説明

有機ポリマー粒子、紙コーティング組成物、および方法

【課題】
【解決手段】本発明の実施態様は、有機ポリマー粒子、紙コーティング組成物、コート紙およびコーティング組成物を使用したコート紙の形成方法を開示する。有機ポリマー粒子の実施態様は、水素結合単位を含む有は親水性ポリマー、少なくとも部分的に有機親水性ポリマーを取り囲む有機ポリマーの中空ポーラス構造体を含み;該中空ポーラス構造体が理論的な総外表面積の1パーセント以上のポア表面積を持ち、そして、該有機親水性ポリマーと該中空ポーラス構造体が、40パーセントから85パーセントの範囲内の空隙率を該有機ポリマー粒子に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮出願番号61/212,638(代理人整理番号67020、2009年4月14日出願)および米国仮出願番号61/214,093(代理人整理番号67020(US−0206.03)、2009年4月20日出願)の両者に関連する出願であり、これらに対して優先権を主張する。これらの開示は本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
開示の分野
本明細書の開示は有機ポリマー粒子、該有機ポリマー粒子を含む紙コーティング組成物、該紙コーティング組成物を使用して形成されたコート紙および/または板紙、有機ポリマー粒子を形成する方法、該紙コーティング組成物を使用してコート紙および/または板紙を製造する方法に関する。
【0003】
背景
印刷されたテキストおよび/または紙上のイメージの外観は、紙の上のコーティングの存在により影響を受けることができる。コーティングはクレー、顔料、およびバインダーの混合物を含むことができる。インクがコーティングしていない紙に適用されるとき、それは紙によって吸収される。インクがコーティングの上に配置された時には、コーティングされた紙の上に保持される。この特性により、コート紙上に印刷されたインクは、くっきりしたエッジを保有できる。その結果、コート紙は、一般に、より鋭くて、より明るいイメージを形成して、コーティングしていない紙より良い反射性を有している。
【0004】
ほとんどの吸収性の材料は水を吸って膨潤し、コーティング用途において不十分な流動学的特性を与える。さらに、ほとんどの水膨潤性着色コーティングは、乾燥するときに縮まり、低い光沢性をもたらす。堅い水吸収材料は収縮を回避するが、通常カレンダー加工で光沢のあるコーティングを提供しない。現在、高光沢インキジェット用コート紙は、キャスト・コーティングなどの高価な代替の塗工技術を使用して製造される。インクジェットを受容するコーティングは2つの技術、膨潤可能な高分子の層と微孔性層に基づいている。インクジェット式プリンタの速度が上がるのに従って、迅速な乾燥コーティングの必要性は膨潤可能な高分子コーティングの使用をほとんど排除した。インクジェット技術が進んで、商業およびグラフィックアートの領域に侵入し始めるとき、微孔性コーティングメディアに関する要求は、激化する一方であるだろう。
【0005】
微孔性コーティング層は現在、シリカおよびアルミナ顔料、バインダー、および様々な機能性添加物から配合される。これらの受容層の主目的は、すばやくインクを吸収することを支援するために表面の近くで最大の量の細孔を発生させることである。これらのコーティングは急速な流体の吸収を容易にすることに加えて、シートに適用された多量のインクを取り扱う必要な容積を提供するポーラス構造体を発生させる。多くの形態の無定形シリカが、微孔性コーティングに使用される主要な顔料である。つや消しコーティングのためには、シリカゲルが選択される顔料であった。つや消し用途のためのシリカゲル顔料は、通常1−10μmの範囲の粒径を有する。シリカゲルの高い内部ポロシティ(最大2.0cm/g)は、ナノメートルサイズのポアと共に、液体取り込みの原動力を提供する。
【0006】
光沢のあるコーティングはナノメートル範囲の粒径の粒子の使用を必要とする。無孔性コロイドシリカおよびフュームシリカが、光沢のある微孔性コーティングに成功裏に使用された。コロイドシリカは水中の無孔性シリカ粒子の分散物である。これらの主な、稠密な相の粒子は10nmから100nm以上までのサイズであることができる。コロイドシリカに基づくコーティングのポロシティは粒子の充填構造のためである。フュームシリカは、SiClの火炎加水分解によって製造されて、7〜40nmの範囲内の小さい一次粒子を発生させる。これらの一次粒子は水素結合形成により互いにくっつき、ミクロンサイズの凝集物に結合する。フュームシリカに基づくインクジェットコーティングのポロシティは、二次構造体を形成する一次粒子によって作成されたポーラス構造のためである。
【0007】
小粒子サイズのシリカに加えて、フュームアルミナは、光沢のあるインクジェット紙生産に一般的に使用される別の顔料である。アルミナには中性pHにおいてカチオン性であるという固有の利点があり、これはコーティング表面の近くのインクからアニオン性の染料と顔料を隔離する手段を提供する。アルミナのこの固有の特性はコーティング配合物中のカチオン型の色留め剤の必要性を減少させることができる。
【0008】
シリカおよびアルミナ顔料がいったん効果的に基体に適用されると、それらの使用は比較的遅いコーティング速度に制限されるという生産上の問題を引き起こす。レオロジーおよび水保持の問題のため、シリカ顔料を使用するときには、コーティング固形分レベルが制限因子となる。シリカベースのコーティングの高水分含量は大きな乾燥の要求をもたらし、これらの分散物の流動学的な困難が生じ、それの使用を遅いオフマシンコータに制限する。さらに、高光沢グレードはキャストコーティングなどの特別なコーティング条件を必要とする。
【0009】
したがって、原料とコーティング剤塗布の両方の観点から、インクジェットを受容するコート紙の生産に関連するコストを削減する必要性が存在している。シリカおよびアルミナ顔料は商業印刷物で使用される他の顔料(例えば、CaCOおよびカオリン)と比較して高価であり、これらの顔料のインクジェットに最適化されたバージョンを産業に提供するための努力があった。高い品質を有するインクジェット紙について費用を下げる主要な要因は、既存の能力によるマシンでこれらのグレードを製造することである。シリカ顔料に関連している迅速吸着を提供しつつ、従来の高い機械速度でコーティングできる新規な高光沢顔料が、これを非常に容易にするだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当技術分野においては、異なったグレードのコート紙を生産すること、およびコート紙を形成するために使用する組成物についての引き続く要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書の開示は、有機ポリマー粒子、該有機ポリマー粒子を含む紙コーティング組成物、該紙コーティング組成物を使用して形成されたコート紙および/または板紙、該有機ポリマー粒子を形成する方法、該紙コーティング組成物を使用して形成されたコート紙および/または板紙の製造方法の実施態様を提供する。有機ポリマー粒子の実施態様は、本明細書で議論するように、水吸収性で、カレンダー加工に応答性である。
本明細書に議論するように、有機ポリマー粒子の実施態様は水素結合形成のためのユニットを有する有機親水性ポリマーと、少なくとも部分的に有機親水性ポリマーを取り囲む有機ポリマーの中空ポーラス構造体(hollow porous structure)を含み;該中空ポーラス構造体が理論的な総外表面積の1パーセント以上のポア表面積を持ち、そして、該有機親水性ポリマーと該中空ポーラス構造体が、40パーセントから85パーセントの範囲内の空隙率(void volume fraction)を該有機ポリマー粒子に与える。
【0012】
本明細書で議論するように、本発明の有機ポリマー粒子は非常に水吸収性でありつつ、カレンダー加工で向上した光沢を提供する能力を保持し、高速コーティングすることができ、また現在インクジェットおよびフレキソ印刷用のコート紙で使用されている無機の水吸収粒子を代替えする能力がある。
【0013】
また、本明細書に開示される実施態様は、有機ポリマー粒子の製造方法であって、酸基、潜在的酸基またはそれらの両方を含むモノマーの有機親水性ポリマーのコアを形成し、酸基、潜在的酸基またはそれらの両方を含むモノマーの有機ポリマーを含むシェルを形成し、コアをとり囲むことを含む。ここでシェルは初期のサイズを有する。本発明の方法は、コアを膨張させ、シェルから中空ポーラス構造体を形成することを含む。該中空ポーラス構造体はシェルの初期サイズよりも大きな拡張されたサイズを有する。これは中空ポーラス構造体の酸基、潜在的酸基またはそれらの両方を加水分解して、有機ポリマー粒子の中空ポーラス構造体を形成する。有機親水性ポリマーは40パーセントから85パーセントの空隙率を有機ポリマー粒子に与える。
【0014】
本明細書に開示される実施態様はさらにコート紙を含む。コート紙の実施態様は、基紙(base paper)、第1および第2の主要な面の少なくとも1つの面の上のコーティングを有するコート紙であって、該コーティング組成物がバインダーおよび本発明の有機ポリマー粒子を含むコーティング配合物から形成されるものである。様々な実施態様について、コーティングはプリントの30秒後に、中実粒子、中空粒子およびそれらの組み合わせから成る群から選択された有機粒子を含むコーティングよりも、少なくとも10パーセント大きいインクセツトオフブライトネス値(ink set off brightness value)を提供する。いくつかの実施態様では、コート紙はさらにカチオン型色留め剤層(cationic fixative layer)を含んでいる。本発明の紙コーティング組成物から形成されたコーティングは、コート紙の下塗り、上塗り、および/または下塗りと上塗りの間の1種以上の中間的コートとして使用できる。
【0015】
