説明

【課題】 頭部接触感、抗菌・防虫、脱臭効果、吸排湿性、炭の粉が外部に漏れない等の構造を備え、快い睡眠ができる枕を提供する。
【解決手段】 内袋7の不織布によって形成された炭漏防止素材内に竹炭11と松ヤニ12が収容され、外袋8を上下のスパンボンド通気性不織布層9とその中間のメルトブローン非透水性不織布層10によって形成された多層の通気性非透水性素材とした複数の炭入袋を配置した枕である。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、炭、そば殻、特に竹炭粒と松ヤニ粒(粉)を内部へ効果的に配置した通気性非透水性素材を使用した枕に関する。
【0002】
【従来の技術】
枕の内部に炭(とりわけ木炭、活性炭や竹炭)を充填すると、水分、臭気等の吸着除去作用に加えて、遠赤外線放射作用、周囲の大気をマイナスイオン化する作用等によって、快い睡眠が可能になるとされている。本考案者は特願2000-106657号において、竹炭又は木炭と松ヤニ(松脂)とを通気性素材で単位区画内に包装し、複数の単位区画に形成してなるシートを提案している。このシートは1乃至複数区画分を枕や敷布団等寝具の内部に用いるようにしている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
枕について詳細に検討してみると、内部の充填材が濡れるのを防止する必要がある一方で、枕が汗を吸収してサッパリとしたいという要望がある。また、洗濯できることが好ましい。枕の内部へ炭を充填したタイプで、この様な要望を満足させた枕はみられない。
【0004】
一方、炭を内部に充填した従来の枕に多くみられる問題点は、炭を覆う布の縫い目等から炭の粉が外部へ出てくることである。更に、このことから炭の粉を枕の内部に入れにくいので、切片を入れると、ゴワゴワとした感じとなって使い難い枕となる。
【0005】
そこで本考案者は、頭部接触感、抗菌・防虫、脱臭効果、吸排湿性、炭の粉が外部に漏れない等の構造を備え、快い睡眠ができる枕を提供することとした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案の枕は、不織布によって形成された内袋と外袋とからなる複数の炭入袋を内部に配置した構造である。このような袋を枕内に移動しないように複数個配置し、それぞれの袋内に炭粒(1〜3mm)が充填されている。ここにいう炭は木炭、活性炭等でもよいが臭気物質や水分の吸着能力に優れる竹炭がよい。枕には合成樹脂製短パイプ、パンヤ、黍殻、そば殻等の枕充填材が下部に充填され、その上部に仕切布を設け、その上に複数の炭入袋を配置し、更に全体を布製のカバーで覆うと良い。
【0007】
内袋が炭漏防止素材であり、外袋が通気性非透水性素材である複数の炭入袋を内部に配置する構造とした。この炭漏防止素材の内袋は不織布(例えばPES(ポリエステル)又はPP(ポリプロピレン))によって形成されるのがよいが、炭の粉が袋外に出ない手段が施されれば他の織布や通気性(ガス透過性)フイルムの使用も可能である。その場合、袋の縁部を熱溶着させるとか、縫い目を非常に小さく詰めるとか、多重に縫着する等によって炭の漏れがなくなる。また、外袋は通気性不織布層と非透水性不織布層によって形成された多重通気性非透水性素材からなる複数の炭入袋を内部に配置するのが好ましい。
【0008】
更に具体例としては、内袋を例えばPES製不織布によって形成した炭漏防止素材とし、外袋を上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層によって三層に形成した通気性非透水性素材で構成し、複数の炭入袋を内部に配置した枕とする。
【0009】
複数の炭入袋は、上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層とからなる通気性非透水性素材により形成することもできる。この構造によると、害虫が外(上)部から侵入しようとする際、たとえスパンボンド通気性不織布層から侵入しようとしても、中間のメルトブローン非透水性不織布層で遮断される。メルトブローン非透水性不織布層は疎水性のPP等ポリオレフィン素材が好ましい。
【0010】
内袋は、不織布によって形成された炭漏防止素材内に竹炭と松ヤニが収容された構造とし、次に外袋は、上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層によって形成された三層の通気性非透水性素材とした複数の炭入袋を頭部当接側に配置した枕が本考案の目的に最も合致している。
松ヤニに関していえば、竹炭との混合以外に微粉末又は溶融状態で不織布中に熱融着させてもよい。
【0011】
【考案の実施の形態】
