説明

枕用中間材および枕

【課題】ホールド感に優れ、かつ頸部を中心にした蓄熱感やムレ感を改善した枕用中間材を提供する。
【解決手段】枕芯材と枕カバーの間に介在させる枕用中間材であって、この枕用中間材が表裏二層の編地と、該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物であり、この立体編物が、立体編物2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm2 )、連結糸のdtexをT(g/1×106 cm)、連結糸の密度をρ0 (g/cm3 )とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中にある連結糸の総断面積(N・T/1×106 ・ρ0 )が0.02〜0.25cm2 であることを特徴とする枕用中間材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールド感に優れ、かつ頸部の蓄熱感やムレ感を改善した枕用中間材に関する。
【背景技術】
【0002】
枕は、頸部をやさしく支え、後頭部の丸みを自然に受け止めるいわゆるホールド感に優れており、かつ頸部を中心に蓄熱感やムレ感を感じにくい枕が最適といわれている。
ホールド感に優れた枕は、低反発ウレタンのように頭部がやさしく沈み込んで後頭部の丸みを包み込むような枕が好ましいが、このような枕は、後頭部や頸部が枕で包み込まれたようになっているために、頸部を中心に蓄熱感やムレ感を感じるものとなる。
一方、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感を改善するには、後頭部並びに頸部と枕との間に放熱や放湿が可能な空気層を形成させる方法が考えられるが、空気層を形成させるとホールド感が損なわれるため、両者を満足することは困難であった。
従来、例えば特許文献1に開示のように表裏二層の編地と、該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物を枕素材と枕カバーとの間に介在させることは知られているが、その目的は単にムレ解消にあり、優れたホールド感を兼ね備えることを目的にすることについては何ら記載、示唆さえもない。
【0003】
【特許文献1】特開2005−152480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ホールド感に優れ、かつ頸部を中心にした蓄熱感やムレ感を改善した枕用中間材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために、詳細な検討を繰り返した結果、枕芯材と枕カバーの間に介在させる枕用中間材として特定の立体編物を用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)枕芯材と枕カバーの間に介在させる枕用中間材であって、この枕用中間材が表裏二層の編地と、該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物であり、この立体編物が、立体編物2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm2 )、連結糸のdtexをT(g/1×106 cm)、連結糸の密度をρ0 (g/cm3 )とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中にある連結糸の総断面積(N・T/1×106 ・ρ0 )が0.02〜0.25cm2 であることを特徴とする枕用中間材。
(2)立体編物の連結糸がモノフィラメント糸で構成されていることを特徴とする上記(1)記載の枕用中間材。
(3)立体編物の厚みが2〜30mmであることを特徴とする上記(1)又は(2)のいずれかに記載の枕用中間材。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の枕用中間材で構成された枕。
【発明の効果】
【0006】
本発明の枕用中間材は、ホールド感に優れ、かつ頸部を中心にした蓄熱感やムレ感を改善するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明について以下に具体的に説明する。
本発明の枕用中間材と組み合わせる枕芯材としては、従来公知の枕芯材、例えば、低反発ウレタンフォームを含む各種ウレタン素材、ポリエステル繊維等化合繊の綿、プラスチック製の中空並びに中実のパイプ素材等のいわゆる合成高分子素材、そばがら、らくだの毛、羽毛、綿等の天然素材並びにこれら一種以上の組み合わせがあるが、本発明においては、天然素材に対比して放熱性が劣り、ムレ易い、いわゆる合成高分子素材との組み合わせにおいて有用であり、特に低反発ウレタンフォームを含む各種ウレタン素材は放熱性に劣るため最も有用かつ効果的な組み合わせである。又、ウレタン素材を一部または全部に用いた枕芯材は他の枕芯材に対比してホールド感に富んでいることと相まって、特にこの組み合わせが本発明において最適の組み合わせである。
【0008】
