説明

柱上作業台

【課題】
柱上作業をする際に設置される柱上作業台において、作業対象の位置によって任意に柱上作業台を選択・連結でき、また作業員1人でも簡便に取り付けできる連結機構を備えたものを提供する。
【解決手段】
柱上作業台は、柱に取り付けるための柱固定金具200と、足場板300と足場板400から構成される。足場板300と足場板400の連結は係止軸360に係止フック450を引っ掛けて足場板ロック機構440によってロックされる。柱固定金具200と足場板の固定は、固定軸211に係止フック340を引っ掛けて足場板ロック機構350によってロックされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱等の柱上での電力線や通信回線等の敷設作業時の足場となる柱上作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱等の柱上での電力線や通信回線等の敷設作業では、通常高所作業車が使用されるが、高所作業車が使用できない狭溢な場所では柱に足場となる柱上作業台を取り付け作業することも多い。
【0003】
最近では、光ファイバ回線の敷設作業が非常に多くなっている。特に一般家庭への敷設作業や光ファイバ分岐用クロージャ等の新設、既設のクロージャ等からの接続作業では、前記柱上作業台を使用することが多い。通常、クロージャ等を新設する場合の架設位置は電柱端面から70〜80cm離れた位置に架設されることが多いので、作業者は長さ90cmの柱上作業台を所持している。また、クロージャ等を1m以上離して架設しなければいけない場合や、既設のクロージャ等が1m以上離れている場合に備えて90cmの柱上作業台と2mの柱上作業台の2台所持している作業者もいる。これは、2mの柱上作業台は重量が重く取り付けが煩雑になるので、1m以上離れる場合以外は90cmの柱上作業台を使用する方が作業者の負担が減るためである。
【0004】
柱上作業台には特許文献1のように、まず電柱に足場板を取り付けるための取付金具を装着し、取付金具に形成したダルマ形状の取付穴に、足場板にあらかじめねじ込まれたボルトの頭部をダルマ形状の穴のうち大きい穴にまず挿通し、その後ボルトをずらして(足場板をずらして)小さい方の穴に移動し係合する構成となっている。
【0005】
また、特許文献2の柱上作業台では、足場板を取り付けるための取付金具には横断面略L字形の係止部材が設けられており、また、足場板の一端には傾動阻止部材が形成されている。
足場板を取付金具に組み付けるには、足場板を傾動阻止部材側が下になるように斜め下向きにして傾動阻止部材の上端部を、取付金具のL字形係止部材に挿入しながら、踏み台を徐々に倒すことによって、傾動阻止部材の上端が取付金具の係止部材に係合して足場を水平に保持する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平2−83948号公報
【特許文献2】特許第3328413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の柱上作業台は、電柱間に張られているワイヤー等に滑車や金車等を架設して足場板を水平に吊り上げ電柱に固定するのが一般的であり、この場合最低でも2人の作業者が必要となる。
【0008】
ここで、特許文献1の場合、足場板のボルトの挿通・係合まで足場板を水平に保つ必要があるので足場板を吊り上げることが必須であり、作業者の負担が非常に大きい。
【0009】
また、特許文献2の場合も、足場板を斜めにして取付金具の係止部材に挿入しなければならないので、足場板の他端を水平以上に持ち上げなくてはならず、通常は滑車を使用して吊り上げるので、作業者1人で作業することは非常に難しい。
【0010】
さらに、搬送や収納の都合上、作業者は長さの異なる柱上作業台を複数所持していることは少なく、使用頻度の高い長さ90cmのものを所持している。
ところが、電柱端面から作業対象までの位置が1m以上離れることも多々ある。事前に作業対象までの位置が決まっている場合は、その都度事前に2mの柱上作業台を調達・載せ替えすることになるが非常に煩雑となり作業者の負担となっている。
また、場合によっては現場に到着してから作業対象までの位置を1m以上離すことを決定せざるをえないこともある。この場合、2mの柱上作業台を調達するまで作業を開始できないので大幅な作業ロスが生じる。
【0011】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の柱上作業台は、連結可能であって作業対象の位置によって任意に柱上作業台を選択・連結でき、また柱上作業台を作業者1人でも簡便に取り付けできる連結機構を備えたものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る請求項1記載の柱上作業台は、柱上作業をするための足場板と、該足場板を柱に取り付けるため柱に巻き付けて用いる柱固定金具とを備えた柱上作業台において、
