説明

枚葉印刷物検査装置

【課題】枚葉印刷物を適正に検査する。
【解決手段】枚葉印刷機の最終印刷ユニット7における圧胴11の周面に枚葉印刷物aを押し付けるエア吹き付け手段と、エア吹き付け手段により圧胴の周面に押し付けられた枚葉印刷物に光を照射する照明手段21と、照明手段により照明された枚葉印刷物の画像を撮像するカメラ27と、カメラにより撮像した画像から印刷の良否を判定する印刷良否判定手段19とを具備した枚葉印刷物検査装置において、上記エア吹き付け手段は、圧胴が他の胴10と共に枚葉印刷物を押圧するニップ部を中心にして、枚葉印刷物の搬送方向に見てこのニップ部よりも下流側に第一のエアノズル16を有し、ニップ部よりも上流側には第二のエアノズル29を有し、第一のエアノズルからは、他の胴が胴入れ状態及び胴抜き状態のいずれにあっても圧胴上の枚葉印刷物に対してエアを吹き付け、第二のエアノズルからは、他の胴が少なくとも胴抜き状態にあるときに圧胴上の枚葉印刷物に対してエアを吹き付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット枚葉印刷機等の枚葉印刷機で印刷を行っている最中に印刷物を検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枚葉印刷機は、一般に黄、赤、藍、墨の四色のインキを刷るので、これら四色に対応して四個の印刷ユニットを備えており、そのデリバリ部の直前の最終印刷ユニット内には枚葉印刷物の印刷品質について検査を行う検査装置が設置されている。
【0003】
この検査装置による検査は、図6に示すように、最終印刷ユニットの圧胴1とブランケット胴28との間を通過した枚葉印刷物aの印刷面に照明装置2から照明光を照射し、その反射光をカメラ3で画像として受光し、この画像を画像処理部でパターンマッチングすることによって行われる。
【0004】
また、この検査装置は、エアノズル4によって圧胴1上の枚葉印刷物aにエアを吹き付け、枚葉印刷物aを圧胴1の周面に密着させるようになっている。これにより、検査中における枚葉印刷物aの圧胴1上での浮き上がりやバタつきを防止し、カメラ3で撮影した画像にひずみが生じないようにし、正確な印刷品質の検査が行われるようにしている(例えば、特許文献1,2,3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−137385号公報
【特許文献2】特開2004−136585号公報
【特許文献3】特開2006−130775号公報
【特許文献4】特開2006−1079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、枚葉印刷機には上記四個の印刷ユニットに更に一個又は複数個の印刷ユニットが増設されたものがある。このような枚葉印刷機は上記四色以外に他の色インキを印刷したり、同色のインキを重ね塗りしたり、ニス等を塗布したりする場合に用いられる。そして、この印刷ユニットが五個以上の枚葉印刷機であっても、上記検査装置は、最終印刷ユニット内に配置される。
【0007】
ところが、五個以上の印刷ユニットを有する枚葉印刷機を使用する場合であっても、例えば四色印刷で足りるとか、ニス塗りが不要であったりすることがあり、その場合は最終印刷ユニットを含め不用な印刷ユニットについては胴抜きが行われる。胴抜きとは、枚葉印刷機がオフセット印刷機である場合、ブランケット胴28が圧胴1に接しうる胴入れ状態においてブランケット胴28を圧胴1から離反させ、ブランケット胴28を圧胴1上の枚葉印刷物aに接触させないようにする操作である。
【0008】
このように胴抜きを行った印刷ユニットでは、枚葉印刷物aがブランケット胴28によるニップ圧から解放されるため、圧胴1上で浮き上がったり、バタついたりし、上記検査装置による印刷品質の適正な検査が困難になる。
【0009】
