説明

染料担持粒子の製造のための噴霧乾燥プロセス

本発明の第1の態様によると、プロセスは、非晶質のケイ質封入剤により封入された1種以上の染料の均質分布を含む、非晶質粒子の調製のために提供され、該プロセスは、
(a)封入剤の前駆体を液体形態で提供すること、
(b)前記1種以上の染料を液体形態で提供すること、
(c)前記液体形態を混合すること、
(d)混合物をエアゾール化して、前記1種以上の染料及び封入剤を含む液滴を形成すること、並びに
(e)前記液滴を加熱して、ケイ質封入剤により封入された前記1種以上の染料を含む粒子を形成すること、を含み、
提供された液体形態の少なくとも1種は水性であり、前記水性液体形態又は各水性液体形態は酸性である。
本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様のプロセスにより作製される封入された染料が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入された染料の調製プロセス、及び該プロセスにより作製される封入された染料に関する。
【背景技術】
【0002】
染料の提供は、多数の技術分野において、例えば、ほんの数例を挙げれば化粧品、パーソナルケア及び健康組成物、洗剤組成物の調製において、並びに印刷技術などにおいて、鍵である。
【0003】
これらの分野での使用のために染料を組み込む粒子は、国際特許公開WO−A−2004/081222号に記載されている。上記文書は、周知のゾル−ゲル法を使用して封入された染料を製造するプロセスを記載し、これはコア/シェル構造(染料のコアがシリカのような材料のシェルで囲まれている)を生じさせるエマルション技術である。当該技術分野の粒子の更なる例は、米国特許出願第2005/0276774号及び同第2005/0265938号に見出され、これはそれぞれ分散技術及びミセル形成によるこのような粒子の製造を記載している。しかし、これらの文献に記載のプロセスにより作製される粒子は、染料漏れを示すことが多く、これは明らかに望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許公開WO−A−2004/081222号
【特許文献2】米国特許出願第2005/0276774号
【特許文献3】米国特許出願第2005/0265938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、それらの寿命を通して粒子からの染料の漏れがほとんど〜全くない粒子をもたらす、染料の封入のための新しく有効なプロセスの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によると、プロセスは、非晶質のケイ質封入剤により封入された1種以上の染料の均質分布を含む、非晶質粒子の調製のために提供され、該プロセスは、
(a)封入剤の前駆体を液体形態で提供すること、
(b)前記1種以上の染料を液体形態で提供すること、
(c)前記液体形態を混合すること、
(d)混合物をエアゾール化して、前記1種以上の染料及び封入剤を含む液滴を形成すること、並びに
(e)前記液滴を加熱して、ケイ質封入剤により封入された前記1種以上の染料を含む粒子を形成すること、を含み、
提供された液体形態の少なくとも1種は水性であり、前記水性液体形態又は各水性液体形態は酸性である。
【0007】
本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様のプロセスにより作製される封入された染料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、以下の図面を参照して説明される。
【図1(a)】粒子内部からミクロトームを用いて切り出され標準樹脂に包埋された切片を、2μmのスケールで、原子間力顕微鏡をタッピングモードで用いて撮影した原子間力顕微鏡(AFM)画像。粒子は、本明細書に定義されるプロセスに従って作製された。
【図1(b)】粒子内部からミクロトームを用いて切り出され標準樹脂に包埋された切片を、500nmのスケールで、原子間力顕微鏡をタッピングモードで用いて撮影した原子間力顕微鏡(AFM)画像。粒子は、本明細書に定義されるプロセスに従って作製された。
【図1(c)】粒子内部からミクロトームを用いて切り出され標準樹脂に包埋された切片を、100nmのスケールで、原子間力顕微鏡をタッピングモードで用いて撮影した原子間力顕微鏡(AFM)画像。粒子は、本明細書に定義されるプロセスに従って作製された。
【図2】本発明のプロセスにおいて使用するのに適した装置の略図。
【図3】図2に示された装置に使用されるノズルの略図。
【図4a】実施例1により作製された、封入された食品、医薬品及び化粧品用黄色5号粒子の粒径分布図。
【図4b】実施例2により作製された、封入されたアシッドレッド27粒子の粒径分布図。
【図4c】実施例3により作製された、封入された食品、医薬品及び化粧品用青色1号粒子の粒径分布図。
【図5】水中のイオン交換されたタートラジンの423nmにおける検量線。