前記足場板を長手方向に複数枚連結可能に構成したことを特徴としている。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の柱上作業台において、
足場板の連結可能にする構成は、柱固定金具に取り付けるため足場板の先端部に設けられた係止フックと前方の足場板の後端部に設けられた係止軸に引っ掛けることにより足場板を連結するとともに、各係止フックにはロック機構を備えたことを特徴としている。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の柱上作業台において、
前記足場板は、回動可能に設けられた支持ステーと、該足場板の先端部近傍に所定長さのワイヤ又はチェーンとを有し、足場板が1枚のときは該ワイヤ又はチェーンが前記支持ステーの先端部と連結され支持ステーと足場板の開角が一定以上に開かないようにして、支持ステーの先端部を柱に当接させることで足場板の水平状態を確保し且つ荷重を支えるとともに、支持ステーにはロック機構を備えたことを特徴としている。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の柱上作業台において、
前記足場板が複数枚のときは、後方に連結する足場板の支持ステーは前方の足場板の支持ステーの所定箇所に連結されることを特徴としている。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4に記載の柱上作業台において、
前記柱上作業台は、長手方向の長さがそれぞれ異なる足場板を複数枚連結可能に構成したことを特徴としている。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5に記載の柱上作業台において、
前記柱固定金具の係止軸に略垂直状態の前記足場板の係止フックを引っ掛け、前記係止軸を中心に前記足場板を回動させながら該足場板を水平状態に持ち上げる際に補助するためのラチェット式アシストロッドが足場板の底面に備えられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る柱上作業台は、連結可能となっているため、作業位置に合わせて足場板の長さを変更できる。そのため、作業位置が電柱に近い場合は足場板を連結せずに使用すればよく、重量が軽くなるので取り付け時などの取り回しが簡便になる。
また足場板が連結可能なので、足場板1台の長さが短くて済み、作業車等への積載が簡便になる。
【0019】
足場板の連結は、取り付け作業前に予め必要長さ分の足場板を連結してから柱固定金具に取り付けても良いし、取り付け後に更に足場板を追加して連結することも可能なので、作業変更等にも容易に対応できる。
【0020】
また、柱固定金具と足場板の取り付けは、予め電柱等の所定位置に柱固定金具を取り付け、柱固定金具に足場板に設けられた係止フックを略垂直状態のまま掛けるだけで良いので、従来の柱上作業台のように、足場板を水平に保ちつつボルト穴の位置決めをしてボルトを締め込む作業が不要なので、工具を使用しないで簡単に取り付け作業が行える。
【0021】
ここで、足場板の係止フックには外れ防止のためのロック機構が備えられている。そのため、係止フックを柱固定金具に掛けた後にロック機構によりロックすれば、取り付け後、作業者が手を離しても不意に係止フックが外れて足場板が落下することがないため非常に安全である。
また、当然のことながら、足場板同士の連結でもロック機構が備えられているため安全である。
【0022】
さらに、ロック機構はロープなどが絡みつかないような位置に配置されているので、意図せずロックが解除されることが無く、非常に安全である。
【0023】
足場板を水平状態に固定する作業は、柱固定金具に足場板の係止フックを略垂直状態で引っ掛けた後、係止フックを中心に足場板を水平状態まで持ち上げる。その後、足場板の荷重を支えるための支持ステーを柱に当接させて足場板を支持固定する。このため、足場板を滑車で略水平状態に吊り上げる必要が無く、1人で作業を行えるし、滑車の架設などの煩雑な作業も不要となり、時間短縮や作業者の負担を大幅に減らすことができる。
【0024】
足場板を水平状態に持ち上げる際には、足場板底面に設けられたラチェット式アシストロッドを持ち手として使用することで、作業者の力の入れやすい体勢で足場板を持ち上げることができる。また、つっかえ棒として使用することもできる。このため、腕力のない者でも体勢を整えながら少しずつ持ち上げることができる。当然のことながら、アシストロッドはラチェット式なのでつっかえ棒として使用する際には持ち上げ途中で手を離しても足場板が下がることはない。さらに、アシストロッドは足場板取り外しの際にも使用できる。また、ラチェット式アシストロッドのロッド部分を伸縮自在な構造にしても良く、搬送時はよりコンパクトにできる。