このような不都合を解消するため、特許文献4に開示されるように圧胴上の枚葉印刷物の画像面に対しその搬送方向の前後からエアを吹き付け、その吹き付けたエアを中央部で吸引するようにすることも考えられるが、そのためのエアの噴き出しノズル二本、吸引ノズル二本等狭隘な印刷ユニット内に配置することは特別なスペースを設けない限り困難である。
【0010】
したがって、本発明は上記問題点を解決することができる枚葉印刷物検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
【0012】
なお、本発明の理解を容易にするため括弧付きの符号を付すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
すなわち、請求項1に係る発明は、枚葉印刷機の最終印刷ユニット(7)における圧胴(11)の周面に枚葉印刷物(a)を押し付けるエア吹き付け手段と、エア吹き付け手段により圧胴(11)の周面に押し付けられた枚葉印刷物(a)に光を照射する照明手段(21)と、照明手段(21)により照明された枚葉印刷物(a)の画像を撮像するカメラ(27)と、カメラ(27)により撮像した画像から印刷の良否を判定する印刷良否判定手段(19)とを具備した枚葉印刷物検査装置において、上記エア吹き付け手段は、上記圧胴(11)が他の胴(10)と共に枚葉印刷物(a)を押圧するニップ部を中心にして、枚葉印刷物(a)の搬送方向に見てこのニップ部よりも下流側に第一のエアノズル(16)を有し、上記ニップ部よりも上流側には第二のエアノズル(29)を有し、上記第一のエアノズル(16)からは、上記他の胴(10)が胴入れ状態及び胴抜き状態のいずれにあっても圧胴(11)上の枚葉印刷物(a)に対してエアを吹き付け、上記第二のエアノズル(29)からは、上記他の胴(10)が少なくとも胴抜き状態にあるときに圧胴(11)上の枚葉印刷物(a)に対してエアを吹き付けるようにした枚葉印刷物検査装置を採用する。
【0014】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の枚葉印刷物検査装置において、上記第一のエアノズル(16)が上記圧胴(11)上の撮像位置に対向するように配置され、その圧胴(11)表面に対するエア吹き付け角度θ1が50°±3°とされたものとすることができる。
【0015】
請求項3に記載されるように、請求項1又は請求項2に記載の枚葉印刷物検査装置において、上記第二のエアノズル(29)は、その圧胴(11)表面に対するエア吹き付け角度θ2が60°±3°となるように配置されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、枚葉印刷物(a)の検査を胴抜きされた印刷ユニットで行うようにした場合であっても、圧胴(11)上の撮像位置での枚葉印刷物(a)の浮き上がりやバタつきを的確に防止することができ、従って印刷品質の良否を正確に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る枚葉印刷物検査装置を備えたオフセット枚葉印刷機の後部の概略図である。
【図2】図1中、要部の部分切欠図である。
【図3】(A)はエア吹き付け装置の正面図、(B)は図(A)中B−B線矢視断面図である。
【図4】反射鏡からカメラに至る箇所を示す正面図である。
【図5】反射鏡が収納された保護部材の斜視図である。
【図6】従来の枚葉印刷物検査装置を備えたオフセット枚葉印刷機の後部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0019】
図1に示すように、オフセット枚葉印刷機の最終印刷ユニット7には、他の印刷ユニットと同様に、版胴9、ブランケット胴10及び圧胴11の組が設けられる。
【0020】
このオフセット枚葉印刷機は、黄、赤、藍、墨の四色のインキに対応した四個の印刷ユニットに加え、他の色インキ、ニス等を印刷するために更に一個又は複数個の印刷ユニットを備えている。
