説明

最適M&A対象企業数算出装置、最適M&A対象企業数算出方法、及びコンピュータプログラム

【課題】M&Aを行う企業の期待利潤が最大となるようM&A対象企業数を求めることができる最適M&A対象企業数算出装置、最適M&A対象企業数算出方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出する。総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づく総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出する。M&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を推算し、M&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を算出して、期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、M&Aを行う場合に、期待利潤が最大となるようM&A対象企業数を求めることができる最適M&A対象企業数算出装置、最適M&A対象企業数算出方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の技術の進歩、及び技術の複合化に伴い、新技術の開発を1社単独で行うことは困難になってきている。そして、企業連携やM&Aを通じて新技術の開発や獲得を行うオープンイノベーションが主流となりつつある。ここで、オープンイノベーションとは、多数の企業により新技術を創出すること、そして買収や資本投資によってイノベーションを獲得することを意味している。
【0003】
非特許文献1で、シェスブロー(Chesbrough)は、1社単独で行うイノベーションは非効率的であると記載している。すなわち、自社の技術者が偶然思いついたアイデアは、事前にはその企業製品に適合するか否かは不明であると考えられ、多様な製品がある中で、発明となる稀有なアイデアが自社製品と合致する確率の方が合致しない確率よりも低い事実は経験的に周知である。
【0004】
また、非特許文献2でグリリチェス(Griliches)は、企業レベルでのR&Dと生産性との関連を実証しており、M&Aを行った企業と行っていない企業とを比べた場合、M&Aを行った企業の方が、よりR&Dが効率的である事実を開示している。
【非特許文献1】シェスブロー(Chesbrough,H.W.)、「オープンイノベーション:技術開発及び技術から得る利潤のための新規則(The New Imperative for Creating and Profiting from Technology)」、ハーバードビジネスプレス、2003年
【非特許文献2】グリリチェス(Griliches,Z.)、「R&Dと生産性:計量経済学的証拠(The Econometric Evidence)」、シカゴ大学プレス、1998年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1及び非特許文献2では、M&Aを行った企業の方がR&Dにおいて高い経済的成果を生むことは示唆されているものの、実際にM&A対象企業に対してどのように出資すれば良いのか求めることができないという問題点があった。すなわち、どの規模の企業の何社に出資すれば期待される利潤が最大になるのか、判断する指標が示されてはいなかった。
【0006】
一方、M&Aを行う企業の利潤を最大化する、出資すべき最適な投資対象企業数を導出するためには、将来の確率変動を考慮した生産関数を求める必要がある。しかし、現在まで確率微分方程式による生産関数は確立されたことがなかった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、将来の確率変動を考慮した生産関数を確率微分方程式として導出することにより、M&Aを行う企業の期待利潤が最大となるようM&A対象企業数を求めることができる最適M&A対象企業数算出装置、最適M&A対象企業数算出方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る最適M&A対象企業数算出装置は、所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を取得するM&A情報取得手段と、取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出する成功回数増分算出手段と、総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出する総売上高増分算出手段と、算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算する総売上高推算手段と、推算した将来のM&A実行企業の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出する期待利潤算出手段と、算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出するM&A対象企業数算出手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る最適M&A対象企業数算出装置は、第1発明において、前記総売上高推算手段が、ブラックショールズモデルに従って、M&Aのデリバティヴ価格を将来の総売上高と現在の総売上高との比率の対数として算出し、算出されたデリバティヴ価格から将来の総売上高を逆算するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