柄経糸用部分整経機
【課題】巻取り駆動部(3)と連結された整経ドラム(2)と、前記整経ドラム(2)の軸線と平行に移動可能な少なくとも1つの糸ガイド(6)と、前記整経ドラム(2)に固着された複数のリーズロッド(9)とを有している柄経糸用部分整経機(1)の、確実な整経動作を確保することを目的とする。
【解決手段】上記目的は、前記整経ドラム(2)の周囲での前記リーズロッド(9)の位置を検出するセンサー装置(11)を設けることによって解決される。
【解決手段】上記目的は、前記整経ドラム(2)の周囲での前記リーズロッド(9)の位置を検出するセンサー装置(11)を設けることによって解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り駆動部と連結された整経ドラムと、該整経ドラムの軸線と平行に移動可能な少なくとも1つの糸ガイドと、前記整経ドラムに固着された複数のリーズロッドとを有する柄経糸用部分整経機に関する。
【背景技術】
【0002】
柄経糸用部分整経機は、いわゆる柄経糸または短尺経糸を製造するのに使用される。この目的のために、整経ドラムが回転する。糸ガイド(一般に複数の糸ガイドが同時に設けられる)は、糸を整経ドラムの周囲の周りに案内し、そこで糸は一般に搬送ベルト上に給糸されるか、又は、柄経糸の形成に糸が必要でないときは、その糸を整経ドラムの端面の前に案内し、そこで「芯」上、つまり補助搬送装置上に給糸されるか、のいずれかである。
【0003】
経糸の製造時、つまり柄経糸の製造時にも、一般にいわゆる綾又はサイジング分割を形成しなければならない。このためにリーズロッドが設けられている。整経ドラムの周囲に巻き取られる糸は、リーズロッドによって部分的に半径方向外側、部分的に半径方向内側に案内される。整経ドラムが回転するので、リーズロッドは整経ドラムと一緒に回転しなければならない。この目的のために、リーズロッドは整経ドラムに固着されており、又はいずれにしても相対回転不能に整経ドラムに取着されている。
【0004】
糸をリーズロッドに対して相対的に位置決めすることができる手法は、幾つかある。1つの手法としては、糸が供給される端面に向き合うその末端にリーズロッドが所謂「捕捉フック」を備えていることである。これらの捕捉フックは、リーズロッドの半径方向外側に糸を案内すべき場合に進出し、その他の場合には後退している。別の手法は、リーズロッドの下方へ給糸すべきである場合に当該糸をリーズロッドの先端の脇を通過させ、又はリーズロッド上に直接給糸するために糸ガイドを使用することである。
【0005】
両方の手法において必要となるのは、整経ドラムの回転速度が高くなるときでも、捕捉フックの運動制御または糸ガイドの運動制御を所要の精度で制御できるように、周方向において整経ドラムに対する相対的なリーズロッドの位置を極力正確に知っておくことである。
【0006】
前記柄経糸用部分整経機として、特許文献1に記載されるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−115524号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
経糸の製造(整経)時に、糸切れ(又は類似の意味を有する別の欠陥)が発生すると、整経ドラムは比較的迅速に制動されなければならない。しかし、リーズロッドと整経ドラムに既に巻き取られた経糸は、迅速な制動を妨げる一定の質量を有している。つまり、整経ドラムの迅速な制動時に、リーズロッドが本来の位置から外れ、本来予定された角度位置に位置していないことが生じる場合がある。そのことから、整経ドラムの再始動時に種々の問題を生じる場合がある。なぜならば、その場合、糸はもはや正しくリーズロッドに給糸されなくなるからである。
【0009】
本発明の課題は、柄経糸用部分整経機の確実な整経動作を確保するようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、冒頭に指摘した種類の柄経糸用部分整経機において、整経ドラムの周囲でのリーズロッドの位置を検出するセンサ装置が設けられることによって、解決される。
【0011】
つまり、前記センサ装置は、いずれの角度位置にリーズロッドがそれぞれ配置されているのかを確認する。つまり、センサ装置は、リーズロッドが「正しい」角度位置に配置されているか否か、またはリーズロッドがそれらの予定された角度位置から外れたか否かを確認する。障害時に全てのリーズロッドは必ずしも同様に変位するのではないので、センサ装置は主にリーズロッド毎に個別に位置を確認する。従って、前記センサ装置は、整経ドラムに対する相対的角度位置をリーズロッド毎に判定することができるようになっている。
【0012】
その際、好ましくは、前記センサ装置が整経ドラムの端面に向き合っていることである。こうして、前記センサ装置はリーズロッドの端面も「検知」することができる。この端面は整経時に空状態となっており、つまり、巻き取られる糸で端面が覆い隠されてはならない。そのことから、リーズロッドを検知し且つそれらの位置から離れることがセンサ装置にとって容易となる。
【0013】
選択的に又は付加的に、前記センサー装置が整経ドラムの周面に向き合うようにすることができる。その場合、かかるセンサー装置は、糸層が形成される箇所でリーズロッドの位置を検出する。両方の位置を組合せて、かかるセンサー装置は、リーズロッドを「斜に」検知することもできる。
【0014】
主に、前記センサー装置は、整経ドラムの回転方向において固定的に配置される。つまり、整経ドラムでの全リーズロッドの位置を検出するのに、単一のセンサー装置のみがあればよい。そのことから、信号処理のための費用と支出が低く抑えられる。
【0015】
主として、前記センサー装置が警報装置と接続されていることである。つまり、制動時(または別の障害のゆえに止まる時)、少なくとも1つのリーズロッドがその目標位置から外れたことを前記センサー装置が確認すると、該センサー装置が警報を発することができる。かかる警報装置としては、例えば音響信号または光学信号を発生することができ、操作員は当該リーズロッドを再びその正しい位置に戻すことができる。このため、例えば、リーズロッドを配置しておくべき箇所に整経ドラムに目印を設けておくことができる。
