時計部品の製造方法、時計部品、時計
【課題】 塗装に手間を要さず、環境保護を図ることができ、良好な外観を得ることができ、設備の大型化の防止を図ることができる複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法、時計部品、時計を提供すること。
【解決手段】文字板の基材21を含む原版23の上面にレジスト被膜44する。さらに、光透過部411が形成されたマスク41を配置し、密着させる。マスク41の上方から紫外線Uを照射し、レジスト被膜部分441を劣化させ、剥離する。その後、電着塗装を行う。次に、レジスト被膜44上にマスク41とは異なる他のマスクを配置し、他のマスクの上方から紫外線Uを照射する。電着塗装工程で形成した塗膜221が硬化するとともに、レジスト被膜部分が劣化する。
【解決手段】文字板の基材21を含む原版23の上面にレジスト被膜44する。さらに、光透過部411が形成されたマスク41を配置し、密着させる。マスク41の上方から紫外線Uを照射し、レジスト被膜部分441を劣化させ、剥離する。その後、電着塗装を行う。次に、レジスト被膜44上にマスク41とは異なる他のマスクを配置し、他のマスクの上方から紫外線Uを照射する。電着塗装工程で形成した塗膜221が硬化するとともに、レジスト被膜部分が劣化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品の製造方法、時計部品、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時計において、デザイン性の向上が求められている。この要望に応えるために、時計の文字板や、指針等の時計部品に吹き付け塗装を施したり、印刷を施したりしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−309139号公報(第3頁〜第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デザイン性の更なる向上のために、文字板や、指針等の時計部品を複数色で装飾することが求められている。
吹き付け塗装では、吹き付け時の噴射圧等のばらつきによって、色むらや、液溜まりが発生しやすいため、一回に吹き付ける塗料の量を少量とする必要がある。そのため、一色につき、複数回塗装を繰り返さなければならない。従って、吹き付け塗装により複数色で装飾しようとすると、塗装に手間を要するという問題がある。
また、吹き付け塗装では、塗料の溶剤として、多量の有機溶剤(例えば、シンナー等)を使用するため、環境保護の要請に応えることができないという問題もある。
一方、面積が小さな時計部品の基材表面に、複数色の印刷を施す場合には、各色を施す面積が非常に小さなものとなるとともに、基材表面に空気が残存して印刷を行いにくくなり、良好な外観が得られない。
さらに、吹き付け塗装や印刷により塗装を行う場合には、塗装用のクリーンルーム、排気設備や、印刷機等の設備を必要とするため、設備が大型化するという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、塗装に手間を要さず、環境保護を図ることができ、良好な外観を得ることができ、設備の大型化の防止を図ることができる複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法、時計部品、時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時計部品の製造方法は、複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法において、前記時計部品の基材の導電性を有する表面に光劣化型のレジスト被膜を形成する第1レジスト被膜形成工程と、前記複数色のうち第1の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第1光劣化工程と、前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第1露出工程と、前記基材表面の露出した部分に、前記第1の色を電着塗装して塗膜を形成する第1電着塗装工程と、前記第1電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第1硬化工程と、前記複数色のうち前記第1の色とは異なる他の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第2光劣化工程と、前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第2露出工程と、前記基材表面の露出した部分に、前記他の色を電着塗装して塗膜を形成する第2電着塗装工程と、前記第2電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第2硬化工程とを備え、前記基材表面に着色される色の数をNとした場合、前記第2光劣化工程から第2硬化工程をN−1回行なうことを特徴とする。
【0007】
ここで、時計部品としては、時計の文字板、指針、文字板に貼り付けられる目盛部品等が例示できる。
また、例えば、4色で装飾された装飾面を形成するためには、第2光劣化工程から第2硬化工程を3回繰り返して行なえばよく、2色で装飾された装飾面を形成するためには、第2光劣化工程から第2硬化工程を1回行なえばよい。
【0008】
電着塗装は、基材に電流を流し、帯電した塗料を引き付け塗膜を形成する方法であるため、従来の吹き付け塗装のように、色むらや、液溜まり等が発生する虞がなく、均一な厚みの塗膜を形成することができる。従って、吹き付け塗装のように、色むらや、液溜まり等の発生を防止するために、各色につき、複数回塗装を繰り返す必要がなく、塗装に手間を要しない。
また、本発明では、基材に電流を流すことにより、塗料を引き付け着色するため、着色する部分の面積が小さくても、確実に着色することができる。従って、面積が小さい時計部品の基材表面に、複数色着色するような場合であっても、外観が良好な時計部品を得ることができる。
さらに、本発明では、電着塗装により、時計部品の基材表面を塗装しているので、多量の有機溶剤を使用する必要がなく、環境保護を図ることができる。
また、本発明では、電着塗装により、時計部品の基材表面を塗装しているので、塗装に大きな設備を必要としない。すなわち、電着塗装工程を実施する際には、時計部品が入る程度の電解槽、この電解槽に電気を流す電源、対向電極等があればよく、塗装用のクリーンルームや排気設備、印刷機等の大型の設備を必要としないので、設備の大型化を防止できる。
【0009】
さらに、本発明では、レジスト被膜として、光劣化型のレジスト被膜を使用している。このような本発明では、例えば、第一の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させ、レジスト被膜部分を剥離することで、基材表面に一色目の塗膜を形成する。次に、第二の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射させてレジスト被膜部分を剥離することで、基材表面に二色目の塗膜を形成することができる。
このように、レジスト被膜部分を選択的に容易に劣化し、除去することができるので、基材表面に複数色の塗膜を容易に形成することができ、デザイン性に優れた装飾面を有する時計部品を製造することができる。
【0010】
さらに、本発明では、電着塗装に使用する塗料を光硬化型の塗料としているため、光を照射しない部分に付着した塗料は、硬化しない。例えば、基材の裏面に塗料が付着したとしても、裏面に光を照射しなければ、裏面の塗料が硬化することはなく、容易に裏面の塗料を剥離することができる。
時計部品、例えば、文字板の裏面で塗料が硬化すると、時計に組み込んだ際に塗料が剥離し、塗料がムーブメント内部に入り込んでしまう可能性がある。これに対し、本発明では、前述したように、裏面の塗料を容易に剥離できるので、このような問題が発生しない。
なお、基材裏面に付着した塗料を剥離するには、酸処理を行い除去することが好ましい。
このように、酸処理を行うことで、硬化していない塗料を確実に剥離することができる。
【0011】
本発明では、前記硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とは同時に実施され、光を照射して塗装部分を硬化させると同時に、前記光により、後段の光劣化工程の色のパターンに対応するレジスト被膜部分を劣化させることが好ましい。
本発明では、例えば、装飾面が3色で装飾されている場合には、第2光劣化工程〜第2硬化工程を2回繰り返すため、第1硬化工程及び1回目の第2光劣化工程を同時に実施し、さらに、1回目の第2硬化工程及び2回目の第2光劣化工程を同時に実施すればよい。なお、2回目の第2硬化工程は単独で実施することとなる。
【0012】
このような本発明によれば、光照射により硬化する塗料を使用するとともに、光劣化するレジスト被膜を使用しているため、光を照射して塗膜を硬化させると同時に、後段で塗膜が形成される部分に対応するレジスト被膜部分を劣化させることができる。すなわち、硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とを同時に実施できるので、複数色で時計部品を装飾する場合であっても、時計部品の製造にかかる時間の短縮を図ることができる。
【0013】
ここで、硬化工程の後段の光劣化工程の色のパターンが、この硬化工程の前段の光劣化工程の色のパターンを除く残りの部分の基材表面の一部に形成される場合には、以下のように実施することが好ましい。
硬化工程の後段の光劣化工程では、硬化工程の前段の光劣化工程の色と異なる色のパターンに応じた光透過部及び、前段の光劣化工程の色のパターンに応じた光透過部が形成されたマスクを前記レジスト被膜に被せ、前記マスクの光透過部を介して前記レジスト被膜部分及び、前記塗膜に光を照射し、レジスト被膜部分を劣化させるとともに、塗膜を硬化させる。
【0014】
本発明の時計部品は、上述した何れかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