【図6】実施例4Bで得られたタートラジンの漏れ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に記載のない限り、各々の寸法は、記述された値及びその値を周辺の機能的に等価な範囲を意味することを目的とする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0010】
本発明の状況において、用語「封入」は、染料が封入剤によって完全に包囲又は被覆され、それゆえ粒子内に確実に保持されることを意味すると理解される。本明細書で実施例4に記載された方法によって測定したときに、粒子に組み込まれた染料の全量の5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の漏れがもたらされる。
【0011】
本発明に従って作製される粒子と、粒子内に含まれる封入剤との両方が、非晶質である。本発明の状況において、用語「非晶質」は、バルクサンプルでの粉末X線回折(XRD)と、同じバルクサンプルの代表的部分の透過電子顕微鏡法(TEM)との組み合わせによって以下の方法で測定したときに、0.1nm〜50nmの長さで1、2又は3次元に長距離結晶秩序がないことを意味する:
(a)X線回折図形(x-ray diffractogram)において0.37〜0.42nmのd間隔に対応する2つのθ角の間に中心を置く広範なピークが存在し、2θ=5〜10°の半値全幅(FWHM)である;
(b)0.37〜0.42nmで分離している結晶面の間隔に対応するシャープな粉末X線回折のピークが存在しない;
(c)ミクロトームによって作製された試料のTEM画像によって測定したときに、メソ結晶秩序(それぞれの最高次ブラッグピークが2〜50nmの範囲にある−秩序化メソ構造材料の典型)がない;
(d)0.1〜50nmのd間隔に対応する2つのθ角の範囲に多数のシャープなピークが存在しない。
【0012】
この定義は、孔径が2〜50nmで、並進結晶秩序で配列する、MCM−41、MCM−48及びSBA−15のような秩序化メソ多孔性材料を含まない。
【0013】
本発明の状況において、用語「ケイ質(の)」は、当該技術分野において既知の通常の意味を持つ。より具体的には、ケイ質材料は、シリカ又はケイ酸塩に関係するか又はこれらを含有するものである。好ましくは、封入剤はそれ自体がシリカである。ただし、所望により、非晶質シリカ構造内のケイ素部分が、ホウ素、鉛、チタン、スズ、ジルコニウム及び/又はアルミニウムのような他の元素で置換されてもよい。このシリカ枠組みの置換は、シリカ系粒子の特性をその特定の用途に応じて調節するのに有用な場合がある。例えば、ホウ素、鉛、スズ、ジルコニウム及び/又はアルミニウムの付加は、異なる屈折率を生じさせ得る。
【0014】
本発明のプロセスは、非晶質のケイ質封入剤によって封入された1種以上の染料の均質分布を含む非晶質粒子の調製のための噴霧乾燥又はエアゾール法である。
【0015】
このプロセスは、封入剤の前駆体を液体形態で提供する工程を含む。液体形態の封入剤は、溶液、懸濁液又は分散液であってもよく、好ましくは溶液である。液体形態の封入剤は一般的にケイ質封入剤自体の少なくとも1種の供給源又は前駆体を含み、これはエアゾールプロセス中、所望のケイ質封入剤を最終的に提供する。封入剤の供給源は、エアゾール化の間に、重合又は架橋して所望のケイ質封入剤を形成することから、プレポリマーとみなされてもよい。好ましくは、ケイ質前駆体は有機物である。本発明の粒子を形成するためにエアゾールプロセスに使用されてもよい好適な供給源又は前駆体としては、例えばシリカ、ケイ酸塩及びゼオライトの形成に当該技術分野において従来使用されているものすべてが挙げられる。有用なシリカ前駆体の具体例としては、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラプロピルオルトシリケート(TPOS)、テトライソプロピルオルトシリケート(TiPOS)、テトラブチルオルトシリケート(TBOS)、例えばナトリウム又はアンモニウムのようなカチオン類で変性されてケイ酸ナトリウム(水ガラスとしても知られる)又はケイ酸アンモニウムの形態で提供され得るケイ酸が挙げられる。TEOSは、このプロセスの副生成物がエタノール(TMOSの場合のようなメタノールでなく)であるため、安全面から特に好ましいシリカ供給源である。
【0016】
当業者には容易に決定でき、一般的に知られているように、前駆体の重量の約3分の1が粒子に変換される。例えば、シリカ(SiO2)の分子量が60g/モルであり、TEOSの分子量が208g/モルである場合、製造されるシリカの重量は、TEOSの量の60/208又は0.29倍である。TMOSの場合、前記値は0.39である(TMOSの分子量は152g/モルである)。
【0017】
封入剤の前駆体の液体形態が溶液である場合には、溶媒を採用する必要があり、使用される溶媒は出発物質の疎水性に依存する。TEOS、TMOS及びTPOSは疎水性であり、したがって一般に本質的に非水性材料、例えばエタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール及び/又はブタノール、すなわち、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール又はtert−ブタノールのようなアルコール溶液に可溶化される。あるいは、例えばアセトン又は1種以上の他の従来の溶媒の溶液も、用いられてもよい。ケイ酸及びケイ酸塩は親水性であり、そのため水のような親水性溶媒に溶解され得る。使用する溶媒の量は、当業者によって容易に決定でき(実際には、下限は、出発物質の溶解度パラメータによって決定され、上限は実際的なものである)、より多くの溶媒を使用するほど、最終粒子が小さくなり、製造能力が小さくなる。
