説明

時計

【課題】立体感に溢れ、かつ、外観が変化する時計を提供する。
【解決手段】時計は、アナログ時計の指針の少なくとも1つが円盤針で構成されたものであって、平面視した際に複数個のマイクロレンズ611が規則的に配置されたマイクロレンズ層と、前記マイクロレンズ611と同種の配置で、かつ、前記マイクロレンズ611とはピッチが異なる繰り返し模様71が設けられた装飾層とを備え、前記マイクロレンズ層または前記装飾層を平面視した際に、前記マイクロレンズ層と前記装飾層とが重なり合うものであり、前記マイクロレンズ層と前記装飾層とが、相対的に回転可能に構成されており、前記円盤針は、前記マイクロレンズ層を有する板状部材からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
時計は、実用品としての機能が求められるとともに、装飾品としての装飾性(美的外観)が求められる。
従来、時計としては、高級感のある外観を得るために、一般に、金属材料で構成された文字板を備えたものが用いられてきたが、従来の時計では、表現することのできる外観の範囲が限られており、需要者のニーズに十分に対応することができなかった。
例えば、立体感のある外観を呈する時計に対するニーズは大きく、模様等のパターンと透明塗膜とを交互に複数形成して積層化した時計用文字板が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような時計用文字板を備えた時計では、時計用文字板の厚み以上の立体感を表現することができず、また、厚さの制限から、時計用文字板自体の厚さを極端に大きくすることも困難であるため、上記のようなニーズに十分に応えることができなかった。特に、腕時計のような携帯時計では、特に、時計全体としての厚みについての制約が大きく、立体感に溢れた外観の実現が極めて困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−306188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、立体感に溢れ、かつ、外観が変化する時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の時計は、アナログ時計の指針の少なくとも1つが円盤針で構成された時計において、
平面視した際に複数個のマイクロレンズが規則的に配置されたマイクロレンズ層と、
前記マイクロレンズと同種の配置で、かつ、前記マイクロレンズとはピッチが異なる繰り返し模様が設けられた装飾層とを備え、
前記マイクロレンズ層または前記装飾層を平面視した際に、前記マイクロレンズ層と前記装飾層とが重なり合うものであり、
前記マイクロレンズ層と前記装飾層とが、相対的に回転可能に構成されており、
前記円盤針は、前記マイクロレンズ層を有する板状部材からなることを特徴とする。
これにより、立体感に溢れ、かつ、外観が変化する時計を提供することができる。
【0007】
本発明の時計では、前記円盤針は、指標として、指針、文字、記号、ロゴマーク、拡大レンズ、縮小レンズのいずれかを有していることが好ましい。
時間の経過とともに、外観が好適に変化する時計を提供することができる。
本発明の時計では、前記装飾層が固定されており、前記マイクロレンズ層が回転することが好ましい。
これにより、指標の回転とともに時計の外観を容易に変化させることができるとともに、外観の変化を好適に制御することができる。
【0008】
本発明の時計では、前記マイクロレンズ層を平面視した際の隣接する前記マイクロレンズの中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の三角形が規則的に配置されたものとなることが好ましい。
これにより、時計の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計では、前記三角形は、正三角形であることが好ましい。
これにより、時計の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
【0009】
本発明の時計では、前記マイクロレンズ層を平面視した際の隣接する前記マイクロレンズの中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の四角形が規則的に配置されたものとなることが好ましい。
これにより、時計の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計では、前記四角形は、正方形であることが好ましい。
これにより、時計の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
【0010】
本発明の時計では、前記マイクロレンズのレンズ面から前記装飾層の表面までの距離が100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
これにより、時計の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層と装飾層との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
【0011】
本発明の時計では、前記マイクロレンズの焦点距離が100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
これにより、時計の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層と装飾層との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
