説明

曇り防止冷蔵庫用ドア及びその製造方法

【課題】冷凍ユニットのドアが開けられた時の凝結を抑える方法を提供する。
【解決手段】
本発明のエネルギーの要らない冷蔵庫用ドアでは、低放射率被膜を有するガラス板によりドアに断熱性を与える。ドアはドア枠と、内側、中央、及び外側ガラス板を有する断熱ガラスユニットとを備える。その内側ガラス板の周縁と中央ガラス板の周縁とを周るよう配置された第1封止材アセンブリは、内側ガラス板と中央ガラス板の間に第1チャンバーを形成し、中央ガラス板の周縁と外側ガラス板の周縁とを周るよう配置された第2封止材アセンブリは、中央ガラス板と外側ガラス板の間に第2チャンバーを形成する。クリプトン、空気、又はアルゴン等のガスが、第1及び第2チャンバー内に保持される。外側ガラス板と内側ガラス板はそれぞれ、中央ガラス板に面し曝されていない面を有する。低放射率被膜が外側ガラス板と内側ガラス板のこれらの曝されていない面上に配置されることにより、このガラスドアは、ドアを加熱するための電気が印加されることなく該外側ガラス板の外面上の凝結を防ぐとともに、ガラスドアの該内側ガラス板の内面から凝結が蒸発する所望の速度を提供する。曇り防止又は霜防止被膜が、これらのガラス板のうち1つのガラス板の1つの面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、冷蔵庫用ドア、断熱ガラスユニット、及び冷蔵システム、特に凝結抑制と断熱と所望の可視透過率とを提供する曇り防止又は霜防止エネルギー不要冷蔵庫用ドアに関する。より具体的には、本発明の冷蔵庫用ドアは、電気的に加熱されることなく低放射率被膜を被覆することと曇り防止/霜防止被膜又は薄膜を被覆することで、これらの所望の特性を達成する。本明細書において、用語「冷蔵庫用ドア」は冷凍庫、冷蔵庫、及び同様のユニット及びキャビネットに使用されるドアを指す。また、エネルギー不要冷蔵庫用ドアにおけるように用語「エネルギー不要」は、ガラスに加熱するための電気を加える必要がないことを意味する。曇り防止及び霜防止は、冷蔵庫用ドア、断熱ガラスユニット(IGU)、又は他の物品のクリアリング時間を短縮するか又は無くす被膜又は薄膜を表現する。
【0002】
《関連する出願への相互参照》
本出願は、2004年09月20日付で出願した米国仮特許出願第60/610,964号と、2005年07月19日付で出願した米国仮特許出願第60/700,308号との利益を主張する2005年09月20日付で出願した米国特許出願第11/229,835号の一部継続出願である。これら全ての出願を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で参照される全ての米国特許及び特許出願公報を本明細書に援用する。不一致がある場合、定義を含む本明細書に従う。
【0004】
商用の冷凍庫、冷蔵庫等用の冷蔵庫用ドアは、通常、顧客がドアを開けることなくその中の商品を見ることが出来るようにガラスでできている。しかし、ガラスに凝結が形成される(「曇る」と表現される)と、顧客はドアを通し見て中の商品を認識することが出来ない。これは顧客と店主又は小売業者との両方にとって望ましくない。霜の形成も同様の問題を発生させる。
【0005】
冷凍庫又は冷蔵庫の冷却された内部によってガラスの外側の表面温度は店内の周囲温度より下がるので、湿気はガラス冷蔵庫用ドアの外側に凝結する。ガラスの表面の温度が、店内の空気の露点より下がると、湿気はガラスの表面に凝結する。また、湿気の多い環境でドアを開けると、ドアの内側を形成する最も内側のガラス板が店内の周囲空気に一瞬曝され、ドアの内側に凝結が形成される場合がある。また、ガラスドアの内側の温度がそれが曝される店内周囲空気の露点より低いので、ガラスドアの内側に凝結が発生する。
【0006】
上述したように、ガラスドア上の霜等の凝結は、顧客がガラスドアを通して商品を見ることを妨げる。その結果、凝結又は霜がガラスドアに付いていると、顧客は中の商品を特定するために冷蔵庫用ドアを不本意にも開けなければならない。これは多数の冷凍庫や冷蔵庫がある店では実用的でない。どの冷蔵庫用ドアもみな開けるということは、顧客にとってうんざりすることであると共に時間がかかる。更に、冷凍庫や冷蔵庫のエネルギー消費を著しく増加させエネルギーコストが高くなるので小売業者にとっても望ましくない。
【0007】
商用として冷蔵庫用ドアが適合することを要求される様々な業界性能規格が存在する。米国では、業界の大部分は、外部温度華氏80度(26.7℃)、外部相対湿度60%、内部温度華氏−40度の環境で使用した時、外部凝結がない冷凍庫ドア(冷蔵庫ドアではない)を要求する。他の国では、異なる要件がある。
【0008】
当該分野で周知のように、典型的な冷蔵庫用ドアはドア枠に装着された断熱ガラスユニット(IGU)を備える。冷蔵庫用ドアのIGUは、通常、その周縁において封止材アセンブリ(一般に縁シールと呼ばれる)によって封止された2枚又は3枚のガラス板を備える。3枚のガラス板を備えるIGUにおいては、その3枚のガラス板の間に2つの断熱チャンバーが形成されている。2枚のガラス板を備えるIGUにおいては、1つの断熱チャンバーが形成されている。通常、冷蔵庫用のIGUは2枚のガラス板から構成され、冷凍庫用のIGUは3枚のガラス板から構成されている。封止された後、チャンバーには通常、アルゴン、クリプトン、他の適当なガス等の不活性ガスが充填され、IGUの断熱性能を改善する。
【0009】
冷蔵庫用ドアにおける凝結を防ぐ又は低減する従来の方法の多くは、ガラスを電気的に加熱するためにIGUの1つ以上のガラス表面に導電性被膜を設け、当該ドアへエネルギーを供給することを含んでいる。ガラスを加熱する目的は、ガラスの温度を店内の暖かい周囲空気の露点を超える温度に維持することである。ガラスを露点を超える温度に加熱することで、望ましくない凝結及び霜がドアのガラス上に形成されるのを防ぎ、ガラスを通した冷凍室内部へのクリアな視界を提供する。
【0010】
3枚ガラスIGUから成るドアにおいては、1つ又は2つのガラス板の曝されていない面が導電性物質で被覆されている。この導電性被膜は、ガラスの両縁に装着された2個のバスバー又は他の電気コネクターによって電源に接続される。電流がその被膜を通って流れる時、被膜が発熱することでガラス板を加熱し凝結のない表面を提供する。冷蔵庫用ドアのIGU上の被膜は、通常、最も外側のガラス板の曝されていない面に被覆される。しかし、内側ガラス板の内側に凝結が形成されることがあるので、最も内側のガラス板の曝されていない面も、加熱して凝結を防ぐために被覆される。
【0011】
これらの従来の加熱される冷蔵庫用ドアには多数の欠点及び問題が存在する。第1に、ドアを加熱することは、冷却システムのエネルギーコストを超えるエネルギーコストを発生させる。標準サイズの商用冷凍庫において、冷凍庫ドアを加熱するための追加のコストは、現在の電気料金に基づくとかなり大きく、冷凍庫毎に1年間で100ドル以上になる場合がある。多くの店が多数の冷凍庫を使用し、幾つかのスーパーマーケットと食料品小売店は数百台の冷凍庫を使用することを考えると、冷凍庫ドアの加熱に伴う累積のエネルギーコストはかなり大きい。
【0012】
第2に、従来の加熱された冷蔵庫用ドアからの過剰な熱が冷凍室に拡散し、冷却システムの追加の負荷となり、更にエネルギーコストを増加させる。第3に、加熱のためにドアに供給される電力が低過ぎるか、オフされるか、停電により遮断された場合、凝結及び/又は霜がドアのガラス上に形成される。電力消費が多過ぎると、不必要な追加のエネルギーコストが発生する。これらの問題の発生を少なくするために、このような加熱ガラスドアはしばしばドア加熱システムの正確な制御を要求する。ドア加熱システムの正確な制御を実現するために、電気制御システムが必要となり、大きな稼働及び維持コストに加えて設計及び製造コストが増加する。
【0013】
第4に、これらの電気的に加熱されるガラスドアには、顧客にとっての安全上の危険と、小売業者及び冷蔵システム製造業者にとっての責任及び報道される潜在的リスクがある。ガラスドア被膜に印加される電圧は通常、交流115Vである。店内で顧客が使用するショッピングカートは、金属製で重い。ショッピングカートがガラスドアにぶつかり壊した場合、電気がカートを通って顧客に流れる可能性がある。これは重大なけが或いは死さえも引き起こす可能性がある。
【0014】
特許文献1及び特許文献2には、電圧を導電性被膜(低放射率被膜であってもよい)で被覆されたガラスに印加してガラスドアの外面上の凝結の形成を抑えることが開示されている。低放射率被膜等の導電性被膜は、望ましい断熱特性を提供するとともに電気に対する抵抗を提供し発熱する。しかし、これらの特許文献に開示された冷蔵庫用ドアも、電気的に加熱される全ての冷蔵庫用ドアに関連した上述の欠点及び問題を持っている。ガラスユニット、ドア、冷凍ユニット等も特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7に記載されている。これらの米国特許及び特許出願を本明細書に援用する。
【0015】
このような低放射率被膜は、導電性のために使用されるのに加えて、冷蔵庫用ドア上の凝結を削減するための別の手段としても使用されてきた。具体的には、ガラスの断熱値(「R値」)を増加させ、冷凍室からの熱損失を削減する1つの方法は、低放射率(低E)被膜をガラスに被覆することである。低E被膜は、ガラス表面上に堆積された非常に薄くほとんど見えない、金属又は金属酸化物層であり、ガラスを通る放射熱流を抑えることで放射率を下げる。放射率は、黒体又は面からの放射とプランクの法則によって予測される理論的な放射との比である。用語放射率は米国材料試験協会(ASTM)規格に従って赤外域において測定された放射率値を指す。放射率は放射計測定を使用して測定され、半球放射率と垂線放射率として記録される。放射率は被膜からの遠赤外放射の割合を示す。低放射率は、より少ない熱がガラスを通って伝導されることを示す。従って、ガラス板又はIGUの放射率は、ガラス板又はIGUの熱伝導率(U値)だけでなく断熱値にも影響する。ガラス板又はIGUのU値は、それのR値の逆数である。
【0016】
多枚ガラスIGUにおいて、IGUを構成するガラス板の放射率の組合せであるIGUの放射率は、全てのガラス板の放射率を掛け合わせることで近似される。例えば、各ガラス板の放射率が0.5である2枚ガラスIGUでは、総放射率は0.5に0.5を掛けた値、0.25になる。
【0017】
低E被膜は、ドアを電気的に加熱する場合と加熱しない場合の両方で冷蔵庫用ドアに使用されるIGUに適用されてきたが、このような被膜とIGUは、広い温度範囲とドアを加熱するための電気が印加されることなく使用される環境において、凝結を抑制し要求される断熱性を提供することができない。より具体的には、冷凍室内温度がほぼ凝固点近く又はより低い用途において、加熱のない冷蔵庫用ドアは、このような低E被膜を使用しているにもかかわらず凝結を抑制できていない。
【0018】
また、典型的な曇り防止/霜防止被膜、薄膜等及び被覆方法も限界がある。例えば、これらの薄膜はまだ、曇りとなり視界を不明瞭にする水滴が形成できることがある。また、曇り防止特性は、短い時間水に浸すか繰返し洗浄することでしばしば失われる。また、水滴を吸収することで機能する既存の曇り防止材は、非常に高い湿度条件において飽和し、かなり膨らんだ状態が少なくとも部分的には原因となって機能しなくなる。また、これらの曇り防止材は傷やしみができ易く、また通常の溶媒に対して十分な耐性がない。また、滴る、流れる、ほこりが付着する、化学的ひび割れができる等の被膜に共通の問題が、典型的な曇り防止材にも発生する。