本明細書の上記の要約は、本発明の実施態様またはすべての実施について説明することを意図していない。以下の説明ではより具体的に実施態様を例示する。出願の全体を通して、例のリストを通してガイダンスを提供する。例のリストは様々な組み合わせで使用できる。どの場合にも、記載されたリストは、単に代表的なリストであり、排他的なリストとして解釈されるべきでない。
【0016】
定義
本明細書において使用される時、「紙」は野菜および/または木材繊維、たとえばセルロースなどのような、ヘミセルロース、リグニンおよび/または合成繊維を少なくとも一部含むことができるファイバーの融合体に基づく基紙をいう。理解されるように、紙の基紙組成物に他の成分を含むことができる。さらに、「紙」という用語は紙および/または板紙を含む様に意味される。本明細書において使用される時、紙および/または板紙はそれらの厚さ、強度および/または重量において異なることができるが、コート紙および/または板紙を形成するために本明細書に提供された紙コーティング組成物および方法の実施態様によって両方が変成されることが意図される。改良された読み易さのために、「紙および/または板紙」という句は「紙」という用語に置き換えられる。用語の使用されている文脈から明確にそうではないことが明らかでない限り、用語「紙」は「紙および/または板紙」の両者を包含する。
【0017】
本明細書において使用される時、「コア」は中空ポーラス構造体の中に少なくとも部分的に含まれている有機親水性ポリマーへの前駆体であり、有機親水性ポリマーを形成するために本明細書に議論するように、コアは膨張される。本明細書において使用される時、「シェル」は中空ポーラス構造体の前駆体であり、中空ポーラス構造体を形成するために本明細書に議論するように、シェルは膨張される。有機親水性ポリマーと中空ポーラス構造体との組み合わせは、本明細書に提供するように、本発明の有機ポリマー粒子を形成する。
【0018】
本明細書において使用される時、「空隙率」は有機ポリマー粒子内の、有機ポリマー粒子を形成するポリマーによって占領されていない空間の容積分率である。粒子の理論上の容積が具体的形(例えば、球体、回転楕円体など)に基づいて計算される。
【0019】
本明細書において使用される時、「中空ポーラス構造体」は少なくとも外部表面と該外部表面に対する内部表面を有する壁を有し、該内部表面は、その内部に有機親水性ポリマーが存在することができる、中空粒子構造体の中空スペースを定義するのを助ける。様々な実施態様のために、中空ポーラス構造体の外部表面は、有機ポリマー粒子の理論上の容積および/または外側の表面積を決定するのを助け、そして外部表面と内部表面ととの間に伸び、貫通するポアは中空ポーラス構造体にポロシティを提供する。
【0020】
本明細書において使用される時、「ポア表面積」は、理論上の外側表面積(球状粒子が想定される場合には理論上の外側表面積=4πr)と、有機ポリマー粒子の中空ポーラス構造体の実際の外側表面積との相違によって定義された有機ポリマー粒子の表面積である。
【0021】
本明細書において使用される時、「酸基」という用語は別の化合物に水素イオンを与える化合物をいう。酸基の例としては、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、メタクリル酸、および/または乳化重合可能なα,β−不飽和カルボン酸があげられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書において使用される時、「潜在的酸基」という用語は、加水分解されると酸基を提供する化合物をいう。潜在的酸基の例としては、エステルとニトリル類があげられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において使用される時、「部」という用語は乾燥基準の重量部について言及し、本明細書では部は乾燥粒子の100部に基づいている。
【0024】
本明細書において使用される時、「重量部」という用語は乾燥量基準の部について言及し、本明細書では重量部は乾燥粒子の100重量部に基づいている。
【0025】
本明細書の開示の目的のために、「乾燥」の用語は、液体の実質的な不存在を意味し、「乾燥基準」は乾燥材料の重量基準をいう。例えば、有機ポリマー粒子の固形分は乾燥重量として示され、本質的にすべての揮発性物質を取り除いた後に残っている物質の重量を意味する。
【0026】
本明細書において使用される時、「高光沢」は、角度75度での反射で測定されたTAPPI光沢が65以上であることを含む。
【0027】
本明細書において使用される時、「界面活性剤」はポリマーと水の間の界面張力を下げて、また重合過程の間に有機ポリマー粒子を安定させることができる薬剤をいう。
【0028】
本明細書において使用される時、”Tg”はガラス転移温度のための略語である。これはその温度以上においてガラス状態のポリマーがポリマー鎖のセグメント運動を開始する温度をいう。本明細書に記載される有機ポリマー粒子のTgは、示差走査熱量計(DSC)で測定されたものである。
【0029】
本明細書において使用される時、「psi」は1平方インチ当たり1ポンドの圧力単位のための略号である(1psi=6,894.76Pa)。
【0030】
本明細書において使用される時、「(メタ)」という用語は、この用語により修飾された化合物が、メチル置換化合物も包含することを示す。例えば、(メタ)アクリル酸という用語はアクリル酸およびメタクリル酸を表す。
【0031】
本明細書において使用される時、「ラテックス」は、1種以上のモノマーの乳化重合により調製されたポリマー粒子(例えば、本発明で開示される有機ポリマー粒子)の水性分散液をいう。
【0032】
本明細書において使用される時、「エマルション」は、別の液体中に界面活性剤の援助により分散され、保持された、非混和性液体および/または固体から成る懸濁物をいう。
【0033】
本明細書において使用される時、「乳化重合」は水、モノマー、および界面活性剤を含むエマルションで開始されることのできる一つのタイプのラジカル重合をいう。
【0034】
本明細書において使用される時、“ひとつ(a)”、“ひとつ(an)”、“その(the)”、「少なくとも1つ」、および「一以上」は互換性を持って使用される。「含む」という用語とそれらの変化形は、それらの用語が詳細な説明と請求項に現れる場合に、制限的な意味はない。
したがって、例えば、バインダーを含む反応混合物は、バインダーが「1種以上の」バインダーを含んでいることを意味すると解釈できる。
【0035】
用語「および/または」は、記載された要素の1、2個以上、またはすべてをいう。
【0036】
本明細書において、数字の範囲内の記載は、その範囲内に包含されるすべての数を含んでいる(例えば、1から5は1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含んでいる)。
【0037】
本明細書において使用される時、「上」、「上方」、「上側」、「下」、「下方」、「下側」などは、インクジェット基体における層に関して使用される時、支持層の上の順番を示すが、層がすぐに、隣接して、または中間層が全くないことを必ずしも示すわけではない。
【0038】
特記の無い限り、「粒径」または「平均粒子径」は、水中に分散されたポリマー粒子の光散乱測定で決定する有機ポリマー粒子群の体積平均直径が使用される。光散乱測定は、光子相関分光法(PCS)またはNANOTRAC(Microtac Inc.)極微細粒子分析器を使用したMIE散乱法を使用して測定される。
【0039】
特記の無い限り、成分の量、重量部、パーセントなどが明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「約」という用語によって修飾されているものとして理解される。
【0040】
本明細書の開示の上記の概要は、開示されているそれぞれの実施態様を記載し、または本明細書の開示のすべての実施であることは意図しない。以下の説明は、より詳細に例示の実施態様を説明する。出願書類の全体にわたり、例のリストを通してガイドラインが提供されるが、例のリストは様々な組み合わせで使用できる。どの場合にも、記載されたリストは、単なる代表としての例示であり、排他的なリストとして解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1A−1Fは、本明細書の開示における中空粒子HS3020(図1A)と有機ポリマー粒子1−5(それぞれ図1B−1F)のSEM画像である。
【0042】
【図2】図2は、本発明のコート紙上のインクジェット線幅を示すグラフである。
【0043】
【図3】図3は、本発明のコーティング配合物がコーティングされた紙と、市販のインクジェット紙の、ウィックとブリードの試験結果を示すグラフである。
【0044】
【図4】図4は、インクジェットインクのセット時間測定に使用されたダウ プリントフォーム(Dow Print Form)である。
【0045】
【図5】図5は、本発明のコート紙の、インクジェットインクセット時間対セットオフブライトネスの結果を示すグラフである。
【0046】
【図6】図6は、本発明のコート紙の、インクジェットインクセット時間対セットオフブライトネスの結果を示すグラフである。詳細な説明
【0047】
本出願の開示は有機ポリマー粒子、該有機ポリマー粒子を含む紙コーティング組成物、該紙コーティング組成物を使用して形成されたコート紙および/または板紙、有機ポリマー粒子を形成する方法、該紙コーティング組成物を使用してコート紙および/または板紙を製造する方法の実施態様を提供する。本発明の有機ポリマー粒子は、多孔質、水吸収性、およびカレンダー加工に応答性である。水吸収性である有機ポリマー粒子を提供することによって、該有機ポリマー粒子を含むコーティング組成物は迅速な乾燥用途、たとえば、コーティングされたインクジェット紙に使用できる。
【0048】