る最適M&A対象企業数算出装置は、第1又は第2発明において、前記期待利潤算出手段が、前記M&Aに要する総費用をM&A対象企業数分の出資金額とM&Aに成功した場合に支払う予定金額との和として算出するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る最適M&A対象企業数算出方法は、コンピュータで、M&Aによる期待利潤が最大となるM&A対象企業数を算出する最適M&A対象企業数算出方法であって、前記コンピュータは、所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を取得し、取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出し、総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出し、算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算し、推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出し、算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出することを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る最適M&A対象企業数算出方法は、第4発明において、前記コンピュータが、ブラックショールズモデルに従って、M&Aのデリバティヴ価格を将来の総売上高と現在の総売上高との比率の対数として算出し、算出されたデリバティヴ価格から将来の総売上高を逆算することを特徴とする。
【0013】
また、第6発明に係る最適M&A対象企業数算出方法は、第4又は第5発明において、前記コンピュータが、前記M&Aに要する総費用をM&A対象企業数分の出資金額とM&Aに成功した場合に支払う予定金額との和として算出することを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係るコンピュータプログラムは、M&Aによる期待利潤が最大となるM&A対象企業数を算出するコンピュータで実行することが可能なコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を取得するM&A情報取得手段、取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出する成功回数増分算出手段、総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出する総売上高増分算出手段、算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算する総売上高推算手段、推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出する期待利潤算出手段、及び算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出するM&A対象企業数算出手段として機能させることを特徴とする。
【0015】
また、第8発明に係るコンピュータプログラムは、第7発明において、前記総売上高推算手段を、ブラックショールズモデルに従って、M&Aのデリバティヴ価格を将来の総売上高と現在の総売上高との比率の対数として算出する手段、及び算出されたデリバティヴ価格から将来の総売上高を逆算する手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
また、第9発明に係るコンピュータプログラムは、第7又は第8発明において、前記期待利潤算出手段を、前記M&Aに要する総費用をM&A対象企業数分の出資金額とM&Aに成功した場合に支払う予定金額との和として算出する手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
第1発明、第4発明、及び第7発明では、所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を取得する。取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出し、総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出する。算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算し、推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出する。算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出する。
【0018】
ここで「M&A対象企業」とは、M&Aを仕掛けられて買収、合併等をなされる企業を意味しており、「M&A実行企業」とは、M&Aを仕掛けて複数の企業を買収、合併等する企業を意味している。「技術開発の成功回数」とは、技術開発案件数に対する製品への適用技術数の割合等を代表する数値である、技術開発に成功した回数を意味している。前提として技術開発への取り組み回数(成功確率を算出する母集団)は一定であるものとしている。
【0019】