このような本発明によれば、時計部品は上述した製造方法により製造されたものであるため、前述の効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、塗装に手間を要さず、環境保護を図ることができ、良好な外観を得ることができ、設備の大型化の防止を図ることができる複数色で装飾された装飾面を有する時計部品となる。
また、本発明の時計は、上述した時計部品を備えることを特徴とする。
このような本発明の時計は、上述した時計部品を備えるため、時計部品と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塗装に手間を要さず、環境保護を図ることができ、良好な外観を得ることができ、設備の大型化の防止を図ることができる複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法、時計部品、時計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の時計1が示されている。この時計1は、腕時計であり、文字板2及び指針3を有している。文字板2の裏面側には、図示しないがぜんまいや電池等の動力発生装置や、この動力発生装置で発生した動力を指針に伝達する輪列等の駆動機構が配置されている。
文字板2は、本発明の時計部品に該当するものである。この文字板2は、平面円形形状の金属製の基材21(図3参照)の表面に装飾面22が形成されたものである。
装飾面22は複数色、例えば4色で装飾されている。例えば、ローマ数字部分は緑色の塗膜221であり、装飾面22の外周縁に沿って等間隔で打たれた60個の目盛り部分は黒色の塗膜222であり、地球のパターンの部分は青色の塗膜223であり、その他の背景部分がピンク色の塗膜224となっている。
【0017】
このような文字板2は次のようにして製造される。図2〜図12を参照して説明する。
図2は、文字板2が完成するまでの製造工程を示すフローチャートであり、図3は、基材21の原版23を示す平面図である。また、図4〜図6は、マスクを示す平面図であり、図7〜図11は、文字板2が完成するまでの各工程を示す図である。さらに、図12は、原版23の基材21の表面に装飾面22が形成された状態を示す平面図である。
まず、図3及び図7(A)に示すような文字板2の基材21の原版23を用意する(図2の処理S1)。
この基材21の原版23は、平面略矩形形状の金属製の板材であり、中央部分には、打ち抜き用の湾曲した一対の長孔231が形成されている。この長孔231は対向配置されており、長孔231で囲まれた部分が文字板2の基材21である。この基材21の中心部分には、指針用孔211が形成されている。
また、この原版23の対向する隅部には一対の位置決め孔232が形成されている。
なお、本実施形態では、原版23は金属製であるとしたが、これに限らず、例えば、プラスチック、ガラス、セラミックス等であってもよい。プラスチック、ガラス、セラミックス等の非導電性の部材を使用する場合には、原版の表面に無電解ニッケルめっきや、スパッタリングを行い、表面を導電性とする必要がある。
また、基材21の表面の色を調整する目的で、原版23の表面に金めっき、黒色めっき等の表面処理を行ってもよい。
【0018】
次に、図4〜図6に示すように、予め装飾面22の各色のパターン(すなわち、ローマ数字部分に対応するパターン、60個の目盛り部分に対応するパターン、地球の形状に対応するパターン)に応じたマスク41〜43を用意する。このマスク41〜43は、紫外線を透過させない材料で構成されており、各色のパターンに応じた光透過部411、421、422、431、432、433が形成されている。例えば、マスク41〜43は、透明のフィルム上に、各色のパターンに応じた部分を残して、黒色の印刷を施したものである。各色のパターンに応じた透明な部分が光透過部である。
さらに、より詳細に各マスク41〜43について説明する。
図4のマスク41には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部411が形成されており、図5のマスク42には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部421及び60個の目盛り部分に応じたパターンの光透過部422が形成されている。さらに、図6のマスク43には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部431、60個の目盛り部分に対応するパターンの光透過部432及び地球の形状に対応するパターンの光透過部433が形成されている。
なお、マスク41のローマ数字部分に対応するパターンの光透過部411は、マスク42の光透過部421、マスク43の光透過部431に対応したものである。また、マスク42の60個の目盛り部分に応じた光透過部422は、マスク43の光透過部432に対応している。
【0019】
さらに、各マスク41〜43は、平面矩形形状であり、対向する隅部には、それぞれ一対の位置決め孔412,423,434が形成されている。すなわち、マスク41には、位置決め孔412が形成され、マスク42には、位置決め孔423が形成され、マスク43には、位置決め孔434が形成されている。
これらの位置決め孔412,423,434は、原版23の位置決め孔232に対応した位置に形成されている。
【0020】
次に、図7(B)に示すように、基材21の表面を含む原版23の表面に光劣化型(本実施形態では、紫外線劣化型)のレジスト被膜44を形成する(処理S2、第1レジスト被膜形成工程)。
原版23の表面にレジスト液を塗布し、乾燥することで、レジスト被膜44が形成される。レジスト液の塗布方法としては、ロールコータ、バーコータ、スピンコータ、カーテンコータ、スクリーン印刷、スプレー塗布、電着塗布、刷け塗り、ディッピング等が例示できる。
なお、本実施形態では、レジスト液を使用したが、これに限らず、例えば、フィルム状のレジストを熱圧着してもよい。
レジスト被膜44の厚みは、例えば、10〜25μm程度であることが好ましい。
ここで、レジスト液としては、例えば、東京応化工業社製の商品名P−RH300PMを使用することができる。
【0021】
その後、基材21の表面を含む原版23の表面のレジスト被膜44上にマスク41を配置し、密着させる。
本実施形態では、ローマ数字部分の緑色の塗膜221、60個の目盛り部分の黒色の塗膜222、地球のパターンの部分の青色の塗膜223、背景部分のピンク色の塗膜224の順に塗膜を形成する。従って、まず、始めに、第1色目(第1の色)となる緑色のパターン(すなわち、ローマ数字部分に対応するパターン)に応じたマスク41をレジスト被膜44上に配置する。
マスク41には、原版23の位置決め孔232に対応した位置決め孔412が形成されているので、これらの位置決め孔232,412に位置決め突起(図示略)を挿入することで、基材21とマスク41との相対位置を決定することができる。
【0022】
次に、図8(A)に示すように、マスク41の上方から紫外線Uを照射する(処理S3、第1光劣化工程)。
これにより、マスク41の光透過部411を介して紫外線Uがレジスト被膜部分441に照射され、レジスト被膜部分441が劣化することとなる。
ここで、照射する紫外線Uの光量は、レジスト被膜44の厚さが10μmの場合には、700mj/cm2程度であることが好ましく、レジスト被膜44の厚さが25μmの場合には、1750mj/cm2程度であることが好ましい。
【0023】
次に、マスク41をはがし、原版23にアルカリ現像処理を施す。
2%の水酸化ナトリウム溶液(35℃〜45℃)に原版23を浸し、その後水洗する。これにより、劣化したレジスト被膜部分441が剥離され、図8(B)に示すように、原版23の基材21の表面が露出する(処理S4、第1露出工程)。
【0024】
次に、電着塗装を行う(処理S5、第1電着塗装工程)。
図示しないが、電解槽中に、電着塗料溶液を充填し、この電着塗料溶液中に原版23と対向電極とを入れる。電着塗料は、透明な樹脂に原料を混合したものである。
本実施形態では、電着塗料として紫外線硬化型のカチオン型のもの(例えば、株式会社シミズ製UC2000(商品名))を使用するため、原版23を陰極、対向電極を陽極とする。
原版23と対向電極との間に直流電流を流すと、原版23の基材21の表面が露出した部分に、塗料が凝集し、塗膜221が形成される。例えば、電圧120Vを2分かけることで、10μm〜15μmの塗膜221が形成される。
その後、電解槽から原版23を取り出し、乾燥させる。例えば、70℃、20分で乾燥させる。
なお、本実施形態では、原版23を金属製としているため、第1電着塗装工程では、原版23の長孔231の内周面(基材21の側面)及び裏面側にも塗料が凝集し、塗膜が形成されることとなる。ここで、原版23の裏面側に付着した塗膜を塗膜221Aとし、原版23の長孔231の内周面(基材21の側面)に付着した塗膜を塗膜221Bとする。
【0025】
次に、原版23のレジスト被膜44上にマスク42を設置し、密着させる(処理S6−1)。
前述したマスク41と同様、マスク42にも位置決め孔423が形成されており、この位置決め孔423及び位置決め孔232に位置決め突起(図示略)を挿入することで、マスク42及び基材21の相対位置を決める。
マスク42には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部421及び60個の目盛り部分に応じた光透過部422が形成されているので、図9(A)に示すように、光透過部421からは、第1電着塗装工程で形成した塗膜221が露出し、光透過部422からは、レジスト被膜部分442が露出する。
次に、マスク42の上方から紫外線Uを照射する(処理S6−2)。
ここでは、紫外線Uの光量は、例えば、1200mj/cm2以上であることが好ましい。
これにより、光透過部421を介し第1電着塗装工程で形成した塗膜221に紫外線が照射され、塗膜221が硬化するとともに、光透過部422を介して60個の目盛り部分に応じたレジスト被膜部分442に紫外線が照射され、レジスト被膜部分442が劣化することとなる(処理S6、第1硬化工程及び1回目の第2光劣化工程)。