本発明の有機ポリマー粒子は、水素結合形成のための単位を有する有機親水性ポリマーと中空ポーラス構造体体を有する。様々な実施態様のために、有機ポリマーを含む中空ポーラス構造体は、少なくとも有機親水性ポリマーを部分的に囲み、中空ポーラス構造体の理論上の総外側表面積の1パーセント以上のポア表面積を持っている。いくつかの実施態様では、中空ポーラス構造体は、中空ポーラス構造体の理論上の総外側表面積の2−50パーセントのポア表面積を持っている。様々な実施態様では、有機親水性ポリマーと中空ポーラス構造体は、40パーセントから85パーセントの空隙率を有機ポリマー粒子に与えることができるポーラス構造体を提供する。いくつかの実施態様では、有機ポリマー粒子の空隙率が60パーセントから80パーセントの範囲内にあることができる。
【0049】
本発明の有機ポリマー粒子は、水性媒体中での逐次的な乳化重合で製造できる。「逐次的な乳化重合」の用語は、水性媒体中のあらかじめ形成されたラテックスまたは「シード」ポリマーの分散されたポリマー粒子が、1以上の逐次的な工程により、該あらかじめ形成されたラテックスの分散された粒子を含む水性媒体中に導入された1以上の追加のモノマーチャージの重合された生成物により、そのサイズが増大してゆくように、乳化重合により水性媒体中で調製されたポリマー(ポリマーの用語はコポリマーとホモポリマーを包含する)に関して用いられる。
【0050】
用語「シード」ポリマーは、単一段の乳化重合の生成物である初めに形成された分散体である水性エマルションポリマー分散体であることができ、または逐次的重合の最終段階を含まない逐次的重合の結果得られたエマルションポリマー分散物であることができる。したがって、乳化重合の1以上の引き続く重合により、シェルが提供されることが意図される水素結合のための単位を有する有機親水性ポリマーは、それ自体が次の段階のためのシードポリマーであり、次の段階では該シードポリマー粒子の上にシェル形成性ポリマーが堆積される。
【0051】
本発明の有機親水性ポリマーは、1種以上の親水性ポリマーおよび/またはモノマーの水性乳剤重合の生成物であることができ、得られた有機親水性ポリマーは水素結合形成のための単位を含む。水素結合形成のための単位は、有機親水性ポリマーが加水分解されるのを許容し、有機親水性ポリマーの一部を溶解して、有機親水性ポリマーからポーラス構造体を作成する。いくつかの実施態様では、水素結合形成のための単位は、エステル、カルボン酸、ニトリルおよび/またはアルコールであることができる。
【0052】
様々な実施態様では、有機ポリマー粒子の有機親水性ポリマーは、酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含む第1のモノマーの5から95の重量部から形成できる。本明細書において使用される時、「酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含むモノマー」とは、酸基、潜在性酸基、または、酸基と潜在性酸基の両方を含むモノマーをいう。いくつかの実施態様では、酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含む第1のモノマーは、加水分解のときにカルボン酸基を形成できる。本明細書において使用される時、「加水分解」は水分子との化学反応であり、水分子が酸基を形成するために潜在性酸基と反応できる水素と水酸化物イオンに解離される反応をいう。
【0053】
第1のモノマーが酸基を含んでいる実施態様では、有機親水性ポリマーを第1のモノマーの5から45重量部から形成できる。他の実施態様では、有機親水性ポリマーは潜在性酸基を有するモノマーの5から99重量部と、酸基を有するモノマーの1から95重量部から形成できる。ここで、潜在性酸基はエステルとニトリルから成る群から選択される。
【0054】
第1のモノマーに含まれている適当な酸基としては、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリロキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、および/または乳化重合可能なα,β−不飽和カルボン酸を含むが、これらに限定されない。
【0055】
コアを作るための適当な親水性のモノエチレン性不飽和の単量体としては、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよび同様のものなどの(メタ)アクリル酸の(C−C20)アルキルまたは(C−C20)アルケニルのエステルがあげられる。
【0056】
そのようなモノマーの乳化重合、または二以上モノマーの共重合によりコアを得ることができる。追加の実施態様では、モノマーまたはモノマー混合物と、非イオン性特性を有する(すなわたイオン化可能な基を有していない)1以上のエチレン性不飽和モノマーと共重合できる。ノニオン性のモノエチレン性不飽和モノマーの例としては、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニール、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、様々な(メタ)アクリル酸の(C−C20)アルキルまたは(C−C20)アルケニルエステルがあげられる。ここで(メタ)アクリル酸の表現は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を含む総称表現として使用される。
【0057】
コアは単一段または逐次乳化重合により作ることができ、シェルは引き続く工程で、またはコア段階に引き続く工程で作ることができる。それにもかかわらず、コアの作成は逐次的な複数の工程を含むことができ、引き続き、同様に複数の工程であることができるシェル作成工程が行われる。
【0058】
水性媒体中の乳化重合において一般的であるように、過酸化水素、t−ブチルペルオキシド、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、またはリチウム)またはアンモニウムの過硫酸塩が、乳化重合工程で使用できる。開始剤の量は、使用されるモノマーの0.01から2重量パーセントであることができる。少量の乳化剤の量を維持しつつ乳化重合を行うことにより、次のステージのポリマー形成物は、先の段階または工程で得られた分散された有機ポリマー粒子上の最も最近に形成されたポリマーの上に堆積される。
【0059】
また、ノニオン性またはアニオン性乳化剤も、乳剤重合過程の間、単独または一緒に使用することができる。ノニオン性タイプの乳化剤の例は、t−オクチルフェノキシエチルポリ(39)エトキシエタノール、およびノニルフェノキシエチルポリ(40)エトキシエタノールがあげられる。アニオン性乳化剤の例としては、特にはラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムドデシルベンゼンスルホナート、t−オクチルフェノキシエトキシポリ(39)エトキシエチル硫酸塩、およびナトリウム塩があげられる。
【0060】
いくつかの実施態様では、コアは架橋した親水性ポリマーで形成できる。そのような実施態様では、コアの架橋された親水性ポリマーは、有機ポリマー粒子が膨潤剤で処理されて有機親水性ポリマーを形成する時に、コアの溶解を防ぐことができる。これについては、本明細書でさらに議論される。
【0061】
単段の過程またはいくつかの段階を伴う工程で得るか否かに関係なく、本明細書で定義されるように、コアは0.05から1.00ミクロンの平均粒子サイズを持つことができる。追加の実施態様では、単段の過程またはいくつかの段階を伴う工程で得るか否かに関係なく、コアは0.07から0.5ミクロンの平均サイズを持つことができる。更なる実施態様では、単段の過程またはいくつかの段階を伴う工程で得るか否かに関係なく、コアは0.1から0.4ミクロンの平均サイズを持つことができる。
【0062】
コアを得た後に、次の一つまたは複数の段階の乳化重合により、シェルをコアの上に形成する。この反応は、コアの成形が完了したのと同じ反応容器で実行できるし、または分散コアを含む反応媒体を別の反応容器に移すこともできる。ポリモーダルの生成物が望ましい場合でなければ、一般に、乳化剤を加えることは不要である。しかし、シェルを形成するためのあるモノマー/乳化剤系では、シェルを形成するモノマーの重量に基づいて0.05から0.5重量パーセントの乳化剤の添加により、反応媒体中でのガムまたは凝固ガムが生成される傾向を減少するか、または防止することができ、先に形成されたコアの上に形成されるポリマーの堆積に支障がない。
【0063】
様々な実施態様において、シェルと、シェルから形成された中空ポーラス構造体は有機ポリマーから形成できる。有機ポリマーを形成するのに使用されるモノマーは親水性であり、親水性で、膨潤性で、部分的に加水分解可能なシェルを形成する。これは中空ポーラス構造体が形成されるのを許容する。シェルを形成するのに加水分解可能なモノマーを使用することによって、有機ポリマー粒子が加水分解されると、得られる中空ポーラス構造体にポアを形成できる。シェルの有機ポリマーとして、および得られる中空ポーラス構造体として役に立つ有機モノマーの例としては、特にはスチレン、α−メチルスチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルトルエン、エチレン、塩化ビニール、および塩化ビニリデンがあげられる。例えば、シェルおよび得られる中空ポーラス構造体の有機ポリマーは、スチレン、メチルメタクリレート、およびアクリロニトリルから成る群から選択できる。
【0064】
さらに、有機ポリマー中空ポーラス構造体を、酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含む第2のモノマーの1から25重量部から形成できる。第2のモノマー性が潜在性酸基を含んでいる実施態様では、潜在性酸基は、加水分解してカルボン酸を形成できる。いくつかの実施態様では、中空ポーラス構造体の有機ポリマーは、酸基を有する第2のモノマーの1から25重量部から形成できる。
【0065】
