は反射膜52のマスキング目的と反射膜52の耐蝕性向上目的で設けている。
この保護膜53はウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明樹脂のインクを用いてスクリーン印刷法やパッド印刷法などの印刷法によって印刷形成する。また、この保護膜53はAg金属膜なる反射膜52と同じ形状で、即ち、網目状の模様を持って形成している。 凹凸のある反射膜52上に形成することでインクの流れを極力少なくするためにインクの粘度を高めて印刷する。また、反射膜の凸部にあたる所にもインクが十分乗るように少し厚めに形成する。凸部の所の膜の厚みは少なくとも5μm以上の厚みになるようにするのが良い。
【0082】
反射膜52を保護膜53の形状と同じ形状にするには前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取る。即ち、真空蒸着法でプリズム51aの面上一面にAg金属膜からなる反射膜52を形成し、その後に、網目状に保護膜53を印刷して形成する。そして、エッチング液でもって保護膜53が設けられていない部分の反射膜52をエッチングして剥離除去する。エッチング液には純水100ml、硫酸100cc、酸化クロム2gの割合で混合した溶液を用いる。このようにすると、保護膜53によってマスキングされた部分の反射膜52が残り、図5に示されたように、プリズム51aの面の一部分に反射膜52と保護膜53との積層した構成が出来上がる。
【0083】
ここで、エッチングによって反射膜を剥離除去した部分は、即ち、反射膜52が設けられていない部分はプリズム51aの面が露出する。そして、この部分から光が透過してソーラーセルに光を供給する。本実施例1においては、この反射膜52が設けられていない部分の大きさ(幅)を大きくても100μmで抑えている。100μmの大きさは目に見えない大きさなので透過性基板51に反射膜52が設けられているように見える。
【0084】
次に、透過性基板51の凹凸模様51b上に設けた透明膜55は、本実施例1においては、透明なアクリル樹脂を用いている。スクリーン印刷方法などで形成した後上面をラッピングによって平滑な光沢面に仕上げている。ポリカーボネイト樹脂で成形した透過性基板51の凹凸模様51bがはっきりと視認できるように屈折率の異なるアクリル樹脂でもって透明膜55を形成している。ポリカーボネイト樹脂の屈折率は1.58、アクリル樹脂の屈折率は1.49で屈折率が異なることから凹凸面で光の反射などが起きる。また、透過性基板51は薄く白色に色付いていることからその凹凸がはっきりと視認されるようになる。このように、透過性基板の凹凸模様上に透明膜を設ける場合は透過性基板の屈折率と異なる屈折率の樹脂を用いるようにすると凹凸模様がはっきりと視認できるようになる。
【0085】
以上の構成を取った時計用文字板50は、薄く白色味を帯びた透過性基板51の作用を受けて光沢性が薄れて白色味を帯びたシルバー金属色が文字板全面に渡って強く現れる。また、文字板の表面がプリズム51aの分散反射光と薄く白色味を帯びた透過性基板51の作用を受けて非常に明るくなる。また、透過性基板51の凹凸模様51bによって装飾が高められた時計用文字板が得られる。また、光透過率も25〜30%得られて、ソーラーセルの発電機能を十分満足させる入射光量を得ている。また、ソーラーセルからの濃紫色を呈する反射光はプリズム51aによって分散し、更に、シルバー金属色を呈する反射光量の多い光の中に混ざり合ってしまって濃紫色は消し去られて視認されなくなる。
【0086】
尚、本実施例1においては、透過性基板51はポリカーボネイト樹脂で形成した。これは、ポリカーボネイト樹脂に限らず耐熱性、耐湿性、耐光性、耐衝撃性、耐薬品性に強い樹脂材料を用いることができる。例えば、ポリカーボネイト樹脂以外の樹脂としてはポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を挙げることができる。また、このような樹脂を用いた場合には、凹凸模様の上に設ける透明膜は屈折率の異なる樹脂を選択するようにするのが好ましい。
【0087】
また、プリズム51aはサークル状の模様に形成したが、サークル模様以外の模様として渦巻き模様、プリズムの稜線が平行になったストライプ模様、ピアジェカット模様などを含めた幾何学模様、絵柄模様などの模様に形成しても同様な効果を生む。
【0088】
また、透過性基板51は白色樹脂を用いて形成した。これは、シルバー金属色をより白くしたいと云う要求仕様からきている。透過性基板の色調は文字板の要求する金属色調の仕様に応じて選択するもので、求める金属色調に合った着色樹脂を用いるのが好ましい。
【0089】
また、本実施例1においては、反射膜52をAg金属膜から構成したが、これは、文字板の金属色調の仕様に応じて選択するのが好ましく、複数の金属を積層して混色させて色調を出しても良いし、あるいは、二元合金の金属やや三元合金の金属を用いて金属色調を出しても良い。また、色を持った酸化金属膜でも金属調の色調を得ることもできる。また、メタリック塗料を用いた塗膜で構成しても金属調の色調が得られる。尚、この場合は印刷方法で反射膜を部分的に形成できるので特別に保護膜を設ける必要はない。
【0090】
また、反射膜52を網目模様でもって反射膜52が一定の間隔で全面に均等に分布する形で設けたが、これは、一定の間隔で全面に均等に分布するような模様であれば他の模様を選択しても良いものである。例えば、そのような模様としてはストライプ模様、格子模様、サークル模様、幾何学模様、花柄模様などの模様が挙げられる。
【0091】