【0012】
本発明の時計では、前記マイクロレンズの焦点距離をL[μm]、前記マイクロレンズのレンズ面から前記装飾層の表面までの距離をL[μm]としたとき、0.5≦L/L≦1.5の関係を満足することが好ましい。
これにより、時計の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層と装飾層との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
【0013】
本発明の時計では、前記マイクロレンズのピッチをPML[μm]、前記繰り返し模様の構成単位のピッチをP[μm]としたとき、0.5≦P/PML≦1.5の関係を満足することが好ましい。
これにより、時計の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層と装飾層との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、立体感に溢れ、かつ、外観が変化する時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の時計を腕時計に適用した場合の第1実施形態を示す部分縦断面図である。
【図2】図1に示す時計が備えるマイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層を矢印A側からみた図(平面図)である。
【図3】図1に示す時計が備えるマイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層を図2に示す状態から相対的に回転させた状態を示す図(平面図)である。
【図4】マイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層の拡大断面図である。
【図5】本発明の時計(第2実施形態)が備えるマイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層を示す図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の時計を腕時計に適用した場合の第1実施形態を示す部分縦断面図、図2は、図1に示す時計が備えるマイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層を矢印A側からみた図(平面図)、図3は、図1に示す時計が備えるマイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層を図2に示す状態から相対的に回転させた状態を示す図(平面図)、図4は、マイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層の拡大断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図4中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、各図は、理解を容易にするために、構成の一部を強調して示したものであり、実際の寸法(例えば、マイクロレンズの面積と、繰り返し模様の構成単位の面積と、板状部材の面積との関係)等を正確に示したものではない。
【0017】
図1に示すように、時計(腕時計)1は、胴(ケース)2と、裏蓋3と、ベゼル(縁)4と、ガラス板(カバーガラス)5とを備えている。また、ケース2内の空間(胴2と、裏蓋3と、ベゼル4と、ガラス板5により形成された空間)には、ガラス板5が設けられた側から順に、マイクロレンズ層61が設けられた板状部材6と、装飾層7と、太陽電池8と、ムーブメント9とが収納されている。また、ムーブメント9には、指標としての指針、特に、時針(印刷部)62が設けられた板状部材(円盤針)6、分針102および秒針103が回転可能に支持されており、ムーブメント9とももにケース2内の空間内に収納されている。
【0018】
以下、時計1を構成する各部材について説明する。
胴(ケース)2、裏蓋3、ベゼル4、分針102および秒針103の構成材料は、特に限定されず、各種金属材料(合金を含む)、各種樹脂材料(プラスチック材料)、各種セラミックス材料等が挙げられる。中でも、美的外観、強度などに優れることから、通常、金属材料が好適に用いられる。胴(ケース)2、裏蓋3、および、ベゼル4は、互いに、同一の材料で構成されたものであってもよいし、異なる材料で構成されたものであってもよい。
【0019】
ガラス板5は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、装飾品としての時計の審美性(美的外観)を特に優れたものとすることができるとともに、太陽電池8に十分な光量の光を入射させることができる。
胴2には巻真パイプ11が嵌入・固定され、この巻真パイプ11内にはりゅうず12の軸部121が回転可能に挿入されている。このりゅうず12により、時針62および分針102の位置を調整することができる。
【0020】
胴2とベゼル4とは、プラスチックパッキン13により固定され、ベゼル4とガラス板5とはプラスチックパッキン14により固定されている。
また、胴2に対し裏蓋3が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)15には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)17が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部15が液密に封止され、防水機能が得られる。
