説明

有効解剖学的死腔からのエアロゾルを浄化するためのシステムおよび方法

【課題】好適なエアロゾル化デバイスを提供すること。
【解決手段】エアロゾル化デバイス10は、マウスピース14を備えるハウジング26、エアロゾル発生器16、フローセンサ32およびコントローラー28を有する。コントローラー28は、閾値流量がマウスピース14を介して1回呼吸を吸入する場合に使用者によって達成されることを示すフローセンサ32からの信号の受信に対して、エアロゾル発生器16の作動を開始し、かつ、1回呼吸の継続が実質的に全てのエアロゾルを肺へと送達するように選択される作動時間の経過後に、作動を停止するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、以下の出願の一部継続出願であり、2002年1月15日に出願された米国仮特許出願番号第60/349,763号;2002年1月15日に出願された同第60/349,805号;2002年5月14日に出願された同第60/380,655号;2002年9月5日に出願された同第60/408,743号;および2003年1月8日に出願された同第60/ 号(表題:「Methods and Systems for Operating an Aerosol Generator」)(これらの完全な開示は、本明細書中で参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、一般に、エアロゾル化の分野に関する。より詳細には、本発明は、液体(例えば、使用者による吸入用の薬物処方物)のエアロゾル化に関する。1つの特定の局面において、本発明は、エアロゾル発生器を使用したエアロゾルの生成に関する。このエアロゾル発生器は、吸入した息の残りが、有効解剖学的死腔からの任意の吸入エアロゾルを浄化して、気道の標的化部分(例えば、肺)にこの吸入エアロゾルを移動させるのを可能にするように選択された時間にて、エアロゾル生成を停止するように構成されている。
【0003】
エアロゾル吸入は、種々の薬物送達用途において有用である。エアロゾル送達は、注入、摂取および静脈内送達のような、他の薬物送達チャネルにわたって多くの利点を提供する。種々の装置が、エアロゾル化医薬のために存在している。単なる例として、米国特許第5,140,740号、同第5,938,117号、同第5,586,550号、同第5,758,637号、および同第6,014,970号(これらの完全な開示は、本明細書中で参考として援用される)は、使用者がマウスピース通して吸入し得る液体医薬をエアロゾル化する際に有用な種々の装置を記載している。液体医薬をエアロゾル化するための装置はまた、送風機の気流回路内にも組み込まれ得る。ここで、この送風機を使用して、患者に吸気性の気流を提供する。
【0004】
吸入エアロゾル薬物送達に関して関心があり得る1つの因子は、エアロゾル化される薬物の総量と比較した、気道の所定の標的領域(ここで、この薬物は、最も有効であり得る)に到達する薬物の量である。吸息呼吸の終わりのほうで吸入されるエアロゾル化された薬物の一部は、その標的組織に到達することができずに、気道の非標的部分(例えば、上気道)に残ったままになり得る可能性がある(このことは、有効ではない)。従って、吸入された薬物が有効ではないこのような領域は、気道の有効解剖学的死腔を含むといわれ得る。なぜなら、その吸入された薬物は、気道の標的化部分に到達せず、使用者の身体で利用されることなく吐き出されるからである。
【0005】
従って、使用者は、選択されたエアロゾル用量よりも少量の薬物を受容し得る可能性がある。このことは、使用者がその薬物量以下で治療され(under−medicate)得るか、または不適切な投薬量の予測を生じ得る。さらに、薬物のこのような損失量は、特定の治療の経済的なコストに悪影響を及ぼし得る。さらに、このような不使用の薬物は、周囲空気中に発散された場合(これは、パフ(puff)と称され得る)、使用者の近くにいる他人に吸入され得る。このような個人は、吸入によって影響を及ぼされ得る(これは、間接(second−hand)医薬と称され得る)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、不使用のエアロゾル化薬物の量を低下させるシステムおよび方法についての必要性が存在する。なぜなら、そのような薬物は、有効解剖学的死腔内に残ったままであり、気道の死腔からのこのようなエアロゾルを浄化することによって、より多量のエアロゾル化薬物が、選択された標的領域に到達されるからである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、エアロゾルの肺への移動を容易にする技術およびそのように設計されたデバイスを提供する。この技術およびデバイスは、エアロゾルが要求に応じて生成される適用において特に有用である。これは、例えば、使用者がマウスピースから吸入する場合に、エアロゾルを生成し得る。使用者が吸入し続けると、エアロゾルは、肺に送達される。いくつかの場合において、生成されたエアロゾルの最後の部分は、肺まで到達することができない。このエアロゾルの最後の部分は、単に、吸入器のマウスピースの出口と気道の標的化部分(例えば、肺)への入口との間の、いわゆる死腔を満たすだけである。
【0008】
本発明は、エアロゾルを肺に送達するための例示的なエアロゾル化デバイスおよびエアロゾル化方法を提供する。1つの実施形態において、エアロゾル化デバイスは、以下を備える:マウスピースを有するハウジング、このハウジング内に配置されたエアロゾル発生器、フローセンサまたは圧力センサ、およびエアロゾル発生器の操作を制御するためのコントローラー。このコントローラーは、センサからの信号を受信した際に、エアロゾル発生器の操作を開始するように構成されている。この信号は、マウスピースを通して息を吸込する使用者によって、閾値流速が到達されたことを示している。このコントローラーは、呼吸の吸息の継続が、実質的に全ての生成されたエアロゾルを、気道の所定の領域(例えば、使用者の肺)に送達するように、選択された作動時間の経過後、エアロゾル発生器の作動を停止するようにさらに構成される。
【0009】
このように、エアロゾル生成は、使用者が受容可能な吸息流速を達成した際に開始される。さらに、エアロゾル生成は、呼吸の吸息部分の最後の部分の間に停止され、その結果、吸息呼吸の残り(これは、エアロゾル化薬物が存在せず、従って追い出し物(chaser)と称され得る)は、患者の気道を通して、そのエアロゾルを気道の標的化部分(例えば、肺)に移動させる。この結果、吸入の間に、エアロゾルは、使用者の上気道に本質的
