説明

替芯ケース

【課題】蓋体4を回動することにより芯出口を開閉する替芯ケースにおいて、蓋体4を回動する操作によって、芯3を1本のみ排出したり、芯3を複数本同時に排出することを選択できる替芯ケースを提供する。
【解決手段】本体1に取り付けられる蓋固定部材2に、芯3が1本のみ通過可能な小芯出口2Aと芯3を複数本同時に通過可能な大芯出口2Bを形成する。そして、蓋体4を回動することにより蓋体4の芯通路4Eを蓋固定部材2の小芯出口2Aに合致した場合には芯3が1本のみ排出され、また、蓋体4を回動することにより蓋体4の芯通路4Eを蓋固定部材2の大芯出口2Bに合致した場合には、複数本の芯3が排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャープペンシルの芯を収納するための替芯ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蓋体を回動し、蓋体を立てることにより芯出口を開くとともに、蓋体を横に倒すことにより芯出口を閉じる替芯ケースが知られている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特許第3607460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した替芯ケースは、芯を1本のみ排出したり複数本同時に排出するといった選択ができないという欠点があった。
本発明は、上記課題を解消する替芯ケースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、蓋体を回動することにより芯出口を開閉する替芯ケースにおいて、本体の上部に蓋固定部材を取り付け、この蓋固定部材に芯が1本のみ通過可能な小芯出口と芯が複数本同時に通過可能な大芯出口を形成し、蓋体を回動することにより蓋体の芯通路を蓋固定部材の小芯出口に合致した場合には芯が1本のみ排出され、また、蓋体を回動することにより蓋体の芯通路を蓋固定部材の大芯出口に合致した場合には、複数本の芯が排出されることを第1の要旨とする。
【0005】
また、蓋固定部材に非円形の取付穴を形成し、更に、蓋固定部材に前記取付穴を横切る切溝を形成して取付穴が拡開可能に構成するとともに、蓋体の下部を半円形に形成し、この下部に表壁より裏方向に適宜の幅の隆起部を形成し、かつ、蓋体の上部に左右に伸びた芯通路を形成し、更に、蓋体に断面非円形の回転軸を形成し、この蓋体の回転軸を前記蓋固定部材の取付穴に回動可能に取り付け、蓋体の下部に形成した隆起部により蓋固定部材の小芯出口と大芯出口を閉じた時、及び、蓋体の芯通路と蓋固定部材の小芯出口を合致させて芯が1本のみ通過可能に構成した時、更に、蓋体の芯通路と蓋固定部材の大芯出口を合致させて芯が複数本同時に通過可能に構成した時に、それぞれ蓋体の回転軸と蓋固定部材の取付穴が係合することを第2の要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、蓋体の芯通路を蓋固定部材の小芯出口に合致すれば芯を1本のみ排出することができ、また、蓋体の芯通路を蓋固定部材の大芯出口に合致すれば、複数本の芯を同時に排出することができるので、使用者が必要とする本数を容易に排出することができる効果が奏せられるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
蓋体を回動させて蓋体の芯通路を蓋固定部材の小芯出口か大芯出口に合致させ、芯を1本のみ排出させたり芯を複数本同時に排出させることができる替芯ケースを実現した。
【実施例1】
【0008】
以下、図1、図2、図3、図4、図5及び図6に基づいて本発明における実施例1の替芯ケースを説明する。尚、図1の上側を上方とし、下側を下方とする。また、図1の左側を左方向とし、右側を右方向とする。本体1は透明な合成樹脂製で、上端が開口した箱型に形成されている。この本体1は、上部の側壁内面が凹陥されて取付部1Aが形成される。更に、本体1の上端は、側壁が切り欠かれて構成される。この本体1の裏壁の上方には、図3に示したように、両側に平坦部を有する小判型の開口穴1Bが形成されている。