【0026】
その後、図9(B)に示すように、マスク42を取り外し、劣化したレジスト被膜部分442を取り除く(処理S7、1回目の第2露出工程)。そして、図9(C)に示すように、電着塗装を行い、塗膜222を形成する(処理S8、1回目の第2電着塗装工程)。
ここで、1回目の第2露出工程、1回目の第2電着塗装工程の方法は、前述した第1露出工程及び第1電着塗装工程と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
その後、再度、原版23のレジスト被膜44上に配置するマスクがあるか否か判別する(処理S9)。マスクがある場合には、レジスト被膜44上にマスクを密着させる。
ここでは、図10(A)に示すように、レジスト被膜44上にマスク43を密着させる(処理S10−1)。前述したマスク41と同様、マスク43にも位置決め孔434が形成されており、この位置決め孔434及び位置決め孔232に位置決め突起(図示略)を挿入することで、マスク43及び基材21の相対位置を決める。
また、マスク43には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部431、60個の目盛り部分に応じたパターンの光透過部432及び地球の形状に応じたパターンの光透過部433が形成されているので、第1電着塗装工程で形成した塗膜221、1回目の第2電着塗装工程で形成した塗膜222及びレジスト被膜部分443がそれぞれ光透過部431,432,433から露出する。
次に、マスク43の上方から紫外線Uを照射する(処理S10−2)。
これにより、1回目の第2電着塗装工程で形成した塗膜222が硬化するとともに、地球の形状のパターンに応じたレジスト被膜部分443が劣化することとなる(処理S10、1回目の第2硬化工程及び2回目の第2光劣化工程)。
【0028】
さらに、第1露出工程と同様、図10(B)に示すように、2回目の第2露出工程を行い、劣化したレジスト被膜部分443を除去し、基材21の表面を露出させる。
そして、図10(C)に示すように、2回目の第2電着工程を実施し、露出した基材21の表面上に塗膜223を形成する。
【0029】
次に、再度、原版23のレジスト被膜44上に配置するマスクがあるか否か判別する(処理S9)。ここでは、既に全てのマスクを使用したので、レジスト被膜44上に配置するマスクはない。
次に、全ての塗膜が形成されたかどうかを判別する(処理10)。
ここでは、背景部分のピンク色の塗膜224が形成されていないので、次に、図11(A)に示すように、原版23上全面に紫外線Uを照射する(処理S10−2)。
これにより、2回目の第2電着塗装工程で形成した地球形状の塗膜223が硬化される。また、長孔231内に紫外線Uが入り、第1電着塗装工程において、原版23の長孔231の外周面(基材21の側面)に付着した塗膜221Bも硬化することとなる。さらに、残存するレジスト被膜44全面が劣化することとなる。
そして、前記第1露出工程と同様、図11(B)に示すように、3回目の第2露出工程を実施する。これにより、残存するレジスト被膜44が剥離され、基材21の表面が露出する。
そして、図11(C)に示すように、3回目の第2電着工程を行い、塗膜224を形成する。
以上により、全てのマスクを使用し(処理S9)、全ての塗膜の形成が終了したので(処理S11)、原版23表面全面に紫外線を照射し、塗膜224を硬化させる(処理S12、3回目の第2硬化工程)。
以上のように、第2光劣化工程〜第2硬化工程を3回繰り返すことで、原版23の基材21表面上に装飾面22が形成されることとなる。
【0030】
次に、装飾面22が形成された原版23に酸処理を施す(処理S13、酸処理工程)。
リン酸を用いて、紫外線により硬化していない塗膜、すなわち、原版23の裏面側に付着した塗膜221Aを除去する。
その後、中和洗浄し、乾燥する。これにより、図12に示すような、装飾面22が形成された原版23が完成する。
そして、原版23の長孔231から基材21を打ち抜き、文字板2が完成する。
【0031】
従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)文字板2の基材21を含む原版23に直流電流を流し、帯電した塗料を引きつけ塗膜221〜224を形成する電着塗装により、基材21表面を塗装しているので、色むらや、液溜まり等が発生する虞がなく、均一な厚みの塗膜221〜224を形成することができる。従って、従来の吹き付け塗装のように、色むらや、液溜まり等の発生を防止するために、各色につき、複数回塗装を繰り返す必要がなく、塗装に手間を要しない。また、色むらや、液溜まり等によって、光が乱反射して文字板2表面が視認しづらいという不具合を抑止することができる。
【0032】
(2)本実施形態では、原版23に直流電流を流すことにより、着色するため、着色する部分の面積が小さくても、所定の電流が流れれば、確実に着色することができる。従って、面積が小さい文字板2の基材21表面に複数色着色し、各色の着色面積が非常に小さいような場合であっても、外観が良好な文字板2を得ることができる。
(3)さらに、本実施形態では、電着塗装により、文字板2の基材21表面を塗装しているので、有機溶剤を使用する必要がなく、環境保護を図ることができる。
【0033】
(4)また、電着塗装により、文字板2の基材21表面を塗装しているので、塗装に大きな設備を必要としない。すなわち、電着塗装を実施する際には、文字板2の基材21を含む原版23が入る程度の電解槽、この電解槽に電気を流す電源、対向電極等があればよく、塗装用のクリーンルームや排気設備、印刷機等の大型の設備を必要としないので、設備の大型化を防止できる。
(5)さらに、電着塗装により、文字板2の基材21を塗装しているので、基材21表面のみならず、基材21の側面にも塗膜221Bが形成されることとなる。このように、基材21の側面も塗膜221Bで覆われることとなるので、防錆性能を向上させることができる。例えば、時計1が防水性を備えていないような場合や、防水性能が低い場合であっても、基材21の側面及び表面が塗膜で覆われているため、文字板2の側面及び表面における錆びの発生を防止することができる。
【0034】
(6)さらに、電着塗装により、文字板2の基材21を塗装しており、均一な厚みの塗膜が形成されるので、基材21に形成された指針用孔211が塗膜により被覆されることがない。従来のように、吹き付け塗装により、塗装する場合には、指針用孔が塗料により被覆されてしまい、指針用孔の内部をえぐって塗料を剥離する作業を必要とした。これに対し、本実施形態では電着塗装により、文字板2の基材21を塗装することで、指針用孔211内部をえぐる作業が不要となり、文字板2の製造工程を簡略化することができる。
【0035】
(7)本実施形態では、レジスト被膜として、光劣化型のレジスト被膜44を使用している。このような本実施形態では、ローマ数字部分に対応するパターンに対応するレジスト被膜部分441に光を照射して劣化させ、レジスト被膜部分441を剥離することで、基材21表面に塗膜を形成する。次に、60個の目盛り部分の塗膜を形成するために、60個の目盛り部分のパターンに対応するレジスト被膜部分442に光を照射させてレジスト被膜部分442を剥離することで、基材21表面に60個の目盛り部分の塗膜を形成することができる。
このように、レジスト被膜部分を選択的に容易に劣化し、除去することができるので、基材21表面に複数色の塗膜を容易に形成することができ、デザイン性に優れた装飾面22を有する文字板2を製造することができる。
【0036】
(8)本実施形態では、第1電着塗装工程を実施し、基材21表面に塗膜221を形成した後、第1回目の第2露出工程を実施している。また、第1回目の第2電着工程を実施し、基材21表面に塗膜222を形成した後、第2回目の第2露出工程を実施している。
従って、第2露出工程では、硬化した塗膜を有する基材21からレジスト被膜44を除去することとなる。露出工程において、光劣化型のレジスト被膜44を除去する溶剤として、弱アルカリ液を使用するが、塗膜は弱アルカリ液に対して、高い耐性を有するため、溶解することがない。従って、外観が良好な文字板2を得ることができる。
【0037】
(9)さらに、本実施形態では、電着塗装に使用する塗料を紫外線硬化型の塗料としているため、紫外線を照射しない部分に付着した塗料は、硬化しない。
原版23の裏面には、電着塗装により、塗膜221Aが形成されることとなるが、原版23の裏面に紫外線を照射しなければ、裏面の塗膜221Aが硬化することはなく、酸処理を行うことで、裏面の塗膜221Aを容易に剥離することができる。
文字板2の基材21の裏面で塗膜221Aが硬化すると、時計1に組み込んだ際に塗膜221Aが剥離し、塗膜221Aがムーブメント内部に入り込んで指針停止等の不具合が発生してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、前述したように、原版23裏面の塗膜221Aを容易に剥離でき、酸処理により、塗膜221Aを剥離しているので、このような問題が発生しない。
【0038】
(10)また、電着塗装に使用する塗料として、熱硬化型の塗料する場合には、塗膜を硬化させるために、焼付けを行なう必要があるので、原版の裏面についた塗膜まで、硬化することとなり、裏面についた塗膜を剥がすのに手間を要する。
これに対し、本実施形態では、電着塗装に使用する塗料を紫外線硬化型の塗料としており、酸処理を行うことで、原版23の裏面の塗膜221Aを容易に剥離することができるので、原版23の裏面の塗膜221Aの処理に手間を要しない。
このように、原版23の裏面の塗膜221Aを容易に剥離することができるので、基材21の裏面の外観は良好なものとなる。例えば、時計1の裏蓋をシースルーとした場合に、良好な外観を得ることができる。
(11)さらに、電着塗装に使用する塗料として、熱硬化型の塗料する場合には、塗膜を硬化させるために、焼付けを行なう必要がある。そのため、焼付けを行なう炉等が必要となり、設備の大型化を招く可能性がある。これに対し、本実施形態では、電着塗装に使用する塗料を紫外線硬化型の塗料としているため、紫外線源があればよく、設備の大型化を防止できる。
【0039】