【0019】
従って、電気的に加熱され低放射率被膜が被覆された冷蔵庫用ドアと、曇り防止材及び霜防止材(薄膜、被膜等)とが入手可能であるにもかかわらず、次のような冷蔵庫用ドアに対する要求がある。(1)広い温度範囲と環境範囲とに亘って必要な凝結抑制及び断熱性を提供する冷蔵庫用ドア、(2)所望の可視透過率を有していること、(3)ドアを加熱するための電力を供給する必要をなくすことで不要なエネルギーコストと、冷却システムへの過度の負荷とをなくした冷蔵庫用ドア、(4)高価で複雑な電気制御システムを必要としないため、設計、製造、稼働、維持コストが最小となる冷蔵庫用ドア、(5)顧客にとっての安全上の危険と、製造業者及び小売業者にとっての責任及び報道される潜在的リスクがないか、或いはこれらの問題を克服するか低減した冷蔵庫用ドア。
【特許文献1】米国特許第5,852,284号明細書
【特許文献2】米国特許第6,148,563号明細書
【特許文献3】米国特許第6,367,223号明細書
【特許文献4】米国特許第6,606,832号明細書
【特許文献5】米国特許第6,606,833号明細書
【特許文献6】米国特許出願第US2003/0062813号公報
【特許文献7】米国特許出願第US2003/197449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、エネルギーの要らない冷蔵庫用ドアに凝結抑制、断熱、及び所望の量の可視透過率を提供することで上記従来技術の欠点を解決することである。
本発明の別の目的は、ガラス上の凝結を減らすために電気エネルギーを使用しない冷蔵庫用ドアを提供することである。
本発明の別の目的は、凝結を抑え、冷凍庫又は冷蔵庫の内部に多くの熱を伝達して冷却システムの負荷とエネルギーコストを増やすことがない冷蔵庫用ドアを提供することである。
【0021】
本発明の更に別の目的は、従来の冷蔵庫用ドア及びシステムに比べて製造し、稼働させ、維持するのがより容易で経済的な凝結抑制冷蔵庫用ドアを提供することである。
本発明の更に別の目的は、設計し、稼働させ、維持するのがより容易な凝結抑制冷蔵庫用ドアを提供することである。
本発明の別の目的は、凝結を抑える目的でガラスを加熱するための電気を使用しない凝結抑制冷蔵庫用ドアを製造する方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、0.04未満の放射率を有する冷蔵庫用ドアを提供することである。
本発明の更に別の目的は、約0.0025の放射率を有する冷蔵庫用ドアを提供することである。
本発明の更に別の目的は、0.2BTU/hr・ft2・F未満のU値を有する冷蔵庫用ドアを提供することである。
本発明の更に別の目的は、約0.16BTU/hr・ft2・FのU値を有する冷蔵庫用ドアを提供することである。
【0023】
本発明の更に別の目的は、クリアリング時間をゼロ又はゼロ近くに減らす追加の曇り防止特性及び霜防止特性を有する冷蔵庫用ドアを提供することである。
他の目的は、冷蔵庫用ドアに使用する曇り防止又は霜防止被膜又は薄膜と、基板面上にこの薄膜を備える冷蔵システム及びIGUとを提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、エネルギーの要らない冷蔵庫用ドアと、これを製造する方法を提供すること等でこれらの目的及び他の目的を達成する。1つの態様では、本発明は内側、中央、及び外側ガラス板を有する断熱ガラスユニットを収容するドア枠を備える。その内側ガラス板の周縁と中央ガラス板の周縁とを周るよう配置された第1封止材アセンブリは、内側ガラス板と中央ガラス板の間に第1チャンバーを形成し、中央ガラス板の周縁と外側ガラス板の周縁とを周るよう配置された第2封止材アセンブリは、中央ガラス板と外側ガラス板の間に第2チャンバーを形成する。クリプトン、空気、又はアルゴン等のガスが、第1及び第2チャンバー内に保持される。外側ガラス板と内側ガラス板はそれぞれ、中央ガラス板に面し曝されていない面を有する。低放射率被膜が外側ガラス板と内側ガラス板のこれらの曝されていない面上に配置されることにより、このガラスドアは、ドアを加熱するための電気が印加されることなく該外側ガラス板の外面上の凝結を防ぐとともに、ガラスドアの該内側ガラス板の内面から凝結が蒸発する所望の速度を提供するU値を有する。曇り防止/霜防止被膜又は薄膜が、これらのガラス板のうち1つのガラス板の1つの面、好ましくは内側ガラス板の曝されている面に設けられる。
【0025】
別の態様では、本発明は新しい曇り防止/霜防止被膜を提供する。
この曇り防止/霜防止被膜は様々な用途、例えば、断熱ガラスユニット(多数のガラス板を有するものを含む)、冷凍ディスプレーケース用の冷蔵庫用ドア、自動車ミラー、特に外部ミラー、サウナ、スチームバス、シャワードア、切符売り場窓、バスルーム窓、バスルームミラー、高湿度又は雨に曝される屋外クーラー及び冷凍庫、及び曇り防止/霜防止被膜/薄膜が必要な他の任意の用途において有用である。従って、本発明の曇り防止/霜防止被膜はエネルギーの要らない冷蔵庫用ドアにおいて使用されるのが好ましいが、電気的に加熱されるドア等のエネルギーが印加されるドアを含む他の様々な用途にも適している。
【0026】
本発明の様々な実施形態の構造と動作に加えて、本発明の他の特徴と利点を添付図を参照しながら下記に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下の説明において、限定するためでなく説明の目的のために、本発明を完全に理解できるように、具体的な詳細、例えば特定の被膜、被覆プロセス、板厚、膜厚、封止材アセンブリ、板の数、板の間隔、ドア組み立て方法等を述べるが、これらの具体的な詳細とは異なる本発明の他の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかとなろう。周知の被膜、被覆プロセス、封止材アセンブリ、及びドア組み立て方法の詳細な説明は、本発明の説明を不明瞭にしないように省略される。本発明を説明するために、外部、内部、外側、内側等の用語は、図から明らかなように、冷凍庫又は冷蔵庫室の内側から見た記述である。
【0028】
コンピュータモデルに加えて試験も、上述した米国業界の性能要求に従って冷蔵庫用ドアのガラスの外側の凝結を防ぐためには、約0.2BTU/hr・ft2・FのU値(ガラスを通る熱の伝導率)が必要であることを示した。しかし、前述のように、ドアを開けた時、そのドアの内側ガラス板の内面の温度がそれが曝された湿度のより高い店内空気の露点より低いので、そのガラス板の内面に凝結が形成される場合がある。しかし、この凝結は、ドアが閉められると水分が冷凍庫又は冷蔵庫室内へ蒸発するので消散する。
【0029】
ドアの内面に凝結が存在する間、冷凍庫又は冷蔵庫の内容物はドアを通して見ることが出来ない。従って、凝結が存在する時間(クリアリング時間と呼ばれる)の長さを決める蒸発のスピードは、重要な設計の評価項目である。より多くの熱がガラスドアを通ってガラスドアの内面に伝達されると、ドア内面の凝結はより速く蒸発する。しかし、ドアを通した熱伝達が増えると冷却システムのエネルギーコストが増加する。従って、ガラスドアの最適なU値は、凝結の蒸発に要する望ましい時間に加えて、外側と内側の温度差、ガラス厚、間隔、IGUのチャンバー内で使用されるガス、ガラス板の数、スペーサー材質、周囲湿度、及び被膜の遠赤外域吸収係数を含む多数の要素によって決まる。また、選択された部品(ガス、封止材アセンブリ、ガラス等)のコスト、エネルギーコスト、及び他の要素も設計で考慮される。下記の好適な実施形態は、ドアの外面上の凝結を防ぎ、適当な時間内にドアの内面上の凝結が蒸発するよう周囲外部環境からドアを通って十分な熱が伝わることができる0.16BTU/hr・ft2・FのU値を提供する。幾つかの冷蔵システム製造業者は、凝結が数分以内に蒸発すること求め、他の製造業者は1分以内に蒸発すること求める。別の実施形態では、U値が約0.16BTU/hr・ft2・F以下であってもよい。凝結が蒸発するのに要する時間は、ドアが開いている時間の量、店内湿度、冷蔵システム内温度、冷蔵システムの内容物、ドアを通って伝達される熱(U値に依存する)、及び他の要素によって変わる。
【0030】
本発明の1つの実施形態では、図1に示すように、冷蔵システム5は複数の透明でそれぞれハンドル11を有する冷蔵庫用ドア10を備える。下記でより詳細に説明するように、各冷蔵庫用ドア10は枠55に装着されたIGU50を備える。冷蔵システムの内部は、ドアを通して見られる商品を保持する複数の棚6を備える。図2を参照すると、本実施形態の冷蔵庫用ドア10は冷蔵システムの開口にヒンジを介して装着されている。ヒンジはドアが外側に開くことを可能にする。
【0031】
上述のように、冷蔵庫用ドア10は枠55に収容されたIGU50を備える。図3に示すように、IGU50は外側ガラス板60、中央ガラス板65、及び内側ガラス板70を備える。IGU50は枠55に収容され、外側ガラス板60の内面62の周縁と中央ガラス板65の外面の周縁とを周りほぼ密閉された断熱外側チャンバー92を画定する第1封止材アセンブリ90を更に備える。同様に第2封止材アセンブリ95は内側ガラス板70の外面72の周縁と中央ガラス板65の内面の周縁とを周りほぼ密閉された断熱内側チャンバー94を画定する。
【0032】
外側ガラス板60の外面61は外部周囲環境7に隣接している。言い換えると、外側ガラス板60の外面61は冷蔵庫又は冷凍庫の周囲の環境に曝されている。外側ガラス板60の内面62は外側チャンバー92に接しこれの一部を画成している。
【0033】
この好適な実施形態において、外側ガラス板60は1/8インチ厚の強化ガラスであり、外側ガラス板60の内面62は低放射率被膜63で被覆されている。具体的には、本実施形態では、低E被膜は、超硬二酸化チタンをベース層とするスパッター被覆された低E被膜であり、高レベルの断熱性能と高い可視透過率を保証する。この特定のスパッター被覆されたガラスは、被覆後、焼入れでき、高い可視光透過率を有し高レベルの色づきがない。外側ガラス板60の外面61は被覆されていない。本実施形態では、外側ガラス板60は、これに限定されないが例えば、米国AFG Industries社製の1/8インチ厚のComfort Ti-PSガラス板であってもよい。このガラス板は放射率が0.05である低E被膜を有する。当分野でよく知られているように、Comfort Ti-PSガラスは適当なサイズに切断され、焼入れされ、縁取りされてIGU50と一体化される。本明細書における低Eガラスは、上記特定の名称の製品に限定されることなく、スパッター被覆及び熱分解被覆された低Eガラス群を含む任意の適切な低Eガラスであってよい。
【0034】
中央ガラス板65は外側ガラス板60と内側ガラス板70の間に配置され、外側チャンバー92と内側チャンバー94の一部を画成する。中央ガラス板65は外側ガラス板60と内側ガラス板70とからそれぞれ0.5インチ離れていて、1/8インチ厚の被覆されていない焼入れされたガラス板である。
【0035】
内側ガラス板70は冷凍庫又は冷蔵庫室9の内部に隣接し、その内面71は冷凍庫室9の内部に接している。内側ガラス板70の外面72は、内側チャンバー94に接しこれの一部を画成している。内側ガラス板70の外面72も低放射率被膜73で被覆されている。本実施形態では、内側ガラス板70の外面72の被膜73は、外側ガラス板60の内面62の低放射率被膜63について説明したのと同じものである。好適な実施形態では、内面71には曇り防止又は霜防止被膜又は薄膜75が被覆される。この被膜75は、当該ユニットの稼働中、クリアリング時間をかなり、好ましくはほぼゼロに削減する(即ち、目で見える曇りが発生しない)。