第2のモノマーに含まれる適当な酸基は、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリロキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、および/または乳化重合可能なα,β−不飽和カルボン酸を含むが、これらに限定されない。潜在性酸基としては、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよび同様のものなどの(メタ)アクリル酸の(C−C20)アルキルまたは(C−C20)アルケニルのエステルがあげられる。
【0066】
いくつかの実施態様では、中空ポーラス構造体の有機ポリマーのTgは、有機ポリマー粒子の有機親水性ポリマーのTgと異なっている場合がある(例えば、より大きい)。様々な実施態様において、中空ポーラス構造体の有機ポリマーと有機親水性ポリマーのTgは、有機ポリマー粒子の希望のポロシティを得るようにお互いに対して変更できる。また、さらに中空ポーラス構造体を形成する際に使用されるモノマーは選択でき、中空ポーラス構造体における低いTgポリマーのポケットを形成することができ、これは加水分解のときに、有機ポリマー粒子のポロシティをさらに向上させる。
【0067】
いくつかの実施態様では、中空ポーラス構造体の有機ポリマーをアクリレートモノマーのような加水分解可能モノマーの2から30重量部、およびスチレン、メチルメタクリレート、およびアクリロニトリルから成る群から選択したポリマーの70から98重量部から形成できる。いくつかの実施態様では、中空ポーラス構造体を形成するのは、シェルの有機ポリマーの総組成物に基づいて5から10重量部の範囲内のアクリレートモノマーと95から90重量部の範囲内のスチレンモノマーを使用することを含む。
【0068】
シェルが形成されコアを取り囲むと、シェルは、コアを膨張させることによって、初期のサイズから膨張したサイズまで膨張できる。様々な実施態様において、コアは膨張され、シェルから中空ポーラス構造体を形成できる。ここで、該中空ポーラス構造体は初期のサイズより大きい膨張したサイズを有する。
【0069】
様々な実施態様において、例えば、コアにを膨張させてシェルから中空ポーラス構造体を形成することは、たとえばコアとシェルに存在している酸および/または潜在的酸の合計に対して1モル当量のアルカリと、コアとシェルを接触させることにより達成できる。適当な様々な実施態様では、好適なアルカリはアンモニア、水酸化ナトリウム、および/またはアミンを含むが、これらに限定されない。次に、混合物は圧力下(例えば、75psiの容器の中)で、140℃で120分加熱され、冷却されることができる。様々な実施態様において、中空ポーラス構造体の膨張しているサイズはシェルの初期のサイズより大きい。
【0070】
そして、中空ポーラス構造体と有機親水性ポリマーは、中空ポーラス構造体と有機親水性ポリマーの中のポアを形成するために加水分解される。いくつかの実施態様では、中空ポーラス構造体の有機ポリマーを形成する際に使用される酸基、および/または潜在性酸基の量を調整することによって、中空ポーラス構造体のポアのサイズを調整できる。同様に、有機親水性ポリマーを形成するのに使用される有機親水性ポリマーの量を調整することによって、粒子の空隙率を調整できる。例えば、有機ポリマー粒子の空隙率は40パーセントから85パーセントまで、50パーセントから80パーセント、および60から80パーセントまでであることができる。
【0071】
理論上の総外側表面積の1パーセント以上のポア表面積を持つ中空ポーラス構造体と、大きい空隙率の有機ポリマー粒子を形成することによって、有機ポリマー粒子は、非常に吸収性であってカレンダー可能となる。例えば、有機親水性ポリマーと中空ポーラス構造体が親水性であるので、それらは流体を引き付けるように行動でき、例えば、それらの流体はインクジェット式プリンタで使用されるインクに含まれる。また、大きい空隙率を有することによって、有機ポリマー粒子は中実のポリマー粒子と比べて流体を吸収できる。さらに、空隙率はフレキシブルでカレンダー可能な有機ポリマー粒子を提供し、高光沢および滑らかさをコーティングに提供する。
【0072】
適当な有機ポリマー粒子はさまざまなサイズと空隙率で利用可能である。例えば、有機ポリマー粒子の粒径は0.35から5.0ミクロン、望ましくは0.5から2.0ミクロン、および最も望ましくは0.8から1.2ミクロンまで変化できる。
【0073】
本発明の紙コーティング組成物は、本明細書に議論する有機ポリマー粒子を含むことができる。例えば、紙コーティング組成物は、合計の粒子100重量部当たり、20から70重量部の範囲内で本発明の有機ポリマー粒子を含むことができ、100重量部の残部は他の粒子群であることができる。さらに、紙コーティング組成物中に有機ポリマー粒子の混合物を使うことができる。そのような組成物はポリモーダルシステムであると考えることができる。ここで、”ポリモーダル”は、少なくとも2つの異なった寸法品質、例えば粒径を有する有機ポリマー粒子を含む紙コーティング組成物を示す。紙コーティング組成物はバイモーダルの、2つの異なったサイズの有機ポリマー粒子であることができる。しかしながら、また、2つよりも多くの異なった大きさの有機ポリマー粒子を有する紙コーティング組成物も可能である。
【0074】
本発明の紙コーティング組成物はバインダーを含んでいる。様々な実施態様において、紙コーティング組成物のためのバインダーは、合成ラテックス、タンパク質(例えば、大豆、カゼイン、アルブミン)などのでんぷんまたは他の天然のバインダー、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート塩、およびそれらの混合物から成る群から選択することができる。1つの実施態様では、紙コーティング組成物で使われるバインダーは、合成ラテックスである。具体的には、合成ラテックスは、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル、スチレンアクリル、スチレン−ブタジエン−アクリル、酢酸ビニル、およびそれらの混合物のポリマーの群から選択することができる。合成ラテックスの調製に使用できるモノマーのさらなる例としては、エチレンおよび酢酸ビニルの混合物、およびアクリル酸、および/またはメタクリル酸のエステルがあげられる。
【0075】
さらに、本発明のバインダーをカルボキシル化することができる。例えば、本明細書に提供された合成ラテックスバインダーはカルボキシル化、すなわち、カルボン酸と共重合することができる。
【0076】
様々な実施態様のために、紙コーティング組成物のバインダーはポリマーの水性分散液であることができる。理解されるように、バインダーの水性部分はコート紙の製造の間に、ほぼ留去される。1つの実施態様では、合成ラテックスバインダーはそのようなポリマーの水性分散液の例である。さらに、合成ラテックスはモノモーダルまたはポリモーダルであることができて、例えば、二つのモードの粒子サイズ分布を有する。また、紙コーティング組成物にバインダーの混合物を使用できる。
【0077】
紙コーティング組成物における、バインダーの平均サイズは450から5,000オングストロームで変化できる。より小さい粒子群を有するバインダーを使用した紙コーティングは、改良されたコーティング強度を通常示す。なぜなら、より小さい粒子は、他のコーティング成分を結合するための単位重量あたりのより大きな表面積を提供するからである。
【0078】
さまざまな市販のバインダーが利用可能である。適当なラテックスバインダーの例としては:ダウ・ケミカル社製のCP 615NA、CP 638NA、DL920、DL966、PROSTAR5401、およびCP 692NA;オムノバソリューション社製の、GenFlo(登録商標)557とGenFlo(登録商標)576;ビーエーエスエフ社製の、Acronal(登録商標) S504とAcronal(登録商標) S728があげられる。適当なでんぷんバインダーとしてはPenford(登録商標)Gum PG290(Penford Products社、Cedar Rapids IA製)があげられる。
【0079】
開示の目的のために、バインダーの選択および使用量は、バインダーがコート紙の製造における使用のために十分な密着特性とコーティング強度を有することを保証するために十分であるようにされる。様々な実施態様のために、紙コーティング組成物におけるバインダーの量は、ピッキングに抵抗するのに適切なコーティング強度を提供するべきである。驚いたことに、紙コーティング組成物に必要であるバインダーの割合は紙コーティング組成物の10重量%未満である場合がある。例えば、バインダーのための適当な割合は、紙コーティング組成物の6重量%から10重量%の範囲であることができる。1つの実施態様では、紙コーティング組成物に使用できるバインダーの割合は紙コーティング組成物の5から7重量%である場合がある。
【0080】
本明細書に議論するように、紙コーティング組成物はさらに顔料および/または粒子を、合計粒子が100重量部に達するように本明細書に議論した有機ポリマー粒子を超えて含むことができる。いくつかの実施態様では、追加の粒子は無機粒子であることができる。無機粒子の例としては、カオリンクレー、滑石、か焼クレー、構造クレー、炭酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、二酸化チタン、三水和アルミナ、サチン白、シリカ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、およびそれらの混合物があげられる。炭酸カルシウムは特に好ましい無機粒子である。
【0081】
いくつかの実施態様では、合計粒子が100重量部に達するように紙コーティング組成物に加えられた追加粒子は、無機粒子、および/または中実ポリマー粒子であることができる。本明細書において使用される時、中実ポリマー粒子とは、5パーセント以下の空隙率を有するポリマー粒子をいう。適当な中実ポリマー粒子の例としては、ダウ・ケミカル社から利用可能なPlastic Pigment722(PP722)、Plastic Pigment730、またはPlastic Pigment756があげられるが、これらに限定されない。