「技術開発の成功回数のドリフト増分」とは、技術開発に成功した回数の趨勢、換言すれば技術開発者の経験・ノウハウ等の微小時間での増分を示す概念である。「技術開発の成功回数のブラウン運動」とは、技術開発の成功へのプロセスが連続的であると仮定し、技術開発に成功した回数の時間微分値を求めることができるように、ブラウン運動として表すことを意味している。「総売上高のドリフト増分」とは、総売上高の趨勢、換言すればマーケティング活動を通じて増加する総売上高の微小時間での増分を示す概念である。「総売上高のブラウン運動」とは、総売上高を獲得するための市場における製品需要の変動が連続的であると仮定し、総売上高の時間微分値を求めることができるように、ブラウン運動として表すことを意味している。「ベイズ方程式」とは、何かが起こる可能性はその事柄の過去の発生頻度を使って推測ができるという、いわゆるベイズ理論に基づく確率変動方程式である。
【0020】
技術開発の成功回数及び総売上高の増分を用いて、将来の確率変動を考慮した生産関数を確率微分方程式として導出することにより、期待利潤とM&A対象企業数との関係を一意に特定することができ、最大値を算出することにより、期待利潤が最大となるM&A対象企業数を一意に特定することが可能となる。
【0021】
第2発明、第5発明、及び第8発明では、ブラックショールズモデルに従って、M&Aのデリバティヴ価格を将来の総売上高と現在の総売上高との比率の対数として算出し、算出されたデリバティヴ価格から将来の総売上高を逆算する。ここで、「ブラックショールズモデル」とは、フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズ両氏が考案したデリバティヴ価格の算出モデルであり、オプションの権利行使価格、M&A実行企業の現在の総売上高、オプションの権利行使の満期までの期間、満期までの期間中のM&A実行企業のボラティリティ等を変数としてオプション実行の理論価格を算出する。ボラティリティとは標準偏差を意味している。
【0022】
ブラックショールズモデルに従うことにより、M&Aによる買収によって獲得した利鞘ではなく、イノベーションによって獲得した総売上高に基づいてデリバティヴ実行の理論価格を算出することができ、買収費用等のM&Aに要する費用を含んだ将来の総売上高をM&A対象企業数の関数として算出することが可能となる。
【0023】
第3発明、第6発明、及び第9発明では、M&Aに要する総費用を、M&A対象企業数分の出資金額とM&Aに成功した場合に支払う予定金額との和として算出する。すなわち、研究開発が成功し買収対象となるべき企業の買収金額だけではなく、M&A対象企業に対する研究開発を促進するための出資金額も費用に含めることで、M&A実行企業が最大利潤を得ることができるM&A対象企業数算出時の制約条件として機能させることが可能となる。
【0024】
なお、後述する実施の形態では、M&A情報取得手段は最適M&A対象企業数算出装置1のCPU11のステップS301の処理が、成功回数増分算出手段はCPU11のステップS302の処理が、総売上高増分算出手段はCPU11のステップS303の処理が、それぞれ該当する。また、総売上高推算手段は最適M&A対象企業数算出装置1のCPU11のステップS304の処理が、期待利潤算出手段はCPU11のステップS305の処理が、M&A対象企業数算出手段はCPU11のステップS306の処理が、それぞれ該当する。
【発明の効果】
【0025】
第1発明、第4発明、及び第7発明によれば、技術開発の成功回数及び総売上高の増分を用いて、将来の確率変動を考慮した生産関数を確率微分方程式として導出することにより、期待利潤とM&A対象企業数との関係を一意に特定することができ、最大値を算出することにより、期待利潤が最大となるM&A対象企業数を一意に特定することが可能となる。
【0026】
第2発明、第5発明、及び第8発明によれば、ブラックショールズモデルに従うことにより、M&Aによる買収によって獲得した利鞘ではなく、イノベーションによって獲得した総売上高に基づいてデリバティヴ実行の理論価格を算出することができ、買収費用等のM&Aに要する費用を含んだ将来の総売上高をM&A対象企業数の関数として算出することが可能となる。
【0027】
第3発明、第6発明、及び第9発明によれば、研究開発が成功し買収対象となるべき企業の買収金額だけではなく、M&A対象企業に対する研究開発を促進するための出資金額も費用に含めることで、M&A実行企業が最大利潤を得ることができるM&A対象企業数算出時の制約条件として機能させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置について図面に基づいて具体的に説明する。本実施の形態では、M&A実行企業が、ベンチャー企業等のM&A対象企業を、イクイティポジションを用いて買収するケースを想定する。ここで、イクイティポジションとは、M&A実行企業によってM&A対象企業のIPO(Initial Public Offering)後、技術開発の成功功後、又はイノベーションが成功した後、株式数50%以上を取得することを目的として事前に出資することを意味している。M&A対象企業の株式は公開されていると仮定した場合のデリバティヴ価格に各M&A対象企業の株式数50%以上を乗算した価値を有する支払いにより、イクイティポジションを取得することができるものとしている。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置1の機能を模式的に示す機能ブロック図である。図1において、本実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置1は、M&A情報取得手段101にて、少なくともM&Aを仕掛けることを考えている所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、該産業分野における過去の技術開発の成功回数、例えば特許出願、特許取得等に到達した経験を意味する技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&Aを実行するM&A実行企業の現在の総売上高を含むM&Aに必要となる情報を取得する。