【0025】
また、各々の足場板の長さが異なるので、組み合わせ方法により様々な長さの足場を作ることができ、作業現場によって最適な長さで軽量な足場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る柱上作業台の第1の実施形態の全体図を示す。(a)は正面図、(b)は平面、(c)は底面図を示す。
【図2】本発明に係る足場板が単体で使用された場合の第2の実施形態の全体図を示す。(a)は足場板300単体の設置図、(b)は足場板400単体の設置図を示す。
【図3】本発明に係る足場板の連結部分の拡大図を示す。(a)はロック状態の断面拡大図、(b)は開放状態の断面拡大図、(c)は連結部分の斜視図を示す。
【図4】本発明に係る足場板の支持ステーロック機構部分の拡大図を示す。(a)はロック状態、(b)は開放状態、(c)は支持ステーを折り畳んで固定した状態を示す。
【図5】本発明に係る足場板の支持ステーロック機構部分の動作手順を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の第1の実施形態について図1を参照して説明する。本実施例では元となる足場板に1台の足場板を連結した場合である。
柱上作業台100の構成としては、柱に取り付けるための柱取付金具200と、足場板300と足場板400から構成される。足場板300の長さは1.3m、足場板400の長さは0.7mで、連結すると2mとなる。
【0028】
本実施例では柱上作業台はアルミ製であるが、その他ステンレス製、鉄製、合成樹脂製でも良い。また、重量は軽いほど作業者の負担を軽減することができる。
また、足場板の上面には滑り止め加工が施されているとなお良い。
【0029】
柱固定金具200の構成は、足場板を固定するための固定金具210と、柱にまわして固定金具を固定するためのバンド220と、バンド220を締め付けるためのラチェット式バンド締機230とから構成されている。
固定金具210には足場板を係止するための固定軸211と、バンドを固定するためのバンド固定軸212とバンド締機固定軸213が形成されている。
また、ラチェット式バンド締機230はバンド締機固定軸213で連結されて一体構造となっている。
バンド220は一端がラチェット式バンド締機230を介して固定されており、もう一端はフックを備えてバンド固定軸212に係止するようになっている。
【0030】
柱に柱固定金具200を固定する方法は、バンド220を柱にまわしてフックをバンド固定軸212に係止し、ラチェット式バンド締機230に備えられたレバーによりバンド220を巻き取って締め付け、柱とバンド220の摩擦によって柱固定金具200を固定する。
【0031】
足場板300は、 踏板310と、支持ステー321、322及び323と、ラチェット式アシストロッド330、支持ステーロック機構380、支持ステー収納フック510から構成されている。
踏板310の先端部分には係止フック340と足場板ロック機構350、後端部分には係止軸360が設けられている。また、踏板310にはワイヤー370が取り付けられている。
【0032】
支持ステー321の先端部分は踏板310に取り付けられたワイヤー370が連結可能で、ワイヤー370は設置時に支持ステー321に連結され踏板310との開角を維持する。支持ステー321の先端はY字形状になっており、その部分を柱に当接して荷重を支える。また、他端は支点軸324に回動可能に連結されている。
【0033】
支持ステー322の一端は、支点軸324に回動可能に連結され、ロック軸326は設置作業時には支持ステーロック機構380で踏板310に固定される。
【0034】
支持ステー323の一端は、支点軸324に回動可能に連結され、他端は踏板310に設けられた軸受部材325に回動可能に連結され外れることはない。
【0035】
つまり、支持ステー321、322及び323は一端がすべて支点軸324に連結されていて協動し、作業台設置時には他端がすべて固定されることによって略トラス形状となり足場板の荷重を支える構造となっている。
【0036】
搬送時は、支持ステー321に連結されているワイヤー370を外しフリー状態にし、
支持ステー322は支持ステーロック機構380を解除してロック軸326をフリー状態にすると、支持ステー321〜323は軸受部材325を中心に協動して折り畳むことができる。
折り畳み方は、支持ステー322を、支点軸324を支点に踏板310と支持ステー323の間に挟みこむように折り畳んだのち、支点軸324を支持ステーロック機構380で固定する。支持ステー321は支持ステー収納フック510によって固定する。
【0037】