【0021】
りゅうず12の軸部121の途中の外周には溝122が形成され、この溝122内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)16が嵌合されている。ゴムパッキン16は巻真パイプ11の内周面に密着し、該内周面と溝122の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず12と巻真パイプ11との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず12を回転操作したとき、ゴムパッキン16は軸部121と共に回転し、巻真パイプ11の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
【0022】
上記のような構成により、ケース2内の空間(胴2と、裏蓋3と、ベゼル4と、ガラス板5により形成された空間)は、液密に保持されている。
太陽電池8は、ムーブメント9の上側に隣接して設置されている。太陽電池8は、その全体形状が板状(円盤状)をなすものである。この太陽電池8は、板状部材6(時針62)、分針102および秒針103の軸(回転軸)91と同軸上に配置されている。
【0023】
このように配置された太陽電池8は、板状部材6および装飾層7を介して入射した光(例えば自然光や照明光)を受光して、その光のエネルギー(光エネルギー)を電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池で変換された電気エネルギーは、ムーブメント9の駆動等に利用される。
太陽電池8は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
【0024】
ムーブメント9は、太陽電池8の発電により生じた電力によって、板状部材6(時針62)、分針102および秒針103をそれぞれ駆動する(回転させる)機構を内蔵しており、板状部材6(時針62)、分針102および秒針103を駆動する軸91が板状部材6および装飾層7の中央の孔(中心)を貫通する位置に保持されている。
図1中では省略しているが、ムーブメント9内には、例えば、太陽電池8の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて輪列機構を1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
【0025】
図1に示すように、秒針103は、分針102よりもガラス板5に配置されている。そして、図1に示すように、太陽電池8と分針102との間には、板状部材6および装飾層(装飾板)7が上側からこの順に配置されている。板状部材(円盤針)6は、ムーブメントに設けられた軸(回転軸)91としての筒車に固定されている。装飾層(装飾板)7は、太陽電池8と対向した状態で支持部材20に支持されている。この支持部材20は、ケース2と裏蓋3とによって挟持されている。
【0026】
支持部材20は、円環状をなすものであり、太陽電池8やムーブメント9の外周側に設置されている。この支持部材20は、その内周部の2箇所で内径が急峻に変化(増大)しており、それぞれの箇所で段差部201および202が形成されている。
段差部201および202のうちの上側に位置する段差部201には、装飾層7の縁部73が支持固定されている。なお、装飾層7の固定方法としては、特に限定されないが、例えば、接着(接着剤や溶媒による接着)や、装飾層7の外周に凹部を設けて支持部材20に設けられた凸部に締代固定する方法等が挙げられる。
【0027】
支持部材20の上端面203には、板状部材6(マイクロレンズ層61)の下面(裏面)613の縁部6131が支持されている。後述するように板状部材6は回転可能なものであり、当該板状部材6が回転する際には、その縁部6131が上端面203を摺動する。なお、上端面203には、潤滑剤が付与されているのが好ましい。これにより、板状部材6が回転した際の摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減することができる。潤滑剤としては、例えば、シリコーン、シリコーンオイル、グリース、各種オイル、界面活性剤等を用いる。なお、前記縁部6131を前記上端面203に摺動しないように構成すれば、潤滑剤を使用しないで構成することができる。
【0028】
上記のように、本実施形態では、装飾層7が固定されており、マイクロレンズ層61が回転可能に構成されている。これにより、指針(時針62)の回転とともに時計1の外観を容易に変化させることができるとともに、外観の変化を好適に制御することができる。
支持部材20の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、裏蓋3と同様の構成材料を用いることができる。
【0029】
板状部材6(マイクロレンズ層61)は、円盤状をなすものである。この板状部材6は、分針102および秒針103の軸91と同軸上に配置されて(支持されて)いる。
また、板状部材6の下側には、円盤状をなす装飾層7が設けられており、板状部材6または装飾層7を平面視した際に、板状部材6(マイクロレンズ層61)と装飾層7とが重なり合うものとなっている。
【0030】