(12)また、本実施形態では、紫外線照射により硬化する塗料を使用するとともに、紫外線により劣化するレジスト被膜44を使用している。
従って、紫外線を照射して塗膜221〜224を硬化させると同時に、後段で塗膜が形成される部分に対応するレジスト被膜部分441〜444を劣化させることができる。すなわち、硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とを同時に実施できるので、複数色で文字板2の基材21表面を装飾する場合であっても、文字板2の製造にかかる時間の短縮を図ることができる。
【0040】
(13)さらに、電着塗装工程で使用する塗料は、透明な樹脂に顔料を混合したものである。従って、塗膜221〜224は、半透明となり、基材21の金属色が反映された装飾面22となる。そのため高級感のある文字板2となる。
また、塗膜221〜224は、半透明となるため、紫外線を照射する際に、紫外線が塗膜221〜224内部まで入り込むので、確実に塗膜221〜224を硬化させることができる。
また、塗膜221〜224が半透明であるため、基材21の表面の金属色を変化させることで、同じ塗料を使用して塗膜221〜224を形成した場合であっても、装飾面22の色調を変化させることができる。
さらに、塗料は、透明な樹脂に顔料を混合したものであるため、塗膜221〜224は光沢のあるものとなり、塗膜221〜224を形成した後、クリア塗装等をする必要がない。
【0041】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、時計部品として文字板を製造したが、これに限らず、例えば、指針、文字板に貼り付けられる目盛部品等であってもよい。
なお、時計部品としての指針を製造する際には、前記実施形態と同様、指針の基材の裏面に付着した塗膜を剥離することが好ましい。このように、基材の裏面に付着した塗膜を剥離することで、指針の軽量化を図ることができるので、指針の回転トルクを軽くすることができる。
【0042】
また、前記実施形態では、腕時計1を構成する時計部品である文字板2を製造したが、これに限らず、置時計を構成する文字板であってもよい。
一般に、置時計は、防水性能を備えていなかったり、防水性能が低かったりすることがあるが、文字板の基材の側面及び表面が塗膜で覆われているため、文字板の側面及び表面における錆びの発生を防止することができる。
さらに、腕時計や、置時計に限らず、掛け時計、懐中時計等を構成する時計部品であってもよい。
さらに、アナログ式の時計の時計部品に限らず、デジタル式の時計を構成する時計部品であってもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、文字板2の基材21を金属製としたが、これに限らず、例えば、文字板の基材をプラスチック層と、その表面に形成された金属薄膜層とを有するものとし、電波時計や、ソーラタイプの時計等に使用してもよい。
なお、この場合、基材の表面には金属薄膜層が形成されることとなるが、金属薄膜層の膜厚が薄ければ、電波や、光を透過させることは可能である。さらに、前記実施形態のように、基材表面に形成される塗膜を半透明とすることで、光を透過させることが可能となる。
【0044】
さらに、前記実施形態では、電着塗装工程で形成した塗膜を硬化させる硬化工程と、この硬化工程の後段のレジスト被膜を劣化させる光劣化工程とを同時に実施した(例えば、第1硬化工程と1回目の第2光劣化工程とを同時に実施し、1回目の第2硬化工程と2回目の第2光劣化工程とを同時に実施した)が、これに限らず、硬化工程と、光劣化工程とをそれぞれ独立して行い、硬化工程を実施した後、光劣化工程を実施してもよい。
このように硬化工程と、光劣化工程とを独立して行うことで、光劣化工程で使用するマスクに、塗膜を露出させる光透過部を形成する必要がなくなる。
【0045】
さらに、前記実施形態では、基材21の表面全面に塗膜221〜224を形成したが、これに限らず、例えば、基材21の表面の一部にのみ塗膜を形成してもよい。このようにすることで、基材21の表面の色を生かした装飾面を形成することができる。
また、前記実施形態では、ローマ数字部分の塗膜221、60個の目盛り部分の塗膜222、地球のパターンの部分の塗膜223、背景部分の塗膜224の順に塗膜を形成したが、これに限らず、例えば、背景部分の塗膜224を先に形成してもよい。
【0046】
さらに、前記実施形態では、装飾面22を4色で装飾したが、これに限らず、複数色であればよく、例えば、4色未満であってもよい。また、4色を超えるものであってもよい。
例えば、2色で装飾面を形成する場合には、第2光劣化工程〜第2硬化工程を1回のみ行なえばよく、5色で装飾面を形成する場合には、第2光劣化工程〜第2硬化工程を4回繰り返せばよい。
また、前記実施形態では、1回目の第2光劣化工程を行う際に、レジスト被膜44上にマスク42を配置したが、例えば、装飾面が2色で構成され、1色目のパターンの部分を除く基材表面の全面に2色目の色を塗布する場合には、第2光劣化工程において、マスクを使用する必要はない。
【0047】
また、前記実施形態では、原版23の裏面に付着した塗膜221Aを剥離するために、酸処理を行ったが、これに限らず、酸処理しなくてもよい。例えば、予め、原版23の裏面に、非導電性のテープやフィルム等を貼り付けておき、電着塗装工程において、原版23の裏面への塗料の付着を防止してもよい。このようにすることで、酸処理の工程を省くことができ、文字板の製造にかかる手間を省くことができる。
さらに、原版23の裏面に付着した塗膜221Aを剥離せず、紫外線を照射させて、硬化させてもよい。塗膜221Aは電着塗装により形成された均一な厚み塗膜であるため、文字板の裏面の外観は良好なものとなる。従って、時計の裏蓋がシースルーとすれば、時計の裏蓋側から、塗膜221Aが見えることとなり、時計の外観を向上させることができる。
【0048】
本発明を実施するため最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は主に、特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態にかかる時計を示す斜視図。
【図2】本実施形態にかかる時計部品である文字板の製造方法を示すフローチャート。
【図3】前記文字板の原版を示す平面図。
【図4】前記文字板の製造工程で使用するマスクを示す平面図。
【図5】前記文字板の製造工程で使用するマスクを示す平面図。
【図6】前記文字板の製造工程で使用するマスクを示す平面図。
【図7】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図8】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図9】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図10】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図11】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図12】原版の基材の表面に装飾面が形成された状態を示す平面図
【符号の説明】
【0050】
1…時計、2…文字板(時計部品)、21…基材、22…装飾面、41…マスク、42…マスク、43…マスク、44…レジスト被膜、221…塗膜、222…塗膜、223…塗膜、224…塗膜、411…光透過部421…光透過部422…光透過部431…光透過部、432…光透過部、433…孔、441…レジスト被膜部分、442…レジスト被膜部分、443…レジスト被膜部分、U…紫外線
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計部品の製造方法、時計部品、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時計において、デザイン性の向上が求められている。この要望に応えるために、時計の文字板や、指針等の時計部品に吹き付け塗装を施したり、印刷を施したりしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−309139号公報(第3頁〜第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、デザイン性の更なる向上のために、文字板や、指針等の時計部品を複数色で装飾することが求められている。
吹き付け塗装では、吹き付け時の噴射圧等のばらつきによって、色むらや、液溜まりが発生しやすいため、一回に吹き付ける塗料の量を少量とする必要がある。そのため、一色につき、複数回塗装を繰り返さなければならない。従って、吹き付け塗装により複数色で装飾しようとすると、塗装に手間を要するという問題がある。
また、吹き付け塗装では、塗料の溶剤として、多量の有機溶剤(例えば、シンナー等)を使用するため、環境保護の要請に応えることができないという問題もある。
一方、面積が小さな時計部品の基材表面に、複数色の印刷を施す場合には、各色を施す面積が非常に小さなものとなるとともに、基材表面に空気が残存して印刷を行いにくくなり、良好な外観が得られない。
