説明

有害生物のコントロールのための相乗的方法

【課題】ゴキブリおよび/またはクモの殺虫剤によるコントロールすることができる相乗的方法を共なう組成物を提供する。
【解決手段】ビフェンスリンおよびフィプロニルを組み合わせることにより相乗的な効果が得られ、ビフェンスリンおよびフィプロニルは、約10:1から約1:1の重量対重量の比で存在し、少なくとも約100ppmのビフェンスリンが用いられ、該ゴキブリが、ドイツゴキブリおよびアメリカゴキブリから選ばれる。また、クモ例えばブラック・ハウス・スパイダーのコントロールでは、相乗的に有効な量のビフェンスリンおよび相乗的に有効な量のフィプロニルを、一緒にまたは連続しての何れかで、そして任意の順序で適用し、ビフェンスリン対フィプロニルの重量比が約2:1から約1:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフェンスリン(bifenthrin)およびフィプロニル(fipronil)の相乗的混合物を用いるゴキブリ(cockroach)およびクモ(spider)のコントロール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴキブリおよびクモは、どんな場所でもそしてどんなときでも、ヒトおよび動物が生存している環境に現れる家庭の有害生物である。それらは、一般に食品および物品を汚染し、ヒトおよび動物を細菌およびウイルスの危険にさらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
殺虫組成物が、普通これらの有害生物をコントロールするのに使用されている。これらの有害生物をコントロールするために殺虫組成物を開発するのに生ずる懸念は、有害生物の集団を有効にコントロールするのに必要な殺虫剤の量である。もしゴキブリおよびクモをコントロールするための新しい殺虫組成物が、現在の使用量よりも少ない割合で有効なコントロールを行うことができるならば、環境上およびコスト上の利点が実現できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ビフェンスリンおよびフィプロニルの或る組み合わせがゴキブリおよびクモの相乗的コントロールをもたらすことが見いだされた。従って、本発明の方法は、ゴキブリおよび/またはクモのコントロールが必要であるかまたは必要であることが予想される場所へ、ビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせの相乗的に有効な割合を適用することからなる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ビフェンスリンおよびフィプロニルの或る組み合わせが、ゴキブリまたはクモに適用されるとき、予想されないほど有利な殺虫活性を示すことが見いだされた。ビフェンスリンおよびフィプロニルを含む殺虫組成物は、これらの個々の殺虫剤の単独使用に比べて顕著に低い使用割合で、ゴキブリおよびクモに適用するとき、ノックダウンおよび致死の特徴を顕著に改善した。
【0006】
本発明の好ましい態様は、ゴキブリおよび/またはクモのコントロールが必要であるかまたは必要であることが予想される場所、例えば有害生物が侵入した建造物、有害生物が侵入すると予想される建造物またはこれらの建造物に隣接する場所へ、ビフェンスリンおよびフィプロニルからなる組成物を相乗的に殺虫に有効な量で適用することによって、ゴキブリおよび/またはクモをコントロールする方法である。
【0007】
本発明の他の態様は、ゴキブリおよび/またはクモをコントロールする方法であり、それは、ゴキブリおよび/またはクモのコントロールが必要であるかまたは必要であることが予想される場所へ、相乗的に有効な量のビフェンスリンおよび相乗的に有効な量のフィプロニルを、一緒にまたは連続しての何れかで、任意の順序で適用することを含み、その場合ビフェンスリン対フィプロニルの重量比は約10:1から約1:1である。ビフェンスリン対フィプロニルの最も好ましい重量比は、約2:1から約1:1である。
【0008】
本発明の方法は、例えばこれらに限定されないがアメリカゴキブリおよびドイツゴキブリのようなゴキブリのコントロールに特に有用である。本発明の方法は、また例えばブラック・ハウス・スパイダーに限定されないがこのようなクモのコントロールに有用である。
