説明

有害生物防除組成物

【課題】
有害生物に対して優れた防除効力を有する有害生物防除組成物等を提供すること。
【解決手段】
有効成分として、コパエンとネオニコチノイド系化合物とを含有することを特徴とする有害生物防除組成物等。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のネオニコチノイド系化合物が殺虫活性を有することが知られており、またコパエンは植物に含まれる精油成分の一種である。いずれの化合物も公知の化合物である(例えば、特許文献1〜7参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−157308号公報
【特許文献2】特開平6−183918号公報
【特許文献3】特開平7−179448号公報
【特許文献4】特開平4−154741号公報
【特許文献5】特開平7−196653号公報
【特許文献6】ヨーロッパ特許公開(EP−OS)第302389号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ネオニコチノイド系化合物の殺虫活性は必ずしも十分でない場合があることから、より優れた有害生物防除組成物の開発が望まれている。一方、コパエンが(1)殺虫活性を有する特定の化合物に対して共力的な作用を有すること、かつ、(2)その効果のために有害生物防除組成物における優れた有効成分に成り得ること、等については何らの報告はなく、示唆すら存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、かかる状況下において鋭意検討した結果、コパエンが(1)ネオニコチノイド系化合物に対して共力的な作用を有すること、かつ、(2)その効果のために有害生物防除組成物における優れた有効成分に成り得ること、等を見出し、本発明に至った。
【0006】
即ち、本発明は、
1.有効成分として、コパエンとネオニコチノイド系化合物とを含有することを特徴とする有害生物防除組成物(以下、本発明有害生物防除組成物と記すこともある。);
2.コパエンがα−コパエンであることを特徴とする前項1記載の有害生物防除組成物;3.ネオニコチノイド系化合物が、ニトロメチレン骨格を有する化学構造からなるネオニコチノイド系化合物であることを特徴とする前項1又は2記載の有害生物防除組成物;
4.ネオニコチノイド系化合物が、下記の化合物群から少なくとも一つ選ばれる化合物であることを特徴とする前項1又は2記載の有害生物防除組成物
(化合物群)
I)1−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン
II)1−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)−3,5−ジメチル−2−ニトロイミノ−ヘキサヒドロ−1,3,5−オキサジアジン
III)1−(3−フリルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン
IV)1−〔N−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−N−メチル〕アミノ−1−(シアノイミノ)エタン
V)1−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−2−(シアノイミノ)チアゾリジン
VI)1−〔N−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−N−エチル〕アミノ−1−メチルアミノ−2−ニトロエチレン
VII)1−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−2−(ニトロイミノ)イミダゾリジン;
5.前項1〜4のいずれか一項記載の有害生物防除組成物、或いは、同時に若しくは併用してコパエン及びネオニコチノイド系化合物、を有害生物または有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法(以下、本発明有害生物防除方法と記すこともある。);
6.有害生物がカメムシ類であることを特徴とする前項5記載の有害生物の防除方法;
7.カメムシ類が斑点米カメムシ類であることを特徴とする前項6記載の有害生物の防除方法;
8.カメムシ類がクモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis Dallas)であることを特徴とする前項6記載の有害生物の防除方法;
9.有害生物防除組成物の有効成分としての、コパエンとネオニコチノイド系化合物との組み合わせの使用;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、有害生物に対して優れた防除効力を有する有害生物防除組成物等を提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明有害生物防除組成物において使用されるコパエン(copaene)は、3環性セスキテルペン炭化水素類の一種である天然化合物である。具体的には例えば、化1で示される化合物である「α−コパエン」(Cas No.3856-25-5)を代表例として例示できる。α−コパエン等のコパエンは、例えば、マキ科(Phyllocladus trichomanoides)、マメ科(Copaifera mannii Oliv., Sindora wallichii Benth., Sindora inermis Merr.)、シソ科等の植物から通常の方法によって精油を得、当該精油から精製することによって製造することができる。勿論、α−コパエン等のコパエンは単離されたものだけでなく、植物からの粗抽出物、製油からの粗精製物等の形態である組成物等を使用してもよい。またFLUKA(株)等の試薬会社から購入することもできる。因みに、α−コパエン等のコパエンは、香料の成分としても使用されており、これらの用途のための原料として使用されているものを使用してもよい。
【0009】
【化1】