さらに、吹き付け塗装や印刷により塗装を行う場合には、塗装用のクリーンルーム、排気設備や、印刷機等の設備を必要とするため、設備が大型化するという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、塗装に手間を要さず、環境保護を図ることができ、良好な外観を得ることができ、設備の大型化の防止を図ることができる複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法、時計部品、時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時計部品の製造方法は、複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法において、前記時計部品の基材の導電性を有する表面に光劣化型のレジスト被膜を形成する第1レジスト被膜形成工程と、前記複数色のうち第1の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第1光劣化工程と、前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第1露出工程と、前記基材表面の露出した部分に、前記第1の色を電着塗装して塗膜を形成する第1電着塗装工程と、前記第1電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第1硬化工程と、前記複数色のうち前記第1の色とは異なる他の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第2光劣化工程と、前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第2露出工程と、前記基材表面の露出した部分に、前記他の色を電着塗装して塗膜を形成する第2電着塗装工程と、前記第2電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第2硬化工程とを備え、前記基材表面に着色される色の数をNとした場合、前記第2光劣化工程から第2硬化工程をN−1回行なうことを特徴とする。
【0007】
ここで、時計部品としては、時計の文字板、指針、文字板に貼り付けられる目盛部品等が例示できる。
また、例えば、4色で装飾された装飾面を形成するためには、第2光劣化工程から第2硬化工程を3回繰り返して行なえばよく、2色で装飾された装飾面を形成するためには、第2光劣化工程から第2硬化工程を1回行なえばよい。
【0008】
電着塗装は、基材に電流を流し、帯電した塗料を引き付け塗膜を形成する方法であるため、従来の吹き付け塗装のように、色むらや、液溜まり等が発生する虞がなく、均一な厚みの塗膜を形成することができる。従って、吹き付け塗装のように、色むらや、液溜まり等の発生を防止するために、各色につき、複数回塗装を繰り返す必要がなく、塗装に手間を要しない。
また、本発明では、基材に電流を流すことにより、塗料を引き付け着色するため、着色する部分の面積が小さくても、確実に着色することができる。従って、面積が小さい時計部品の基材表面に、複数色着色するような場合であっても、外観が良好な時計部品を得ることができる。
さらに、本発明では、電着塗装により、時計部品の基材表面を塗装しているので、多量の有機溶剤を使用する必要がなく、環境保護を図ることができる。
また、本発明では、電着塗装により、時計部品の基材表面を塗装しているので、塗装に大きな設備を必要としない。すなわち、電着塗装工程を実施する際には、時計部品が入る程度の電解槽、この電解槽に電気を流す電源、対向電極等があればよく、塗装用のクリーンルームや排気設備、印刷機等の大型の設備を必要としないので、設備の大型化を防止できる。
【0009】
さらに、本発明では、レジスト被膜として、光劣化型のレジスト被膜を使用している。このような本発明では、例えば、第一の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させ、レジスト被膜部分を剥離することで、基材表面に一色目の塗膜を形成する。次に、第二の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射させてレジスト被膜部分を剥離することで、基材表面に二色目の塗膜を形成することができる。
このように、レジスト被膜部分を選択的に容易に劣化し、除去することができるので、基材表面に複数色の塗膜を容易に形成することができ、デザイン性に優れた装飾面を有する時計部品を製造することができる。
【0010】
さらに、本発明では、電着塗装に使用する塗料を光硬化型の塗料としているため、光を照射しない部分に付着した塗料は、硬化しない。例えば、基材の裏面に塗料が付着したとしても、裏面に光を照射しなければ、裏面の塗料が硬化することはなく、容易に裏面の塗料を剥離することができる。
時計部品、例えば、文字板の裏面で塗料が硬化すると、時計に組み込んだ際に塗料が剥離し、塗料がムーブメント内部に入り込んでしまう可能性がある。これに対し、本発明では、前述したように、裏面の塗料を容易に剥離できるので、このような問題が発生しない。
なお、基材裏面に付着した塗料を剥離するには、酸処理を行い除去することが好ましい。
このように、酸処理を行うことで、硬化していない塗料を確実に剥離することができる。
【0011】
本発明では、前記硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とは同時に実施され、光を照射して塗装部分を硬化させると同時に、前記光により、後段の光劣化工程の色のパターンに対応するレジスト被膜部分を劣化させることが好ましい。
本発明では、例えば、装飾面が3色で装飾されている場合には、第2光劣化工程〜第2硬化工程を2回繰り返すため、第1硬化工程及び1回目の第2光劣化工程を同時に実施し、さらに、1回目の第2硬化工程及び2回目の第2光劣化工程を同時に実施すればよい。なお、2回目の第2硬化工程は単独で実施することとなる。
【0012】
このような本発明によれば、光照射により硬化する塗料を使用するとともに、光劣化するレジスト被膜を使用しているため、光を照射して塗膜を硬化させると同時に、後段で塗膜が形成される部分に対応するレジスト被膜部分を劣化させることができる。すなわち、硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とを同時に実施できるので、複数色で時計部品を装飾する場合であっても、時計部品の製造にかかる時間の短縮を図ることができる。
【0013】
ここで、硬化工程の後段の光劣化工程の色のパターンが、この硬化工程の前段の光劣化工程の色のパターンを除く残りの部分の基材表面の一部に形成される場合には、以下のように実施することが好ましい。
硬化工程の後段の光劣化工程では、硬化工程の前段の光劣化工程の色と異なる色のパターンに応じた光透過部及び、前段の光劣化工程の色のパターンに応じた光透過部が形成されたマスクを前記レジスト被膜に被せ、前記マスクの光透過部を介して前記レジスト被膜部分及び、前記塗膜に光を照射し、レジスト被膜部分を劣化させるとともに、塗膜を硬化させる。
【0014】
本発明の時計部品は、上述した何れかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする。
このような本発明によれば、時計部品は上述した製造方法により製造されたものであるため、前述の効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、塗装に手間を要さず、環境保護を図ることができ、良好な外観を得ることができ、設備の大型化の防止を図ることができる複数色で装飾された装飾面を有する時計部品となる。
また、本発明の時計は、上述した時計部品を備えることを特徴とする。
このような本発明の時計は、上述した時計部品を備えるため、時計部品と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塗装に手間を要さず、環境保護を図ることができ、良好な外観を得ることができ、設備の大型化の防止を図ることができる複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法、時計部品、時計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の時計1が示されている。この時計1は、腕時計であり、文字板2及び指針3を有している。文字板2の裏面側には、図示しないがぜんまいや電池等の動力発生装置や、この動力発生装置で発生した動力を指針に伝達する輪列等の駆動機構が配置されている。
文字板2は、本発明の時計部品に該当するものである。この文字板2は、平面円形形状の金属製の基材21(図3参照)の表面に装飾面22が形成されたものである。
装飾面22は複数色、例えば4色で装飾されている。例えば、ローマ数字部分は緑色の塗膜221であり、装飾面22の外周縁に沿って等間隔で打たれた60個の目盛り部分は黒色の塗膜222であり、地球のパターンの部分は青色の塗膜223であり、その他の背景部分がピンク色の塗膜224となっている。
【0017】
このような文字板2は次のようにして製造される。図2〜図12を参照して説明する。
図2は、文字板2が完成するまでの製造工程を示すフローチャートであり、図3は、基材21の原版23を示す平面図である。また、図4〜図6は、マスクを示す平面図であり、図7〜図11は、文字板2が完成するまでの各工程を示す図である。さらに、図12は、原版23の基材21の表面に装飾面22が形成された状態を示す平面図である。
まず、図3及び図7(A)に示すような文字板2の基材21の原版23を用意する(図2の処理S1)。
この基材21の原版23は、平面略矩形形状の金属製の板材であり、中央部分には、打ち抜き用の湾曲した一対の長孔231が形成されている。この長孔231は対向配置されており、長孔231で囲まれた部分が文字板2の基材21である。この基材21の中心部分には、指針用孔211が形成されている。
また、この原版23の対向する隅部には一対の位置決め孔232が形成されている。
なお、本実施形態では、原版23は金属製であるとしたが、これに限らず、例えば、プラスチック、ガラス、セラミックス等であってもよい。プラスチック、ガラス、セラミックス等の非導電性の部材を使用する場合には、原版の表面に無電解ニッケルめっきや、スパッタリングを行い、表面を導電性とする必要がある。
また、基材21の表面の色を調整する目的で、原版23の表面に金めっき、黒色めっき等の表面処理を行ってもよい。
【0018】
次に、図4〜図6に示すように、予め装飾面22の各色のパターン(すなわち、ローマ数字部分に対応するパターン、60個の目盛り部分に対応するパターン、地球の形状に対応するパターン)に応じたマスク41〜43を用意する。このマスク41〜43は、紫外線を透過させない材料で構成されており、各色のパターンに応じた光透過部411、421、422、431、432、433が形成されている。例えば、マスク41〜43は、透明のフィルム上に、各色のパターンに応じた部分を残して、黒色の印刷を施したものである。各色のパターンに応じた透明な部分が光透過部である。