【0036】
好ましい曇り防止被膜又は薄膜は、Film Specialties社製のVistex(登録商標)及びVisgard(登録商標)曇り防止薄膜として当分野で知られているものを含む。これらの薄膜は、設置用に裏側に光学的粘着剤を備える。例えば、Vistexは、裏側に光学的透明粘着剤を有する透明ポリエステル薄膜上に硬化したポリマーを備える。Vistex及びVisgard(登録商標)はプラスチック薄膜又は液体の形態で購入することができる。これらの薄膜は、全ての温度湿度条件において曇りを排除する。また、冷蔵庫又は冷凍庫ドアが通常より長い時間、例えば商品の補充中、開けられた場合でも、曇り及び凝結を防ぐ。曇り防止特性は短い時間水に浸すか又は繰返し洗浄しても失われない。また、凝結を吸収することで機能する製品のように、非常に湿度の高い条件において被膜が飽和したり、機能しなくなることがない。本発明で使用される好適な曇り防止薄膜は親水性で、水分は曇りとなり視界を不明瞭にする水滴を形成するのでなく、膜面上に広がり目立たない。また、好適な薄膜は傷に対する耐性があり、アクリル粘着剤を裏面に備える。この粘着剤は日照調整膜で通常使用されるタイプであり、当該薄膜を任意の平面又は円筒状面に付着させることができる。粘着剤は感圧性であるか又は粘着性が弱まる感圧性であり、両方とも光学的に透明である。様々な膜厚を使用することができ、当業者は必要用途に適した厚みを容易に決定することが出来るであろう。前述の被膜又は薄膜は約4ミル(0.004インチ)の厚みを持つ。この薄膜はスキージ(squeegee)を用いてガラス面上に設置することが出来る。他の実施形態の好適な被膜/薄膜厚は約4ミクロンから約20ミクロンの範囲である。約4ミクロン厚の被膜/薄膜は鏡に適している。最良の霜防止性能のためには、約10〜約20ミクロン厚の被膜/薄膜が好ましい。より好ましくは12〜15ミクロンである。
【0037】
好適な被膜/薄膜は親水性ポリマー技術に基づく永久曇り防止又は霜防止薄膜である。曇り防止/霜防止被膜は水の表面張力を低減し凝縮水を広がらせ、全ての温度湿度条件において曇りを排除することで機能する。好ましい被膜は、未処理のプラスチックの大多数よりもずっと多量の乱暴な扱いを許容する。曇り防止薄膜に生じるわずかな表面傷は、湿気に曝されることで自然に直る。また、好適な被膜はより高い耐化学薬品性を示し、イソプロピルアルコール、トルエン、又はアセトン等の溶媒に耐え、そのため溶媒から基板を保護する。通常のガラスクリーナーを必要な時、使用することが出来る。
【0038】
好適な薄膜/被膜は水に溶けない。当分野で既知の他の曇り防止被膜と違って、濡れた時、しみが付いたり溶解したりすることがない。好適な薄膜/被膜は、制御された条件において硬化させることで、滴る、流れる、ほこりが付着する、化学的ひび割れができる等の被膜に共通の問題を排除する。また、薄膜を被覆することで耐傷性と耐破砕性をガラスに与える。粘着剤はガラス又は任意のプラスチック、或いは耐傷性処理がされた硬い表面にさえ付着する。
【0039】
本発明の実施形態において使用するのに適切な幾つかの既知の曇り防止及び霜防止薄膜/被膜の場合、曇り防止/霜防止薄膜の被覆に先立って硬化下塗り剤がガラスに塗布される。上述のように周知であり、Film Specialties社より入手できる典型的な被膜、Visgard(登録商標)は化学物質パートAとパートBとの100:40の混合比を含む。Visgard(登録商標)のパートA成分はジアセトンアルコール(46%)、N‐メチルピロリドン(4%)、t‐ブタノール(4%)、シクロヘキサン(8%)、2,4‐ペンタンジオン(6%)、及び芳香族150(2%)を含む。Visgard(登録商標)のパートB成分はポリイソシアナート(66%)、遊離モノマーイソシアナート(1%)、キシレン(11%)、酢酸n‐ブチル(11%)、及びトルエン(11%)を含む。上述のように、Visgard(登録商標)のパートA成分及びパートB成分は容易に入手できる。また、既存の薄膜は、通常、混合物を希釈するために追加の量のジアセトンアルコール及び第三ブチルアルコール等の追加の溶媒を含む。また、既存の薄膜を作るプロセスは、しばしば2つの別の被覆ステップと2つの硬化サイクルを含む。硬化時間、温度、及び方法は曇り防止特性及び霜防止特性に大きな影響を持つ場合がある。例えば、過硬化はこれらの特性を大きく減らす。強制対流は最も遅い方法であり、被膜の薄い皮を過硬化させ、曇り防止特性及び/又は霜防止特性を減らす結果によりなり易い。放射エネルギーは過硬化を避ける迅速で効果的な方法である。
【0040】
幾つかの適切な被膜/薄膜及びその態様が米国特許第4,467,073号、第5,262,475号、及び第5,877,254号、及び米国特許出願第US2003/0205059A1号公報、第US2005/0064101号公報、第US2005/0064173号公報、及び第US2005/0100730号公報に記載されている。これらの全てを本明細書に援用する。これら及び他の特許及び特許出願及び本明細書の説明は、本発明を実施するに十分な手引きを当業者に提供する。
【0041】
また、本発明は上述及び他の既知の被膜/薄膜に比べて改善された特性を示す新しい曇り防止及び霜防止被膜/薄膜を提供する。更に本発明はその改善された被膜/薄膜を製造し被覆する新しいプロセスを提供する。驚くことに、例えば、Visgard(登録商標)に関して上述した化学物質パートAとパートBが、約100単位のパートA対約25〜45単位のパートBの混合比で混合された混合物は、既存の薄膜に比べて改善された曇り防止及び霜防止特性を示すことが分かった。パートB成分(硬化剤として働く)の量を上記範囲内で減らすと耐傷性を維持したまま霜防止特性が改善される。良好な曇り防止特性は、より高いパートB成分の割合によって実現される。好適な実施形態では、その混合比は約100単位のパートA対約30〜33単位のパートBである。特に好適な実施形態では、その混合比は約100単位のパートA対約30単位のパートBである。
【0042】
また、驚くことに、追加のジアセトンアルコール及び第三ブチルアルコール等の追加の溶媒の使用を止める(特に追加のジアセトンアルコールを止める)と曇り防止及び/又は霜防止性能が向上することが分かった。これらの溶媒の使用を止めると特に霜防止性能が向上する。しかし、少なくとも1つの溶媒、第三ブチルアルコールを追加することは霜防止性能を妨げないことが分かった。また、本発明の実施形態では、既存の薄膜に通常含まれる硬化下塗り剤を止め、シランでガラス基板を前処理し、曇り防止/霜防止混合物に異なるシランを追加する。例えば、シラン前処理は、極限の化学条件又は長期間湿気浸漬においてポリマー被膜の基板への付着を助ける。好適な実施形態では、混合物に追加されたシランは3‐グリシドキシプロピル・トリメトキシシラン(「3‐G」)である。このシランを含むことは、驚くことに耐擦傷性を増加させ、粘着性と耐候性を増加させることが分かった。また、3‐グリシドキシプロピル・トリメトキシシランは他のシランにように薄膜の黄色みを助長することがない。好適な実施形態では、3‐グリシドキシプロピル・トリメトキシシランの濃度は約1%〜約8%であり、最も好ましくは約6%である。
【0043】
(3‐グリシドキシプロピル)トリメトキシシランは耐湿気性の点で利点がある。曇り防止又は霜防止被膜は、高紫外線を伴う華氏140度の雨である「P‐1箱」内でテストされる。3‐Gがなければ、P‐1箱内で被膜に2、3日で剥離が発生する。一方、3‐Gを含んでいると、被膜は8週間を超えて持ち、剥離しない。これは3‐Gを含まない被膜に比べて30倍の改善である。使用する3‐Gの好適な量を計算するために、化学物質パートAとパートBの体積の和に6%を掛ける。
【0044】
機能的なシランの追加は、プラスチック用の曇り防止/霜防止被膜物質をガラス基板上で使用することを可能にする。これはまた、当業者が十分な耐化学薬品性と耐湿気性を持った製品を投入するのに成功していない重要な理由の1つである。他のシラン添加剤も同様の効果がある。また、他の適切な添加剤及び下塗り剤はウレタンのガラス等の無機化合物への付着を助ける。これらの物質は、これに限定されないが、ガラスへの親和性のあるポリマーを含む。
【0045】
本発明は上記薄膜を製造し被覆する新しいプロセスも提供する。1つの態様において、本発明は、複数の被覆ステップを1つの被覆ステップと1つの硬化サイクルに削減できる方法を提供する。このことの利点の1つは、悪い効果のある過硬化する機会を削減することである。また、本発明の実施形態では被膜/薄膜をカーテン被覆機で被覆する。半乱流及び乱流領域を避けるためにカーテンにおいて過度に高いレイノルズ数とならないように調整を行う。例えば、標準堰型カーテン被覆機は所望の層流を提供するよう変更が可能である。この変更は半乱流領域を避けるために堰リップのサイズを制限することを含んでよい。
【0046】
別の実施形態では、基板、好ましくはガラス基板は、湿潤性と粘着性を助長するためにシラン(好ましくはシルクエストA‐1106アミノ・アルキル・シリコーン)で前処理される。ガラス洗浄のリンス水に約1%以下のシランを混合することで特別なシランを適用する。このようなプロセスは、従来のプロセスにおいて必要な追加のステップの幾つかを取除く。粘着性及び化学的な耐剥離性の増強におけるアミノ・アルキル・シリコーン洗浄の効果は大きい。アミノ・アルキル・シリコーンによる前洗浄がなければ、被膜はアセトンに約2分浸漬することで剥離できる。アミノ・アルキル・シリコーンでガラスを前洗浄することは、アセトン試験で3週間を超える間、剥離を防ぐことが分かった。これは15,000倍の改善である。本発明の好適な実施形態では、約75ガロンの洗浄水に約3オンス(又は類似の比率)のアミノ・アルキル・シリコーンを添加したものを使用してこの効果を達成した。従って、曇り防止及び霜防止被膜/薄膜は既知であり、本発明の他の態様と組合せて使用することができるが、本発明はまた、従来の被膜/薄膜に比べて改善された特性を持った新しい曇り防止及び霜防止被膜/薄膜と、これらを製造し被覆する新しいプロセスとを提供する。幾つかの実施形態では、本発明は上記の化学物質パートAとパートBの比率を変えた混合物からなり通常使用される溶媒を含まない曇り防止及び霜防止被膜/薄膜を提供する。また、本発明の実施形態において、薄膜の特性は、硬化サイクルの変更によって増強することができる。基板は湿潤性と粘着性を助長するために前処理される。
【0047】
一つの態様では、本発明は乾燥又は硬化後、曇り防止及び霜防止特性を持つポリマー組成を提供する。好適な実施形態では、その組成は、化学物質パートAとパートBが約100対30の化学混合比であり、溶媒、希釈剤、又はガラス基板に塗布される硬化下塗り剤を含まない。別の実施形態では、混合物はシラン、好ましくは3‐グリシドキシプロピル・トリメトキシシランを含む。好適な組成は、耐傷性、粘着性と耐候性を増加させる。
【0048】
別の態様では、本発明は、曇り防止/霜防止被膜が少なくとも一部に被覆されたほぼ透明な基板を備える冷蔵庫用ドアを提供する。基板の被覆された部分は、始めある表面温度であって次にその表面温度以上の露点を持つ湿気の多い周囲空気にある時間曝された時、ほとんど曇たり霜ができたりしない。その表面温度は約0℃より低くてよい。また、その時間は6秒以上までであってよい。
【0049】