【0016】
選択的又は付加的な1つの構成において、糸ガイドの運動を制御する制御装置と前記センサー装置とを接続し、糸ガイドによって糸を整経ドラム上に巻き取ることができるようにしておくことができる。つまり、糸ガイドは角度偏差を考慮し、案内された糸を正しい角度モーメントで転位させ、リーズロッドに給糸することができる。その場合、リーズロッドの位置補正は必要でなく、または過大な精度は必要でない。この構成は、なかんずく、操業中でも、例えば整経ドラムの迅速な始動時に、リーズロッドの角度位置の変化が生じ得るときに、利点を有する。
【0017】
主として、リーズロッドはセンサー装置によって検出可能な目印を有することである。つまり、このような目印は、センサー装置に特別に適合するように形成しておくことができる。例えば、光学受信器によって比較的容易に検知することのできる発光ダイオード又は別の光源を、リーズロッドに配置しておくことができる。目印は、前記センサー装置から送くられる信号に、調整された特別な反射特性を有するようにすることもできる。その場合、前記センサー装置は、もはやリーズロッド自体を検知する必要がなく、目印の検知に限定できるので、センサー装置は比較的単純に構成することができる。
【0018】
主として、前記センサー装置はアクティブセンサー装置として形成される。つまり、前記センサー装置は、例えば1つの送信器と1つの受信器とを有する。かかる送信器はリーズロッドまたはこれに結合された要素によって反射することのできる信号を送出し、一方、前記受信器はこの信号を検出することができる。かかるアクティブセンサー装置は、多くの場合比較的高い感度に形成することができ、こうしてリーズロッドの位置は高い精度で検出することができる。
【0019】
主として、前記センサー装置は光源又は超音波源を有するものであってよい。かかる光源は、例えばレーザ光源として形成しておくことができる。このような信号源でもって、整経ドラムの周囲におけるリーズロッドの位置を、非接触式に判定することができる。
【0020】
選択的にまたは付加的に、前記センサー装置は画像生成装置を有するものであってよい。このような画像生成装置は、例えば、特定時点に整経ドラム端面部分の画像を生成するカメラを有する。このような画像において、リーズロッドが目標位置にあるか否か又はその位置を外れたか否かを確認することができる。後者の場合、外れた度合も判定することができる。
【0021】
主として、前記センサー装置は、整経ドラム上の糸の巻き着け高さを検出するものであってよい。その場合、かかるセンサー装置は付加的に、整経ドラム上に形成される糸層の構造について判断をするのに使用することができる。例えば、実際の巻き着け高さを検知できるとき、生成する糸層の端面に所望する円錐角度が生じるように糸送りを制御することができる。こうして部分整経に類似した操業を実現することができる。
【0022】
前記センサー装置が駆動装置と接続されており、この駆動装置でもって少なくとも1つのリーズロッドが整経ドラムの軸線に対して半径方向で変位可能であることも、有利な構成となる。その場合、このリーズロッドの位置は比較的正確に最大巻き着け高さに適合させることができる。これにより、一方で糸層そのものを収容するためにリーズロッドの半径方向下方において十分なスペースが利用可能であることを確認することができる。他方で、糸層の外周囲に比較的密着させてリーズロッドを位置決めすることができ、浪費される糸材料が比較的少なくなり、過剰に大きな自由糸列がリーズロッドを介して案内されることはない。
【0023】
主に、前記リーズロッドは複数の軸線方向位置で半径方向保持腕を介して整経ドラムと結合されており、1つのリーズロッドと1つの保持腕との間の結合は脱離可能であり、保持腕はリーズロッドから離反移動可能であるようにすることである。糸は、端面領域で整経ドラムの周囲に巻き取られる。糸は、搬送ベルト又は別の移動可能な搬送面によって、整経ドラムの軸線と平行に端面から離反移動する。こうして新たな糸巻層用のスペースが端面に形成される。これは、所望する経糸幅に達するまで繰り返される。リーズロッドは、可能なあらゆる経糸幅に適していなければならないので、基本的に整経ドラムの軸線方向長さにわたって連続していなければならない。そのために、整経過程の開始時に、整経ドラムの全長にわたっても半径方向でリーズロッドを保持するような構成であると有意義な構成となる。ところで、経糸が一定幅に達したなら、端面の最も近くにあるリーズロッド・整経ドラム間の結合が解消され、保持腕が半径方向内方に移動し、かかる保持腕がさらなる経糸送りの邪魔となることはない。その場合、リーズロッドは経糸によって半径方向で遠心力に抗して保持される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】柄経糸用部分整経機の要部の概略の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面と合せて好ましい実施例に基づいて本発明を説明する。
【0026】
図1に示すように、柄経糸用部分整経機1は整経ドラム2を有し、この整経ドラム2は図に略示した巻取り駆動部3と結合されている。かかる巻取り駆動部3は、巻取り時に前記整経ドラム2を図に示す矢印4の方向に回転させることができる。
【0027】
図示しないが、ボビンクリール内に多数のボビンが配置されている。この実施例では128個までのボビンをクリール内に配置しておくことができる。
【0028】
糸は各ボビンから引き出され、糸ガイド6の糸ガイド穴5に通される。すべての糸ガイド6が一体になって、糸変位ユニット7を形成している。
【0029】
前記糸ガイド6は、前記糸ガイド穴5が軸線方向において整経ドラム2上に案内されるように、動かすことができる。かかる糸ガイド穴5によって案内された糸は、搬送ベルト8上に給糸され、複数の搬送ベルト8によって形成する搬送面は整経ドラム2の軸線と平行に端面から離反するように移動し、この端面に前記糸変位ユニット7が配置されている。整経ドラム2の周囲に給糸すべきでない場合、当該糸ガイド穴5は整経ドラム2の端面の前方へと動かされる。柄経糸製造用に必要とされない糸は中央紐(図示せず)に巻き取られる。