に残存しない。
【0010】
有効解剖学的死腔容積は、選択化された医薬が本質的に不十分である気道(例えば、気道の低部に標的化される医薬の場合には、上気道)の容積として、簡便に規定されている。有効解剖学的死腔はまた、有効な死腔または単に死腔とも称され得る。
【0011】
例えば、肺および気管に対して標的化される医薬について、有効解剖学的死腔は、上気道によって規定され得る。全身処置について標的化される医薬について、呼吸器系の標的化部分は、深部肺(deep lung)と称される得る部分であり得、その有効な死腔は、上気道、および気管を含む誘導気道の容積として規定され得る。
【0012】
所定の使用者および所定のレジメンに対する有効な死腔は、容易に測定される解剖学的測定値または判断基準を使用して、確立され得る。例えば、身長、性別および年齢を基礎にした個人の平均重量または理想重量を使用して、体重1ポンドあたりの、1立方センチメートル、すなわち1ミリリットルの割合に基づいて、解剖学的死腔(これは、上気道および気管を含む誘導気道からなる)にて参照され得るものを概算し得る。所定のレジメンに対する有効解剖学的死腔が、その解剖学的死腔の上気道部分のみを含む場合、この容積は、例えば、この解剖学的死腔の2分の1または3分の1として概算され得る、従って、例えば、誘導気道および肺に対して標的化される適用のために、その有効解剖学的死腔は、上気道の容積である。これは、約30cc〜約100ccの範囲であり得る。従って、本発明に従うエアロゾルデバイスは、広範な種々の使用者について較正され得る。
【0013】
1つの局面において、このコントローラーは、死腔容積を、一回呼吸からのほぼエアロゾルを含まない追い出し空気(chase air)で本質的に満たすための送達時間の概算である、保存値を含む。この保存値がコントローラーによって使用され、生成されるべきエアロゾルの作動時間を算出し得る。このコントローラーは、この作動時間を保存するためのランダムアクセスメモリを備え得る。本発明の1つの局面において、このコントローラーは、初期化時間を算出および保存し得る。この初期化時間は、吸息呼吸の流速が閾値流速より速い間の時間として算出され得る。次いで、このコントローラーは、初期化時間からその保存値を減算することによって、作動時間を算出し得る。このように、使用者が吸入する各時間で、エアロゾル生成は、その閾値流速が達成された場合に開始され、そしてすでにコントローラーにおいて算出および保存された作動時間の後に終了する。次いで、吸入の継続(ここで、この空気は、エアロゾルを含まず、追い出し物または追い出し通気と称され得る)は、実質的に全てのエアロゾルを、気道の標的化領域(例えば、肺)に移動させる。
【0014】
1つの特定の局面において、エアロゾル発生器は、複数のアパーチャおよび圧電変換器を有するプレートを備え、この圧電変換器は、コントローラーに接続されて、アパーチャプレートを振動させる。簡便に、アパーチャプレートは、形状がドーム型形状であり得、アパーチャは、テーパー状であり得る。別の局面において、フローセンサは、流速に関する電気信号を生成し、この電気信号をコントローラーに送るように構成され得る。このように、エアロゾル発生器は、閾値信号が受信された場合に作動し得る。
【0015】
1つの例示的な方法において、使用者は、マウスピースを介して1回呼吸を吸入し、マウスピースを介して気流を生成する。この気流は、フローセンサにより感知されて、エアロゾル発生器についての開始時間を決定する。開始時間において、コントローラーは、呼吸の初期部分の間、エアロゾル発生器を作動させて、エアロゾルを生成し、次いで、呼吸の継続が、上気道を浄化し、そして実質的に全ての生成されたエアロゾルを肺に送達するように選択された時間において、エアロゾル発生器の作動を停止する。
【0016】
本発明の1つの局面において、吸気は、T0として指定された時間において簡便に開始し得る。センサが、吸入された呼吸によって生成された流れが、閾値流速を超えたことを感知した場合に、エアロゾル発生器は、時間T1において作動を開始し得る。次いで、エアロゾル発生器は、吸気が時間T2において完了する前に停止し得る。吸気を続けて、吸気流が閾値速度を下回る時間は、時間T3として指定され得、そして、吸入が停止する時間は、時間T4として指定され得る。T2とT3との間の時間は、一般的にエアロゾルを含まない追い出し空気の継続的な吸入により、実質的に全ての生成されたエアロゾルを死腔容積からさらに気道へと移動させるのに必要な時間の概算である。時間T3は、吸入によって生成された流れが閾値流速を下回る、以前に測定された時間であり得る。1つの局面において、閾値流速は、1分あたり約8リットルであり得る。使用者は、デバイスのマウスピースを介して繰返し呼吸をし得る。呼吸がなされる各時間に、エアロゾル発生器は、フローセンサによって感知される新たな時間T1において開始し、エアロゾル発生時間が時間T2を終了した後に停止される。
【0017】
本発明はさらに、エアロゾル発生器(aerosolizer)を初期化するための方法を提供する。この方法に従って、初期呼吸は、マウスピースを介して行われ、マウスピースを介して気流を生成し、そして気流は、フローセンサにより感知される。コントローラーは、吸入された呼吸が閾値流速を超える初期化時間を測定および記憶し、この初期化時間は、T3−T1として表され得る。コントローラーはさらに、エアロゾル発生器作動時間を計算し、この時間は、初期化時間からコントローラー中の保存値を引いた時間に等しく、この保存値は、呼吸からの一般的にエアロゾルを含まない追い出し空気により、死腔容積を介してエアロゾル発生器から生成された実質的に全てのエアロゾルを移動させるための時間の概算である。この保存値は、時間T3−T1の割合であり得るか、または参照表の値からとられる値であり得、この値は、吸気流が、患者の個々の統計値に従った呼吸基準および解剖学的概算に基づいて、有効な死腔を満たす時間を表す。従って、コントローラーのメモリ中に提供されたこのような情報を用いて、本発明に従うデバイスを較正し得、そして広範な種々の特許およびレジメンにより使用される。例えば、1回呼吸レジメンが選択され得、ここで、患者は、通常の静かな呼吸パターンを単に維持するだけである。あるいは、選択されたレジメンは、呼吸保持操作であり得、この操作において、患者は吸入し、次いで、呼気を可能にするように緩和する前の特定の間隔の時間にわたって呼吸を保持する。同様に、例えば、使用者が深く呼吸するように指示されるか、または特定の時間吸入するように指示される他の呼吸操作が、使用され得る。さらに、使用者は、人工呼吸器で呼吸され得、この人工呼吸器において、空気は、試みられた吸入または自動的な吸入のいずれかに対して、機械によって使用者の気道に供給される。初期化期または保存値もしくは計算値、あるいはそれらの組み合わせのいずれかを介して、本発明に従うデバイスまたは方法は、エアロゾル化についての時間を決定し、その結果、エアロゾルは、残りの吸入された呼吸によって有効な死腔を浄化する。