【0030】
成功回数増分算出手段102は、M&A情報取得手段101にて取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出する。すなわち、技術開発の成功回数に関する確率微分方程式を求める処理を実行することになる。
【0031】
総売上高増分算出手段103は、総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出する。すなわち、技術開発の成功回数と同様、得ることができる総売上高に関する確率微分方程式を求める処理を実行することになる。
【0032】
総売上高推算手段104は、算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算する。具体的にはデリバティヴ価格を算出して逆算することにより求める。
【0033】
期待利潤算出手段105は、推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出する。このようにすることで、M&A実行企業が期待する期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出することができる。
【0034】
M&A対象企業数算出手段106は、算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出する。すなわち、期待利潤のM&A対象企業数に基づく偏微分値が0(ゼロ)になるM&A対象企業数を算出する。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置1を、CPU11を用いて具現化した場合のハードウェア構成を示すブロック図である。図2において、本実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置1は、少なくとも、CPU(中央演算装置)11、記憶手段12、RAM13、入力手段14、出力手段15、補助記憶手段16、通信手段17及び上述したハードウェアを接続する内部バス18で構成されている。
【0036】
CPU11は、内部バス18を介して最適M&A対象企業数算出装置1の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶手段12に記憶されているコンピュータプログラム80に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM13は、SRAM、フラッシュメモリ等で構成され、コンピュータプログラム80の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム80の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0037】
記憶手段12は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶手段12に記憶されているコンピュータプログラム80は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、補助記憶手段16によりダウンロードされ、実行時には記憶手段12からRAM13へ展開して実行される。もちろん、通信手段17を介して外部コンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0038】
通信手段17は内部バス18に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。すなわち、上述した記憶手段12は、最適M&A対象企業数算出装置1に内蔵される構成に限定されるものではなく、通信手段17を介して接続されている外部のサーバコンピュータ等に設置されているハードディスク等の外部記録媒体であっても良い。
【0039】
入力手段14は、キーボード及びマウス等のデータ入力媒体であり、出力手段15は、CRTモニタ、LCD等の表示装置、あるいはレーザプリンタ、ドットプリンタ等の印刷装置等である。
【0040】
上述した構成の最適M&A対象企業数算出装置1の処理の流れについて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置1のCPU11の処理手順を示すフローチャートである。最適M&A対象企業数算出装置1のCPU11は、少なくとも所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を、M&A情報の入力として受け付ける(ステップS301)。M&A情報の入力は、入力手段14から受け付けても良いし、通信手段17を介して接続されている外部のコンピュータ等から受信しても良い。
【0041】
CPU11は、受け付けた過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を算出する(ステップS302)。具体的には、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出する。ここで、技術開発の成功回数はポワソン分布に従うものと仮定し、過去の技術開発の成功回数及び直近の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の事後分布を推定することにより、ベイズの方程式を求めている。ポワソン分布に従うと仮定しているので、技術開発の成功回数の期待値は分散に等しくなる。したがって、技術開発の成功回数のドリフト増分dj(t)は(数1)のような確率微分方程式で表すことができる。なお、tはデリバティヴ満期時期Tまでの任意の時間を示している。
