説明

板ガラス用搬送方向転換装置

【課題】板ガラス用搬送方向転換装置全体の構成を簡略化し、板ガラスの搬送方向の転換に要する時間を短縮して、コンベアライン全体のタクトタイムを短縮し、生産性を向上させる。
【解決手段】第1搬送方向に搬送される板ガラス5が一時的に留置されるための待機部7と、待機部7からその上に移し替えられた板ガラスを第2搬送方向に搬出するためのメインフレーム3と、待機部7に留置されている板ガラス5をメインフレーム3上に移し替えるための移し替え機構4を備え、移し替え機構4は、待機部7とメインフレーム3との間で水平方向及び垂直方向に移動され、板ガラス5の底部をその上に載置させる搬送台40と、搬送台40を第1搬送方向に水平に往復移動させる水平駆動部20と、搬送台40を垂直方向に昇降させる昇降機構部30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ガラス用搬送方向転換装置に関し、さらに詳しくは、板ガラスの生産ライン工程に設置されるコンベアシステムに用いられ、板ガラスの搬送方向をそれまでの移動方向に対して直交する方向に転換させる板ガラス用搬送方向転換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、板ガラス用搬送方向転換装置とは、板ガラスの生産ライン工程に設置されるコンベアシステムに用いられ、所定方向(第1搬送方向)に搬送されてきた板ガラスを、それに直交する方向(第2搬送方向)に方向転換させて搬送を続行させる装置のことである。
【0003】
従来の技術による板ガラス用搬送方向転換装置(ダイバータ)の一例について、概略的に説明する。従来の板ガラス用搬送方向転換装置では、所定のメインフレームにおいて、板ガラスを第1搬送方向に搬送するための複数の第1搬送ローラが、第1搬送方向に直交する第2搬送方向に平行に配列された複数の回転軸にそれぞれ所定の間隔で複数個配列固定されていると共に、板ガラスを第2搬送方向に搬送するための複数の第2搬送ローラが、第1搬送方向に平行に配列された複数の回転軸にそれぞれ所定の間隔で複数個配列固定されている。そして、例えば第2搬送ローラの最上部が、第1搬送ローラの最上部よりも低い位置と第1搬送ローラの最上部よりも高い位置の2つの高さを採りうるように、昇降機構により垂直方向に駆動される。
【0004】
第2搬送ローラの最上部が第1搬送ローラの最上部よりも低い位置にある状態で第1搬送方向に搬送されてきた板ガラスは、上記メインフレーム上で一旦停止される。次に、昇降機構を駆動して第2搬送ローラの最上部が第1搬送ローラの最上部よりも高い位置に移動させ、板ガラスを第2搬送ローラ上に保持する。その状態で第2搬送ローラを回転駆動させることにより、板ガラスの搬送方向が、第1搬送方向からそれに直交する第2搬送方向に転換される。
【0005】
全ての第1搬送ローラは、同時に同じ速度で同じ方向に回転駆動され、同様に、全ての第2搬送ローラは、同時に同じ速度で同じ方向に回転駆動される。また、第1搬送ローラと第2搬送ローラが同時に駆動されることはない。そのため、第1搬送ローラの回転軸と第2搬送ローラの回転軸が空間的に干渉しないよう視するために、第2搬送ローラの外径と第1搬送ローラの外径よりも大きくし、垂直方向における第2搬送ローラの回転軸位置を第1搬送ローラの位置よりも低くするなどの、構造上の工夫が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の板ガラス用搬送方向転換装置は、複数の第1搬送ローラと複数の第2搬送ローラをそれぞれ別途に配列設置し、第2搬送ローラを第1搬送ローラに対して昇降させることによって方向転換機能を行うための昇降機構を別途に設置する必要があるために、装置の構成が非常に複雑であり、且つ、施設コストが増加するという問題点を有していた。
【0007】
特に、搬送方向を切り換える場合、第1搬送ローラにより第1搬送方向に搬送された物品をメインフレーム上で一旦停止させ、その状態で昇降機構を起動させて、第2搬送ローラの最上部が第1搬送ローラの外周面の最上部よりも高くなるように第2搬送ローラを上昇させる必要がある。