説明

木質板材の接合構造及び接合方法

【目的】 木質板材の側端同士を強固に接合する。
【構成】 細長い木質板材1に木質板材1の裏面の側端部を段落して段溝部2を形成すると共に木質板材1の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部2により凹溝3を形成する。凹溝3の長手方向の端部をホットメルト系の堰止め用接着剤4で堰止めする。突き合わせた段溝部2の間をホットメルト系の仮止め用接着剤5で長手方向に接合する。仮止め用接着剤5の上にクラフト紙のような紙材6を長手方向に積層する。この紙材6の上で凹溝3に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤7を充填して接合する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細長い木質板材を横に突き合わせて接合することにより床材を形成したりするのに用いる木質板材の接合構造及び接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来例としては本出願人が先に出願した特開平1−190871号公報、特開平4−191001号公報等に開示されるものがある。これらは、細長い木質板材の側端同士を屈曲自在に接合して床材を組み立てるものである。細長い木質板材の側端部同士を接合するには、木質板材の裏面を段落して段溝部を形成し、木質板材の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部により凹溝を形成し、突き合わせた段溝部間に長手方向に亙るようにホットメルト系の仮止め用接着剤を線状に塗布して隣合う木質板材を仮止めし、次いで仮止め用接着剤の上から凹溝に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤を充填している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例にあっては、ホットメルト系の仮止め用接着剤とウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤で接合するものであるが、異種の接着剤で接着するために接着剤同士が一体化されなく、木質板材の接合強度が弱いという問題がある。またホットメルト系の仮止め用接着剤は低温で割れたりしやすく、この点でも接合強度が弱いという問題がある。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的とするところは木質板材の側端同士を強固に接合できる木質板材の接合構造及び接合方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明木質板材の接合構造は、細長い木質板材1に木質板材1の裏面の側端部を段落して段溝部2を形成すると共に木質板材1の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部2により凹溝3を形成し、凹溝3の長手方向の端部をホットメルト系の堰止め用接着剤4で堰止めし、突き合わせた段溝部2の間をホットメルト系の仮止め用接着剤5で長手方向に接合し、仮止め用接着剤5の上にクラフト紙のような紙材6を長手方向に積層し、この紙材6の上で凹溝3に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤7を充填して接合して成ることを特徴とする。
【0006】また本発明木質板材の接合方法は、細長い木質板材1に木質板材1の裏面の側端部を段落して段溝部2を形成すると共に木質板材1の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部2により凹溝3を形成し、凹溝3の長手方向の端部にホットメルト系の堰止め用接着剤4を充填して堰止めすると共に突き合わせた段溝部3間に長手方向に亙るようにホットメルト系の仮止め用接着剤5を線状に塗布し、次いで仮止め用接着剤5の上に長手方向に亙るようにクラフト紙のような紙材6を載せて紙材6を仮止め用接着剤5に圧着し、次いで紙材6の上から凹溝3に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤7を充填することを特徴とするものである。
【0007】さらに他の本発明の木質板材の接合方法は、細長い木質板材1に木質板材1の裏面の側端部を段落して段溝部2を形成すると共に木質板材1の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部2により凹溝3を形成し、凹溝3の長手方向の端部にホットメルト系の堰止め用接着剤4を充填して堰止めし、次いでクラフト紙のような紙材6に予めホットメルト系の仮止め用接着剤5を塗布して形成したテープ状の仮止め部材8を仮止め用接着剤5側が下になるように突き合わせた段溝部2間上に載せると共に紙材6の上から加熱圧着して仮止め用接着剤5にて仮止めし、次いで紙材6の上から凹溝3に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤7を充填することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】上記構成によれば、ホットメルト系の仮止め用接着剤5とウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤7とがクラフト紙のような紙材6を介して強固に一体化されると共に紙材6にて補強され、隣合う木質板材1が強固に接合される。
【0009】