また、本実施例1においては、透過性基板51の上面側にサークル状の凹凸模様を設けたが、これは、装飾仕様に応じて凹凸模様を決めるのが好ましい。また、これは必ずしも凹凸模様でなくても良く、印刷などで形成した平面的な模様であっても構わない。
【実施例2】
【0092】
次に、図6を用いて本発明の実施例2に係る時計用文字板を説明する。図6は本発明の実施例2に係る時計用文字板の要部断面図を示している。
【0093】
図6より、実施例2の時計用文字板60は、下面側にプリズム61aを有する透過性基板61と、プリズム61aの面上に部分的に設けたAu金属膜からなる反射膜62と、その反射膜62上に設けた保護膜63と、透過性基板61の上面に設けた透明膜65とから構成される。
【0094】
透過性基板61は透明なポリカーボネイト樹脂を用いて射出成形で形成している。成形時にプリズム61aも金型から転写して形成する。また、プリズム61aの面は鏡面なる金型からの転写によって光沢面に仕上げてある。プリズム61aは三角形形状をなしたプリズムで一定のピッチ間隔で渦巻き状の模様を持って形成していて、プリズム角度は70〜100度、プリズム高さは15〜70μm、ピッチは100μm以下の範囲をなしている。
【0095】
反射膜62はAuの金属膜からなっていて、真空蒸着法によって500〜1000Åの範囲の厚みに形成している。プリズム61aの光沢面上に蒸着方法で施してあることから光沢のあるAu金属膜が得られ、このAu金属膜に入射した多くの光は反射される。そして、そして、光沢のある金金属色が現れる。また、このAu金属膜は一定の間隔で透過性基板61の全面に渡り均等な配置になるように格子状の模様を持って、100〜200μmの幅をもって設けている。そして、Au金属膜の総面積は透過性基板61の面積に対して約65〜70%を占める割合で設けている、
【0096】
保護膜63はウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明樹脂のインクを用いてスクリーン印刷法やパッド印刷法などの印刷法によって形成している。また、この保護膜63はAu金属膜なる反射膜62と同じ形状で、即ち、格子状の模様を持って形成している。
【0097】
反射膜62を保護膜63の形状と同じ形状にするには前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取る。即ち、真空蒸着法でプリズム61aの面上一面にAu金属膜からなる反射膜62を形成し、その後に、格子状の模様を持って保護膜63を印刷して形成する。そして、王水のエッチング液でもって保護膜63が設けられていない部分の反射膜62をエッチングして剥離除去する。このようにすると、保護膜63によってマスキングされた部分の反射膜62が残り、図6に示されたように、プリズム61aの面の一部分に反射膜62と保護膜63との積層した構成が出来上がる。実施例2においては、反射膜62をAu金属膜でもって形成していることからエッチング液に王水を用いる。また、Au金属膜は耐蝕性が非常に良い金属であるので、ここでの保護膜63は単にマスキング目的で設けている。
【0098】
透過性基板61の上面に設けた透明膜65は透明な樹脂65aに艶消し剤65bを分散したものでもって構成している。ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明な樹脂65aに粒径1.0〜5.0μm、平均粒径2.0μmのシリカ(SiO)微粒子なる艶消し剤65bを10〜15重量%(樹脂100重量部に対して)、分散剤1〜5重量%(樹脂100重量部に対して)を配合した塗料を用いてエアースプレー塗装方法などで形成し、その後にラッピングにより20〜40μmの厚みに仕上げたものである。このようにして形成した透明膜65は約90%の透過率が得られる。
【0099】
本実施例2においては、艶消し剤に透明なシリカ(SiO)微粒子を用いたが、シリカ微粒子に限らず、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)などの微粒子も艶消し剤として用いることができる。尚、このものは僅かに白色色調を帯びているので配合量は少な目にして用いると白色色調は殆ど目立たなくなる。艶消し剤の配合量は10〜30重量%の範囲が好ましく、これより少ないと艶消し効果が余り得られない。また、これより多くしても艶消し効果は余り変わらなく、逆に塗料の粘度が高くなって塗装品質に影響を及ぼす。
【0100】
分散剤は艶消し剤を均一に分散させるために配合する。分散剤には脂肪族多価カルボン酸、ポリエステルのアミン塩、ポリエーテル・エステル型アニオン系界面活性剤、ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミノアマイドと燐酸の塩などを挙げることができる。これらの分散剤を1〜5重量%配合すると艶消し剤の分散効果が良く現れる。
【0101】
以上の構成を取った時計用文字板60は、Au金属膜なる反射膜62からの反射によって得られる強く光沢金色を呈する反射光が、艶消し剤によって散乱が起き、光沢性が消失して艶消しされた状態の金色が現れる。落着感が現れて高級感が現れてくる。艶消しの程度は艶消し剤の配合量によって決まってくる。上記した配合量10〜30重量%の中でも多目に取ると金色感が薄れてくる。本実施例2においては、少し少な目の10〜15重量%の配合量にして金色感を少し強めに出している。
【0102】
また、Au金属膜なる反射膜62を均等に分布した配置を取り、文字板の面積に対して65〜70%の割合で配設しているので、文字板全面に渡って艶消しされた金色調が現れる。