【0009】
相乗的に有効な量のビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせは、天候の条件、土壌の条件、適用の態様、適用の時期などに従って変化できる。一般に、相乗的な作用は、1L/10mのフィプロニルの適用割合で約10ppmから約500ppmすなわち1Lあたり約0.01gの活性成分から1Lあたり約0.5gの活性成分と組み合わせて、1L/10mのビフェンスリンの適用割合で約100ppmから約1000ppmすなわち1Lあたり約0.1gの活性成分から1Lあたり約1.0gの活性成分の適用割合で達成できる。
【0010】
2つの活性成分間の相乗作用の存在は、Colby式(Colby,S.R.「Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations」Weeds、1967、15、pg20−22参照)E=X+Y−(XY/100)の助けにより確立される。
【0011】
Colbyの方法を用いて、2つの活性成分の間の相乗的相互反応は、単独で適用される2つの成分の活性に基づく混合物の予想される活性「E」をまず計算することにより確立される。もし「E」が観察される活性よりも低いならば、相乗性が存在する。上記の式では、「X」は、割合「x」でビフェンスリンが単独で適用されるとき観察されるコントロール%である。「Y」は、割合「y」でフィプロニルが単独で適用されるとき観察されるコントロール%である。もしそれらの作用が厳密に付加的であり相互作用が生じていないならば、式は、「E」すなわち割合「y」での「Y」と割合「x」での「X」との混合物の予想される活性を計算する。
【0012】
本明細書で使用されるとき、用語「ビフェンスリン」は2−メチルビフェニル−3−イルメチル(Z)−(1RS)−シス−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、CAS Registry Number 82657−04−3を意味する。用語「フィプロニル」は、(5−アミノ−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−[(1R,S)−(トリフルオロメチル)スルフィニル]−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル、CAS Registry Number 120068−37−3を意味する。用語「ノックダウン」は、ゴキブリおよび/またはクモの急速な短時間の運動不能を意味し、用語「致死」はゴキブリおよび/またはクモの死を意味する。
【0013】
本発明は、多くの形で殺虫活性成分を用い、そしてしばしば最も好都合に使用直前に水性の形で製造される。このような組成物の製造法の1つは、「タンク混合」と呼ばれ、市販されている形の活性成分が、他の添加物とともにまたはなしで、或る量の水中で使用者により一緒に混合される。
【0014】
使用直前のタンク混合に加えて、本発明の組成物は、使用前に水または他の希釈剤により希釈されるより濃い一次組成物に処方できる。適用前に水性媒体により処理されるまたは処理できる殺虫剤のこのような処方の例も、ゴキブリおよび/またはクモのコントロールが望まれる領域への適用の所望の態様に応じて本発明の範囲内にあり、例えば比較的大きな粒子サイズ(例えば8/16USメッシュ)の顆粒、ミクロエマルション、懸濁濃縮物、乳化可能な濃縮物、ウエッタブル粉末、水可溶性または水分散性の顆粒、粉末状ダスト、カプセル懸濁物、乳化可能な顆粒、水性エマルション、溶液またはこれらの組み合わせがある。これらの処方物は、約0.1重量%、0.2重量%または0.5重量%から約95重量%以上の2つの殺虫剤の合計を含むことができる。このような組成物は、活性成分に加えて表面活性剤を含み、このような組成物の例は以下に示される。
【0015】
殺虫組成物は、分散可能な溶液の形でもよく、それは、分散剤を添加した水混和性の溶媒中に溶解した殺虫剤を含む。別な形として、それは、分散剤と組み合わされた細かく粉砕された粉末の形の殺虫剤を含み、水を緊密に混合されてペーストまたはクリームを生じ、それは所望ならば水中油のエマルションへ添加されて水性油エマルション中の2つの殺虫剤の分散物を生ずる。