【0018】
本発明は、1回呼吸または他の任意の呼吸操作をとり、そして死腔容積を満たすための時間を概算するのに必要な時間の測定を提供する。一旦、死腔を満たすための時間が概算されると、吸入デバイスは、この情報を使用して、続く呼吸に対する適切な時間においてエアロゾル生成を停止し、その結果、残りのエアロゾルは、残りの呼吸によって死腔容積から除去される。各々の新たな呼吸はまた、初期呼吸からの任意の変化について追跡され得、その結果、コントローラーは、続く呼吸のために、吸入時間の変化に基づいてエアロゾル作動時間を継続的に更新し得る。このようにして、このシステムは、呼吸パターンを呼吸ごとの更新によって変化するように適合し得る。この結果は、エアロゾル送達効率を増加させ、従って、廃棄薬物の量を減少させる。さらに、このような作動は、環境へ放出されるエアロゾルの量を減少させ得る。このようにして、大気に不注意に放出され得る、第2のハンドエアロゾルと称され得るいかなる量も、減少され得る。
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明は、エアロゾルの肺または気道の他の標的領域への輸送を容易にするように設計された技術およびデバイスを提供する。これらの技術およびデバイスは、エアロゾルが需要に応じて発生される適用において特に有用である。このことは、例えば、使用者がマウスピースを介して吸入して、エアロゾルの生成を引き起こす場合に生じ得る。使用者が吸入を続けるにつれて、エアロゾルは、肺に送達される。幾つかの場合において、発生されたエアロゾルの最後の部分は、肺に到達しないかもしれない。このエアロゾルの最後の部分は、吸入器マウスピースの出口と気道の標的化部分(例えば、肺)への入口との間のいわゆる死腔を単に満たす。
【0020】
本発明は、肺にエアロゾルを送達するための例示的なエアロゾル化デバイスおよび方法を提供する。1つの実施形態において、エアロゾル化デバイスは、マウスピースを有するハウジング、ハウジング内に配置されたエアロゾル発生器、フローセンサまたは圧力センサ、およびエアロゾル発生器の作動を制御するためのコントローラーを備える。このコントローラーは、閾値流速が、マウスピースを介して呼吸を吸入している使用者によって達成されたことを示すセンサからの信号の受信に対して、エアロゾル発生器の作動を開始するように構成される。このコントローラーはさらに、呼吸の吸入の継続が、実質的に全ての生成されたエアロゾルを気道の所定の領域(例えば、使用者の肺)へと送達するように選択される作動時間の経過後に、エアロゾル発生器の作動を停止するように構成される。
【0021】
このようにして、エアロゾル生成は、使用者が受容可能な吸気流速に達した場合に開始する。さらに、エアロゾル生成は、呼吸の吸気部分の最後の部分の間に停止され、その結果、吸気呼吸の残りには、エアロゾル化薬物が存在せず(従って、追い出し物とも称され得る)、患者の気道を通って気道の標的部分(例えば、肺)へとエアロゾルを移動させ、その結果、本質的にエアロゾルは、吸入の間に使用者の上気道には残らない。
【0022】
1つの局面において、本発明は、第1の吸入全体または吸入が感知されている間の第1の吸入全体にわたって、あるいは第1の吸入の間の一定の所定の時間(例えば、第1の吸入の最初の0.5秒または吸入が感知された後の第1の吸入の最初の0.5秒)にわたって、エアロゾルを供給するシステムまたはエアロゾルを供給する方法において具体化される。それに続く呼吸において、エアロゾルは、本明細書に記載される本発明の局面を限定する他のエアロゾルに従って決定されたパラメータに従って供給される。このようなシステムまたは方法において、使用者は、デバイスがエアロゾルの一部が第1の呼吸により供給されている点で作動して、初期呼吸によってデバイスによるエアロゾル作用が生じないという関心を使用者に抱かせないことを確信し、一方、エアロゾルは、使用者によってなされる呼吸の残りの間に、有効な死腔から浄化される。
【0023】
有効な解剖学的死腔容積は、選択された医薬が本質的に効果がない気道の容積(例えば、気道のより下方の部分に標的化された医薬の場合における上気道)として便宜的に規定され得る。有効な解剖学的死腔はまた、有効な死腔または単に死腔と称され得る。
【0024】
例えば、気管を通しての深部肺に標的化された投薬について、有効な解剖学的死腔は、上気道によって規定され得る。上気道は、口によって吸入される場合、周囲の空気から気管気管支樹間での容積として規定され得、これは、口、咽頭および喉頭を含む。上気道と、気道の最初の16世代(generation)(誘導気道と称され得る)との間の容積は、喉頭、気管および末端気管支を含む。全身処置を標的とする投薬について、呼吸系の標的化される部分は、深部肺と称され得る部分であり得、これは、気道の第17世代から肺胞までである。この場合、有効な解剖学的死腔は、気道の最初の16世代を通る、上気道および誘導気道の容積として規定され得る。この容積は、解剖学的死腔と称され得る。呼吸路の種々の部分が、Clinical Practice in Respiratory Care,Fink & Hunt,(Lippincott,Williams & Winters,Philadelphia,PA,1999)に記載されており、これの全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0025】