【0010】
本発明有害生物防除組成物において使用されるネオニコチノイド系化合物は、ニトロメチレン骨格、ニトロイミノ骨格又はシアノイミノ骨格を有する化学構造である浸透性殺虫化合物等のことであり、下記の一般式 化2
【0011】
【化2】

(式中、Arは置換されてもよいヘテロ環(好ましくはヘテロアリール)を表し、X及びYはC原子、S原子又はN原子で、かつ少なくとも一方がN原子であり、Zは電子吸引性基を表す。)で示される骨格を有する化学構造である浸透性殺虫化合物のことを意味する。ここで、置換されてもよいヘテロ環とは、置換されてもよい5員環又は6員環のヘテロ(1〜2個のN原子を含むか、又は1個のN原子とO原子若しくS原子のいずれか1個とを含む)環式基のことであり、特に、2−クロロピリジン−5−イル及び2−クロロチアゾール−5−イル、フラン−3−イルが好ましい。また、電子吸引性基とは、たとえば、ニトロ基又はシアノ基等を挙げることができる。
【0012】
一般式 化2で示される骨格としては、例えば、ニトロメチレン骨格、ニトロイミノ骨格又はシアノイミノ骨格等をあげることができる。具体的には、2−(ニトロイミノ)イミダゾリジン基、2−(ニトロイミノ)チアゾリジン基、2−(シアノイミノ)イミダゾリジン基及び2−(シアノイミノ)チアゾリジン基、並びに、2−ニトロイミノ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン骨格、2−ニトロイミノ−テトラヒドロ−1,3,5−オキサジアジン骨格、2−シアノイミノ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン骨格、2−シアノイミノ−テトラヒドロ−1,3,5−オキサジアジン骨格等の環状グアニジン骨格又は該環状グアニジン骨格が開環した構造(たとえば、置換グアニジン骨格等)およびその類似構造(例えば、置換アミジン骨格、置換ビニリデンジアミン骨格等)をあげることができる。
さらに具体的には、下記の一般式 化3((1)、(2)又は(3))
【0013】
【化3】

(式中、Aは6−クロロ−3−ピリジニル基、2−クロロ−5−チアゾリル基、
テトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロフラン−3−イル基、5−メチ
ルテトラヒドロフラン−3−イル基、3−ピリジニル基、6−ブロモ−3−ピリ
ジニル基、3−シアノフェニル基、2−メチル−5−チアゾリル基、2−フェニ
ル−5−チアゾリル基または2−ブロモ−5−チアゾリル基を表わし、R1は水
素原子、メチル基、エチル基、ホルミル基またはアセチル基を表わし、R2はメ
チル基、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、エチルアミノ
基、N,N−ジエチルアミノ基、N −メチル−N−エチルアミノ基、1−ピロ
リジニル基、(6−クロロ−3−ピリジニル)メチルアミノ基、N−メチル−N
−(6−クロロ−3−ピリジニル)メチルアミノ基を表わし、R3はメチル基、
エチル基、プロピル基、プロペニル基またはプロピニル基を表わし、Xは窒素原
子またはCH基を表わし、Yはシアノ基、ニトロ基またはトリフルオロアセチル
基を表わし、ZはNH基またはイオウ原子を表わし、Dは酸素原子または−N(
CH3)−基を表わし、mは0または1を表わし、nは2または3を表わす)
で示されるネオニコチノイド系化合物を代表的なものとして挙げることもできる。
【0014】
具体的な化合物としては、例えば、
I)1−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(以下、化合物(I)と記すこともある。)
(別表記:1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン、一般名:クロチアニジン、商品名(又は登録商標):ダントツ)

II)1−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)−3,5−ジメチル−2−ニトロイミノ−ヘキサヒドロ−1,3,5−オキサジアジン(以下、化合物(II)と記すこともある。)
(別表記:3−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−4−ニトロイミノペルヒドロ−1,3,5−オキサジアジン、一般名:チアメトキサム、商品名(又は登録商標):アクタラ)