【0018】
溶媒は非水性であってもよいが、それでも、エアゾール化の前にTEOSのような前駆体をケイ酸に加水分解するために、多少の水が必要である。エアゾール化の前の加水分解は、その後得られる粒子中の孔の数を最小にし、それによって封入染料の漏れを最小にするために、重要である。下記のように、通常、染料の液体形態は水溶液であることが好ましく、通常、この水溶液は、前駆体の加水分解のための水の供給源として作用する。しかし、特に上述のように前駆体が親水性であるならば、水が前駆体の液体形態と共に含まれることも同様にあり得る。水が前駆体の液体形態で存在するならば、水性部分は酸性溶液であることが好ましい。pHは、1を超えて7未満、好ましくは1を超えて4以下、より好ましくは1.5以上及び2.5以下であり、有利にはおよそ2であるが、これはシリカ自体の等電点又はその付近であるからである。前駆体液体形態のpHは、当該技術分野において従来使用されている技術、例えば酸の追加を利用して、所望通りに調節されてもよい。この目的で使用される好ましい酸は、塩酸である。必要なpHの水をシリカ前駆体の溶媒として、又は染料の溶媒として、後述のように導入してもよい。
【0019】
次に本発明の粒子に含まれる染料を検討すると、本発明のプロセスは、1種以上の染料(単数又は複数)の前駆体を液体形態で提供する工程を含む。1種以上の染料(単数又は複数)の液体形態は、溶液、懸濁液又は分散液であってもよく、好ましくは溶液である。
【0020】
多種多様な染料がこの目的に適している。本発明の状況において、用語「染料」は、いかなる染料又は着色剤も指し、これは粒子に導入され、該粒子内にいつまでも保持されることが望ましい。本発明の粒子内に含まれてもよい染料の例としては、これらに限定するものではないが、選択される最終用途に従来使用されている染料又は着色剤が挙げられる。例えば、化粧、健康、パーソナルケア及び洗剤組成物のような用途に使用される染料の好適性は、米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration)(FDA)などの機関及び他の国の同等機関によって管理される。典型的に、本発明での使用に好適な染料は、カチオン性、アニオン性、中性、両性、双性イオン性又は両親媒性であってもよいが、染料分子上の正電荷がケイ質封入剤上の残留負電荷と相互作用してカプセルの材料中の染料の保持を促進することから、カチオン性染料が好ましい。染料は、典型的に、天然染料、すなわち、天然供給源又はその合成同等物由来のもの、アゾ染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、アントラキノン染料、キサンチン(キサンテン)染料、ニトロスルホネート染料、ピレン染料、チオフェン染料、キノリン染料及び誘導体、レーキ類、これらの複合物又は混合物のような従来既知の染料の種類、特にFDAに使用が認可されているものから選択される。好適な染料の例を、以下の表(1及び2)に示し、その一般的な染料の種類を括弧内に示す。
【0021】
【表1−1】

【0022】
【表1−2】

【0023】
【表1−3】

【0024】
【表1−4】

【0025】
【表1−5】

【0026】
【表1−6】

【0027】
【表1−7】

【0028】
【表1−8】

【0029】
【表2】

【0030】
染料は、純粋な形態で使用されてもよく、又は本プロセスへの適性を改善するように適合されてもよい。特に、アニオン基とナトリウムのような一価アルカリ金属対イオンとを含有するいくつかの染料の有効性は、金属イオンをアンモニウム又はテトラメチルアンモニウムのような一価有機対イオンとイオン交換することによって改善され得る。
【0031】
特に好ましい着色剤又は染料としては、キサンテン、トリアリールメタン、アントラセン、及びモノアゾ染料が挙げられる。
【0032】
上述のように、1種以上の染料の液体形態は、好ましくは溶液である。溶液は、従来この分野で使用される1種以上の溶媒中、好ましくは水又はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール若しくはブタノールのようなアルコール、より好ましくはエタノール又は水中で形成される。
【0033】
上述のように、本発明の粒子を形成するためのエアゾールの生成において、液体形態の封入剤及び染料の少なくとも1種は水性であることが望ましい。染料が水性液体の形態で提供されるのが通常好ましいのに対し、ケイ質前駆体は一般的に非水性形態で提供される。反応媒体中の水の存在は、シリカ前駆体の予備加水分解を補佐し、これは次に、その後前駆体が重合して、孔の数が少ない所望の封入剤を形成するのを補佐する。液体形態の染料及び前駆体は、この目的でエアゾールチャンバに入る前に一緒に混合される。
【0034】
