説明

【課題】 眼鏡をかけた使用者が横になった状態で読書などを楽に行なうことができる枕することができる枕を提供する。
【解決手段】 上面において、使用者の耳および当該耳に係止された眼鏡の少なくとも一部を収容し得る溝3が形成されてなる枕1。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は枕に関する。さらに詳しくは、眼鏡をかけた使用者が横になった状態で読書などを楽に行なうことができる枕に関する。
【0002】
【従来の技術および考案が解決しようとする課題】
従来より、枕に頭をのせて身体を横たえた楽な姿勢で、読書やテレビ鑑賞を行なうことが一般によく行なわれている。
【0003】
しかし、眼鏡をかけた人が寝ながら読書などをする場合、通常、眼鏡をかけたまま首を傾けて顔の側面を枕につけようとしても、枕に耳が当って痛いし、しかも枕に眼鏡のレンズやフレーム、とくにつるの部分が当ってじゃまになるため、顔を枕から浮かした状態で読書せざるを得ない。この状態では、首筋が疲れて長く読書をすることができなかった。
【0004】
一方、仰向けに寝た状態で読書をしようとすれば、本を支える手や腕が疲れたり、または手によって照明を遮るおそれがあるため好ましくない。
【0005】
本考案はかかる問題を解消するためになされたものであり、眼鏡をかけた使用者が横になった状態で読書などを楽に行なうことができる枕することができる枕を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案の枕は、上面において、使用者の耳および当該耳に係止された眼鏡の少なくとも一部を収容し得る溝が形成されてなることを特徴としている。
【0007】
前記溝の幅が70〜100mm程度であるのが好ましい。
【0008】
略均一な厚さの平板形状を呈し、前記溝が、前記耳の片方および前記眼鏡の少なくとも一部を収容し得る程度の長さで上面の片側に偏心して形成されてなるのが好ましい。
【0009】
前記溝が、上面の側端へ向かうにつれて、幅および深さのうち少なくとも一方が広くなるように形成されてなるのが好ましい。
【0010】
軟質材料で作製されてなるのが好ましい。
【0011】
前記溝が、上面から下面にかけて貫通するように形成されてなるのが好ましい。
【0012】
上面の手前側の部分が、使用者の首すじを受けることができるように凹んでおり、前記溝が上面の幅全体にわたって形成されてなるのが好ましい。
【0013】
前後方向の長さ260〜280mm、幅220〜260mm、厚さ60〜80mm程度の携帯可能な寸法を有し、前記溝が上面の幅全体にわたって形成されてなるのが好ましい。
【0014】
椅子または座席の背もたれ部分に取り付けるためのハンガーを有し、前記溝が上面の幅全体にわたって形成されてなるのが好ましい。
【0015】
少なくとも前記溝の周辺部分が、硬質の材料で作製されてなるのが好ましい。
【0016】
【考案の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本考案の枕をさらに詳細に説明する。図1は本考案の枕の一実施の形態を示す斜視説明図、図2は図1の枕の平面説明図、図3は図1の枕を左側面から見た場合の説明図、図4は本考案の他の実施の形態である首当て凹部を有する枕の斜視説明図、図5は本考案のさらに他の実施の形態である携帯用枕の斜視説明図、図6は本考案のさらに他の実施の形態である軟質材料で作製された枕の斜視説明図および図7は本考案のさらに他の実施の形態であるハンガーを備えた枕の斜視説明図である。
【0017】
本実施の形態の枕1は、図1〜3に示されるように、上面2において、使用者の耳E、および耳Eに係止された眼鏡Gの少なくとも一部を収容し得る溝2が形成されている。
【0018】
この構成により、眼鏡GのフレームFおよびつるH、ならびに眼鏡Gをかけている耳Eを枕1の溝3に挿入することができ、かつ、その他の顔の側面は枕1の上面2に密着させることができるため、耳や首に痛さを与えることなく、楽に読書やテレビ鑑賞などを行なうことができる。
【0019】
溝3の幅W1またはW2は、70〜100mm程度であれば、耳Eおよび眼鏡のフレームFとつるHを、枕1の上面2に接触させることなく溝3の内部に挿入することができ、しかも、枕1と顔との接触面積を充分に確保できる。
【0020】
図1〜3の枕1は、略均一な厚さの平板形状を呈し、溝3が、耳Eの片方および眼鏡Gの少なくとも一部を収容し得る程度の長さで上面2の片側に偏心して形成されている。