【0103】
尚、本実施例2においては、透明膜65に艶消し剤を分散したものであるが、この艶消し剤は透過性基板61の中に分散させることもできる。透過性基板に分散させる場合は、透過性基板が0.3〜0.5mmと厚みが厚いので配合量は少な目に取るようにすると良い。
【実施例3】
【0104】
次に、本発明の実施例3に係る時計用文字板を図7を用いて説明する。図7は本発明の実施例3に係る時計用文字板の要部断面図を示している。実施例3に係る時計用文字板70は、下面側にプリズム71aを有する透過性基板71と、そのプリズム71aの面上に部分的に設けた二層の金属膜でもって構成される反射膜72と、その反射膜72の上に設けた保護膜73と、透過性基板71の上面に設けた透過性着色膜76とでもって構成している。
【0105】
透過性基板71は透明なポリカーボネイト樹脂でもって形成し、下面側にプリズム角度70〜100度、プリズム高さ15〜70μm、ピッチ100μm以下の渦巻き状の模様を持ったプリズム71aを有している。このプリズム71aは射出成形時に金型から転写して形成している。また、プリズム71aの面は光沢面に仕上げられており、これも金型から転写して形成する。
【0106】
反射膜72は、本実施例3においては、Cu金属膜72aとNi金属膜72bとの積層した二層の金属膜から構成している。Ni金属膜72bはCu金属膜72aの腐蝕を防止するために保護目的で設けている。Cu金属膜72aの厚みは500〜700Å、Ni金属膜72bの厚みは300〜500Åの厚みに形成し、反射膜72としての厚みは800〜1200Åの厚みになっている。また、この反射膜72はサークル状の模様を持って、100〜200μmの幅で形成している。そして、保護膜72の総面積は透過性基板71の面積に対して60〜65%の割合になっている。Cu金属膜72aとNi金属膜72bは何れも真空蒸着法などの乾式メッキ法によって形成する。最初にCu金属膜72aを形成し、その上にNi金属膜72bを形成する。
【0107】
保護膜73はウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明樹脂のインクを用いてスクリーン印刷法やパッド印刷法などの印刷法によって形成している。また、この保護膜73は反射膜72と同じ形状でもって形成する。即ち、サークル模様状に100〜200μmの幅を持って形成する。
【0108】
Cu金属膜72aとNi金属膜72bとの積層した二層構造を取る反射膜72をサークル状の模様に形成するには、同じサークル模様状に保護膜73を設けた後、エッチング方法によって保護膜73を設けていない部分をエッチングして除去する。エッチングは塩化第二鉄のエッチング液を用いる。Cu金属膜、Ni金属膜は共に塩化第二鉄の溶液には溶解する。
【0109】
ここで、反射膜72を剥離して反射膜72の設けられていない部分の幅などの大きさを100μmの大きさに抑えている。目に視認できない大きさなので反射膜72が設けられていない部分は目に見えない。従って、反射膜72の部分が透過性基板71の全面に見えてくる。
【0110】
透過性着色膜76は、本実施例3においては、黄色に着色した樹脂膜から形成している。この透過性着色膜76は、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂に黄色の顔料を1〜5重量%配合して生成した塗料を用いて吹き付け塗装方法などで塗料膜を形成し、乾燥硬化後にラッピングにより10〜15μmの厚みに形成したものである。薄い黄色味の色調を呈して透過率としては60〜70%の透過率を持っている。
【0111】
以上の構成を取った時計用文字板70には、反射膜72のCu金属膜72aの金属の色と透過性着色膜76の黄色味の色とが混ざり合って少し薄目の金金属色の色調が強く現れてくる。また、その金金属色調も文字板全面に渡って均一な色調を持って明るく現れる。このような構成を取ることにより、Au金属を使わずに金金属色が得られる。金属膜と透過性着色膜との色の組合せで種々金属色の色調を変えることができる。そして、色調のバリエーションも増やすことができる。また、光透過率も20〜25%得られていることからソーラーセルの発電機能に影響をあた得ない。
【0112】
更に、透過性着色膜76に艶消し剤を付加することも可能で、艶消し剤を付加すれば艶消しされた落ち着きのある金属色調の時計用文字板が得られる。そして、文字板の装飾性を高めることができる。
【0113】
また、本実施例3においては、反射膜72をCu金属膜72aとNi金属膜72bの二層で構成し、更にその上に保護膜73を設けた構成を取っている。Cu金属膜の腐蝕防止に二重の保護構造を取っているので長寿命の効果も得られる。
【実施例4】
【0114】
次に、本発明の実施例4に係る時計用文字板を図8を用いて説明する。図8は本発明の実施例4に係る時計用文字板の要部断面図を示している。 図8より、時計用文字板80は、上面側に印刷模様81bを有し、下面側にプリズム81aを有する透過性基板81と、プリズム81aの面上に部分的に設けたAg金属薄膜からなって透過性と反射性の両機能を持った半透過反射膜なる反射膜82と、この半透過反射膜なる反射膜82の上に設けた白色色調を持った保護膜83と、透過性基板81の印刷模様81bの上に設けた透明膜85とから構成している。
【0115】
透過性基板81の上面側に有する印刷模様81bは印刷によって形成したもので、絵柄などの画像を印刷によって形成した印刷模様である。装飾性を高めるために仕様に応じた印刷模様が設けられる。
【0116】
