説明

時計用表示板

【課題】ソーラーセル時計用表示板において、入射光を透過し駆動電源を確保し、ソーラーセルの視認を妨げ、ホログラム反射板の非反射光角における視認性を向上する。
【解決手段】 ソーラーセル付携帯時計で、ソーラーセル11の上に光透過性のホログラム反射板13と接着層14を介して、透明基板15を積層した表示板を配置した構造で、前記透明基板の下面もしくはホログラム反射板の上面またはもしくは下面に反射光と同系統色の着色層16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池(ソーラーセル)を有する携帯時計の表示板構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から時計、電卓などの電源として太陽電池(以後、ソーラーセルと呼ぶ)が用いられている。これは、通常アモルファスシリコンなどから形成され、光エネルギーを電気エネルギーに変換しており、その機能から光があたる位置、すなわち外部から直接見える表面位置に配置する必要がある。
【0003】
携帯時計の表示板構造にソーラーセルを用いた構造を図7、図8において説明する。図7は前記ソーラーセル付携帯時計80の外観を示す平面図である。図8は前記ソーラーセル付携帯時計80に備わる表示板82とモジュール100の構成を断面図である。前記ソーラーセル付携帯時計80のモジュール100の上面に平面視で扇形のソーラーセル81を4枚、絶縁体87を挟んで配置し、前記ソーラーセル81の上に透明性のあるポリカーボネイト、もしくはアクリル樹脂の透明板85または半透明板を接着層84を介して積層し、前記透明板85の表面に時字86、ロゴ83またはマーク等を印刷で形成した光透過性の表示板82の構成となっている。
【0004】
前記ソーラーセル付時計80の光透過性の表示板82は、太陽光(光源)から多くの発電効率を得るために、光を透過させるには透明または少なくとも半透明であることが必要であり、前記表示板82の材料が限られると同時に、表示板82を通してソーラーセル81本来の濃紫色または暗青色の色調が視認され、外観品質を損なうという問題があった。
【0005】
これに対し、前記ソーラーセル81の前面に干渉フィルタなどを設けて見えにくいようにした時計などが提案されているが、ソーラーセル81への光エネルギー供給に支障を来たすという問題、および時計用表示板としての外観品質が悪いという問題があった。
【0006】
また、このような問題を解決するために、前記ソーラーセルの上面に光透過性のホログラム反射板を備えた表示板の例として、特開平9−292474号公報記載の構造が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−292474号公報
【0008】
特許文献1に開示されたところの構造で形成した時計用表示板90を図9において説明する。図9はソーラーセル91と表示板92の構成図を示し、且つ前記表示板92と、光源96および観察者97、98の配置位置と光線経路を示す。前記表示板92は、前記ソーラーセル91の上面に、透明樹脂層93bにホログラム層93aを一体に積層したホログラム反射板93と、該ホログラム反射板93の上に透明な接着層94を介して、透明または半透明な外層95を積層した表示板92の構造を成す。
【0009】
前記表示板92の構成とすることで、光源96から照射された入射光101は、前記外層95を透過し、前記ホログラム反射板93で反射され反射光102となり、観察者97に反射光102が届く。且つ入射光101の一部は透過性のホログラム反射板93を透過し、透過光104となり、ソーラーセル91に入射し、光エネルギーは前記ソーラーセル91により電気エネルギーに変え、携帯時計に駆動電源として供給される。また、前記従来例の問題として挙げた前記ソーラーセル91特有の濃紫色または暗青色の色調は、前記ホログラム反射板93の透過率(生地色)および反射光102により視認されることは無く、外観品質を損なわないという点を特徴として述べている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記表示板92の構造において、前記ホログラム反射板93はその特性から、入射光101に対する反射光角が決まっており、観察者97の配置位置は光源96とホログラム反射板93が反射光角の位置になり、鮮やかな強い光の反射光102が前記観察者97に得られるという反面、非反射光角の観察者98の位置では、前記反射光102は見えなくなり、且つ前記非反射光角においては、前記ホログラム反射板93の生地素材色の黄色103が目視され、前記生地素材色の黄色103は前記反射光102の色調とは異なる色調となり、その色調の違いは違和感として目視され、前記表示板92の品格を損なうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記問題を解決し、特に、ソーラーセル付携帯時計のソーラーセル特有の濃紫色または暗青色の色調の視認を妨げると共に、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層を前記ホログラム反射板の上に設けることで、前記非反射角において前記着色層が目視され、且つホログラム反射板の生地素材の黄色の視認を妨げることで、前記表示板は品格があり、高級感のある時計用表示板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以上のような従来の課題を解決するため、さらに本発明の目的を達成するために成されたもので、本発明の請求項1記載に係る時計用表示板は、ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面または前記透明基板の下面の少なくとも一方に、着色層で成ることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2記載に係る時計用表示板は、ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面または前記透明基板の下面の少なくとも一方に、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層で成ることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3記載に係る時計用表示板は、ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面および下面に着色層で成ることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4記載に係る時計用表示板は、ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性の透明基板と、該透明基板の上に接着層を介して、光透過性のホログラム反射板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面には、該ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層と、前記ホログラム反射板の下面に着色層または前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層で成ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5記載に係る時計用表示板は、ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面および下面に前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層で成ることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項6記載に係る時計用表示板は、ソーラー時計用の表示板は、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層、前記着色層、前記透明基板または前記ホログラム反射板のそれぞれの上面の一部に、艶消し層で成ることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項7記載に係る時計用表示板は、前記光透過性の透明基板は、ガラス板、サファイヤガラス板、ポリカーボネイト板、アクリル板またはポリエステル板の中の少なくとも1つから成ることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項8記載に係る時計用表示板は、前記透明基板を形成する際、ガラス基材または合成樹脂基材に着色剤を含めて成形し、前記透明基板は光透過性のカラー色で成ることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項9記載に係る時計用表示板は、前記光透過性の透明基板の上面または下面のいずれか一方に、模様、数字、文字またはマークの中の少なくとも1つが、凹部または凸部のいずれかの形状で成ることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項10記載に係る時計用表示板は、前記ホログラム反射板の上側に位置する前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層は、その透過率は70〜85%で成ることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項11記載に係る時計用表示板は、前記ホログラム反射板の上側に位置する前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層は、その透過率は70〜85%と、且つ前記ホログラム反射板の下側に位置する着色層は、その透過率は20〜50%で成ることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項12記載に係る時計用表示板は、前記ホログラム反射板の下面は、白色の艶消し層で成ることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項13記載に係る時計用表示板は、前記ホログラム反射板の下面に成る白色の艶消し層は、着色層または前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層の下に設けられていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項14記載に係る時計用表示板は、前記着色層の色調は、透明色、透明系カラー色または白系統色の中の少なくとも1つから成ることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の請求項15記載に係る時計用表示板は、前記着色層および前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層を有する手法は、印刷手法、塗装手法、乾式メッキ手法または転写手段の中の少なくとも1つから成ることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の請求項16記載に係る時計用表示板は、前記透明基板の上面またはホログラム反射板の上面に成る艶消し層は、それぞれの上面に部分印刷または模様印刷のいずれか一方で成ることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の請求項17記載に係る時計用表示板は、前記艶消し層は、シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアの中の少なくとも1つの微粒子を含有し、且つ前記微粒子を分散させる為の分散剤が添加された透明樹脂被膜で成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明の時計用表示板の構造によれば、請求項1の効果は、ソーラーセルの上に光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上面に、接着層を介して光透過性の透明基板を積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面または前記透明基板の下面に着色層が成ることで、光源から照射された入射光と、前記ホログラム反射板と、観察者の配置位置による角度で、反射光角では、前記観察者は鮮やかな強い光の反射光を見ることができ、反射光が見えなくなる非反射光角においては、前記着色層が目視され、且つホログラム反射板の生地素材色の黄色は前記着色層で見えなくなり、観察者の位置が変わることによる、前記ホログラム反射板の反射光色と前記生地素材色の黄色の色調による較差をなくして見える効果がある。
【0030】
次に、本発明の請求項2の効果は、時計用表示板で、ソーラーセルの上に光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上面に、接着層を介して光透過性の透明基板を積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面または前記透明基板の下面に、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層が成ることで、光源から照射された入射光と、前記ホログラム反射板と、観察者の配置位置による角度で、反射光角では、前記観察者は鮮やかな強い光の反射光を見ることができ、反射光が見えなくなる非反射光角において、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層が目視され、且つ前記ホログラム反射板の生地素材色の黄色は、前記反射光と同系統色の着色層で見えなくなり、時計用表示板は色調の違いによる違和感はなくなり、品格を損なわない高級感を有する表現が可能となる効果がある。
【0031】
次に本発明の請求項3の効果は、時計用表示板で、ソーラーセルの上に光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板を積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面および下面に着色層を形成することは、前記ホログラム反射板の上面および下面(両面)に前記着色層を設けることで、前記ホログラム反射板の反りを抑制する効果がある。通常、携帯時計に用いる前記ホログラム反射板の厚みは160〜210μmと板厚は薄く、前記ホログラム反射板の片面に着色層を印刷手法で設けた場合、印刷後の着色インクを乾燥する際に、前記着色インクは収縮する応力が働き、印刷側に反りが発生するという問題を生じる。反りが生じたホログラム反射板は反射光も拡散され、前記ホログラム反射板が持つ本来の強い反射光は得られず、また、反りが生じた前記ホログラム反射板は、機能上で平坦性が求められる時計用表示板として用いることはできない。前記ホログラム反射板の上面および下面に着色層を設けることで、前記反り問題は解消され、前記ホログラム反射板を時計用表示板として用いることを可能とした効果がある。更に、観察者が位置を変えることによって生地素材が見えることを防止できる。