【0021】
従って、このオフセット枚葉印刷機によって印刷を行う場合、上記四色のインキ以外のインキを省略するときは、五個目の印刷ユニットから最終印刷ユニット7に至るブランケット胴10について胴抜きが行われる。図1に示すように、胴抜きが行われると、ブランケット胴10が圧胴11から引き離され、圧胴11上の枚葉印刷物aは印圧(ニップ圧)を加えられなくなる。
【0022】
最終印刷ユニット7の下流側には印刷が完了した枚葉印刷物aを排出するデリバリ部8が設置される。
【0023】
デリバリ部8は、上記圧胴11に接するように配置される受け胴12を有する。この受け胴12から無端チェーン13が枚葉印刷物aの図示しない積み重ね部へと伸びる。枚葉印刷物aがブランケット胴10と圧胴11との間を通って来ると、無端チェーン13に取り付けられた図示しない咥え爪によって受け胴12上で掴まれ、積み重ね部へと搬送される。
【0024】
無端チェーン13が受け胴12から積み重ね部に至る途上にはパウダー吹き付け装置14が設けられる。パウダー吹き付け装置14からパウダーが枚葉印刷物aの印刷面に吹き付けられることによって、枚葉印刷物aが積み重ね部で積み重ねられた際インキの裏写りが防止される。
【0025】
また、最終印刷ユニット7とデリバリ部8には各々縦向きにカバー7a,8aが取り付けられ、両カバー7a,8a間には印刷機のオペレータbが乗るステップ15が架け渡される。ステップ15は最終印刷ユニット7の圧胴11の近傍であってデリバリ部8の受け胴12の真上当たりに水平に配置される。オペレータbはステップ15に乗ってインキの補給を行ったり、カバー7aを開けて圧胴11等を点検したりすることができる。
【0026】
図1に示すように、最終印刷ユニットからデリバリ部8に至る箇所には、最終印刷ユニット7から排出される枚葉印刷物aの印刷品質を検査するための検査装置が配置される。
【0027】
この枚葉印刷物検査装置は、最終印刷ユニットの圧胴11の周面に枚葉印刷物aを押し付けるエア吹き付け手段であるエア吹き付け装置と、エア吹き付け装置からのエアにより圧胴11の周面に押し付けられた枚葉印刷物aに光を照射する照明手段である照明装置21と、照明装置21により照明された枚葉印刷物aの印刷画像を撮像するカメラ27と、カメラ27により撮像した画像から印刷の良否を判定する印刷良否判定装置19とを具備する。また、枚葉印刷物aでの反射光がカメラ27に至る光路中に反射鏡22を有する。
【0028】
図1及び図2に示すように、エア吹き付け装置は、上記最終印刷ユニット7の圧胴11が他の胴であるブランケット胴10と共に枚葉印刷物aを押圧するニップ部を中心にして、枚葉印刷物aの搬送方向に見てこのニップ部よりも下流側に第一のエアノズル16を有し、ニップ部よりも上流側には第二のエアノズル29を有する。
【0029】
第一と第二のエアノズル16,29は、互いに同様な構造を有し、図3(A)(B)に示すように、各々角筒17内の軸芯上に円筒18を挿入した二重筒構造を有する。角筒17の一稜には、スリット状のエア吐出孔17aが設けられ、円筒18には、角筒17の上記稜と反対側の母線上において多数のエア噴き出し孔18aが設けられる。また、円筒18にブロア20a又は20bが接続される。ブロア20a又は20bから円筒18内にエアが供給されると、このエアはエア噴き出し孔18aから角筒17内に流入し、角筒17の内壁面に沿って上記稜側へと均一な流れとなって流れ、全エア吐出孔17aから略均一な流量となって噴き出る。
【0030】
なお、エアノズルの上記エア吐出孔17aの列はスリット状の開口部であるが、これに代えてスポット状の開口部の列とすることも可能である。
【0031】
第一のエアノズル16は、図1及び図2に示すように、そのエア吐出孔17aが圧胴11の一つの母線に平行に伸び、かつ、圧胴11の表面に対する吹き付け角度θ1が50°±3°になるように配置される。この一つの母線は圧胴11上の枚葉印刷物aに対する撮像位置に対応する。また、第一のエアノズル16は、エア吐出孔17aが圧胴11の表面から20mm程度離れるように配置される。