【0042】
【数1】

【0043】
(数1)において、μは技術開発の成功回数j(t)のドリフト(趨勢)を示すドリフト係数であり、入力手段14を介して取得する。また、V(t)は技術開発の成功回数j(t)のブラウン運動を表している。これは、技術開発には実験の成功/不成功が付き物であるが、技術開発を複数回行うことを不連続プロセスとしてではなく、連続プロセスとして把握するために適用させたものである。gはドリフト係数μの下限値を示している。
【0044】
また、ポワソン分布に従うと仮定しているので、技術開発の成功回数j(t)の分散はj(t)となる。また、分散をM&A対象企業数nで除算しているのは、M&A実行企業はいかなるM&A対象企業にも同一の実験をさせないとの仮定をしているからである。また、技術開発の成功回数j(t)をM&A対象企業数nで除算した値の平方根がボラティリティを示している。
【0045】
CPU11は、総売上高の増分を算出する(ステップS303)。具体的には、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として総売上高の増分を算出する。ここでは、需要が確率変動するものと仮定し、企業は需要の価格弾力性に依存している最大の売上を目指して、最適の価格を導き出すものと仮定している。
【0046】
そして、正規分布に基づくベイズ方程式の逆数の1期当たりの増分を、総売上高x(t)のドリフト項とする。よって総売上高x(t)の増分dx(t)は(数2)のように表すことができる。
【0047】
【数2】

【0048】
(数2)において、σ2 は総売上高x(t)の分散である。右辺第一項は総売上高x(t)のドリフト(趨勢)項であり、右辺第2項は、M&A実行企業がイクイティポジションを取る全てのM&A対象企業に均等に投資することによって総売上高の分散σ2 を各企業に均等に分散させると仮定することによって導き出される。なお、σ/√(n)はボラティリティを意味している。
【0049】
CPU11は、算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び受け付けたM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を推算する(ステップS304)。将来の総売上高は、M&A対象企業数nの関数として推算する。ここでは、デリバティヴ価格fを求めることによって、M&A実行企業の将来の総売上高を逆算している。
【0050】
まず、ブラックショールズモデルに従って、オプションの権利行使価格、M&A実行企業の現在の総売上高、オプションの権利行使の満期までの期間の任意の時間t、満期までの期間中のM&A実行企業のボラティリティ等を変数としてオプション実行の理論価格(デリバティヴ価格)を算出する。デリバティヴ価格fは(数3)のように表すことができる。
【0051】
【数3】

【0052】
ここで、Rは株価収益率PER(Price Earning Ratio)を示しており、Rは時間tに関して一定であると仮定する。また、PはM&A実行企業の株式総数を示しており、常に一定とする。また、Sは株価を示しており、デリバティヴ設定時の株価をS(0)、満期までの任意の時点の株価をS(t)とする。
【0053】
(数3)の第3項の分子の引数は、M&A実行企業の将来の総売上高に他ならないので、デリバティヴ価格f及びM&A実行企業の現在の時価総額R×(x(0))×Pが求まることにより、M&A実行企業の将来の総売上高を逆算して求めることが可能となる。
【0054】
なお、デリバティヴ価格fは、満期までの時間t、M&A対象企業の平均成功回数j(t)バー及び総売上高x(t)の関数である。したがって、デリバティヴ価格fを算出するためには、微分(殊に二次の微分)によってある種の無限小余剰項を生むという規約を設けた伊藤の公式(伊藤清)等を用いて展開する。
【0055】
伊藤の公式、及び(数1)、(数2)により、デリバティヴ価格fの1回微分値dfは(数4)に示すように展開することができる。
【0056】
【数4】

【0057】
(数4)を積分することにより、デリバティヴ価格fを(数5)に示すように求めることができる。
【0058】
【数5】

【0059】
したがって、(数5)を(数3)に代入して、逆対数演算をすることにより、(数6)に示すようにM&A実行企業の将来の総売上高を求めることができる。
【0060】
【数6】

【0061】
CPU11は、上述のように推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤πを算出する(ステップS305)。期待利潤πもM&A対象企業数nの関数として算出する。M&A実行企業の期待利潤πは(数7)に示すようになる。
【0062】
【数7】

【0063】
(数7)において、cはM&A対象企業1社当たりの出資金額であり、デリバティヴの権利行使を行う権利の取得費用を意味している。したがって、総費用を求めるにはM&A対象企業数nを乗算する必要がある。また、CはM&Aを実行する場合に生じる費用を意味している。すなわち、該M&A対象企業が技術開発に成功した場合に支払うべき予定金額である。
【0064】