所定の使用者および所定のレジメンについての有効な死腔は、容易に測定された解剖学的測定または基準を使用して確立され得る。例えば、身長、性別および年齢に基づく、ヒトの平均体重または理想的体重を使用して、解剖学的死腔を、体重1ポンドあたりの1立方センチメートル(すなわち1ミリリットル)の比に基づいて、近似し得る。所定のレジメンについての有効な解剖学的死腔が、解剖学的死腔の上気道の部分のみを含む場合、この容積は、例えば、解剖学的死腔の半分または3分の1であると概算され得る。従って、例えば、誘導気道および肺を標的とする適用について、有効な解剖学的死腔は、上気道の容積であり、これは、約30cc〜約100ccの範囲であり得る。従って、本発明によるエアロゾル化デバイスは、広範な種々の使用者に対して較正され得る。
【0026】
1つの局面において、コントローラーは、一回呼吸からの一般にエアロゾルを含まない追い出し空気で死腔容積を本質的に満たすための送達時間の概算である、保存容積を含む。保存される容積は、コントローラーによって、エアロゾルが生成されるための作動時間を計算するために使用され得る。コントローラーは、作動時間を保存するランダムアクセスメモリを備え得る。本発明の1つの局面において、このコントローラーは、初期化時間を計算し、そして保存し得る。初期化時間は、吸息の流量が閾値流量より高い間の時間として計算され得る。次いで、このコントローラーは、保存された値を初期化時間から減算することによって、作動時間を計算し得る。この様式で、使用者が吸入するたびに、閾値流量に達する場合に、エアロゾル生成が開始し、そしてすでに計算されそしてコントローラーに保存された作動時間の後に、終了する。次いで、吸入(ここで、エアロゾルが存在しない空気を伴い、追い出し空気と称され得る)の継続は、実質的に全てのエアロゾルを、気道の標的領域(例えば、肺)に内に移動させる。
【0027】
1つの局面において、エアロゾル発生器は、複数のアパーチャを有するプレート、およびコントローラーに接続された、アパーチャプレートを振動させるための圧電変換器を備える。好都合には、このアパーチャプレートは、構成がドーム形状であり、そしてこれらのアパーチャは、テーパー状であり得る。別の局面において、フローセンサは、流量に関連する電気信号を発生させ、そしてこの電気信号をコントローラーに送信するように構成され得る。この様式で、エアロゾル発生器は、閾値信号が受信される場合に作動され得る。
【0028】
1つの例示的な方法において、使用者は、一回呼吸をマウスピースを通して吸入し、このマウスピースを通して、空気の流れを発生させる。この空気の流れは、フローセンサで感知されて、エアロゾル発生器のための開始時点を決定する。開始時点において、コントローラーは、呼吸の初期の部分の間にエアロゾル発生器を作動させて、エアロゾルを発生させ、次いで、呼吸の継続が上気道を浄化し、そして発生したエアロゾルの実質的に全てを肺に送達するように選択された時点で、エアロゾル発生器の作動を停止する。
【0029】
本発明の1つの局面において、吸息は、好都合には、T0と指定された時刻に開始し得る。エアロゾル発生器は、時刻T1で作動を開始し得、この時刻で、センサが、吸息によって生じたフローが閾値流量を超えたことを感知する。次いで、エアロゾル発生器は、吸息が完了する前に、時刻T2で停止され得る。吸息が続けられ、そして吸入流が閾値流量未満に低下する時点が、時刻T3と指定され得、そして吸入が停止する時点が、時刻T4と指定され得る。T2とT3との間の時間は、一般にエアロゾルを含まない追い出し空気の連続した吸入によって、発生されたエアロゾルの実質的に全てを、死腔容積から気道内へとさらに移動させるために必要とされる時間の概算である。時刻T3は、吸入によって発生するフローが閾値流量未満に低下する、予め測定された時間であり得る。1つの局面において、閾値流量は、1分間あたり約8リットルであり得る。使用者は、デバイスのマウスピースを介して、繰り返し呼吸し得る。呼吸されるたびに、エアロゾル発生器は、フローセンサによって感知されるような新たな時刻T1で開始し、そしてエアロゾル発生時間が時刻T2において終了した後に、停止する。
【0030】
本発明は、エアロゾル化デバイスまたはネブライザーを初期化するための方法を、さらに提供する。この方法によれば、最初の呼吸がマウスピースを通してなされ、このマウスピースを通して空気のフローを発生し、そしてこの空気のフローが、フローセンサで感知される。コントローラーは、吸息が閾値流量を超える初期化時間を測定および保存し、これは、T3−T1として表され得る。このコントローラーは、エアロゾル発生器作動時間をさらに計算し、この時間は、初期化時間から、コントローラーに保存された値を減算したものに等しく、これは、呼吸からの一般にエアロゾルを含まない追い出し空気を用いて、発生したエアロゾルの実質的に全てを、エアロゾル発生器から死腔容積を通して移動させるための時間の概算である。保存された値は、T3−T1の時間の割合であり得るか、または患者の個々の統計値に従う呼吸基準および解剖学的概算に基づいて、吸入フローが有効死腔を満たす間の時間を表す値の参照表から取られる値であり得る。従って、このような情報がコントローラーのメモリに提供されると、本発明によるデバイスは、広範な種々の患者およびレジメンに対して較正および使用され得る。例えば、一回呼吸吸息レジメンが選択され得、ここで、患者は単に、通常の静かな呼吸パターンを維持する。あるいは、選択されるレジメンは、吸息を保持する操作であり得、ここで、患者は、吸入し、次いで、特定の時間間隔にわたって呼吸を保持し、その後、弛緩して呼気を可能にする。同様に、他の呼吸操作が使用され得、例えば、使用者は、深く吸息するように、または特定の時間にわたって吸入するように指示される。さらに、使用者は、送風機を装着し得、ここで、空気が、使用者の呼吸路に、吸入が試みられる際にかまたは自動的にのいずれかで、機械によって供給される。初期化段階または保存されたかもしくは計算された値のいずれかを介して、あるいはこれらの組み合わせを介して、本発明によるデバイスまたは方法は、エアロゾルが、吸入された呼吸の残りによって有効死腔を浄化するように、エアロゾル化のための時間を決定する。
【0031】
呼吸シミュレーターデバイスおよびエアロゾル発生器デバイスの補助によって吸息を試験することによって、特定のレジメンに関して、有効死腔を充填するために必要とされる時間を計算することもまた、可能である。あるいは、エアロゾルを補足するためのフィルタと共に、異なる長さの管を、エアロゾル発生器と吸息シミュレーターとの間で使用し得る。次いで、シミュレーターが作動されて、吸息のパターンまたはレジメンを模倣し、そしてエアロゾルが、一定の吸入部分に供給され得、その都度、異なる長さの管が既知の容積(例えば、50ml、100ml、または他の容積の有効死腔の)を含む。次いで、特定の割合の吸入(この間に、エアロゾル発生が停止される)について、どの容積が、吸息シミュレーターの作用によって、管容積に対して浄化されるかが観察され得る。この様式で、一定長さの時間が、有効死腔容積の範囲にわたって有効死腔のクリアランスを提供する、一定時間であると概算され得るか、または一定時間として観察され得る。例えば、吸息の15%が続いて、有効死腔を浄化する時点で、エアロゾルをオフに切り換える。