非常に好ましくは、染料は水溶液の形態で、好都合には、エタノールを含む水溶液として、提供される。活性物質を塩、例えばナトリウム、アンモニウム又はカリウムのような一般的に使用されるカチオン類と共に形成される塩の形態で提供することによって、又は染料及び溶媒の混合物のpHを調節することによって、また上述のような従来方法によって、選択した溶媒への活性物質の溶解を補佐する必要がある場合がある。
【0035】
本発明のプロセスにおいて採用される1種以上の染料の溶液は、酸性形態である。pHは、1を超えて7未満、好ましくは1を超えて4以下、より好ましくは1.5以上及び2.5以下であり、有利にはおよそ2であるが、これはシリカ自体の等電点又はその付近であるからである。前駆体液体形態のpHは、当該技術分野において従来使用されている技術、例えば酸の追加を利用して、所望通りに調節されてもよい。この目的で使用される好ましい酸は、塩酸である。
【0036】
液体形態の染料に含まれる染料の量は、本発明の粒子において望まれる染料の量に依存し、粒子の所望の用途又は効果によって変化してもよく、また粒子内に含まれるよう選択される染料の種類(単数又は複数)に依存する可能性もある。本発明のプロセスにより作製される粒子は、一般的に、粒子の0超から25重量%まで、好ましくは3重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%、より好ましくは8〜12重量%の染料を含む。これらの範囲は、粒子を作製するために本発明のプロセスで使用される出発物質のパーセンテージにまさに等しいことがわかった。
【0037】
本発明の粒子内に封入される染料の量は当業者によって容易に計算できる。例えば、10%の染料担持を望む場合、どれだけの前駆体が必要かを考えると、上述のように、必要な染料の量の計算は簡単である(例えば、10.4gのTEOSの前駆体溶液及び0.33gの染料から、90%のシリカ(3gのシリカ)と10%の染料(0.33gの染料)とを含むシリカ粒子が得られる)。
【0038】
本発明のプロセスによると、液体形態の封入剤前駆体及び染料は、エアゾール化の前に混合される。混合は、当業者が決定する任意の適切な混合ユニット操作を使用して行うことができる。
【0039】
エアゾール化は、この技術分野における当業者が所望する温度、圧力及び他の条件下で実施されてもよい。しかし、一般的及び好都合には、エアゾール化は、周囲温度及び圧力条件下、すなわち、約18〜25℃の室温、及びほぼ大気圧の圧力にて実施される。ただし、より低い又は高い温度及び圧力が所望により用いられてもよいことが理解されるであろう。加えて、湿度をエアゾール装置から排除することは重要でないが、周囲条件下でのエアゾール装置内の相対湿度(RH)は、従来技術で測定して、典型的に50%未満である。
【0040】
スプレーチャンバ内に形成された液滴は、通常、0超〜約3分までの範囲の滞留時間でチャンバ内に保持される。滞留時間は、得られる粒子の多孔性、及び限られた程度で寸法に影響し得る。例えば、約3〜5μmの平均粒径及び最小の多孔性のためには、約10秒の滞留時間が都合よく用いられ得る。スプレーチャンバ内に存在するとき、封入剤はそれ自体内で架橋し、その結果、中に染料がしっかりと保持された堅牢なケージ様の構造又は網状組織の液滴を形成する。更に、当然、溶媒は蒸発する。典型的に、本発明の粒子は、スプレーチャンバ(3)内に噴霧される液滴の直径の半分の直径を有する。
【0041】
エアゾール化及び付随する液滴形成の後で、液滴は加熱されて、ケイ質封入剤の縮合及び架橋をもたらし、実質的に完全に架橋されたポリマー封入染料粒子が生じる。加熱は、当業者が決定する任意の適切な加熱ユニット操作を使用してもたらされ得る。典型的に、100℃〜300℃の範囲、好ましくは140℃〜260℃の範囲の温度が採用される。
【0042】
任意に、例えば染料のすべてが粒子内にしっかりと封入されていること及び本発明のプロセスの後で粒子の表面に残っていないことを確実とするために、粒子にその後洗浄プロセスを施してもよい。水、アルコール又はアセトンのような従来の洗浄剤又は溶媒をこの目的に使用してもよく、洗浄剤の選択は通常、関連する染料(単数又は複数)の溶解度特性に依存する。
【0043】
好適なエアゾール法は、図2を参照して説明され、そこでは封入剤(1)と染料(2)とが混合され、続いて液体形態で、一般にポンプ(4)を介して、通常は窒素のような不活性ガス、又は例えば従来方法で乾燥された空気であるキャリアガス(5)と共にスプレーチャンバ(3)に導入される。
【0044】
典型的に、図3に示すようなスプレーノズル(6)が本エアゾールプロセスに使用され、それによって染料(2)及び剤(1)が、中央のチューブを通って導入され、キャリアガスがノズルの外側のチューブを通って導入される。この種のノズルは、従来「二流体スプレーノズル」として既知であるが、エアゾールの生成に一般に使用される他のノズル形式が用いられてもよい。二流体ノズルは、キャリアガスの流れが中央の染料及び封入剤の流れを横切る又は切り裂き、それゆえ封入剤及び染料を含む噴霧液滴のより有効な形成を促進することから、好ましい。図3に示す装置は下向きスプレーノズルを例証するが、上向きスプレー装置を含むすべての従来形式のエアゾール装置がエアゾールプロセスに都合よく使用され得ることが理解されるであろう。実際に、いわゆる「スプレーアップ」システムは、例えば、異なる粒径の粒子をスプレーチャンバから直接分画するのに望ましい場合に好まれ得る。