【0009】
また、蓋固定部材2の左側には芯3が1本のみ通過可能な小芯出口2Aが形成され、尚且つ、蓋固定部材2の右側には芯3が3本程度通過可能な大芯出口2Bが形成されている。更に、蓋固定部材2には、ほぼ中間部に上方に突出した上部2Cが形成され、この上部2Cには、略正方形で角が丸められた取付穴2Dが形成されている。更に、取付穴2Dのほぼ中心を横切る直線状の切溝2Eが上端より下方に伸びて形成され、取付穴2Dは適宜拡開可能に構成されている。更に、蓋固定部材2には、図3に示したように両側に平坦部を有する小判型の突起2Fが構成されている。
【0010】
更に、蓋体4の中央には表壁4Aより裏方向に隆起する回転軸4Bが形成されている。この回転軸4Bの断面は、略正方形で角が丸められて形成されている。更に、蓋体4の上部には、表壁4Aより裏方向に隆起した上端リブ4Cと、上端リブ4Cと平行に形成された中間リブ4Dにより芯通路4Eが形成されている。尚、図示していないが、芯通路は貫通孔により形成することも可能である。前記芯通路4Eは前記蓋固定部材2の小芯出口2A及び大芯出口2Bより大きく形成される。更に、上端リブ4Cの上面には、滑り止め用の突起4Fを複数形成する。また、蓋体4の下部4Gは半円形に形成され、この下部4Gの縁に表壁4Aより裏方向に適宜の幅の隆起部4Hを形成する。
【0011】
以上説明した蓋体4の回転軸4Bが蓋固定部材2の取付穴2Dに互いの略正方形が合わされて嵌め込まれる。すると、蓋固定部材2の小芯出口2Aと大芯出口2Bが蓋体4の隆起部4Hにより閉じられる。この状態で蓋固定部材2を前記本体1の上方より挿入し、蓋固定部材2の下部を本体1の取付部1Aに嵌合し、蓋固定部材2の突起2Fを本体1の開口穴1Bに嵌合する。尚、前述したように、蓋体4の略正方形の回転軸4Bが蓋固定部材2の略正方形の取付穴2Dに係合しているので、蓋固定部材2に対して蓋体4が揺動する恐れは全くない。更に、本体1内には複数の芯3が収納され、替芯ケースが構成される。
【0012】
次に、この替芯ケースから芯3を取り出す為には、蓋体4の上端リブ4Cの上面を指で操作して回転させる。この時、芯3を1本づつ排出したい場合には、蓋体4を左に回転させる。すると、蓋体4の回転軸4Bと蓋固定部材2の取付穴2Dの係合が外れる。この時、取付穴2Dには切溝2Eが設けられているので拡開することができる。更に、蓋体4を左に回転させると、蓋体4の中間リブ4Dが蓋固定部材2の上部2Cの左側面2Gに当接する。同時に、蓋固定部材2の取付穴2Dと蓋体4の回転軸4Bが互いの略正方形が合致して係合する。この時、蓋体4の芯通路4Eは垂直に位置して蓋固定部材2の小芯出口2Aと合致し、小芯出口2Aが開かれて図5に示した状態となる。したがって、替芯ケースの上部を下に向ければ小芯出口2Aより芯3が1本づつ排出される。小芯出口2Aを閉じる場合には、まず蓋体4を右に回転させて蓋体4の回転軸4Bと蓋固定部材2の取付穴2Dの係合を外す。更に、蓋体4を右に回転させ、90度回転した所で再び蓋体4の回転軸4Bが蓋固定部材2の取付穴2Dに係合し、図1の状態に復帰する。
【0013】
また、芯3を複数本同時に排出したい場合には、図1の状態から蓋体4を右に回転させる。すると、蓋体4の回転軸4Bと蓋固定部材2の取付穴2Dの係合が外れる。この時、取付穴2Dには切溝2Eが設けられているので拡開することができる。更に、蓋体4を左に回転させると、蓋体4の中間リブ4Dが蓋固定部材2の上部2Cの右側面2Hに当接する。同時に、蓋固定部材2の取付穴2Dと蓋体4の回転軸4Bが、互いの略正方形が合致して係合する。この時、蓋体4の芯通路4Eは垂直に位置して蓋固定部材2の大芯出口2Bと合致し、大芯出口2Bが開かれて図6に示した状態となる。したがって、替芯ケースの上部を下にむければ大芯出口2Bより芯3が3本同時に排出される。大芯出口2Bを閉じる場合には、まず蓋体4を左に回転させて蓋体4の回転軸4Bと蓋固定部材2の取付穴2Dの係合を外す。更に、蓋体4を左に回転させ、90度回転した所で再び蓋体4の回転軸4Bが蓋固定部材2の取付穴2Dに係合し、図1の状態に復帰する。
