説明

有害物質排気装置

【課題】作業台上から散逸させずに捕集出来、作業者保護及び拡散防止性能の向上を計る。
【解決手段】作業台2の一側に直立して、作業台と共に側面視L字状を呈して吸排気制御手段を設けてなり、吸排気制御手段は、外気を吸引しエアカーテン気流として吹き出す第1のファン5及び、作業台の作業面上の作業空間から吸気口を経て吸排気制御手段内に吸引した外気をフィルターに介して外部に放出する第2のファン8を内装し、作業台の、前記吸排気制御手段と対向する側縁に沿って、エアカーテン気流を作業台の作業面に添って噴出するエアカーテン気流噴出スリット19を配し、かつ、前記吸排気制御手段の作業面側基部の立ち上がり面に沿ってエアカーテン気流を噴出するエアカーテン気流噴出スリットを作業台に配し、前記吸排気制御手段の立ち上がり面の上部には吸気口を開口した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業台の作業面上で発生した有害気体、特に比重の大なる有害物質を、作業面上に滞留することなく、かつ、その作業台の周囲で作業している作業員に吸引させることなく、作業台上から除去することを可能にした局所排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
局所排気装置内の作業台で作業を行う場合、作業台の周囲を囲ってその内部を作業空間とし、天井部を噴気口とし、作業空間に噴出した清浄空気は作業台前面の開口部から作業台外に流出するクリーンベンチが知られているが、(特許文献1)この装置は作業空間の空気を排気するための排気風量は多いものとなる。また、作業により例えば人体に悪影響のある気体が生ずるような場合、作業者がそれを吸引してしまうというような事態が生じ、周囲環境への悪影響が生ずる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3084605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は作業台上で作業を行う際に発生する有害物質等を、作業台上から散逸させずに捕集出来、作業者保護及び拡散防止性能の向上を計ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の有害物質排気装置は、作業台の一側に直立して、作業台と共に側面視L字状を呈して吸排気制御手段を設けてなり、吸排気制御手段は、外気を吸引しエアカーテン気流として吹き出す第1のファン及び、作業台の作業面上の作業空間から吸気口を経て吸排気制御手段内に吸引した外気をフィルターに介して外部に放出する第2のファンを内装し、作業台の、前記吸排気制御手段と対向する側縁に沿って、エアカーテン気流を作業台の作業面に添って噴出するエアカーテン気流噴出スリットを配し、かつ、前記吸排気制御手段の作業面側基部の立ち上がり面に沿ってエアカーテン気流を噴出するエアカーテン気流噴出スリットを作業台に配し、前記吸排気制御手段の立ち上がり面の上部には吸気口を開口した。
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の有害物質排気装置であって、吸排気制御手段の作業面側の立ち上がり面の両側に、側板を設け上昇エアカーテン気流と水平エアカーテン気流との合流部位を囲ったものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明装置は、作業台の側縁に沿ってエアカーテン気流を作業台の作業面に添って噴出する水平エアカーテン気流噴出スリットを設けているために作業面上の直近に滞留している特に比重の大なる有害物質の排除に有効で、作業台上の有害物質その他の滞留が少なくなる。
【0007】
本発明装置は、吸排気制御手段の作業面側の立ち上がり面の両側に、側板を設け上昇エアカーテン気流と水平エアカーテン気流との合流部位を囲ったために、合流した水平エアカーテン気流と上昇するエアカーテン気流とが混合して渦を生ずるような状体となっても側板のために混合気流が装置外に流出するようなことがなく、作業者保護及び環境への有害物質の拡散防止性能の向上を期待できる。
本発明装置にあっては、上昇及び水平エアカーテン気流共にその噴出口の形状をスリット形としているために排気風流の低減が可能となり省エネ効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明は装置の右側の側板を取り除いた状態の右側面図。
【図2】本発明装置の平面図。
【図3】本発明装置の正面図。
【図4】Aは本発明装置の水平エアカーテン気流噴出スリット部分の切断端面図、Bは同じく時幼少エアカーテン気流の噴出スリット部分の切断端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明実施の一例を図面と共に次に説明する。
本発明有害物質排気装置1は、作業台2と、作業台2上に載置された状態に設けられた吸排気制御手段3とよりなり、吸排気制御手段3は作業台2上に側面視L字形となるように設けられている。
【0010】
吸排気制御手段3は、ダクトを兼ねた函体をなし、該函体内部を上下2区画に分け、下部の第1の区画4a内に、後述する上昇エアカーテン気流5a用と水平エアカーテン用気流5b用のファン5を設けると共に、第2の区画4b内には後述する作業空間6の有害物質等を吸引し、有害物質吸着フィルター7に吸引気体を送るファン8を配置する。有害物質吸着フィルター7を通った有害物質を含む吸引気体は清浄化され排気口9より排出される。10は、前記ファン8の作動により、作業空間6の有害物質を含む気体を、第2の函体5bに吸い込む吸気口であり、ルーバーが設けられている。吸排気制御手段3のだい2の区画4bは上部が作業空間6側に張り出し、下部と上部の張り出し部分との間の傾斜面に前記した吸引口10が位置しルーバーが設けられている。