板状部材6を構成するマイクロレンズ層61は、複数個のマイクロレンズ611を備えるものであり、当該マイクロレンズ611は、板状部材6(マイクロレンズ層61)を平面視した際に規則的に配置されたものである。装飾層7は、平面視した際に規則的に配置された繰り返し模様71を有するものである。繰り返し模様71は、マイクロレンズ611と同種の配置で、かつ、マイクロレンズ611とは異なるピッチで設けられたものである。そして、後に詳述するように、マイクロレンズ層61(板状部材6)と装飾層7とは、相対的に回転可能に構成されている。
【0031】
このように、相対的に回転可能なマイクロレンズ層および装飾層とを有することにより、光の干渉(モアレ)を視覚的に使用し、立体感に溢れる外観を呈する時計を提供することができること、特に、観察者の錯覚を利用するにより、板材(マイクロレンズ層を備えた板状部材および装飾板)の厚みを、現実の厚み以上のものとして、観察者に認識させることができ、立体感に溢れた時計を提供することができることを、本発明者は鋭意研究の結果見出した。
【0032】
さらに、本発明者は、マイクロレンズ層と装飾層とを、相対的に回転可能なものとすることにより、時計の立体感を優れたものとしつつ、時計の外観を変化させることができること、特に、前記相対的な回転に伴う、マイクロレンズのピッチと繰り返し模様の構成単位のピッチとの比率の変化により、板材(マイクロレンズ層を備えた板状部材および装飾板)の奥行き感(立体感)を好適に変化させることができることができることを見出した。
【0033】
そこで、本発明に係る時計(アナログ時計の指針の少なくとも1つが円盤針で構成された時計)においては、平面視した際に複数個のマイクロレンズが規則的に配置されたマイクロレンズ層と、前記マイクロレンズと同種の配置で、かつ、前記マイクロレンズとはピッチが異なる繰り返し模様が設けられた装飾層とを備え、前記マイクロレンズ層または前記装飾層を平面視した際に、前記マイクロレンズ層と前記装飾層とが重なり合うものであり、前記マイクロレンズ層と装飾層とが、相対的に回転可能に構成されているものとした。
また、本発明に係る時計では、マイクロレンズ層を有する板状部材が、円盤針を構成する。これにより、経時的に、板状部材を構成するマイクロレンズ層と装飾層を構成する繰り返し模様との相対的な位置関係が変化し、これにより、時計の外観が変化する。
【0034】
以下、板状部材6および装飾層7について特に詳細に説明する。
板状部材6は、マイクロレンズ層61と時針(印刷部)62とを有するものである。
マイクロレンズ層61の上面(表面)612には、時針(印刷部)62が設けられている。これにより、時刻を確認することができる。
時針62の構成材料は、特に限定されず、例えば、各種金属材料(合金を含む)、各種樹脂材料(プラスチック材料)、各種セラミックス材料等を用いることができ、また、時針62の構成材料としては、各種顔料、各種染料等の着色剤を用いてもよい。上記の中でも、時針62の構成材料としては、美的外観などに優れることから、金属材料が好ましい。
【0035】
マイクロレンズ層61は、複数個のマイクロレンズ611が規則的に配置されたものである。
マイクロレンズ層61を有する板状部材6は回転可能となっており、マイクロレンズ層61を構成するマイクロレンズ611と、装飾層7の繰り返し模様71との相対的位置関係は、板状部材6の回転により変更可能となっている。これにより、時計1を図2や図3に示す状態等に任意に設定することができる。そして、マイクロレンズ611と繰り返し模様71との相対的位置関係を変更することにより、時計1の外観を変化させること、特に、時計1の奥行き感を好適に変化させることができる。特に、本実施形態では、時計1の外観を、時針62の移動、すなわち、時間の経過とともに、変化させることができる。
【0036】
特に、本実施形態では、マイクロレンズ層61(板状部材6)を平面視した際の隣接するマイクロレンズ611の中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の三角形が規則的に配置されたものとなるように、複数個のマイクロレンズ611が配置されている。これにより、時計1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、図示の構成では、前記三角形が正三角形である。これにより、時計1の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
【0037】
マイクロレンズ611の焦点距離は、100μm以上1000μm以下であるのが好ましく、150μm以上500μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計1の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層61と装飾層7との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
マイクロレンズ611のピッチ(マイクロレンズ層61を平面視した際のピッチ)PMLは、50μm以上500μm以下であるのが好ましく、60μm以上300μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0038】
マイクロレンズ層61は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の部材と同一形状のソーラーセル(太陽電池)のみで発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である部材を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
【0039】