本発明はほぼ透明な基板を備える冷蔵庫用ドアを製造する方法も提供する。その方法は、冷蔵庫用ドアの一部であるか又は冷蔵庫用ドアを製造するのに使用される基板の少なくとも一部の上に上記曇り防止/霜防止被膜を形成することを含む。一つの実施形態では、その方法は、化学物質パートAとパートBを混合して混合物を作ることと、基板の少なくとも一部に該混合物を塗布することと、該基板上の該混合物を硬化させることとを含む。本発明は更に、曇り防止/霜防止被膜が少なくとも一部に被覆された基板を備えるIGUと、このIGUを備える冷蔵庫用ドアと、この冷蔵庫用ドアを備える冷蔵システムとを提供する。また、更に別の実施形態では、本発明は、被膜が少なくとも一部に被覆されたほぼ透明な基板を備える冷蔵庫用ドアを提供する。その被膜は約−28℃に維持された該一部が約25℃の大気に12秒以上までの間曝された時、凝結を防ぐ。水滴の形成を防ぐことは、光を散乱する曇り又は霜の形成を防ぐことになる。
【0050】
図3の実施形態において、内側ガラス板70は、これに限定されないが、例えば米国AFG Industries社製の1/8インチ厚のComfort Ti-PSガラス板であってもよい。これは上述した特性及び被膜を有している。
【0051】
この例示の実施形態では、チャンバー92、94は両方空気が充填されている。別の実施形態では、各チャンバーは、同じか又は異なるガスが充填されてもよく、クリプトン、アルゴン、又は他の適当なガスが充填されてよい。
【0052】
ガラス板60、65は、第1封止材アセンブリ90によって隔てられている。アセンブリ90はガラス板60、65の周縁を周りこれらのガラス板を互いに平行に隔て、ガラス板60、65の間にチャンバー92を形成するとともに、このチャンバー92を外部環境から封止する。同様に、ガラス板65、70は、第2封止材アセンブリ95によって隔てられている。アセンブリ95はガラス板65、70の周縁を周りこれらのガラス板を互いに平行に隔て、ガラス板65、70の間にチャンバー94を形成するとともに、このチャンバー94を外部環境から封止する。封止材アセンブリ90、95は外側ガラス板60と中央ガラス板65の間と内側ガラス板70と中央ガラス板65の間とをそれぞれ0.5インチ間隔に保つ。
【0053】
本実施形態の封止材アセンブリ90、95はウォームエッジシール(warm edge seal)であることが好ましい。「ウォームエッジ」は従来のアルミニウムスペーサーと封止材との組合せよりも熱損失の少ない断熱ガラス封止アセンブリを表現するのに使用される。本実施形態の封止材アセンブリ90、95はそれぞれ自身のスペーサーと乾燥剤とを備え、個別の封止材、金属スペーサー、及び乾燥剤を必要としない。その熱伝達率(K値と呼ばれる)は0.84Btu/hr・ft・Fである。本実施形態の封止材アセンブリ90、95はポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である。この種の適切な封止材アセンブリは、「Comfort Seal」の名称で米国オハイオ州ビーチウッド市にあるTruSeal Technologies社によって製造販売されている。
【0054】
図3を参照すると、IGU50が示されている。IGU50は封止材アセンブリ90、95によって一体化されたガラス板60、65、70を備える。当業者に周知のいずれかの適切な方法でIGU50は枠55に収容される。枠55は押し出し成形されたプラスチック又は他の適切な周知の枠材、例えば押し出し成形されたアルミニウム、ガラス繊維、又は他の材料から作られている。別の実施形態において、枠55がアルミニウム又は他の材料でできている場合、そのドアは縁の周りの凝結を抑えるために縁に沿って加熱する必要がある場合がある。
【0055】
図1を参照すると、冷蔵システム5が示されている。ドア枠55は、単一ドア長ヒンジ、多数のヒンジ、又はドアをスライド開閉するためのスロット等の当分野で周知のいずれかの方法で冷凍室8に結合されている。また、枠55はドアハンドル11又は本用途において適切な他の動かす手段を備えていてもよい。ドア10を含む冷蔵システム5は、特許文献2に開示されたシステム等の、冷凍室を冷却するためのいずれのシステムであってもよい。
【0056】
上記の好適な実施形態は、0.16BTU/hr・ft2・FのU値(及び0.0025の放射率)を有する冷蔵庫用ドアを提供する。この値は前記の米国業界性能規格に適合することを要求する冷凍庫ドア用途に適切であることが分かった。0.16BTU/hr・ft2・FのU値は、冷蔵庫用ドアがこの性能規格を容易に満たすのを可能にするとともに、適当な時間内にドアの内面に形成された凝結を蒸発させるよう周囲外部環境からドアを通って十分な熱が伝導されることができる。また、本実施形態は66%の可視光透過率を提供する。上記の曇り防止/霜防止被膜/薄膜を備える本実施形態では、ガラス上に曇り又は霜の形成が見られない。
【0057】
Comfort Ti-PSガラスの代わりに、他の低E被覆ガラス、例えば米国AFG Industries社より入手可能なComfort Ti-R、Comfort Ti-AC、Comfort Ti-RTC、及びComfort Ti-ACTCを使用してもよい。これらはComfort Ti-PSと同様、二酸化チタン/銀をベースとする低E被覆ガラスであり、米国AFG Industries社によって製造される。他の適切なガラスは、Comfort E2である。これは熱分解プロセスで被覆され、フッ素が添加された酸化スズ低E被覆ガラス(1/8インチ厚)であり、米国AFG Industries社によって製造される。Comfort E2は、放射率がより高いのでより緩い性能規格に適切である。本明細書における低Eガラスは、上記の特定の名称の製品に限定されず、スパッター被覆又は熱分解被覆された上記及び他の低Eガラスを含む任意の適切な低Eガラスであってよい。
【0058】
冷蔵庫用ドア10のU値は、ガラス板の数、ガラス板の厚み、IGUの放射率、ガラス板の間隔、及びチャンバー内のガスを含む幾つかの設計要素によって決定される。本好適な実施形態の3枚ガラス冷蔵庫用ドア10においては、0.16BTU/hr・ft2・FのU値が、チャンバー内のガスとして空気を使用し、全てのガラス板の厚みを1/8インチ、間隔を0.5インチ、IGU放射率を0.0025とすることで達成されている。しかし、これらの要素のそれぞれは、変更可能でU値が同じになる多数の値の組合せが可能である。また、他の用途は、環境、コスト制約、他の要件/考慮に依ってより小さな又は大きなU値を必要としてもよい。
【0059】
複数のコンピュータシミュレーションを実行し、冷蔵庫用ドア10で使用するための多数のIGUのU値を、組合せた様々な設計パラメータのそれぞれのある範囲の値に対して決定した。下記の表は、複数の3枚ガラスIGU構成の設計パラメータと対応するU計算値とを含む。表1に示した設計パラメータに加えて、3枚ガラスIGUのU値は全て、各ガラスは1/8インチ厚であり3枚のガラスの合計2面が低E被覆されているとして計算した。ガラスの焼入れは性能計算値に大きな影響はない。また、本発明の曇り防止/霜防止被膜又は薄膜を追加することはこれらの値に大きな影響はない。
【0060】

【0061】
本明細書の各表において、「Ti-PS」はAFG Industries社の上記Comfort Ti-PSガラスの低E被膜を指し、「CE2」はAFG Industries社の上記Comfort E2ガラスの低E被膜を指す。また、コンピュータシミュレーションは封止材アセンブリを考慮する能力がないので、各表のU値はガラスの中央の値として計算されている。従って、表内には封止材アセンブリのデータ又は設計基準値は記載されていない。
【0062】
図4に示す本発明の2枚ガラスの実施形態では、IGU50は、外側ガラス板60と、内側ガラス板70と、枠55と、封止材アセンブリ90とを備える。この2枚ガラスの実施形態では、外側ガラス板60と内側ガラス板70は両方とも1/8インチ厚であり、第1の実施形態と同じ二酸化チタンをベースとする銀でできた低E被膜を備えている。外側ガラス板60と内側ガラス板70は両方とも、例えばAFG Industries社製の1/8インチ厚のComfort Ti-PSガラスであってもよい。ガラス板60、70の被覆された面は、曝されていない側の面62、72であり、チャンバー92を画定する。また、前述と同じ封止材アセンブリ90(Comfort Seal)を外側ガラス板60と内側ガラス板70の間に0.5インチの空間を作るために使用してよい。曇り防止/霜防止被膜又は薄膜75は内側ガラス板70の曝された面71上に被覆されている。
【0063】
下の表2は、複数の2枚ガラスIGUの設計パラメータと対応するU計算値とを含む。下の表に示した設計パラメータに加えて、2枚ガラスIGUの計算値は全て、各ガラスは1/8インチ厚であり2枚のガラスの合計2面が低E被覆されているとして計算した。ガラスの焼入れは性能計算値に大きな影響はない。また、上述の曇り防止/霜防止被膜又は薄膜を追加することもこれらの値に大きな影響はない。
【0064】

【0065】
別の実施形態では、化学蒸着法(CVD)とも呼ばれる熱分解被覆(例えば、Comfort E2におけるように)、スプレー、及びスパッター被覆(例えば、Comfort Ti-PSにおけるように)を含む任意の適切な種類の低E被膜被覆プロセスが使用されてよい。また、これらのプロセスは、製造の量と種類にとって適切な周知のオフライン又はオンライン製造方法を用いて適用されてもよい。同様に、銀をベースとする被膜又はフッ素が添加された酸化スズ被膜を含む任意の適切な低E被膜を使用してもよい。
【0066】
上記実施形態は、2枚のガラス板の曝されていない面上に低E被膜を備えているが、他の実施形態は、1枚だけのガラス板のどちらかの面又は両方の面上に低E被膜を備えてもよい。同様に、他の3枚ガラスの実施形態では、内側ガラス板70上と外側ガラス板60上の被膜に代えて又は追加して、中央のガラス板がどちらかの面又は両方の面上に低E被膜を備えてもよい。
【0067】
更に別の3枚ガラスの実施形態では、内側ガラス板70はどちらの面にも低E被膜を備えていない。同様に、別の2枚ガラスの実施形態では、低E被膜は1枚のガラス板だけに存在するか又は両方のガラス板の両面に存在する。一般に、低E被膜を備えるガラス板の数及び低E被膜を有するのは片面か両面かは設計において選択される。他の要素とともにドアのU値を決定するIGUの全放射率は、断熱性能において、どのガラス板のどの面が被覆されるかより重要である。また、上記実施形態は冷蔵庫用ドア用途に対して0.04以下の放射率を有しているが、高性能ガス(クリプトン等)の使用は、ある環境において0.04より僅かに大きな放射率のIGUが必要な凝結抑制を提供することを可能にする。
【0068】
他の実施形態では、例えば、米国EdgeTech社製のSuper Spacer(熱伝達率は約1.51Btu/hr・ft・F)等の発泡非金属アセンブリを含む他の封止材アセンブリを使用してもよい。他の適切な封止材アセンブリはLenhardt Maschinenbau社製のThermoPlastic Spacersystem(TPS)(熱伝達率は約1.73Btu/hr・ft・F)である。
【0069】
上記実施形態における間隔は0.5インチである。しかし、好適な間隔は5/16インチ〜0.5インチの範囲であるが、本発明の他の実施形態では、3/4インチまでの間隔を使用してもよい。また、上記実施形態は中央ガラス板を除いて焼入れされた1/8インチ厚のガラスを使用するが、他の実施形態は、焼入れされていない1/8インチを超える又は未満の厚さのガラスを使用してもよい。