透過性基板81の下面側に有するプリズム81aは、プリズム角度70〜100度、プリズム高さ15〜70μm、ピッチ100μm以下のサークル状の模様を持ったプリズム
で、射出成形時に金型から転写して形成する。また、プリズム81aの面は光沢面に仕上げられており、これも金型から転写して形成している。
【0117】
反射膜82は透過性と反射性の両機能を持った半透過反射膜で、本実施例4においては、Ag金属での150〜250Åの厚みに形成した金属薄膜で構成している。40〜30%の透過率を持っておりシルバーの色調が視認できる厚みになっている。この反射膜82は格子模様状に形成しており、透過性基板81の全面に渡って一定間隔に均等に配置した構造を取っている。この反射膜82は真空蒸着法などの乾式メッキ方法で所定の厚みに形成し、後述する保護膜83を設けた後にエッチング方法によって保護膜83の設けられていない部分を剥離除去することによって格子形状の反射膜82が得られる。
【0118】
保護膜83は、本実施例4においては、白色に着色した樹脂膜でもって構成しており、光反射機能も持っている。白色に着色したウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などのインクを用いてスクリーン印刷方法やパッド印刷方法などで形成する。この保護膜83は反射膜82と全く同じ形状を持って形成する。
【0119】
ここで、エッチングによって反射膜82を剥離した部分は、即ち、反射膜82が設けられていない部分の大きさは100μmの大きさに抑えている。このため、反射膜82が設けられていない部分は目に見えない。
【0120】
透明膜85は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂塗料を吹き付け塗装などの方法で印刷模様81bの上に形成し、ラッピングによって40〜60μmの厚みの平滑面に仕上げたものである。印刷模様81bに深みを出現させるために厚みを厚く形成している。
【0121】
以上の構成を取った時計用文字板には、文字板全面に薄く白味を持って現れたシルバー金属調の背景色の中に印刷模様が明るく鮮明になって視認される。反射膜82がAg金属薄膜で形成されているため反射光が少なく、シルバー金属色が薄目に現れる。また、Ag金属薄膜を透過した光は白色の保護膜83によって反射され、再びAg金属薄膜を透過して放射されるので薄目のシルバー金属色調に白味が加わってくる。そして、薄く白味を増したシルバー色調が現れる。
【0122】
そして、反射膜82の設けられていない部分のプリズム81aからの反射光や反射膜82からの薄く白味を増したシルバー色調を持つ反射光の作用を受けて、文字板全面に薄く白味のあるシルバー金属色調が現れる中で印刷模様81bが明るく鮮明に視認されるようになる。
【0123】
尚、実施例4においては、反射膜82をAg金属薄膜で構成したが、これは装飾の仕様に応じて適宜に選択すべきものなので、他の金属を選択しても何ら支障はない。また、保護膜83も仕様に応じて適宜に透明、着色の選択をするのが好ましい。
【0124】
また、反射膜82は格子模様状に設けて透過性基板81の全面に一定間隔で均等に配置する構造を取ったが、格子模様に限らすサークル模様やストライプ模様、網目模様、幾何学模様などの模様に形成しても何ら構わない。
【実施例5】
【0125】
次に、本発明の実施例5に係る時計用文字板を図9を用いて説明する。図9は本発明の実施例5に係る時計用文字板の要部断面図を示している。ここでの時計用文字板90は、下面側にプリズム91aを有した透過性基板91と、そのプリズム91aの面上に部分的に設けたメタリック樹脂膜からなる反射膜92と、透過性基板91の上面に設けた透明膜95とから構成される。
【0126】
透過性基板91は透明なポリカーボネイト樹脂を用いて射出成形で形成するが、その時、プリズム91aも金型から転写して形成する。また、プリズム91aの面は鏡面なる金型からの転写によって光沢面に仕上げている。プリズム91aは三角形形状をなしたプリズムで一定のピッチ間隔でサークル状の模様を持って形成していて、プリズム角度は70〜100度、プリズム高さは15〜70μm、ピッチは100μm以下の寸法値をなしている。
【0127】
反射膜92はメタリック樹脂膜からなっていて、光沢を有して金属感を持った塗膜になっている。このメタリック樹脂膜はインク化してスクリーン印刷やパッド印刷などの印刷方法で形成する。この反射膜92は、本実施例5においては、透過性基板91の全面に渡って網目模様に形成していて、一定間隔に全面に渡って均等に配置した構造を取っている。また、この反射膜92は200〜300μmの幅で形成し、反射膜92が設けられていない部分は幅の大きさを100〜200μmの範囲に設けている。そして、反射膜92の総面積を透過性基板91の面積に対して60〜65%の割合に設けている。
【0128】
透明膜95は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いて塗料化し、塗装などの方法で形成する。また、必要に応じてラッピングなどを行って平滑面に仕上げている。
【0129】
以上の構成を取った時計用文字板には光沢が有って表面的に金属感を帯びた色調が網目模様状に現れる。反射膜92が設けられていない部分の大きさを100〜200μmの大きさにし、僅かに目に視認できる程度の大きさにしているのでその部分が白味を帯びて見えてくる。このため網目模様に形成した反射膜92が網目状に現れる。金属感を持った部分と無い部分とが模様を持って現れるので装飾性が高められる。反射膜をメタリック樹脂で形成すると、反射膜を金属で形成したものと比べると趣の異なった金属感が現れる。装飾バリエーションをこれによって増やすことができる。また、メタリック樹脂を用いると表面に模様などを付加することができる。これも、装飾性を高める効果を生む。