【0032】
次に、本発明の請求項4の効果は、時計用表示板で、ソーラーセルの上に光透過性の透明基板と、該透明基板の上に接着層を介して、光透過性のホログラム反射板を積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面に、該ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層と、前記ホログラム反射板の下面に着色層または前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層が成ることで、前記請求項1乃至3の効果と合わせ、前記ホログラム反射板は最上位に位置する構成を特徴とし、反射光および非反射光角で目視される同系統色の着色層の色調は、前記透明基板を介さずに反射光や前記着色層の色調を目視することができ、光の屈折が無い、輝かしい光の効果がある。
【0033】
また、前記ホログラム反射板の下面は、前記着色層、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層または本発明の請求項11乃至14に記載された層から成る。前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層は、最下層に位置する前記ソーラーセル特有の濃紫色または暗青色の色調の視認を妨げると共に、表示板の全体の透過率を調整する目的で形成し、また、前記ホログラム反射板の下面に、白色の艶消し層から成る着色層を形成することは、ホログラム反射板が放つ反射光はパステルカラー調の光として目視でき、該反射光は前記表示板をさらに際立たせる表現が可能となり、デザインバリエーションを拡大する効果がある。
【0034】
次に、本発明の請求項5の効果は、時計用表示板で、ソーラーセルの上に光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板を積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面および下面に前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層が成ることで、前記請求項1乃至3の効果と合わせ、前記ホログラム反射板を挟んで前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層が2層で設けられることで、その色調は前記反射光と同系統色の着色層の色調の深みを増す効果があり、非常に綺麗な着色層が目視でき、本発明が目的とする品格があり高級感のある仕様表現を表す構成となる効果がある。
【0035】
次に本発明の請求項6の効果は、時計用表示板で、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層、前記着色層、前記透明基板または前記ホログラム反射板のそれぞれの上面の一部に、艶消し層で成ることで、前記艶消し層が形成された艶消し面は、光源から照射された光は前記艶消し面で分散し、前記ホログラム反射板へは分散光で当たることで、前記ホログラム反射板の反射光は得られず、前記艶消し面は無反射状態となる。また、前記艶消し層が形成されて無い面へは、光源から照射した光は、前記ホログラム反射板で輝かしい強い反射光となり目視でき、前記反射光がある部分とない部分での表現が可能となり、反射光を部分的に反射光面または無反射光面で調整でき、デザインバリエーションをさらに増やす効果がある。
【0036】
また、前記ホログラム反射板の上面に艶消し層を成すことで、前記ホログラム反射板は反射面を直接に艶消し層がある部分とない部分に限定したデザインを成すことが可能となり、上記構成から最上面は前記透明基板の艶有り面が形成された下に、前記ホログラム反射板の反射面および無反射面の表現が目視できる効果が得られる。また、前記艶消し層は、その形態が模様形状で形成しても良く、この艶消し面のある部分とない部分とを混在させることにより反射光面と無反射光面のバランスを考慮した模様表現が可能となり、デザインバリエーションを増やす効果が得られる。
【0037】
次に本発明の請求項7の効果は、前記透明基板は、ガラス板、サファイアガラス板、ポリカーボネイト板、アクリル板またはポリエステル板の中の少なくとも1つから成ることで、どれも一般的な素材で、研磨手法または合成樹脂による成形手法で透明基板を形成することができ、安価な製造コストで量産性を可能とする効果がある。
【0038】
次に本発明の請求項8の効果は、前記透明基板を形成する際、ガラス基材または合成樹脂基材に着色剤を含めて成形し、前記透明基板は光透過性のカラー色で成ることで、前記透明基板の光透過性のカラー色と、前記ホログラム反射板の反射光とが合わさり、反射光に変化をもたらし、非反射光角においては、前記着色層の色調を混色させ目視することができ、前記着色剤のカラー色を変えることにより、前記透明基板は豊富なカラー色からの選択が可能となり、前記ホログラム反射板の種類との組み合わせで、デザインバリエーションが幾重にも拡大する効果がある。
【0039】
次に本発明の請求項9の効果は、前記透明基板の上面または下面のいずれか一方に、模様、数字、文字またはマークの中の少なくとも1つが、凹部または凸部のいずれかの形状で成ることで、前記ホログラム反射板が放つ反射光と、非反射光角においては前記着色層の色調とが、前記模様、数字、文字またはマークと重なり合わさることで、前記模様、数字、文字またはマークなどの形状の輪郭が強調され、引立たせ、前記時計用表示板のポイントとして目視される効果を得る。また、前記ホログラム反射板の色調と、前記透明基板のカラー色調と、前記模様、数字、文字またはマークなどの種類との組み合わせは、前記時計用表示板において、さらにデザインバリエーションを幾重にも増やすことが可能となる効果がある。
【0040】
また、本発明のソーラーセル時計用表示板の構成で、前記透明基板に合成樹脂材やガラス、サファイアガラスを用いている。前記透明基板の上面または下面のいずれか一方に形成される模様、数字、文字またはマークの中の少なくとも1つは、前記透明基板に凹部または凸部のいずれかの形状または凹部と凸部の組み合わせされた形状で形成される。合成樹脂を用いた場合は、模様、数字、文字またはマークなどを射出成形金型に凹部または凸部で形成し、金型からの転写方法で容易に前記透明基板に模様、数字、文字またはマークを射出成形手法で形成することができる。また、ガラスを用いた場合も、ガラス基材にフォトマスクなどを形成し、エッチング手法による蝕刻で簡単に模様、数字、文字またはマークなどの形状を凹部で形成することができる。何れも材料費が安く、加工方法も容易で、量産が可能であることから安い製造コストで製作することができる効果がある。
【0041】