【0070】
本発明の実施形態の設計パラメータは、その使用用途によって部分的に決定される。より具体的には、外部周囲温度、内部温度、外部周囲湿度(及び関連する露点)が必要な設計U値を決めるのに重要な要素である。このU値が次に設計パラメータ(ガラスの種類、放射率、ガラス板の数、ガス等)を決定する。
【0071】
下の表3の左の5列は様々な使用用途に対するU計算値のリストを提供し、外部周囲温度、内部温度、外部湿度、及び各U値に対応する計算された露点を示す。また、表3の右の3列は当該必要なU値を提供する実施形態を示す。
【0072】

【0073】
表3の設計パラメータは、1/8インチ厚のガラスの種類と、ガラス板の間隔と、チャンバー内のガスとである。また、表3の全てのIGUは、第3の被覆されていないガラス板を含む。このガラス板は1/8インチ厚で表3の2枚のガラス板の間に配置されている。表3の「CE1」はAFG Industries社のComfort E1ガラス(放射率は0.35)を指す。
【0074】
1つの態様では、本発明は冷凍室に使用するのに適合した冷蔵庫用ドアを提供する。その冷蔵庫用ドアは、第1面(冷凍室内部に隣接している)と第2面とを有する内側ガラス板と、第1面(冷凍室外部環境に隣接している)と第2面とを有する外側ガラス板と、該内側ガラス板と該外側ガラス板との間に配置された中央ガラス板と、該内側ガラス板の周縁と該中央ガラス板の周縁とを周るよう配置され両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリと、該中央ガラス板の周縁と該外側ガラス板の周縁とを周るよう配置され両ガラス板を隔てる第2封止材アセンブリと、該内側ガラス板の第2面に隣接した第1低放射率被膜と、該外側ガラス板の第2面に隣接した第2低放射率被膜とを備え、該内側ガラス板、外側ガラス板、中央ガラス板、第1封止材アセンブリ、第2封止材アセンブリ、及び該第1及び第2低放射率被膜は、加熱するための電気が印加されることなく該外側ガラス板の第1面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐU値と、該内側ガラス板の1つの面上に曇り防止/霜防止被膜と、周縁の周りに固定された枠とを有する断熱ガラスユニットを構成する。この断熱ガラスユニットは約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値を有することが可能である。
【0075】
また、本発明は冷凍室に使用するのに適合した別の冷蔵庫用ドアを提供する。その冷蔵庫用ドアは、第1面(冷凍室内部に隣接している)と第2面とを有する内側ガラス板と、第1面(冷凍室外部環境に隣接している)と第2面とを有する外側ガラス板と、該内側ガラス板と該外側ガラス板との間に配置された中央ガラス板と、該内側ガラス板の周縁と該中央ガラス板の周縁とを周るよう配置され両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリと、該中央ガラス板の周縁と該外側ガラス板の周縁とを周るよう配置され両ガラス板を隔てる第2封止材アセンブリと、該内側ガラス板の第2面に隣接した第1低放射率被膜と、該外側ガラス板の第2面に隣接した第2低放射率被膜とを備え、該内側ガラス板、外側ガラス板、中央ガラス板、第1封止材アセンブリ、第2封止材アセンブリ、及び該第1及び第2低放射率被膜は、加熱するための電気が印加されることなく該外側ガラス板の第1面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐ0.04以下の放射率と、該内側ガラス板の1つの面上に曇り防止/霜防止被膜と、周縁の周りに固定された枠とを有する断熱ガラスユニットを構成する。
【0076】
本発明の実施形態では、冷凍室の内部温度は約華氏−20度以下であり、外部環境の温度は約華氏70度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である。外側ガラス板の第1面はほぼ凝結がなく、内側ガラス板上に曇り又は霜は形成されない。
別の実施形態では、冷凍室の内部温度は約華氏0度以下であり、外部環境の温度は約華氏72度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である。外側ガラス板の第1面はほぼ凝結がなく、内側ガラス板上に曇り又は霜は形成されない。
【0077】
更に、本発明は冷凍室に使用するのに適合し外面を有する冷蔵庫用ドア(とIGUとこれらを備える冷蔵システム)を提供する。その冷蔵庫用ドアは、第1のガラス板と、第2のガラス板と、該第1と第2のガラス板の周縁を周るよう配置され両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリと、該第1又は第2のガラス板の面に隣接した第1低放射率被膜とを備え、該第1と第2のガラス板、第1封止材アセンブリ、及び該第1低放射率被膜は、約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値と、それらのガラス板の1つの面上に曇り防止/霜防止被膜と、周縁の周りに固定された枠とを有する断熱ガラスユニットを構成する。
【0078】
更に、本発明は冷凍室に使用するのに適合し外面を有する冷蔵庫用ドア(とIGUとこれらを備える冷蔵システム)を提供する。その冷蔵庫用ドアは、第1のガラス板と、第2のガラス板と、該第1と第2のガラス板の周縁を周るよう配置され両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリと、該第1又は第2のガラス板の1つの面に隣接した第1低放射率被膜とを備え、該第1と第2のガラス板、第1封止材アセンブリ、及び該第1低放射率被膜は、0.04以下の放射率と、それらのガラス板の1つの面上に曇り防止/霜防止被膜と、周縁の周りに固定された枠とを有する断熱ガラスユニットを構成する。
【0079】
また、本発明は外面を有する冷蔵庫用ドアを製造する方法を提供する。その方法は、第1のガラス板を提供することと、第2のガラス板を提供することと、該第1又は第2のガラス板の1つの面上に第1低放射率被膜を提供することと、該第1と第2のガラス板の周縁を周り両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリを配置することと、それらのガラス板の1つに曇り防止/霜防止被膜を提供することとを備え、該第1と第2のガラス板、及び第1封止材アセンブリは、加熱するための電気が印加されることなく該冷蔵庫用ドアの外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぎ、冷蔵庫用ドアの面上に曇り又は霜が形成されるのをほぼ防ぐU値を有する断熱ガラスユニットを構成する。この断熱ガラスユニットは約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値を有することが可能である。別の実施形態では、その方法は、少なくとも1つの面に低E被膜を備える第3のガラス板を提供することと、該第2と第3のガラス板の周縁を周り両ガラス板を隔てる第2封止材アセンブリを配置することとを備え、断熱ガラスユニットは該第3のガラス板と該第2封止材アセンブリとを更に備える。
【0080】
また、本発明は外面を有する冷蔵庫用ドアを製造する方法を提供する。その方法は、第1のガラス板を提供することと、第2のガラス板を提供することと、該第1又は第2のガラス板の1つの面上に第1低放射率被膜を提供することと、該第1と第2のガラス板の周縁を周り両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリを配置することと、それらのガラス板の1つに曇り防止/霜防止被膜を提供することとを備え、該第1と第2のガラス板、及び第1封止材アセンブリは、加熱するための電気が印加されることなく該冷蔵庫用ドアの外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぎ、冷蔵庫用ドアの面上に曇り又は霜が形成されるのをほぼ防ぐ0.04以下の放射率を有する断熱ガラスユニットを構成する。別の実施形態では、その方法は、少なくとも1つの面に低E被膜を備える第3のガラス板を提供することと、該第2と第3のガラス板の周縁を周り両ガラス板を隔てる第2封止材アセンブリを配置することとを備え、断熱ガラスユニットは該第3のガラス板と該第2封止材アセンブリとを更に備える。
【0081】
更に、本発明は外部環境に置かれ内部収納スペースを有する冷凍室に使用するための外面を有するほぼ透明な断熱ガラスユニットドアを提供する。その断熱ガラスユニットドアは、第1のガラス板と、第2のガラス板と、該第1と第2のガラス板の周縁を周るよう配置され両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリと、該第1又は第2のガラス板の面に隣接した第1低放射率被膜と、1つのガラス板の1つの面上に曇り防止/霜防止被膜とを備え、該第1と第2のガラス板、及び第1封止材アセンブリは、冷凍室の内部温度は約華氏0度以下であり、外部環境の温度は約華氏70度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である時、加熱するための電気が印加されることなく前記外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐU値を有する断熱ガラスユニットを構成する。別の実施形態は、更に第3のガラス板と、該第2と第3のガラス板の周縁を周るよう配置され両ガラス板を隔てる第2封止材アセンブリとを備え、該第1、第2、又は、第3のガラス板の1つの面に隣接した第2低放射率被膜を備えてもよい。
【0082】
他の実施形態では、断熱ガラスユニットは、冷凍室の内部温度は約華氏−40度以下であり、外部環境の温度は約華氏80度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である時、その外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐU値を有する。
【0083】
更に、本発明は収納スペースを画成する断熱囲いと、冷却システムと、該収納スペースの開口に装着されるのに適合したドアとを備えた冷凍ユニットを提供する。該ドアは外面を有し、第1のガラス板と、第2のガラス板と、該第1と第2のガラス板の周縁を周るよう配置され両ガラス板を隔てる第1封止材アセンブリと、該第1又は第2のガラス板の面に隣接した第1低放射率被膜とを備え、該第1と第2のガラス板、第1封止材アセンブリ、及び第1低放射率被膜は、加熱するための電気が印加されることなく前記外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐU値と、1つのガラス板の1つの面上に曇り防止被膜と、周縁の周りに固定された枠とを有する断熱ガラスユニットを構成する。この断熱ガラスユニットは約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値を有することが可能である。別の実施形態は、そのドアは更に第3のガラス板と、該第2と第3のガラス板の周縁を周るよう配置され両ガラス板を隔てる第2封止材アセンブリとを備える。
【0084】