【0130】
尚、本実施例5においては、透過性基板91上には透明膜95を設けたが、この透明膜95に艶消し剤などを分散させることも可能である。艶消し剤を分散させると光沢の薄れた金属感を帯びた色調が得られる。
【0131】
また、本実施例5においては、反射膜92が設けられていない部分の大きさを僅かに目に視認できる程度の大きさに設けたが、100μm以下の大きさに設けると文字板の全面にメタリック樹脂の金属感を出現させることができる。
【実施例6】
【0132】
次に、本発明の実施例6に係る時計用文字板を図10を用いて説明する。ここで、図10は本発明の実施例6に係る時計用文字板の平面図と断面図を示していて、図10の(a)は平面図、図10の(b)は図10の(a)におけるG−G断面図を示している。
【0133】
実施例6の時計用文字板100は、図10に示すように、下面側に2種類のプリズム101a1、101a2と上面側に2種類の凹凸模様101b、101cを持って僅かに着色を施した透過性基板101と、2種類のプリズム101a1、101a2の面上に部分的に設けた反射膜102と、この反射膜102の上に設けた保護膜103と、透過性基板101の2種類の凹凸模様101b、101cの上に設けた透明膜105と、透明膜105上に設けた時字なる指標109とから構成される。
【0134】
透過性基板101の下面側にある2種類のプリズム101a1、101a2、及び上面側にある2種類の凹凸模様101b、101cは時計用文字板100の中心の指針取付孔100c側の領域、即ち内周部側の領域Aと、外周部側の領域Bとの区分けでもってそれぞれ異なったプリズムの形状、異なった凹凸模様の形状を取っている。内周部側の領域Aでは、下面側のプリズム101a2はプリズム角度が70〜100度、プリズム高さが15〜70μm、ピッチが100μm以下のストライプ模様状に設けたプリズムの形状を取っており、上面側の凹凸模様101cは40〜50μmの段差を持ったストライプ模様状の凹凸模様を取っている。そして、プリズム101a2のストライプ模様と凹凸模様101cのストライプ模様は同一方向を向いたストライプ模様を取っている。また、外周部側の領域Bでは、下面側のプリズム101a1はプリズム角度70〜100度、プリズム高さ15〜70μm、ピッチ100μm以下のサークル模様状に設けたプリズムの形状を取っており、上面側の凹凸模様101bは微小な凹凸のある梨地模様を取っている。
【0135】
下面側に2種類のプリズムと上面側に2種類の凹凸模様を持つ透過性基板101は、本実施例6においては、僅かに黄色く着色したポリカーボネイト樹脂などを用いて射出成形で形成する。2種類のプリズム、2種類の凹凸模様は金型からの転写によって形成する。
【0136】
反射膜102は、本実施例6においては、Al金属膜で形成していて、500〜1000Åの厚さ、100〜200μmの幅を持たせて格子模様状に形成している。そして、反射膜102の総面積は透過性基板101の面積に対して65〜70%を占める範囲で設けている。この反射膜102は、最初にAl金属を用いて真空蒸着法などの乾式メッキ方法でプリズム101aの面上全面に500〜1000Åの厚みに形成し、後述する保護膜103を印刷形成した後に、エッチング方法によって保護膜の103の設けられていない部分をエッチングすることによって格子模様状の反射膜102が形成される。
【0137】
保護膜103は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの印刷方法で形成する。この保護膜103は反射膜102と同じ形状、即ち、格子模様状に、100〜200μmの幅をもって形成している。この保護膜103は反射膜102をエッチングするときのマスキング目的と反射膜102の耐蝕性向上目的で設ける。
【0138】
透明膜105は透明なアクリル樹脂を用いて吹き付け塗装などの方法で形成し、表面をラッピング方法などで平滑面に仕上げている。
【0139】
時字なる指標109は黒色インクを用いてパッド印刷方法などで形成したり、金属指標を接着剤で貼付けて形成したりして仕様に応じて適宜に選択して透明膜105上に設ける。
【0140】
ここで、プリズム101aの面上に反射膜102が設けられていない部分、即ち、プリズム101aの面が露出した部分の幅の大きさは100μm以下に抑えてある。このため、反射膜102が設けられていない部分は視認することができず、プリズム101aの全面に反射膜102が設けられているように見える。
【0141】
以上の構成を取った時計用文字板は、反射膜102からのAl金属色の反射光と僅かに黄色味に着色された透過性基板101の作用を受けて文字板全面に僅かに黄色味がかったAl金属色が強く現れる。また、表示面全体が反射膜102やプリズム101aからの反射光によって非常に明るくなる。また、内周部側の領域Aでは、僅かに黄色味がかった光沢のあるAl金属色調を持ったストライプ状の凹凸模様が視認され、外周部側の領域Bでは、艶消しされたAl金属色調が視認される。金属色調が明るく強く現れ、しかも、光沢の有る部分と無い部分に分かれ、更に、ストライプの凹凸模様と梨地模様とが視認されて装飾性の豊かな高級感のする時計用文字板が得られる。
【0142】
また、透過性基板101に光屈折率1.58のポリカーボネイト樹脂を用い、透明膜115に光屈折率1.49のアクリル樹脂を用いている。屈折率の違いと透過性基板101の着色によりストライプの凹凸模様101cがはっきりと視認されるようになる。