CPU11は、(数7)で表されている期待利潤πが最大(最大値)となるM&A対象企業数nを算出する(ステップS306)。CPU11は、上述のように推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出する(ステップS305)。デリバティヴの満期時、すなわちt=Tにて期待利潤πが最大となる最適M&A対象企業数n* を算出すればよいので、求めるべき最適M&A対象企業数n* は(数8)にて算出することができる。
【0065】
【数8】

【0066】
(数8)において、Mは当該産業内での技術開発件数の総数を、kはM&A実行企業の競合企業数及びM&A実行企業が技術的に興味のない対象外企業数の和を、WはランバートW関数値を、それぞれ意味している。
【0067】
M&A実行企業は、n* >1である場合に、該M&A対象企業に対してイクイティ・ポジションを取る。n* =1である場合にはM&A実行企業は、自社で技術開発を行う。n* <1である場合には、M&A実行企業は技術開発を行わない。
【0068】
上述の理論値の正当性を確認すべく、下記条件にてシミュレーションを実行した。シミュレーション実行ソフトウェアプログラムは、メイプルソフト社製のMaple(R)を使用した。
【0069】
図4は、市場における消費者の観察ノイズが無い場合の最適M&A対象企業数n* の変化を示す三次元模式図である。図4では、総売上高x(t)の分散σ2 のσが90≦σ≦250の範囲で図示されており、cが‘1’に標準化されている。そして、(数8)にてM=10000、x(0)=100、μバー=0.01、r=0.1及びT=3が代入されている。
【0070】
しかし、通常は何らかの観察ノイズが存在する。消費者の行動の特徴が完全に知られていない場合、不完全情報自体が観察ノイズの存在を示す。消費者の行動が完全に知られていない場合、総売上高x(t)の増分を示す確率微分方程式を(数9)のように修正する。
【0071】
【数9】

【0072】
修正された(数9)を用いることで、最適M&A対象企業数n* の算出結果も(数10)へと修正される。
【0073】
【数10】

【0074】
(数10)に従って、図4と同様のシミュレーションを実行する。図5は、市場における消費者の観察ノイズが有る場合の最適M&A対象企業数n* の変化を示す三次元模式図である。図5でも、総売上高x(t)の分散σ2 のσが90≦σ≦250の範囲では、cが‘1’に標準化されている。そして、(数10)にてM=10000、x(0)=100、k=100、μバー=0.01、r=0.1、T=3、σ=80、ση=42.3、σθ=100及びC=50が代入されている。
【0075】
図4と図5とを比較すると、最適M&A対象企業数n* は、観察ノイズが有る場合の方が無い場合に比べて小さくなる傾向にあることがわかる。
【0076】
図6は、期待利潤πとM&A対象企業数nとの関係を示すグラフである。図6では、期待利潤πを標準化した初期出資額cが‘1’となるように換算した値として示している。n=0の値は、M&Aを行わない場合の期待利潤を示していることから、最適M&A対象企業数n* に対してM&Aを実行した場合には、期待利潤πは約7倍となることが理論的に検証された。
【0077】
以上のように本実施の形態によれば、技術開発の成功回数及び総売上高の増分を用いて、期待値を含む生産関数を確率微分方程式として導出することにより、期待利潤とM&A対象企業数との関係を一意に特定することができ、最大値を算出することにより、期待利潤が最大となるM&A対象企業数を一意に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置の機能を模式的に示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置を、CPUを用いて具現化した場合のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る最適M&A対象企業数算出装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】市場における消費者の観察ノイズが無い場合の最適M&A対象企業数の変化を示す三次元模式図である。
【図5】市場における消費者の観察ノイズが有る場合の最適M&A対象企業数の変化を示す三次元模式図である。
【図6】期待利潤とM&A対象企業数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0079】
1 最適M&A対象企業数算出装置
11 CPU
12 記憶手段
13 RAM
14 入力手段
15 出力手段
16 補助記憶手段
17 通信手段
18 内部バス
80 コンピュータプログラム
90 可搬型記録媒体
101 M&A情報取得手段
102 成功回数増分算出手段
103 総売上高増分算出手段
104 総売上高推算手段
105 期待利潤算出手段
106 M&A対象企業数算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を取得するM&A情報取得手段と、
取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出する成功回数増分算出手段と、
総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出する総売上高増分算出手段と、
算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算する総売上高推算手段と、
推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出する期待利潤算出手段と、
算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出するM&A対象企業数算出手段と