さらに、より詳細に各マスク41〜43について説明する。
図4のマスク41には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部411が形成されており、図5のマスク42には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部421及び60個の目盛り部分に応じたパターンの光透過部422が形成されている。さらに、図6のマスク43には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部431、60個の目盛り部分に対応するパターンの光透過部432及び地球の形状に対応するパターンの光透過部433が形成されている。
なお、マスク41のローマ数字部分に対応するパターンの光透過部411は、マスク42の光透過部421、マスク43の光透過部431に対応したものである。また、マスク42の60個の目盛り部分に応じた光透過部422は、マスク43の光透過部432に対応している。
【0019】
さらに、各マスク41〜43は、平面矩形形状であり、対向する隅部には、それぞれ一対の位置決め孔412,423,434が形成されている。すなわち、マスク41には、位置決め孔412が形成され、マスク42には、位置決め孔423が形成され、マスク43には、位置決め孔434が形成されている。
これらの位置決め孔412,423,434は、原版23の位置決め孔232に対応した位置に形成されている。
【0020】
次に、図7(B)に示すように、基材21の表面を含む原版23の表面に光劣化型(本実施形態では、紫外線劣化型)のレジスト被膜44を形成する(処理S2、第1レジスト被膜形成工程)。
原版23の表面にレジスト液を塗布し、乾燥することで、レジスト被膜44が形成される。レジスト液の塗布方法としては、ロールコータ、バーコータ、スピンコータ、カーテンコータ、スクリーン印刷、スプレー塗布、電着塗布、刷け塗り、ディッピング等が例示できる。
なお、本実施形態では、レジスト液を使用したが、これに限らず、例えば、フィルム状のレジストを熱圧着してもよい。
レジスト被膜44の厚みは、例えば、10〜25μm程度であることが好ましい。
ここで、レジスト液としては、例えば、東京応化工業社製の商品名P−RH300PMを使用することができる。
【0021】
その後、基材21の表面を含む原版23の表面のレジスト被膜44上にマスク41を配置し、密着させる。
本実施形態では、ローマ数字部分の緑色の塗膜221、60個の目盛り部分の黒色の塗膜222、地球のパターンの部分の青色の塗膜223、背景部分のピンク色の塗膜224の順に塗膜を形成する。従って、まず、始めに、第1色目(第1の色)となる緑色のパターン(すなわち、ローマ数字部分に対応するパターン)に応じたマスク41をレジスト被膜44上に配置する。
マスク41には、原版23の位置決め孔232に対応した位置決め孔412が形成されているので、これらの位置決め孔232,412に位置決め突起(図示略)を挿入することで、基材21とマスク41との相対位置を決定することができる。
【0022】
次に、図8(A)に示すように、マスク41の上方から紫外線Uを照射する(処理S3、第1光劣化工程)。
これにより、マスク41の光透過部411を介して紫外線Uがレジスト被膜部分441に照射され、レジスト被膜部分441が劣化することとなる。
ここで、照射する紫外線Uの光量は、レジスト被膜44の厚さが10μmの場合には、700mj/cm2程度であることが好ましく、レジスト被膜44の厚さが25μmの場合には、1750mj/cm2程度であることが好ましい。
【0023】
次に、マスク41をはがし、原版23にアルカリ現像処理を施す。
2%の水酸化ナトリウム溶液(35℃〜45℃)に原版23を浸し、その後水洗する。これにより、劣化したレジスト被膜部分441が剥離され、図8(B)に示すように、原版23の基材21の表面が露出する(処理S4、第1露出工程)。
【0024】
次に、電着塗装を行う(処理S5、第1電着塗装工程)。
図示しないが、電解槽中に、電着塗料溶液を充填し、この電着塗料溶液中に原版23と対向電極とを入れる。電着塗料は、透明な樹脂に原料を混合したものである。
本実施形態では、電着塗料として紫外線硬化型のカチオン型のもの(例えば、株式会社シミズ製UC2000(商品名))を使用するため、原版23を陰極、対向電極を陽極とする。
原版23と対向電極との間に直流電流を流すと、原版23の基材21の表面が露出した部分に、塗料が凝集し、塗膜221が形成される。例えば、電圧120Vを2分かけることで、10μm〜15μmの塗膜221が形成される。
その後、電解槽から原版23を取り出し、乾燥させる。例えば、70℃、20分で乾燥させる。
なお、本実施形態では、原版23を金属製としているため、第1電着塗装工程では、原版23の長孔231の内周面(基材21の側面)及び裏面側にも塗料が凝集し、塗膜が形成されることとなる。ここで、原版23の裏面側に付着した塗膜を塗膜221Aとし、原版23の長孔231の内周面(基材21の側面)に付着した塗膜を塗膜221Bとする。
【0025】
次に、原版23のレジスト被膜44上にマスク42を設置し、密着させる(処理S6−1)。
前述したマスク41と同様、マスク42にも位置決め孔423が形成されており、この位置決め孔423及び位置決め孔232に位置決め突起(図示略)を挿入することで、マスク42及び基材21の相対位置を決める。
マスク42には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部421及び60個の目盛り部分に応じた光透過部422が形成されているので、図9(A)に示すように、光透過部421からは、第1電着塗装工程で形成した塗膜221が露出し、光透過部422からは、レジスト被膜部分442が露出する。
次に、マスク42の上方から紫外線Uを照射する(処理S6−2)。
ここでは、紫外線Uの光量は、例えば、1200mj/cm2以上であることが好ましい。
これにより、光透過部421を介し第1電着塗装工程で形成した塗膜221に紫外線が照射され、塗膜221が硬化するとともに、光透過部422を介して60個の目盛り部分に応じたレジスト被膜部分442に紫外線が照射され、レジスト被膜部分442が劣化することとなる(処理S6、第1硬化工程及び1回目の第2光劣化工程)。
【0026】
その後、図9(B)に示すように、マスク42を取り外し、劣化したレジスト被膜部分442を取り除く(処理S7、1回目の第2露出工程)。そして、図9(C)に示すように、電着塗装を行い、塗膜222を形成する(処理S8、1回目の第2電着塗装工程)。
ここで、1回目の第2露出工程、1回目の第2電着塗装工程の方法は、前述した第1露出工程及び第1電着塗装工程と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
その後、再度、原版23のレジスト被膜44上に配置するマスクがあるか否か判別する(処理S9)。マスクがある場合には、レジスト被膜44上にマスクを密着させる。
ここでは、図10(A)に示すように、レジスト被膜44上にマスク43を密着させる(処理S10−1)。前述したマスク41と同様、マスク43にも位置決め孔434が形成されており、この位置決め孔434及び位置決め孔232に位置決め突起(図示略)を挿入することで、マスク43及び基材21の相対位置を決める。
また、マスク43には、ローマ数字部分に対応するパターンの光透過部431、60個の目盛り部分に応じたパターンの光透過部432及び地球の形状に応じたパターンの光透過部433が形成されているので、第1電着塗装工程で形成した塗膜221、1回目の第2電着塗装工程で形成した塗膜222及びレジスト被膜部分443がそれぞれ光透過部431,432,433から露出する。
次に、マスク43の上方から紫外線Uを照射する(処理S10−2)。
これにより、1回目の第2電着塗装工程で形成した塗膜222が硬化するとともに、地球の形状のパターンに応じたレジスト被膜部分443が劣化することとなる(処理S10、1回目の第2硬化工程及び2回目の第2光劣化工程)。
【0028】
さらに、第1露出工程と同様、図10(B)に示すように、2回目の第2露出工程を行い、劣化したレジスト被膜部分443を除去し、基材21の表面を露出させる。
そして、図10(C)に示すように、2回目の第2電着工程を実施し、露出した基材21の表面上に塗膜223を形成する。
【0029】
次に、再度、原版23のレジスト被膜44上に配置するマスクがあるか否か判別する(処理S9)。ここでは、既に全てのマスクを使用したので、レジスト被膜44上に配置するマスクはない。
次に、全ての塗膜が形成されたかどうかを判別する(処理10)。
ここでは、背景部分のピンク色の塗膜224が形成されていないので、次に、図11(A)に示すように、原版23上全面に紫外線Uを照射する(処理S10−2)。
これにより、2回目の第2電着塗装工程で形成した地球形状の塗膜223が硬化される。また、長孔231内に紫外線Uが入り、第1電着塗装工程において、原版23の長孔231の外周面(基材21の側面)に付着した塗膜221Bも硬化することとなる。さらに、残存するレジスト被膜44全面が劣化することとなる。
そして、前記第1露出工程と同様、図11(B)に示すように、3回目の第2露出工程を実施する。これにより、残存するレジスト被膜44が剥離され、基材21の表面が露出する。
そして、図11(C)に示すように、3回目の第2電着工程を行い、塗膜224を形成する。
以上により、全てのマスクを使用し(処理S9)、全ての塗膜の形成が終了したので(処理S11)、原版23表面全面に紫外線を照射し、塗膜224を硬化させる(処理S12、3回目の第2硬化工程)。
以上のように、第2光劣化工程〜第2硬化工程を3回繰り返すことで、原版23の基材21表面上に装飾面22が形成されることとなる。
【0030】
次に、装飾面22が形成された原版23に酸処理を施す(処理S13、酸処理工程)。
リン酸を用いて、紫外線により硬化していない塗膜、すなわち、原版23の裏面側に付着した塗膜221Aを除去する。