【0045】
液滴はその後従来方法で、例えば、スプレーチャンバからの液滴が中を通過するチューブ(8)の末端部に位置するポンプ(7)によって生じる差圧によって、スプレーチャンバから取り除かれる。一般に、液滴が中を通過するチューブ(8)は、例えばヒーター(9)によって、粒子の乾燥をもたらす温度まで加熱される。通常、およそ140〜260℃の範囲の温度が用いられる。この方法での液滴の加熱は、ケイ質封入剤の濃縮、したがって更なる架橋を促進し、好ましくは最終的にほぼ完全に架橋したポリマー封入染料粒子を形成する。
【0046】
エアゾールプロセスで作製された粒子は一般に、例えば、従来方法で達成されるエアゾール装置からの回収の前又は後のいずれかで、ヒーターのような、当該技術分野においてこれも従来既知の任意の手段によって乾燥される。
【0047】
本発明のプロセスにより作製された粒子の所望の用途及び/又は効果によっては、該粒子がケイ質封入剤及び1種以上の染料だけでなく、別個の無機粒子、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム及びこれらの混合物を、その構造内に含むように、追加的に1種以上の無機粒子を含むことが望ましい場合がある。例えば、酸化チタン及び酸化亜鉛は、追加の日焼け止め効果を提供し得る。このような追加の粒子は、好ましくは約1μm未満、好ましくは100nm未満の質量平均粒径を有する。ケイ質封入剤がシリカに加えて他の無機材料をその構造内に取り入れる場合、それらもそのような材料の従来の供給源の液体形態でエアゾールプロセスに提供されてもよい。例えば、二酸化チタンを含むことが望ましい場合、エタノールのような適切な溶媒に溶解した溶液のテトラエトキシチタネートを含むことが適切であり得る。
【0048】
本発明のプロセスにより作製される粒子に関して、染料分子は、一般的には粒子内で1つを超える領域又は「ポケット」内に存在する。これは、染料対粒子の体積又は重量比を有益に最大にし、それゆえ、所望の最終組成物、例えば化粧、健康、美容若しくは洗剤製品又はインク組成物に最終的に含まれる染料の量を最大にしながら、そのような組成物中の染料粒子の全体的割合を最小にする。粒子内の染料の領域又は「ポケット」の数に関係なく、各々は封入剤によって完全に包囲又は封入され、それゆえその中に確実に保持される。したがって、粒子自体の構造内で、封入剤は連続相又はマトリックスと考えられてもよく、これに対して染料は不連続相内に含まれると考えられてもよい。したがって、「封入剤」はこの効果を得るために使用され得る1種の剤である、ということになる。
【0049】
これに関して、封入剤は、その構造内に架橋を所有する傾向があることから、本質的に高分子であるともみなされてもよい。本発明のプロセスにより作製される粒子は、得られる粒子内に染料が最も有効に保持され、そこから漏れることができないように、できるだけ高度の架橋を有することが好ましい。架橋度は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)又は固体核磁気共鳴分光法(固体NMR)のような標準的技法を用いて観察され得る。理想的には、及び前述のように、本明細書で実施例4に記載された方法によって測定したときに、粒子に組み込まれた染料の全量の5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の漏れがもたらされる。
【0050】
更に、本発明の粒子は、封入剤中に1種以上の染料の均質分布を含む。本発明の状況において、この染料の「均質分布」は、該染料が「分子レベル」で粒子全体に均質に分散されることを意味すると理解される。これは、通常は1つ以上の領域又は「ポケット」に存在する染料が、2nmの範囲又は倍率まで顕微鏡法で見ること又は認識することができないことを意味する。換言すれば、本発明の粒子は、このレベルの顕微鏡倍率で、均質又は単一の材料として見える。これは、図1に示すAFM画像によって例証されるが、これらの画像は粒子内部からミクロトームを用いて切り出され樹脂内に包埋された切片にて、タッピングモードの原子間力顕微鏡で撮影されたものである。この技術によって調査された本発明の粒子は、本明細書の実施例1のものであった。
【0051】
図1(a)〜(c)の左側のAFM画像は、粒子内におけるその高さに関する変化を示すのに対し、図1の右側のAFM画像は、粒子内の位相の変化を示す。画像の各々は、粒子の組成がこの領域範囲にわたって、実際には少なくとも2nmの範囲まで、すなわち「分子レベルで」、本質的に均質であることを示す。図1(a)〜(c)の右側の位相画像は、本質的に粒子試料の硬さの差に基づいて画像を記録している。位相画像から、実際に、粒子が最大倍率画像の解像度限界近くまで均一に非平滑化されていると結論づけてもよい。したがって、中に染料粒子が保持されているいかなる封入剤のケージ又はポケットも、平均直径又は寸法が約2nm未満の範囲になければならない、と結論づけることができる。更に、AFM画像はいかなる染料凝集体の領域も識別せず、該領域は位相画像においてより柔らかく異なる色に見える。したがって、AFMの結果は、染料分子がシリカ網状組織内のポケット又はケージ内に均質に分布されていることを示すように見える。
【0052】
したがって、理論に束縛されるものではないが、粒子の組成上の均質性は、特に図1(a)〜(c)のAFM画像によってよく示されるように、粒子内における染料の保持にとって重要であると思われる。この均質性は、先行技術の粒子では見られなかった。
【0053】
本発明の粒子は、選択された最終用途で該粒子を有用にする体積平均粒径を有する。例えば、粒子が化粧又は美容製剤に使用される場合、粒子が裸眼で認識可能でないことが望ましい。それゆえ、このような粒子は、一般的に約70μm未満の平均粒径を有するであろう。しかし、例えば粒子が洗剤又はその他の製剤に使用される予定の場合、より大きな粒径であってもよい。化粧品用途では、平均粒径は一般に0超〜10μmの範囲であり、好ましくは0超〜5μmの範囲であり、より好ましくは0超〜1μm未満、より一層好ましくは、10nm〜1μm未満である。粒子の平均粒径は、マルバーンサイザー(Malvern Sizer)2000装置を使用する光錯乱、又は走査電子顕微鏡法(SEM)によるような、当該技術分野の標準的技術を用いて測定される。
【0054】
本発明の粒子は、問題の最終用途に適したいかなる形状であってもよい。好ましくは、本発明の粒子は球状であるが、これはそのような粒子が光学的及びレオロジー的特性のような、より予測可能な性質を有し得るからである。化粧品分野において、球状粒子は、玉軸受式の効果を与えることで潤滑剤として作用し得ることから、改善された肌触りももたらし得る。
【0055】
本発明の粒子は、非晶質のケイ質封入剤によって、中に染料を効果的に保持する。本発明は、良好な化学的及び物理的安定性、色堅牢性、並びに着色力、加えて許容可能な環境特性を有する粒子を提供する。染料の漏れが少ないことの当然の結果として、本発明のシリカ封入剤の表面は、組み込まれた染料に関係なく、シリカ自体と類似の特性を有する。それゆえ、粒子は、着色剤を提供する多様な用途で使用されるために、組成物に確実に及び有効に組み込まれることができ、これは、それが組み込まれた組成物からの漏れがほとんど〜全くなく、同時に、当該技術分野の着色剤よりも強固な着色を組成物に提供する。このため、本発明の粒子は、個々の染料が本発明の粒子に確実に保持されることから、以前は達成不可能であった染料の組み合わせを提供するために有効に使用され得る。
【0056】
加えて、本発明の染料粒子は、所望の最終組成物に便利な「取り替えられる(drop-in)」使用のためにバルク着色剤組成物に配合されてもよい。これは、正しく配合された最終組成物を提供するために、現在配合されている最終組成物は、着色剤を含むその個々の構成成分すべてを固有に特別に調整した製剤を通常必要とすることから、特に有利である。それゆえ、本発明の着色剤粒子の使用は、本発明によって製造された染料粒子を所定の割合で含むバルク着色組成物を使用して所望に応じて後に着色されるバルク最終製品組成物の配合を可能にすることによって、この繰返しの、時間のかかる、したがって不経済な「特注」製剤の必要性をなくす。
【0057】
本発明の粒子は、比表面積が0.1m2/g〜25m2/g、好ましくは0.5m2/g〜5m2/g、より好ましくは0.5m2/g〜3.5m2/gである。加えて、本発明の粒子は、比内部気孔体積が0.001〜0.03cm3/g、好ましくは0.001m3/g〜0.011cm3/gである。表面積及び気孔体積は、−196℃又は77Kの温度で窒素を使って窒素多孔度測定法を用いて測定される。試料は、120〜150℃で少なくとも4〜6時間排気して吸着水を孔から除去し、試料サイズは好ましくは0.5g前後である。あるいは、高品質N2等温線データ収集のための標準的手順に従うべきである。気孔体積は、直径50nm未満の内部気孔の累積気孔体積であり、「バレット・ジョイナー・ハレンダ(Barret-Joiner-Halenda)」法を用いて決定される。
【実施例】
【0058】
本発明は、以下の非限定的実施例を参照して、より詳細に説明される。
実施例1:タートラジン(食品、医薬品及び化粧品用黄色5号)担持シリカの調製
タートラジンナトリウム含有シリカを合成する第1工程として、染料(シグマ(Sigma)よりT0388−100G(CAS番号1934−21−0)として市販されている)を、イオン交換樹脂(米国ミシガン州のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Comp.)より市販されているダウエクス(Dowex)50Wx8型)のカラムを用いてイオン交換した。これは、市販のタートラジンの使用が、テトラエチルオルトシリケート/エタノール/塩酸(TEOS/EtOH/HCl)封入剤混合物の凝集を誘発することから、必要であった。
【0059】
カラム調製
カラムに、317gのダウエクス(Dowex)50Wx8を装填して、400mLのベッド体積を得た。
工程1−洗浄:残留するナトリウムカチオンを除去するため、カラムを2.5lの脱イオン水で、pH6にて5〜10分間溶出した。
工程2−再コンディショニング:結合したナトリウムカチオンを除去するため、カラムを、400mLの7%HClを4バッチ通して洗浄した。カラム上のHClの接触時間は45分であった。
工程3−洗浄:工程1と同じ。
工程4−チャージ:工程2と同じであるが、HClの代わりに7%の塩化アンモニウム(NH4Cl)を使用して実施した。