本発明は更に冷却されるディスプレーケース用のガラスドアを提供する。そのドアは、内面と外面とを有する第1ガラス板と、該第1ガラス板の内面上の低放射率被膜と、内面と外面とを有する第2ガラス板と、該第2ガラス板の内面上の低放射率被膜と、該第1と第2ガラス板の間に配置された中央ガラス板と、該第1ガラス板と該中央ガラス板との間の第1スペーサーアセンブリと、該中央ガラス板と該第2ガラス板との間の第2スペーサーアセンブリとを備え、該第1と第2スペーサーアセンブリはウォームエッジ・スペーサーアセンブリであり、そのドアは更に1つのガラス板の1つの面上に曇り防止/霜防止被膜と、少なくとも1つのガラス板の周縁を周りそのガラス板を支持する枠とを備える。1つの実施形態では、該第1と第2ガラス板は同じ幅と高さを有する。
【0085】
以上、本発明の原理、実施形態、及び動作モードを説明した。しかし、上記実施形態は例示であり、本発明は上記特定の実施形態に限定されると理解されるべきではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、これらの実施形態を変更することが可能であることは理解されるべきである。
【0086】
本発明の適用を冷蔵庫又は冷凍庫ドアの用途において説明したが、他の用途は自動販売機、天窓、又は冷凍トラック、自動車ミラー、特に外部ミラー、サウナ、スチームバス、シャワードア、切符売り場窓、バスルーム窓、バスルームミラー、高湿度又は雨に曝される屋外クーラー及び冷凍庫、及び曇り防止又は霜防止被膜/薄膜が必要な他の任意の用途を含む。これらの用途の幾つかにおいては、定期的に開けられ冷たい面をより湿気の多い環境に曝すドアに使用されるのではないので、当該ガラスの第2の又はより冷たい面上の凝結は問題ではない場合がある。そのため、当該ガラスの設計における重要な要素は、コスト(エネルギーコスト、ガラスとその設置のコスト)、可視透過率、耐久性等である。
【0087】
本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、限定のためではないことは理解されるべきである。従って、本発明の範囲は上記例示の実施形態によって限定されるべきではない。
【0088】
明らかに、上記の開示から本発明の変更が多数可能である。従って、本発明は本明細書で具体的に説明した態様とは異なる態様で実施されてもよいことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の1つの実施形態を使用する冷蔵システムを示す図である。
【図2】本発明に係る冷蔵庫用ドアを示す図である。
【図3】本発明に係る冷蔵庫用ドアの部分断面図である。
【図4】本発明に係る冷蔵庫用ドアの部分断面図である。
【符号の説明】
【0090】
10 冷蔵庫用ドア
50 断熱ガラスユニット
55 枠
60 外側ガラス板
61 外面
63、73 低放射率被膜
65 中央ガラス板
70 内側ガラス板
75 曇り防止又は霜防止被膜又は薄膜
90 第1封止材アセンブリ
95 第2封止材アセンブリ
92 外側チャンバー
94 内側チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍室に装着されるのに適合し外面を有する冷蔵庫用ドアであって、
第1のガラス板と、
第2のガラス板と、
該第1と第2のガラス板の周縁を周るよう配置され該第1と第2のガラス板を互いに隔てる第1封止材アセンブリと、
該第1又は第2のガラス板の1つの面に隣接した第1低放射率被膜と、
該第1と第2のガラス板のうち少なくとも1つのガラス板の1つの面に隣接した曇り防止又は霜防止被膜と、
この断熱ガラスユニットの周縁の周りに固定された枠と
を備え、
該曇り防止又は霜防止被膜が着けられた該面は第1のシランで前処理され、該曇り防止又は霜防止被膜は該第1のシランと異なる第2のシランを含む冷蔵庫用ドア。
【請求項2】
前記第1と第2のガラス板、前記第1封止材アセンブリ、及び前記第1低放射率被膜は、約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値又は約0.04以下の放射率を有する断熱ガラスユニットを構成する請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項3】
前記第1のシランはアミノ・アルキル・シリコーンを含む請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項4】
前記第2のシランは3‐グリシドキシプロピル・トリメトキシシランを含む請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項5】
前記曇り防止又は霜防止被膜は薄い膜として付着される請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項6】
前記曇り防止又は霜防止被膜は液体として塗布される請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項7】
前記曇り防止又は霜防止被膜は約4ミクロン〜約20ミクロンの厚みを有する請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項8】
前記曇り防止又は霜防止被膜は約10ミクロン〜約20ミクロンの厚みを有する請求項7に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項9】
前記曇り防止又は霜防止被膜は約12ミクロン〜約15ミクロンの厚みを有する請求項8に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項10】
前記曇り防止又は霜防止被膜は水に不溶解である請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項11】
前記曇り防止又は霜防止被膜は、
約46%のジアセトンアルコール、約4%のN‐メチルピロリドン、約4%のt‐ブタノール、約8%のシクロヘキサン、約6%の2,4‐ペンタンジオン、及び約2%の芳香族150を含む第1成分と、
約66%のポリイソシアナート、約1%の遊離モノマーイソシアナート、約11%のキシレン、約11%の酢酸n‐ブチル、及び約11%のトルエンを含む第2成分との混合物を更に含み、
該第1成分と第2成分との混合比は約100:40である請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項12】
前記曇り防止又は霜防止被膜は、前記混合物を希釈するための溶媒を更に含む請求項11に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項13】
前記溶媒はアルコールである請求項12に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項14】
前記アルコールはジアセトンアルコール又は第三ブチルアルコールである請求項13に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項15】
前記曇り防止又は霜防止被膜は、
約46%のジアセトンアルコール、約4%のN‐メチルピロリドン、約4%のt‐ブタノール、約8%のシクロヘキサン、約6%の2,4‐ペンタンジオン、及び約2%の芳香族150を含む第1成分と、
約66%のポリイソシアナート、約1%の遊離モノマーイソシアナート、約11%のキシレン、約11%の酢酸n‐ブチル、及び約11%のトルエンを含む第2成分との混合物を更に含み、
該第1成分と第2成分との混合比は約100対約25〜45である請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項16】
前記第1成分と第2成分との前記混合比は約100対約30〜33である請求項15に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項17】
前記第1成分と第2成分との前記混合比は約100対約30である請求項16に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項18】
前記第2のシランの濃度は約1%〜約8%である請求項15に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項19】
前記第2のシランの濃度は約6%である請求項15に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項20】
第3のガラス板と、
前記第2のガラス板と該第3のガラス板の周縁を周るよう配置され該第2と第3のガラス板を互いに隔てる第2封止材アセンブリと
を更に備え、
前記断熱ガラスユニットは該第3のガラス板と該第2封止材アセンブリとを更に備える請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項21】
前記第1、第2、又は、第3のガラス板の1つの面に隣接した第2低放射率被膜を更に備える請求項20に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項22】
前記断熱ガラスユニットのU値が、前記冷凍室の内部温度は約華氏0度以下であり、外部環境の温度は約華氏72度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である時、該冷蔵庫用ドアの前記外面を加熱するための電気が印加されることなく該外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐ効果を奏する請求項2に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項23】
前記第1と第2のガラス板、及び前記第1封止材アセンブリによって画定された第1チャンバーと、
該第1チャンバー内に入れられたガスと
を更に備える請求項22に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項24】
前記第1封止材アセンブリは約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項23に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項25】
前記ガスは、アルゴン、クリプトン、及び空気から成るグループから選択される請求項23に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項26】
前記冷凍室の内部温度は約華氏−20度以下であり、外部環境の温度は約華氏70度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上であり、該冷蔵庫用ドアの前記外面はほぼ凝結がない請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項27】
前記冷凍室の内部温度は約華氏−40度以下であり、外部環境の温度は約華氏80度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上であり、該冷蔵庫用ドアの前記外面はほぼ凝結がない請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項28】
前記第1のガラス板は第1面と第2面とを有する内側ガラス板であり、該第1面は前記冷凍室の内部に隣接し、