【0016】
別な形として、殺虫組成物は、水可溶性または水分散性の顆粒の形をとり、それは水または他の分散剤中に容易に分散する。水可溶性または水分散性の顆粒は、通常、担体の吸収度に応じて殺虫剤を約5−80%を含むように製造され、通常また湿潤剤、分散剤または乳化剤を含んで分散を助けそして保存料も含むことができる。水可溶性または水分散性の顆粒用の典型的な担体は、フラー土、天然粘土、シリカ、および他の吸収性の高い容易に湿る無機の希釈剤を含む。例えば、有用な水可溶性または水分散性の顆粒処方物は、26.71部の殺虫剤、30.90部の硫酸アンモニウム、30.89部のコンチネンタル粘土、10.00部の分散剤としてのナトリウムリグノスルホネート、1.00部の湿潤剤としてのナトリウムジオクチルサクシネートおよび0.50部の保存料としてのクエン酸を含む。混合物は、細かく砕かれ、水により希釈されてペーストを形成し、このペーストを押しだしそして乾燥して顆粒を得る。
【0017】
使用できる他の別の形はダストであり、それは細かい固体(例えば、タルク、天然粘土、珪藻土、粉末例えばクルミの殻および綿実の粉末、および他の有機および無機の固体(殺虫剤用の分散剤および担体として働く))と殺虫剤との自由流動性の混合物である。これらの細かい固体は、約50ミクロンより細かい平均粒子サイズを有する。本発明で有用な典型的なダスト処方物は、1.0部以下の殺虫化合物および99.0部のタルクを含むものである。
【0018】
また、本発明の殺虫組成物用の有用な処方物は、水または他の分散剤中に容易に分散する細かい粒子の形のウエッタブル粉末である。ウエッタブル粉末は、乾いたダストとして或いは水または他の液体中のエマルションとしての何れかで、有害生物のコントロールが必要な場所へ最終的に適用される。ウエッタブル粉末用の典型的な担体は、珪藻土、カオリン粘土、シリカおよび他の吸収度の高い容易に湿る無機の希釈剤を含む。ウエッタブル粉末は、担体の吸収度に応じて殺虫剤の約5−80%を含むように製造され、そして通常また少量の湿潤剤、分散剤または乳化剤を含んで分散を助ける。例えば、有用なウエッタブル粉末処方物は、80.0部の殺虫化合物、17.9部のパルメット粘土および1.0部のナトリウムリグノスルホネートおよび0.3部の湿潤剤としてのスルホン化脂肪族ポリエステルを含む。追加の湿潤剤および/または油は、しばしば、タンク混合物へ添加されて目標場所上の分散を助ける。
【0019】
本発明の実施で用いられる殺虫組成物用の他の有用な処方物は、乳化可能な濃縮物(EC)であり、それらは水または他の分散剤中に分散可能な均質な液体組成物であり、そして殺虫化合物および液体または固体の乳化剤からのみなるか、またはまた液体担体例えばキシレン、重質芳香族ナフサ、イソホロンまたは他の非揮発性有機溶媒をも含む。殺虫の適用では、これらの濃縮物は、水または他の液体担体中に分散されそしてスプレイとして処理されるべき領域へ適用される。殺虫化合物の重量%は、組成物が適用されるやり方に従って変化できるが、一般に全組成物の0.5−95重量%の殺虫化合物を含む。
【0020】
懸濁濃縮処方物も使用できる。これらは、ECに類似しているが、ただし殺虫化合物は一般に水である液体担体中に懸濁される。懸濁濃縮物は、ECと同じく、少量の界面活性剤を含み、そして典型的な例として、全組成物の0.5−95重量%、しばしば10−50重量%の範囲で殺虫化合物を含むだろう。例えば、有用な懸濁濃縮処方物は、22.0部の殺虫化合物、2.6部のエトキシル化/プロポキシル化ブロックコポリマー界面活性剤、0.4部のホスフェートエステル界面活性剤、0.8部の増粘剤、6.0部の不凍剤、0.1部の消泡剤、0.05部の抗菌剤および44.0部の蒸留水を含む。殺虫の適用では、懸濁濃縮物は、水または他の液体希釈剤により希釈され、そして通常スプレイとして処理される領域へ適用される。
【0021】
他の有用な処方物は、比較的非揮発性の溶媒例えば水、とうもろこし油、ケロセン、プロピレングリコールまたは他の好適な溶媒中の殺虫化合物の懸濁物を含む。