次に本発明の請求項10の効果は、前記ホログラム反射板の上側に位置する前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層は、その透過率は70〜85%であることで、前記着色層は光源からの入射光が反射光角の時は、輝かしい強い光の反射光を遮ることなく目視でき、一方、非反射光角においては、反射光と同系統色の着色層が前記ホログラム反射板の生地素材色の黄色を消し、反射光と同系統色の色調が目視できる効果がある。
【0042】
また、前記着色層の透過率が前記透過率より低いと、前記ホログラム反射板の反射光は着色層で遮ることになり、輝かし反射光は弱まり、暗い反射光となり、本来の反射光の表現ができないこととなる。逆に前記透過率が前記透過率より高いと、前記反射光角においては、反射光を着色層で遮る問題は無いが、前記非反射光角において、前記ホログラム反射板の生地素材色の黄色を消すことはできず、前記生地素材色の黄色が目視され、前記生地素材色の黄色と反射光角の反射光との違いは、違和感となって目視でき、表示板の品格を損なうことになる。
【0043】
次に本発明の請求項11の効果は、前記ホログラム反射板の上側に位置する前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層は、その透過率は70〜85%と、且つ前記ホログラム反射板の下側に位置する着色層は、その透過率は20〜50%であることで、前記請求項10で記述した上側の透過率の効果と合わせ、下面側に成す着色層は、該着色層の色調や層厚を調整することで、その透過率は20〜50%とし、前記時計用表示板の全体の透過率を、15%以上に調整し、入射光を効率よく透過させ、前記ソーラーセルに照射し、光エネルギーを前記ソーラーセルで電気エネルギーに変え、時計を駆動する駆動電源として供給すると共に、前記ソーラーセル特有の濃紫色または暗青色の視認を妨げる効果がある。
【0044】
次に本発明の請求項12の効果は、前記ホログラム反射板の下面は、白色の艶消し層で成ることで、前記ホログラム反射板の反射光角においては、反射光は本来の輝かしい強い光は、明るいパステルカラー調の光となって見える効果がある。これは下面の着色層に白色の艶消し層が施されることで、光源から入射した光は、前記ホログラム反射板で反射するが、一部の入射光は前記ホログラム反射板を透過し、前記白色の艶消し層が施された着色層に当たり、白色で反射し上方へ淡い反射色を放ち、前記淡い反射色は反射光と伴ってパステルカラー調の光となって現れ目視され、パステルカラー調の光となって見える効果を得る。また、前記白色の艶消し層で、特に艶消し層とすることは、下面側(裏面)は艶消し面が形成され、白色の艶有り面と比較した場合、下面にあるソーラーセル特有の濃紫色または暗青色の視認を一層妨げる効果がある。
【0045】
次に本発明の請求項13の効果は、前記ホログラム反射板の下面に成る白色の艶消し層は、着色層または前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層の下に設けられていることで、下面側の前記着色層は色調が異なる2種類の色調が視認され、且つ前記白色の艶消し層が施された着色層の色調は明るさが増した色調表現が目視でき、前記時計用表示板のデザインバリエーションを増やすことが可能となる効果がある。
【0046】
次に本発明の請求項14の効果は、前記着色層の色調は、透明色、透明系カラー色または白系統色の中の少なくとも1つから成ることで、前記着色層の形成位置と、前記ホログラム反射板の反射光の種類と、前記透明基板のカラー色調と、前記透明基板に施された模様、数字、文字またはマークなどの種類の組み合わせにより、仕様に合わせた前記着色層の色調を多岐に選択することが可能となり、それぞれが組み合わされた表現は、前記時計用表示板のデザインバリエーションを幾重にも増やすことができる効果がある。
【0047】
次に本発明の請求項15の効果は、前記着色層または前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層を有する手法は、印刷手法、塗装手法、乾式メッキ手法または転写手法の中の少なくとも1つから成ることで、前記印刷手法、塗装手法、乾式メッキ手法または転写手法は、時計用表示板製造工程では一般的な製造手法および工程設備で可能であり、大量生産が可能で、製造コストを抑えた製品の提供が可能となる効果がある。
【0048】
次に本発明の請求項16の効果は、前記透明基板の上面または前記ホログラム反射板の上面に成る艶消し層は、それぞれの上面に部分印刷または模様印刷のいずれか一方で成ることで、前記艶消し層が形成された艶消し面は、光源から照射された入射光は、前記艶消し層に当たり分散し、下面に位置する前記ホログラム反射板には一律の光は当たらず、その結果、強い反射光は得られず無反射面として目視される。また、前記艶消し層が無い面は入射光を遮るものが無いので、前記ホログラム反射板に照射され、強い光の反射光となり目視され、前記透明基板の上面に前記艶消し層のある部分とない部分とを、部分印刷または模様印刷で混在させることにより、無反射光と反射光のバランスを考慮した仕様とした表現が可能になり、デザインバリエーションを増やす効果が得られる。
【0049】
次に本発明の請求項17の効果は、前記艶消し層は、シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアの中の少なくとも1つの艶消し剤の微粒子を含有し、また、前記微粒子を分散させるための分散剤が添加された透明樹脂被膜からなることで、綺麗で均一な艶消し面を形成でき、光を均一に透過し、且つ光を分散させる効果を持ち、前記請求項6の効果と合わせ、この艶消し層によって、表示板の表面に光沢の無い、落ち着き感の現れた表示板の外観を目視できる効果がある。
また、艶消し層へは、前記シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアなどの微粒子を良 く分散するために分散剤を添加している。分散剤の添加によって前記微粒子が艶消し層の全体に渡って均一に分散して、艶消し状態にムラが無く、全体的に均一状態の艶消し面が得られる効果と、さらに前記艶消し剤の微粒子の均一な分散によって光の透過状態にも均一性が得られる効果がある。
【0050】
本発明のさらなる効果として、前記表示板構造は従来技術および工程設備で生産可能な構成で成り、且つ大量生産が可能な方法で安価に製作することができ、機能と外観品質が備わった時計用表示板を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
【実施例1】
【0052】
実施例1として図1、図2に基づいて、本発明の請求項1乃至2のソーラー時計に使用した時計用表示板10の構造を説明する。図1はソーラーセル11とホログラム反射板13と透明基板15を積層した表示板12の要部拡大断面図。図2はソーラーセル11と表示板12、光源22および観察者23、24の配置位置と光線経路を示す。基本構成として図1において、ソーラーセル11の上に透過性のホログラム反射板13と、該ホログラム反射板13の上に接着層14を介して透過性の透明基板15を積層した表示板12を配置し、前記透明基板15の下面には、前記ホログラム反射板13の反射光19と同系統色の着色層16が形成され、時計用表示板10が成る。
【0053】
