説明

曲がりの発生がないビリヤード用キュー

本発明は曲がりの発生がないビリヤード用キューに関するものであり、例えば楓で作られるビリヤード用キューのように長時間が経ても曲がりなどの変形がなしに真っ直ぐな状態を維持するために、原木(10)から角材(20)を製材して、製材された角材(20)の中央で直角に交差し、末端が角材の縁に接するように十字型断面形状を持つ中心部材(21)のみを残し、周辺部材(22、23、24、25)を角材の長さ方向にカッティングし、この周辺部材(22、23、24、25)を中心部材(21)の年輪と相反する方向に中心部材(21)に再接合したものであり、接合された角材(20')は、元の角材(20)が持っていた変形力、すなわち、年輪の方向性による中心部材(21)の変形力と複数個の周辺部材(22、23、24、25)の変形力が互いに相殺されて変形が発生せず、真っ直ぐな状態を維持することができ、この角材(20')は旋盤加工を経てビリヤード用キューに作られる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は曲がりの発生がないビリヤード用キューに関するものであり、長時間が経過しても曲がりが発生してはいけないビリヤード用キューに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に家具材や建築材などで使っている木材のねじれ、曲がりなどの変形は、木材自体の収縮によるものが大部分であるが、木材の収縮は樹種、樹齢及び伐採時期などによってそれぞれ違って、木材の方向によっても違う。参考として木材の収縮率は一般的に繊維方向、半径方向、年輪(きめ)方向の順序で増加する。
【0003】
また、木材は伐採及び製材後一定の期間中に乾燥させた後、これを加工して物品を製造し、このように木材を乾燥させる理由は、菌による腐食と虫食いを防止し、変形、収縮及び割れ目を防止し、強度および耐久性を向上させ、重量軽減と塗装及び薬剤処理を容易にするためである。
【0004】
一方、本発明と関連する製品であるビリヤード用キューは、伝統的にハードメープル(hard maple)で作られてきており、このような天然木材の代わりに、曲がりなどの変形がないアルミニウムなどの金属材や釣り台などの素材であるFRPや炭素繊維などを使って一部製造しているが、これらは木材に比べて撞き感が顕著に落ちて、撞く時キュー自体にブレが発生し、撞く時の衝撃を吸収できずに、衝撃力がそのまま手に伝達するなどの問題点が発生して高級化及び大衆化に至っていないのである。
【0005】
その例として、実用新案登録第164192号には木材とガラス繊維パイプを使って製造されたビリヤードキュー台が開始されているが、握り部分と撞く部分で形成された木材材質のシャフトとこのシャフト上部に曲がり防止のためのガラス繊維パイプまたは炭素繊維パイプを結合し、その外側にパイプを保護するためのコーティング層を形成したものであり、公開特許第87-4717号は、ガラス繊維パイプを使ってビリヤードキューを製造する方法が開始されており、実用新案公開第86-11554号にはビリヤードキューを形成する時、原木から製造された長方形切り割りを通常のベニヤ合板のように張り合わせて加圧するが、その深部に補強用強化プラスチックを挿入したビリヤード用キューが開始されており、同公開第84-4796号には薄い板材に高温でフェノール樹脂を浸透させ、形成された板材を4〜8枚積層して高温・高圧で積層板を形成して加工した材料を利用して製造したビリヤード用キューが開始されている。
【0006】
一方、木材で作られるビリヤード用キューは、使用時間が経過するによって材質自体の収縮力によって真っ直ぐな状態を維持できずに曲がる現象が発生することで、ビリヤード撞く時、正確な的球を当てたり、思ったとおりに撞く力または回転力を与えられないなどの問題点があった。
【0007】
従来はこのような木材ビリヤード用キューの曲がりの発生を解消するために図6に図示したように三角断面の形態で柾目を製材し、これを放射状で接合させて旋盤加工したビリヤード用キューも開発された事があるが、これはキュー自体に曲がりなどの問題は発生しないが、このキューを使ってビリヤードを撞く時、キュー中心部分が堅くないので撞く力が低下し、撞き感も顕著に低下し、実際に選手はもちろん一般人も使えない現象があったし、キュー中心部分の堅固性が低下してこの部分に雄ねじ部や雌ねじ部(組立式キューの場合)を加工したり、キュー先端にチップを付着させるための部分の加工が難しくて、たとえ加工されたといっても、衝撃によってこの部分が簡単に破損する欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の従来のすべての問題点を解消するために案出してものであり、本発明の目的は、角材が使用時間が経過しても曲がることやねじることが発生しないようにし、元の形態と機能をそのまま維持できるビリヤード用キューを提供することにある。
【0009】
また、本発明は元の木材自体が持っている物理的な特性をほとんどそのまま保存できるビリヤード用キューと、この生産に高い費用がかかったり、高度の熟練された人力が必要ないので、製造コストに対する費用の負担を減らすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を果たすために本発明は、原木から製材された角材を長さ方向に沿って複数個に分割し、曲がり力が互いに相殺し合うように再配置して接合するにあたって、前記角材の中央から直角に交差して末端が角材の縁に接するように十字型断面形状を持つ中心部材のみを残し、周辺部材を分割してこれを前記中心部材の年輪と相反する方向に中心部材に再接合し、再接合された木材を長さ方向に沿って漸次的にテーパされるように円形断面に旋盤加工して、なされた曲がりの発生がないビリヤード用キューを提供する。