【0032】
本発明の別の局面において、死腔容積は、解剖学的な測定またはパラメータに基づいて概算され得、そして異なる吸入時間が表に入れられ、エアロゾル化遮断の時間の概算された割合は、吸入の時間の長さに基づいて与えられる容積を浄化するために使用される。例えば、上気道の有効死腔を浄化するためには、0.5〜1秒間の吸入の場合、吸息の最後の33%がエアロゾルを含まないべきであり、1〜2秒間の吸入については、最後の25%がエアロゾルを含まないべきであり、2〜3秒間の吸入については、最後の15%がエアロゾルを含まないべきであり、そして3秒間を超える吸入については、最後の10%がエアロゾルを含まないべきであることが、概算され得る。このような情報がコントローラーのメモリに組み込まれた状態で、エアロゾル発生は、吸入の持続時間に基づいて、有効死腔を浄化する、残りの吸入の異なる割合で、停止され得る。
【0033】
本発明は、液体医薬を噴霧する、本質的に任意のアトマイザ(例えば、米国特許第5,140,740号、同第5,938,117号、同第5,586,550号、同第5,758,637号、および同第6,014,970号(先に参考として援用された)に記載されるもの)と共に使用され得る。しかし、本発明は、これらの特定の噴霧器のみに限定されず、ちょうど記載されたように空気フローがデバイスを通して提供される、任意の噴霧デバイスと共に使用され得ることが理解される。さらに、本発明はまた、吸息により作動される本質的に任意の型の送風機と共に使用され得る。単なる例として、本発明と共に使用され得る1つの型の送風機は、2001年5月4日に出願された、同時係属中の米国出願番号09/849,194号(その完全な開示は、本明細書中に参考として援用される)に記載される。
(項目1)
エアロゾル化デバイスであって、以下:
マウスピースを有する、ハウジング;
該ハウジング内に配置された、エアロゾル発生器;
フローセンサ;および
該エアロゾル発生器の作動を制御するための、コントローラー;
を備え、ここで、該コントローラーは、該マウスピースを介して吸入する場合に、使用者によって閾値流量が達成されたことを示す、該フローセンサからの信号の受信に対して、該エアロゾル発生器の作動を開始し、呼吸の継続が、実質的に全ての生成されたエアロゾルを使用者の肺に送達するように選択される作動時間の経過後に、該エアロゾル発生器の作動を停止するように構成される、エアロゾル化デバイス。
(項目2)
項目1に記載のデバイスであって、前記コントローラーは、呼吸からの一般的にエアロゾルを含まない追い出し空気により、所定の死腔容積を本質的に満たすための送達時間の概算である保存値を含み、ここで、該コントローラーは、該保存値を使用して該作動時間を計算するように構成される、デバイス。
(項目3)
項目1に記載のデバイスであって、前記コントローラーは、前記流量が、初期化処理の間の前記閾値流量より上である時間の長さに等しい初期化時間を計算および保存するように構成され、ここで、該コントローラーは、該初期化時間から該保存値を引くことによって前記作動時間を計算するようにさらに構成される、デバイス。
(項目4)
前記エアロゾル発生器が、複数のアパーチャを有するプレート、および前記コントローラーに接続されて、該アパーチャプレートを振動させる圧電変換器を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
前記アパーチャプレートが、形状がドーム型形状であり、該アパーチャが、テーパー状である、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
前記フローセンサが、前記流量に関する電気信号を生成し、そして該電気信号を前記コントローラーに送信するように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
前記死腔容積が、上気道容積の概算である、項目2に記載のデバイス。
(項目8)
前記コントローラーが、前記作動時間を保存するためのランダムアクセスメモリを備える、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
液体を前記エアロゾル発生器に提供するための前記ハウジング内に配置された液体の供給をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
液体をエアロゾル化するための方法であって、該方法は、以下:
マウスピースを有するハウジング、該ハウジング内に配置されたエアロゾル発生器、フローセンサ、および該エアロゾル発生器の作動を制御するためのコントローラーを備えるエアロゾル化デバイスを提供する、工程;
該マウスピースを介して1回呼吸を吸入して、該マウスピースを介して気流を生成する、工程;
該フローセンサにより該気流を感知して、該エアロゾル発生器の開始時間を決定する、工程;ならびに
該開始時間において、該コントローラーにより、該1回呼吸の初期部分の間に該エアロゾル発生器を作動させて、エアロゾルを発生させ、次いで、該1回呼吸の継続が、実質的に全ての生成されたエアロゾルを肺に送達するように選択された時間において、該エアロゾル発生器の作動を停止する、工程、
を包含する、方法。
(項目11)
T0が、前記吸入の開始として規定される、項目10に記載の方法であって、以下:
該吸入された呼吸が閾値を超えることを感知する工程、および該閾値時間を時間T1として規定する工程;ならびに
前記コントローラーから信号を送信して、時間T1において前記エアロゾル発生器を作動させる工程、
をさらに包含する、方法。
(項目12)
項目11に記載の方法であって、前記エアロゾル発生器が、エアロゾル発生時間の呼気後に停止され、該時間は、一般的に、T1〜T3の時間からT2〜T3の時間を引いた時間に等しく、ここで、T2〜T3の時間が、前記残留1回呼吸からの一般的にエアロゾルを含まない追い出し空気により、死腔容積から実質的に全ての生成されたエアロゾルを移動させるための時間の概算であり、ここで、該死腔容積は、前記マウスピースと肺への入口との間の容積であり、ここで、時間T3は、1回呼吸によって生成された流れが、前記閾値流量より下回る、前に測定された時間である、方法。