前記表示板12の各部材構成を説明する。前記ホログラム反射板13には、様々な種類があるが、本実施例1で使用するホログラム反射板13はDuPont社製のDuPont Holographicsを使用し、反射光19の色調が青色、赤色、緑色、金色が有り、携帯時計の仕様により適宜選定し、本実施例1では前記反射光19の色調は緑色を用いる。前記反射光19は強い緑色の色調を発して反射することを特徴とする。前記ホログラム反射板13の特徴としては、前記反射光19の輝度は緑色系の場合、基準色となる白の約5倍の輝度があり、周辺光を拡散、および反射し、正面視角において最大限に反射光効果を発揮する。また、前記ホログラム反射板13の板厚は160〜210μmを用いている。
【0054】
本実施例1の前記透明基板15は、透明なポリカーボネイト樹脂を用いて、該ポリカーボネイト樹脂をペレット化し、射出成形金型と射出成形機を用いて、射出成形方法で成形し、光透過性の透明色の前記透明基板15が成る。
【0055】
また、本発明の請求項9に記載された、前記透明基板15の上面または下面のいずれか一方に、模様、数字、文字またはマークの中の少なくとも1つを、凸部または凹部の形状で成すことが、この射出成形時に可能である。前記射出成形金型に前記模様、数字、文字またはマークなどを、凹部または凸部の形状で設け、射出成形時に金型からの転写により、前記透明基板15となる樹脂体に形成することができる。また、前記時字部25が凸部の場合、高さは50〜500μmの範囲で形成されているのが通常で、本実施例1は時字部25は、凸部形状で高さ200μmで形成されている。さらに、前記透明基板15の上面には、ロゴ26またはマークが印刷で形成され、前記時計用表示板10を、目視した際のポイントとなり、ロゴ26やマークは多彩にデザインバリエーションを増やす効果がある。
【0056】
次に、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層16は、前記透明基板15の下面に、前記ホログラム反射板13の反射光19と同系統色で成る。本実施例1の形成方法としては、印刷手法のスクリーン印刷手法で、反射光19の緑色と同系統色の緑色系インクを用いる。前記ホログラム反射板13の反射光19に近い緑色の顔料を、透明なウレタン樹脂に配合して生成した着色インクを用いて、前記着色層16の層厚をスクリーン版の網目種類と膜厚の中から選定し、スクリーン印刷手法で、通常5〜30μmの層厚で形成する。また、前記透明基板15の下面に成る着色層16は、該着色層16の色調や層厚を調整することで、前記表示板12の全体の透過率を、前記ホログラム反射板13の透過率(約80%)と合わせ、15%以上に調整し、入射光18を効率よく透過させ、前記ソーラーセル11に照射し、光エネルギーを前記ソーラーセル11で電気エネルギーに変え、時計を駆動する駆動電源として供給すると共に、前記ソーラーセル11特有の濃紫色または暗青色の視認を妨げる効果がある。
【0057】
また、前記反射光19と同系統色の着色層16の透過率は、本発明の請求項10で記載されている通り、透過率基準が70〜85%であることを最適とする。実験調査をした所、透過率が70〜80%範囲であると品格と高級感がある色調に保たれた。透過率が90%以上になるとホログラム生地素材色が見えて、高級感がなくなって来る。透過率が65%以下の範囲になると、ホログラム反射光が暗くなり高級感を失っていた。前記着色層16は前記透過率が前記範囲内にあることで、光源22からの入射光18と、表示板12と観察者23の位置が、反射光角である時は、輝かしい強い光の反射光19となり、前記着色層16で遮ることなく目視できる。一方、携帯時計が動いたり、向きが変わることで光源22と、表示板12と観察者23の位置が変わり、非反射光角の観察者24の位置においては、反射光19と同系統色の着色層16(緑系色)が前記ホログラム反射板13の生地素材色の黄色を消し、本実施例1の場合、反射光19と同系統色の緑系色が、類似色20となり目視できる効果がある。
【0058】
また、前記着色層16の透過率が前記透過率基準より低いと、前記ホログラム反射板13の反射光19は前記着色層16で遮ることになり、輝かし反射光は弱まり、暗い反射光19となり、本来の反射光19の表現ができないこととなる。逆に前記着色層16の透過率が前記透過率基準より高いと、前記反射光角においては、前記反射光19を前記着色層16で遮るという問題は無いが、前記非反射光角において、前記ホログラム反射板13の生地素材色の黄色が見え、該生地素材色の黄色は反射光角の反射光19(緑色)との違いは、違和感となって目視でき、前記表示板12の品格を損なうことになり、本発明が前述した生地素材色が目視される問題は解消されていないことになる。
【0059】
次に、図2を用いて、光源22からの光線経路による作用効果を述べる。図2では、本実施例1の表示板12と、光源22と、観察者23、24のそれぞれの位置と光線経路を示す。前記光源22より照射された入射光18は、まず透明基板15を透過し、次に該透明基板15の下に形成された着色層16を透過し、ホログラム反射板13に当たると、反射光角に位置する観察者23においては、輝かしい強い光の反射光19となり、綺麗な光として目視できる。また、前記ホログラム反射板13に照射された入射光18の一部は、光透過性の前記ホログラム反射板13内を透過して進み、透過光21となりソーラーセル11に照射される。照射された前記透過光21は、前記ソーラーセル11内において、光エネルギーが前記ソーラーセル11で電気エネルギーに変換され、時計を駆動させる駆動電源となり供給される。
【0060】
次に、非反射光角位置における作用効果としては、前記光源22で照射された前記入射光18は、まず前記透明基板15と前記着色層16を透過し、前記ホログラム反射板13に当たるが、観察者24の位置は非反射光角位置となり、前記反射光19は目視できず、該反射光19の光効果は見られない。しかし、前記光源22で照射された前記入射光18は前記透明基板15を透過し、前記透明基板15の下面に施された前記着色層16に当たり、前記観察者24の位置に前記着色層16の色調(緑色)が類似色20となって目視され、非反射光角における前記ホログラム反射板の生地素材色の黄色は見えなくなる。本発明が問題として挙げた、非反射光角における無反射光による目視の違いおよびホログラム反射板の生地素材色の黄色が見え、表示板の品格を損なうという問題は無くなり、前記非反射光角においては類似色20が目視でき、表示板12の品格を上げ、さらに高級感を与える効果が得られることになる。本実施例では、透明基板の下面にホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層を設けたが、必ずしも同系統色の色でなくとも効果の程度は多少減少するが構わない。又、透明基板15の下面ではなく、ホログラム反射板13の上であっても同じ効果が出る。
【実施例2】
【0061】
次に、実施例2として図3、図4に基づいて、本発明の請求項4のソーラー時計に使用する時計用表示板30の構造を説明する。図3はソーラーセル31と、透明基板35と、ホログラム反射板33を積層した表示板32の要部拡大断面図。図4はソーラーセル31と表示板32、光源42および観察者43、44の配置位置と光線経路を示す。
【0062】
本実施例2の前記表示板32の基本構成として、ソーラーセル31の上に透過性の透明基板35と該透明基板35の上に、接着層34を介して透過性のホログラム反射板33を積層した表示板32を配置し、前記ホログラム反射板33の上面には、該ホログラム反射板33の反射光39と同系統色の着色層36と、前記着色層36の上面には、印刷手法で形成されたロゴ46および時字部を成し、前記ホログラム反射板33の下面には着色層と白色の艶消し層とよりなる層37で成る。