マイクロレンズ層61を構成する材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられるが、マイクロレンズ層61は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の板状部材6の製造に好適に適用することができる。また、マイクロレンズ層61がプラスチック材料で構成されたものであると、時計1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、光(可視光)の透過性に優れるとともに、電波の透過性にも優れているため、マイクロレンズ層61がプラスチック材料で構成されたものであると、ソーラー時計(太陽電池を備えた時計)、電波時計に好適に適用することができる。以下の説明では、マイクロレンズ層61が主としてプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。なお、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の60wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
【0040】
マイクロレンズ層61を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、マイクロレンズ層61は、主として、ポリカーボネートで構成されたものであるのが好ましい。これにより、マイクロレンズ611をより透明性の高いものとすることができるとともに、マイクロレンズ611の屈折率を最適なものとすることができるため、時計1全体としての美的外観を特に優れたものとすることができる。また、板状部材6全体としての強度を特に優れたものとすることができるとともに、マイクロレンズ611の寸法精度をより高いものとすることができ、また、マイクロレンズ611の不本意な変形等をより確実に防止することができるため、時計1の信頼性を特に優れたものとすることができる。また、マイクロレンズ層61が、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂で構成されたものである場合、印刷法(特に、インクジェット法のような液滴吐出法)によるマイクロレンズ611の形成をより好適に行うことができる。
【0041】
なお、マイクロレンズ層61は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、マイクロレンズ層61が着色剤を含む材料で構成されたものであると、板状部材6の色のバリエーションを広げることができる。
【0042】
マイクロレンズ層61は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
マイクロレンズ層61の屈折率(絶対屈折率)は、1.500以上1.650以下であるのが好ましく、1.550以上1.600以下であるのがより好ましい。これにより、時計1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0043】
なお、図示の構成では、マイクロレンズ611は、略半球状をなすものであり、平面視した際の形状が円形をなす球面レンズであるが、マイクロレンズ611の形状は、特に限定されるものでなく、例えば、平面視した際の形状が俵型形状(略楕円形状、長円形状)をなすものであってもよい。
また、マイクロレンズ基板(マイクロレンズ層)61の形状、大きさは、特に限定されない。なお、図示の構成では、マイクロレンズ基板61は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
【0044】
また、マイクロレンズ基板61は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、マイクロレンズ基板61の製造方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形、2P法等が挙げられる。また、マイクロレンズ基板61は、例えば、マイクロレンズ611を有していない板状部材に、インクジェット法等の液滴吐出法により、マイクロレンズ611の構成材料を含む液状材料を吐出することにより、マイクロレンズ611を形成して得られたものであってもよい。また、マイクロレンズ611は、オフセット印刷、グラビア印刷等の各種印刷法を用いて形成されたものであってもよい。
【0045】
図示のように、マイクロレンズ層61を有する板状部材6の下側には、装飾層7が設けられている。この装飾層7は、円盤状をなすものであり、支持部材20よって支持されている。
装飾層7は、平面視した際に規則的に配置された繰り返し模様71を有するものである。特に、本実施形態では、装飾層(装飾板)7は、基板72上に繰り返し模様71が設けられた構成を有している。これにより、繰り返し模様71を確実に固定することができ、その結果、時計1は、長期間にわたって確実に優れた美的外観を発揮することができる。すなわち、時計1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0046】
繰り返し模様71は、マイクロレンズ611と同種の配置で、かつ、マイクロレンズ611とは異なるピッチで設けられたものである。
繰り返し模様71の構成単位のピッチ(装飾層7を平面視した際のピッチ)Pは、40μm以上550μm以下であるのが好ましく、50μm以上350μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0047】