【0032】
これにより、エア吐出孔17aから噴き出たエアは、圧胴11上の撮像位置に向かって層流状態で流れ、圧胴11の回転に伴って、図示しない咥え爪で把持された枚葉印刷物aをその先頭部から後部に向かって圧胴11の周面上に密着させる。
【0033】
第二のエアノズル29は、図1及び図2に示すように、そのエア吐出孔17aが圧胴11の一つの母線に平行に伸び、かつ、圧胴11の表面に対する吹き付け角度θ2が60°±3°になるように配置される。また、この第二のエアノズル29は、そのエア吐出孔17aが、枚葉印刷物aの搬送方向に見て上記ニップ部よりも上流側で圧胴11の周面に対峙し、かつ、圧胴11の表面から20mm程度離れるように配置される。
【0034】
これにより、エア吐出孔17aから噴き出たエアは、圧胴11の回転に伴い、圧胴11上の枚葉印刷物aにその先頭部から後部へと層流状態で当たり、枚葉印刷物aと圧胴11の表面との間の空気層を枚葉印刷物aの後端側から押出す。その結果、ブランケット胴10が胴抜き状態にあって、枚葉印刷物aが圧胴11上にニップされない場合であっても、枚葉印刷物aは圧胴11の表面から浮き上がったりバタついたりしないように圧胴11の表面に密着させられる。
【0035】
図1に示すように、上記ブロア20a,20bは第一と第二のエアノズル16,29に対して各々用意され接続される。ブロア20a,20bとしては例えばインバータにより変速可能なリングブロアが用いられる。これにより、枚葉印刷物aの用紙としてのサイズ、紙厚、印刷速度等、様々な印刷条件に応じて、第一と第二のエアノズル16,29の各々が吐出する風量を調整することができる。
【0036】
なお、一基のブロアを第一と第二のエアノズル16,29に対して共用することも可能である。その場合は、ブロアから第一と第二のエアノズル16,29の各々に至る管路に流量調整弁を設けることで、印刷条件に応じて、第一と第二のエアノズル16,29の各々が吐出する風量を調整することが可能になる。
【0037】
上記第一のエアノズル16及びブロア20aは、他の胴であるブランケット胴10が胴入れ状態及び胴抜き状態のいずれにあっても圧胴11上の枚葉印刷物aに対してエアを吹き付けるように操作され、上記第二のエアノズル29及びブロア20bは、上記他の胴であるブランケット胴10が少なくとも胴抜き状態にあるとき圧胴11上の枚葉印刷物aに対してエアを吹き付けるように操作される。上記第二のエアノズル29に給気するブロア20bは、最終印刷ユニット7においても印刷を行うべくブランケット胴10が胴入れされる場合は、停止させてもよい。しかし、その場合にも作動させて第二のエアノズル29からエアを枚葉印刷物aに吹き付けるようにしても支障はない。
【0038】
照明装置17は、図1に示すように、圧胴11上の枚葉印刷物aでの反射光が、デリバリ部8と圧胴11との間に設置されたステップ15の下を通るように配置される。また、上記第一のエアノズルから噴き出すエアによって枚葉印刷物aが圧胴11の周面に押し付けられ、密着させられる位置に照明光が当たるように配置される。この枚葉印刷物aが圧胴11の周面に密着する箇所では印刷画像も圧胴11に対して静止するので、印刷画像が歪むことなくカメラ27によって撮像されることになる。
【0039】
照明装置21は、具体的にはLEDや蛍光灯等の光源で構成され、圧胴11の上記母線に沿って伸びるように設けられる。この照明装置21からの照明光が圧胴11上の撮像位置において枚葉印刷物aの印刷面で反射し、この反射光が、ステップ15の下を通って反射鏡22に至る。
【0040】
上記ステップ15と上記デリバリ部8のカバー8aとの境界部の裏側には、上記反射光を上記デリバリ部8のカバー8aの裏側へと指向させる反射鏡22が配置される。反射鏡22は、照明装置21と同様に圧胴11の軸方向に平行に細長く伸びた板鏡として構成される。