【0063】
前記表示板32の各部材構成を説明する。前記ホログラム反射板33は、実施例1と同様の反射光39の色調が緑色のホログラム反射板33を用いる。前記ホログラム反射板33の特性は、前記実施例1と同様である。
【0064】
次に、本実施例2による構成の前記表示板32は、本発明の請求項4,12,13に記載されている、前記ホログラム反射板33の上面および下面に、着色層を形成してることを特徴とする。前記反射光39と同系統色の着色層36は、前記ホログラム反射板33の上面に前記ホログラム反射板33の反射光39と同系統色の緑色で成り、印刷のスクリーン印刷手法で、反射光39の緑色と同系統色の緑色系インクを用いて施される。着色インクの生成、前記着色層36の層厚、スクリーンの網目種類、前記着色層36の透過率等は、前記実施例1の記載内容と同様である。
【0065】
また、前記ホログラム反射板33の下面には、白色の艶消し層を成す。下面側に形成する前記着色層と白色の艶消し層とよりなる層37の目的は、前記ホログラム反射板33は、その板厚は160〜210μmを用いているため、上面側だけに着色層36を形成した場合、印刷したインクを乾燥する際のインクが収縮する応力により、前記着色層36を形成した側に反る現象が起こることを防ぐ効果がある。従って、上面側と下面側に形成する着色層36、37の形成条件は、均等を図るため、層厚やインク材質等は同等であることが望ましい。
【0066】
また、実施例2の下面に成す着色層と白色の艶消し層とよりなる層37の他の目的は、該着色層の色調や層厚を調整することで、前記表示板32の全体の透過率を、前記ホログラム反射板33の透過率(約80%)と合わせ15%以上に調整し、入射光を効率よく透過させ、光エネルギーを前記ソーラーセル31で電気エネルギーに変え、時計を駆動する駆動電源として供給すると共に、前記ソーラーセル31特有の濃紫色または暗青色の視認を妨げる効果がある。また、下面に白色の艶消し層が成ることで、前記ホログラム反射板の放つ反射光と、前記ホログラム反射板の上面に成る前記反射光と同系統色の着色層36の色調は、明るい色調となり、パステルカラー調の光となって見える効果を得る。
【0067】
また、前記ホログラム反射板33の上に成す前記着色層36の上面には、ロゴ46および時字部が印刷で形成され、前記ロゴ46および時字部は、前記表示板32を、目視した際のポイントとなり、前記ロゴ46および時字部の組み合わせは多種にあり、デザインバリエーションを増やす効果がある。
【0068】
次に、図4を用いて、光源42からの光線経路と作用効果を述べる。図4では、前記ソーラーセル31と、前記ホログラム反射板33を備えた表示板32と、光源42と、観察者43、44の配置位置と、光線経路を示す。
【0069】
光源42より照射された入射光38は、まず前記着色層36を透過して進み、前記ホログラム反射板33に当たると、反射光角に位置する観察者43においては、輝かしい強い光の反射光39となり、前記観察者43に綺麗な輝かしい光で目視される。
【0070】
また、前記ホログラム反射板33に照射された入射光38の一部は、前記ホログラム反射板33内を透過して進み、前記ホログラム反射板33の下面に形成した着色層と白色の艶消し層とよりなる層37に当たり、一部の透過光は前記着色層と白色の艶消し層とよりなる層37に反射し、上方へ反射色40bとなり白色の色調を放つ。また、前記着色層と白色の艶消し層とよりなる層37を透過した一部の透過光41は、ソーラーセル31に照射される。前記ソーラーセル31に照射された前記透過光41は光エネルギーとなり、前記ソーラーセル31で電気エネルギーに変換され、時計を駆動させる駆動電源となり供給される。
【0071】
本実施例2の前記表示板32を構成することで、前記ホログラム反射板33は、表示板32の最上位の位置に配置され、前記実施例1とは異なり反射光39を透明基板を介さず目視できることにより、前記実施例1の非反射光角における効果と、反射光39および非反射光角で目視される同系統色の着色層36の色調は、光の屈折が無い輝かしい光で、色調が変わらない効果がある。また、前記ホログラム反射板33の下面に成る着色層と白色の艶消し層とよりなる層37により、前記反射光39および非反射光角で目視される同系統色の着色層36の色調は、前記ホログラム反射板33を透過した光は着色層と白色が施された白色の艶消し層とよりなる層37に当たり反射し、淡い反射色40bとなって上方へ色調を放ち、前記着色層36の類似色40aと合わさりパステルカラー調の光および色調となって現れ、目視できる効果がある。ホログラム反射板33の下面の着色層は、上面と同じホログラム反射板の反射光と同系統色であっても構わない。こうすると、ホログラム反射板の上下での反射光の色調違いがより小さくなり高級感が増して来る。又、白色の艶消し層は、着色層と重ねなくとも、淡い反射色を出す効果がある。
【実施例3】
【0072】
次に、実施例3として図5に基づいて、本発明の請求項5、6に記載するソーラー時計に使用する時計用表示板50の構造を説明する。図5はソーラーセル51と、該ソーラーセル51の上にホログラム反射板53と、該ホログラム反射板53の上に接着層54を介して、光透過性の着色透明基板55を積層した表示板52の要部拡大断面図を示す。前記ホログラム反射板53の上面および下面には、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層56、57が形成され、また、前記透明基板55の上面の一部には、艶消し層59と、該艶消し層59の上面には時字部を示す電鋳時字60が接着剤で貼着されて成る。
【0073】
前記表示板52の各部材構成を説明する。前記ホログラム反射板53は、実施例1乃至2と同様の反射板で、反射光色は青色のホログラム反射板53を用いる。前記反射光は強い青い色調を発して反射することを特徴とする。前記ホログラム反射板53の特性は、色調が異なるだけで前記実施例1と同様である。
【0074】
また、前記反射光と同系統色の着色層56、57は、前記ホログラム反射板53の上面に着色層57と、下面側に着色層56の2層が前記ホログラム反射板53を挟み込む形で成り、前記ホログラム反射板53の反射光と同系統色で、印刷のスクリーン印刷手法で、前記反射光の青色と同系統色の青色系インクを用いて形成する。実施例3では、前記着色層56、57が上面および下面の2層となることで、本発明が目的とする一番最適な仕様表現を表す構成となり、前記着色層56、57の2層から成る色調は同系統色の色調の深みを増す効果があり、非常に綺麗な着色層が目視できる効果がある。また、着色層が2層で成ることは、下面に位置する前記ソーラーセル51特有の濃紫色または暗青色の視認を、完全に妨げる効果を得る。前記スクリーン印刷手法の着色インクの生成、前記着色層56、57の層厚、スクリーンの網目種類、前記着色層56、57の透過率等は、前記実施例1の記載内容と同様である。
【0075】
また、本実施例3を構成する前記着色透明基板55は、本発明の請求項8で記載する合成樹脂基材に着色剤を含めて成形し、光透過性のカラー色でなる着色透明基板55を特徴としている。本実施例3では、合成樹脂基材のポリカーボネイト材、アクリル材、またはポリエステル材の中の透明なポリカーボネイト材を用いており、前記ポリカーボネイト材の樹脂をペレット化し、前記樹脂のペレット材に着色剤(青緑系色)を混入し、射出成形金型と射出成形機を用いて、射出成形方法で、前記着色透明基板55を光透過性のカラー色で形成している。