従来の板ガラス用搬送方向転換装置では、板ガラスの搬送方向を切り換えるために、第2搬送ローラを昇降させるための時間が必要であり、コンベアライン全体のタクトタイムが長くなり、生産性が低下するという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、このような従来例の問題を解決するためになされたものであり、装置全体の構成を簡略化することによって施設コストを低減させると共に、板ガラスの搬送方向の転換に要する時間を短縮して、コンベアライン全体のタクトタイムを短縮し、生産性を向上させることが可能な板ガラス用搬送方向転換装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、コンベアシステムにおいて用いられ、第1搬送方向に搬送される板ガラスの搬送方向を前記第1搬送方向に直交する第2搬送方向に方向転換するための板ガラス用方向転換装置であって、前記第1搬送方向に搬送される板ガラスが一時的に留置されるための待機部と、前記第1搬送方向において前記待機部に隣接して配置され、前記待機部からその上に移し替えられた前記板ガラスを前記第2搬送方向に搬出するためのメインフレームと、前記待機部に留置されている前記板ガラスを前記メインフレーム上に移し替えるための移し替え機構を備え、前記移し替え機構は、前記第1搬送方向において、前記待機部と前記メインフレームとの間で水平方向及び垂直方向に移動され、前記板ガラスの底部をその上に載置させることによって、前記板ガラスを前記待機部から前記メインフレーム側に搬送するための搬送台と、前記搬送台を前記第1搬送方向に水平に往復移動させる水平駆動部と、前記搬送台を垂直方向に昇降させる昇降機構部とをさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記水平駆動部は、モータの駆動軸に結合された駆動スプロケットと、前記第1搬送方向に平行に、前記駆動スプロケットに対して所定の距離を隔てて配置された従動スプロケットと、前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットを連結するように張架されたチェーン部材と、前記チェーン部材に連結され、前記第1搬送方向に移動されるスライド板とを含んで構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記昇降機構部は前記スライド板上に設けられ、かつ、前記搬送台は前記昇降機構部に連結され、それにより、前記搬送台は、前記水平駆動部によって前記第1搬送方向に沿って移動されると共に、前記昇降機構部によって垂直方向に昇降されることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記水平駆動部は、前記駆動スプロケット、前記従動スプロケット及び前記チェーン部材で構成される駆動機構と平行に、前記メインフレームの底部に配列された一対の水平ガイドレールと、前記第2搬送方向における前記スライド板の両端部に設けられ、前記水平ガイドレールと係合される一対の水平ガイド部材をさらに備え、それにより、前記スライド板が前記第1搬送方向に安定して水平移動されることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記搬送台は、前記第2搬送方向に平行な横梁と、前記第1搬送方向において、前記メインフレーム側から前記待機部側に突出するように設けられた複数の縦梁を有し、前記縦梁の後端部が前記横梁に固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項5に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記昇降機構部は、前記スライド板の上面に略垂直に設けられた昇降ベースと、前記昇降ベース32の第2搬送方向の両壁面の外側に設けられた一対の垂直ガイドレールをさらに備え、前記搬送台は、前記横梁の底面から垂直下方に突出するように設けられ、垂直方向に移動可能に前記一対の垂直ガイドレールに係合された一対の垂直ガイド部材をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記昇降機構部は、垂直方向の軸を回転中心とするボールスクリューと、前記昇降ベースに固設され、前記ボールスクリューの両端部を回転可能に軸支する一対の軸回転支持台と、前記ボールスクリューと螺合されたボールナットを備え、前記一対の汐直ガイド部材にその両端部が固定された水平な板状の昇降部材と、一対のプーリ及びベルトを含んで構成され、昇降用モータの駆動力を前記ボールスクリューに伝達するためのベルト駆動機構をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記昇降ベースの前記第2搬送方向の両壁面には、前記昇降部材の両端部及び前記ベルト駆動機構のベルトが貫通するための垂直方向に長い貫通溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項5に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記横梁の上面には、前記板ガラスを安全に支持するためのクッション部材が設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項4に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記水平ガイドレールの前記第1搬送方向における先後端部に隣接する部分に、前記水平ガイド部材が位置することを感知する感知センサが設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項6に記載の板ガラス用搬送方向転換装置において、前記スライド板上に、垂直方向における前記垂直ガイド部材の上下に昇降する高さを感知するための感知センサが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、本発明の板ガラス用搬送方向転換装置によれば、第1搬送方向に搬送される板ガラスが一時的に留置されるための待機部と、第1搬送方向において待機部に隣接して配置され、待機部からその上に移し替えられた板ガラスを第2搬送方向に搬出するためのメインフレームと、待機部に留置されている板ガラスをメインフレーム上に移し替えるための移し替え機構を備えているので、メインフレームには、板ガラスを第2搬送方向に搬送させるための駆動ローラだけを設ければよい。そのため、板ガラスを第1搬送方向に搬送するための第1搬送ローラと、板ガラスを第2搬送方向に搬送するための第2搬送ローラを設ける必要はなく、さらに、第1搬送ローラに対して第2搬送ローラを垂直方向に昇降させる必要もない。従って、従来の板ガラス用搬送方向転換装置に比べて、待機部用のスペースは必要になるが、メインフレームの構成は非常に簡単になり、施設コストを低減させることができる。
【0021】
さらに、1枚の板ガラスの移し替え作業の完了後、移し替え機構の搬送台をメインフレーム側から待機部側に移動させている間に、次の板ガラスを待機部に搬送させておけば、移し替え機構が実質的に停止している時間をなくすことができ、待機部からメインフレームへの板ガラスの移し替えに要する時間を短縮することができる。その結果、板ガラスの生産ライン工程において連続して搬送される板ガラスの搬送方向を所定方向(第1搬送方向)からそれに直交する方向(第2搬送方向)にスムーズに方向転換させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る板ガラス用搬送方向転換装置の構成を示す斜視図。
【図2】上記板ガラス用搬送方向転換装置における移し替え機構の詳細な構成を示す斜視図。
【図3】上記移し替え機構の要部拡大斜視図。
【図4】上記移し替え機構の前後進作動機能の構成を示す断面図。
【図5】待機部の板ガラスをメインフレームに移送する過程において、上記移し替え機構の初期状態を示す図。
【図6】待機部の板ガラスをメインフレームに移送する過程において、上記移し替え機構の搬送台が待機部側に移動された状態を示す図。
【図7】待機部の板ガラスをメインフレームに移送する過程において、待機部に板ガラスが搬送されてきたときの状態を示す図。
【図8】待機部の板ガラスをメインフレームに移送する過程において、待機部の板ガラスを移し替え機構によって上方に持ち上げようとする状態を示す図。
【図9】待機部の板ガラスをメインフレームに移送する過程において、待機部の板ガラスを移し替え機構によってメインフレーム側に移動させた状態を示す図。
【図10】待機部の板ガラスをメインフレームに移送する過程において、待機部の板ガラスを移し替え機構によってメインフレームに移し替え、最初の搬送方向(第1搬送方向)に対して直交する方向(第2搬送方向)に搬送を開始した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る板ガラス用搬送方向転換装置について、添付図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る板ガラス用搬送方向転換装置の構成を示す斜視図である。図1に示すように、板ガラス用搬送方向転換装置1は、第1搬送方向に並列に配置された待機部7とメインフレーム(ダイバータ)3を有する。待機部7及びメインフレーム3は、それぞれ第1搬送方向、第2搬送方向及び垂直方向においてほぼ同じ寸法を有しており、水平面における矩形の寸法が搬送可能な板ガラス5の最大寸法となる。
【0024】
待機部7は、マトリックス状に配置され、第1搬送方向に直交する第2搬送方向を回転軸とする複数の従動ローラ7aを有しており、前ステップのローラコンベア(図示せず)によって第1搬送方向に搬送されてきた板ガラス5が、それら従動ローラ7a上に一時的に留置される。各従動ローラ7aの回転軸は、それぞれ個別に設けられており、第2搬送方向に平行に配置されたフレームに軸支されている。すなわち、待機部7には、第1搬送方向に平行に配列された貫通軸は存在せず、後述する移し替え機構4の搬送台(フォーク)40の進入を可能にしている。
【0025】
メインフレーム3は、マトリックス状に配置され、第1搬送方向に平行に配列された複数の回転軸6に、それぞれ一定間隔で固定された複数の駆動ローラ6aを有しており、全ての駆動ローラ6aを同時に所定方向に同じ速度で回転させることによって、待機部7からメインフレーム3に移し替えられた板ガラス5を第2搬送方向に搬送する。
【0026】
メインフレーム3には、待機部7に留置されている板ガラス5をメインフレーム3側に移し替えるための移し替え機構(フォークリフト機構)4が設けられている。図2は、この移し替え機構4の構成を示す斜視図であり、図3はその要部拡大斜視図である。
【0027】
図2に示すように、移し替え機構4は、第2搬送方向に平行な横梁41と、横梁41から第1搬送方向に平行に待機部7側に突出するように設けられ、第2搬送方向に平行に配列された複数の縦梁42で構成された搬送台(フォーク)40と、メインフレーム3の底部に設置された水平駆動用モータ10と、モータ10の動力が伝達され、搬送台40を第1搬送方向に前進又は後進させる水平駆動部20と、搬送台40と共に第1搬送方向に前進又は後進され、搬送台40を垂直方向に上昇又は下降させる昇降機構部30などで構成されている。
【0028】
水平駆動部20は、図4に示しように、モータ10の駆動軸11に結合された駆動スプロケット21と、第1搬送方向に平行に、駆動スプロケット21に対して所定の距離を隔てて配置された従動スプロケット22と、駆動スプロケット21と従動スプロケット22を連結するように張架されたチェーン部材23と、これらを内包するハウジング24と、チェーン部材23に連結され、第1搬送方向に移動されるスライド板31などを備えている。ここで、チェーン部材23とスライド板31の連結構造としては、熔接や他の様々な締結手段を用いて連結することが可能であるが、本実施形態では、チェーン部材23と一体に結合され、スライド板31の底面に密着固定された直方体形状の連結体25によって連結されている。また、ハウジング24の上面に、連結体25の移動をガイドするためのガイド溝を形成することが好ましい。
【0029】
図2又は図3に示すように、メインフレーム3の底部には、ハウジング24と平行に2本の水平ガイドレール3aが設けられており、スライド板31の第2搬送方向の両端部には、水平ガイドレール3aと係合される水平ガイド部材34が設けられている。水平ガイド部材34は、略直方体状であり、その底面部には、水平ガイドレール3aの外周面を包み込むようにして噛み合う係合構造(凹凸形状)が形成されている。これに対応して、水平ガイドレール3aの長手方向の両側面には水平ガイド部材34の係合構造と噛み合い、長手方向、すなわち、第1搬送方向に水平ガイド部材34の動きをガイドするための係合構造(凸凹構造)が形成されている。このような構造によれば、スライド板31の底面中央部において、連結体25を介してチェーン部材23から駆動力を受けると共に、第2搬送方向におけるその両端部(連結体25との連結部に対してほぼ対象な位置)において、水平ガイド部材34を介して水平ガイドレール3aによりガイドされているので、スライド板31の第1搬送方向における水平移動を安定して行うことができる。
【0030】
スライド板31の上面には、搬送台40を垂直方向に昇降させるための昇降機構部30がさらに設けられている。昇降機構部30は、スライド板31の上面に略垂直に設けられ、略コの字状の水平断面を有する昇降ベース32と、昇降ベース32の略コの字状の水平断面の内側に垂直に設けられたボールスクリュー44と、昇降ベース32の内壁面上に設けられ、ボールスクリュー44の上下端部を回転可能に軸支する一対の軸回転支持台35と、ボールスクリュー44と螺合されたボールナット45を備えた水平な板状の昇降部材48と、一対のプーリ及びベルトなどで構成され、昇降用モータ47の駆動力をボールスクリュー44に伝達するためのベルト駆動機構46などで構成されている。
【0031】
昇降ベース32の第2搬送方向の両壁面の外側には、上記横梁41の底面に垂直に設けられた一対の垂直ガイド部材43が上下にスライドされるように案内する長い棒状の垂直ガイドレール33がそれぞれ備えられている。垂直ガイド部材43の下端部及び垂直ガイドレール33には、特に符号は示さないが、上記水平ガイド部材34を介して水平ガイドレール3aに設けられた係合構造(凸凹構造)と同様の係合構造が形成されている。また、昇降ベース32の第2搬送方向の両壁面には、上記板状の昇降部材48の両端部が貫通すると共に、ベルト駆動機構46のベルトが貫通するための垂直方向に長い貫通溝32aが形成されている。昇降部材48の第2搬送方向の両端は、一対の垂直ガイド部材43に溶接などによって固定されている。なお、符号36はベルト駆動機構46のベルトの外周面に当接し、所定の張力を与えるためのテンションローラを示す。