(項目13)
前記閾値流量が、1分あたり約8リットルである、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記マウスピースを介して別の1回呼吸を吸入する工程、および前記フローセンサによって感知される際の新たな時間T1において前記エアロゾル発生器の作動を開始する工程、および前記エアロゾル発生時間が終了した後に該エアロゾル発生器の作動を停止する工程、をさらに包含する、項目11に記載の方法。
(項目15)
エアロゾル発生器を初期化するための方法であって、該方法は、以下:
マウスピースを有するハウジング、該ハウジング内に配置されたエアロゾル発生器、フローセンサ、および該エアロゾル発生器の作動を制御するためのコントローラーを備えるエアロゾル化デバイスを提供する、工程;
該マウスピースを介して初期1回呼吸を吸入して、該マウスピースを介して気流を生成する、工程;
該フローセンサにより該気流を感知する工程;
該吸入された呼吸が、閾値流量を超える初期化時間を、該コントローラーにおいて測定および保存する工程;ならびに
エアロゾル発生器作動時間を計算する工程であって、該作動時間は、該初期化時間から該コントローラー中の保存値を引いた時間に等しく、該保存値は、1回呼吸からの一般的にエアロゾルを含まない追い出し空気によって、死腔容積を介して該エアロゾル発生器から生成された実質的に全てのエアロゾルを移動させるための時間の概算であり、ここで、該死腔は、該マウスピースと肺への入口との間の容積である、工程、
を包含する、方法。
(項目16)
前記初期1回呼吸が、時間T0において開始する、項目15に記載の方法であって、前記吸入された呼吸によって生成された流れが、前記閾値流量を超える時間T1、および該吸入された呼吸によって生成された流れが、該閾値流量を下回る時間T3において、センサにより感知する工程をさらに包含し、ここで、該初期化時間が、T3からT1を引いた時間に等しい、方法。
(項目17)
前記閾値流量が、1分あたり約8リットルである、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記コントローラーのランダムアクセスメモリ内に前記作動時間を保存する工程をさらに包含する、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記死腔容積が、約200立方センチメートル〜約400立方センチメートルの範囲である、項目15に記載の方法。
(項目20)
前記エアロゾル発生器の作動より前に、該エアロゾル発生器に液体を供給する工程をさらに包含する、項目15に記載の方法。
(項目21)
噴霧された流体を使用者に送達するための方法であって、以下の工程:
噴霧化要素を提供する工程;
流体を該噴霧化要素に送達する工程;
該噴霧化要素を作動させて、噴霧された流体を生成する工程;
使用者の吸入の間に該使用者に該噴霧された流体を送達する工程であって、該噴霧された流体は、該使用者への経路を介して移動する、工程;
該使用者の吸入の終了の前に該噴霧化要素を停止して、それにより、該経路が、追い出し空気により満たされ始める、工程、
を包含する、方法。
(項目22)
前記作動工程および停止工程は、使用者の各呼吸について多数回繰り返される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記停止工程が、吸入の間の少なくとも1つの呼吸特性に基づく時間を選択することによって実行される、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記停止工程が、圧力および流量のうちの少なくとも1つである前記呼吸特性により実行される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記停止工程が、少なくとも1回の前の呼吸からの特性に基づく時間を選択することによって実行される、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記停止工程が、少なくとも1回の前の呼吸についての吸入時間に基づく時間を選択することによって実行される、項目21に記載の方法。
(項目27)
前記作動工程が、前記使用者の呼吸の特性を測定することによって実行される、項目21に記載の方法。
(項目28)
前記作動工程が、閾値圧力が達成される場合に実行される、項目21に記載の方法。
(項目29)
前記作動工程が、閾値吸入流量が達成される場合に実行される、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記提供する工程が、複数の孔を有する振動素子を有する噴霧化要素により実行され、そして、前記作動工程が、前記流体が該複数の孔を通過するように実行される、項目21に記載の方法。
(項目31)
前記停止工程および作動工程が、作動時間が停止時間より短いように実行される、項目21に記載の方法。
(項目32)
前記停止工程が、使用者の吸入の終了の少なくとも約0.5秒前に開始される、項目21に記載の方法。
(項目33)
前記停止工程が、使用者の吸入の終了の少なくとも約0.5〜約2.0秒前に開始される、項目21に記載の方法。
(項目34)
前記停止工程が、使用者の体重に少なくとも一部基づいて、時間を選択することによって実行される、項目21に記載の方法。
(項目35)
前記提供する工程が、送風機回路の一部である前記噴霧化要素により実行される、項目21に記載の方法。
(項目36)
前記作動工程および停止工程が、制御システムに作動可能に接続され、該システムはまた、前記送風機に接続される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記停止工程が、前記使用者の吸入の終了の前の所定の時間において、前記噴霧化要素を停止させることによって実行される、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記停止工程が、前記前吸入時間の割合である前記所定の時間量で実行される、項目35に記載の方法。
(項目39)
前記作動工程および停止工程が、前記使用者の1回呼吸の間の回数で実行される、項目21に記載の方法。