【0076】
前記着色透明基板55の効果は、前記着色透明基板55の光透過性のカラー色(青緑系色)と、前記ホログラム反射板53の反射光(青系色)が合わさり、反射光に混色効果をもたらし、非反射光角においては、前記着色層56の色調と合わさり混色に変化させ目視することができ、さらに前記着色剤のカラー色を変えることにより、豊富な前記着色透明基板55のカラー種類が可能となり、前記ホログラム反射板53の種類との組み合わせでデザインバリエーションが幾重にも拡大する効果がある。
【0077】
また、本実施例3の表示板52構成は、本発明の請求項5、6、16、17に示す。前記着色透明基板55の上面(最上面)、または前記ホログラム反射板の上面に艶消し層59を設けることを特徴としている。前記艶消し層59は、部分印刷または模様印刷のいずれかが成り、本実施例3においては、前記艶消し層59は、前記着色透明基板55の上面の外周部にスクリーン印刷手法で部分印刷で形成されている。前記艶消し層59は、透明樹脂塗料や透明樹脂インクに、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂またはそれらの変成樹脂を用いている。アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂またはそれらの変成樹脂は、耐光性や耐湿性、耐熱性にも優れていて、長期的に品質保持が確保できるという効果を得る。
【0078】
また、本発明の請求項17に示す。前記艶消し層59を形成する前記樹脂類にシリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアの中の少なくとも1つの艶消し剤を含有し、且つ分散剤の添加により前記艶消し剤の微粒子が前記艶消し層59の面に、全体に渡って均一に分散して、艶消し状態にムラが無く施された前記艶消し層59に均一の艶消し面と艶消し効果が得られる。
【0079】
前記艶消し層59は、前記着色透明基板55の上面に、部分印刷で形成することにより、前記艶消し層59が形成された艶消し面は、光源から入射した光は前記艶消し剤で分散され、ホログラム反射板には分散光で当たることで一律の強い反射光は得られず、前記艶消し面は無反射面となる。また、前記艶消し層59が形成されて無い面(透明基板55面)は、光源から入射した光は、前記着色透明基板55と、着色層56を透過して進み、前記ホログラム反射板53に照射され、輝かしい強い反射光となり目視される。前記艶消し層59があることで、無反射光と反射光が調和したデザインが可能となり、さらにデザインバリエーションを増やす効果が得られることを目的としている。本実施例では、艶消し層をホログラム反射板の上面に設けたが、透明基板の上面に設けても同様の効果が出るので当構成であっても構わない。
【実施例4】
【0080】
次に、実施例4として図6に基づいて、本発明のソーラー時計に使用する時計用表示板70の構造を説明する。図6はソーラーセル71と、該ソーラーセル71の上にホログラム反射板73と、該ホログラム反射板73の上に、接着層74を介して光透過性の透明基板75(ガラス材)を積層した表示板72の要部拡大断面図を示す。前記透明基板75の上面には、凹部の形状をした時字部77と、また、前記透明基板75の上面には、ロゴ78やマークが印刷手法で成し、前記透明基板75の下面には、前記ホログラム反射板73の反射光と同系統色の着色層76で形成されている。
【0081】
前記表示板72の各部材構成を説明する。前記ホログラム反射板73は、反射光の色調が青色のホログラム反射板73を用いる。前記反射光は強い青い色調を発して反射することを特徴とする。前記ホログラム反射板73の特性は、前記実施例1と同様である。
【0082】
前記透明基板75は光透過性の透明なガラス材から形成されており、その表面には凹部の時字部77が設けられている。前記時字部77はフォトマスクとエッチング方法で形成する。ガラス基材の表面に、前記時字部77以外の部分にフォトレジスト膜を設け、平面上で前記時字部77となる部分を露出させ、エッチング液に前記ガラス基板を浸漬し、該ガラス基板の露出部を深さ20〜50μmで蝕刻することによって凹形状の時字部77が形成される。前記エッチング液はフッ化水素、硫酸、水の混合液を用いて行い、最後に、前記フォトレジスト膜を除去することによって前記凹部の時字部77が形成される。
【0083】
前記時字部77は蝕刻で形成されることにより、その蝕刻面は梨地模様の艶消し状態となり、前記ガラス基材の表面と、前記時字部77の梨地模様に、コントラストが生じて目視でき、前記時字部77は梨地模様のため、深さ以上に沈んで目視でき、前記時字部77の箇所が明確に見える効果がある。また、前記時字部77の凹部に光透過性が低いカラー印刷インクを入れ、前記時字部77箇所をさらに際立たせ、明確に見せる手法も可能である。
【0084】
前記時字部77が形成された透明基板75の上面には、ロゴ78やマークが印刷手法で形成される。前記ロゴ78やマークは前記表示板72を目視した際のポイントとなり、前記ロゴ76やマークと、前記凹形状の時字部77の組み合わせは多彩にあり、デザインバリエーションを増やす効果がある。
【0085】
以上のように、本実施例1乃至4においては、各着色層を印刷手法をもって説明したが、印刷手法に限るものではなく、塗装手法、乾式メッキ手法または転写手法の他の手法を用いることも可能である。また、本実施例1乃至4で用いた前記透明基板の基材は、ポリカーボネイトおよびガラス板に限るものではなく、本発明の請求項7に記載する他のサファイヤガラス板、アクリル板、ポリエステル板や、アルキド樹脂板、ウレタン樹脂板、ポリイミド樹脂板、ポリエチレン樹脂板、ポリプロピレン樹脂板、ポリアセタール樹脂板、ポリスチレン樹脂板などの光透過性の樹脂を用いても良く、同様の効果を成すものである。
【0086】
また、上記実施例において、主にソーラーセルを用いた時計用表示板の例として説明してきたが、これはソーラー時計用表示板だけに限られた内容のものではなく、EL(エレクトロルミネッセンス)上に、本発明の時計用表示板を積載したEL時計用表示板でも良く、さらに一般の時計用表示板(樹脂基板または金属基板)の代わりに、本発明の時計用表示板を用いて、ホログラム反射板の反射光効果および非反射光における同様の効果を成すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の表示板構造の要部拡大断面図である。
【図2】図1の表示板構造の光線経路を示す要部拡大断面図である。
【図3】実施例2に係る表示板構造の要部拡大断面図である。
【図4】図3の表示板構造の光線経路を示す要部拡大断面図である。
【図5】実施例3に係る表示板構造の要部拡大断面図である。
【図6】実施例4に係る表示板構造の要部拡大断面図である。
【図7】従来例のソーラーセル付携帯時計の平面図である。
【図8】図7のソーラーセルおよび表示板構造を示す断面図である。
【図9】図8の表示板構造の光線経路を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10‥‥‥‥‥‥‥‥‥本発明の時計用表示板構造