マイクロレンズ611のピッチをPML[μm]、繰り返し模様71の構成単位のピッチをP[μm]としたとき、0.5≦P/PML≦1.5の関係を満足するのが好ましく、0.7≦P/PML≦1.3の関係を満足するのがより好ましい。これにより、時計1の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層61と装飾層7との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
【0048】
なお、繰り返し模様71のピッチの方がマイクロレンズ611のピッチよりも小さい場合には模様が沈んで見え、一方、繰り返し模様71のピッチの方がマイクロレンズ611のピッチよりも大きい場合には模様が浮かんで見える。
繰り返し模様71の構成単位は、図示の構成では円形状をなすものであるが、いかなる形状のものであってもよく、例えば、多角形状、楕円形状、星型形状、アルファベット等の文字のほか、漫画のキャラクター等のより複雑な形状をなすものであってもよい。
【0049】
繰り返し模様71は、いかなる材料で構成されたものであってもよく、例えば、各種顔料、各種染料等の着色剤や、金属材料を含む材料で構成されたものであってもよい。また、繰り返し模様71は、樹脂材料を含む材料で構成されたものであってもよい。これにより、繰り返し模様71の基板72に対する密着性を特に優れたものとすることができる。
繰り返し模様71は、いかなる方法で形成されたものであってもよく、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、タコ印刷法、インクジェット法等の各種印刷法を用いて形成されたものであってもよい。また、基板72上に形成された膜に対してエッチング処理を施し、残存した部分を、繰り返し模様71としてもよい。
【0050】
基板72は、繰り返し模様71を保持する機能を有するものであればよく、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、装飾板7の耐久性、取扱いの容易性等から、プラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。また、基板72が光透過性を有する材料で構成されたものであると、ソーラー時計(太陽電池を備えた時計)に好適に適用することができる。
【0051】
基板72を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、基板72は、主として、ポリカーボネートで構成されたものであるのが好ましい。これにより、装飾板7全体としての強度を特に優れたものとすることができるとともに、繰り返し模様71の不本意な変形等をより確実に防止することができるため、装飾板7の信頼性、時計1全体としての信頼性を特に優れたものとすることができる。
【0052】
なお、基板72は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、基板72が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計1の色のバリエーションを広げることができる。
基板72は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
【0053】
また、図示のように、マイクロレンズ層61(板状部材6)と装飾層7との間には、間隙30が形成されている。これにより、装飾層7が回転する際に、装飾層7とマイクロレンズ層61(板状部材6)との間に摩擦が生じるのを防止することができる。よって、この摩擦による装飾層7やマイクロレンズ層61(板状部材6)の磨耗を確実に防止することができる。
【0054】
マイクロレンズ611のレンズ面(図1中の上側の面)から装飾層7の表面(図1中の上側の面)までの距離は、100μm以上1000μm以下であるのが好ましく、150μm以上500μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計1の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層61と装飾層7との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
【0055】
特に、本実施形態のように、板状部材6を平面視した際の隣接するマイクロレンズ611の中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の三角形が規則的に配置されたものとなるように、複数個のマイクロレンズ611が配置されている場合、マイクロレンズ611のレンズ面(図1中の上側の面)から装飾層7の表面(図1中の上側の面)までの距離は、150μm以上500μm以下であるのが好ましく、150μm以上300μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計1の外観をより立体感に溢れるものとすることができ、時計1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0056】
マイクロレンズ611の焦点距離をL[μm]、マイクロレンズ611のレンズ面から装飾層7の表面までの距離をL[μm]としたとき、0.5≦L/L≦1.5の関係を満足するのが好ましく、0.6≦L/L≦1.4の関係を満足するのがより好ましい。これにより、時計1の外観をより立体感に溢れるものとすることができるとともに、マイクロレンズ層61と装飾層7との相対的な位置関係を変化させることにより時計の外観(奥行き感、あるいは浮き上がり感)をより好適に変化させることができる。