【0143】
透過性基板101の上面側のストライブ模様状の凹凸模様101c、梨地模様状の凹凸模様101bはデザイン上の仕様から設定される。透過性基板101の下面側のプリズム101aの模様は上面側の模様に対応して光の干渉縞が目立たない模様を選択するのが好ましい。干渉縞が目立って見えるような形状のプリズムにはストライプ形状を取るプリズムや格子の桟の如くストライプ形状のものが互いに交差するような形状を取るプリズムなどが挙げられる。このプリズムの干渉縞を目立たなくする方法の一つとしてはそのプリズムの上方に同一模様を同一方向に向けて設ける方法がある。本実施例6においては、透過性基板101の上面側のストライプ状の凹凸模様101cを見て、下面側のプリズム101aの模様を同一のストライプ模様状に設けたものである。そして、プリズムの干渉縞を視認されないようにしたものである。尚ここでは、プリズムの形状の模様で、格子の桟の如くストライプ形状のものが互いに交差するような形状を取るプリズムをクロス模様のプリズムと定義付けることにする。四角状に交差する模様のプリズム、菱形状に交差する模様のプリズムなどがクロス模様のプリズムに当てはまる。このクロス模様を取るプリズムは干渉縞が目立って見えるようになる。また、プリズムではなく単に凹凸を持った直線形状のものや平坦な直線形状のものが交差する形状の模様を単にクロス模様と定義付けることにする。
【実施例7】
【0144】
次に、本発明の実施例7に係る時計用文字板を図11を用いて説明する。図11は本発明の実施例7に係る時計用文字板の平面図と断面図を示していて、図11の(a)は平面図、図11の(b)は図11の(a)におけるG−G断面図を示している。
【0145】
実施例7の時計用文字板110は、図11に示すように、中心の指針取付孔110cの左右2箇所と下1箇所、計3箇所に補助指針表示部Dを持っている。そして、その補助指針表示Dの中心には補助指針が取り付く小孔が設けられている。また、この補助指針取付部Dの所は段差を設けた凹部の形状を取っている。この時計用文字板110は、下面側にプリズム111aと3箇所の平坦面111dを有し、上面側に梨地模様からなる凹凸模様111bと3箇所の補助指針表示部Dの所に凹部111eを形成し、その凹部111eの所に設けた印刷模様111cとを有する透過性基板111と、この透過性基板111のプリズム111aの面上に部分的に設けた反射膜112と、透過性基板111の平坦部111dの上に設けた第2の反射膜114と、反射膜112の上に設けた保護膜113と、透過性基板111の凹凸模様111b及び印刷模様111cの上に設けた透明膜115と、この透明膜115の上に設けた時字なる指標119とから構成される。
【0146】
ここでの時計用文字板110の大きな特徴は、透過性基板111の3箇所の補助指針表示部Dの部分は、下面側は平坦面111dをなしてプリズムはなく、その平坦面111dの上に第2の反射膜114が設けられており、上面側は凹部111eの形状を取って、その部分に補助指針目盛などの印刷模様111cが設けられていることである。
【0147】
以下、構成部品の細かい仕様について説明する。透過性基板111は透明なポリカーボネイト樹脂を用いて射出成形方法で形成するが、その下面側はプリズム111aと3箇所の補助指針表示部Dの位置する所に平坦面111dを持つ。3箇所の平坦面111d以外の部分は全てプリズム111aが設けられている。このプリズム111aはプリズム角度が70〜100度、プリズム高さが15〜70μm、ピッチが100μm以下のサークル模様をなして設けられている。また、プリズム111aの面は光沢面に仕上げられており、プリズム111a並びに平坦面111dは金型から転写してその形状を形成している。透過性基板111の上面側は、3箇所の補助指針表示部Dの部分は凹部111eを持っていて、その部分に印刷模様111cを持っている。凹部111eは補助指針を取付けた時に補助指針が上に余り飛び出さないようにするために設けており、印刷模様111cは目盛表示と装飾表示を施すために設けている。また、3箇所の補助指針表示部D以外の部分は梨地模様からなる凹凸模様111bが設けられている。3箇所の凹部111eと梨地模様なる凹凸模様111bは金型から転写して形成するが、印刷模様111cは印刷によって形成する。この印刷模様111cは装飾模様と補助指針目盛との2つに分かれており、最初に装飾模様の印刷が施されて装飾模様が設けられ、その後に補助指針目盛の印刷が行われて補助指針目盛が設けられる。
【0148】
反射膜112は金属膜からなるが、本実施例7においては、Al金属膜で形成していて、500〜1000Åの厚さ、100〜200μmの幅を持たせてストライプ模様状に形成している。この反射膜112は、最初にAl金属を用いて真空蒸着法などの乾式メッキ方法でプリズム111aの面上全面に500〜1000Åの厚みに形成し、後述する保護膜113を印刷形成した後に、エッチング方法によって保護膜113の設けられていない部分をエッチングすることによってストライプ模様状の反射膜112が形成される。尚、エッチングによって保護膜113を削り取ってプリズム111aが露出した部分の幅の大きさは100μm以下に抑えている。100μm以下であると目に視認されない。
【0149】