11、31、51、71、81、91‥‥ソーラーセル(太陽電池)
12、32、52、72、82,92‥‥時計用表示板
13、33、53、73、93‥‥‥‥‥ホログラム反射板
14、34、54、74、84、94‥‥接着層
15、35、75、85‥‥‥‥‥‥‥‥透明基板
16、36、56、57、76‥‥‥‥‥着色層(反射光同系統色)
18、38、101‥‥入射光
19、39、102‥‥反射光
20、40a‥‥‥‥‥類似色(着色層色)
21、41、104‥‥透過光
22、42、96‥‥‥光源
23、43、97‥‥‥観察者(反射光角位置)
24、44,98‥‥‥観察者(非反射光角位置)
25‥‥‥‥‥‥‥‥‥時字部(樹脂成形凸部)
26、46、78、83‥‥‥‥‥‥‥‥ロゴ、マーク表示
30‥‥‥‥‥‥‥‥‥実施例2の時計用表示板構造
37‥‥‥‥‥‥‥‥‥白色の艶消し層
40b‥‥‥‥‥‥‥‥反射色(白色系反射光色)
50‥‥‥‥‥‥‥‥‥実施例3の表示板構造
55‥‥‥‥‥‥‥‥‥着色透明基板
59‥‥‥‥‥‥‥‥‥艶消し層(部分)
60‥‥‥‥‥‥‥‥‥電鋳時字
70‥‥‥‥‥‥‥‥‥実施例4の時計用表示板構造
77‥‥‥‥‥‥‥‥‥時字部(凹部)
80‥‥‥‥‥‥‥‥‥従来例の携帯時計
86‥‥‥‥‥‥‥‥‥時字部(植字)
87‥‥‥‥‥‥‥‥‥絶縁帯(ソーラーセル)
90‥‥‥‥‥‥‥‥‥従来例の表示板構造
93a‥‥‥‥‥‥‥‥ホログラム層
93b‥‥‥‥‥‥‥‥透明樹脂層
95‥‥‥‥‥‥‥‥‥外層(透明基板)
100‥‥‥‥‥‥‥‥モジュール
103‥‥‥‥‥‥‥‥生地素材色(黄色)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面または前記透明基板の下面の少なくとも一方に、着色層で成ることを特徴とする時計用表示板。
【請求項2】
ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面または前記透明基板の下面の少なくとも一方に、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層で成ることを特徴とする時計用表示板。
【請求項3】
ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面および下面に着色層で成ることを特徴とする時計用表示板。
【請求項4】
ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性の透明基板と、該透明基板の上に接着層を介して、光透過性のホログラム反射板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面には、該ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層と、前記ホログラム反射板の下面に着色層または前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層で成ることを特徴とする時計用表示板。
【請求項5】
ソーラー時計用の表示板で、ソーラーセルの上に、光透過性のホログラム反射板と、該ホログラム反射板の上に接着層を介して、光透過性の透明基板が積層した構造において、前記ホログラム反射板の上面および下面に前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層で成ることを特徴とする時計用表示板。
【請求項6】
ソーラー時計用の表示板は、前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層、前記着色層、前記透明基板または前記ホログラム反射板のそれぞれの上面の一部に、艶消し層で成ることを特徴とする請求項1乃至5に記載の時計用表示板。
【請求項7】
前記光透過性の透明基板は、ガラス板、サファイヤガラス板、ポリカーボネイト板、アクリル板またはポリエステル板の中の少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1乃至6に記載の時計用表示板。
【請求項8】
前記透明基板を形成する際、ガラス基材または合成樹脂基材に着色剤を含めて成形し、前記透明基板は光透過性のカラー色で成ることを特徴とする請求項1乃至7に記載の時計用表示板。
【請求項9】
前記光透過性の透明基板の上面または下面のいずれか一方に、模様、数字、文字またはマークの中の少なくとも1つが、凹部または凸部のいずれかの形状で成ることを特徴とする請求項1乃至8に記載の時計用表示板。
【請求項10】
前記ホログラム反射板の上側に位置する前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層は、その透過率は70〜85%で成ることを特徴とする請求項1乃至6に記載の時計用表示板。
【請求項11】
前記ホログラム反射板の上側に位置する前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層は、その透過率は70〜85%と、且つ前記ホログラム反射板の下側に位置する着色層は、その透過率は20〜50%で成ることを特徴とする請求項3乃至5に記載の時計用表示板。
【請求項12】
前記ホログラム反射板の下面は、白色の艶消し層で成ることを特徴とする請求項1乃至6に記載の時計用表示板。
【請求項13】
前記ホログラム反射板の下面に成る白色の艶消し層は、着色層または前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層の下に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の時計用表示板。
【請求項14】
前記着色層の色調は、透明色、透明系カラー色または白系統色の中の少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1乃至6または請求項10乃至13に記載の時計用表示板。
【請求項15】
前記着色層および前記ホログラム反射板の反射光と同系統色の着色層を有する手法は、印刷手法、塗装手法、乾式メッキ手法または転写手段の中の少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1乃至6または請求項10乃至14に記載の時計用表示板。
【請求項16】
前記透明基板の上面またはホログラム反射板の上面に成る艶消し層は、それぞれの上面に部分印刷または模様印刷のいずれか一方で成ることを特徴とする請求項6に記載の時計用表示板。
【請求項17】
前記艶消し層は、シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアの中の少なくとも1つの微粒子を含有し、且つ前記微粒子を分散させる為の分散剤が添加された透明樹脂被膜で成ることを特徴とする請求項6または16記載の時計用表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−284455(P2006−284455A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106781(P2005−106781)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【出願人】(000001960)シチズン時計株式会社 (1,939)