【0032】
搬送台40の横梁41は、メインフレーム3の第2搬送方向の幅とほぼ等しく、それよりも少し短い寸法を有している。また、縦梁42は、メインフレーム3の第1搬送方向の幅とほぼ等しく、それよりも少し短い寸法を有しており、横梁41上に所定の間隙を隔てて複数(図では5本)設けられている。横梁41及び縦梁42は、それぞれ基本的に細長い板状体であるが、一定の強度を有し、且つ軽量化を図るために、断面が中空の長方形(各パイプ)としてもよい。また、図2及び図3に示すように、スペーサや補強板を用いてもよい。さらに、縦梁42の上面には、板ガラス5を安全に支持するためのクッション部材42aが設けられている。クッション部材42aは、例えば、上面に凹み形成された皿型の構造を有し、柔軟で弾力性のあるゴム材質で形成されていることが好ましい。
【0033】
モータ47を所定の方向に回転駆動させると、その駆動力がベルト駆動機構46を介してボールスクリュー44に伝達され、ボールスクリュー44が所定方向に回転する。ボールスクリュー44の上下端部は、昇降ベース32に固定された軸回転支持台35により回転可能に軸支されているので、ボールスクリュー44に螺合されたボールナット45を備えた昇降部材48が、相対的に垂直方向の所定の方向に移動される。昇降部材48は、垂直ガイド部材43を介して搬送台40の横梁41に結合されているので、垂直ガイド部材43及び垂直ガイドレール33にガイドされつつ、搬送台40は垂直方向に移動される。モータ47の回転方向を適宜切り換えることにより、結果的に搬送台40を垂直方向に上下動させることができる。また、モータ10の回転方向を適宜切り換えることにより、スライド板31を第1搬送方向に往復移動させることができる。従って、これら2つのモータ10及び47の回転方向、回転数、回転速度などを適宜組み合わせて制御することにより、垂直面内で搬送台40に様々な動きをさせることができる。すなわち、この移し替え機構4は、フォークリフト機構として機能する。
【0034】
メインフレーム3の底部において、水平ガイドレール3aの第1搬送方向における先後端部に隣接する部分には、水平ガイド部材34が位置することを感知する感知センサ51及び52が設けられている。また、スライド板31上には、垂直方向における垂直ガイド部材43が上下に昇降する高さを感知するための感知センサ53が設けられている。図示しないが、これらの感知センサ51、52及び53の感知信号により、水平駆動部20及び昇降機構部30の作動を制御するための制御装置が備えられることは自明である。
【0035】
次に、図5乃至図10を参照して、本実施形態に係る板ガラス用搬送方向転換装置の動作を説明する。図5は、待機部7の板ガラス5をメインフレーム3に移送する過程において、上記移し替え機構4の初期状態を示す。すなわち、水平駆動部20を駆動させて、スライド板31を第1搬送方向における後端位置に移動させると共に、昇降機構部30を駆動させて搬送台40を所定位置に下降させている。なお、図5では、初期状態において、板ガラス5が先に待機部7に搬送されているが、後述するように、移し替え動作を開始した後に板ガラス5が待機部7に搬送されてもよい。
【0036】
図6は、移し替え機構4が駆動され、待機部7側に搬送台40が移動された状態を示す。すなわち、搬送台40が所定位置に下降された状態で水平駆動部20のみが駆動され、スライド板31が第1搬送方向における先端位置に移動される。図6では、板ガラス5を描いていないが、図5に示すように、板ガラス5が先に待機部7に搬送されていても、搬送台40が下降されているので、板ガラス5と搬送台40の縦梁42が空間的に干渉することはない。前述のように、待機部7の従動ローラ7aの回転軸はそれぞれ個別に設けられているので、搬送台40の縦梁42は、それぞれ第2搬送方向に配列された従動ローラの間に進入可能であると共に、垂直方向に昇降可能である。
【0037】
図7は、待機部7に板ガラス5が搬送されてきたときの状態を示す。この段階では、搬送台40が下降されているので、搬送台40の縦梁42が板ガラス5の第1搬送方向における搬送を妨げることはない。図8は、待機部7の板ガラス5を移し替え機構4によって上方に持ち上げようとする状態を示す。すなわち、昇降機構部30が駆動されて搬送台40が垂直方向に上昇され、クッション部材42aを介して搬送台40の縦梁42が板ガラス5の底面に密着される。この時、板ガラス5と縦梁42の間のクッション部材42aにより、板ガラス5と縦梁42との間の接触及び衝突が緩衝される。