第2の反射膜114は、透過性基板111の補助指針表示部Dの位置する下面の平坦面111d上に設ける。本実施例7においては、白色樹脂膜で形成している。エッチングによってAl金属膜なる反射膜112を剥離した後に白色樹脂インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの印刷方法で形成する。この第2の反射膜114は白色樹脂に限るものではない。他の着色樹脂で形成しても良いし、また、金属膜で形成しても良い。また、上記の反射膜112をそのまま設けたものでも良いものである。デザインなどの仕様に応じて適宜に選択すると良い。
【0150】
保護膜113は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂インクを用いてスクリーン印刷やパッド印刷などの印刷方法で形成する。この保護膜113は反射膜112と同じ形状、即ち、ストライプ模様状に、100〜200μmの幅をもって形成している。この保護膜113は反射膜112をエッチングするときのマスキング目的と反射膜112の耐蝕性向上目的で設ける。
【0151】
透明膜115は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いて塗料化し、吹き付け塗装などの方法で形成する。また、必要に応じてラッピングなどを行って平滑面に仕上げている。
【0152】
時字なる指標119は黒色インクを用いてパッド印刷方法などで形成したり、金属指標を接着剤で貼付けて形成したりして仕様に応じて適宜に選択して透明膜115上に設ける。
【0153】
ここで、3箇所の補助指針表示部Dに形成する印刷模様111cは装飾模様と補助指針目盛との2つに分かれるが、装飾模様としては色々な装飾模様を取ることができる。例えば、全体を一色で装飾したもの、ストライプ模様、クロス模様、サークル模様、旭光模様絵柄模様などの模様を用いて装飾を施したものなどを挙げることができる。この補助指針表示部Dの位置の所はプリズム111aを設けていないのでどの様な模様を取っても光の干渉縞は発生しない。
【0154】
以上の構成を取った時計用文字板110は、3箇所の補助指針表示部D以外の所は明るく、そして、梨地模様なる凹凸模様111bの作用を受けて艶消しされ状態のAl金属色が強く現れる。片や、3箇所の補助指針表示部Dの所は少し暗くなった装飾模様が現れる。これは、補助指針表示部Dの所はプリズム111aが設けられていないためにプリズムからの強い反射光が無く、このために明るさが減って暗さが現れてくる。しかしながら、明るく装飾される部分と暗く装飾される部分とのコントラストも現れて新たな一つのデザインが生まれてくる。
【0155】
以上、実施例1〜実施例7に渡って本発明の時計用文字板を詳細に説明した。この本発明の時計用文字板を携帯時計に用いると、明るく、そして、金属色の強く現れた表示が得られる。また、凹凸模様や印刷模様などを施すことによって装飾性の富んだ文字板表示が得られ外観的価値を高めると同時にデザインバリエーションを増やすことができる。また、艶消し金属色も得られることから落ち着き感の現れた文字板表示が得られ、高級感も現れてくる。これらの効果は従来技術からは得られなかったことである。また、文字板が一体になっていることから取扱も容易で、組立作業などもやり易くなる。また、形成する作業方法も簡単で工程数も少ないことからコスト面で安く製造できる。
【0156】
また、今までソーラーセルに使用する時計用文字板について説明してきたが、本発明の時計用文字板はエレクトロルミネッセンス用の文字板としても使用することができる。本発明の時計用文字板は反射膜を設けない部分を一定間隔に文字板全面に均等に配置する構成を取っているので、エレクトロルミネッセンスを用いたバックライトでは反射膜を設けていない部分から文字板の表示を照明するので文字板全体が均一に照明される。そして、プリズムによって照明光が分散するので均一な明るい照明が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯時計の平面図である。
【図2】図1における携帯時計の要部断面図である。
【図3】図1における時計用文字板の要部断面図である。
【図4】図3における時計用文字板の反射膜の製造方法を説明する工程図である。
【図5】本発明の実施例1に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図7】本発明の実施例3に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図8】本発明の実施例4に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図9】本発明の実施例5に係る時計用文字板の要部断面図である。
【図10】本発明の実施例6に係る時計用文字板の平面図と断面図で、図10の(a)は平面図、図10の(b)は図10の(a)におけるG−G断面図である。
【図11】本発明の実施例7に係る時計用文字板の平面図と断面図で、図11の(a)は平面図、図11の(b)は図11の(a)におけるG−G断面図である。
【図12】従来技術として非特許文献1に示されたソーラーセル用の時計用文字板の要部断面図である。
【符号の説明】
【0158】
30 携帯時計
31 ケース
32 カバーガラス
33 バンド
34 指針
35 リューズ
36 裏蓋
37 中枠
38 ムーブメント
39 ソーラーセル
40、50、60、70、80、90、100、110 時計用文字板
41、51、61、71、81、91、101、111 透過性基板
41a、51a、61a、71a、81a、91a、101a、101a1、101a2、111a プリズム
42、52、62、72、82、92、102、112 反射膜
43、53、63、73、83、103、113 保護膜
49、109、119 指標