支持ステー321、322及び323と支持ステーロック機構380の構成は、軽量で高強度な略トラス形状を形成できるだけでなく、非常にコンパクトに折り畳めるので搬送や収納にも便利である。また、支持ステー321、322及び323を略トラス形状にしたので支持強度が高くなり、踏板310の軽量化が図れる。
【0038】
ラチェット式アシストロッド330は足場板300を持ち上げる際に補助するためのものである。持ち手として使用したり、足場板300は係止フック340を支点に回動して持ち上げて水平固定する構造のため、持ち上げ作業のつっかえ棒として使用できる。なお、ラチェット式アシストロッド330のロッド部分を伸縮自在な構造にしても良く、搬送時はコンパクトにできる。
【0039】
足場板400は、
踏板410と、支持ステー420から構成されている。
踏板410の先端部分には足場板300と同様の係止フック430と足場板ロック機構440が設けられている。
支持ステー420には、先端部にステー係止フック450とステーロック機構460が設けられ、足場板300と連結する場合に用いられる。他端は踏板410に設けられた軸受部材421に回動可能に連結され外れることはない。
【0040】
本実施例での足場板400の構成は、足場板400の後端にさらに足場板が連結されない場合の構成となっている。図1のような構造にすると、構成部材数が減るのでより軽量となり設置作業の負担を軽減することができる。
【0041】
柱上作業台100の設置手順は、
第1に、地上で足場板300と足場板400を連結、ロックしておく。足場板300と足場板400の連結手順は、足場板300の後端に設けられた係止軸360に足場板400に設けられた係止フック450を引っ掛ける。次に、足場板400に設けられた足場板ロック機構440により係止フック450をロックし、係止軸360から外れないようにする。
【0042】
第2に、足場板300の支持ステー322及び支持ステー323を組み立てる。足場板300の支持ステー322及び支持ステー323は搬送時折り畳まれていて支点軸324が支持ステーロック機構380に固定されているので、支持ステーロック機構380のロックを解除して支点軸324を中心に支持ステー322及び支持ステー323を引き起こす。そして支持ステー322のロック軸326を支持ステーロック機構380によって固定する。これによって支持ステー322及び支持ステー323は完全に固定される。
【0043】
第3に、足場板400の支持ステー420を足場板300の支点軸324に係止する。支持ステー420の先端部にはステー係止フック450とステーロック機構460が設けられている。ステー係止フック450を支点軸324に引っ掛けて係止し、ステーロック機構460で外れないようにロックする。これによって足場400にかかる荷重を支えることができる。
【0044】
第4に柱固定金具200を柱の所定位置に固定する。バンド220を柱にまわしてフックをバンド固定軸212に係止し、ラチェット式バンド締機230に備えられたレバーの往復運動によりバンド220を巻き取って締め付け、柱とバンド220の摩擦によって柱固定金具200を固定する。
固定には工具が不要なので簡便に取り付けることができる。また、当然のことながら、足場板の連結作業より先に柱固定金具200の固定作業を行っても良い。
【0045】
第5に足場板を柱固定金具200に引っ掛ける。足場板300の先端の係止フック340側を上向きにして連結された足場板を略垂直状態で持ち上げて係止フック340を柱固定金具200の固定軸211に引っ掛ける。引っ掛けたのち足場板ロック機構350により係止フック340が外れないようにロックする。
【0046】
最後に足場板を水平固定する。略垂直状態で係止されている足場板を、係止フック340を支点に回動させながら水平状態まで持ち上げる。そして、足場板300に取り付けられたワイヤー370を支持ステー321の先端部に連結し、ワイヤー370を張った状態で支持ステー321の先端部を柱に当接させ足場板を固定する。
なお、足場板を持ち上げる際、足場板300に設けられたラチェット式アシストロッド330を持ち手として、又はつっかえ棒として使用するとより簡単に持ち上げ作業ができる。このため、腕力のない者でも体勢を整えながら少しずつ持ち上げることができる。当然のことながら、アシストロッド330はラチェット式なのでつっかえ棒として使用してる際には持ち上げ途中で手を離しても足場板が下がることはない。また、一連の設置作業には工具が一切不要なので作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施形態について図2を参照して説明する。図2(a)は足場板300を単体で使用した柱上作業台、図2(b)は足場板400を単体で使用した柱上作業台を示す。なお、符号は第1の実施形態で使用されたものを流用する。
【0048】
図2(a)に示す柱上作業台は、柱固定金具200に単体の足場板300が固定されている。柱固定金具200の構成は、足場板を固定するための固定金具210と、柱にまわして固定金具を固定するためのバンド220と、バンド220を締め付けるためのラチェット式バンド締機230とから構成されている。
固定金具210には足場板を係止するための固定軸211と、バンドを固定するためのバンド固定軸212とバンド締機固定軸213が形成されている。
また、ラチェット式バンド締機230はバンド締機固定軸213で連結されて一体構造となっている。
バンド220は一端がラチェット式バンド締機230を介して固定されており、もう一端はフックを備えてバンド固定軸212に係止するようになっている。
【0049】
柱に柱固定金具200を固定する方法は、バンド220を柱にまわしてフックをバンド固定軸212に係止し、ラチェット式バンド締機230に備えられたレバーによりバンド220を巻き取って締め付け、柱とバンド220の摩擦によって柱固定金具200を固定する。
【0050】
足場板300は、 踏板310と、支持ステー321〜323と、ラチェット式アシストロッド330、支持ステーロック機構380、支持ステー収納フック510から構成されている。
踏板310の先端部分には係止フック340と足場板ロック機構350、後端部分には係止軸360が設けられている。また、踏板310にはワイヤー370が取り付けられている。
【0051】
支持ステー321の先端部分は踏板310に取り付けられたワイヤー370が連結可能で、ワイヤー370は設置時に支持ステー321に連結され踏板310との開角を維持する。支持ステー321の先端はY字形状になっており、その部分を柱に当接して荷重を支える。また、他端は支点軸324に回動可能に連結されている。
【0052】
支持ステー322の一端は、支点軸324に回動可能に連結され、ロック軸326は設置作業時には支持ステーロック機構380で踏板310に固定される。
【0053】
支持ステー323の一端は、支点軸324に回動可能に連結され、他端は踏板310に設けられた軸受部材325に回動可能に連結され外れることはない。
【0054】
搬送時は、支持ステー321に連結されているワイヤー370を外しフリー状態にし、
支持ステー322は支持ステーロック機構380を解除してロック軸326をフリー状態にすると、支持ステー321〜323は軸受部材325を中心に協動して折り畳むことができる。
折り畳み方は、支持ステー322を、支点軸324を支点に踏板310と支持ステー323の間に挟みこむように折り畳んだのち、支点軸324を支持ステーロック機構380で固定する。支持ステー321は支持ステー収納フック510によって固定する。
【0055】
支持ステー321〜323と支持ステーロック機構380の構成は、軽量で高強度な略トラス形状を形成できるだけでなく、非常にコンパクトに折り畳めるので搬送や収納にも便利である。
【0056】
ラチェット式アシストロッド330は足場板300を持ち上げる際に補助するためのものである。持ち手として使用したり、足場板300は係止フック340を支点に回動して持ち上げて水平固定する構造のため、持ち上げ作業のつっかえ棒として使用できる。なお、ラチェット式アシストロッド330のロッド部分を伸縮自在な構造にして搬送時はコンパクトにできても良い。
【0057】
図2(a)の構成の場合の柱上作業台設置手順は、
第1に柱固定金具200を柱の所定位置に固定する。
第2に足場板300を柱固定金具200に引っ掛ける。足場板300の係止フック340側を上向きにして足場板を略垂直状態で持ち上げて係止フック340を柱固定金具200の固定軸211に引っ掛ける。引っ掛けたのち足場板ロック機構350により係止フック340が外れないようにロックする。
最後に足場板300を水平固定する。略垂直状態で係止されている足場板300を、係止フック340を支点に回動させながら水平状態まで持ち上げる。そして、足場板300に取り付けられたワイヤー370を支持ステー321の先端部に連結し、ワイヤー370を張った状態で支持ステー321の先端部を柱に当接させ足場板を固定する。なお、足場板を持ち上げる際、足場板300に設けられたラチェット式アシストロッド330を持ち手として、又はつっかえ棒として使用するとより簡単に持ち上げ作業ができる。このため、腕力のない者でも体勢を整えながら少しずつ持ち上げることができる。当然のことながら、アシストロッド330はラチェット式なのでつっかえ棒として使用している際には持ち上げ途中で手を離しても足場板が下がることはない。
【0058】
図2(b)に示す柱上作業台は、柱固定金具200に単体の足場板400が固定されている。柱固定金具200の構成は、図2(a)と同様に、足場板を固定するための固定金具210と、柱にまわして固定金具を固定するためのバンド220と、バンド220を締め付けるためのラチェット式バンド締機230とから構成されている。
固定金具210には足場板を係止するための固定軸211と、バンドを固定するためのバンド固定軸212とバンド締機固定軸213が形成されている。
また、ラチェット式バンド締機230はバンド締機固定軸213で連結されて一体構造となっている。
バンド220は一端がラチェット式バンド締機230を介して固定されており、もう一端はフックを備えてバンド固定軸212に係止するようになっている。
【0059】
足場板400は、踏板410と、支持ステー420から構成されている。
踏板410の先端部分には足場板300と同様の係止フック430と足場板ロック機構440が設けられている。
支持ステー420には、先端部にステー係止フック450とステーロック機構460が設けられ、足場板300と連結する場合に用いられる。他端は踏板410に設けられた軸受部材421に回動可能に連結され外れることはない。なお、搬送時には支持ステー収納フック510によって固定すると安全である。
【0060】
また、踏板410にはワイヤー470が取り付けられており、足場板400を単独で使用する場合はワイヤー470を支持ステー420に連結して踏板410との開角を維持する。支持ステー420の先端はY字形状になっており、その部分を柱に当接して荷重を支える。
【0061】
図2(b)の構成の場合の柱上作業台設置手順は、
第1に柱固定金具200を柱の所定位置に固定する。
第2に足場板400を柱固定金具200に引っ掛ける。足場板400の係止フック430側を上向きにして足場板を略垂直状態で持ち上げて係止フック430を柱固定金具200の固定軸211に引っ掛ける。引っ掛けたのち足場板ロック機構440により係止フック430が外れないようにロックする。
最後に足場板を水平固定する。略垂直状態で係止されている足場板400を、係止フック430を支点に回動させながら水平状態まで持ち上げる。そして、足場板400に取り付けられたワイヤー470を支持ステー420の先端部に連結し、ワイヤー470を張った状態で支持ステー420の先端部を柱に当接させ足場板を固定する。
なお、足場板400の底面に、持ち上げを補助するためのラチェット式アシストロッド330を設けても良い。
【0062】
次に、図3に示す足場板300の係止部分の構造を説明する。
足場板300先端の係止部分の構造は、先端部に係止フック340と、係止フックをロックするための足場板ロック機構350とから構成されている。
本実施例では係止フック340は一方は図示していないが2箇所に設けられている。ただし、場合によって3箇所以上設けられていても良い。係止フック340の開口方向は、足場板の後端方向に開口されている。これは、柱固定金具200の固定軸211に係止フック340を引っ掛ける際に略垂直状態で引っ掛けられるようにするためである。通常工事現場等で使用されている足場のフックは、パイプ軸に上から乗せるように作られているので開口部は下向き(足場に対して直角方向に大きく開口)となっていることが多い。
【0063】
足場板ロック機構350は、金具ロック351と、ストッパレバ352からなり、金具ロック351はL字形のアングルの両端にロック片353が形成されている。金具ロック351は係止フック340又は踏板310に回動可能に設けられている。本実施例では係止フック340に回動するための軸354が設けられ、図3(b)のように回動する。ロック片353は両端に形成される必要はなく、ロック片353の数も必要に応じて増減しても良いが、係止フック340に沿うように形成されるのが望ましい。
【0064】
ストッパレバ352は断面形状がコの字状になっていて、踏板310の側面に設けられた孔311にはめ込まれて1軸中心に回動可能に配置されている。踏板の側面に対して外側には金具ロックを固定するためのフック355が形成され、踏板の内側には固定を解除するためのボタン356が形成されている。
【0065】
ストッパレバ352のボタン356はバネ357で付勢されていて、フック355は金具ロック351の対応する位置に設けられた嵌合孔358に引っ掛かって固定される仕組みとなっている。ストッパレバ352はバネ付勢されていて常に金具ロック361を固定する方向に付勢されているので、ロックし忘れることもなく、また、ボタン356を押さない限りロックが解除されない構造となっている。
また、ボタン356が踏板310の内側に配置されるように構成されているので、意図せず固定解除されることの無いように工夫されている。
【0066】
次に、図4及び図5に示す支持ステーロック機構380の構造を説明する。
支持ステー322は、略トラス形状を構成するために、支持ステーロック機構380により固定される。
支持ステーロック機構380は、ステーロック381と、解除レバー382とピンストッパ383からなる。図5は動作手順の図である。
