説明

末端修飾ポリオレフィン

【目的】 本発明は、ポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体の末端のみが、(メタ)アクリル酸ユニットで修飾され、かつ単分散に近いポリオレフィンを提供することを目的とする。
【構成】 リビング重合により得られるポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体の末端が、(メタ)アクリル酸ユニットで修飾されてなるポリオレフィン。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリマー末端が(メタ)アクリル酸ユニットで修飾されたポリオレフィンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のチーグラー・ナッタ型触媒によるプロピレン等のα−オレフィンの重合では、連鎖移動反応や停止反応が起きるので、得られるポリマーの末端のみを、置換基等で修飾するのは困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体の末端のみが、メタクリル酸(アクリル酸)ユニットで修飾され、かつ単分散に近いポリオレフィンを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究を行った結果、連鎖移動反応や停止反応を伴わない特定の重合触媒を用いて得られるリビングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体にメタクリル酸(アクリル酸)を反応させることにより、本発明の目的が達成し得ることを見出して本発明を完成した。
【0005】発明の要旨すなわち、本発明は、ポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体末端が下記一般式Iで表される置換基で修飾されてなる末端修飾ポリオレフィン、一般式I
【化2】


〔但し、Rは水素原子若しくはメチル基を示す。〕を要旨とする。
【0006】本発明の末端修飾ポリオレフィンは通常末端が下記一般式IIで表される組成物の形で得られる。一般式II
【化3】


〔但し、Rは前記と同じ意義を有し、mは0.1〜100の数を表わす〕
【0007】本発明の末端修飾ポリオレフィンは、下記一般式III 、一般式III
【化4】


〔R1 〜R3 は水素原子又は炭素数1〜8個の炭化水素基を示す。但し、R1 〜R3 の少なくとも一つは水素原子である必要があるが、R1 〜R3 の全部が水素原子であってはならない。〕で表されるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下、プロピレンを重合して得られるリビングポリプロピレン又はエチレンとプロピレンをランダム共重合して得られるリビングエチレン−プロピレンランダム共重合体を、一般式IV
【化5】


〔但し、Rは前記と同意義。〕で表わされるメタクリル酸(アクリル酸)クロライドと反応させ、続いてNaOH水溶液を反応させることにより、末端に(メタ)アクリル酸ナトリウムを有する末端修飾ポリオレフィンを合成する。更に(メタ)アクリル酸ナトリウム末端をHClで中和することにより製造することができる。
【0008】触 媒(イ)バナジウム化合物本発明で用いられるバナジウム化合物は、一般式III 、
【化6】


〔但し、R1 〜R3 は前記と同意義。〕で表わされる。上記式に含まれる具体例を以下に説明する。
・R2 が水素原子であり、R1 とR3 が炭化水素基である場合。
1 /R3 :CH3 /CH3 ,CH3 /C2 5 ,C2 5 /C2 5 ,CH3 /C6 5 ,C2 5 /C6 5 ,C6 5 /C6 5 ,CH3 /C6 5 CH2 ,C6 5 CH2 /C6 5 CH2 ,C2 5 /C6 5 CH2 ,C6 5/C6 5 CH2
・R2 が炭化水素基であり、R1 ,R3 のいずれかが水素原子で他が炭化水素基である場合。
2 /R1 又はR3 :CH3 /CH3 ,C2 5 /CH3 ,CH3 /C2 5,C2 5 /C2 5 ,C2 5 /CH3 ,CH3 /C6 5 ,C6 5 /C25 ,C2 5 /C6 5 ,C6 5 /C6 5 ,C6 5 CH2 /CH3 ,CH3 /C6 5 CH2 ,C6 5 CH2 /C6 5 CH2 ,C6 5 CH2 /C2 5 ,C2 5 /C6 5 CH2 ,C6 5 CH2 /C6 5 ,C6 5 /C6 5 CH2
・R2 が水素原子であり、R1 ,R3 のいずれかが水素原子で他が炭化水素基である場合。
1 又はR3 :CH3 ,C2 5 ,C6 5 ,C6 5 CH2等が挙げられ、これらの内でも特に下記の化合物が望ましい。
【化7】