その後、中和洗浄し、乾燥する。これにより、図12に示すような、装飾面22が形成された原版23が完成する。
そして、原版23の長孔231から基材21を打ち抜き、文字板2が完成する。
【0031】
従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)文字板2の基材21を含む原版23に直流電流を流し、帯電した塗料を引きつけ塗膜221〜224を形成する電着塗装により、基材21表面を塗装しているので、色むらや、液溜まり等が発生する虞がなく、均一な厚みの塗膜221〜224を形成することができる。従って、従来の吹き付け塗装のように、色むらや、液溜まり等の発生を防止するために、各色につき、複数回塗装を繰り返す必要がなく、塗装に手間を要しない。また、色むらや、液溜まり等によって、光が乱反射して文字板2表面が視認しづらいという不具合を抑止することができる。
【0032】
(2)本実施形態では、原版23に直流電流を流すことにより、着色するため、着色する部分の面積が小さくても、所定の電流が流れれば、確実に着色することができる。従って、面積が小さい文字板2の基材21表面に複数色着色し、各色の着色面積が非常に小さいような場合であっても、外観が良好な文字板2を得ることができる。
(3)さらに、本実施形態では、電着塗装により、文字板2の基材21表面を塗装しているので、有機溶剤を使用する必要がなく、環境保護を図ることができる。
【0033】
(4)また、電着塗装により、文字板2の基材21表面を塗装しているので、塗装に大きな設備を必要としない。すなわち、電着塗装を実施する際には、文字板2の基材21を含む原版23が入る程度の電解槽、この電解槽に電気を流す電源、対向電極等があればよく、塗装用のクリーンルームや排気設備、印刷機等の大型の設備を必要としないので、設備の大型化を防止できる。
(5)さらに、電着塗装により、文字板2の基材21を塗装しているので、基材21表面のみならず、基材21の側面にも塗膜221Bが形成されることとなる。このように、基材21の側面も塗膜221Bで覆われることとなるので、防錆性能を向上させることができる。例えば、時計1が防水性を備えていないような場合や、防水性能が低い場合であっても、基材21の側面及び表面が塗膜で覆われているため、文字板2の側面及び表面における錆びの発生を防止することができる。
【0034】
(6)さらに、電着塗装により、文字板2の基材21を塗装しており、均一な厚みの塗膜が形成されるので、基材21に形成された指針用孔211が塗膜により被覆されることがない。従来のように、吹き付け塗装により、塗装する場合には、指針用孔が塗料により被覆されてしまい、指針用孔の内部をえぐって塗料を剥離する作業を必要とした。これに対し、本実施形態では電着塗装により、文字板2の基材21を塗装することで、指針用孔211内部をえぐる作業が不要となり、文字板2の製造工程を簡略化することができる。
【0035】
(7)本実施形態では、レジスト被膜として、光劣化型のレジスト被膜44を使用している。このような本実施形態では、ローマ数字部分に対応するパターンに対応するレジスト被膜部分441に光を照射して劣化させ、レジスト被膜部分441を剥離することで、基材21表面に塗膜を形成する。次に、60個の目盛り部分の塗膜を形成するために、60個の目盛り部分のパターンに対応するレジスト被膜部分442に光を照射させてレジスト被膜部分442を剥離することで、基材21表面に60個の目盛り部分の塗膜を形成することができる。
このように、レジスト被膜部分を選択的に容易に劣化し、除去することができるので、基材21表面に複数色の塗膜を容易に形成することができ、デザイン性に優れた装飾面22を有する文字板2を製造することができる。
【0036】
(8)本実施形態では、第1電着塗装工程を実施し、基材21表面に塗膜221を形成した後、第1回目の第2露出工程を実施している。また、第1回目の第2電着工程を実施し、基材21表面に塗膜222を形成した後、第2回目の第2露出工程を実施している。
従って、第2露出工程では、硬化した塗膜を有する基材21からレジスト被膜44を除去することとなる。露出工程において、光劣化型のレジスト被膜44を除去する溶剤として、弱アルカリ液を使用するが、塗膜は弱アルカリ液に対して、高い耐性を有するため、溶解することがない。従って、外観が良好な文字板2を得ることができる。
【0037】
(9)さらに、本実施形態では、電着塗装に使用する塗料を紫外線硬化型の塗料としているため、紫外線を照射しない部分に付着した塗料は、硬化しない。
原版23の裏面には、電着塗装により、塗膜221Aが形成されることとなるが、原版23の裏面に紫外線を照射しなければ、裏面の塗膜221Aが硬化することはなく、酸処理を行うことで、裏面の塗膜221Aを容易に剥離することができる。
文字板2の基材21の裏面で塗膜221Aが硬化すると、時計1に組み込んだ際に塗膜221Aが剥離し、塗膜221Aがムーブメント内部に入り込んで指針停止等の不具合が発生してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態では、前述したように、原版23裏面の塗膜221Aを容易に剥離でき、酸処理により、塗膜221Aを剥離しているので、このような問題が発生しない。
【0038】
(10)また、電着塗装に使用する塗料として、熱硬化型の塗料する場合には、塗膜を硬化させるために、焼付けを行なう必要があるので、原版の裏面についた塗膜まで、硬化することとなり、裏面についた塗膜を剥がすのに手間を要する。
これに対し、本実施形態では、電着塗装に使用する塗料を紫外線硬化型の塗料としており、酸処理を行うことで、原版23の裏面の塗膜221Aを容易に剥離することができるので、原版23の裏面の塗膜221Aの処理に手間を要しない。
このように、原版23の裏面の塗膜221Aを容易に剥離することができるので、基材21の裏面の外観は良好なものとなる。例えば、時計1の裏蓋をシースルーとした場合に、良好な外観を得ることができる。
(11)さらに、電着塗装に使用する塗料として、熱硬化型の塗料する場合には、塗膜を硬化させるために、焼付けを行なう必要がある。そのため、焼付けを行なう炉等が必要となり、設備の大型化を招く可能性がある。これに対し、本実施形態では、電着塗装に使用する塗料を紫外線硬化型の塗料としているため、紫外線源があればよく、設備の大型化を防止できる。
【0039】
(12)また、本実施形態では、紫外線照射により硬化する塗料を使用するとともに、紫外線により劣化するレジスト被膜44を使用している。
従って、紫外線を照射して塗膜221〜224を硬化させると同時に、後段で塗膜が形成される部分に対応するレジスト被膜部分441〜444を劣化させることができる。すなわち、硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とを同時に実施できるので、複数色で文字板2の基材21表面を装飾する場合であっても、文字板2の製造にかかる時間の短縮を図ることができる。
【0040】
(13)さらに、電着塗装工程で使用する塗料は、透明な樹脂に顔料を混合したものである。従って、塗膜221〜224は、半透明となり、基材21の金属色が反映された装飾面22となる。そのため高級感のある文字板2となる。
また、塗膜221〜224は、半透明となるため、紫外線を照射する際に、紫外線が塗膜221〜224内部まで入り込むので、確実に塗膜221〜224を硬化させることができる。
また、塗膜221〜224が半透明であるため、基材21の表面の金属色を変化させることで、同じ塗料を使用して塗膜221〜224を形成した場合であっても、装飾面22の色調を変化させることができる。
さらに、塗料は、透明な樹脂に顔料を混合したものであるため、塗膜221〜224は光沢のあるものとなり、塗膜221〜224を形成した後、クリア塗装等をする必要がない。
【0041】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、時計部品として文字板を製造したが、これに限らず、例えば、指針、文字板に貼り付けられる目盛部品等であってもよい。
なお、時計部品としての指針を製造する際には、前記実施形態と同様、指針の基材の裏面に付着した塗膜を剥離することが好ましい。このように、基材の裏面に付着した塗膜を剥離することで、指針の軽量化を図ることができるので、指針の回転トルクを軽くすることができる。
【0042】
また、前記実施形態では、腕時計1を構成する時計部品である文字板2を製造したが、これに限らず、置時計を構成する文字板であってもよい。
一般に、置時計は、防水性能を備えていなかったり、防水性能が低かったりすることがあるが、文字板の基材の側面及び表面が塗膜で覆われているため、文字板の側面及び表面における錆びの発生を防止することができる。
さらに、腕時計や、置時計に限らず、掛け時計、懐中時計等を構成する時計部品であってもよい。
さらに、アナログ式の時計の時計部品に限らず、デジタル式の時計を構成する時計部品であってもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、文字板2の基材21を金属製としたが、これに限らず、例えば、文字板の基材をプラスチック層と、その表面に形成された金属薄膜層とを有するものとし、電波時計や、ソーラタイプの時計等に使用してもよい。
なお、この場合、基材の表面には金属薄膜層が形成されることとなるが、金属薄膜層の膜厚が薄ければ、電波や、光を透過させることは可能である。さらに、前記実施形態のように、基材表面に形成される塗膜を半透明とすることで、光を透過させることが可能となる。
【0044】
さらに、前記実施形態では、電着塗装工程で形成した塗膜を硬化させる硬化工程と、この硬化工程の後段のレジスト被膜を劣化させる光劣化工程とを同時に実施した(例えば、第1硬化工程と1回目の第2光劣化工程とを同時に実施し、1回目の第2硬化工程と2回目の第2光劣化工程とを同時に実施した)が、これに限らず、硬化工程と、光劣化工程とをそれぞれ独立して行い、硬化工程を実施した後、光劣化工程を実施してもよい。
このように硬化工程と、光劣化工程とを独立して行うことで、光劣化工程で使用するマスクに、塗膜を露出させる光透過部を形成する必要がなくなる。
【0045】