【0057】
また、装飾板(装飾層)7の形状、大きさは、特に限定されない。なお、図示の構成では、装飾板7は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
上記のように、マイクロレンズ層61を有する板状部材6および繰り返し模様71を有する装飾板7とを備えることにより、時計全体としての外観を優れたものとすることができる。このため、本発明では、文字板を省略することができる。すなわち、本発明では、これらの部材に文字板の機能を担わせることができる。そして、本実施形態の時計1でも、文字板を省略している。
【0058】
<第2実施形態>
図5は、本発明の時計(第2実施形態)が備えるマイクロレンズ層を有する板状部材および装飾層を示す図(平面図)である。
以下、この図を参照して本発明の時計の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、マイクロレンズ層61(板状部材6)を平面視した際の隣接するマイクロレンズ611の中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の四角形が規則的に配置されたものとなっている。そして、これに対応するように、繰り返し模様71の配置パターンも、装飾層7を平面視した際の隣接する繰り返し模様71の中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の四角形が規則的に配置されたものとなっている。このように、本発明においては、マイクロレンズおよび繰り返し模様の配置パターンは、第1実施形態で説明したようなものに限定されず、本実施形態のような配置パターンであっても、前述したのと同様な効果が得られる。また、本実施形態のような配置パターンであると、時計1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0060】
また、図示の構成では、前記四角形が正方形であるである。これにより、時計1の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
特に、本実施形態のように、板状部材6を平面視した際の隣接するマイクロレンズ611の中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の四角形が規則的に配置されたものとなるように、複数個のマイクロレンズ611が配置されている場合、マイクロレンズ611のレンズ面(図1中の上側の面)から装飾層7の表面(図1中の上側の面)までの距離は、100μm以上1000μm以下であるのが好ましく、250μm以上600μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計1の外観をより立体感に溢れるものとすることができ、時計1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
【0061】
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に、薄型化が求められるものであるため、時計の薄型化と優れた美的外観との両立を図ることができる本発明をより好適に適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー時計(太陽電池を備えた時計)としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー時計以外の時計や、電波時計(ソーラー電波時計を含む)等、いかなる時計にも適用することができる。
【0062】
以上、本発明の時計を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、時計を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の時計は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0063】
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ層には、同一のパターンでマイクロレンズが設けられている場合について代表的に説明したが、マイクロレンズ層は、マイクロレンズの配置パターンの異なる複数の領域を有するものであってもよい。同様に、装飾層には、同一のパターンで繰り返し模様が設けられている場合について代表的に説明したが、装飾層は、繰り返し模様の配置パターンの異なる複数の領域を有するものであってもよい。また、装飾層は、繰り返し模様の構成単位の形状が異なる複数の領域を有するものであってもよい。
【0064】
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ層が、マイクロレンズとして凸レンズを備えるものである場合について代表的に説明したが、マイクロレンズは、装飾層の設けられた面側で焦点を結ぶものであればよく、凹レンズであってもよい。
また、前述した実施形態では、装飾層が固定された構成になっているが、装飾層は、マイクロレンズ層とともに回転可能なものであってもよい。
【0065】
また、前述した実施形態では、マイクロレンズを有する板状部材に設けられた指標は、印刷法により形成されたものとして説明したが、当該指標は、印刷法以外の方法により設けられたものであってもよい。例えば、指針の形状に成形された部材をマイクロレンズ層に接着されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、時計が、板状部材および装飾板とは別個の文字板を有さない構成について代表的に説明したが、板状部材および装飾板とともに、文字板を有するものであってもよい。