【化8】


【化9】


【0009】(ロ)有機アルミニウム化合物有機アルミニウム化合物としては、一般式Rn AlX3-n (但し、Rはアルキル基又はアリール基、Xはハロゲン原子又は水素原子を示し、nは1≦n<3の範囲の任意の数である。)で示されるものであり、例えばジアルキルアルミニウムモノハライド、モノアルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムセスキハライドなどの炭素数1ないし18個、好ましくは炭素数2ないし6個のアルキルアルミニウム化合物又はその混合物もしくは錯化合物が特に好ましい。具体的には、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムモノハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジアイオダイド、イソブチルアルミニウムジクロリドなどのモノアルキルアルミニウムジハライド、エチルアルミニウムセスキクロリドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド等が挙げられる。
【0010】バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物の使用割合は、バナジウム化合物1モル当り、有機アルミニウム化合物1〜1,000モルである。
【0011】プロピレンのリビング重合プロピレンのリビング重合は、プロピレンの単独重合以外に、プロピレンに少量のエチレン又は1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンを共存させて重合することも可能である。
【0012】重合反応は、重合反応に対して不活性で、かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが望ましく、該溶媒としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0013】プロピレンの重合時の重合触媒の使用量は、プロピレン又はプロピレンと少量のコモノマー1モル当り、バナジウム化合物が1×10-4〜0.1モル、望ましくは5×10-4〜5×10-2モル、有機アルミニウム化合物が1×10-4〜0.5モル、望ましくは1×10-3〜0.1モルである。なお、バナジウム化合物1モル当り、有機アルミニウム化合物は、望ましくは4〜100モル用いられる。
【0014】リビング重合は、通常−100℃〜+100℃で0.5〜50時間行われる。得られるリビングポリプロピレンの分子量及び収量は、反応温度及び反応時間を変えることにより調節できる。重合温度を低温、特に−30℃以下にすることにより、単分散に近い分子量分布を持つポリマーとすることができる。−50℃以下では、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.05〜1.40のリビング重合体とすることができる。
【0015】重合反応時に、反応促進剤を用いることができる。反応促進剤としては、アニソール、水、酸素、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、エステル(安息香酸エチル、酢酸エチル等)が挙げられる。促進剤の使用量は、バナジウム化合物1モル当り、通常0.1〜2モルである。上記の方法により、約800〜約400,000の数平均分子量を持ち、単分散に近いリビングポリプロピレンを製造することができる。
【0016】エチレン−プロピレンのリビングランダム共重合重合反応は、重合反応に対して不活性で、かつ重合時に液状である溶媒中で行うのが望ましく、該溶媒としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。エチレン及びプロピレンと重合触媒との接触方法は、任意に選択できるが、望ましくは、エチレンとプロピレンの溶媒溶液に、有機アルミニウム化合物の溶液及びバナジウム化合物の溶液を順次加えて接触させる方法、或いは有機アルミニウム化合物及びバナジウム化合物を加えた溶媒溶液にエチレンとプロピレンを加えて接触させる方法等である。
【0017】重合触媒の使用量は、エチレンとプロピレン1モル当たり、バナジウム化合物が1x10-4〜0.1モル、望ましくは5x10-4モル〜5x10-2モル、有機アルミニウム化合物が1x10-4〜0.5モル、望ましくは1x10-3〜0.1モルである。尚、バナジウム化合物1モル当たり、有機アルミニウム化合物は、望ましくは4〜100モル用いる。得られるリビング共重合体の分子量及び収量は、反応温度及び反応時間を変えることにより調整できる。本発明は、重合温度を低温、特に−30℃以下にすることにより、単分散に近い分子量分布を持つポリマーとすることができ、−50℃以下では、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.05〜1.40のリビングエチレン−プロピレンランダム共重合体が得られる。
【0018】重合反応時に、反応促進剤を用いることができる。反応促進剤としては、アニソール、水、酸素、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール)、エステル(安息香酸エチル、酢酸エチル等)等が挙げられる。促進剤の使用量は、バナジウム化合物1モル当たり、通常0.1〜2モルである。リビング共重合体中のエチレンとプロピレンの割合は、通常エチレンが90モル%迄である。これは、リビング重合時のエチレンとプロピレンの使用割合を変えることにより調節できるが、エチレンの使用割合を多くすると、該共重合体の分子量分布が広くなり望ましくない。エチレン含有量が高く、分子量分布が狭い、すなわち単分散に近いリビング共重合体を製造する場合は、エチレンとプロピレンをリビング共重合する前に、重合系に微量のプロピレンを供給し、0.1〜1時間保持することにより、リビング共重合体の分子量分布が狭いままで、共重合体中に多量のエチレンを導入することができる。上記のようにして、約500〜500,000の数平均分子量(プロピレン換算、以下同じ)を持ち、単分散に近いリビングエチレン−プロピレンランダム共重合体を製造することができる。
【0019】メタクリル酸(アクリル酸)クロライドとの反応リビングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体と反応させるメタクリル酸(アクリル酸)クロライド(以下、化合物Iという。)は、一般式IV、
【化10】