【0030】
いわゆる「綾」又は「サイジング分割」を形成するために、リーズロッド9が整経ドラム2上に設けられており、これらのリーズロッド9は隣り合う搬送ベルト8間に配置されている。各リーズロッド9は前記糸変位ユニット7に向き合うその端に先端10を有し、この先端10は実質的に半径方向外側を向いている。かかる先端10はここで運動不能にリーズロッド9に配置されている。
【0031】
半径方向外側でリーズロッド9上に給糸すべき場合、前記糸ガイド穴5は、糸変位ユニット7から離れた先端側で糸がリーズロッド9に載置されるように、軸線方向に移動させられる。しかし、前記リーズロッド9の半径方向下方で給糸すべき場合、前記糸ガイド穴5は当該リーズロッド9がその脇を通過する瞬間に端面の方に移動し、糸が先端10によって把持されることはない。リーズロッド9の通過後、糸ガイド穴5が再び元の位置に戻され、巻取り(整経)工程をさらに進めることができる。
【0032】
しかしながら、このような運動を制御するには、糸ガイド穴5の運動を制御する、詳しくは図示しない制御装置が、整経ドラム2の周囲におけるリーズロッド9の角度位置を検知する必要がある。その場合にのみ、巻き付けられるべきでないリーズロッド9が糸ガイド穴5の脇を通過する時点で、正確に糸ガイド穴5を軸線方向で後退・進出させることが可能となる。
【0033】
整経ドラム2が初めて始動する前に、これらの位置は制御装置に知らせることができる。しかしながら、整経ドラム2に対するリーズロッド9の角度位置について、変化する状況が現れることがある。このような事例は、例えば、糸切れ発生時の整経ドラム2の突然な制動である。その場合、損傷した糸が経糸に紛れ込むことのないように、整経ドラム2を迅速に停止させることが望まれる。
【0034】
しかし、このような突然の制動時に、既に巻き取られた経糸の質量に起因する慣性力と、リーズロッド9の質量に起因する慣性力とが存在するため、該リーズロッド9が整経ドラム2の周方向で多少ずれてしまうおそれがある。その場合、糸の修理(または別の障害の除去)後に、柄経糸用部分整経機1を再び始動させると、リーズロッド9の実際の角度位置が所定の角度位置ともはや一致せず、糸ガイド穴5の運動は所望する結果をもたらさない。当該糸は、もはや所望どおりにはリーズロッド9に給糸されず、柄経糸は欠陥を伴うことになる。
この問題を取り除くために、この発明にかかる実施例では、センサー装置11が設けられており、このセンサー装置11は整経ドラム2の端面の前方に配置されており、前記先端10を備えたリーズロッド9が配置されている箇所で整経ドラム2の端面を「検出」する。
【0035】
それゆえに、整経ドラム2の周囲におけるリーズロッド9の位置を連続的に確定することが、前記センサー装置11によって可能である。その際、かかるセンサー装置11は固定的に保持されている。即ち、センサー装置11は整経ドラム2と一緒に回転するのではなく、例えば、機枠12に取着しておく。
【0036】
前記センサー装置11は、最も単純な事例では、リーズロッド9の角度位置が変化したか否かを確認するだけであるような構成でよい。単一のリーズロッド9において角度位置の変化が確認されると、このリーズロッド9は警報信号、例えば音響信号または光学信号を発生させることができる。その場合、操作員は整経ドラム2の再始動前にリーズロッド9を再び出発位置に移動させることができる。この出発位置は、例えば、整経ドラム2に目印を付しておくことによって実現でき、この場合、操作員はリーズロッド9を再び目印(図示せず)に一致させるだけでよい。
【0037】
しかし、前記センサー装置11を、糸ガイド6の詳しくは図示しない制御装置と接続しておくこともできる。その場合、かかる制御装置は、糸ガイド6を操作するときリーズロッド9の目標位置と実際位置との間の、該センサー装置11によって検出した偏差を考慮する。
【0038】
前記リーズロッド9の検知を容易にするために、該リーズロッド9はその先端10に目印を備えておくことができる。その場合、前記センサー装置11は目印を検知するだけでよく、もはや、リーズロッド9の先端10自体を検知する必要はない。このような目印は、例えば特別良好な反射特性を有するものであってよい。又は、前記目印は、発光ダイオード、またはセンサー装置11によってその信号を検出することができる別の形態の信号発生器を用いることができる。
【0039】
前記センサー装置11は、主にアクティブセンサー装置であってもよい。換言すると、かかるセンサー装置11は詳しくは図示しない送信器を有し、この送信器は信号、例えば、レーザ光等の光線、または超音波等の音波を整経ドラム2の端面の方向に送信するようなものであってよい。
前記センサー装置11は、さらに、反射光または反射波を受信する受動受信器を有するものであってもよい。前記リーズロッド9の先端10が、整経ドラム2の残りの端面領域とは別の反射特性を有するので、整経ドラム2の周囲でのリーズロッド9の角度位置を完璧に検出することが可能となる。
【0040】
前記センサー装置11は、整経ドラム2上に形成される糸層の巻き着け高さを検出するのに使用することもできる。この巻き着け高さは、所望する円錐角度を有する糸層端面が生じるように、糸送りを制御し、すなわち糸ガイド6の運動を制御するのに使用することができる。このような円錐角度はそれ自体知られており、従ってここでは詳しくは説明しない。
【0041】
前記リーズロッド9を、半径方向で変位可能であるように整経ドラム2に固着しておくこともできる。このため、詳しくは図示しない保持腕が設けられる。各保持腕は、リーズロッド9と着脱可能に取着されている。大きな長さの柄経糸を製造したい場合、巻き着け高さは相応に大きくなり、外側リーズロッドは、生成する糸層の当該部分がこのリーズロッドの下を通過するように整経ドラム2の周囲から相応に大きな距離に配置されねばならない。それに対して、短い長さの柄経糸を巻き付けたい場合、リーズロッドと糸層の外周囲との間の距離が過度に大きくならないように、当該外側リーズロッド9を半径方向でさらに内側に位置決めするのが望ましい。