【実施例】まず、図1乃至図4に示す実施例から述べる。木質板材1は細長いピース板状に形成されており、複数枚の木質板材1を横に段状にずらせて木質板材1の側端同士を接合して床材Aを組み立てるようになっている。木質板材1の側端部の裏面側には段落して段溝部2を設けてあり、段溝部2に接着剤を充填して木質板材1を次のように接合する。隣合う木質板材1の側端部同士を突き合わせ、一対の段溝部2にて凹溝3を形成し、図2R>2(a)に示すように凹溝3の長手方向の端部にホットメルト系の堰止め用接着剤4を充填して堰止めすると共にホットメルト系の仮止め用接着剤5を段溝部2間に長手方向に亙って塗布して仮止めする。ホットメルト系の堰止め用接着剤4としては例えばポリアミド樹脂系のものが用いられ、ホットメルト系の仮止め用接着剤5としては例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂系のものが用いられる。エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂系の接着剤の一例としてはエイ・シー・アイ・ジャパン・リミテッド製のエバーグリップと称されるものがある。このように仮止め用接着剤5を塗布した後、帯状のクラフト紙のような紙材6が図2(b)に示すように仮止め用接着剤5を塗布した部分の略全長に亙るように載せられると共に図2(c)のようにロール9で紙材6が圧着される。この場合、図4に示すように紙材6を載せながらロール9で圧着する。このときロール9はエアを吹き付けて冷却されている。ロール9で仮止め用接着剤5を押さえるので、仮止め用接着剤5の厚みのむらがなくなり、仮止め用接着剤5の硬化時間を短縮できる。またロール9と冷却するので、仮止め用接着剤5の硬化時間を短縮できる。次いでクーリングゾーンを通過させて仮止め用接着剤5を硬化させ、図2(d)に示すように紙材6の上から凹溝3にウレタン樹脂のような本固定用接着剤7を充填して隣合う木質板材1を図1に示すように接合する。このときクラフト紙のような紙材6を介してウレタン樹脂のような本固定用接着剤7を充填すると、本固定用接着剤7の必要以上の流れを抑えることができる。仮止め用接着剤5と本固定用接着剤7との間にクラフト紙のような紙材6を介在することにより仮止め用接着剤5と本固定用接着剤7とを強固に一体化すると共に紙材6にて補強できて[ホットメルト系接着剤の軟性(常温で軟質)に紙材6の剛性を付加する]隣合う木質板材1を強固に接合できる。ホットメルト系の接着剤は低温で割れやすいがクラフト紙のような紙材6で割れを防止できる。
【0010】次に図5に示す実施例に実施例について述べる。本実施例の場合、帯状のクラフト紙のような紙材6の片面に予め仮止め用接着剤5を塗布したテープ状の仮止め部材8を用いている。隣合う木質板材1の側端部同士を突き合わせ、一対の段溝部2にて凹溝3を形成し、図5(a)に示すように凹溝3の長手方向の端部にホットメルト系の堰止め用接着剤4を充填して堰止めする。次いで上記テープ状の仮止め部材8を図5(b)のように段溝部2間に仮止め用接着剤5側を下にして載せ、図5(c)のようにロール9にて仮止め部材8を圧着する。このとき仮止め部材8は紙材6に仮止め用接着剤5を塗布して巻き取っておき使用するとき仮止め用接着剤5を再活性化するものでも、紙材6に仮止め用接着剤5を塗布した直後のものを使用するものでもよい。再活性化して使用するものの場合、圧着するロール9として加熱したものを用いる。このように仮止め用接着剤5で隣合う木質板材1を仮止めした後、クーリングゾーンを通して仮止め用接着剤5を硬化させ、紙材6の上から図5(d)に示すように凹溝3にウレタン樹脂のような本固定用接着剤7を充填し、隣合う木質板材1を接合する。
【0011】
【発明の効果】本発明は叙述のように突き合わせた段溝部の間をホットメルト系の仮止め用接着剤で長手方向に接合し、仮止め用接着剤の上にクラフト紙のような紙材を長手方向に積層し、この紙材の上で凹溝に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤を充填して接合しているので、ホットメルト系の仮止め用接着剤とウレタン樹脂のような本固定用接着剤とがクラフト紙のような紙材で一体化されると共に紙材にて補強されるものであって、隣合う木質板材が強固に接合されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、(a)は要部の正面から見た断面図、(b)は要部の側面から見た断面図である。
【図2】同上の接合する手順を示す斜視図である
【図3】同上の手順を示す平面図である。
【図4】同上の仮止め用接着剤を均す状態を示す正面から見た断面図である。
【図5】同上の他の実施例の接合する手順を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 木質板材
2 段溝部
3 凹溝
4 堰止め用接着剤
5 仮止め用接着剤
6 紙材
7 本固定用接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 細長い木質板材に木質板材の裏面の側端部を段落して段溝部を形成すると共に木質板材の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部により凹溝を形成し、凹溝の長手方向の端部をホットメルト系の堰止め用接着剤で堰止めし、突き合わせた段溝部の間をホットメルト系の仮止め用接着剤で長手方向に接合し、仮止め用接着剤の上にクラフト紙のような紙材を長手方向に積層し、この紙材の上で凹溝に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤を充填して接合して成ることを特徴とする木質板材の接合構造。
【請求項2】 細長い木質板材に木質板材の裏面の側端部を段落して段溝部を形成すると共に木質板材の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部により凹溝を形成し、凹溝の長手方向の端部にホットメルト系の堰止め用接着剤を充填して堰止めすると共に突き合わせた段溝部間に長手方向に亙るようにホットメルト系の仮止め用接着剤を線状に塗布し、次いで仮止め用接着剤の上に長手方向に亙るようにクラフト紙のような紙材を載せて紙材を仮止め用接着剤に圧着し、次いで紙材の上から凹溝に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤を充填することを特徴とする木質板材の接合方法。
【請求項3】 細長い木質板材に木質板材の裏面の側端部を段落して段溝部を形成すると共に木質板材の側端部同士を突き合わせて対向する段溝部により凹溝を形成し、凹溝の長手方向の端部にホットメルト系の堰止め用接着剤を充填して堰止めし、次いでクラフト紙のような紙材に予めホットメルト系の仮止め用接着剤を塗布して形成したテープ状の仮止め部材を仮止め用接着剤側が下になるように突き合わせた段溝部間上に載せると共に紙材の上から加熱圧着して仮止め用接着剤にて仮止めし、次いで紙材の上から凹溝に長手方向に亙るようにウレタン樹脂のような弾性を有する本固定用接着剤を充填することを特徴とする木質板材の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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