で表わされる。式において、Rは前記の通りである。リビングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体と化合物Iとの反応は、リビングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体が存在する反応系に、化合物Iを供給して反応させる方法が望ましい。反応は−100℃〜+150℃の温度で5分間〜50時間行う。反応温度を高くするか、反応時間を長くすることにより、化合物Iユニットによるポリオレフィン末端の修飾率を増大することができる。化合物Iは、リビングポリオレフィン1モルに対して、1〜1,000モル用いられる。
【0020】リビングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体と化合物Iとの反応物は、次いでNaOH溶液との反応を経て、プロトン供与体と接触させることによって、本発明の末端修飾ポリオレフィンが得られる。プロトン供与体としては、メタノール、エタノール、フェノール等のアルコール類、塩酸、硫酸等の鉱酸が挙げられる。アルコール類と鉱酸は同時に用いてもよい。プロトン供与体は通常大過剰に用いられる。プロトン供与体との接触は、通常−100℃〜+100℃で1分間〜10時間行われる。
【0021】上記のようにして得られた本発明のポリオレフィンは、約800〜約400,000の数平均分子量(Mn)を、又前記のリビングポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体そのものを踏襲した非常に狭い分子量分布(Mw/Mn=1.05〜1.40)をそれぞれ持ち、かつその末端が0.1〜100個、望ましくは0.2〜50個、更に望ましくは0.3〜25個の前記化合物Iユニットで修飾されている。又、本発明の末端修飾ポリオレフィンは、シンジオタクチックダイアッド分率が0.6以上であることが一つの特徴である。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。なお、重合体のキャラクタリゼーションは下記の方法で行った。
・分子量及び分子量分布Waters社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)モデル150を用いた。溶媒:o−ジクロルベンゼン、測定温度:135℃、溶媒流速:1.0ml/分。カラムは東ソー社製GMH6HT(商品名)を使用した。測定に当り、東ソー社製の単分散ポリスチレン標準試料を用い、ポリスチレンの検量線を求め、これよりユニバーサル法によってポリプロピレンの検量線を作成した。
・重合体の構造決定( 1H−NMRスペクトル):日本電子社製GSX−400(商品名)、フーリエ変換型NMRスペクトロメーターを用い、400MHz、30℃、パルス間隔15秒の条件で測定した。試料は、重クロロホルムに溶解して調製した。
13C−NMRスペクトル):PFTパルスフーリエ変換装置付きVarian社製XL−200型(商品名)を用い、50MHz、120℃、パルス幅8.2μs π/3、パルス間隔4秒、積算回数5,000の条件で測定した。試料はトリクロルベンゼンとベンゼン(2:1)の混合溶媒に溶解して調整した。
(赤外吸収スペクトル):重合体をKBr板上にキャストとし、日本分光工業社製モデルIR−810(商品名)赤外分光光度計を用いて測定した。
【0023】実施例1窒素ガスで十分置換した300mlのフラスコに、n−ヘプタン100mlを入れ−60℃に冷却した。同温度でプロピレン200ミリモルを加え、n−ヘプタン中に液化溶解した。次いで、15ミリモルのAl(C2 5 2 Clのn−ヘプタン溶液及び1.5ミリモルのV(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)3 トルエン溶液を加え、攪拌と共に重合を開始した。プロピレンの重合を−60℃で1時間行った。次いで、メタクリル酸クロライド(MACl)100ミリモルを−60℃で添加し同温度で1時間反応させた。その後、20wt%NaOH溶液10mlを添加したアセトン500ml中に、反応溶液を注ぎ、ポリマーを析出させた。得られたポリマーを再度n−ヘプタンに溶解させ、遠心分離により上澄み液を得た。この上澄み液を500mlのアセトンに注ぎ、再度ポリマーを析出させた。このポリマーのIR分析を行ったところ1570cm-1にCOO- (カルボン酸陰イオン)に基づく吸収が見られた。次に、このポリマーをTHFに溶解し、pH〜7以下になるまでHClを加え攪拌した。この溶液を500mlのアセトンに注いでポリマーを析出させ、アセトンで5回洗浄した後、室温で乾燥して1.10gの重合体を得た。
【0024】得られた重合体のGPC流出曲線は、単峰性であった。この重合体のMnは、3.7×103 、Mw/Mnは1.19と単分散に近い値であった。この重合体の赤外吸収スペクトル(IR)測定を行った所、1705cm-1に−COOHのカルボニル基の吸収に基づく吸収が認められた。また 1H−NMR分析の結果、ポリプロピレンに起因するピーク(δ=0.7〜1.7ppm)以外に、下記の化学シフト値からなるピークが観測された。
【化11】


更に13C−NMR分析の結果から、COOH基の炭素に起因するピークが185ppmに観測された。以上の結果から、ポリプロピレンの末端にメタクリル酸ユニットが結合していることが判明した。また、ポリプロピレン部のカーボンシグナルとメタクリル酸ユニットのCOOH基のカーボンシグナルの面積比からポリプロピレン鎖の末端に6個のメタクリル酸ユニットが結合していることが確認された。
【0025】実施例2窒素ガスで十分置換した1.5リットルのオートクレーブに、n−ヘプタン400mlを入れ、−60℃に冷却した。同温度でプロピレン200gを加え、n−ヘプタンに液化溶解せしめた。次いで、50ミリモルのAl(C2 5 2 Clのn−ヘプタン溶液及び0.6ミリモルのV(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)3 のトルエン溶液を加え、攪拌と共にプロピレンの重合を開始し、15時間継続した。次いで、同温度でMACl500ミリモルを添加した後、反応系の温度を1時間かけて−40℃に上昇させ、MAClとの反応を−40℃で5時間行った。以下、実施例1と同様に処理し、表1に示す性状の末端変性ポリプロピレンを得た。
【0026】実施例3窒素ガスで十分置換した300mlのフラスコに、トルエン100mlを入れ、−78℃に冷却した。同温度でプロピレン200ミリモルを加え、トルエン中に液化溶解した。次いで、15ミリモルのAl(C2 5 2 Clのn−ヘプタン溶液及び1.5ミリモルのV(アセチルアセトナト)3 トルエン溶液を加え、攪拌と共に重合を開始した。プロピレンの重合を−78℃にて3時間行った。次いで、反応条件を0℃で3時間とした以外は、実施例1と同様にしてMAClとの反応を行い、表1に示す性状の末端修飾ポリプロピレンを得た。
【0027】実施例4MAClの代わりにアクリル酸クロライドを使用した以外は実施例と同様にして反応を行い、表1に示す性状の末端修飾ポリプロピレンを得た。この重合体の赤外吸収スペクトル(IR)測定を行った所、1705cm-1に−COOHのカルボニル基に基づくピークが認められた。更にNMR分析の結果、ポリプロピレンに起因するピーク(δ=0.7〜1.7ppm)以外に、下記の化学シフト値からなるピークが観測された。
【化12】


更に13C−NMR分析の結果から、COOH基の炭素に起因するピークが175ppmに観測された。以上のNMRの結果から、ポリプロピレンの末端にアクリル酸ユニットが結合していることが判明した。また、ポリプロピレン部のカーボンシグナルとアクリル酸ユニットのCOOH基のカーボンシグナルの面積比からポリプロピレン鎖の末端に3個のアクリル酸ユニットが結合していることが確認された
【0028】実施例5窒素ガスで十分置換した1.0リットルのオートクレーブに、トルエン500mlを入れ、−60℃に冷却した後、同温度で25ミリモルのAl(C2 5 2 Clのn−ヘプタン溶液及び1.5ミリモルのV(2−メチル−1,3−ブタンジオナト)3 のトルエン溶液を加えた。次いで、系内を680mmHgまで減圧にした後、エチレンとプロピレンの混合ガス(40/60モル比)を連続的に供給し、エチレンとプロピレンのランダム共重合を−60℃にて2時間行った。次いで、MACl500ミリモルを−60℃で添加し、同温度で2時間反応させた。以下、実施例1と同様に処理し、表1に示す性状の末端修飾エチレン−プロピレンランダム共重合体を得た。得られた共重合体の13C−NMR測定を行い、二級炭素に帰属するピーク(S)と三級炭素に帰属するピーク(T)の面積から次式に基づいて、プロピレンの含有量を計算した。その結果、共重合体中のプロピレン含有量は、51.6モル%であった。
プロピレン含有量(モル%)={T/1/2 (S+T)}x100なお、この共重合体を差動走査熱量計(DSC)により熱分析した結果、プロピレン単独重合体に起因するガラス転移温度(約−10℃)は観測されなかった。
【0029】
【表1】


【0030】
【発明の効果】本発明の重合体は、異種ポリマーの相溶化剤、ポリマーに染色性や接着性を付与するポリマー改質剤、潤滑油等の粘度指数向上剤等に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリプロピレン又はエチレン−プロピレンランダム共重合体の末端が下記一般式Iで表される置換基で修飾されてなる末端修飾ポリオレフィン。一般式I
【化1】


〔但し、Rは水素原子若しくはメチル基を表す。〕

【公開番号】特開平7−2928
【公開日】平成7年(1995)1月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−23809
【出願日】平成4年(1992)2月10日
【出願人】(390022998)東燃株式会社 (10)
【復代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 明 (外3名)