【0041】
反射鏡22としては、検査精度を高めるため望ましくはガラス板の表面に金属を蒸着してなる表面鏡が用いられる。ガラス板が薄い場合は、裏面鏡を用いることも可能である。
【0042】
反射鏡22は、図5に示すように、望ましくは保護部材23で覆われる。保護部材23は、箱型のケースとして構成され、上記ステップ15下を通る反射光が入る箇所と、反射鏡22で反射してカメラ27に向かって出る箇所は透明ガラス等で出来た透明板23a、23bで各々遮蔽される。このように反射鏡22が保護部材23によって覆われることにより、パウダー吹き付け装置14によって噴射され、デリバリ部8の近傍で浮遊するパウダーが反射鏡22に付着しないようにすることができる。
【0043】
なお、図1に示すように、ステップ15における上記デリバリ部8のカバー8aに接する箇所には、反射光を通すスリット24が形成されているが、このスリット24を閉じて、反射鏡22及び保護部材23をステップ下に配置し、反射光の光路がステップ15上を全く通らないようにすることも可能である。
【0044】
カメラ27は、デリバリ部8のカバー8aの裏側を通って来る上記反射光を受光するようにデリバリ部8のカバー8aの上部に配置される。カメラ27は、具体的にはラインセンサカメラである。ラインセンサカメラは、印刷品質の検査に必要な解像度に応じて枚葉印刷物aの幅方向(枚葉印刷物の搬送方向に直角な方向)に複数台配置してもよい。
【0045】
上記反射鏡22からデリバリ部8のカバー8aの裏側を通ってカメラ27に至る反射光の光路は、図4に示すような光ダクト25で覆われる。光ダクト25の始端側は上記保護部材23の透明板23bを覆い、終端側はカメラ27のレンズ側へと収束しつつ伸びている。これにより、反射鏡22からカメラ27に至る光路を上記パウダー吹き付け装置14から噴射され飛散したパウダーが横切ることによる検査精度の低下が防止される。
【0046】
なお、飛散したパウダーやインキミストが反射光の光路を横切り、画像に写りこんでしまうことを避けるため、ステップ15下の光路も光ダクト26で覆うようにしてもよい。
【0047】
印刷良否判定装置19は、上記カメラ27により撮像された枚葉印刷物aの印刷画像を図示しない検査処理部に転送して、パターンマッチングにより良否判定を行うためのものである。この装置は公知のものであるから詳細な説明は省略する。
【0048】
次に、上記構成の枚葉印刷物検査装置の作用について説明する。
【0049】
(1)枚葉印刷機により一色又は多色印刷された枚葉紙等の枚葉印刷物aは、図1に示すように、最終印刷ユニット7の圧胴11上において印刷品質の良否が検査される。
【0050】
(2)最終印刷ユニットにおける印刷が省略され、そのブランケット胴10が胴抜きされている場合は、第一と第二のエアノズル16,29の双方のブロア20a,20bが稼働状態とされ、各エアノズル16,29にエアが送られる。
【0051】
そして、第二のエアノズル29のエア吐出孔17aから噴き出たエアは、層流状態で圧胴11上の枚葉印刷物aに当たり、圧胴11の回転に伴って枚葉印刷物aと圧胴11の表面との間の空気層を枚葉印刷物aの後端側から押出す。その結果、枚葉印刷物aがブランケット胴10によって圧胴11上にニップされない場合であっても、枚葉印刷物aは圧胴11の周面上に浮き上がったりバタついたりしないように密着させられ、特に撮像位置での枚葉印刷物aの圧胴11上への浮き上がりが好適に防止される。
【0052】
続いて、枚葉印刷物aの後部が第二のエアノズル29の下方を通過すると、枚葉印刷物aの剛性や遠心力により、枚葉印刷物aの後部が圧胴11の表面から浮き上がろうとするが、第一のエアノズル16のエア吐出孔17aから噴き出たエアが枚葉印刷物aを撮像位置において圧胴11の周面に密着させる。すなわち、上述のごとくこの時すでに第二のエアノズル29によって枚葉印刷物aと圧胴11の表面との間の空気層が枚葉印刷物aの後端側から押出されているので、枚葉印刷物aは第一のエアノズル16からのエアのみによっても撮像位置において圧胴11の表面に適正に密着せしめられる。