【0042】
各リーズロッド9は、整経ドラム2の軸線方向の所定長さにわたって位置して、整経ドラム2の複数の位置で保持される。巻き取られた糸を、搬送ベルト9は、糸変位ユニット7に隣接した整経ドラム2の端面から離れた側へと搬送するので、一定時間後に糸層は、リーズロッド9が初めて整経ドラムと結合される領域に、すなわち端面に隣接した結合部に位置する。糸層がこの結合部に達する前に、保持腕とリーズロッド9との間の結合が解消され、保持腕は半径方向内方に動かされ、こうして端面から離反する糸層の、継続した送りを妨げる。
【0043】
その場合、リーズロッド9と整経ドラム2との間の結合は、確かに結合したままの場合ほどに安定していない。しかし、このことは、リーズロッド9の位置をセンサー装置11によって持続的に検出できるので、重要ではない。
【0044】
当然に、センサー装置11は、何らかの手法で整経ドラム2の回転運動と同期化されており、センサー装置11は常に「正しい」瞬間に、リーズロッド9が正しい位置にあるか否かを検出することができる。
【0045】
上記可能性と並んで、センサー装置11は、特定時点に整経ドラム2の端面部分の画像を生成する画像生成装置として形成しておくこともできる。その場合、この画像内にリーズロッド9の先端10の目標位置がある。かかるリーズロッド9の先端10が目標位置にない場合、そのことを検知できるだけでなく、目標位置と実際位置との間の偏差がいかなる大きさであるのかも検知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる柄経糸用部分整経機は、いわゆる柄経糸または短尺経糸等を製造するのに使用される。
【符号の説明】
【0047】
1…柄経糸用部分整経機
2…整経ドラム
3…巻取り駆動部
9…リーズロッド
11…センサー装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り駆動部と連結された整経ドラムと、該整経ドラムの軸線と平行に移動可能な少なくとも1つの糸ガイドと、前記整経ドラムに固着された複数のリーズロッドとを有する柄経糸用部分整経機に関する。
【背景技術】
【0002】
柄経糸用部分整経機は、いわゆる柄経糸または短尺経糸を製造するのに使用される。この目的のために、整経ドラムが回転する。糸ガイド(一般に複数の糸ガイドが同時に設けられる)は、糸を整経ドラムの周囲の周りに案内し、そこで糸は一般に搬送ベルト上に給糸されるか、又は、柄経糸の形成に糸が必要でないときは、その糸を整経ドラムの端面の前に案内し、そこで「芯」上、つまり補助搬送装置上に給糸されるか、のいずれかである。
【0003】
経糸の製造時、つまり柄経糸の製造時にも、一般にいわゆる綾又はサイジング分割を形成しなければならない。このためにリーズロッドが設けられている。整経ドラムの周囲に巻き取られる糸は、リーズロッドによって部分的に半径方向外側、部分的に半径方向内側に案内される。整経ドラムが回転するので、リーズロッドは整経ドラムと一緒に回転しなければならない。この目的のために、リーズロッドは整経ドラムに固着されており、又はいずれにしても相対回転不能に整経ドラムに取着されている。
【0004】
糸をリーズロッドに対して相対的に位置決めすることができる手法は、幾つかある。1つの手法としては、糸が供給される端面に向き合うその末端にリーズロッドが所謂「捕捉フック」を備えていることである。これらの捕捉フックは、リーズロッドの半径方向外側に糸を案内すべき場合に進出し、その他の場合には後退している。別の手法は、リーズロッドの下方へ給糸すべきである場合に当該糸をリーズロッドの先端の脇を通過させ、又はリーズロッド上に直接給糸するために糸ガイドを使用することである。
【0005】
両方の手法において必要となるのは、整経ドラムの回転速度が高くなるときでも、捕捉フックの運動制御または糸ガイドの運動制御を所要の精度で制御できるように、周方向において整経ドラムに対する相対的なリーズロッドの位置を極力正確に知っておくことである。
【0006】
前記柄経糸用部分整経機として、特許文献1に記載されるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−115524号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
経糸の製造(整経)時に、糸切れ(又は類似の意味を有する別の欠陥)が発生すると、整経ドラムは比較的迅速に制動されなければならない。しかし、リーズロッドと整経ドラムに既に巻き取られた経糸は、迅速な制動を妨げる一定の質量を有している。つまり、整経ドラムの迅速な制動時に、リーズロッドが本来の位置から外れ、本来予定された角度位置に位置していないことが生じる場合がある。そのことから、整経ドラムの再始動時に種々の問題を生じる場合がある。なぜならば、その場合、糸はもはや正しくリーズロッドに給糸されなくなるからである。
【0009】
本発明の課題は、柄経糸用部分整経機の確実な整経動作を確保するようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、冒頭に指摘した種類の柄経糸用部分整経機において、整経ドラムの周囲でのリーズロッドの位置を検出するセンサ装置が設けられることによって、解決される。
【0011】
つまり、前記センサ装置は、いずれの角度位置にリーズロッドがそれぞれ配置されているのかを確認する。つまり、センサ装置は、リーズロッドが「正しい」角度位置に配置されているか否か、またはリーズロッドがそれらの予定された角度位置から外れたか否かを確認する。障害時に全てのリーズロッドは必ずしも同様に変位するのではないので、センサ装置は主にリーズロッド毎に個別に位置を確認する。従って、前記センサ装置は、整経ドラムに対する相対的角度位置をリーズロッド毎に判定することができるようになっている。