これらの殺虫組成物のための他の有用な処方物は、溶媒(それが望ましい濃度で完全に可溶である)例えばアセトン、アルキル化ナフタレン、キシレンまたは他の有機溶媒中の殺虫剤の単純な溶液を含む。典型的にはエロゾルである加圧スプレイ(殺虫剤が、低沸点分散剤溶媒担体の蒸発の結果として細かい形に分散されている)も使用できる。
【0022】
本発明の殺虫組成物用の他の有用な処方物はミクロカプセル化物である。処方物のこの方法は、EP079100B1およびUS5583090に開示されているように、殺虫化合物の1つまたは両者の何れかがポリマー、ポリアミドまたはアミド・尿素コポリマーのシェル中にカプセル化される方法である。
【0023】
或る環境では、2つのタイプの処方物を組み合わせる、例えば殺虫化合物の1つを乳化可能な濃縮物として使用し、そして第2の殺虫化合物はこの濃縮物中に粉末として分散されることが望ましい。
好都合な方法によって所望の場所への直接適用のための組成物中の活性殺虫剤の濃度(単一の活性成分として使用されるとき)は、好ましくは、組成物の重量の0.001−19重量%、特に0.005−5重量%の範囲内であるが、40%以内を含むより濃い組成物も望ましいことがある。
【0024】
本発明の組成物中で使用できる典型的な湿潤剤、分散剤または乳化剤は、アルキルおよびアルキルアリールスルホネートおよびスルフェートおよびそれらのナトリウム塩、アルキルアリールポリエーテルアルコール、スルフェート化高級アルコール、ポリエチレンオキシド、スルホネート化動物および植物油、スルホネート化石油、多価アルコールの脂肪酸エステルおよびこれらエステルのエチレンオキシド付加生成物、或いは長鎖メルカプタンおよびエチレンオキシドの付加生成物を含むが、これらに限定されない。有用な界面活性剤の多くの他のタイプは、市販されている。界面活性剤は、使用されるとき、組成物の1−15重量%を占める。
【0025】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、もちろん、本発明の範囲を制限するものと決して考えてはならない。実施例は、ゴキブリおよび/またはクモをコントロールするのに、本発明の組成物の有効性を明らかにする或る生物学的データを示す。
【実施例1】
【0026】
(ビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせの適用によるゴキブリの致死数を測定するテスト1)
本発明の組成物は、以下のやり方でドイツゴキブリ(Blatella germanica)活性についてテストされた。
テスト溶液は、テクニカルグレードのビフェンスリンおよびフィプロニルをアセトンに溶解してビフェンスリンおよびフィプロニル単独、並びにビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせの適用の適切な割合を得ることにより作られた。テストされた活性成分の濃度は、50ppm(0.05mgの活性成分/mLまたは0.05g/L)から500ppm(0.5mgの活性成分/mLまたは0.5g/L)であり、1つの割合について同じものを4つ用いた。ヒュームキャビネットで、1mLのテスト溶液を、メスピペットを用いて9cmのWhatman(商標)2定性濾紙に適用した。適用は、濾紙の中心で開始され、個々の滴は、濾紙全体が均一に処理されるように外側へ円状に動かして適用された。アセトンのみ(1mL)が同じ方法で適用されて未処理のコントロール(UTC)とした。処理された濾紙を2時間乾かした。乾かした処理濾紙または未処理濾紙をプラスチックペトリ皿に置き、そして10匹の終齢(late instar)の健康で活動的なドイツゴキブリ(Blatella germanica)を二酸化炭素により一時的に不動化し、次に濾紙上においた。各ペトリ皿の蓋をしてゴキブリを封じ込めた。ペトリ皿を日光の直射に当てず、周囲の相対湿度で、25−30℃の温度に維持した。ドイツゴキブリの致死率を、生存しているゴキブリの数およびノックダウン/死んだゴキブリの数を数えることにより24時間後評価した。結果を以下の表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