【0053】
(3)圧胴11の周面における枚葉印刷物aに対する撮像位置には、照明装置21から光が照射され、その反射光がステップ15下を通り反射鏡22に向かう。
【0054】
(4)上記反射光は反射鏡22で反射した後、光ダクト25を通ってカメラ27に至る。カメラ27は反射光を受光することによって枚葉印刷物aの印刷画像を撮像し、印刷良否判定装置19に転送する。
【0055】
なお、反射光が反射鏡22からカメラ27に至る光路が光ダクト25によって覆われていることから、パウダー吹き付け装置14から噴出したパウダーの光路内への侵入が防止される。
【0056】
(5)印刷良否判定装置19はカメラ27から送られる画像情報をパターンマッチングによって検査し、印刷品質の適否を判断する。
【0057】
印刷良否判定装置によって不良品と判断された場合は、例えばデリバリ部8の枚葉印刷物aの積み重ね部において該当する枚葉印刷物に、テープ貼り機によってテープが貼着されることにより表示される。
【0058】
(6)最終印刷ユニット7においても印刷を行うべく、そのブランケット胴10が胴入れされている場合は、圧胴11上の枚葉印刷物aは第一のエアノズル16からのエア吹き付け位置ブランケット胴10によるニップ部との二か所で圧胴11の表面に押圧され、撮像に支障を来すような枚葉印刷物aの浮き上がりやバタつきは生じないので、第二のエアノズル29からのエアの吐出は停止してもよい。しかし、必要に応じて第二のエアノズル29からもエアを枚葉印刷物aに吹き付けるようにしても支障はない。
【0059】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
7…最終印刷ユニット
10…ブランケット胴
11…圧胴
16…第一のエアノズル
19…印刷良否判定装置
21…照明装置
27…カメラ
29…第二のエアノズル
a…枚葉印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉印刷機の最終印刷ユニットにおける圧胴の周面に枚葉印刷物を押し付けるエア吹き付け手段と、エア吹き付け手段により圧胴の周面に押し付けられた枚葉印刷物に光を照射する照明手段と、照明手段により照明された枚葉印刷物の画像を撮像するカメラと、カメラにより撮像した画像から印刷の良否を判定する印刷良否判定手段とを具備した枚葉印刷物検査装置において、上記エア吹き付け手段は、上記圧胴が他の胴と共に枚葉印刷物を押圧するニップ部を中心にして、枚葉印刷物の搬送方向に見てこのニップ部よりも下流側に第一のエアノズルを有し、上記ニップ部よりも上流側には第二のエアノズルを有し、上記第一のエアノズルからは、上記他の胴が胴入れ状態及び胴抜き状態のいずれにあっても圧胴上の枚葉印刷物に対してエアを吹き付け、上記第二のエアノズルからは、上記他の胴が少なくとも胴抜き状態にあるときに圧胴上の枚葉印刷物に対してエアを吹き付けるようにしたことを特徴とする枚葉印刷物検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の枚葉印刷物検査装置において、上記第一のエアノズルが上記圧胴上の撮像位置に対向するように配置され、その圧胴表面に対するエア吹き付け角度θ1が50°±3°とされたことを特徴とする枚葉印刷物検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の枚葉印刷物検査装置において、上記第二のエアノズルは、その圧胴表面に対するエア吹き付け角度θ2が60°±3°となるように配置されたことを特徴とする枚葉印刷物検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate