説明

果実の着色促進剤およびその適用方法

【課題】植物成長調節剤などの化学物質を用いることなく、食味・食感を損なうことなく果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できる着色促進剤測およびその適用方法の提供。
【解決手段】メチオニンを必須成分として含有する果実の着色促進剤であって、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できることを特徴とする果実の着色促進剤により課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は果実の着色促進剤およびその適用方法に関するものであり、さらに詳しくは植物、特に果樹、果菜類の果実の着色を向上させることができる果実の着色促進剤およびその適用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
果実の着色度合いは果実の品質の一つとして果実の市場価値を決定するうえで極めて重要な性質である。さらに、近年果実市場において有利販売を目的として光センサーが普及している。これは品質が悪い果実を流通させないことを差別化材料としているわけだが、栽培農家にとっては合格品の割合により大きな収益差が生まれるため果実の着色を促進させることは重要な問題である。
【0003】
果実の着色促進剤としては、油性カロチンを水溶性にしてアミノ酸類、核酸、ビタミン類、オーキシン、サイトカイニン(カイネチン)、オリゴ糖などを混合する事により、カイネチン、オーキシン、アミノ酸類の相乗効果及び生理作用によって、果実の着色を促進する着色促進剤をはじめ、いくつかの着色促進剤が提案されている。
具体的には、例えばカイネチン、オーキシン、アミノ酸類の相乗効果及び生理作用を利用した着色促進剤の利用が提案されている(特許文献1)。
また、5−アミノレブリン酸を利用した着色促進剤が提案されている(特許文献2)。さらに、植物成長調節剤を利用した着色促進剤としてコリン類と2−メチル−4−クロロフェノキシ酪酸類を有効成分とした着色促進剤が提案されている(特許文献3)。
【0004】
一方、近年の温暖化によりブドウ、ミカンなどにおいて果実の着色不良の問題が年々大きくなってきている。そのため、栽培農家にとって果実の着色を促進させることは重要な問題である。従って更なる有効な果実の着色促進剤の提案は、今後の環境変化を考えた上でも非常に重要である。
【特許文献1】特開平06−125655号公報
【特許文献2】特開平06−141681号公報
【特許文献3】特開平08−003003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、メチオニンを利用することにより果実の着色を促進することに関する記載はない。
着色促進に最も有効な手法として植物成長調節剤の利用が考えられるが、近年食の安全性に対する意識の高まりから減農薬、減化学肥料が推進され植物成長調節剤も論外ではない。そこで植物成長調節剤を使用しないで、果実の着色促進を達成できる着色促進剤やその適用方法が求められている。
本発明の第1の目的は果樹や果菜類の果実の着色度合いがその商品価値を左右する極めて重要なファクターである点に鑑み、食味・食感を損なうことなく特にその着色促進を主たる肥効とする果実の着色促進剤を提供することであり、
本発明の第2の目的は、そのような果実の着色促進剤を植物に適用する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の請求項1の果実の着色促進剤は、メチオニンを必須成分として含有する果実の着色促進剤であって、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2の果実の着色促進剤は、請求項1記載の着色促進剤において、さらに、肥料成分、微量要素成分およびキレート剤から選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3の果実の着色促進剤は、請求項1あるいは請求項2記載の着色促進剤において、使用に際して、水で希釈してメチオニンが着色促進剤全体に対して10〜200ppm(質量)含有したことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の着色促進剤を果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるようにすることを特徴とする果実の着色促進剤の適用方法である。
【0010】
本発明の請求項5の発明は、請求項4記載の適用方法において、果実収穫前の30日から果実収穫前の1日の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の果実の着色促進剤は、メチオニンを必須成分として含有する果実の着色促進剤であって、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できることを特徴とするものであり、
本発明の果実の着色促進剤を用いて、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適量を散布して適用することにより、植物成長調節剤などの化学物質を用いることなく、食味・食感を損なうことなくメチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるという顕著な効果を奏する。
【0012】
本発明の請求項2の果実の着色促進剤は、請求項1記載の着色促進剤において、さらに、肥料成分、微量要素成分およびキレート剤から選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とするものであり、