(項目40)
前記停止工程が、前記噴霧化要素を停止させるための時間を計算することによって実行され、該時間は、前記経路における噴霧された流体の量を最小限にするように選択される、項目21に記載の方法。
(項目41)
前記噴霧された流体の少なくとも一部が、肺を介して前記使用者の血流に進入する、項目35に記載の方法。
(項目42)
前記死腔容積が、約200立方センチメートル〜約400立方センチメートルの範囲である、項目15に記載の方法。
(項目43)
前記エアロゾル発生器を作動させる前に、液体を該エアロゾル発生器に供給する工程をさらに包含する、項目15に記載の方法。
(項目44)
エアロゾル化デバイスであって、以下:
マウスピースを有するハウジング;
該ハウジング内に配置されたエアロゾル発生器;
フローセンサ;および
該エアロゾル発生器の作動を制御するためのコントローラー;
該コントローラーによってアクセス可能なメモリ;および
該コントローラーによってアクセス可能な参照表;
を備え、ここで、該コントローラーは、該参照表の情報に少なくとも一部基づいて、該エアロゾル発生器の作動を停止するように構成される、エアロゾル化デバイス。
(項目45)
前記参照表が、吸気流が呼吸基準および患者の個々の統計量に従う解剖的概算に基づいて、前記有効死腔を満たす間の時間を表す値の表を含む、項目44に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明に従うフローセンサを有するエアロゾル化デバイスの断面外略図である。
【図2】図2は、空気がデバイスに流れ込んでフローセンサを作動させる場合の、図1のエアロゾル化デバイスを示す。
【図3】図3は、本発明に従うフローセンサの1つの実施形態の斜視図である。
【図4】図4は、吸入器から呼吸をする場合の流速 対 時間のグラフおよび本発明に従ってエアロゾル作動時間が計算される方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで図1を参照すると、エアロゾル化デバイス10の1つの実施形態が記載される。デバイス10は、エアロゾル化デバイス10の種々の構成要素を保持するためのハウジング12を備える。ハウジング12は、マウスピース14、および使用者がマウスピース14から吸入する場合にハウジング12内への空気の進入を可能にするための、1つ以上の排気口(図示せず)をさらに備える。ハウジング12内には、エアロゾル発生器16が配置されており、このエアロゾル発生器は、カップ形状部材18を備え、この部材に、アパーチャプレート20が取り付けられる。環状圧電素子22が、カップ形状部材18と接触し、その結果、電流が圧電素子22に供給される場合、カップ形状部材18が振動し、アパーチャプレート20を振動させる。アパーチャプレート20は、構成がドーム形状であり、そして複数のテーパー状アパーチャを備え、これらのアパーチャは、後部の凹状表面から前部の凸状表面へと狭くなる。エアロゾル化デバイス10において使用され得る例示的なアパーチャプレートおよびエアロゾル発生器は、米国特許第5,140,740号、同第5,938,117号、同第5,586,550号、同第5,758,637号、および同第6,014,970号(先に参考として援用された)に記載されている。
【0036】
エアロゾル化デバイス10は、エアロゾル発生器16によってエアロゾル化されるべき液体の供給を有する、容器24をさらに備える。容器24は、計量バルブ、または計量された量の液体をアパーチャプレート20の凹状後表面上に配置するための他の液体供給システムを備え得る。使用者によって要求される場合に、示されないが、ボタン、電気ソレノイドなどが、この容積の液体を分配するために使用され得る。あるいは、容器24は、単位用量薬物アンプルであり得、そしてこのような単位容量アンプルは、例えば、デバイス10への挿入前または挿入時に、引き裂かれるかまたは穿孔されることによって、開かれ得る。さらに、容器24は、別の容器(図示せず)から供給され得るか、または流体管もしくはリザーバが、容器とアパーチャプレート20との間に配置されて、アパーチャプレート20への流体の送達を容易にし得る。
【0037】
デバイス10は、エアロゾル化デバイス10の種々の電気構成要素を保持するための、エレクトロニクス領域26を備える。例えば、このエレクトロニクス領域26は、プリント回路基板28を備え得、この基板は、エアロゾル発生器16の作動を制御するためのコントローラーとして働く。回路基板28は、電気信号を圧電素子22に送信して、アパーチャプレート20を振動させ得る。回路基板28はまた、適切なメモリを備え得る。電源30(例えば、1つ以上のバッテリー)が、回路基板28に電気的に接続され、エアロゾル化デバイス10に電力を提供する。
【0038】
エアロゾル化デバイス10のハウジング12は、フローセンサ32を備え、このセンサは、回路基板28に電気的に接続される。フローセンサ32は、1つ以上の入口換気口とマウスピース14との間に延びる流路を横切って配置される。フローセンサ32は、屈曲センサとして構成され、これは、使用者がマウスピース14から吸入して、ハウジングを通る空気の流れを作製する場合に、図2に示されるように屈曲する。フローセンサ32は、ハウジング12を通って流れる空気の速度に比例して屈曲する。フローセンサ32はまた、屈曲の量に比例する電気信号を発生させるように構成される。この信号は、回路基板28に伝達され、この回路基板は、閾値信号(例えば、電圧低下)がセンサ32によって発生される場合に、電気信号を圧電素子22に送信するように構成され得る。閾値電圧低下が維持される限り、この回路は、電気信号を圧電素子22に供給しその結果、エアロゾル発生器16は、そこに提供される液体をエアロゾル化する。しかし、使用者が、閾値より低く電圧低下を引き起こす流量を発生させる場合、回路基板28は、電流をエアロゾル発生器16に供給することをやめ、これによって、エアロゾル化プロセスを停止させる。さらに、回路基板28は、マウスピース14を通って流れる空気の流量を経時的に記録して、この空気の容積を測定するように構成され得る。この様式で、回路基板28は、使用者の一回の呼吸容積、または所定の吸息レジメンに従って使用者が吸入する空気の容積を決定するために使用され得る。
【0039】