工程5−洗浄:工程1と同じで、その目的は過剰なアンモニウムカチオンを除去することである。
【0060】
染料のイオン交換
タートラジンナトリウムの10%染料溶液を、水及びエタノールの酸性溶液で調製し、カラムを通して溶出した。この溶液を、その後の手順でタートラジン含有シリカの製造に使用した。
【0061】
シリカ及び黄色染料の噴霧
2バッチの着色シリカを、各々10.4gのTEOS、pH1.25前後の5.4gのHCl及び12.0gのエタノールを使用して調製した。前記構成成分を一緒に混合し、該混合物を30分間攪拌放置した。理論的に、このような混合物は、エアゾール化後に3gのシリカを与えるはずである。加えるタートラジン溶液の量の計算は、この理論的なシリカの量に基づく。イオン交換したタートラジン溶液を、続いて、4gのエタノールと混合した。
【0062】
得られた2つの混合物を、続いて1つにブレンドし、pHを、1M HClを用いてpH2.0に調節し、前記ブレンドを更に10分間攪拌放置した。前記ブレンドを、その後、以下のようにしてエアゾール化及び噴霧乾燥した。
【0063】
出発溶液のブレンドを、3mL/分の一定流量で、蠕動ポンプを使用して、スプレー塔の同軸二流体スプレーノズルの中央流出口へとポンプ輸送する。同時に、圧縮空気を、20L/分(STPにて)で、中央流出口の周囲に同軸状に位置する外側環状出口へとポンプ輸送する。中央流出口の直径は1mmであり、外径は1.5mmである。噴霧は、乱流混合物がスプレーチャンバ内に推進されるようなものであり、これは室温で保持された。その後、粒子の架橋及び乾燥を誘発するため、混合物を220℃に加熱した。
【0064】
粒子の洗浄
粒子1gにつき水200mLの量で、以下のようにして粒子を脱イオン水で洗浄した:5gの粒子をプラスチックボトルに入れ、1000mLの水を加えた。前記混合物を、5分間攪拌放置し、その後3500rpmで10分間遠心分離した。その後、沈降物を上澄み液から分離した。
【0065】
小粒子の分離
遠心分離した混合物から得た沈降物を、ビーカー内で1000mLの水と混合し、2日間放置して沈降させた。得られた上澄み液を、続いて、ロールポンプを用いて別のビーカーにポンプ輸送した。上澄みが他のビーカーにポンプ輸送された後、それを3500rpmで20分間遠心分離し、得られた沈降物を標準的な分離技術を用いて液体から分離した。得られた粒子を、続いて、オーブン内で50℃で乾燥した。
【0066】
粒径測定
得られた粒子の粒径を、マルバーンマスターサイザー(Malvern Master Sizer)2000装置を使用して測定したが、これは光錯乱により粒径を測定する。粒径分布を図4aに示す。
d(0.1):0.308μm(粒子の10%が、所与の体積平均値よりも小さい粒径を有する)
d(0.5):0.539μm(粒子の50%が、所与の体積平均値よりも小さい粒径を有する)
d(0.9):0.953μm(粒子の90%が、所与の体積平均値よりも小さい粒径を有する)
【0067】
実施例2:アマランス(アシッドレッド27号)担持シリカの調製
この赤色染料は、水に可溶性であるが、エタノールに不溶性である。ただし、TEOS混合物とブレンドしたときに凝集しなかったため、水溶液のイオン交換(実施例1でタートラジンに実施したような)は不要であった。更に、前記染料はエタノールに不溶性であるが、エアゾール混合物中の水の割合を増大させることによって直接使用することがまだ可能であった。
【0068】
試料の調製
2バッチの着色シリカを、10.4gのTEOS、5.4gのpH2のHCl及び12.0gのエタノールを使用して調製した。前記構成成分を一緒に混合し、該混合物を30分間攪拌放置した。理論的に、前記混合物は、エアゾール化後に3gのシリカを与えるであろう。それゆえ、加えるアマランス溶液(シグマ(Sigma)から入手したものはカタログ番号A1016−100G(CAS番号915−67−3)であった)の量の計算は、このシリカの量に基づいた。これは次の通りであった:0.3gのアマランス粉末プラス10.0gのHCl(pH2)。前記2つの混合物を一緒に混合し、10分間攪拌放置した。前記混合物に、続いて実施例1のように噴霧乾燥、加熱、洗浄、粒子分離及び粒径測定を実施した。粒径結果を図4bに示す。
d(0.1):0.322μm
d(0.5):0.592μm
d(0.9):1.130μm
【0069】
実施例3:エリオグラウシン(食品、医薬品及び化粧品用青色1号)担持シリカの調製 この青色染料は水及びエタノールに可溶性であり、溶液のイオン交換は不要であった。
【0070】
試料の調製
2バッチの着色シリカを、各々10.4gのTEOS、5.4gのHCl(pH2)及び8.0gのエタノールを使用して調製した。前記構成成分を一緒に混合し、該混合物を30分間攪拌放置した。理論的に、前記混合物は、エアゾール化後に3gのシリカを与えるであろう。それゆえ、加えるエリオグラウシン溶液の量の計算は、このシリカの量に基づいた。これは次の通りであった:0.3gのエリオグラウシン粉末(シグマ/アルドリッチ(Sigma/Aldrich)より入手、カタログ番号861146−25G(CAS番号3844−45−9))プラス2.0gのHCl(pH 2)、3gのエタノール中。前記2つの混合物を一緒に混合し、10分間攪拌放置した。前記混合物に、続いて実施例1のように噴霧乾燥、加熱、洗浄、粒子分離及び粒径測定を実施した。粒径結果を、図4cに示す。