を備えることを特徴とする最適M&A対象企業数算出装置。
【請求項2】
前記総売上高推算手段は、
ブラックショールズモデルに従って、M&Aのデリバティヴ価格を将来の総売上高と現在の総売上高との比率の対数として算出し、算出されたデリバティヴ価格から将来の総売上高を逆算するようにしてあることを特徴とする請求項1記載の最適M&A対象企業数算出装置。
【請求項3】
前記期待利潤算出手段は、
前記M&Aに要する総費用をM&A対象企業数分の出資金額とM&Aに成功した場合に支払う予定金額との和として算出するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の最適M&A対象企業数算出装置。
【請求項4】
コンピュータで、M&Aによる期待利潤が最大となるM&A対象企業数を算出する最適M&A対象企業数算出方法であって、
前記コンピュータは、
所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を取得し、
取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出し、
総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出し、
算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算し、
推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出し、
算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出することを特徴とする最適M&A対象企業数算出方法。
【請求項5】
前記コンピュータは、
ブラックショールズモデルに従って、M&Aのデリバティヴ価格を将来の総売上高と現在の総売上高との比率の対数として算出し、算出されたデリバティヴ価格から将来の総売上高を逆算することを特徴とする請求項4記載の最適M&A対象企業数算出方法。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記M&Aに要する総費用をM&A対象企業数分の出資金額とM&Aに成功した場合に支払う予定金額との和として算出することを特徴とする請求項4又は5記載の最適M&A対象企業数算出方法。
【請求項7】
M&Aによる期待利潤が最大となるM&A対象企業数を算出するコンピュータで実行することが可能なコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
所定の産業分野でM&Aの対象となるM&A対象企業数、過去の技術開発の成功回数、技術開発の成功経験の大小を示す修正係数であるドリフト係数、及びM&A実行企業の現在の総売上高を取得するM&A情報取得手段、
取得した過去の技術開発の成功回数に基づいて、技術開発の成功回数の増分を、取得したドリフト係数を乗算した技術開発の成功回数のドリフト増分と、技術開発の成功回数のブラウン運動及び分散に基づいて算出した成功回数の増分との和として算出する成功回数増分算出手段、
総売上高の増分を、正規分布に基づいたベイズ方程式の分散に基づくドリフト係数を乗算した総売上高のドリフト増分と、総売上高のブラウン運動及び分散に基づいて算出した総売上高の増分との和として算出する総売上高増分算出手段、
算出された技術開発の成功回数の増分、総売上高の増分、及び取得したM&A実行企業の現在の総売上高に基づいて、M&A実行企業の将来の総売上高を、M&A対象企業数の関数として推算する総売上高推算手段、
推算したM&A実行企業の将来の総売上高に基づいて、M&Aを実行するM&A実行企業がM&Aに要する総費用を減算した期待利潤を、M&A対象企業数の関数として算出する期待利潤算出手段、及び
算出された期待利潤が最大値となるM&A対象企業数を算出するM&A対象企業数算出手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記総売上高推算手段を、
ブラックショールズモデルに従って、M&Aのデリバティヴ価格を将来の総売上高と現在の総売上高との比率の対数として算出する手段、及び
算出されたデリバティヴ価格から将来の総売上高を逆算する手段
として機能させることを特徴とする請求項7記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記期待利潤算出手段を、
前記M&Aに要する総費用をM&A対象企業数分の出資金額とM&Aに成功した場合に支払う予定金額との和として算出する手段
として機能させることを特徴とする請求項7又は8記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−93525(P2009−93525A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265260(P2007−265260)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 掲載アドレス http://www.itec.doshisha−u.jp/j/ http://www.itec.doshisha−u.jp/j/03_publication_01_workingpaper_stand.html http://www.itec.doshisha−u.jp/j/03_publication/01_workingpaper/2007/07−12−FINAL−Hirata−Yagi−itecwp.pdf 掲載日 平成19年6月30日
【出願人】(503027931)学校法人同志社 (346)