【0021】
このように溝3が片側のみに形成されている場合、寝返りを打って顔を反対方向(図2において右方向)に向けたとき枕1を180度水平に回転させれば、前述と同様に、逆側の耳Eおよび眼鏡Gを溝3に挿入して楽に読書などをすることができる。したがって、顔の向きを左右交互にかえることによって、疲れを分散することができ、長時間の読書やテレビ鑑賞が可能になる。
【0022】
図1〜3に示される片側に溝3が形成された枕1の寸法は、本考案においてとくに限定されるものではないが、たとえば、長さA=320mm程度、幅B=280mm程度、厚さC=120mm程度、溝の長さL=180mm程度、最内端の溝幅W1=80mm程度、最外端の溝幅W2=90mm程度、最内端の溝の深さD1=40mm程度、最外端の溝の深さD2=60mm程度である。溝3は、枕1の幅方向についてほぼ中間の位置に形成されている。
【0023】
図1〜3に示される溝3は、上面2の側端4へ向かうにつれて、溝3の幅および深さが広くなるように形成されているため、顔を横に寝かせた状態でも、枕3が視界を遮ることがないので、本やテレビのために良好な視界を確保することができる。なお、溝3の幅または深さのいずれか一方を広くしても、視界を広くすることができるが、溝3の幅および深さの両方を広くすれば、より広範囲の視界を確保することができる。
【0024】
また、本考案の枕の他の実施の形態として、図4に示される枕11は、上面12の手前側の部分が、使用者の首すじを受けることができるように凹部14が形成されているため、首の疲れをさらに軽減することができる。この図4の枕11では、溝13が上面12の幅全体にわたって形成されているため、凹部14に首を当てたまま左右交互に顔の向きを変えても、右左いずれの向きでも溝内部に耳および眼鏡を挿入することができる。
【0025】
さらに、本考案の枕のさらに他の実施の形態として、図5に示される枕21は、前後方向の長さ260〜280mm、幅220〜260mm、厚さ60〜80mm程度の携帯可能な寸法を有しており、旅行や出張などのときに枕を携帯して容易に移動することができる。また、溝23は、上面22の幅全体にわたって形成されているため、枕21を回転させなくても、右左交互に顔を向けて使用することができる。
【0026】
図5に示される携帯用の枕21は、たとえば、表面を皮または厚いデニムなどの材料で少し硬めに作製するのが好ましく、寸法は一例として、たとえば、長さA=280mm程度、幅B=240mm程度、厚さC=60mm程度、溝幅W=70mm程度、溝の深さD=40mm程度である。
【0027】
つぎに、本考案の枕のさらに他の実施の形態として、図6に示される枕31は、従来の枕と同様に、表面が布または合成繊維などの軟質材料で作製され、内部にそば殻や穀物などが充填されているので、全体に軟質になっており、顔を当てたときの感触がよくなっている。このような、軟質材料で作製された枕31の場合、溝33も大きく変形するため、良好な視界を確保するために、上面32から下面35にかけて貫通するように形成されているのが好ましい。また、溝33は、前記図1〜3に示される溝3のように、上面32の側端34へ向かうにつれて、溝33の幅が広くなるように形成されているので、良好な視界を確保することができる。
【0028】
図6に示される軟質材料で作製された枕31の寸法もとくに限定されるものではないが、たとえば、長さA=400mm程度、幅B=320mm程度、厚さC=60〜90mm程度、溝の長さL=160mm程度、最内端の溝幅W1=80mm程度、最外端の溝幅W2=100mm程度である。溝33は、枕1の幅方向についてほぼ中間の位置に形成されている。
【0029】
つぎに、本考案の枕のさらに他の実施の形態として、図7に示される枕41は、椅子Sまたは座席の背もたれ部分S1に取り付けるためのハンガー44を有し、溝43が上面42の幅全体にわたって形成されている。
【0030】
したがって、ハンガー44を用いて、椅子Sの背もたれ部分S1に枕41を装着することにより、椅子Sに座った状態でも、枕41に顔の側面を当てれば、耳および眼鏡が溝43の内部に挿入されるので、楽な姿勢で読書などを行なうことができる。しかも、溝43が上面42の幅全体にわたって形成されているため、左右交互に顔の向きを変えても、右左いずれの向きでも溝内部に耳および眼鏡を挿入することができる。
【0031】