メチオニンとともに肥料成分や微量要素成分などと混用することにより、果実の着色促進効果と肥料効果および微量要素成分効果の両面を兼ね備えた施用を行うことができ、それにより植物全体の栄養成分を高めることができ、また、キレート剤を混用することにより、さらに、製剤の沈殿や変質を防ぐことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0013】
本発明の請求項3の果実の着色促進剤は、請求項1あるいは請求項2記載の着色促進剤において、使用に際して、水で希釈してメチオニンが着色促進剤全体に対して10〜200ppm(質量)含有したことを特徴とするものであり、
植物に害を与えることなく、より確実に果実の着色促進効果を向上できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の着色促進剤を果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるようにすることを特徴とする果実の着色促進剤の適用方法であり、
葉面散布剤として用いると取り扱いが容易となり、また植物への適用が容易となる上、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適量を散布して適用することにより、植物成長調節剤などの化学物質を用いることなく、食味・食感を損なうことなくメチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるという顕著な効果を奏する。
【0015】
本発明の請求項5の発明は、請求項4記載の適用方法において、果実収穫前の30日から果実収穫前の1日の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるようにすることを特徴とするものであり、
果実の着色を確実に促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を容易に収穫できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の内容を詳細に説明する。
本発明は、前記のようにメチオニンを含有する資材を果実収穫前の特定の期間内に、好ましくは果実収穫前の30日から果実収穫前の1日の期間内に植物に適量を葉面散布することにより、食味・食感を損なうことなく果実の着色を促進することができるという新しい機能を有することを初めて見いだしたことに基づいて成されたものである。
なお、果樹、果菜類の果実の市場価値を決定するうえで重要な性質である果実の着色とは、果実の外皮の着色が多いが、例えばスイカなどの場合のように中身の着色の場合もある。
本発明の着色促進剤は、果実の外皮の着色を促進することができるが、スイカなどの場合も含め、果実の外皮とともに中身の着色を促進することができる。
【0017】
果実収穫前の特定の期間内に植物に葉面散布することにより、果実の着色を促進する作用機作の解明はできていない。
しかし、植物に例えば水分ストレス、塩類ストレス、低温ストレスなどのストレスを与えると、ストレスを植物が感じた際に種子および/または果実などを早く成熟させることが知られている。
本発明の果実の着色促進剤の必須有効成分であるメチオニンは、植物にある種のストレスを与えるので、このストレスを植物が感じた際に果実を早く成熟させるために、果実の着色を促進すると考えられる。
【0018】
本発明においては、果実収穫前の特定の期間内に植物に適量を葉面散布するが、好ましくは果実収穫前の30日から果実収穫前の1日の期間内に植物に適量を葉面散布する。
前記特定の期間外に植物に適量を葉面散布しても果実の着色を促進させる効果がないか、あるいは少なく、果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できない。
【0019】
葉面散布は葉の表裏のどちらでもよいが、葉の裏には多数の気孔があるため裏葉の表よりも裏の方が吸収が良いため、主として葉の裏面に散布することが好ましくより効果的である。
【0020】
本発明で用いるメチオニンは水溶性を有するメチオニン含有物であれば特に限定されるものではない。
本発明で用いるメチオニンとしては、具体的には、例えばメチオニンを含むトウモロコシの硫酸による分解物、鰹からの抽出物、食品加工中の副産物など魚、牛、植物などの有機物の抽出物を挙げることができる。
これらの有機物の抽出物は安定的に容易に入手でき、かつ安価であり、製剤化も容易で利用しやすく安全な資材であるので本発明において好ましく使用できる。
【0021】
本発明においては、果実の着色促進剤に、植物の栄養に有効とされる硝酸塩などの窒素源、燐酸源、カリ源、苦土源などの多量肥料成分の他に、マンガン、ホウ素、亜鉛、鉄、銅、モリブデンなど微量要素成分などとの混用も必要に応じて適宜行うことができる。
メチオニンとともに前記多量肥料成分や微量要素成分などと混用することにより、果樹や果菜類など果実の収穫前に着色促進効果と肥料効果の両面を兼ね備えた施用を行うことができ、それにより植物全体の栄養成分を高め、より確実に果実の着色を促進することができる。
【0022】
本発明の果実の着色促進剤には、さらに、製剤の沈殿や変質を防ぐためにエチレンジアミン四酢酸・四ナトリウムなどのキレート剤を必要に応じて、適宜加えることができる。
さらに、製剤を植物の葉に展着、浸透させ、吸収しやすくするために、糖や界面活性剤を必要に応じて、適宜加えることができる。
また、製剤の腐敗を抑制するための防腐剤を必要に応じて、適宜加えることができる。
【0023】