以下図面によって本考案を詳細に説明する。図1は本考案の枕の一部破断斜視図である。この枕は表面を覆っている枕布1の内部下方に合成樹脂製短パイプの枕充填材2が充填されており、その上部に仕切布3を設けて充填材室4としている。その側面に充填材室ファスナー5を設けて開閉可能となっている。枕充填材2には他の種類のパンヤ、黍殻、蕎麦殻等を用いてもよい。
【0012】
枕内部で仕切布3上に複数(4個)の炭入袋6を配置している。この炭入袋6は図2にみられるように、不織布製の内袋7と外袋8とからなる多重構造である。
内袋7がPP製不織布によって形成された炭漏防止素材であり、外袋8は通気性不織布層と非透水性不織布層によって形成された多層の通気性非透水性素材からなる。
【0013】
図3は外袋8を形成している通気性非透水性素材の斜視図である。この素材は上下両面がスパンボンド通気性不織布層9,9であり、中間層がメルトブローン非透水性不織布層10で、これら三層によって通気性と非透水性が確保されている。スパンボンド通気性不織布層9にはPESが用いられ、メルトブローン非透水性不織布層10にはPPが用いられている。
【0014】
炭漏れさえ無くすることができれば、内袋無しの上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層とからなる通気性非透水性素材のみにより複数の炭入袋を形成して枕内部に配置してもよい。
【0015】
図示した例では、内袋7の不織布によって形成された炭漏防止素材内に竹炭11と松ヤニ12が収容され、外袋8を上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層によって形成された三層の通気性非透水性素材として、この複数の炭入袋6を頭部当接側に配置したのである。配置に際しては複数の炭入袋6がずれないように、隣り合う炭入袋6間を縫い合わせている。
【0016】
【考案の効果】
本考案の枕は竹炭等の炭を内部に配置した構造でありながら、介在する多層の不織布等によって頭部接触感がよい。また、脱臭効果、吸排湿性もよく(特に竹炭使用の場合)快眠できる。炭入袋に水が侵入しないので、洗濯も可能である。
炭の粉が外部に漏れないので安心して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の枕の一部破断斜視図である。
【図2】炭入袋の断面図である。
【図3】外袋を形成している通気性非透水性素材の斜視図である。
【符号の説明】
1 枕布
2 枕充填材
3 仕切布
4 充填材室
5 充填材室ファスナー
6 炭入袋
7 内袋
8 外袋
9 スパンボンド通気性不織布層
10 メルトブローン非透水性不織布層
11 竹炭
12 松ヤニ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 不織布によって形成された内袋と外袋とからなる複数の炭入袋を内部に配置した枕。
【請求項2】 内袋が炭漏防止素材であり、外袋が通気性非透水性素材である複数の炭入袋を内部に配置した枕。
【請求項3】 内袋が不織布によって形成された炭漏防止素材からなり、外袋が通気性不織布層と非透水性不織布層によって形成された多層の通気性非透水性素材からなる複数の炭入袋を内部に配置した枕。
【請求項4】 内袋が不織布によって形成された炭漏防止素材で、外袋が上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層によって形成された多層の通気性非透水性素材からなる複数の炭入袋を内部に配置した枕。
【請求項5】 上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層とからなる通気性非透水性素材により形成した複数の炭入袋を内部に配置した枕。
【請求項6】 内袋の不織布によって形成された炭漏防止素材内に竹炭と松ヤニが収容され、外袋を上下のスパンボンド通気性不織布層とその中間のメルトブローン非透水性不織布層によって形成された多層の通気性非透水性素材とした複数の炭入袋を配置した枕。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【登録番号】実用新案登録第3076077号(U3076077)
【登録日】平成12年12月20日(2000.12.20)
【発行日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【考案の名称】枕
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−6393(U2000−6393)
【出願日】平成12年9月4日(2000.9.4)
【出願人】(397051070)株式会社坪井商店 (1)