【0012】
その際、好ましくは、前記センサ装置が整経ドラムの端面に向き合っていることである。こうして、前記センサ装置はリーズロッドの端面も「検知」することができる。この端面は整経時に空状態となっており、つまり、巻き取られる糸で端面が覆い隠されてはならない。そのことから、リーズロッドを検知し且つそれらの位置から離れることがセンサ装置にとって容易となる。
【0013】
選択的に又は付加的に、前記センサー装置が整経ドラムの周面に向き合うようにすることができる。その場合、かかるセンサー装置は、糸層が形成される箇所でリーズロッドの位置を検出する。両方の位置を組合せて、かかるセンサー装置は、リーズロッドを「斜に」検知することもできる。
【0014】
主に、前記センサー装置は、整経ドラムの回転方向において固定的に配置される。つまり、整経ドラムでの全リーズロッドの位置を検出するのに、単一のセンサー装置のみがあればよい。そのことから、信号処理のための費用と支出が低く抑えられる。
【0015】
主として、前記センサー装置が警報装置と接続されていることである。つまり、制動時(または別の障害のゆえに止まる時)、少なくとも1つのリーズロッドがその目標位置から外れたことを前記センサー装置が確認すると、該センサー装置が警報を発することができる。かかる警報装置としては、例えば音響信号または光学信号を発生することができ、操作員は当該リーズロッドを再びその正しい位置に戻すことができる。このため、例えば、リーズロッドを配置しておくべき箇所に整経ドラムに目印を設けておくことができる。
【0016】
選択的又は付加的な1つの構成において、糸ガイドの運動を制御する制御装置と前記センサー装置とを接続し、糸ガイドによって糸を整経ドラム上に巻き取ることができるようにしておくことができる。つまり、糸ガイドは角度偏差を考慮し、案内された糸を正しい角度モーメントで転位させ、リーズロッドに給糸することができる。その場合、リーズロッドの位置補正は必要でなく、または過大な精度は必要でない。この構成は、なかんずく、操業中でも、例えば整経ドラムの迅速な始動時に、リーズロッドの角度位置の変化が生じ得るときに、利点を有する。
【0017】
主として、リーズロッドはセンサー装置によって検出可能な目印を有することである。つまり、このような目印は、センサー装置に特別に適合するように形成しておくことができる。例えば、光学受信器によって比較的容易に検知することのできる発光ダイオード又は別の光源を、リーズロッドに配置しておくことができる。目印は、前記センサー装置から送くられる信号に、調整された特別な反射特性を有するようにすることもできる。その場合、前記センサー装置は、もはやリーズロッド自体を検知する必要がなく、目印の検知に限定できるので、センサー装置は比較的単純に構成することができる。
【0018】
主として、前記センサー装置はアクティブセンサー装置として形成される。つまり、前記センサー装置は、例えば1つの送信器と1つの受信器とを有する。かかる送信器はリーズロッドまたはこれに結合された要素によって反射することのできる信号を送出し、一方、前記受信器はこの信号を検出することができる。かかるアクティブセンサー装置は、多くの場合比較的高い感度に形成することができ、こうしてリーズロッドの位置は高い精度で検出することができる。
【0019】
主として、前記センサー装置は光源又は超音波源を有するものであってよい。かかる光源は、例えばレーザ光源として形成しておくことができる。このような信号源でもって、整経ドラムの周囲におけるリーズロッドの位置を、非接触式に判定することができる。
【0020】
選択的にまたは付加的に、前記センサー装置は画像生成装置を有するものであってよい。このような画像生成装置は、例えば、特定時点に整経ドラム端面部分の画像を生成するカメラを有する。このような画像において、リーズロッドが目標位置にあるか否か又はその位置を外れたか否かを確認することができる。後者の場合、外れた度合も判定することができる。
【0021】
主として、前記センサー装置は、整経ドラム上の糸の巻き着け高さを検出するものであってよい。その場合、かかるセンサー装置は付加的に、整経ドラム上に形成される糸層の構造について判断をするのに使用することができる。例えば、実際の巻き着け高さを検知できるとき、生成する糸層の端面に所望する円錐角度が生じるように糸送りを制御することができる。こうして部分整経に類似した操業を実現することができる。
【0022】
前記センサー装置が駆動装置と接続されており、この駆動装置でもって少なくとも1つのリーズロッドが整経ドラムの軸線に対して半径方向で変位可能であることも、有利な構成となる。その場合、このリーズロッドの位置は比較的正確に最大巻き着け高さに適合させることができる。これにより、一方で糸層そのものを収容するためにリーズロッドの半径方向下方において十分なスペースが利用可能であることを確認することができる。他方で、糸層の外周囲に比較的密着させてリーズロッドを位置決めすることができ、浪費される糸材料が比較的少なくなり、過剰に大きな自由糸列がリーズロッドを介して案内されることはない。
【0023】
主に、前記リーズロッドは複数の軸線方向位置で半径方向保持腕を介して整経ドラムと結合されており、1つのリーズロッドと1つの保持腕との間の結合は脱離可能であり、保持腕はリーズロッドから離反移動可能であるようにすることである。糸は、端面領域で整経ドラムの周囲に巻き取られる。糸は、搬送ベルト又は別の移動可能な搬送面によって、整経ドラムの軸線と平行に端面から離反移動する。こうして新たな糸巻層用のスペースが端面に形成される。これは、所望する経糸幅に達するまで繰り返される。リーズロッドは、可能なあらゆる経糸幅に適していなければならないので、基本的に整経ドラムの軸線方向長さにわたって連続していなければならない。そのために、整経過程の開始時に、整経ドラムの全長にわたっても半径方向でリーズロッドを保持するような構成であると有意義な構成となる。ところで、経糸が一定幅に達したなら、端面の最も近くにあるリーズロッド・整経ドラム間の結合が解消され、保持腕が半径方向内方に移動し、かかる保持腕がさらなる経糸送りの邪魔となることはない。その場合、リーズロッドは経糸によって半径方向で遠心力に抗して保持される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】柄経糸用部分整経機の要部の概略の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面と合せて好ましい実施例に基づいて本発明を説明する。
【0026】
図1に示すように、柄経糸用部分整経機1は整経ドラム2を有し、この整経ドラム2は図に略示した巻取り駆動部3と結合されている。かかる巻取り駆動部3は、巻取り時に前記整経ドラム2を図に示す矢印4の方向に回転させることができる。
【0027】
図示しないが、ボビンクリール内に多数のボビンが配置されている。この実施例では128個までのボビンをクリール内に配置しておくことができる。
【0028】
糸は各ボビンから引き出され、糸ガイド6の糸ガイド穴5に通される。すべての糸ガイド6が一体になって、糸変位ユニット7を形成している。
【0029】
前記糸ガイド6は、前記糸ガイド穴5が軸線方向において整経ドラム2上に案内されるように、動かすことができる。かかる糸ガイド穴5によって案内された糸は、搬送ベルト8上に給糸され、複数の搬送ベルト8によって形成する搬送面は整経ドラム2の軸線と平行に端面から離反するように移動し、この端面に前記糸変位ユニット7が配置されている。整経ドラム2の周囲に給糸すべきでない場合、当該糸ガイド穴5は整経ドラム2の端面の前方へと動かされる。柄経糸製造用に必要とされない糸は中央紐(図示せず)に巻き取られる。
【0030】
いわゆる「綾」又は「サイジング分割」を形成するために、リーズロッド9が整経ドラム2上に設けられており、これらのリーズロッド9は隣り合う搬送ベルト8間に配置されている。各リーズロッド9は前記糸変位ユニット7に向き合うその端に先端10を有し、この先端10は実質的に半径方向外側を向いている。かかる先端10はここで運動不能にリーズロッド9に配置されている。
【0031】
半径方向外側でリーズロッド9上に給糸すべき場合、前記糸ガイド穴5は、糸変位ユニット7から離れた先端側で糸がリーズロッド9に載置されるように、軸線方向に移動させられる。しかし、前記リーズロッド9の半径方向下方で給糸すべき場合、前記糸ガイド穴5は当該リーズロッド9がその脇を通過する瞬間に端面の方に移動し、糸が先端10によって把持されることはない。リーズロッド9の通過後、糸ガイド穴5が再び元の位置に戻され、巻取り(整経)工程をさらに進めることができる。
【0032】
しかしながら、このような運動を制御するには、糸ガイド穴5の運動を制御する、詳しくは図示しない制御装置が、整経ドラム2の周囲におけるリーズロッド9の角度位置を検知する必要がある。その場合にのみ、巻き付けられるべきでないリーズロッド9が糸ガイド穴5の脇を通過する時点で、正確に糸ガイド穴5を軸線方向で後退・進出させることが可能となる。
【0033】
整経ドラム2が初めて始動する前に、これらの位置は制御装置に知らせることができる。しかしながら、整経ドラム2に対するリーズロッド9の角度位置について、変化する状況が現れることがある。このような事例は、例えば、糸切れ発生時の整経ドラム2の突然な制動である。その場合、損傷した糸が経糸に紛れ込むことのないように、整経ドラム2を迅速に停止させることが望まれる。
【0034】
しかし、このような突然の制動時に、既に巻き取られた経糸の質量に起因する慣性力と、リーズロッド9の質量に起因する慣性力とが存在するため、該リーズロッド9が整経ドラム2の周方向で多少ずれてしまうおそれがある。その場合、糸の修理(または別の障害の除去)後に、柄経糸用部分整経機1を再び始動させると、リーズロッド9の実際の角度位置が所定の角度位置ともはや一致せず、糸ガイド穴5の運動は所望する結果をもたらさない。当該糸は、もはや所望どおりにはリーズロッド9に給糸されず、柄経糸は欠陥を伴うことになる。
この問題を取り除くために、この発明にかかる実施例では、センサー装置11が設けられており、このセンサー装置11は整経ドラム2の端面の前方に配置されており、前記先端10を備えたリーズロッド9が配置されている箇所で整経ドラム2の端面を「検出」する。
【0035】
それゆえに、整経ドラム2の周囲におけるリーズロッド9の位置を連続的に確定することが、前記センサー装置11によって可能である。その際、かかるセンサー装置11は固定的に保持されている。即ち、センサー装置11は整経ドラム2と一緒に回転するのではなく、例えば、機枠12に取着しておく。
【0036】
前記センサー装置11は、最も単純な事例では、リーズロッド9の角度位置が変化したか否かを確認するだけであるような構成でよい。単一のリーズロッド9において角度位置の変化が確認されると、このリーズロッド9は警報信号、例えば音響信号または光学信号を発生させることができる。その場合、操作員は整経ドラム2の再始動前にリーズロッド9を再び出発位置に移動させることができる。この出発位置は、例えば、整経ドラム2に目印を付しておくことによって実現でき、この場合、操作員はリーズロッド9を再び目印(図示せず)に一致させるだけでよい。
【0037】
しかし、前記センサー装置11を、糸ガイド6の詳しくは図示しない制御装置と接続しておくこともできる。その場合、かかる制御装置は、糸ガイド6を操作するときリーズロッド9の目標位置と実際位置との間の、該センサー装置11によって検出した偏差を考慮する。
【0038】
前記リーズロッド9の検知を容易にするために、該リーズロッド9はその先端10に目印を備えておくことができる。その場合、前記センサー装置11は目印を検知するだけでよく、もはや、リーズロッド9の先端10自体を検知する必要はない。このような目印は、例えば特別良好な反射特性を有するものであってよい。又は、前記目印は、発光ダイオード、またはセンサー装置11によってその信号を検出することができる別の形態の信号発生器を用いることができる。
【0039】
前記センサー装置11は、主にアクティブセンサー装置であってもよい。換言すると、かかるセンサー装置11は詳しくは図示しない送信器を有し、この送信器は信号、例えば、レーザ光等の光線、または超音波等の音波を整経ドラム2の端面の方向に送信するようなものであってよい。
前記センサー装置11は、さらに、反射光または反射波を受信する受動受信器を有するものであってもよい。前記リーズロッド9の先端10が、整経ドラム2の残りの端面領域とは別の反射特性を有するので、整経ドラム2の周囲でのリーズロッド9の角度位置を完璧に検出することが可能となる。
【0040】
前記センサー装置11は、整経ドラム2上に形成される糸層の巻き着け高さを検出するのに使用することもできる。この巻き着け高さは、所望する円錐角度を有する糸層端面が生じるように、糸送りを制御し、すなわち糸ガイド6の運動を制御するのに使用することができる。このような円錐角度はそれ自体知られており、従ってここでは詳しくは説明しない。
【0041】
前記リーズロッド9を、半径方向で変位可能であるように整経ドラム2に固着しておくこともできる。このため、詳しくは図示しない保持腕が設けられる。各保持腕は、リーズロッド9と着脱可能に取着されている。大きな長さの柄経糸を製造したい場合、巻き着け高さは相応に大きくなり、外側リーズロッドは、生成する糸層の当該部分がこのリーズロッドの下を通過するように整経ドラム2の周囲から相応に大きな距離に配置されねばならない。それに対して、短い長さの柄経糸を巻き付けたい場合、リーズロッドと糸層の外周囲との間の距離が過度に大きくならないように、当該外側リーズロッド9を半径方向でさらに内側に位置決めするのが望ましい。
【0042】
各リーズロッド9は、整経ドラム2の軸線方向の所定長さにわたって位置して、整経ドラム2の複数の位置で保持される。巻き取られた糸を、搬送ベルト9は、糸変位ユニット7に隣接した整経ドラム2の端面から離れた側へと搬送するので、一定時間後に糸層は、リーズロッド9が初めて整経ドラムと結合される領域に、すなわち端面に隣接した結合部に位置する。糸層がこの結合部に達する前に、保持腕とリーズロッド9との間の結合が解消され、保持腕は半径方向内方に動かされ、こうして端面から離反する糸層の、継続した送りを妨げる。
【0043】
その場合、リーズロッド9と整経ドラム2との間の結合は、確かに結合したままの場合ほどに安定していない。しかし、このことは、リーズロッド9の位置をセンサー装置11によって持続的に検出できるので、重要ではない。
【0044】
当然に、センサー装置11は、何らかの手法で整経ドラム2の回転運動と同期化されており、センサー装置11は常に「正しい」瞬間に、リーズロッド9が正しい位置にあるか否かを検出することができる。
【0045】
上記可能性と並んで、センサー装置11は、特定時点に整経ドラム2の端面部分の画像を生成する画像生成装置として形成しておくこともできる。その場合、この画像内にリーズロッド9の先端10の目標位置がある。かかるリーズロッド9の先端10が目標位置にない場合、そのことを検知できるだけでなく、目標位置と実際位置との間の偏差がいかなる大きさであるのかも検知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる柄経糸用部分整経機は、いわゆる柄経糸または短尺経糸等を製造するのに使用される。
【符号の説明】
【0047】
1…柄経糸用部分整経機
2…整経ドラム
3…巻取り駆動部
9…リーズロッド
11…センサー装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り駆動部(3)と連結された整経ドラム(2)と、該整経ドラム(2)の軸線と平行に移動可能な少なくとも1つの糸ガイド(6)と、該整経ドラム(2)に固着された複数のリーズロッド(9)とを有する柄経糸用部分整経機(1)において、
前記整経ドラム(2)の周囲における前記リーズロッド(9)の位置を検出するセンサー装置(11)が設けられていることを特徴とする柄経糸用部分整経機。
【請求項2】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)の端面に向き合って設けられていることを特徴とする請求項1記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項3】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)の周面に向き合って設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項4】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)の回転方向(4)において固定的に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項5】
前記センサー装置(11)が警報装置と接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項6】
前記センサー装置(11)が前記糸ガイド(6)の運動を制御する制御装置と接続されており、前記糸ガイドによって糸を前記整経ドラム(2)上に巻き取ることができることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項7】
前記リーズロッド(9)が、前記センサー装置(11)によって検出可能な、目印を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項8】
前記センサー装置(11)がアクティブセンサー装置として形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項9】
前記センサー装置(11)が光源または超音波源を検出するものであることを特徴とする請求項8記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項10】