【0011】
即ち、上昇エアカーテン気流5aと水平エアカーテン気流5bとの合流点部位の左右両側部には側板11が設けられ有害空気が吸排気制御手段3の外側に逃れるのを防止している。12は第1の区画4aに設けた外気の吸入口である。
【0012】
第1の区画4aに設けられたエアカーテン用ファン5に接続して作業台2の下面にダクト13が設けられ、第1の区画4a内のファン5により圧送されたエアが、ダクト13に送られる。ダクト13の端部に水平エアカーテン吹出し用ノズル体14を設ける。
【0013】
同ノズル体14は、作業台2の下部全体に位置して設けられたダクト13,13のエアを受け入れているが、図4Aに切断端面で示すごとく、作業空間6側の法面15は若干傾斜し、該法面15に通気口16を設けている。そして法面15と極めて少ない間隔(例えば1mm)を有して、前記通気口16を被うように通気口カバー17を設けている。通気口カバー17は上部にあっては吹出し用ノズル体14と密接しているが、下端部にあっては法面15と通気口カバー17とは間隔を有し開放され、そこからノズル体14内のエアは法面15に添って噴出し、水平エアカーテン気流噴出スリット22を構成している。噴出したエアは作業台2の表面に当り同面上を制御手段3の方向に水平エアカーテン気流5bとして流れて行く。
【0014】
また、吸排気制御手段3の作業空間側立ち上がり面18に接して、ダクト13の上面にも上昇エアカーテン気流噴出スリット19を設けている。該スリット19から噴出した上昇エアカーテン気流5aは、吸排気制御手段3の作業空間側立ち上がり面18に添って上昇し吸引口10から吸排気制御手段3内に吸引される。
20は操作スイッチ、21は照明灯である。
【0015】
本発明装置を使用するときは、適宜テーブル上に本発明装置1を置き、作業台2の前面に立ち或は椅子に掛けて作業をする。
スイッチ19の操作により、エアカーテン用ファン5は回転し、外気吸入口12から装置1外の外気を、第1の区画4aに吸入すると共に、第1の区画4aに連続しているダクト13に送り出す。ダクト13に送られた外気は先ず上昇エアカーテン気流噴出スリット19で一部がダクト13外に噴出し垂直状態に、吸排気制御手段3の作業空間側立ち上がり面18に添って上昇エアカーテン気流5aとして上昇し周囲の作業空間6内に位置する汚染空気を取り込み吸気口10から吸排気制御手段3の第2の区画4b内にファン8により吸引される。
【0016】
上昇エアカーテン気流噴出スリット19を通過したエアは、ダクト13内を進み、水平エアカーテン用ダクト14に入り、図4Aに示す如く通気口16を経てダクト14の法面15とスリットカバー17との間隙15aで作られる水平エアカーテン気流噴出スリット21から法面15に添って作業台2上に噴出するが、その噴気は作業台2の面に当たって作業台2の面に添って水平方向に流れることになる。
【0017】
この水平方向のエアカーテン気流5bによって作業台2の作業面上に滞留している有害物質などは流れに乗って移動し、作業面端部において生じている上昇エアカーテン気流5aと共に吸排気制御手段3に吸引される。
作業台2の上記水平エアカーテン気流5bと上昇エアカーテン気流5aとの合流点にあっては、作業台2の両側部に吸気口10を挟む状態に側板11が設けられているので、合流した水平エアカーテン気流と上昇エアカーテン気流とが混合して渦を生じるような状態となっても前記側板11のために混合した気流が装置外に流出するようなことはなく、吸引口10に吸引される。
【0018】
吸引口10から吸排気制御手段3に入った有害物質を含む気流は有害物質吸着フィルター7により有害物質が取り去られ排気口9から装置外に排出される。
【符号の説明】
【0019】
1 有害物質排気装置
2 作業台
3 吸排気制御手段
4a 第1の区画
4b 第2の区画
5 エアカーテン用ファン
5a 上昇エアカーテン気流
5b 水平エアカーテン気流
6 作業空間
7 有害物質吸着フィルター
8 ファン
9 排気口
10 ルーバー
11 側板
12 外気の吸入口
13 ダクト
14 水平エアカーテン用ダクト
15 法面
16 通気口
17 スリットカバー
18 作業空間側立ち上がり面
19 上昇エアカーテン気流噴出スリット
20 操作スイッチ
21 照明灯
22 水平エアカーテン気流噴出スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台の一側に直立して、作業台と共に側面視L字状を呈して吸排気制御手段を設けてなり、吸排気制御手段は、外気を吸引しエアカーテン気流として吹き出す第1のファン及び、作業台の作業面上の作業空間から吸気口を経て吸排気制御手段内に吸引した外気をフィルターに介して外部に放出する第2のファンを内装し、作業台の、前記吸排気制御手段と対向する側縁に沿って、エアカーテン気流を作業台の作業面に添って噴出するエアカーテン気流噴出スリットを配し、かつ、前記吸排気制御手段の作業面側基部の立ち上がり面に沿ってエアカーテン気流を噴出するエアカーテン気流噴出スリットを作業台に配し、前記吸排気制御手段の立ち上がり面の上部には吸気口を開口したことを特徴とする有害物質排気装置。
【請求項2】
吸排気制御手段の作業面側の立ち上がり面の両側に、側板を設け上昇エアカーテン気流と水平エアカーテン気流との合流部位を囲ったことを特徴とする請求項1記載の有害物質排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−266076(P2010−266076A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115169(P2009−115169)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(591066465)日本エアーテック株式会社 (27)