【0082】
さらに、様々な実施態様では、合計粒子が100重量部に達するように紙コーティング組成物に加えられた追加粒子は、実質的に中実ポリマー粒子を含まない。
【0083】
所望であれば、特性を変更するために公知の混和材を紙コーティング組成物の実施態様に組み入れることができる。これらの混和材の例としては、公知の増粘剤、分散剤、染料、および/または着色剤、防腐剤、殺生物剤、発泡抑制剤、蛍光増白剤、湿潤紙力増強剤、潤滑剤、保水剤、薬剤、架橋剤、界面活性剤、およびペーハー制御剤、およびそれらの混合物があげられる。また、紙コーティング組成物における他の混和材の使用も可能である。当技術分野で熟練した技術者は、希望の最終生成物特性を獲得するためにどう適切な追加混和材を選択するかを理解できる。
【0084】
本発明の実施態様において、紙コーティング組成物はカレンダー加工の前に基紙の第1の主要な面、および/または第1の主要な面と反対側の第2の主要な表面の少なくとも1つに適用される。
【0085】
多くの異なったコーティング技術を使用して紙コーティング組成物を基紙に適用できる。これらの技術の例としては、ロッド、溝付きロッド、カーテンコーティング、スティッフブレード、アプリケータロール、ファウンテン、ジェット、ショートドゥエル、スロッティドダイ、ベントブレード、ベベルブレード、エアナイフ、バー、グラビア、サイズプレス(従来の、またはメータリング)、スプレー、ウェットスタック、および/またはカレンダー加工の間の塗布があげられる。また、他のコーティング技術も可能である。
【0086】
1つの実施態様では、紙コーティング組成物の1種以上の層は、少なくとも基紙の1つの面にロッド、および/またはスティッフブレードコーティング技術を使用することで適用される。1つの実施態様では、1面当たり、0.5から20g/mのコート重量でコーティング組成物が適用される。追加の実施態様では、コート重量は少なくとも2g/mであることができる。別の実施態様では、コート重量は2から10g/mであることができる。1つの実施態様では、プリントシートの両側の印字図形が同等の品質を有することを保証するために基紙の両側に紙コーティング組成物を適用することができる。1つの実施態様では、単層として紙コーティング組成物を基紙に適用できる。
【0087】
そして、紙コーティング組成物の一つまたは複数の層は乾燥される。対流、伝導、放射、および/またはそれらの組み合わせで紙コーティング組成物の乾燥を達成できる。
【0088】
また、さらに、コート紙は基紙と本発明のコーティングの間にベースコートを含むことができる。本明細書において使用される時、「ベースコート」は本発明の紙コーティング組成物の下にあって、バインダーを含むことができる着色の、または、無着色のコートを示す。ベースコートが着色されているとき、カオリン、滑石、か焼クレー、構造体クレー、炭酸水素カルシウム、沈降炭酸カルシウム、二酸化チタン、三水和アルミナ、サチン白、中空ポリマー粒子、中実ポリマー粒子、シリカ、酸化亜鉛、硫酸バリウム、およびそれらの混合物から成る群から選択することができる。ベースコートの顔料成分は単分散または多分散粒度分布を持つことができる。
【0089】
紙コーティング組成物の塗布の前にベースコート層を基紙に適用できる。ベースコート層は本明細書に記載される紙コーティング組成物と同じようにして適用でき、1以上の層で適用できる。
【0090】
紙コーティング組成物のコーティングを有する基紙をカレンダーにかけることができる。本明細書において使用される時、「カレンダー」は、複数のロールが使用され1以上のニップを通してコート紙を加工する広範な様々な操作を示す。マシンカレンダー加工の例としては、シングルニップカレンダー加工、ホット/ソフトカレンダー加工、マルチニップカレンダー加工、拡張ニップカレンダー加工、およびスーパカレンダー加工のプロセスを含むが、これらに限定されるものではない。さまざまな材料でカレンダーのロールを作ることができる。例えば、金属(例えば、鉄鋼)でロールを形成でき、ポリマーのカバー、および/または綿のカバーを有することができ、それぞれのロールは異なった直径と任意のカバーを有することができる。本発明の実施態様では、リニアインチ(linear inch)あたり200ポンドの最低圧力で紙コーティング組成物と基紙をカレンダーにかけることができる。
【0091】
理解されるように、カレンダー加工のコート紙特性への効果は、ロール表面の温度、運転速度、ロールの弾性特性、ロールの間の線形負荷(linear load)に依存する。1つの実施態様では、カレンダー加工の線形負荷範囲は35から525kN/mに及ぶことができる。そして、操作ロール温度は20℃から300℃まで及ぶことができる。追加の実施態様では、操作ロール温度が90℃から150℃であることができる(すなわち、熱は全くカレンダー加工のロールに加えられない)。
【0092】
様々な実施態様のために、基紙上の紙コーティング組成物の層をカレンダーにかけると、2未満のPPS−H5(Parker PrintSurf5)のコーティングの平滑性を提供することができる。さらに、コート紙は、75°の反射角度で測定した時に、20から90の範囲のTAPPI光沢を与える。様々な実施態様では、この平滑性と高光沢を有するコート紙は、カレンダー操作の間に実質的に熱を全くかけないカレンダーの熱ロールの操作により形成される。
【0093】
様々な実施態様において、コート紙のための高光沢、速い吸収、および良好な平滑性の組み合わせは、本発明の紙コーティング組成物に含まれる有機ポリマー粒子の高い空隙率および寸法安定性に起因して達成される。
【0094】
例えば、本発明の紙コーティング組成物は、インクジェット式プリンタで使用される紙の上にコーティングを形成するために使用できる。本明細書に議論するように、他の有機粒子を含んでいる紙コーティング組成物から形成されたコーティングと比べて、有機ポリマー粒子の空隙率は紙コーティング組成物から形成されたコーティングに、より速い吸収速度を提供する。様々な実施態様では、本発明のコーティングはプリントの30秒後におけるインクセットオフブライトネス値が、中実粒子、中空粒子、および組み合わせから成るグループから選ばれた有機粒子を含むコーティングより、少なくとも10パーセント大きい。
【0095】
さらに、本発明の紙コーティング組成物における有機ポリマー粒子はカレンダー加工の間、圧縮性であることができ、有機ポリマー粒子のポロシティにより良い平滑性と光沢を与える。対照的に、アルミナやシリカなどの無機粒子を含む紙コーティング組成物から形成されたコーティングは、無機粒子の非圧縮性の性質により、表面粗度を維持して、したがって、低い光沢をコーティングに提供する。
【0096】
また、本発明の実施態様は、基紙と、基紙の第1の主要面と第2の主要面の少なくとも1つの面の上にコーティングを有し、該コーティングがバインダー、および本発明の有機ポリマー粒子を含む紙用のコーティング組成物から形成されたものであるコート紙を開示する。理解されるように、コート紙は多くの用途に使用でき、たとえばインクジェット式プリンタによる印刷、従ってインクジェットインクに使用できる。1つの実施態様では、コート紙はカチオン型色留め剤層を含んでいる。ブリーディング特性の減少と、斑点とインク密度を改良するために被覆表面に近い場所にインクの着色要素を「ロックする」ために、色留め剤をコート紙に組み入れることができる。色留め剤は、紙コーティング組成物に組み入れるか、または先にコーティングされた紙の上に別の層として加えることができるカチオン性の材料であることができる。ある場合には、カチオン型色留め剤層は、妨害するアニオン型汚染物質の除去剤として作用することができ、次の成分のカチオンサイトを保護することができる。他の用途では、紙の表面の電荷を逆にするためにカチオン型色留め剤層を加えることができる。その結果、アニオンポリマーの引き続く添加による保持を可能にする。
【0097】
本発明の実施態様では、塩化カルシウムとポリージアリルジメチル塩化アンモニウム(ポリーDADMAC)からカチオン型色留め剤層を選択できる。他のカチオン型色留め剤としては、ポリエチレンアミド、または他の小さいポリマーたとえば、修飾ポリアミド、ポリエチレンイミン、アルミニウムスルホネート、またはポリ−塩化アルミニウムなどがあげられる。1つの実施態様では、本発明のコーティング組成物にカチオン型色留め剤を含むことができる。いくつかの実施態様では、本発明の紙コーティング組成物の後に適用される第2の紙コーティング組成物にカチオン型色留め剤を含むことができる。
【0098】
本明細書に議論するように、コーティングと紙コーティング組成物における使用に加えて、本発明の有機ポリマー粒子は、それらの流体吸収剤能力の利益を得ることができる他の用途において適用することができる。そのような用途としては、スーパー吸収剤、成形可能な吸収剤、ロールされた商品(rolled goods)、包装材、廃棄物固化剤、吸収性フィルム、布被覆および不織布被覆、およびおしめがあげられるが、これらに制限されるものではない。
実施例
【0099】
以下の例は、例示に過ぎず、本発明の範囲を制限しない。他に示さない限り、全ての部及びパーセントは重量による。特に記載していない限り、すべての使用される器具と化学物質は、市販のものである。
【0100】
テスト方法
ボリュームメディアン直径
有機ポリマー粒子のボリュームメディアン直径は流体力学クロマトグラフィーで測定される。流体力学クロマトグラフィーを使用することでボリュームメディアン直径を決定する方法は、「一体化された高速コンピューターによる流体力学的なクロマトグラフの発達と用途”Development and application of an integrated, high-speed, computerized hydrodynamic chromatograph"」、Journal of Colloid and Interface Science, Vol. 89, Issue I. September 1982, Pgs.94-106, Gerald R. McGowan and Martin A. Langhorstに提示される。この文献は全体が参照のため援用される。