【0011】
本発明で前記中心部材の末端は、角材の辺、又は、角に接するように周辺部材をカッティングでき、4個の周辺部材は元の位置、さらに望ましくは、元の位置で対角線に交差するように位置を変えて中心部材の年輪と相反するように接合する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、木材は中心部材と周辺部材が同一素材で出来ていて、異質感がないだけでなく、原木材の物理的な性質をそのまま持っているので、材質自体の特性をそのまま保有でき、中心部材と周辺部材の変形力が互いに相殺しあい、長さ方向に沿って曲がる現象がなくなることにより、ビリヤード用キューや打楽器用スティック、又は各種家具で使われる木材バー(Bar)のように真っ直ぐな状態を維持すると、本来の機能を発揮できる物品の製造に適合する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を限定しない望ましい実施例を添付された図面によって詳しく説明する。
【0014】
図1は本発明による木材の製造工程を図示したものであり、本発明は原木10から角材20を製材する段階(S1);製材された角材20の中央で直角に交差して末端が角材の縁に接するように十字型断面形状を持つ中心部材21のみを残し、周辺部材22、23、24、25を角材20の長さ方向にカッティングする段階(S2);長さ方向にカッティングされた周辺部材22、23、24、25を中心部材21の年輪と相反する方向に中心部材21に接合する段階(S3);を含んで形成され、接合された角材20'は、旋削、研磨及び塗装などの後加工段階(S4)を経て、長さ方向に沿って漸次的にテーパされたビリヤード用キュー20'に仕上げられる。
【0015】
前記段階(S1)で原木から製材された角材20は、年輪が角材の中心から同心円状で等高線にならない、角材のある一方向に広がって行く形態をなしているので、内側の年輪と外側の年輪部分の収縮率の差によって角材20自体及び、この角材20で作られた製品は時間が経過するによって、角材20の長さ方向に沿って曲がったり、ねじるなどの変形が発生することになる。
【0016】
本発明はこのような元の角材20をカッティング段階(S2)から中心部材21と周辺部材22、23、24、25に分割し、この中心部材21と周辺部材22、23、24、25を次の段階(S3)で再接合させるが、中心部材21で分割された周辺部材22、23、24、25の年輪を中心部材21の年輪と反対の方向を持つように再配置することで、元の角材20が持っていた年輪の方向性による角材の変形、すなわち、片方に曲がる現象を解消できるようにする。
【0017】
前記中心部材21の末端21aは、図2に図示したのように角材20'の辺に接するように周辺部材22、23、24、25をカッティングし、この周辺部材22、23、24、25のカッティング手段は図面上では図示されていないが、製材された元の角材20が水平方向に左右及び上下に離隔して設置された4個の回転する円形切断刃と、垂直方向に左右及び上下に離隔して設置された4個の回転する円形切断刃を同時にまたは順に通過することによって、角材20を十字型の 中心部材21と4個の小さい角材形に形成された周辺部材22、23、24、25で分割したり、それぞれの周辺部材22、23、24、25を順にカッティングさせる方式のカッティング手段を使うことができ、周辺部材のカッティング後、元の位置を把握できるように表示することで、後で接合段階(S3)で正確な再配置ができるようにする。
【0018】
本発明で前記4個の周辺部材22、23、24、25は、中心部材21でカッティングされた元の位置、すなわち、元の場所で180゜回転させて付着することもできるが、望ましくは、図2に図示されたように元の位置で対角線に交差するように、すなわち、符号22と24の周辺部材が互いに位置を変えて、符号23と25の周辺部材も互いに位置を変えて中心部材21の年輪と相反するように接合することで、どの方向にも変形力の相殺が起こるようにする。
【0019】
本発明で、前記中心部材21と周辺部材22、23、24、25は、再接合時、年輪の方向だけ異ならせ、周辺部材22、23、24、25の先端と後端は変わらないように接合する。
【0020】
一方、中心部材21と周辺部材22、23、24、25の接合は、公知の木工用接着剤を使って、この接合時クランプなどを使って一定時間の間に加圧することで、中心部材21と周辺部材22、23、24、25の間に隙間ができる分離現象、又は接着不良現象などが発生しないようにする。
【0021】
また、本発明は中心部材21と周辺部材22、23、24、25との再接合時、この間に圧縮加工された色紙を付着することで、加工完了後キューの外側に長さ方向に8個のラインが平行に形成されるようにし、ビリヤード撞く時、このラインを見ながら正確なストロークができるかどうかを確認できると同時にキューの外観向上も図ることも可能であり、前記の色紙はコウゾ(paper mulberry )を原料にする伝統韓紙を使うのが望ましいが、この韓紙はキューの素材と同じ原料にするので異質感がなく、中心部材と周辺部材間の接着剤による再接合時、韓紙の短い繊維質によって接着剤の接合強度を高めてくれる。
【0022】
本発明によって製造された木材、すなわち、再接合された角材20'は、中心部材21と複数個の周辺部材22、23、24、25が元々一つの素材で形成されていて、異質感がないので接合力も優れて、原木材の物理的な性質をそのまま持っていて材質自体の特性をそのまま保有するので、望む物品の製造時、元の木材で作ったものと同じ効果、すなわち、ビリヤード用キューで木材の優れた撞き感と撞く力及び衝撃吸収力などを期待することができ、年輪が反対方向に配置された中心部材21と周辺部材22、23、24、25の変形力は互いに相殺され、長さ方向に沿って曲がる現象がなくなるので、ビリヤード用キューや打楽器用スティックのように本来の機能の発揮のために真っ直ぐな状態を維持しなければならない物品の製造に適当する。