d(0.1):0.327μm
d(0.5):0.59μm
d(0.9):1.130μm
【0071】
実施例4:染料放出/漏れ実験
実施例4A
実施例1、2及び3の各々の生成物について、染料担持粒子0.2gを遠心管に入れ、10mLの水/プロパノール(1:1)混合物を加えた。前記遠心管を、2分間振盪し遠心分離した。上澄み液を沈降物から分離し、瓶に回収した。この作業を5回繰り返した。全5回の抽出物からの上澄み液を混合し、UV分光計を用いて分析した。結果を下表(3)に示す。
【0072】
【表3】

【0073】
結果は、水/プロパノール混合物への染料の放出がきわめて低かったことを示す。
【0074】
実施例4B
異なる量の染料を担持したシリカからのタートラジンの漏れを、以下のように調査した。それぞれ1%、5%、10%、12%及び15%のタートラジンを担持した粒子1gを瓶に入れ、100gの水を加えた。前記混合物を3時間攪拌放置し、その後、注射器を用いて各ボトルから5mLの部分を抽出した。この部分を、メンブレンフィルタ(0.45μm)で濾過し、UV−VIS分光光度計で分析した。重量%単位での漏れを、各試料について、図5に示された検量線を参考にして計算した。図は水中のイオン交換されたタートラジンで423nmにおける検量線を示す。
【0075】
結果を以下の表(4)に示す。
【0076】
【表4】

【0077】
これらの結果を図6に示すが、タートラジン担持粒子の場合の染料漏れが、粒子内のタートラジン濃度が12重量%を超えると大幅に増大することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質のケイ質封入剤により封入された1種以上の染料の均質分布を含む、非晶質粒子の調製プロセスであって、
(a)封入剤の前駆体を液体形態で提供すること、
(b)1種以上の染料を液体形態で提供すること、
(c)前記液体形態を混合すること、
(d)混合物をエアゾール化して、前記1種以上の染料及び封入剤を含む液滴を形成すること、並びに
(e)液滴を加熱して、ケイ質封入剤により封入された前記1種以上の染料を含む粒子を形成すること、を含み、
提供された液体形態の少なくとも1種が水性であり、前記水性液体形態又は各水性液体形態が酸性である、プロセス。
【請求項2】
前記ケイ質封入剤の前駆体がシリカの有機供給源であり、好ましくはテトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート、ケイ酸、及び官能化シリカ前駆体から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記シリカの供給源がテトラエチルオルトシリケートである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ケイ質封入剤の前駆体が、溶媒、好ましくはアルコールに溶解されている、請求項2又は3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記染料又は各染料がカチオン性である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記染料又は各染料が、アゾ染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、アントラキノン染料、キサンチン染料、天然染料及び誘導体、レーキ、これらの複合物又は混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記染料又は各染料が酸性水溶液の形態で提供される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記溶液のpHが1〜4、好ましくは1.5〜2.5である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記加熱工程(e)が100℃〜300℃、好ましくは140℃〜260℃の温度で行われる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
(f)工程(e)から得られた前記粒子を洗浄する、追加工程を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項で定義されるプロセスにより得ることができる粒子。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−535929(P2010−535929A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520667(P2010−520667)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053258
【国際公開番号】WO2009/022308
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(501321198)プロクター アンド ギャンブル インターナショナル オペレーションズ エス エー (4)
【Fターム(参考)】