【0038】
図9は、待機部7の板ガラス5を移し替え機構4によってメインフレーム3側に移動させた状態を示す。すなわち、昇降機構部30が駆動されて搬送台40が垂直方向に上昇され、それによって、板ガラス5の底面が従動ローラ7aの最上部よりも高い位置に持ち上げられる。そして、その状態で、水平駆動部20が逆向きに駆動されて、スライド板31が第1搬送方向における後端位置に移動される。
【0039】
図10は、待機部7の板ガラス5を移し替え機構4によってメインフレーム3に移し替えた後、最初の搬送方向である第1搬送方向に対して直交する第2搬送方向に搬送を開始した状態を示す。すなわち、水平駆動部20の駆動が停止された後、昇降機構部30が駆動されて搬送台40が垂直方向に下降される。そうすると、板ガラス5の底面が駆動ローラ6aの最上部に接触して、その時点で板ガラス5の下降が停止する。さらに昇降機構部30の駆動が継続され、搬送台40がさらに垂直方向に下降されると、搬送台40の縦梁42設けられたクッション部材42aが板ガラス5の底面から離れる。それによって、待機部7からメインフレーム3への板ガラス5の移し替えが完了する。このとき、移し替え機構4は図5に示す初期状態に戻る。そして、駆動ローラ6aを所定方向に回転駆動させることにより、板ガラス5が第1搬送方向に直交する第2搬送方向に搬送される。
【0040】
上記図5乃至図10に示す動作を連続して繰り返すことにより、板ガラスの生産ライン工程において連続して搬送される板ガラスの搬送方向を所定方向(第1搬送方向)からそれに直交する方向(第2搬送方向)にスムーズに方向転換させることができる。なお、図6及び図7に示す例では、搬送台40の縦梁42が待機部7側に移動された後、板ガラス5が待機部7に搬送されるように説明したが、これに限定されるものではなく、図5に示すように、搬送台40の縦梁42が待機部7側に移動される前に、板ガラス5が待機部7に搬送されていてもよいし、あるいは、搬送台40の縦梁42が待機部7側に移動されるのと同時に、板ガラス5が待機部7に搬送されていてもよい。それにより、待機部7からメインフレーム3への板ガラス5の移し替えに要する時間を短縮することができる。さらに、水平駆動部20の駆動が停止された後、速やかに昇降機構部30が駆動されることは言うまでもないが、搬送台40の縦梁42が第1搬送方向に移動しながら板ガラス5に接触すること、及び搬送台40によって待機部7からメインフレーム3側に板ガラス5が第1搬送方向に搬送されながら駆動ローラ6aに接触することを禁止することを条件として、水平駆動部20と昇降機構部30を同時に駆動させてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 板ガラス用搬送方向転換装置
3 メインフレーム
3a 水平ガイドレール
4 移し替え機構
5 板ガラス
6 回転軸
6a 駆動ローラ
7 待機部
7a 従動ローラ
10 水平駆動用モータ
11 駆動軸
20 水平駆動部
21 駆動スプロケット
22 従動スプロケット
23 チェーン部材
24 ハウジング
25 連結体
30 昇降機構部
31 スライド板
32 昇降ベース
32a 貫通孔
33 垂直ガイドレール
34 水平ガイド部材
35 軸回転支持台
36 テンションローラ
40 搬送台(フォーク)
41 横梁
42 縦梁
42a クッション部材
43 垂直ガイド部材
44 ボールスクリュー
45 ボールナット
46 ベルト駆動機構
47 昇降用モータ
51、52、53 感知センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアシステムにおいて用いられ、第1搬送方向に搬送される板ガラスの搬送方向を前記第1搬送方向に直交する第2搬送方向に方向転換するための板ガラス用方向転換装置であって、
前記第1搬送方向に搬送される板ガラスが一時的に留置されるための待機部と、
前記第1搬送方向において前記待機部に隣接して配置され、前記待機部からその上に移し替えられた前記板ガラスを前記第2搬送方向に搬出するためのメインフレームと、
前記待機部に留置されている前記板ガラスを前記メインフレーム上に移し替えるための移し替え機構を備え、
前記移し替え機構は、
前記第1搬送方向において、前記待機部と前記メインフレームとの間で水平方向及び垂直方向に移動され、前記板ガラスの底部をその上に載置させることによって、前記板ガラスを前記待機部から前記メインフレーム側に搬送するための搬送台と、
前記搬送台を前記第1搬送方向に水平に往復移動させる水平駆動部と、