又、本発明の枕用中間材と組み合わせる枕カバーとしては、従来公知の枕カバーが利用できるが、特に肌触り等の快適性から吸湿性や吸水性に優れたものが好ましく、例えば、綿、麻、絹、ウール等の天然繊維、キュプラ、レーヨン、精製セルロース繊維、アセテート(ジ並びにトリアセテート)等のセルロース系繊維等が挙げられ、また例えば、W型等の異型断面糸や吸湿性や吸水性を改質したポリエステル系、ポリアミド系等合成繊維を一種以上組み合わせた織編物さらにはこれらを起毛したものが挙げられる。
本発明の枕用中間材の形態としては、枕芯材全体を覆った形態でもよいし、枕芯材の底面を除いて頭部が当接する上面並びに側面のみを覆った形態、さらには上面全体又は頭部が当接する部分即ち、寝返り等による頭部の移動も加味した部分に積層する形態が挙げられるが、少なくとも頭部が当接する部分に本発明の枕用中間材を用いればよい。特に、頭部が当接する部分に積層し、その上から、従来公知の枕カバーで覆ったものが枕の形態、形状の変化が少なく、かつ枕の作製上簡便であり好ましいものである。
【0009】
本発明の枕は、中間材として立体編物を用いることを特徴とする。そしてこの立体編物は、連結糸の総断面積が特定の範囲内にあることが必要である。
即ち、立体編物2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm2 )、連結糸のdtexをT(g/1×106 cm)、連結糸の密度をρ0 (g/cm3 )とした時、立体編物6.45cm2 の面積中にある連結糸の総断面積(N・T/1×106 ・ρ0 )が0.02〜0.25cm2 である必要があり、0.04cm2 以上が好ましく、特に0.07cm2 以上が好ましく、0.2cm2 以下、特に0.15cm2 以下が好ましい。
この範囲に設定することによって、特に優れたホールド感と頸部を中心にした蓄熱感やムレ感を改善した枕が得られる。
連結糸は、表裏の編地中にループ状の編目を形成してもよく、表裏編地に挿入組織状に引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸が表裏の編地を互いに逆方向に斜めに傾斜して、クロス状(X状)やトラス状に連結することが、立体編物の形態安定性を向上させる上で好ましい。
【0010】
次に、立体編物の表面の編地の総カバーファクター(TCF)が750〜1250、好ましくは800〜1200、さらに好ましくは850〜1150、特に好ましくは950〜1100であると枕カバーとのフィット感がよく、快適性に優れた枕となる。
ここで、総カバーファクター(TCF)とは、下記式で計算されるものである。
総カバーファクター(TCF)=
コースカバーファクター(CCF)+ウェールカバーファクター(WCF)
但し、コースカバーファクター(CCF)=(コース数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
ウェールカバーファクター(WCF)=(ウェール数;本/2.54cm)×(表面の編地を構成する糸条の太さ;dtex)1/2
【0011】
尚、表面の編地を構成する糸条の太さとは、表面の編地2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中に存在する編目を構成する糸条の太さをいう。例えば2枚筬から同一の針に2本の表糸が供給されて一つの編目を構成する場合は、2本の表糸の太さを合計した太さをいい、表裏面を連結する連結糸を除いたものである。
編目を構成する糸条の太さが異なる場合は、先ず表面の編地2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中に存在する編目の総数(n)と、各編目を構成する糸条の太さ(D1、D2、D3、・・・、Dn;dtex)を測定する。次いで、各編目を構成する糸条の太さの合計(D1+D2+D3+・・・Dn;dtex)を編目の総数(n)で割ったもので表す。
【0012】
本発明において、コースカバーファクター(CCF)は400〜800が好ましく、特に450〜750が好ましく、さらに500〜700が好ましく、又、ウェールカバーファクター(WCF)は250〜550が好ましく、特に300〜500が好ましく、さらに350〜450が好ましい。
さらにコースカバーファクター(CCF)/ウェールカバーファクター(WCF)の比(CCF/WCF)は1.0〜2.5が好ましく、特に1.3〜2.0が好ましい。
尚、ここにいう表面の編地とは枕カバーと接する面のことをいう。表裏の区別がつかない場合は、いずれか一方の面の編地の総カバーファクター(TCF)が750〜1250であればよく、他方の面の編地の総カバーファクターは限定されるものではない。
【0013】