前記第3のガラス板は第1面と第2面とを有する外側ガラス板であり、該第1面は前記冷凍室の外部環境に隣接し、
前記第2のガラス板は該内側ガラス板と該外側ガラス板との間に配置された中央ガラス板であり、
前記第1封止材アセンブリは、該内側ガラス板の周縁と該中央ガラス板の周縁とを周り該内側ガラス板と該中央ガラス板とを互いに隔てるよう配置され、
前記第2封止材アセンブリは、該中央ガラス板の周縁と該外側ガラス板の周縁とを周り該中央ガラス板と該外側ガラス板とを互いに隔てるよう配置され、
前記第1低放射率被膜は該内側ガラス板の該第2面に隣接し、
前記第2低放射率被膜は該外側ガラス板の該第2面に隣接し、
該内側ガラス板、外側ガラス板、中央ガラス板、第1封止材アセンブリ、第2封止材アセンブリ、及び該第1及び第2低放射率被膜は、該外側ガラス板の該第1面を加熱するための電気が印加されることなく該第1面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐ断熱ガラスユニットを構成する請求項21に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項29】
前記曇り防止又は霜防止被膜は、前記内側ガラス板の第1面に隣接している請求項28に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項30】
前記内側ガラス板、前記中央ガラス板、及び前記第1封止材アセンブリによって画定された第1チャンバーと、
前記中央ガラス板、前記外側ガラス板、及び前記第2封止材アセンブリによって画定された第2チャンバーと、
該第1チャンバーと第2チャンバー内に入れられたガスと
を更に備える請求項28に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項31】
前記内側ガラス板、前記中央ガラス板、及び前記外側ガラス板は約1/8インチの厚みを有し、
該内側ガラス板と該中央ガラス板とは約0.5インチの距離隔てられており、
該中央ガラス板と該外側ガラス板とは約0.5インチの距離隔てられている
請求項30に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項32】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリはそれぞれ約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項30に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項33】
前記内側ガラス板、前記中央ガラス板、及び前記外側ガラス板は約1/8インチの厚みを有し、
該内側ガラス板と該中央ガラス板とは約0.5インチの距離隔てられており、
該中央ガラス板と該外側ガラス板とは約0.5インチの距離隔てられている
請求項32に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項34】
前記第1チャンバーと第2チャンバー内に入れられた前記ガスは互いに同じである請求項30に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項35】
前記第1チャンバーと第2チャンバー内に入れられた前記ガスは互いに異なる請求項30に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項36】
前記第1及び第2低放射率被膜は、二酸化チタンをベースとする銀と、フッ素が添加された酸化スズとから成るグループから選択される請求項30に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項37】
前記第1及び第2低放射率被膜は、スパッター被覆、熱分解被覆、及びスプレー被覆から成るグループから選択されたプロセスにより付着される請求項30に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項38】
前記枠は、押し出し成形されたプラスチック、アルミニウム、及びガラス繊維から成るグループから選択された材料により形成される請求項30に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項39】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリはそれぞれ約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項28に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項40】
外面を有する冷蔵庫用ドアを製造する方法であって、
第1のガラス板を提供するステップと、
第2のガラス板を提供するステップと、
該第1又は第2のガラス板の1つの面に隣接した第1低放射率被膜を提供するステップと、
該第1と第2のガラス板の周縁を周り該第1と第2のガラス板を互いに隔てる第1封止材アセンブリを配置するステップと、
該第1と第2のガラス板のうち少なくとも1つのガラス板の1つの面に隣接した曇り防止又は霜防止被膜を提供するステップと
を備え、
該曇り防止又は霜防止被膜が着けられた該面は第1のシランで前処理され、該曇り防止又は霜防止被膜は該第1のシランと異なる第2のシランを含み、
該第1のガラス板、該第2のガラス板、及び該第1封止材アセンブリは、該冷蔵庫用ドアを加熱するための電気が印加されることなく該冷蔵庫用ドアの該外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐ断熱ガラスユニットを構成する冷蔵庫用ドア製造方法。
【請求項41】
前記第1のガラス板、前記第2のガラス板、及び前記第1封止材アセンブリは第1チャンバーを画定し、
該第1チャンバーにガスを入れるステップを更に備える請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第3のガラス板を提供するステップと、
前記第2のガラス板と該第3のガラス板の周縁を周り該第2と第3のガラス板を互いに隔てる第2封止材アセンブリを配置するステップと
を更に備え、
前記断熱ガラスユニットは該第3のガラス板と該第2封止材アセンブリとを更に備える請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記第3のガラス板は1つの面に隣接した低放射率被膜を備える請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1封止材アセンブリは約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記第1のガラス板と第2のガラス板とは約1/8インチの厚みを有し、
該第1のガラス板と第2のガラス板とは約0.5インチの距離隔てられている
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記断熱ガラスユニットをドア枠に装着するステップを更に備える請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記ガスは、アルゴン、クリプトン、及び空気から成るグループから選択される請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記断熱ガラスユニットは約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値又は約0.04以下の放射率を有する請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記低放射率被膜は、二酸化チタンをベースとする銀と、フッ素が添加された酸化スズとから成るグループから選択される請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記低放射率被膜は、スパッター被覆、熱分解被覆、及びスプレー被覆から成るグループから選択されたプロセスにより付着される請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリは約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項42に記載の方法。
【請求項52】
前記断熱ガラスユニットをドア枠に装着するステップを更に備える請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記第1封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記第1封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記第2封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項42に記載の方法。
【請求項56】
前記第2封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項42に記載の方法。
【請求項57】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリとのうち少なくとも1つはウォームエッジシールである請求項40に記載の方法。
【請求項58】
外部環境に置かれ内部収納スペースを有する冷凍室に使用するための外面を有するほぼ透明な断熱ガラスユニットドアであって、
第1のガラス板と、
第2のガラス板と、
該第1と第2のガラス板の周縁を周るよう配置され該第1と第2のガラス板を互いに隔てる第1封止材アセンブリと、
該第1又は第2のガラス板の1つの面に隣接した第1低放射率被膜と、
該第1と第2のガラス板のうち少なくとも1つのガラス板の1つの面に隣接した曇り防止又は霜防止被膜と
を備え、
該曇り防止又は霜防止被膜が着けられた該面は第1のシランで前処理され、該曇り防止又は霜防止被膜は該第1のシランと異なる第2のシランを含み、
該第1と第2のガラス板、及び該第1封止材アセンブリが、冷凍室の内部温度は約華氏0度以下であり、外部環境の温度は約華氏70度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である時、該断熱ガラスユニットドアの該外面を加熱するための電気が印加されることなく該外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐ効果を奏するU値を有する断熱ガラスユニットを構成する断熱ガラスユニットドア。
【請求項59】
第3のガラス板と、
前記第2のガラス板と該第3のガラス板の周縁を周るよう配置され該第1と第2のガラス板を互いに隔てる第2封止材アセンブリと
を更に備える請求項58に記載のドア。
【請求項60】
前記第1、第2、又は、第3のガラス板の1つの面に隣接した第2低放射率被膜を更に備える請求項59に記載のドア。
【請求項61】
前記断熱ガラスユニットは、前記冷凍室の内部温度は約華氏−40度以下であり、外部環境の温度は約華氏80度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である時、前記外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐU値を有する請求項60に記載のドア。
【請求項62】