ここで図3を参照すると、フローセンサ32が、さらに詳細に記載される。フローセンサ32は、ひずみ感受性ポリマー36の薄膜(これは、シート34上に配置される)を有する、薄い可撓性シート34を備える。一対の電気リード線38および40が、ポリマー36に電気的に接続されて、シート34の屈曲の量に比例する電圧の変化を測定し得る。これによって、回路基板28(図1を参照のこと)は、リード線38および40に電気的に接続され得、そして使用者がマウスピース14から吸入する際の電圧低下を測定するための回路構造を備え得る。次いで、この情報は、マウスピース14を通る流量を測定するために使用され得る。1つの特定の実施形態において、可撓性シート34は、約5mmの幅、約20mmの長さ、および約20ミクロンの厚さを有し得る。エアロゾル化デバイスにおいて使用され得るセンサの例としては、Flexpoint Flexible Sensor Systems,Midvale,Utahから市販されている、Bend Sensor(登録商標)が挙げられる。使用され得る他の型のセンサとしては、米国特許第6,014,970号、および2000年11月2日に出願された、同時係属中の米国出願番号09/705,063(本明細書中に参考として援用される)に記載されるものが挙げられる。しかし、本発明は、本明細書中に記載されるセンサのみに限定されないことが意図されることが、理解される。例えば、センサは、使用者がマウスピースを通して吸引することによって生じる予め決定された圧力低下において、ハウジング内の圧力低下を感知する、圧力センサであり得る。
【0040】
ここで図4を参照すると、吸入器(例えば、エアロゾル化デバイス10)を初期化し、そして作動させるための技術が記載される。デバイス10を初期化するために、使用者は、マウスピース14から最初の吸息をする。センサ32は、ハウジング12を通る空気の流れを感知し、そして回路基板28は、経時的にこの流量を記録する。このことは、図4のグラフに示されている。デバイス10が初期化される場合、使用者は、回路基板28に信号を送信するボタンまたはノブを作動させることによって、デバイス10を初期化モードにおき得、その結果、エアロゾル発生器は、作動されない。
【0041】
回路基板28のコントローラーは、呼吸の開始時刻T0および終了時刻T4を決定し、そしてメモリに保存する。また、このコントローラーは、流量が閾値流量を超えた時点(T1)、次いで、閾値流量未満に戻る時点(T3)を、ランダムアクセスメモリに保存する。この閾値流量は、コントローラーがエアロゾル発生器16の作動を開始するように構成される割合である。これは、代表的に、時刻T1と時刻T3との両方について、1分間あたり約8リットルである。メモリ中には、時刻T2〜時刻T3までの概算が保存されており、これは、本質的に全てのエアロゾルが死腔容積から移動されるために必要とされる時間の概算として規定される。
【0042】
T2〜T3の時間は、種々の要因(例えば、使用者の解剖学的測定または基準であり、例えば、所定の身長、性別もしくは年齢に対して平均であるかまたは一般に認容可能な理想の体重である)から決定され得る。このような概算の調節は、使用者の個々の状態(例えば、呼吸路の容積を減少させる、身体的状態(例えば、呼吸路における過剰の分泌または膨潤した組織))に基づいてなされ得る。さらに、このコントローラーは、使用者の感知された呼吸に基づく情報を使用し得、従って、例えば、時刻T1および時刻T3のいくつかの呼吸にわたる平均、ならびに従って、時間T3−T1の値を決定し得る。この情報は、時刻T2がいつに設定されるべきかを決定するための、時間T3−T2の長さの計算において、考慮され得る。時間T3−T2の時間は、T3−T1の時間の割合として計算され得る。あるいは、所定の使用者およびレジメンに対して、時間T3−T2の時間は、一定に設定され得る。これらの値の任意のものが、このデバイスのランダムアクセスメモリに保存されて、個々の使用者およびレジメンについての較正、または薬物送達のために利用可能であり得る:T1からT3までの時間、2)いくつかの先行する呼吸にわたる平均、3)T3−T1の割合、4)一定の値および5)T3−T2の時間に基づく死腔の決定のための計算。この情報を用いて、デバイス10は、式:(T3−T1)−(T3−T2)に従って、エアロゾル作動または送達時間を計算することによって、初期化され得る。さらに、時間T3−T1は、続く呼吸においてモニタリングされ得、そして変化が考慮され得るか、または式(T3−T1)−(T3−T2)に再計算され得る。
【0043】
一旦初期化されると、デバイス10は、作動モードに置かれ得る。使用者が一回呼吸量をマウスピース14から行う場合、フローセンサ32は、閾値流量がいつ達成されたかを感知する。次いで、コントローラーがエアロゾル発生器を作動させて、エアロゾルの生成を開始する。次いで、エアロゾル作動時間(これは、本明細書中に記載されるように、予め計算され、そしてメモリに保存されている)の経過後に、コントローラーは、エアロゾル発生器の作動を停止させる。エアロゾル生成が停止すると、使用者は、吸息の終了まで吸入を続ける。このことにより、新鮮な空気がハウジングおよび使用者の気道を通って移動して、残りのエアロゾルを、死腔容積から、呼吸路の標的領域(例えば、深部肺)内へと送達する。使用者が吸入するごとに、この同じプロセスが繰り返される。このことは、例えば、単位用量の薬物を受容するために吸息を繰り返す場合に、必要であり得る。
【0044】
実質的に全てのエアロゾルを肺に送達することによって、この吸入器の効率および効果が増加する。さらに、いわゆる中古のエアロゾルを不注意に放出する機会が低下される。
【0045】
本発明を、ここで、理解の明瞭さの目的で詳細に記載した。しかし、特定の変化および改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内でなされ得ることが、理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−99544(P2013−99544A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−285036(P2012−285036)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2010−182645(P2010−182645)の分割
【原出願日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願人】(594103677)エアロジェン,インコーポレイテッド (6)