立体編物を構成する繊維素材について説明すると、先ず、表面の編地は吸湿性や吸水性に優れたものが好ましく、例えば、綿、麻、絹、ウール等の天然繊維、キュプラ、レーヨン、精製セルロース繊維、アセテート(ジ並びにトリアセテート)等のセルロース系繊維が挙げられ、また例えば、W型等の異型断面糸や吸湿性や吸水性を改質したポリエステル系、ポリアミド系等合成繊維が挙げられ、繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形があり、繊維の形態も、原糸(未加工糸)、紡績糸、有撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等いずれのものを採用してもよく、マルチフィラメント糸でもモノフィラメント糸でも良く、これらの素材及び又は断面や形態の異なる二種以上を交絡、交撚、複合仮撚加工、交編等の公知の複合手段で混用して用いてもよい。
又、裏面の編地については特に制限は無く、表面の編地と同様の繊維素材、断面、形態のものを用いることができる。
表裏の編地を構成する繊維素材の好ましい太さは、総dtexでは50〜300が好ましく、特に100〜250が好ましく、単糸dtexは0.1〜7が好ましく、特に0.5〜6が好ましい。
【0014】
さらに、これら表裏の編地を連結する連結糸としては、ズレ力の緩和の観点からモノフィラメント糸が好ましく、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維、ポリブチレンテレフタレート系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維等のポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の素材の繊維を用いることができるが、このうちポリトリメチレンテレフタレート系繊維を連結糸の少なくとも一部に用いると、弾力感のあるクッション性を有し、繰り返し或いは長時間圧縮後のクッション性の耐久性が良好となり好ましい。繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよいが、丸型断面が立体編物のクッション性の耐久性を向上させる上で好ましい。
連結糸は、モノフィラメント糸100%が最適であるが、マルチフィラメント原糸やその仮撚加工糸を混用してもよく、その際はモノフィラメント糸が30質量%以上特に50質量%以上で構成するのが好ましい。
連結糸の好ましい太さは、モノフィラメント糸の場合は10〜1000dtex、特に20〜500dtexが好ましく、マルチフィラメント糸の場合は総dtexでは10〜1000dtex、特に20〜500dtexが好ましく、単糸dtexは1〜7が好ましく、特に2〜6が好ましい。
【0015】
本発明の立体編物の表面の編地は連結糸で用いたモノフィラメント糸が露出しない様にすることがざらつき感を抑える上で好ましい。モノフィラメント糸の露出を抑える方法としては、本発明の総カバーファクターを特定の範囲とする以外にも、モノフィラメント糸の繊度に比較しマルチフィラメント糸の繊度を大とする、モノフィラメント糸の給糸張力をマルチ糸の給糸張力より大にする、マルチ糸の給糸を通常のフィード率よりオーバーフィード側で給糸する、マルチ糸のフィラメント数を増やす、ダブルラッセル編機で編成する場合はモノフィラメント糸とマルチ糸の針に対するオーバーラップ方向を少なくとも同一方向で給糸する等の方法により編成することが好ましい。
また、表面の編地の同一編目におけるマルチ糸の総繊度D(デシテックス)と、連結糸の繊度d(デシテックス)の関係がD/dの値が1.1以上であることが好ましく、より好ましくは1.5〜15.0である。
【0016】
D/d<1.1の場合は、マルチ糸によるモノフィラメント糸の均一な被覆性が低下し、編地表面のざらつき感を抑えることができないケースも生じる。
更に、表面を構成する繊維の被覆率を上げればよく、表面を構成するマルチフィラメント糸に仮撚加工糸、紡績糸等の嵩高糸を用いることが好ましく、特にセルロース系繊維の仮撚加工糸やW型等の異型断面ポリエステル系合成繊維の仮撚加工糸が好ましい。
又、立体編物は、表裏の少なくとも一方の編地のタテ方向及び/又はヨコ方向に挿入糸(モノフィラメント糸及び又はマルチフィラメント糸)が直線状に挿入されていてもよい。
さらに、立体編物の厚みは2mm以上が好ましく、特に3mm以上、さらに5mm以上が好ましく、30mm以下、特に20mm以下、さらに15mm以下が好ましい。
【0017】
本発明の立体編物は、相対する2列の針床を有する編機で編成することができ、ダブルラッセル編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等で編成できるが、寸法安定性のよい立体編物を得るには、ダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。編機のゲージは9ゲージから28ゲージまでが好ましく用いられる。
立体編物の表裏の編地は、編組織は同一である必要は無く、異なる編組織でもよく、4角、6角等のメッシュ編地、マーキゼット編地等複数の開口部を有する編地にして軽量性、通気性を向上させてもよいが、表面を平坦な組織にして肌触りを良好にし、裏面はメッシュ状等の開口部を有する編地とすることにより通気性を高めたものが好ましい。又、表面を起毛するとより肌触りの良好なものが得られる。
【0018】
本発明の表裏の編地または連結糸に用いる繊維は、未着色でもよく、着色されていてもよい。