前記搬送台を垂直方向に昇降させる昇降機構部と
をさらに備えたことを特徴とする板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項2】
前記水平駆動部は、
モータの駆動軸に結合された駆動スプロケットと、
前記第1搬送方向に平行に、前記駆動スプロケットに対して所定の距離を隔てて配置された従動スプロケットと、
前記駆動スプロケットと前記従動スプロケットを連結するように張架されたチェーン部材と、
前記チェーン部材に連結され、前記第1搬送方向に移動されるスライド板と
を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項3】
前記昇降機構部は前記スライド板上に設けられ、かつ、前記搬送台は前記昇降機構部に連結され、それにより、前記搬送台は、前記水平駆動部によって前記第1搬送方向に沿って移動されると共に、前記昇降機構部によって垂直方向に昇降されることを特徴とする請求項2に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項4】
前記水平駆動部は、前記駆動スプロケット、前記従動スプロケット及び前記チェーン部材で構成される駆動機構と平行に、前記メインフレームの底部に配列された一対の水平ガイドレールと、前記第2搬送方向における前記スライド板の両端部に設けられ、前記水平ガイドレールと係合される一対の水平ガイド部材をさらに備え、それにより、前記スライド板が前記第1搬送方向に安定して水平移動されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項5】
前記搬送台は、前記第2搬送方向に平行な横梁と、前記第1搬送方向において、前記メインフレーム側から前記待機部側に突出するように設けられた複数の縦梁を有し、前記縦梁の後端部が前記横梁に固定されていることを特徴とする請求項請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項6】
前記昇降機構部は、前記スライド板の上面に略垂直に設けられた昇降ベースと、前記昇降ベース32の第2搬送方向の両壁面の外側に設けられた一対の垂直ガイドレールをさらに備え、
前記搬送台は、前記横梁の底面から垂直下方に突出するように設けられ、垂直方向に移動可能に前記一対の垂直ガイドレールに係合された一対の垂直ガイド部材をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項7】
前記昇降機構部は、
垂直方向の軸を回転中心とするボールスクリューと、
前記昇降ベースに固設され、前記ボールスクリューの両端部を回転可能に軸支する一対の軸回転支持台と、
前記ボールスクリューと螺合されたボールナットを備え、前記一対の汐直ガイド部材にその両端部が固定された水平な板状の昇降部材と、
一対のプーリ及びベルトを含んで構成され、昇降用モータの駆動力を前記ボールスクリューに伝達するためのベルト駆動機構をさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項8】
前記昇降ベースの前記第2搬送方向の両壁面には、前記昇降部材の両端部及び前記ベルト駆動機構のベルトが貫通するための垂直方向に長い貫通溝が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項9】
前記横梁の上面には、前記板ガラスを安全に支持するためのクッション部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項10】
前記水平ガイドレールの前記第1搬送方向における先後端部に隣接する部分に、前記水平ガイド部材が位置することを感知する感知センサが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。
【請求項11】
前記スライド板上に、垂直方向における前記垂直ガイド部材の上下に昇降する高さを感知するための感知センサが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の板ガラス用搬送方向転換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−275059(P2010−275059A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128240(P2009−128240)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(505272412)株式会社 太星技研 (9)