このようなハンガー44付きの枕41は、通常の椅子だけでなく、自動車の座席などのリクライニングシートや、ベッドの柵などにも取り付けて使用することができる。さらに、椅子Sの背もたれ部分S1にハンガーを44を係合させずに、背もたれ部分S1にハンガー44付きの枕41を立てかけて使用してもよい。
【0032】
枕およびハンガーの形状および寸法については、取付対象である椅子や座席の種類や形状に応じて適宜変更すればよい。
【0033】
なお、図4、5および7に示される枕の幅全体に形成された溝は、全長にわたって同じ溝の幅に形成してもよいが、枕の両端に近づくにつれて、幅および深さの少なくとも一方が広くなるようにすれば、枕が視界を遮らずに良好な視界を確保することができる。
【0034】
本考案の溝付きの枕を作製する場合、たとえば、厚さ2〜3mm程度のビニロン製のシートを用いて溝のない下半分と溝を有する上半分を別々に成形し、それぞれの内部に綿などの詰め物を詰めこんだのち、これら下半分と上半分とを熱圧着などにより接合すればよい。このとき、溝周辺部分には、型くずれしないように補強するために、周囲に詰めこまれる材料よりも少し硬い材料を充填するのが好ましい。また、枕の下半分を若干厚めに成形すれば、眼鏡をかけて横たわりながら読書などをするときは枕の上半分側に顔をつけて使用し、眼鏡を外して睡眠をとるときは、下半分側を上にして使用することができ、1つの枕で2つの使い方を行なうことができる。
【0035】
【考案の効果】
本考案の枕は、枕上面に使用者の耳および当該耳に係止された眼鏡の少なくとも一部を収容し得る溝が形成されているため、眼鏡をかけた使用者が横になった状態で読書やテレビ鑑賞などを楽に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の枕の一実施の形態を示す斜視説明図である。
【図2】図1の枕の平面説明図である。
【図3】図1の枕を左側面から見た場合の説明図である。
【図4】本考案の他の実施の形態である首当て凹部を有する枕の斜視説明図である。
【図5】本考案のさらに他の実施の形態である携帯用枕の斜視説明図である。
【図6】本考案のさらに他の実施の形態である軟質材料で作製された枕の斜視説明図である。
【図7】本考案のさらに他の実施の形態であるハンガーを備えた枕の斜視説明図である。
【符号の説明】
1、11、21、31、41 枕
3、13、23、33、43 溝

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上面において、使用者の耳および当該耳に係止された眼鏡の少なくとも一部を収容し得る溝が形成されてなる枕。
【請求項2】 前記溝の幅が70〜100mm程度である請求項1記載の枕。
【請求項3】 略均一な厚さの平板形状を呈し、前記溝が、前記耳の片方および前記眼鏡の少なくとも一部を収容し得る程度の長さで上面の片側に偏心して形成されてなる請求項1または2記載の枕。
【請求項4】 前記溝が、上面の側端へ向かうにつれて、幅および深さのうち少なくとも一方が広くなるように形成されてなる請求項1、2または3記載の枕。
【請求項5】 軟質材料で作製されてなる請求項1、2、3または4記載の枕。
【請求項6】 前記溝が、上面から下面にかけて貫通するように形成されてなる請求項5記載の枕。
【請求項7】 上面の手前側の部分が、使用者の首すじを受けることができるように凹んでおり、前記溝が上面の幅全体にわたって形成されてなる請求項1または2記載の枕。
【請求項8】 前後方向の長さ260〜280mm、幅220〜260mm、厚さ60〜80mm程度の携帯可能な寸法を有し、前記溝が上面の幅全体にわたって形成されてなる請求項1または2記載の枕。
【請求項9】 椅子または座席の背もたれ部分に取り付けるためのハンガーを有し、前記溝が上面の幅全体にわたって形成されてなる請求項1または2記載の枕。
【請求項10】 少なくとも前記溝の周辺部分が、硬質の材料で作製されてなる請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【登録番号】実用新案登録第3084994号(U3084994)
【登録日】平成13年12月26日(2001.12.26)
【発行日】平成14年4月5日(2002.4.5)
【考案の名称】枕
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2001−6435(U2001−6435)
【出願日】平成13年10月2日(2001.10.2)
【出願人】(500468869)