個々の処理および組み合わせの処理の殺虫有効性を比較するために、LC50およびLC90値(テスト有害生物の50%または90%を有効にノックダウン/殺す致死濃度ppm)を計算した。ビフェンスリンおよびフィプロニルの種々の混合物についてLC値を計算するにあたり、プロビット分析を混合物のフィプロニル濃度について行った。例えば、もしゴキブリの90%(すなわちLC90)を殺すと予想されるフィプロニルの量が、2:1の比のビフェンスリン対フィプロニルで84ppmであるならば、168ppmのビフェンスリンが2:1の混合物中に存在するだろう。表1のデータから計算される値は、以下の表2に示される。
【0029】
【表2】

【0030】
表2のLC50およびLC90の値から分かるように、活性成分単独に比べたとき、ドイツゴキブリをコントロールするために、2:1または1:1のビフェンスリン対フィプロニルの比で組み合わされたとき、必要な活性成分の量は遙かに少ない。
【実施例2】
【0031】
(ビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせの適用によるゴキブリの致死数を測定するテスト2)
本発明の組成物は、以下のやり方でアメリカゴキブリ(Periplaneta americana)活性についてテストされた。
テスト溶液は、テクニカルグレードのビフェンスリンおよびフィプロニルをアセトンに溶解してビフェンスリンおよびフィプロニル単独、およびビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせの適用の適切な割合を得ることにより作られた。テストされた活性成分の濃度は、10ppm(0.01mgの活性成分/mLまたは0.01g/L)から1000ppm(1.0mgの活性成分/mLまたは1.0g/L)であり、1つの割合について同じものを4つ用いた。ヒュームキャビネットで、1mLのテスト溶液を、メスピペットを用いて9cmのWhatman(商標)2定性濾紙に適用した。適用は、濾紙の中心で開始され、個々の滴は、濾紙全体が均一に処理されるように外側へ円状に動かすことにより適用された。アセトンのみ(1mL)が同じ方法で適用されて未処理のコントロール(UTC)とした。処理された濾紙を2時間乾かした。乾かした処理濾紙または未処理濾紙を、90mmの底直径を有するプラスチックカップに入れ、プラスチックカップの壁の上部を、昆虫が登って容器の外へ出るのを防ぐために、フルオロポリマー樹脂(PFTE−30)昆虫バリヤー(BioQuip Products Inc.から販売されているFluron(商標))により被覆した。10匹の終齢(late instar)の健康で活動的なアメリカゴキブリ(Periplaneta americana)を二酸化炭素により一時的に不動化し、次に濾紙上においた。プラスチック容器の頂部は、ガーゼによりカバーされてゴキブリを封じ込めた。プラスチック容器を、直接日光に当てず、周囲の相対湿度で、25−30℃の温度に維持した。アメリカゴキブリの致死率を、生存しているゴキブリの数およびノックダウン/死んだゴキブリの数を数えることにより24時間後評価した。結果を以下の表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
個々の処理および組み合わせの処理の殺虫有効性を比較するために、LC50およびLC90値(テスト有害生物の50%または90%を有効にノックダウン/殺す致死濃度ppm)を計算した。ビフェンスリンおよびフィプロニルの種々の混合物についてLC値を計算するにあたり、プロビット分析を混合物のビフェンスリンの濃度について行った。例えば、もしゴキブリの90%(すなわちLC90)を殺すと予想されるビフェンスリンの量が、2:1の比で418ppmであるならば、これは209ppmのフィプロニルを含むだろう。表3のデータから計算される値は、以下の表4に示される。
【0034】
【表4】

【0035】
表4のLC50およびLC90の値から分かるように、活性成分単独に比べたとき、アメリカゴキブリをコントロールするために、10:1から1:1のビフェンスリン対フィプロニルの比で組み合わされたとき、必要な活性成分の量は遙かに少ない。
【実施例3】
【0036】
(ビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせの適用によるクモの致死率の測定)
本発明の組成物は、以下の方法でブラック・ハウス・スパイダー(Badumna insignis)活性についてテストされた。