51b、101b、101c、111b 凹凸模様
55、65、85、95、105、115 透明膜
65a 透明な樹脂
65b 艶消し剤
72a Cu金属膜
72b Ni金属膜
76 透過性着色膜
81b、111c 印刷模様
111d 平坦膜
111e 凹部
114 第2の反射膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面側にプリズムを有する透過性基板の前記プリズムの面上に反射膜を部分的に設けたことを特徴とする時計用文字板。
【請求項2】
前記反射膜は金属膜からなることを特徴とする請求項1に記載の時計用文字板。
【請求項3】
前記反射膜は半透過反射膜からなることを特徴とする請求項1に記載の時計用文字板。
【請求項4】
前記反射膜は樹脂塗膜からなることを特徴とする請求項1に記載の時計用文字板。
【請求項5】
前記反射膜は一定間隔に設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項6】
前記反射膜は前記透過性基板の全面に渡り均等に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項7】
前記反射膜は模様状に設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項8】
前記反射膜が設けられている総面積は前記透過性基板の面積に対して多くても75%を越えないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項9】
前記反射膜が設けられていない部分の幅の大きさは30〜100μmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項10】
前記金属膜は300〜1500Åの厚さであることを特徴とする請求項2に記載の時計用文字板。
【請求項11】
前記半透過反射膜は金属薄膜からなることを特徴とする請求項3に記載の時計用文字板。
【請求項12】
前記樹脂塗膜はメタリック樹脂膜であることを特徴とする請求項4に記載の時計用文字板。
【請求項13】
前記反射膜の上に保護膜を設けたことを特徴とする請求項1乃至3、請求項5乃至11のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項14】
前記プリズムは三角形形状をなしており、プリズムの角度が70〜100度であることを特徴とする請求項1に記載の時計用文字板。
【請求項15】
前記プリズムは、高さが15〜70μm、ピッチが100μm以下であるあることを特徴とする請求項1又は14に記載の時計用文字板。
【請求項16】
前記プリズムはサークル模様、渦巻き模様、ストライプ模様、幾何学模様、花模様などの少なくとも1種の模様をなしていることを特徴とする請求項1、14、15のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項17】
前記透過性基板の上面側の全面もしくは一部分に凹凸模様又は印刷模様などの模様部を有することを特徴とする請求項1に記載の時計用文字板。
【請求項18】
前記模様部の凹凸模様又は印刷模様がストライプ模様又はクロス模様の場合は、前記模様部の位置に当たる前記透過性基板の下面側の前記プリズムの模様は、前記凹凸模様又は印刷模様の方向と合った方向のストライプ模様またはクロス模様をなすことを特徴とする請求項1、14、15、16、17のいずれか1項に記載の時計用文字板。
【請求項19】
前記模様部の凹凸模様又は印刷模様がストライプ模様又はクロス模様の場合は、前記模様部の位置に当たる前記透過性基板の下面側の位置にはプリズムが設けられていないことを特徴とする1又は17に記載の時計用文字板。
【請求項20】
前記透過性基板は下面側に部分的にプリズムを有しない部位を設けたことを特徴とする請求項1に記載の時計用文字板。
【請求項21】
前記部分的にプリズムを有しない部位に第2の反射膜を設けたことを特徴とする請求項20に記載の時計用文字板。
【請求項22】
前記透過性基板の上面に透明膜又は透過性着色膜を設けたことを特徴とする請求項1又は17に記載の時計用文字板。
【請求項23】
前記透過性基板又は透明膜又は透過性着色膜に艶消し剤を分散したことを特徴とする請求項1又は22に記載の時計用文字板。
【請求項24】
下面側にプリズムを設けた透過性基板の前記プリズムの面上に乾式メッキ法よって金属膜を形成する工程と、該金属膜上に印刷方法などによって保護膜を部分的に形成する工程と、該保護膜が形成されていない部分の前記金属膜をエッチング方法によって剥離除去する工程と、を有することを特徴とする時計用文字板の製造方法。
【請求項25】
前記金属膜は300〜1500Åの厚みであることを特徴とする請求項24に記載の時計用文字板の製造方法。
【請求項26】
時計用文字板の下面側にソーラーセル又はエレクトロルミネッセンスを備えた携帯時計において、前記時計用文字板は前記請求項1乃至23のいずれか1項に記載の時計用文字板を用いて、金属感が強く現れて、明るく装飾豊かな時計表示が行われることを特徴とする携帯時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−24698(P2007−24698A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207972(P2005−207972)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)