【0101】
光沢
紙の光沢は、75°(度)の入射角でTechnidyne GlossmeterモデルT480Aを使用して測定される。光沢はコート紙のサンプルの複数点で測定される。それぞれのコート紙のサンプルを横切る直線上の5カ所(すなわち、左端、中心の左側、中心、中心の右側、右端)を決め、2回測定した。報告された光沢値は、10回の読みの平均である。
【0102】
コート重量測定
コート重量は、10分間、コート紙のサンプルを熱オーブンで130−140℃で乾燥した後に、コート紙のサンプルの質量からコーティングしていない紙のサンプルの質量を引き算することによって測定した。標本のサンプルは、基紙とそれぞれのコーティングについて100cmで12枚、切断型で切られた。報告されたコート重量値は、12個のサンプルの平均である。
平滑性
【0103】
平滑性テストはTAPPIテスト方法T−555で説明されるように、印刷表面装置を使用して行われた。24時間の50%±2.0%の相対湿度(RH)と23℃±1.0℃の雰囲気中で、コート紙をコンディショニングした後に、0.5と1.0kgで加重され、コート紙のサンプルあたり10枚以上にテストする。報告された平滑性の値は、10回の測定値の平均である。
【0104】
空隙率
空隙率は、以下の手順を用いて測定される。50mlのポリプロピレン遠心分離機チューブ(半球の下部を有する)に、有機ポリマー粒子を含む40グラムのラテックスが加えられた。チューブは、遠心分離機に置かれて、180分間1万9500rpmで回転される。上澄みはデカントされ、秤量される。ラテックス質量、個体パーセント、および上澄み質量から、空隙率(fvoid)は、以下の方程式を使用することで決定される:
void=((V−SH2O)*(F−V))/((V−SH2O)*F
ここで:
はポリマー容積(ポリマー質量/ポリマー密度)である。コポリマーの密度は、それぞれのモノマーのホモポリマーの密度の文献値を使用して、コポリマーの密度がコポリマーの組成物の一次関数であると仮定して計算された。Peter A. Lovell and Mohamed S.El-Aasser,「エマルション重合とエマルションポリマー」"Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers";p. 624, John Wiley and Sons:New York (1997)を参照。これは、本明細書中に参考として援用される。
=チューブ内の合計容積(ラテックスの質量/ラテックスの密度)
H2O=上澄みの容積=上澄みの重量
=本質的に単分散球のランダム充填では0.64である充填効率
充填効率は固いパック内の固体の容積分率に対応する修正である。
【0105】
ポア表面積
ポア表面積は、有機ポリマー粒子のSEM画像を使用して決定する。ポア表面積を決定するために、データからのいくつかの推論が使用されている。最初に、信頼性良く示され測定できるポア面積は有機ポリマー粒子の中空ポーラス構造体の表面にのみ存在し、これはイメージで見られる投射直径のミドルサード(middle third)に過ぎない。これは有機ポリマー粒子の側面に向くポアは、角度があり、ポアの投射断面積は新のポアの断面積よりも小さい。2番目に、走査型電子顕微鏡は球のまっすぐな下方向への投射であり、測定される有機ポリマー粒子の中空ポーラス構造体の「面積」は係数2だけ小さくなる。ポアの最も大きい10パーセントの加重平均がポア径として使用される。
【0106】
球の表面の割合としてポア面積を評価するために、SEM画像が「キャップ(cap)」と呼ばれる、有機ポリマー粒子の部分だけのイメージを提供すると評価される。キャップは、平面で球を切ることによって、作成される:
S=2πrh、
ここでSはキャップの表面積である。rは球体の有機ポリマー粒子の半径である。hは交差平面上のキャップの高さである。
【0107】
cが球の半径と比較された、キャップのベースの半径の比率と定義されるなら、以下の通りとなる。
【0108】
【数1】

【0109】
配合物
以下の材料が塗料に使用される:
【0110】
オルドリッチ(登録商標)から利用可能なメチルアクリレート。
【0111】
オルドリッチから利用可能なメチルメタクリレート。
【0112】
オルドリッチから利用可能なスチレン。
【0113】
オルドリッチから利用可能なアクリル酸。
【0114】
Texas Petrochemicals, Inc.から利用可能な1,3ブタジエン。
【0115】
オルドリッチから利用可能なブチルアクリレート。
【0116】
オルドリッチから利用可能なNaOH溶液(10重量パーセント)。
【0117】
オルドリッチから利用可能なフマル酸。
【0118】
ダウケミカル社、ミッドランド、ミシガン(米国)から利用可能な、カルボキシ化スチレンブタジエン(SB)ラテックスバインダー”CP 615NA”。
【0119】
ダウ・ケミカル社、ミッドランドミシガン(米国)から利用可能な準多孔質粒子HS3020。
【0120】
有機ポリマー粒子1−5を調製するためのプロセスは、表1に提供される。
【0121】
過硫酸塩開始剤で、シードされたセミバッチ式乳化重合でコアラテックスを調製する。1410.6g(58部)のメチルメタクリレート(MM)、1021.5g(42部)のアクリル酸メチル(MA)を3時間以上にわたり、水(2456g)、シードラテックス(1.4Ig)、およびVERSENOL120(ダウ・ケミカル社から利用可能なキレート剤)(0.45g)を投入した2ガロンの反応器に100℃に維持しつつ、加える。モノマー添加の間、水(503g)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10.2g)、ナトリウム過硫酸塩(6.8g)、および炭酸水素ナトリウム(0.4g)も加えられる。反応の完了後、反応器内容物を冷却して、反応器から得られたコアラテックスを取り除く。コアラテックスは、42パーセントの固形分を有し、pHは2.7である。コアラテックスは加水分解され、膨張し、膨張されたコアを形成することができる。
【0122】
本発明の有機ポリマー粒子の調製は、コアラテックスの上にシェルを形成することによって、続く。その反応は以下の通りである。100分にわたってスチレン(733.6g)とアクリル酸(8.5g)を、水(1713g)、上で説明したようにして調製されたコアラテックス(192.2g)、およびナトリウム過硫酸塩(3.27g)が投入された反応器に加える。反応は2.1のペーハーにおいて92℃の温度で続けられる。モノマー添加の間、水(112.3g)とアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.71g)を加える。シェル組成物の変異体が、スチレンの幾分かを以下の表1に示すようにBAまたはMAにより置き換えて作られた。
【0123】
反応の完了の後に、NaOHを加え、有機ポリマー粒子のペーハーを約12まで増加させる。140℃で有機ポリマー粒子カプセル封入コアラテックスを数時間維持し、コア内のMAをアクリル酸(AA)へ加水分解し、浸透によりカプセル化されたコアラテックスを膨張し、膨張されたコアと中空ポーラス構造体を形成する。フマル酸を加え、有機ポリマー粒子のペーハーを約8まで減少させる。得られる有機ポリマー粒子は、表1に示されるように、約1.0ミクロンのポリウムメディアン直径と、56から70パーセントの範囲内の空隙率を有する。
【0124】
表1に提供された例からは、シェル層の反応に使用されるアクリレート(BAまたはMA)の量は、得られる有機ポリマー粒子におけるポロシティの程度、空隙率およびポア径の度合いに影響を与える。シェル層のアクリレートは膨張工程の間に加水分解し、中空ポーラス構造体のポロシティを増加させる。アクリレート(BA、および/またはMA)の量を変えることによって、ポアサイズを調整できる。また使用されるコアの量を調整することによって、有機ポリマー粒子の空隙率を制御できる。例えば、上で議論したシェル成形反応に使用されるコアラテックスの量を減少するか、または増加することによって、40%から85%までの空隙率を達成できる、
【0125】
実験されたポリスチレンラテックスに関する記述は表1に示される。
【0126】
【表1】

【0127】
図1A−1Fは、表1の中空粒子の走査電子顕微鏡写真を示す。図1A−1FのSEM画像から理解されるように、シェルポリマー中のBAおよびMAから形成された有機ポリマー粒子は、ポーラスな有機ポリマー粒子を形成する。図1A−1Fに示されるように、HS3020(図1A)では、有機ポリマー粒子1−5(図1B−1F)に比較して2、3の小さいポアがある。
【0128】
コート紙
コート紙のための基紙は58lb/3300ftの、着色されたサイズ剤(Appleton PapersからのUtopia)で予備被覆された、木材を含まない、クラフト繊維シートである。塗料配合は以下の通りである:55重量部の炭酸水素カルシウム(オムヤからのHydrocarb60)と、45部の表2に記載された粒子により、合計で100部の粒子を与えた。すべての塗料配合物が10重量部のカルボキシル化 SBラテックス接着剤CP 615MA、および合成増粘剤(AKZO NOBELからのAlcogum L−229)の1部を含んでいた。コーティング配合および物理的性質を以下の表2に示す。
【0129】
【表2】

【0130】
コーティング手順
ダウ実験室用コーターを使用して、塗料配合物を基紙に適用する。15フィート/分の被覆速度でブレード−メータリング(blade-metering)法を利用して、ウェブ形状の基紙をコーティングする。メータリングブレードとペーパー・ウェブの間に形成されたギャップにコーティングをシリンジで適用する。ウェブ速度とメータリングブレードに加えられるチューブ圧の組み合わせにより、目標コーティング量(グラム/m)を達成する。いったん適用されると、2つの赤外線乾燥ゾーンと250℃で操作される2つの熱気浮揚乾燥帯で、コーティングを乾燥する。速度と乾燥温度の組み合わせでコート紙の最終的な湿り気を変えることができる。
【0131】
カレンダー処理
実験室用カレンダリング処理の前に、コート紙を所定のシートサイズ(8.5 × 11インチ)に切断する。カレンダー加工はBeloit Wheeler Model753研究所用カレンダーで実行される。150°Fの鉄鋼ロール温度、3ニップ、およびリニアインチ当たり200、400,および60ポンド(pli)の圧力で全ての実験が行われた。
【0132】
実施例1
コート紙に関するウイックおよびブリード
ウイック(wick)とブリードテストは、コート紙のための吸水率の良い定量的な尺度を提供する。実施例1において、コート紙のサンプルの上の印字行における染料ベースのインクのウイックとブリードの特性が評価された。染料ベースのインクは、HP78トリカラーインクジェット(Tri-ColorInkJet)プリント・カートリッジとHP45の黒色インクジェットプリント・カートリッジである。HPデスクジェット932Cは、印字行をコート紙に作成するために使用された。
【0133】
本実施例はさらにインクジェットインクのウィッキングとブリーディングを減少させるために、表2に提供された塗料配合物を有するコート紙における2つの代替のカチオン型色留め剤層の使用を評価する。それぞれのコート紙は、6.5から8.5g/mのコート重量の、表2に示された塗料配合物を有する。カチオン型色留め剤は、CaCl(オルドリッチから利用可能な)の5%溶液と、0.5重量%の低分子量ポリ−ジアリルジメチル塩化アンモニウム(p−DADMAC)、(20% w/wとして提供される、Mw 100000−200,000g/mol、オルドリッチから利用可能)から成った、
【0134】
2つのカチオン型色留め剤溶液が、自動化された、ベンチトップ、ドローダウンコーター(TMI K Control Coater; Model K303)を使用してコート紙に適用される。過剰の色留め剤が、それらのそれぞれの濃度で、コート紙の表面に適用され、ついで#2マイヤーロッド(RD Specialties、ウェブスター、ニューヨークによって作られたロッド)を使用して計量される。色留め剤層が適用された後に、1分間、コート紙は150℃の強制循環熱風炉に置かれる。
【0135】
HPデスクジェット932Cを使用して、ImageXpert Incからの、ImageXpert(登録商標)Printer720dpi Target Version5.1(本明細書において「印刷フォーム」と呼ばれる)をコート紙に印刷する。印刷フォームはコート紙のウイックとブリードの両方の特性を評価できるよう、黒線と黄色いブロックの上に印刷されたマゼンタラインの両方を提供する。黒線の幅はウイッキング量の指標である。ブリードは上記の印刷フォームの上の黄色いブロックの上に印刷された一番右のマゼンタラインの線幅と定義される。これまでの経験では、コーティング組成物のための粒子選択に関する限り、ブリードが最も関係する重要な印刷特性であることを示す。
【0136】
印刷フォームがコート紙にいったん印刷された後、「Leica(登録商標)獲得窓内のズームドライブ拡大装置」を有するLEICA(登録商標)光学顕微鏡を使用して、適切なレンズ倍率に基づいて、印刷された印刷フォームの黒線とマゼンタラインの線幅を測定する。それぞれのラインの最も広い場所で2回測定した。印刷フォームを有するそれぞれのコート紙が類似の状況で、同じように形成されて、取り扱われたので、提供された試験結果は相対的なものである。
【0137】
図2は、HP プリンタを使用して、カチオン型色留め剤のあるものとないものについての、ウイックおよびブリード試験結果の相違を示す。コート紙はHS3020を含む塗料配合(表2)または有機ポリマー粒子2を含む塗料配合(表2)であった。図2の左から最初の2個のコーティングされた紙は、色留め剤を含まないもので、図2の右の、p−DADMAC(pD)かまたはCaClカチオン型色留め剤を含むものと比較できる。図2に示されているように、カチオン型色留め剤層なしのコート紙と比べて、カチオン型色留め剤層を含むコート紙は、黒線についての減少した幅(ウイック)と黄色いブロックの上に印刷されたマゼンタラインの減少した幅(ブリード)を示している。
【0138】
HS3020を含む塗料配合物で調製されたコート紙は、良い単線の幅を示しているが、多くのインク(黄色の上のマゼンタ)で覆われると、それは非常に不良なブリード傾向を示す。HS3020を含む塗料配合物と比べて、本発明の有機ポリマー粒子(例えば、有機ポリマー粒子2)を含む塗料配合物は、コート紙のウイックとブリード性能を顕著に向上する。色留め剤層が適用されているとき、本発明の有機ポリマー粒子は、改善された性能を提供する。
【0139】
実施例2
この実施例では、実施例3に記載されるような、有機ポリマー粒子4を含む塗料配合物を有するコート紙が、Staples(登録商標)で購入されたさまざまな写真用高級紙に、HPプリンタで印刷され比較される。テストされた写真用高級紙としては、エプソン(Epson(登録商標)) カラーライフ 半−光沢(ColorLife Semi-Gloss)、Staples(登録商標) フォトスーパーつや消し仕上げ(Photo Supreme Matte-finish)、エプソン(Epson)、つや消し重量写真紙( Matte Heavyweight photo paper)、およびHP プレミアム プラス(Premium Plus)が含まれる。実施例3に記載されるような有機ポリマー粒子4を含む塗料配合物を有するコート紙を、実施例1で記載されていた手順で調製した。また、実施例1のように、色留め剤溶液が0.5重量%で適用された。
【0140】
本実施例のウイックおよびブリード結果は図3に示される。図3に示されるように、本発明の非常に多孔質な粒子(例えば、有機ポリマー粒子4)を含む塗料配合物は、驚いたことに、「写真品質」インクジェット用紙を含む市販のインクジェット用紙と比較して良好な(匹敵するウイックおよびブリード特性)を示した。
【0141】
実施例3
材料
H P78トリカラーインクジェットプリント・カートリッジを備えたヒュレットパッカード デクスジェット(Hewlett Packard Deskjet) 932C プリンタ、およびHP45の黒色インクジェットプリント・カートリッジ
【0142】
コート紙のサンプルは8.5×11インチに切られた(11インチが機械方向である)。
【0143】
Staples(登録商標)92ブライトネスの、20ポンドの平地(plain)の複写紙(未乾燥のインクの「滲む」場所として使用)。
【0144】
重いウエイトローラー(5ポンド、1.75インチフェイス幅、3.5インチ直径)
【0145】
図4に提供された、ダウプリントフォームがロードされ、プリンタに接続されたコンピュータ
【0146】
オムヤ社、プロクター、バーモント、米国からのカルシウムカルボネート顔料、HYDROCARB60
【0147】
上で議論したコーティング手順による6.5から7.5グラム/m2?(gsm)のコート重量で基紙(ユートピア(Utopia)58lb/3300ftーAppleton Papersからの着色のサイズを有する予備被覆である、木材を含まないクラフト繊維シート)に以下の表3に提供されたコーティング処方をコーティングしなさい。上で議論したカレンダー手順に従って、リニアインチあたり(pli)400ポンドの力でコート紙をカレンダーにかける。
【0148】
コンピュータで印刷手順を開始し、ダウプリントフォーム(Dow Print Form)(図4)をコート紙上に作成する。HP プリンタ設定は写真プリントボーダレス、最上品質、その他の写真紙であった。それぞれのコート紙にダウプリントフォームが、同じ状況で、同じように形成され、扱われたので、提供された試験結果は相対的である。
【0149】
ダウプリントフォームがプリンタを出た時に、タイマを始動する。ダウプリントフォームの墨い印刷ブロックは、プリンタを最後に出る。ダウプリントフォームの最初のセクションの上に1枚の複写紙を置いて、15秒後にローラーを黒色ブロックの上を回転させる。複写紙を取り除き、ダウプリントフォームで示した時に、複写紙の未使用の部分を次の黒色ブロックの上に配置する。TAPPI G.E.ブライトネスメーターを使用して、複写紙に移された正方形のインク部分のブライトネスを測定する。複写紙からのブライトネスの読みを記録する。
【0150】
表3に提供されたコーティング配合物に使用される粒子群はすべて有機物である。これらの粒子群は:AF1055、ロームアンドハース社から利用可能な中空粒子である。PP722、ダウ・ケミカル社から利用可能な中実粒子である。HS3020、ダウ・ケミカル社から利用可能な準多孔質粒子である。表1に提供された、中空粒子である有機ポリマー粒子4。
【0151】
表3はテストされたコーティングの配合を示す。
【0152】
【表3】

【0153】
図5はインクジェットインクの硬化時間(set time)対インクセツトオフブライトネス値のグラフである。TAPPI G.E.ブライトネスメーターで測定され、図5(および下の図6)に示された、より大きなインクセットオフブライトネス値は、複写紙へのより少ないインクの転移と、より大きい量のインク乾燥を示す。すなわち、より速いインクジェットインク硬化時間はより良いインクセットオフブライトネス値を与える。
【0154】
図5に示されるように、本発明にかかる有機ポリマー粒子4を含む塗料配合物を有するコート紙は、表3の他の塗料配合物と比べて、より高いインクセットオフブライトネス値を、それぞれの時間において有する。小さいインクセットオフブライトネス値は、より多くのインクが複写紙の上に転移したことを示し、インクが乾燥するために時間がかかることを示している。120秒では、PP722で印刷されたシートはほとんどのインクが転移し、したがって、最も低いインクセットオフブライトネス値を与えた。対照的に、有機ポリマー粒子4(Poly Pig #4)を含む塗料配合物は、プリントの30秒後において、表3に提供された他のポリマー粒子で調製した塗料配合物より少なくとも10パーセント大きいインクセットオフブライトネス値を与えた。