テスト化合物の処方物は以下のように作られた。
1)フィプロニル:活性成分として100g/Lのフィプロニルを含む懸濁濃縮処方物を作った。
2)ビフェンスリン:活性成分として100g/Lのビフェンスリンを含むビフェンスリンの市販の懸濁濃縮処方物を使用した。FMC Australasia Pty Ltd.から市販されているBiflex(商標)Aquamax Insecticide。
3)ビフェンスリン/フィプロニルプレミックス1:活性成分として105.6g/Lのビフェンスリンおよび111.5g/Lのフィプロニルを含む懸濁濃縮処方物を作った。
4)ビフェンスリン/フィプロニルプレミックス2:活性成分として101.3g/Lのビフェンスリンおよび47.9g/Lのフィプロニルを含む懸濁濃縮処方物を作った。
【0037】
テストは、20cm×20cmの寸法を有するマツの合板の表面で行った。上記の処方物を、マツの合板へ適用する前に、水で希釈して1Lあたりグラム数の活性成分で所望の濃度割合を達成した。それぞれの処理物をエアブラッシュ噴霧器そして推進剤として圧縮空気を用いて適用した。装置を使用前に較正しそして処理物を1L/10m(20cm×20cmのマツ合板の表面あたり4mLの最終のテスト溶液)の割合でマツ合板の表面へ適用した。例えば、10mあたり0.125gの活性成分の適用割合を得るために、1Lあたり100gのフィプロニルの懸濁濃縮処方物を含むフィプロニル処方物(1)1.25mLを1Lの水で希釈して最終テスト溶液を作った。4mLの最終テスト溶液をマツ合板の表面に噴霧した。処理されたマツ合板を、日光の直射を避けて水平に貯蔵することにより、周囲温度で風乾させた。テスト前1−2日野原から集めた中から大のサイズの3匹のブラック・ハウス・スパイダーを、処理されたマツ合板の表面上に、未処理のポーションカップ(直径7cm、深さ7cm)の下に別々に置いた。未処理ポーションカップは、クモに処理していない領域を探す機会を与えた。クモは、生存しているクモの数およびノックダウン/死んだクモの数を数えることにより24時間の露出後評価した。それぞれの処理について3つの同じものについてテストした。結果を平均し、以下の表5に示す。
【0038】
【表5】

【0039】
当業者は、本発明の変化したものが使用できること、本発明が本明細書で特に記述したもの以外で実施できることを目的とするものであることを理解するだろう。従って、本発明は、請求の範囲により規定される本発明の範囲および趣旨内に含まれるすべての改変を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴキブリまたはクモのコントロールが必要であるかまたは必要であると予想される場所へ、相乗的に有効な量のビフェンスリンおよびフィプロニルの組み合わせを適用することを特徴とするゴキブリまたはクモをコントロールする方法。
【請求項2】
ビフェンスリンおよびフィプロニルが、約10:1から約1:1の重量対重量の比で存在し、少なくとも約100ppmのビフェンスリンが用いられる請求項1の方法。
【請求項3】
該ゴキブリが、ドイツゴキブリおよびアメリカゴキブリから選ばれる請求項2の方法。
【請求項4】
該場所が、有害生物が侵入した建造物、有害生物が侵入すると予想される建造物またはこれらの建造物に隣接する場所から選ばれる請求項2の方法。
【請求項5】
クモのコントロールが必要であるかまたは必要であることが予想される場所へ、相乗的に有効な量のビフェンスリンおよび相乗的に有効な量のフィプロニルを、一緒にまたは連続しての何れかで、そして任意の順序で適用し、ビフェンスリン対フィプロニルの重量比が約2:1から約1:1であることを特徴とするクモをコントロールする方法。

【公開番号】特開2010−138172(P2010−138172A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277250(P2009−277250)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(509337388)エフエムシー オーストラレーシア ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】