【0066】
また、前述した実施形態では、板状部材(円盤針)が、指標としての指針(特に、時針)を有する場合について代表的に説明したが、板状部材が有する指標は、指標としての機能を有するものであればよく、指針(時針、分針、秒針等)以外ものであってもよい。例えば、板状部材が有する指標は、指針以外の模様、文字、記号、ロゴマーク、拡大レンズ、縮小レンズ等であってもよい。このように、円盤針が、指標として、指針、文字、記号、ロゴマーク、拡大レンズ、縮小レンズのいずれかを有していることにより、時間の経過とともに、外観が好適に変化する時計を提供することができる。
【0067】
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ層を有する板状部材(円盤針)を、時針として機能させた場合について代表的に説明したが、前記板状部材は、その他の指針(例えば、分針、秒針等)で構成したものであってもよい。また、全ての指針(例えば、時針、分針および秒針)を前記板状部材(円盤針)で構成したものであってもよい。この場合には、分針(分円盤針)と時針(時円盤針)のいずれかに前記装飾層を設けた構成であってもよし、複数の装飾層を設けた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…時計(腕時計) 2…胴(ケース) 3…裏蓋 4…ベゼル(縁) 5…ガラス板(カバーガラス) 6…板状部材(円盤針) 61…マイクロレンズ層(マイクロレンズ基板) 611…マイクロレンズ 612…上面(表面) 613…下面(裏面) 6131…縁部 62…時針(印刷部) 7…装飾層(装飾板) 71…繰り返し模様 72…基板 73…縁部 8…太陽電池 9…ムーブメント 91…軸(回転軸) 102…分針 103…秒針 11…巻真パイプ 12…りゅうず 121…軸部 122…溝 13…プラスチックパッキン 14…プラスチックパッキン 15…接合部(シール部) 16…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 17…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 20…支持部材 201、202…段差部 203…上端面 30…間隙 PML…ピッチ P…ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ時計の指針の少なくとも1つが円盤針で構成された時計において、
平面視した際に複数個のマイクロレンズが規則的に配置されたマイクロレンズ層と、
前記マイクロレンズと同種の配置で、かつ、前記マイクロレンズとはピッチが異なる繰り返し模様が設けられた装飾層とを備え、
前記マイクロレンズ層または前記装飾層を平面視した際に、前記マイクロレンズ層と前記装飾層とが重なり合うものであり、
前記マイクロレンズ層と前記装飾層とが、相対的に回転可能に構成されており、
前記円盤針は、前記マイクロレンズ層を有する板状部材からなることを特徴とする時計。
【請求項2】
前記円盤針は、指標として、指針、文字、記号、ロゴマーク、拡大レンズ、縮小レンズのいずれかを有している請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記装飾層が固定されており、前記マイクロレンズ層が回転する請求項1または2に記載の時計。
【請求項4】
前記マイクロレンズ層を平面視した際の隣接する前記マイクロレンズの中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の三角形が規則的に配置されたものとなる請求項1ないし3のいずれかに記載の時計。
【請求項5】
前記三角形は、正三角形である請求項4に記載の時計。
【請求項6】
前記マイクロレンズ層を平面視した際の隣接する前記マイクロレンズの中心を直線で結んだ場合に、当該直線により複数個の四角形が規則的に配置されたものとなる請求項1ないし5のいずれかに記載の時計。
【請求項7】
前記四角形は、正方形である請求項6に記載の時計。
【請求項8】
前記マイクロレンズのレンズ面から前記装飾層の表面までの距離が100μm以上1000μm以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の時計。
【請求項9】
前記マイクロレンズの焦点距離が100μm以上1000μm以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の時計。
【請求項10】
前記マイクロレンズの焦点距離をL[μm]、前記マイクロレンズのレンズ面から前記装飾層の表面までの距離をL[μm]としたとき、0.5≦L/L≦1.5の関係を満足する請求項1ないし9のいずれかに記載の時計。
【請求項11】
前記マイクロレンズのピッチをPML[μm]、前記繰り返し模様の構成単位のピッチをP[μm]としたとき、0.5≦P/PML≦1.5の関係を満足する請求項1ないし10のいずれかに記載の時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−184954(P2012−184954A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46717(P2011−46717)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)