本発明の果実の着色促進剤は、着色促進の向上および適用のし易さの観点から、植物の地上部、特に葉面に散布する。
その濃度は、使用に際して、水で希釈してメチオニン濃度が果実の着色促進剤全体に対して10〜200ppm(質量)、好ましくは15〜100ppm(質量)になるように調整して、植物に葉面散布することが好ましい。
10ppm未満であると果実の着色促進効果が出ない恐れがあり、200ppmを越えると植物に害を与える恐れがあるので好ましくない。
【0024】
本発明の果実の着色促進剤を果実収穫前の特定の期間内に植物に適量を葉面散布するが、使用回数は特に限定されない。しかし、例えば果菜類の果実収穫前の特定の期間内に1回以上、好ましくは3回以上使用できる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお以下の実施例および比較例に記載の%、ppmは、質量%、質量ppmをそれぞれ示す。
【0026】
(実施例1)
(本発明の果実の着色促進剤の調製)
メチオニンを0.5%になるように水溶液を作り、この水溶液を腐りにくくするために防腐剤を適量加え、本発明の果実の着色促進剤1を作成した。
【0027】
このようにして調整した果実の着色促進剤1を300倍に希釈(メチオニン濃度は16ppm)した水溶液を、ミニトマト(品種はココ)に果実収穫前の30日から果実収穫前の10日の期間内に3回葉面散布した。ミニトマトはガラスハウス内で栽培しミニトマトの果実を採集し、色彩色差計CR-400(コニカミノルタセンシング株式会社製)により下記の色差測定方法を用いてミニトマト外皮の色差を測定した。
そして測定した結果は、明度をL*値(小さくなるほど濃い)、色度をa*値(大きくなるほど赤い)により示した。
食味・食感は収穫した果実を食してもらい官能試験により評価した。官能試験の結果は平均で示し、○(食味・食感に優れ、美味しい)、△(食味・食感に優れるがやや劣る)、×(食味・食感に劣る)により表した。
結果を表1に示す。
【0028】
(色差測定方法)
試料は、色彩色差計CR-400(コニカミノルタセンシング株式会社製)を使用しL***表色系により測定した。国際照明委員会が制定した表色系としてXYZ表色系とL***表色系があるが、現在あらゆる分野で最もポピュラーに使用されているL***表色系を用いた。
【0029】
(比較例1)
本発明の着色促進剤1を葉面散布しないミニトマトを実施例1と同様にして色差を測定した。その結果を表1に示す。
【0030】
表1に示したように、本発明の果実の着色促進剤1を用いた場合、比較例1の無散布に比べ、食味・食感を損なうことなく着色が促進され、果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できたことがわかる。
【0031】
(実施例2)
(本発明の果実の着色促進剤の調製)
メチオニンを0.5%、窒素全量を2.1%、水溶性りん酸をP25として2.0%、水溶性加里をK2Oとして4.0%、マグネシウムをMgOとして4.0%、銅をCuとして0.13%、鉄をFeとして0.13%、マンガンをMnOとして0.10、ホウ素をB23 として0.5%になるように水溶液を作り、この水溶液を安定させるためにエチレンジアミン四酢酸・四ナトリウムを適量加え、さらに腐りにくくするために防腐剤を適量加え、本発明の果実の着色促進剤2を作成した。
【0032】
このようにして調整した果実の着色促進剤2を300倍に希釈(メチオニン濃度は16ppm)した水溶液を、ミカン(品種は宮川早生)に果実収穫前の30日から果実収穫前の10日の期間内に3回葉面散布した。ミカンは露地で栽培しミカンの果実を採集し、色彩色差計CR-400(コニカミノルタセンシング株式会社製)によりミカン外皮の色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例2)
本発明の着色促進剤2を葉面散布しないミカンを実施例2と同様にして色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0034】
表1に示したように、本発明の果実の着色促進剤2を用いた場合、比較例2の無散布に比べ、食味・食感を損なうことなく着色が促進され、果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できたことがわかる。
【0035】
(実施例3)
実施例2で作成した本発明の果実の着色促進剤2を300倍に希釈(メチオニン濃度は16ppm)した水溶液を、モモ(品種は川中島白桃)に果実収穫前の30日から果実収穫前の10日の期間内に3回葉面散布した。
モモは露地で栽培しモモの果実を採集し、色彩色差計CR-400(コニカミノルタセンシング株式会社製)によりモモ外皮の色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0036】
(比較例3)
本発明の着色促進剤2を葉面散布しないモモを実施例3と同様にして色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
表1に示したように、本発明の果実の着色促進剤2を用いた場合、比較例3の無散布に比べ、食味・食感を損なうことなく着色が促進され、果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できたことがわかる。
【0038】
(実施例4)
実施例2で作成した本発明の果実の着色促進剤2を300倍に希釈(メチオニン濃度は16ppm)した水溶液を、リンゴ(品種はふじ)に果実収穫前の30日から果実収穫前の10日の期間内に3回葉面散布した。リンゴは露地で栽培しリンゴの果実を採集し、色彩色差計CR-400(コニカミノルタセンシング株式会社製)によりリンゴ外皮の色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0039】