前記低放射率被膜によって前記断熱ガラスユニットが約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値を有する請求項60に記載のドア。
【請求項63】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリはそれぞれ約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項59に記載のドア。
【請求項64】
前記断熱ガラスユニットは約0.04以下の放射率を有する請求項58に記載のドア。
【請求項65】
前記冷凍室の内部温度は約華氏−20度以下であり、外部環境の温度は約華氏70度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である請求項58に記載のドア。
【請求項66】
前記冷凍室の内部温度は約華氏−40度以下であり、外部環境の温度は約華氏80度以上であり、外部環境の湿度は約60%以上である請求項58に記載のドア。
【請求項67】
収納スペースを画成する断熱囲いと、冷却システムと、該収納スペースの開口に装着されるのに適合したドアとを備えた冷凍ユニットにおいて、該ドアは外面を有するとともに、
第1のガラス板と、
第2のガラス板と、
該第1と第2のガラス板の周縁を周るよう配置され該第1と第2のガラス板を互いに隔てる第1封止材アセンブリと、
該第1又は第2のガラス板の1つの面に隣接した第1低放射率被膜と
を備え、
該第1と第2のガラス板、該第1封止材アセンブリ、及び該第1低放射率被膜は、該ドアの該外面を加熱するための電気が印加されることなく該外面上に凝結が形成されるのをほぼ防ぐ断熱ガラスユニットを構成し、該ドアは更に、
該第1及び第2のガラス板のうち少なくとも1つのガラス板の1つの面に隣接した曇り防止又は霜防止被膜と、
該断熱ガラスユニットの周縁の周りに固定された枠と
を備え、
該曇り防止又は霜防止被膜が着けられた該面は第1のシランで前処理され、該曇り防止又は霜防止被膜は該第1のシランと異なる第2のシランを含む冷凍ユニット。
【請求項68】
第3のガラス板と、
前記第2のガラス板と該第3のガラス板の周縁を周るよう配置され該第2と第3のガラス板を互いに隔てる第2封止材アセンブリと
を更に備える請求項67に記載の冷凍ユニット。
【請求項69】
前記第1のガラス板、前記第2のガラス板、及び前記第1封止材アセンブリによって画定された第1チャンバーと、
前記中央ガラス板、前記外側ガラス板、及び前記第2封止材アセンブリによって画定された第2チャンバーと、
該第1チャンバーと第2チャンバー内に入れられたガスと
を更に備える請求項67に記載の冷凍ユニット。
【請求項70】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリはそれぞれ約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項68に記載の冷凍ユニット。
【請求項71】
前記ドアは約0.04以下の放射率を有する請求項67に記載の冷凍ユニット。
【請求項72】
前記断熱ガラスユニットは約0.2BTU/hr・ft2・F以下のU値を有する請求項67に記載の冷凍ユニット。
【請求項73】
前記第1封止材アセンブリは約1.73Btu/hr・ft・F以下の熱伝達率を有する請求項67に記載の冷凍ユニット。
【請求項74】
前記第1封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項75】
前記第1封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項1に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項76】
前記第2封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項20に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項77】
前記第2封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項20に記載の冷蔵庫用ドア。
【請求項78】
前記第1封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項58に記載のドア。
【請求項79】
前記第1封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項58に記載のドア。
【請求項80】
前記第2封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項59に記載のドア。
【請求項81】
前記第2封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項59に記載のドア。
【請求項82】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリとのうち少なくとも1つはウォームエッジシールである請求項59に記載のドア。
【請求項83】
前記第1封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項67に記載の冷凍ユニット。
【請求項84】
前記第1封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項67に記載の冷凍ユニット。
【請求項85】
前記第2封止材アセンブリはポリイソブチレン封止材、熱溶解ブチル封止材、乾燥剤マトリックス、詰めゴム、及び防湿層を組合せた複合押し出し成形体である請求項68に記載の冷凍ユニット。
【請求項86】
前記第2封止材アセンブリはComfort Seal封止材アセンブリである請求項68に記載の冷凍ユニット。
【請求項87】
前記第1封止材アセンブリと前記第2封止材アセンブリとのうち少なくとも1つはウォームエッジシールである請求項68に記載の冷凍ユニット。
【請求項88】
約46%のジアセトンアルコール、約4%のN‐メチルピロリドン、約4%のt‐ブタノール、約8%のシクロヘキサン、約6%の2,4‐ペンタンジオン、及び約2%の芳香族150を含む第1成分と、
約66%のポリイソシアナート、約1%の遊離モノマーイソシアナート、約11%のキシレン、約11%の酢酸n‐ブチル、及び約11%のトルエンを含む第2成分との混合物を含み、
該第1成分と第2成分との混合比は約100対約30〜33である曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項89】
前記第1成分と第2成分との前記混合比は約100対約30である請求項88に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項90】
前記混合物はシランを更に含む請求項88に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項91】
前記シランは3‐グリシドキシプロピル・トリメトキシシランを含む請求項90に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項92】
前記シランの濃度は約1%〜約8%である請求項91に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項93】
前記シランの濃度は約6%である請求項92に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項94】
約4ミクロン〜約20ミクロンの厚みを有する請求項88に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項95】
約10ミクロン〜約20ミクロンの厚みを有する請求項94に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項96】
約12ミクロン〜約15ミクロンの厚みを有する請求項95に記載の曇り防止又は霜防止被膜。
【請求項97】
基板の少なくとも一部の上に曇り防止又は霜防止被膜を形成する方法であって、
第1のシランを用いて該基板の少なくとも一部を前処理することと、
約46%のジアセトンアルコール、約4%のN‐メチルピロリドン、約4%のt‐ブタノール、約8%のシクロヘキサン、約6%の2,4‐ペンタンジオン、及び約2%の芳香族150を含む第1成分と、
約66%のポリイソシアナート、約1%の遊離モノマーイソシアナート、約11%のキシレン、約11%の酢酸n‐ブチル、及び約11%のトルエンを含む第2成分との混合比約100対約30〜33の混合物を用意することと、
該混合物を該基板に塗布することと、
該基板上の該混合物を硬化させることと
を含む方法。
【請求項98】
前記混合物は追加の溶媒を含まない請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記第1成分と第2成分との前記混合比は約100対約30である請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記混合物は単一の被覆ステップで塗布される請求項97に記載の方法。
【請求項101】
前記硬化は単一の硬化サイクルにおいて達成される請求項97に記載の方法。
【請求項102】
前記第1のシランと異なる第2のシランを前記混合物に加えることを更に含む請求項97に記載の方法。
【請求項103】
前記第2のシランは3‐グリシドキシプロピル・トリメトキシシランを含む請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記第2のシランの濃度は約1%〜約8%である請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記第2のシランの濃度は約6%である請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記第1のシランはアミノ・アルキル・シリコーンを含む請求項97に記載の方法。
【請求項107】
前記前処理は、約1%以下の前記第1のシランを含むリンス水混合物を用意し、該混合物を前記基板の前記一部に適用することを含む請求項97に記載の方法。
【請求項108】
前記リンス水混合物は約0.031%の前記第1のシランを含む請求項107に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−509121(P2009−509121A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532337(P2008−532337)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/036593
【国際公開番号】WO2007/035801
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507090421)エージーシー フラット グラス ノース アメリカ,インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】AGC FLAT GLASS NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】11175 Cicero Dr.,Suite 400,Alpharetta,GA 30022,U.S.A.