さらに、前記実施形態では、基材21の表面全面に塗膜221〜224を形成したが、これに限らず、例えば、基材21の表面の一部にのみ塗膜を形成してもよい。このようにすることで、基材21の表面の色を生かした装飾面を形成することができる。
また、前記実施形態では、ローマ数字部分の塗膜221、60個の目盛り部分の塗膜222、地球のパターンの部分の塗膜223、背景部分の塗膜224の順に塗膜を形成したが、これに限らず、例えば、背景部分の塗膜224を先に形成してもよい。
【0046】
さらに、前記実施形態では、装飾面22を4色で装飾したが、これに限らず、複数色であればよく、例えば、4色未満であってもよい。また、4色を超えるものであってもよい。
例えば、2色で装飾面を形成する場合には、第2光劣化工程〜第2硬化工程を1回のみ行なえばよく、5色で装飾面を形成する場合には、第2光劣化工程〜第2硬化工程を4回繰り返せばよい。
また、前記実施形態では、1回目の第2光劣化工程を行う際に、レジスト被膜44上にマスク42を配置したが、例えば、装飾面が2色で構成され、1色目のパターンの部分を除く基材表面の全面に2色目の色を塗布する場合には、第2光劣化工程において、マスクを使用する必要はない。
【0047】
また、前記実施形態では、原版23の裏面に付着した塗膜221Aを剥離するために、酸処理を行ったが、これに限らず、酸処理しなくてもよい。例えば、予め、原版23の裏面に、非導電性のテープやフィルム等を貼り付けておき、電着塗装工程において、原版23の裏面への塗料の付着を防止してもよい。このようにすることで、酸処理の工程を省くことができ、文字板の製造にかかる手間を省くことができる。
さらに、原版23の裏面に付着した塗膜221Aを剥離せず、紫外線を照射させて、硬化させてもよい。塗膜221Aは電着塗装により形成された均一な厚み塗膜であるため、文字板の裏面の外観は良好なものとなる。従って、時計の裏蓋がシースルーとすれば、時計の裏蓋側から、塗膜221Aが見えることとなり、時計の外観を向上させることができる。
【0048】
本発明を実施するため最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は主に、特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態にかかる時計を示す斜視図。
【図2】本実施形態にかかる時計部品である文字板の製造方法を示すフローチャート。
【図3】前記文字板の原版を示す平面図。
【図4】前記文字板の製造工程で使用するマスクを示す平面図。
【図5】前記文字板の製造工程で使用するマスクを示す平面図。
【図6】前記文字板の製造工程で使用するマスクを示す平面図。
【図7】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図8】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図9】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図10】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図11】前記文字板の製造工程を示す模式図。
【図12】原版の基材の表面に装飾面が形成された状態を示す平面図
【符号の説明】
【0050】
1…時計、2…文字板(時計部品)、21…基材、22…装飾面、41…マスク、42…マスク、43…マスク、44…レジスト被膜、221…塗膜、222…塗膜、223…塗膜、224…塗膜、411…光透過部421…光透過部422…光透過部431…光透過部、432…光透過部、433…孔、441…レジスト被膜部分、442…レジスト被膜部分、443…レジスト被膜部分、U…紫外線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法において、
前記時計部品の基材の導電性を有する表面に光劣化型のレジスト被膜を形成する第1レジスト被膜形成工程と、
前記複数色のうち第1の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第1光劣化工程と、
前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第1露出工程と、
前記基材表面の露出した部分に、前記第1の色を電着塗装して塗膜を形成する第1電着塗装工程と、
前記第1電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第1硬化工程と、
前記複数色のうち前記第1の色とは異なる他の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第2光劣化工程と、
前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第2露出工程と、
前記基材表面の露出した部分に、前記他の色を電着塗装して塗膜を形成する第2電着塗装工程と、
前記第2電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第2硬化工程とを備え、
前記基材表面に着色される色の数をNとした場合、前記第2光劣化工程から第2硬化工程をN−1回行なうことを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の時計部品の製造方法において、
前記硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とは同時に実施され、
光を照射して塗装部分を硬化させると同時に、前記光により、後段の光劣化工程の色のパターンに対応するレジスト被膜部分を劣化させることを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の時計部品の製造方法において、
硬化工程の後段の光劣化工程では、硬化工程の前段の光劣化工程の色と異なる色のパターンに応じた光透過部及び、前段の光劣化工程の色のパターンに応じた光透過部が形成されたマスクを前記レジスト被膜に被せ、
前記マスクの光透過部を介して前記レジスト被膜部分及び、前記塗膜に光を照射し、レジスト被膜部分を劣化させるとともに、塗膜を硬化させることを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の時計部品の製造方法において、
時計部品の基材表面に複数色で装飾された装飾面が形成された後、
基材裏面に付着した塗料を酸処理により除去することを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の時計部品の製造方法により製造されたことを特徴とする時計部品。
【請求項6】
請求項5に記載の時計部品を備えたことを特徴とする時計。
【請求項1】
複数色で装飾された装飾面を有する時計部品の製造方法において、
前記時計部品の基材の導電性を有する表面に光劣化型のレジスト被膜を形成する第1レジスト被膜形成工程と、
前記複数色のうち第1の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第1光劣化工程と、
前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第1露出工程と、
前記基材表面の露出した部分に、前記第1の色を電着塗装して塗膜を形成する第1電着塗装工程と、
前記第1電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第1硬化工程と、
前記複数色のうち前記第1の色とは異なる他の色のパターンに対応するレジスト被膜部分に光を照射して劣化させる第2光劣化工程と、
前記レジスト被膜の劣化した部分を除去し、基材表面を露出させる第2露出工程と、
前記基材表面の露出した部分に、前記他の色を電着塗装して塗膜を形成する第2電着塗装工程と、
前記第2電着塗装工程で形成された塗膜に光を照射して硬化させる第2硬化工程とを備え、
前記基材表面に着色される色の数をNとした場合、前記第2光劣化工程から第2硬化工程をN−1回行なうことを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の時計部品の製造方法において、
前記硬化工程と、この硬化工程の後段の光劣化工程とは同時に実施され、
光を照射して塗装部分を硬化させると同時に、前記光により、後段の光劣化工程の色のパターンに対応するレジスト被膜部分を劣化させることを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の時計部品の製造方法において、
硬化工程の後段の光劣化工程では、硬化工程の前段の光劣化工程の色と異なる色のパターンに応じた光透過部及び、前段の光劣化工程の色のパターンに応じた光透過部が形成されたマスクを前記レジスト被膜に被せ、
前記マスクの光透過部を介して前記レジスト被膜部分及び、前記塗膜に光を照射し、レジスト被膜部分を劣化させるとともに、塗膜を硬化させることを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の時計部品の製造方法において、
時計部品の基材表面に複数色で装飾された装飾面が形成された後、
基材裏面に付着した塗料を酸処理により除去することを特徴とする時計部品の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の時計部品の製造方法により製造されたことを特徴とする時計部品。
【請求項6】
請求項5に記載の時計部品を備えたことを特徴とする時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−29866(P2006−29866A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206310(P2004−206310)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
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