(比較例4)
本発明の着色促進剤2を葉面散布しないリンゴを実施例4と同様にして色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0040】
表1に示したように、本発明の果実の着色促進剤2を用いた場合、比較例4の無散布に比べ、食味・食感を損なうことなく着色が促進され、果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できたことがわかる。
【0041】
(実施例5)
実施例2で作成した本発明の果実の着色促進剤2を300倍に希釈(メチオニン濃度は16ppm)した水溶液を、スイカ(品種は肥後ロマン)に果実収穫前の30日から果実収穫前の10日の期間内に3日間隔で3回葉面散布した。スイカはハウスで栽培しスイカの果実を採集し、色彩色差計CR-400(コニカミノルタセンシング株式会社製)によりスイカ中身の色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0042】
(比較例5)
本発明の着色促進剤2を葉面散布しないスイカを実施例5と同様にして色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0043】
表1に示したように、本発明の果実の着色促進剤2を用いた場合、比較例5の無散布に比べ、食味・食感を損なうことなく着色が促進され、果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できたことがわかる。
【0044】
(実施例6)
実施例2で作成した本発明の果実の着色促進剤2を300倍に希釈(メチオニン濃度は16ppm)した水溶液を、ミカン(品種は青島)に果実収穫前の60日から果実収穫前の30日の期間内に3回葉面散布した。ミカンは露地で栽培し、ミカンの果実を採集し、色彩色差計CR-400(コニカミノルタセンシング株式会社製)によりミカン外皮の色差を測定した。また食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
(比較例6)
本発明の着色促進剤2を葉面散布しないミカンを実施例6と同様にして色差を測定した。食味・食感を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0046】
表1に示したように、本発明の果実の着色促進剤2を用いた場合、果実収穫前の60日から果実収穫前の30日の期間内に葉面散布しても、比較例6の無散布に比べ、着色が促進されず、食味・食感もやや劣ることが判る。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の果実の着色促進剤を用いて、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適量を散布して適用することにより、植物成長調節剤などの化学物質を用いることなく、食味・食感を損なうことなくメチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるという顕著な効果を奏する。
本発明の着色促進剤を葉面散布剤として用いると取り扱いが容易となり、また植物への適用が容易となる上、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適量を散布して適用することにより、植物成長調節剤などの化学物質を用いることなく、食味・食感を損なうことなくメチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるという顕著な効果を奏する。
以上のような顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチオニンを必須成分として含有する果実の着色促進剤であって、果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できることを特徴とする果実の着色促進剤。
【請求項2】
さらに、肥料成分、微量要素成分およびキレート剤から選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする請求項1記載の着色促進剤。
【請求項3】
使用に際して、水で希釈してメチオニンが着色促進剤全体に対して10〜200ppm(質量)含有したことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の着色促進剤。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の着色促進剤を果実収穫前の特定の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるようにすることを特徴とする果実の着色促進剤の適用方法。
【請求項5】
果実収穫前の30日から果実収穫前の1日の期間内に植物の葉面に適用して前記メチオニンにより果実の着色を促進させ果実本来の着色度合いを有する果実を収穫できるようにすることを特徴とする請求項4記載の適用方法。

【公開番号】特開2007−259714(P2007−259714A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85654(P2006−85654)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(391029495)エーザイ生科研株式会社 (5)
【Fターム(参考)】