III)1−(3−フリルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(以下、化合物(III)と記すこともある。)
(別表記:1−[(テトラヒドロ−3−フラニル)メチル]−2−ニトロ−3−メチルグアニジン、一般名:ジノテフラン、商品名(又は登録商標):スタークル)

IV)1−〔N−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−N−メチル〕アミノ−1−(シアノイミノ)エタン(以下、化合物(IV)と記すこともある。)
(別表記:N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン、一般名:アセタミプリド、商品名(又は登録商標):モスピラン)

V)1−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−2−(シアノイミノ)チアゾリジン
(以下、化合物(V)と記すこともある。)
(別表記:3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド、一般名:チアクロプリド、商品名(又は登録商標):バリアード)

VI)1−〔N−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−N−エチル〕アミノ−1−メチルアミノ−2−ニトロエチレン(以下、化合物(VI)と記すこともある。)
(別表記:N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−エチル−N1−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン、一般名:ニテンピラム、商品名(又は登録商標):ベストガード)

等をあげることができる。
本発明においては、これらの化合物を単独でも、又二種以上を混合して用いてもよい。尚、これら化合物は、市販される製剤品から抽出することにより得ることもできるが、例えば、特開平3−157308号公報(化合物(I))、特開平6−183918号公報(化合物(II))、特開平7−179448号公報(化合物(III))、特開平4−154741号公報(化合物(IV))、特開平7−196653号公報(化合物(V))、ヨーロッパ特許公開(EP−OS)第302389号公報(化合物(VI))等に記載される製造方法に準じて市販又は公知の化合物から製造することもできる。
【0015】
本発明有害生物防除組成物が防除効力を示す有害生物としては、例えば、以下に示される昆虫、ダニ等の節足動物や、線虫等の線形動物が挙げられる。
【0016】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ミカンミドリアブラムシ(Aphis citricola)、ニセダイコンアブラムシ(Lipaphis pserudobrassicae)、ナシミドリオオアブラムシ(Nippolachnus piri)、コミカンアブラムシ(Toxoptera aurantii)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera ciidius)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、チャバネアオカメムシ(Plautia stali)、クサギカメムシ(Halyomorpha picus)、アカスジカスミカメ(Stenotus rubrovittatus)、アカヒゲホソミドリカスミカメ(Trigonotylus caelestrialium)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、クワシロカイガラムシ(Pseudaulacaspis pentagona)、オリーブカタカイガラムシ(Saissetia oleae)、ミカンノカキカイガラムシ(Lepidosaphes beckii)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等。
【0017】
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、ハイマダラノメイガ(Hellulla undalis)、シバツトガ(Parapediasia teterrella)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)、コイガ(Tineola bisselliella)等のヒロズコガ類等
【0018】
双翅目害虫:アカイエカ(Culex pipiens pallens)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)等のイエカ類、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)等のエーデス属、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ(Musca domestica)、オオイエバエ(Muscina stabulans)等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、ヒメイエバエ類、タネバエ(Delia platura)、タマネギバエ(Delia antiqua)等のハナバエ類、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類、ミバエ類、ノミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ブユ類、アブ類、サシバエ類等。
【0019】
膜翅目害虫:カブラハバチ(Athalia rosae)等のハバチ類、チュウレンジハバチ(Arge pagana)等のミフシハバチ類、キイロスズメバチ(Vespa simillima)、フタモンアシナガバチ(Polites chinensis)等のスズメバチ類、イエヒメアリ(Monomorium pharaonis)等のアリ類、アリガタバチ類等。
【0020】
鞘翅目害虫:ウエスタンコーンルームワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、サザンコーンルートワーム(Diabrotica undecimpunctata howardi)等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)等のコガネムシ類、メイズウィービル(Sitophilus zeamais)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、アルファルファタコゾウムシ(Hypera pastica)、アズキゾウムシ(Callosobruchuys chienensis)等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等のゴミムシダマシ類、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)等のハムシ類、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)等のエピラクナ類、ナガシンクイムシ類、アオバアリガタハネカクシ(Paederus fuscipes)等。
【0021】
ゴキブリ目害虫:チャバネゴキブリ(Blattella germanica)、クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea)、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)等。
アザミウマ目害虫:ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ハナアザミウマ(Thrips hawaiiensis)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、カキクダアザミウマ(Ponticulothrips diospyrosi)等。
【0022】
直翅目害虫:ケラ類、バッタ類等。
隠翅目害虫:ネコノミ(Ctenocephalides felis)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ヒトノミ(Pulex irritans)等。
シラミ目害虫:アタマジラミ(Pediculus humanus humanus)、コロモジラミ(Pediculus humanus corporis)、ケジラミ (Phthirus pubis)等。
【0023】
ワラジムシ類:ワラジムシ(Porcellio scaber)、ホソワラジムシ(Porcellionides pruinosus)、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)等。
ムカデ類:トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans)、アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica)、アカズムカデ(Scolopendra subspinipes multidens)、ゲジ(Thereuopoda hilgendorfi)等。
ヤスデ類:ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)、オビババヤスデ(Parafontaria laminata laminata)等。
【0024】
ダニ目害虫:ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、オリゴニカス属等のハダニ類、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、チャノサビダニ(Calacarus carinatus)等のフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)等のホコリダニ類、ヒメハダニ類、ケナガハダニ類、イエダニ類、マダニ類、コナダニ類、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)等のヒョウヒダニ類、ミナミツメダニ(Chelacaropsis moorei)等のツメダニ類、ワクモ類等。
クモ類:セアカゴケグモ(Latrodectus hassletii), ハイイロゴケグモ(Latrodectus geometricus)等
【0025】
線虫類:ミナミネグサレセンチュウ(Pratylenchus coffeae)、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus fallax)、チャネグサレセンチュウ(Pratylenchus loosi)、クルミネグサレセンチュウ(Pratylenchus vulnus)等のネグサレセンチュウ類、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)等のシストセンチュウ類、キタネコブセンチュウ(Meloidogyne hapla)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)等のネコブセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、イチゴセンチュウ(Aphelenchoides fragarieae)等のアフェレンコイデス類、イシュクセンチュウ類、ワセンチュウ類、ピンセンチュウ類、ロンギドルス類、トリコドルス類等。
【0026】
本発明有害生物防除組成物の防除対象として特に好ましい有害生物としては、例えば、トゲシラホシカメムシ、オオトゲシラホシカメムシ、シラホシカメムシ、ミナミアオカメムシ等のカメムシ科の斑点米カメムシ、ホソハリカメムシ(Cletus punctiger)等のヘリカメムシ科の斑点米カメムシ、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis Dallas)、ホソクモヘリカメムシ、タイワンクモヘリカメムシ等のホソヘリカメムシ科の斑点米カメムシ、アカヒゲホソミドリカスミカメ(Trigonotylus caelestrialium)、アカスジカスミカメ(Stenotus rubrovittatus)等の科の斑点米カメムシ等のカメムシ類を挙げることができるが、この中でも特にクモヘリカメムシに対して優れた防除効果を示す。尚、ここで「斑点米カメムシ類」とは斑点米の原因となるカメムシ類と意味し、当該カメムシ類による水稲の被害が問題となっている。一般に斑点米カメムシ類は、主にイネ科植物の繁茂地に棲息し、イネの出穂期前後に水田に飛来することが知られている(例えば、関東東山病害虫研究会報 第50集(2003) 131−134参照)。
【0027】
本発明有害生物防除組成物、当該有効成分であるコパイン及びネオニコチノイド系化合物は、α−コパエン等のコパエンとネオニコチノイド系化合物との混合物、各々の化合物のみであってもよいが、α−コパエン等のコパエン及び/又はネオニコチノイド系化合物に固体担体、液体担体、ガス状担体及び/又は餌(毒餌基材)等の担体を含んでもよい。また必要により、通常農薬に使用される副資材、例えば、界面活性剤、液性調整剤(pH調整剤等)、拡展剤、展着剤、湿潤剤、安定化剤(防腐剤、乾燥剤、凍結防止剤、固結防止剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤)、ドリフト防止剤等が添加された、粉剤、粒剤、水和剤、錠剤等の固形製剤、乳剤、フロアブル剤、油剤等の液体製剤、エアゾール、煙霧剤、燻煙剤、毒餌、マイクロカプセル剤、ULV剤、スポットオン製剤、ポアオン製剤、シャンプー製剤であってもよい。当該比率の範囲内である限り、本発明有害生物防除組成物に含まれる有効成分(コパエンとネオニコチノイド系化合物との合計)の比率は、通常0.1〜99.9重量%であればよい。また本発明有害生物防除組成物に含まれるα−コパエン等のコパエンの比率は、通常0.1〜99.9重量%であればよく、また本発明有害生物防除組成物に含まれるネオニコチノイド系化合物の比率は、通常0.1〜99.9重量%であればよい。
【0028】
前記固体担体としては、例えば、粘土類(セライト、カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末及び粒状物等が挙げられる。
前記液体担体としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、灯油、軽油等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド、植物油(大豆油、綿実油等)が挙げられる。
ガス状担体としては、例えばフルオロカーボン、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル及び炭酸ガスがあげられる。
前記界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアリールエーテル類のポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等があげられる。
【0029】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステル等があげられる。
【0030】
毒餌の基材としては、たとえば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ粉末等の子どもやペットによる誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイルなどの害虫誘引性香料等があげられる。
【0031】
また、本発明有害防除組成物は、前述の如く、その製剤形態によってはα−コパエン等のコパエンを製剤化したものと、ネオニコチノイド系化合物を製剤化したものとを混合することによって調製することもでき、また施用時に混用することにより調製することもできる。
【0032】
本発明有害生物防除方法は、通常、本発明有害防除組成物を有害生物または有害生物の生息場所に施用することにより行われるが、α−コパエン等のコパエン若しくはその製剤と、ネオニコチノイド系化合物若しくはその製剤とを、予め混合することなく、同時若しくは併用して施用することも可能である。
【0033】
本発明有害防除組成物を施用する場合、その施用量は1000m2あたりα−コパエン等のコパエンとネオニコチノイド系化合物との合計量で、例えば、約0.1〜1000g程度にすればよい。当該施用において、α−コパエン等のコパエンとネオニコチノイド系化合物との重量比は、例えば、100:1〜1:100の範囲とすればよい。乳剤、フロアブル剤等は、通常有効成分濃度で10〜100000ppmとなるように水で希釈して施用し、粒剤、粉剤等は通常そのまま施用する。これらの製剤は有害生物から保護すべき作物等の植物に直接散布してもよく、また、これらの製剤を土壌に処理することにより、土壌に棲息する有害生物を防除することもできる。
【0034】
これらの施用量、施用濃度は、いずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害程度等の状況によって異なり、上記の範囲にかかわることなく増減させることができ、適宜選択することができる。
【0035】
本発明有害防除組成物は、他の殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、除草剤、植物成長調節剤、共力剤、肥料、土壌改良材、動物用飼料等と共に用いることもできる。
【実施例】
【0036】
以下に本発明を製剤例及び試験例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0037】
まず、製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。
【0038】
製剤例1