連結部の足場板ロック機構350とは異なり、解除レバー382とステーロック381に対向した同位置に穴384が設けられており、その穴384にバネで付勢されたピンストッパ383が嵌合することによってかんぬきの役割を果たすので、図5(b)から図5(c)の動作手順のように解除レバー382の穴384からピンストッパ383を抜かない限りロックを解除することはできない。また、ステーロック381がロック位置に移動すると同時にピンストッパ383が自動で穴384に嵌合するので、ロックし忘れることがないように工夫されている。
【0067】
また、支持ステーロック機構380は、図4(c)のように、支持ステー322を折り畳んだ際の支点軸324を係止することにより支持ステー322と支持ステー323を固定する機能もある。このため、搬送時や収納時の省スペース化をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の柱上作業台は、連結可能であって作業対象の位置によって任意に柱上作業台を選択・連結できるので作業現場によって最適な長さで軽量な足場を提供でき、また柱上作業台作業者1人でも簡便に取り付けできる連結機構を備えているので、作業の負担を大幅に軽減することができる。
【符号の説明】
【0069】
100 柱上作業台
200 柱固定金具
210 固定金具
211 固定軸
212 バンド固定軸
213 バンド締機固定軸
220 バンド
230 ラチェット式バンド締機
300 足場板
310 踏板
321 支持ステー
322 支持ステー
323 支持ステー
324 支点軸
325 軸受部材
326 ロック軸
330 ラチェット式アシストロッド
340 係止フック
350 足場板ロック機構
360 係止軸
370 ワイヤー
380 支持ステーロック機構
400 足場板
410 踏板
420 支持ステー
421 軸受部材
430 係止フック
440 足場板ロック機構
450 ステー係止フック
460 ステーロック機構
470 ワイヤー
510 支持ステー収納フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱上作業をするための足場板と、該足場板を柱に取り付けるため柱に巻き付けて用いる柱固定金具とを備えた柱上作業台において、
前記足場板を長手方向に複数枚連結可能に構成したことを特徴とする柱上作業台。
【請求項2】
請求項1記載の柱上作業台において、
足場板の連結可能にする構成は、柱固定金具に取り付けるため足場板の先端部に設けられた係止フックと前方の足場板の後端部に設けられた係止軸に引っ掛けることにより足場板を連結するとともに、各係止フックにはロック機構を備えたことを特徴とする柱上作業台。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の柱上作業台において、
前記足場板は、回動可能に設けられた支持ステーと、該足場板の先端部近傍に所定長さのワイヤ又はチェーンとを有し、足場板が1枚のときは該ワイヤ又はチェーンが前記支持ステーの先端部と連結され支持ステーと足場板の開角が一定以上に開かないようにして、支持ステーの先端部を柱に当接させることで足場板の水平状態を確保し且つ荷重を支えるとともに、支持ステーにはロック機構を備えたことを特徴とする柱上作業台。
【請求項4】
請求項3に記載の柱上作業台において、
前記足場板が複数枚のときは、後方に連結する足場板の支持ステーは前方の足場板の支持ステーの所定箇所に連結されることを特徴とした柱上作業台。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の柱上作業台において、
前記柱上作業台は、長手方向の長さがそれぞれ異なる足場板を複数枚連結可能に構成したことを特徴とする柱上作業台。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の柱上作業台において、
前記柱固定金具に略垂直状態の前記足場板の係止フックを引っ掛け、前記係止フックを中心に前記足場板を回動させながら前記足場板を水平状態に持ち上げる際に補助するためのラチェット式アシストロッドが足場板の底面に備えられていることを特徴とする柱上作業台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−57305(P2012−57305A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198747(P2010−198747)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000220572)株式会社トーツー創研 (6)
【出願人】(000163394)株式会社コミューチュア (12)