【0014】
尚、図7に示したように、蓋体14の回転軸14Bを断面が略正方形に形成し、この角を丸めて形成するとともに各辺の中間がわずかに凹んで構成することも可能である。
【実施例2】
【0015】
図8、図9及び図10に基づいて本発明における実施例2の蓋体24の回転軸24Bと蓋固定部材12の取付穴12Dの係合手段を説明する。尚、図1と同一の部材は同一の符号を付してその説明を省略する。蓋固定部材12の上部12Cに形成された断面円形の取付穴12Dに、左右対象に係合凹部12Iを形成する。更に、取付穴12Dのほぼ中心を横切る直線状の切溝12Eが上部12Cの上端より下方に伸びて形成され、取付穴12Dは適宜拡開可能に構成されている。
【0016】
また、蓋体24の中央には表壁より裏方向に隆起する回転軸24Bが形成される。この回転軸24Bの断面は円形でかつ上方に突部24Iが形成される。
【0017】
以上説明した蓋体24の回転軸24Bが蓋固定部材12の取付穴12Dに嵌め込まれ、回転軸24Bの上方に形成された突部24Iが切溝12Eに係合され図8に示した状態となる。
【0018】
次に、芯3を1本づつ排出したい場合には、図8の状態から蓋体24を左に回転させる。すると、蓋体24の回転軸24Bに形成した突部24Iが切溝12Eより外れる。更に、蓋体24を左に回転させると、蓋体24の中間リブ24Dが蓋固定部材12の上部12Cの左側面12Gに当接される。同時に、回転軸24Bに形成された突部24Iが取付穴12Dの左側の係合凹部12Iに係合される。この時、蓋体24の芯通路24Eは垂直に位置して蓋固定部材12の小芯出口12Aと合致し、小芯出口12Aが開かれて図9に示した状態となる。
【0019】
また、芯3を複数本同時に排出したい場合には、図8の状態から蓋体24を右に回転させる。すると、蓋体24の回転軸24Bに形成した突部24Iが切溝12Eより外れる。更に、蓋体24を右に回転させると、蓋体24の中間リブ24Dが蓋固定部材12の上部12Cの右側面12Hに当接される。同時に、回転軸24Bに形成された突部24Iが取付穴12Dの右側の係合凹部12Iに係合される。この時、蓋体24の芯通路24Eは垂直に位置して蓋固定部材12の大芯出口12Bと合致し、大芯出口12Bが開かれて図10に示した状態となる。
【実施例3】
【0020】
図11、図12及び図13に基づいて本発明の実施例3の替芯ケースを説明する。透明な合成樹脂製で構成された本体11の表面に印刷を行い、かつ、上部に一部印刷を行っていない透明部分からなる表示窓11Cを構成する。また、蓋体34の表壁34A表面には、芯出口が閉じた表示、芯出口から芯3が1本排出可能な表示、及び、芯出口から芯3が複数本同時に排出可能な表示を印刷等で構成する。この表示としては、「閉」、「一」、「多」といった文字で表示したり、記号で表示したり、あるいは色で表示することが考えられる。
【0021】
そして、文字で表示した例を説明すると、小芯出口及び大芯出口が閉じた図11の状態では、閉じた表示を示す「閉」の表示が表示窓11Cに表示される。次に、蓋体34を左に回転させて小芯出口を開いた図12の状態では芯3を1本づつ排出する表示を示す「一」の表示が表示窓11Cに表示される。更に、蓋体34を右に回転させて大芯出口を開いた図13の状態では複数本の芯3を同時に排出する「多」の表示が表示窓11Cに表示される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
蓋体を左に回転させて小芯出口を開くことにより芯が1本づつ排出でき、また、蓋体を右に回転させて大芯出口を開くことにより複数本の芯を同時に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1の替芯ケースを示す断面図である。(実施例1)
【図2】図1のA−A線を示す拡大断面図である。(実施例1)
【図3】実施例1の蓋体を示す背面図である。(実施例1)