前記センサー装置(11)が画像生成装置を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項11】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)上の糸の巻き着け高さを検出するものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項12】
前記センサー装置(11)が駆動装置と接続されており、前記駆動装置によって少なくとも1つの前記リーズロッド(9)が前記整経ドラム(2)の軸線に対して半径方向で変位可能であることを特徴とする請求項11記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項13】
前記リーズロッド(9)が複数の軸線方向の位置で半径方向保持腕を介して前記整経ドラム(2)と連結されており、1つの前記リーズロッド(9)と1つの前記保持腕との間の結合が着脱可能であり、前記保持腕が前記リーズロッド(9)から離れる方向へ移動可能であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項1】
巻取り駆動部(3)と連結された整経ドラム(2)と、該整経ドラム(2)の軸線と平行に移動可能な少なくとも1つの糸ガイド(6)と、該整経ドラム(2)に固着された複数のリーズロッド(9)とを有する柄経糸用部分整経機(1)において、
前記整経ドラム(2)の周囲における前記リーズロッド(9)の位置を検出するセンサー装置(11)が設けられていることを特徴とする柄経糸用部分整経機。
【請求項2】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)の端面に向き合って設けられていることを特徴とする請求項1記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項3】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)の周面に向き合って設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項4】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)の回転方向(4)において固定的に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項5】
前記センサー装置(11)が警報装置と接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項6】
前記センサー装置(11)が前記糸ガイド(6)の運動を制御する制御装置と接続されており、前記糸ガイドによって糸を前記整経ドラム(2)上に巻き取ることができることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項7】
前記リーズロッド(9)が、前記センサー装置(11)によって検出可能な、目印を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項8】
前記センサー装置(11)がアクティブセンサー装置として形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項9】
前記センサー装置(11)が光源または超音波源を検出するものであることを特徴とする請求項8記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項10】
前記センサー装置(11)が画像生成装置を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項11】
前記センサー装置(11)が前記整経ドラム(2)上の糸の巻き着け高さを検出するものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項12】
前記センサー装置(11)が駆動装置と接続されており、前記駆動装置によって少なくとも1つの前記リーズロッド(9)が前記整経ドラム(2)の軸線に対して半径方向で変位可能であることを特徴とする請求項11記載の柄経糸用部分整経機。
【請求項13】
前記リーズロッド(9)が複数の軸線方向の位置で半径方向保持腕を介して前記整経ドラム(2)と連結されており、1つの前記リーズロッド(9)と1つの前記保持腕との間の結合が着脱可能であり、前記保持腕が前記リーズロッド(9)から離れる方向へ移動可能であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1の項に記載の柄経糸用部分整経機。
【図1】
【公開番号】特開2013−11044(P2013−11044A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244840(P2011−244840)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(591008465)カール マイヤー テクスティルマシーネンファブリーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフツング (45)
【氏名又は名称原語表記】KARL MAYER TEXTILMASCHINENFABRIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(591008465)カール マイヤー テクスティルマシーネンファブリーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフツング (45)
【氏名又は名称原語表記】KARL MAYER TEXTILMASCHINENFABRIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】
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