α−コパエン5部、化合物(I)〜(VI)のいずれか1部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル8部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2部及びキシレン86部を均一に混合して乳剤を得る。
【0039】
製剤例2
α−コパエン1部、化合物(I)〜(VI)のいずれか0.1部、タルク48.9部及びクレー50部を均一に混合粉砕して粉剤を得る。
【0040】
製剤例3
α−コパエン10部、化合物(I)〜(VI)のいずれか0.1部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベントナイト30部及びクレー54.9部を加え、充分攪拌混合する。次いで、この混合物に適量の水を加え、さらに攪拌し、造粒機で製粒し、通風乾燥して粒剤を得る。
【0041】
製剤例4
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート5部、1%ザンサンガム水溶液20部、スメクタイト系鉱物3部及び水57部を均一に溶解し、α−コパエン10部、化合物(I)〜(VI)のいずれか5部を加えてよく攪拌した後、サンドミルで湿式粉砕してフロアブル剤を得る。
【0042】
製剤例5
α−コパエン0.1部及び化合物(I)〜(VI)のいずれか0.02部をアセトン10部に溶解し、この溶液を動物用固形飼料粉末(飼育繁殖用固形飼料粉末CE−2:日本クレア株式会社製)89.88部に均一に混合した後、アセトンを風乾し、毒餌を得る。
【0043】
次に本発明有害防除組成物が、有害生物に対して優れた防除効果を有することを試験例に示すが、本発明の有用性はこれに限定されるものではない。
試験例
(1)処理1:α−コパエンを稲穂に1μl滴下処理した。処理されたα−コパエンの原体重量は、稲穂1本当り910μgであった。
(2)処理2:化合物(I)の市販製剤(ダントツ水溶剤:住化武田農薬)の水希釈薬液に乳熟期の稲穂を60秒間浸漬処理した。稲穂に付着した薬液の量から換算して、処理された化合物(I)の原体重量は、稲穂1本当り22.6μgであった。
(3)処理3:先に処理2に従い浸漬処理された稲穂を風乾し、続けて処理1に従い滴下処理した。
上記の処理1から3に従い処理された稲穂を風乾した後、直径10cmのポリカップ(860ml)にクモヘリカメムシ5〜6頭とともに入れ蓋をした。処理4日後に供試虫の生死を調査し、死虫率(%)を下記の数式に基づき算出した。
【0044】
死虫率(%)=(処理4日後の死虫数/供試虫数)×100
【0045】
結果を表1に示す。表1から明らかなように、α−コパエンが、ネオニコチノイド系化合物である化合物(I)に対して共力的な作用を有すること、かつ、その効果のために有害生物防除組成物における優れた有効成分に成り得ることが確認された。
【0046】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明により、有害生物に対して優れた防除効力を有する有害生物防除組成物等を提供可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、コパエンとネオニコチノイド系化合物とを含有することを特徴とする有害生物防除組成物。
【請求項2】
コパエンがα−コパエンであることを特徴とする請求項1記載の有害生物防除組成物。
【請求項3】
ネオニコチノイド系化合物が、ニトロメチレン骨格を有する化学構造からなるネオニコチノイド系化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の有害生物防除組成物;
【請求項4】
ネオニコチノイド系化合物が、下記の化合物群から少なくとも一つ選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の有害生物防除組成物。
(化合物群)
I)1−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン
II)1−(2−クロロ−5−チアゾリルメチル)−3,5−ジメチル−2−ニトロイミノ−ヘキサヒドロ−1,3,5−オキサジアジン
III)1−(3−フリルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン
IV)1−〔N−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−N−メチル〕アミノ−1−(シアノイミノ)エタン
V)1−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−2−(シアノイミノ)チアゾリジン
VI)1−〔N−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−N−エチル〕アミノ−1−メチルアミノ−2−ニトロエチレン
VII)1−(2−クロロ−5−ピリジルメチル)−2−(ニトロイミノ)イミダゾリジン
【請求項5】
前項1〜4のいずれか一項記載の有害生物防除組成物、或いは、同時に若しくは併用してコパエン及びネオニコチノイド系化合物、を有害生物または有害生物の生息場所に施用することを特徴とする有害生物の防除方法。
【請求項6】
有害生物がカメムシ類であることを特徴とする請求項5記載の有害生物の防除方法。
【請求項7】
カメムシ類が斑点米カメムシ類であることを特徴とする請求項6記載の有害生物の防除方法。
【請求項8】
カメムシ類がクモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis Dallas)であることを特徴とする請求項6記載の有害生物の防除方法。
【請求項9】
有害生物防除組成物の有効成分としての、コパエンとネオニコチノイド系化合物との組み合わせの使用。


【公開番号】特開2006−273779(P2006−273779A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97480(P2005−97480)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】