【図4】実施例1の蓋体を示す拡大背面図である。(実施例1)
【図5】実施例1の替芯ケースにおいて、芯を1本のみ排出する状態を示す断面図である。(実施例1)
【図6】実施例1の替芯ケースにおいて、芯を複数本同時に排出する状態を示す断面図である。(実施例1)
【図7】実施例1の替芯ケースにおいて、蓋体の回転軸を変更した例を示す拡大背面図である。(実施例1)
【図8】実施例2の替芯ケースを示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図9】実施例2の替芯ケースにおいて、芯を1本のみ排出する状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図10】実施例2の替芯ケースにおいて、芯を複数本同時に排出する状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例2)
【図11】実施例3の替芯ケースにおいて、小芯出口及び大芯出口を閉じた状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例3)
【図12】実施例3の替芯ケースにおいて、芯を1本のみ排出した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例3)
【図13】実施例3の替芯ケースにおいて、芯を複数本同時に排出した状態を示す主要部拡大断面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0024】
1 本体
2 蓋固定部材
2A 蓋固定部材2の小芯出口
2B 蓋固定部材2の大芯出口
2D 蓋固定部材2の取付穴
2E 蓋固定部材2の切溝
3 芯
4 蓋体
4B 蓋体4の回転軸
4E 蓋体4の芯通路
4G 蓋体4の下部
4H 蓋体4の隆起部
11 本体
12 蓋固定部材
12A 蓋固定部材12の小芯出口
12B 蓋固定部材12の大芯出口
12D 蓋固定部材12の取付穴
12E 蓋固定部材12の切溝
14 蓋体
14B 蓋体14の回転軸
24 蓋体
24B 蓋体24の回転軸
24E 蓋体24の芯通路
34 蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体を回動することにより芯出口を開閉する替芯ケースにおいて、本体の上部に蓋固定部材を取り付け、この蓋固定部材に芯が1本のみ通過可能な小芯出口と芯が複数本同時に通過可能な大芯出口を形成し、蓋体を回動することにより蓋体の芯通路を蓋固定部材の小芯出口に合致した場合には芯が1本のみ排出され、また、蓋体を回動することにより蓋体の芯通路を蓋固定部材の大芯出口に合致した場合には、複数本の芯が排出されることを特徴とする替芯ケース。
【請求項2】
蓋固定部材に非円形の取付穴を形成し、更に、蓋固定部材に前記取付穴を横切る切溝を形成して取付穴が拡開可能に構成するとともに、蓋体の下部を半円形に形成し、この下部に表面より裏方向に適宜の幅の隆起部を形成し、かつ、蓋体の上部に左右に伸びた芯通路を形成し、更に、蓋体に断面非円形の回転軸を形成し、この蓋体の回転軸を前記蓋固定部材の取付穴に回動可能に取り付け、蓋体の下部に形成した隆起部により蓋固定部材の小芯出口と大芯出口を閉じた時、及び、蓋体の芯通路と蓋固定部材の小芯出口を合致させて芯が1本のみ通過可能に構成した時、更に、蓋体の芯通路と蓋固定部材の大芯出口を合致させて芯が複数本同時に通過可能に構成した時に、それぞれ蓋体の回転軸と蓋固定部材の取付穴が係合することを特徴とする請求項1記載の替芯ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−73859(P2008−73859A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252227(P2006−252227)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000111904)パイロットプレシジョン株式会社 (42)