【0023】
図2に図示された本発明の角材20'は、中心部材21に周辺部材22、23、24、25が接合された状態であり、本発明による角材20'は、原木10から製材された角材20と比べると、その変化された状態とこれによる差異点を容易に理解できるところ、一般角材20は、図1のように中心部材21の年輪が右側上方を向いておおよそ同心円状に拡張されている一方、本発明によって再配置及び接合された角材20'は、4個の周辺部材22、23、24、25の年輪が左側下方を向いておおよそ同心円状に拡張されているので、年輪の方向が一方向に指向し、変形力が相殺される。
【0024】
図3は本発明による木材を使って製造されたビリヤード用キュー20'の大略的な斜視図であり、図4は図3のA‐A線断面図として、本発明によるビリヤード用キューは、握りと先端部を分離型で作ったり又は、一体型でも作ることができ、本発明による角材20'は、旋盤加工、研磨及び塗装加工などの後加工段階(S4)を経てビリヤード用キューに製造され、本発明による角材20'は、中心部材21の中心部分は元の角材20が持っている物性そのままを保有しているので、ビリヤード用キューの先端部と後端部及び雄ねじ部や雌ねじ部の加工時にも堅固な中心部を形成できることは勿論、撞き感と衝撃吸収力においても元の木材を円形に旋盤加工して作ったものと変わらない。
【0025】
図5は本発明の他の実施例による木材の断面図として、本実施例では中心部材21の末端21aを角材20の角に接するように周辺部材22、23、24、25をカッティングして年輪を反対方向になるようにして接合したものである。すなわち、本実施例では中心部材21がX字形をなして、周辺部材22、23、24、25は、三角断面形態に分割された差だけあるだけ、中心部材と周辺部材の再接合方法は一番目の実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上説明したように本発明による木材は中心部材と周辺部材が同一素材で形成されていて異質感がないだけでなく、原木材の性質をそのまま持っていて材質自体の特性をそのまま保有することができ、中心部材と周辺部材の変形力が互いに相殺されて長さ方向に沿って曲がる現象が出ないので、ビリヤード用キューや打楽器用スティック、又は、各種木材用バー(Bar)のように真っ直ぐな状態を維持しなければならない物品に製造した場合、長時間が経過しても変形が生じない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるビリヤード用キューの製造工程図。
【図2】本発明による木材の断面図。
【図3】本発明による木材を使って製造されたビリヤード用キューの斜視図。
【図4】図3のA‐A線拡大断面図。
【図5】本発明の他の実施例による木材の断面図。
【図6】柾目を接合した従来ビリヤード用キューの断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原木から製材された角材を長さ方向に沿って複数個に分割し、曲がり力が互いに相殺し合うように再配置して接合し、再接合された木材を長さ方向に沿って漸次的にテーパされるように円形断面に旋盤加工してなされたビリヤード用キューにおいて、前記角材(20)は中央から直角に交差して末端が角材(20)の縁に接するように十字型断面形状を持つ中心部材(21)と、この中心部材(21)で分割された周辺部材(22、23、24、25)に分割され、この周辺部材(22、23、24、25)は、前記中心部材(21)の年輪と相反する方向に前記中心部材(21)に再接合されることを特徴とする曲がりの発生がないビリヤード用キュー。
【請求項2】
請求項1において、前記中心部材(21)の末端は、角材(20)の辺に接するように周辺部材(22、23、24、 25)がカッティングされ、元の位置で対角線に交差するように位置変換され、中心部材(21)に再接合されることを特徴とする曲がりの発生がないビリヤード用キュー。
【請求項3】
請求項1において、前記中心部材(21)の末端は角材(20)の角に接するように周辺部材(22、23、 24、25)がカッティングされ、元の位置で対角線に交差するように位置変換され、中心部材 (21)に再接合されることを特徴とする曲がりの発生がないビリヤード用キュー。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3項のうちのいずれかの項において、前記中心部材(21)と周辺部材(22、23、24、25)との間に色紙が付着することを特徴とするビリヤード用キュー。
【請求項5】
請求項4において、前記色紙はコウゾ(paper mulberry )で作られた韓紙であることを特徴とするビリヤード用キュー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−528020(P2006−528020A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520993(P2006−520993)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001552
【国際公開番号】WO2005/007370
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(505426923)
【Fターム(参考)】