着色方法は、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする先染め方法、紡糸前の原液に顔料、染料等を混ぜて着色する原液着色方法、立体編物状で染色したりプリントする方法等によって着色することができるが、立体編物状で染色すると立体形状を維持するのが困難であったり加工性が悪いため、先染め方法や原液着色方法が好ましい。
立体編物の仕上げ加工方法は、立体編物を未着色で用いる場合や、先染め糸や原液着色糸を使用した立体編物の場合は生機を精練、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。連結糸或いは表裏糸のいずれかが未着色の立体編物の場合は、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができる。
【0019】
仕上げ加工後の立体編物は、融着、縫製、パイピング、樹脂加工等の手段で端部を処理したり、熱成形等により所望の形状にして用いることができるが、端部の凹凸感を極力感じない様にする方がよく、パイピングで処理することが好ましい。パイピング材は縫製部の厚み、連結糸の飛出し、使用時の耐久性を考慮して任意に選定すればよい。また、パイピング部は洗濯等で応力が集中し破損する恐れがあるので、ダブルステッチ等で縫製することが好ましい。
かかる立体編物を用いて枕用中間材を構成するに際し、一枚の立体編物で構成することがコスト面や生産性等の枕用中間材作製上好ましいが、希望に応じて2枚以上の立体編物を積層して用いても良い。ただし、立体編物を積層するに際しては、枕用中間材の厚みは2mm以上が好ましく、特に3mm以上、さらに5mm以上が好ましく、30mm以下、特に20mm以下、さらに15mm以下が好ましい。
【実施例】
【0020】
以下に本発明を実施例等に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
本発明における測定方法及び評価方法は以下の通りである。
(1)枕用中間材の評価
枕芯材として市販の低反発ウレタンウォーム、枕芯材の上面のみに実施例で得られた枕用中間材を積層し、その上から市販の綿100%の枕カバーで、枕芯材と枕用中間材を積層した全体を覆ったものを用いた。
市販のベッドを用いて10人の女性による平均点で評価した。
「ホールド感」
3点:ホールド感に優れている
2点:どちらともいえない
1点:ホールド感に劣っている
「頸部を中心にした蓄熱感やムレ感」
3点:殆ど感じない
2点:感じる
1点:かなり感じる
【0021】
[実施例1]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.2mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)に167dtex/48fのW型断面のポリエチレンテレフタレート系繊維の仮撚加工糸(旭化成せんい株式会社製、商標「テクノファイン」仮撚加工糸)をいずれもオールインの配列で供給し、裏面の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)にも同一の仮撚加工糸をいずれも3イン1アウトの配列で供給し、連結糸を形成するL3の筬に33dtexのナイロン66繊維モノフィラメント糸(密度1.14)をオールインの配列で供給して、表面の編地の密度が33.3コース/2.54cm、24.8ウェール/2.54cmの立体編物の生機を下記組織で編成した。
L1:2422/2022/
L2:2022/4644/
L3:0220/2002/
L5:4420/2224/2220/2242/4468/6664/6668/6646/
L6:4468/6664/6668/6646/4420/2224/2220/2242/
得られた生機を常法に従い精練後、乾熱ヒートセットして、表面の編地が平坦な組織で、裏面の編地がメッシュ組織の厚み3.5mmの立体編物を得た。
得られた立体編物の表面の編地密度は、35.0コース/2.54cm、22.2ウェール/2.54cmであり、連結糸の総断面積は0.04cm2 (連結糸の本数(N)は1554本/6.45cm2 )であった。
この立体編物の評価結果は、ホールド感2.8点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.2点といずれも優れたものであった。
【0022】
[比較例1]
実施例1において、市販の綿100%の枕カバーを用いずに、枕芯材と立体編物を積層した状態で評価した結果は、ホールド感2.8点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感1.5点であった。
[比較例2]
実施例1において、立体編物を中間材として用いずに評価した結果は、ホールド感2.8点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感1.2点であった。
【0023】
[実施例2〜6、比較例3〜4]
実施例1において、連結糸のdtexや生機の密度設計並びに仕上げ時の幅だしを変化させて、連結糸の総断面積が、0.01〜0.30である立体編物を仕上げた。