【0155】
図6は上で議論したコーティング手順により調製された表3に示されたコーティング配合を有するコート紙についての、インクジェットインクの硬化時間と、インクセットオフブライトネス値との関係を示すグラフである。ただし、コート紙は上で議論したカレンダー手順により、800pliでカレンダーにかけられた。再度、プリンタ設定は写真プリントボーダレス、通常品質、その他の写真紙であった。図6に示されているように、有機ポリマー粒子4を含む塗料配合を有するコート紙は、30から60秒の間で最も大きなインクセットオフブライトネス値を示し、このコーティングは他の塗料配合物でコーティングされたシートよりも速くインクジェットインクを吸収することを示す。
【0156】
実施例4
この実施例では、上記の方法により、本発明の有機ポリマー粒子4とHS3200のポア表面積を決定する。
【0157】
5万倍で有機ポリマー粒子4の12のSEM画像を撮る。200の有機ポリマー粒子4が、約1.13ミクロンの直径を有するおよそ1平方マイクロメータ(μm)の名目上の領域で12のイメージで図説される。200の有機ポリマー粒子中で、1,876のポアが観測され、1粒子あたり約9.5のポアが観測される。ポアが目に見える領域は有機ポリマー粒子の全表面の約1/3を構成するので、名目上は、1粒子あたり約28のポアがある。本明細書において使用される時、”フェレット(Feret)”直径は、物のプロファイルに接して接眼レンズスケールに垂直な平行線の間の測定距離である。フェレット直径は対象領域の境界に沿った任意の2点の間での可能な最大の距離であることができる。表4は有機ポリマー粒子4のイメージからの調査結果を提供する。
【0158】
【表4】

【0159】
HS3020粒子について、粒子群の12のSEM画像が100,000倍で撮られた。HS3020の64個の粒子群が、約1.17ミクロンの直径の約1.08μmの名目上の領域で、12のイメージで図説される。64のポリマー粒子では、557のポアが観察され、1粒子あたり約8.7個のポアがあった。ポアが目に見える領域は有機ポリマー粒子の全表面の約1/3を構成するので、名目上は、1粒子あたり約27のポアがある。表5は粒子HS3020のイメージからの調査結果を提供する。
【0160】
【表5】

【0161】
またさらに、AF1055およびPP722の12のSEM画像を撮る。AF1055の粒子は、視覚的に見えるポアはなく、滑らかな表面であった。PP722の粒子はいくぶんの粗面を持っているが、明白なポアはなかったことが観察される。したがって、ポア径の結果は提示されない。
【0162】
方法の部分に記載された方程式を使用して、有機ポリマー粒子4についてポア表面積が決定される。200の粒子群について、0.5515の半径、およびc=2/3で、理論的な総外側表面積は約97.3μmである。ポア表面積を決定するため、表4に示されたポアの平均面積にポアの数1,876が掛けられ、約8.87μmの総ポア表面積を得る。したがって、総ポア表面積(例えば、8.87μm)を、理論上の総外側表面積(例えば、97.3μm)で割れば、有機ポリマー粒子4のポア表面積は理論上の総外側表面積の約9パーセントである。
【0163】
HS3020について得られた値に同じ技法を適用すれば、理論上の総外側表面積の約0.7パーセントのポア表面積を与える。
【0164】
したがって、本発明の有機ポリマー粒子は他のポリマー粒子よりも大きなポア表面積を有して製造される。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素結合形成のための単位を有する有機親水性ポリマー;および
該有機親水性ポリマーを少なくとも部分的に囲む有機ポリマーを含む中空ポーラス構造体を含む有機ポリマー粒子であって、
該中空ポーラス構造体は、中空ポーラス構造体の理論上の総外側表面積の1パーセント以上のポア表面積を有し、該有機親水性ポリマーおよび中空ポーラス構造体は40パーセントから85パーセントの空隙率を有機ポリマー粒子に与える、有機ポリマー粒子。
【請求項2】
該有機親水性ポリマーは酸基、潜在的酸基またはそれらの組み合わせを有する第1のモノマーの5から95重量部から形成される、請求項1記載の有機ポリマー粒子。
【請求項3】
該中空ポーラス構造体の有機ポリマーは酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含む第2のモノマーの1から25重量部から形成される、請求項1または2記載の有機ポリマー粒子。
【請求項4】
該酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせが、加水分解によりカルボン酸基を形成する、請求項2または3記載の有機ポリマー粒子。
【請求項5】
該有機親水性ポリマーが5から45重量部の第1のモノマーから形成され、該第1のモノマーが酸基を含み、該中空ポーラス構造体の有機ポリマーは酸基を有する第2のモノマーの1から25重量部で形成される、請求項1記載の有機ポリマー粒子。
【請求項6】
該中空ポーラス構造体の有機ポリマーは、該有機親水性ポリマーのガラス転移温度(Tg)より高いガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1から5のいずれか1項記載の有機ポリマー粒子。
【請求項7】
該中空ポーラス構造体の有機ポリマーがアクリレートモノマーの2から30重量部と、スチレン、メチルメタクリレート、およびアクリロニトリルから成る群から選択されるモノマーの70から98重量部から形成される、請求項1記載の有機ポリマー粒子。
【請求項8】
該有機親水性ポリマーは潜在性酸基を有するモノマーの5から99重量部と、酸基を有するモノマーの1から95重量部で形成され、該潜在性酸基がエステルおよびニトリル類から成る群から選択される、請求項1記載の有機ポリマー粒子。
【請求項9】
該中空ポーラス構造体の有機ポリマーが、中空ポーラス構造体の外部表面の面積の2から50パーセントを占めるポアを画定する、請求項1から8のいずれか1項記載の有機ポリマー粒子。
【請求項10】
該中空ポーラス構造体の有機ポリマーが、スチレン、メチルメタクリレート、およびアクリロニトリルから成る群から選択される、請求項1から9のいずれか1項記載の有機ポリマー粒子。
【請求項11】
膨張しているコアのポーラス構造体と中空ポーラス構造体が、60から80パーセントの空隙率を有機ポリマー粒子に与える、請求項1から10のいずれか1項記載の有機ポリマー粒子。
【請求項12】
水素結合形成のための単位はエステル、カルボン酸、ニトリル、およびアルコールから選択される、請求項1から11のいずれか1項記載の有機ポリマー粒子。
【請求項13】
以下を含む、有機ポリマー粒子を形成する方法;
酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含むモノマーで有機親水性ポリマーのコアを形成すること;
酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含むモノマーの有機ポリマーを含むシェルを形成し、該コアを取り囲むこと、ここで該シェルは当初の大きさを有する;
該コアを膨張させ、該シェルから中空ポーラス構造体を形成すること、ここで該中空ポーラス構造体は該シェルの当初のサイズより大きな膨張したサイズを有している;および
該中空ポーラス構造体と該有機親水性ポリマーの酸基、潜在性酸基またはそれらの組み合わせを加水分解し、40パーセントから85パーセントの空隙率を該有機ポリマー粒子に与えること。
【請求項14】
該中空ポーラス構造体の酸基、潜在性酸基またはそれらの組み合わせの加水分解が、中空ポーラス構造体内にポアを形成する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
該シェルの有機ポリマーを形成する際に使用される酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせの量を調整することによって、該中空ポーラス構造体におけるポアのサイズを調整することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
該コアを形成するのに使用される該有機親水性ポリマーの量を調整することにより、有機ポリマー粒子の空隙率を調整することを含む、請求項1から15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
該コアの有機親水性ポリマーを架橋すること含む、請求項1から16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
該シェルを形成することが、アクリレートモノマーの5から10重量部と、スチレンモノマーの95から90重量部でシェルを形成することを含む、請求項1から17のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
該コアを形成することが酸基、潜在性酸基、またはそれらの組み合わせを含むモノマーの5から95重量部でコアを形成することを含む、請求項1から18のいずれか1項記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−524150(P2012−524150A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505877(P2012−505877)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/000978
【国際公開番号】WO2010/120344
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(503417590)オムノバ ソリューソンズ インコーポレーティッド (10)
【Fターム(参考)】