連結糸の総断面積が、0.02cm2 (実施例2)はホールド感2.8点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.0点、0.07cm2 (実施例3)はホールド感2.8点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.4点、0.15cm2 (実施例4)はホールド感2.6点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.4点、0.20cm2 (実施例5)はホールド感2.5点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.5点、0.25cm2 (実施例6)はホールド感2.3点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.5点であり、実施例1同様ホールド感、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感も優れたものであった。
一方、連結糸の総断面積が、0.01cm2 (比較例3)はホールド感2.8点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感1.3点、0.30cm2 (比較例4)はホールド感1.5点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.5点といずれかに劣ったものであった。
【0024】
[実施例7]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間10mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)に167dtex/48fのW型断面のポリエチレンテレフタレート系繊維の仮撚加工糸(旭化成せんい株式会社製、商標「テクノファイン」仮撚加工糸)をいずれもオールインの配列で供給し、裏面の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)にも同一の仮撚加工糸をいずれも3イン1アウトの配列で供給し、連結糸を形成するL3の筬に200dtexのポリエチレンテレフタレート系繊維モノフィラメント糸(密度1.38)をオールインの配列で供給して、立体編物の生機を下記組織で編成した。
L1:2422/2022/
L2:2022/4644/
L3:0220/2002/
L5:4420/2224/2220/2242/4468/6664/6668/6646/
L6:4468/6664/6668/6646/4420/2224/2220/2242/
得られた生機を常法に従い精練後、乾熱ヒートセットして仕上げた。
仕上げた立体編物は、表面の編地が平坦な組織で、裏面の編地がメッシュ組織の厚み8.0mm、表面の編地密度は、31.0コース/2.54cm、10.2ウェール/2.54cm、であり、連結糸の総断面積は0.09(連結糸の本数(N)は632本/6.45cm2 )であった。
この立体編物の評価結果は、ホールド感2.8点、頸部を中心にした蓄熱感やムレ感2.8点といずれも優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、特定の立体編物を用いることにより、ホールド感に優れ、かつ頸部を中心にした蓄熱感やムレ感を改善する枕用中間材であり、枕用の中間材として用いる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕芯材と枕カバーの間に介在させる枕用中間材であって、この枕用中間材が表裏二層の編地と、該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物であり、この立体編物が、立体編物2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm2 )、連結糸のdtexをT(g/1×106 cm)、連結糸の密度をρ0 (g/cm3 )とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm2 )の面積中にある連結糸の総断面積(N・T/1×106 ・ρ0 )が0.02〜0.25cm2 であることを特徴とする枕用中間材。
【請求項2】
立体編物の連結糸がモノフィラメント糸で構成されていることを特徴とする請求項1記載の枕用中間材。
【請求項3】
立体編物の厚みが2〜30mmであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の枕用中間材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の枕用中間材で構成された枕。

【公開番号】特開2007−307135(P2007−307135A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139086(P2006−139086)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】